以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1、図2及び図3に示す車両用灯具1Aについて説明する。なお、図1は、車両用灯具1Aの構成を示す断面図である。図2は、車両用灯具1Aが備える第1のインナーレンズ6の基端側の一部を拡大した断面図である。図3は、車両用灯具1Aが備える第1のインナーレンズ6の先端側の一部を拡大した断面図である。
本実施形態の車両用灯具1Aは、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部(本実施形態では左前端側のコーナー部)に搭載されるものであり、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)と、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたポジションランプ兼ターンランプに本発明を適用したものである。
具体的に、この車両用灯具1Aは、図1、図2及び図3に示すように、前面が開口したハウジング2と、このハウジング2の開口を覆う透明なアウターレンズ3とにより構成される灯体4を備えている。
灯体4では、車両の後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車両幅方向(Y軸方向)の内側(+Y軸側)よりも外側(−Y軸側)が後退する方向に向かって、アウターレンズ3が湾曲した形状を有している。なお、アウターレンズ3については、このような湾曲した形状に限らず、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜した形状であってもよい。
車両用灯具1Aは、灯体4の内側に、隣り合う複数(本実施形態では2つ)の光源5a,5bを含む複数(本実施形態では3組)の光源セル5と、複数の光源5a,5bからの光L1,L2を互いに同一方向に向けて導光させる第1のインナーレンズ6と、第1のインナーレンズ6からの光L1,L2を互いに同一方向に向けて拡散させる第2のインナーレンズ7とが配置された構成を有している。
複数の光源セル5は、車両幅方向の外側に位置して、複数の光源5a,5bが隣り合う方向に並んで設けられている。また、各光源セル5を構成する複数の光源5a,5bは、第1のインナーレンズ6の基端側の端部と対向しながら、第1のインナーレンズ6の基端側の端部に沿って並んで設けられている。本実施形態では、2つの光源5a,5bを一組の光源セル5として、3組の光源セル5が並んで設けられている。
各光源セル5の隣り合う2つの光源5a,5bは、第1の光源5aと第2の光源5bとから構成されている。このうち、第1の光源5aは、ポジションランプ用光源として、白色光(以下、「第1の光」として区別する。)L1を発するLEDからなる。一方、第2の光源5bは、ターンランプ用光源として、橙色光(以下、「第2の光」として区別する。)L2を発するLEDからなる。LEDには、車両照明用の高出力(高輝度)タイプのもの(例えばSMD LEDなど。)を使用することができる。
したがって、各光源セル5を構成する第1の光源5aと第2の光源5bとは、各光源5a,5bから放射状に出射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2とは交差する方向に交互に並んで設けられている。
なお、図1、図2及び図3では、第1及び第2の光源5a,5bから放射状に出射された光L1,L2のうち、それぞれの光軸AX1,AX2と一致した光線のみを破線で示している。また、以下に示す図4〜図11及び図13においても同様である。
各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、同一の回路基板8の一面(表面)に実装されている。回路基板8は、その一面が第1のインナーレンズ6の基端側の端部と対向するように、鉛直方向(Z軸方向)に対して平行となる向きで配置されている。
これにより、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、それぞれ回路基板8に実装された位置から回路基板8の一面に対して垂直な方向に向けて第1及び第2の光L1,L2を放射状に出射する。すなわち、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、互いに同一方向に向けて第1及び第2の光L1,L2を出射すると共に、第1の光源5aから出射される第1の光L1の光軸AX1と、第2の光源5bから出射される第2の光L2の光軸AX2とが互いに平行となっている。
なお、本実施形態では、上述した第1及び第2の光源5a,5bを構成する複数のLEDと、これら複数のLEDを駆動する駆動回路とが回路基板8の上に実装された構成となっている。一方、複数のLEDが実装された実装基板と、これら複数のLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、複数のLEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
第1のインナーレンズ6は、導光レンズ(導光体)として、全体として略直角三角形状を為す平板状の光透過性部材からなる。光透過性部材には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
第1のインナーレンズ6は、その主面が水平方向(XY平面)に対して平行となる向きで配置されると共に、上述した灯体4のスラント形状に合わせて、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜するように配置されている。
第1のインナーレンズ6は、複数の光源5a,5bに各々対向して配置されて、複数の光源5a,5bから出射された光L1,L2を内部へと入射する複数(本実施形態では6つ)の入射部9a,9bと、複数の入射部9a,9bから入射した光L1,L2を導光させる導光部10と、導光部10の背面10a側に配置されて、導光部10の内部で導光される光L1,L2を導光部10の正面10b側に向けて反射する導光反射部11と、導光部10の正面10b側に配置されて、導光反射部11で反射された光L1,L2を外部へと出射する出射部12とを有している。
複数の入射部9a,9bは、第1のインナーレンズ6の基端側の端部に設けられている。また、複数の入射部9a,9bは、第1の光源5aから出射された第1の光L1が入射する第1の入射部9aと、第2の光源5bから出射された第2の光L2が入射する第2の入射部9bとから構成されている。第1の入射部9aと第1の入射部9bとは、各光源5a,5bから出射される第1及び第2の光L1,L2の進行方向とは交差する方向に交互に並んで設けられている。
第1及び第2の入射部9a,9bは、第1及び第2の光源5a,5bと対向する部分の中央に位置して、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の一部が入射する凸面状の第1の集光入射面13aと、第1の集光入射面13aの周囲を囲む位置から第1及び第2の光源5a,5b側に突出した突出部14の内周側に位置して、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の一部が入射する第2の集光入射面13bと、突出部14の外周側に位置して、第2の集光入射面13bから入射した第1及び第2の光L1,L2を反射する集光反射面13cとを有している。
第1及び第2の入射部9a,9bでは、第1及び第2の光源5a,5bから放射状に出射された第1及び第2の光L1,L2のうち、第1の集光入射面13aから入射した第1及び第2の光L1,L2を光軸AX1,AX2寄りに屈折させることで集光させる。一方、第2の集光入射面13bから入射した第1及び第2の光L1,L2を集光反射面13cで反射させることによって光軸AX1,AX2寄りに屈折させることで集光させる。
これにより、第1及び第2の入射部9a,9bでは、第1及び第2の光源5a,5bから放射状に出射された第1及び第2の光L1,L2を平行化又は集光(本実施形態では平行化)しながら、導光部10の内部へと入射する。
また、第1及び第2の入射部9a,9bでは、第1及び第2の光源5a,5bから出射された時点では互いの光軸AX1,AX2が平行となる第1及び第2の光L1,L2を、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって屈折させている。これにより、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって傾斜した平行光となって、導光部10の内部で互いに同一方向に向けて導光されることになる。
なお、本実施形態では、第1及び第2の光源5a,5bから放射状に出射された第1及び第2の光L1,L2が第1及び第2の入射部9a,9bから平行光となって入射する様子について、図2中の一点鎖線で模式的に示している。但し、最もアウターレンズ3側に位置する光源セル5の第1及び第2の光源5a,5bからの第1及び第2の光L1,L2についてのみ図示するものとする。また、以下に示す図5、図7、図9においても同様である。
導光部10は、車両幅方向の外側を基端側とし、車両幅方向の内側を先端側として、その基端側から先端側に向かって尖形となる形状を有している。また、導光部10の背面10aは、第1及び第2の光源5a,5bから互いに平行に出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2に対して正面10b側に向かって傾斜している。一方、導光部10の正面10aは、第1及び第2の光源5a,5bから互いに平行に出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2に対して平行となっている。
導光反射部11は、導光部10の背面10bに入射した第1及び第2の光L1,L2を導光部10の正面10bに対して臨界角未満となる角度で反射させる複数の反射カットからなる。なお、複数の反射カットについて、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態の導光反射部11は、複数の反射カットとして、導光部10の背面10aを上下方向に切り欠く略V字状の溝部が周期的に並ぶことによって構成されている。なお、導光反射部11は、導光部10の背面10a側の傾斜面に光L1,L2が入射する反射カットがない平滑な反射面により構成されていてもよい。
なお、車両用灯具1Aでは、導光部10の背面10aと対向するリフレクタ(図示せず。)を設けた構成としてもよい。これにより、導光部10の背面10a側から外部へと出射された第1及び第2の光L1,L2をリフレクタにより反射して、再び導光部10の背面10a側から内部へと入射させることが可能である。
出射部12は、上述した灯体4のスラント形状に合わせて、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜した平面(出射面)により構成されている。出射部12は、導光反射部11で反射された第1及び第2の光L1,L2を導光部10の正面10b側から前方(+X軸方向)に向けて出射する。
第2のインナーレンズ7は、拡散レンズとして、平板状の光透過性部材からなる。第2のインナーレンズ7には、上記第1のインナーレンズ6で例示した光透過性部材と同じものを用いることができる。
第2のインナーレンズ7は、アウターレンズ3と第1のインナーレンズ6との間に配置されている。また、第2のインナーレンズ7は、その主面が鉛直方向に対して平行となる向きで配置されると共に、上述した灯体4のスラント形状に合わせて、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲した形状を有している。なお、第2のインナーレンズ7については、このような湾曲した形状に限らず、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜した形状であってもよい。
第2のインナーレンズ7は、その背面又は正面(本実施形態では正面)側に設けられて、当該第2のインナーレンズ7から前方(+X軸方向)に向けて出射される第1及び第2の光L1,L2を車両幅方向に拡散させる拡散面15を有している。
拡散面15は、第2のインナーレンズ7に入射した第1及び第2の光L1,L2を車両幅方向に拡散させるための凹凸構造を有している。このような凹凸構造としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。
また、拡散面15では、この凹凸構造の形状等を調整することによって、第2のインナーレンズ7から出射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2の向きや拡散度合いを制御することが可能である。
なお、車両用灯具1Aでは、第2のインナーレンズ7の正面側のうち、第1及び第2の光L1,L2が出射される以外の領域を覆うエクステンション(図示せず。)を設けた構成としてもよい。これにより、第2のインナーレンズ7の正面側から不要な光が漏れ出すことを防ぐことが可能である。
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Aでは、ポジションランプとして、複数の第1の光源5aから出射された第1の光L1を、第1のインナーレンズ6、第2のインナーレンズ7及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方(+X軸方向)に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Aでは、第1のインナーレンズ6の出射部12に対応した発光エリアを略均一に白色発光させることが可能である。
一方、本実施形態の車両用灯具1Aでは、ターンランプとして、複数の第2の光源5bから出射された第2の光L2を、第1のインナーレンズ6、第2のインナーレンズ7及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Aでは、第1のインナーレンズ6の出射部12に対応した発光エリアを略均一に点滅させながら橙色発光させることが可能である。
なお、車両用灯具1Aでは、各国の法規に応じて、ターンランプの点滅(点灯)中は、ポジションランプを点灯させたままとしたり、ポジションランプを消灯させたりすることが可能である。
ところで、本実施形態の車両用灯具1Aでは、光源セル5毎に、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において互いに交差している。
具体的に、この車両用灯具1Aでは、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差するように、第1及び第2の入射部9a,9bが配置されている。
すなわち、これら第1及び第2の入射部9a,9bは、第1及び第2の光源5a,5bから互いに平行に出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差するように、それぞれの入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の入射方向を制御している。これにより、第1の入射部9aから入射した第1の光L1の光軸AX1と、第2の入射部9bから入射した第2の光L2の光軸AX2とは、導光部10の背面10a側において交差するように、互いに接近する方向に向かって傾斜している。
本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とが導光部10の背面10aにおいて重なり合っている。これにより、第1及び第2の光L1,L2は、導光反射部11の同じ領域から出射部12に向けて反射されることになる。
なお、本実施形態では、平行光となる第1及び第2の光L1,L2が導光部10の背面10aに入射する様子について、図3中の一点鎖線で模式的に示している。但し、最もアウターレンズ3側に位置する光源セル5の第1及び第2の光源5a,5bからの第1及び第2の光L1,L2についてのみ図示するものとする。
すなわち、導光部10の背面10a側において交差する第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2については、これら第1及び第2の光L1,L2の照射範囲S1,S2が導光部10の背面10aにおいて重複する範囲で交差している。また、第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とは、互いに1/2以上の範囲で重複していることが好ましい。
したがって、本発明において、第1の光L1の光軸AX1と第2の光L2の光軸AX2との交点は、導光部10の背面10aと一致している場合に必ずしも限定されるものではなく、この背面10aに対する入側又は出側にずれた位置にあってもよい。すなわち、本発明では、上述した第1及び第2の光L1,L2の照射範囲S1,S2が導光部10の背面10aにおいて重複する範囲で、第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において互いに交差している。
本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した第1及び第2の入射部9a,9bから導光部10の内部に入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において平行となる場合よりも、導光反射部11で反射されて出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2を第2のインナーレンズ7の拡散面15により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図4及び図5に示す車両用灯具1Bについて説明する。なお、図4は、車両用灯具1Bの構成を示す断面図である。図5は、車両用灯具1Bが備える第1のインナーレンズ6の基端側の一部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の車両用灯具1Bは、図4及び図5に示すように、上記第2のインナーレンズ7を省略する代わりに、上記第1のインナーレンズ6の出射部12が拡散面16を有した構成となっている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
拡散面16は、導光部10の正面10b側に設けられて、出射部12から前方に向けて出射される第1及び第2の光L1,L2を車両幅方向に拡散させるための凹凸構造を有している。このような凹凸構造としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。
また、拡散面16では、この凹凸構造の形状等を調整することによって、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2の向きや拡散度合いを制御することが可能である。
本実施形態の車両用灯具1Bでは、上記車両用灯具1Aと同様に、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差するように、第1及び第2の入射部9a,9bが配置されている。
本実施形態の車両用灯具1Bでは、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とが導光部10の背面10aにおいて重なり合っている(なお、本実施形態では、照射範囲S1,S2の図示を省略するものとする。)。これにより、第1及び第2の光L1,L2は、導光反射部11の同じ領域から出射部12に向けて反射されることになる。
本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した第1及び第2の入射部9a,9bから導光部10の内部に入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において平行となる場合よりも、導光反射部11で反射されて出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2を拡散面16により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Bでは、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図6及び図7に示す車両用灯具1Cについて説明する。なお、図6は、車両用灯具1Cの構成を示す断面図である。図7は、車両用灯具1Cが備える第1のインナーレンズ6の基端側の一部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の車両用灯具1Cは、図6及び図7に示すように、光源セル5毎に、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差するように、第1及び第2の光源5a,5bが配置されている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
すなわち、これら第1の光源5aから出射される第1の光L1の光軸AX1と、第2の光源5bから出射される第2の光L2の光軸AX2とは、導光部10の背面10a側において交差するように、互いに接近する方向に向かって傾斜している。これに対応して、第1及び第2の入射部9a,9bは、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2の向きに合わせて配置されている。
これにより、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって傾斜した平行光となって、導光部10の内部で互いに同一方向に向けて導光されることになる。
また、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、上記回路基板8の代わりに、それぞれの光源5a,5b毎に設けられた複数(本実施形態では6つ)の回路基板17の一面(表面)に実装されている。また、各回路基板17の間は、フレキシブル配線基板18を介して電気的に接続されている。
これにより、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、それぞれの光源5a,5bから出射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2の向きに合わせて、フレキシブル回路基板18を折り曲げた状態で、灯体4の内側に設けられたブラケット(図示せず。)により支持(固定)されている。
本実施形態の車両用灯具1Cでは、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とが導光部10の背面10aにおいて重なり合っている(なお、本実施形態では、照射範囲S1,S2の図示を省略するものとする。)。これにより、第1及び第2の光L1,L2は、導光反射部11の同じ領域から出射部12に向けて反射されることになる。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述した第1及び第2の光源5a,5bから出射されて、第1及び第2の入射部9a,9bから導光部10の内部に入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において平行となる場合よりも、導光反射部11で反射されて出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2を第2のインナーレンズ7の拡散面15により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Cでは、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
なお、車両用灯具1Cについては、上記車両用灯具1Bの構成と同様に、第2のインナーレンズ7を省略する代わりに、上記第1のインナーレンズ6の出射部12が拡散面16を有した構成とすることが可能である。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば図8、図9及び図10に示す車両用灯具1Dについて説明する。なお、図8は、車両用灯具1Dの構成を示す断面図である。図9は、車両用灯具1Dが備える第1のインナーレンズ6の基端側の一部を拡大した断面図である。図10は、車両用灯具1Dが備える第1のインナーレンズ6の先端側の一部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の車両用灯具1Dは、図8、図9及び図10に示すように、光源セル5毎に、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において互いに交差している。
具体的に、この車両用灯具1Dでは、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差するように、第1及び第2の入射部9a,9bが配置されている。
すなわち、これら第1及び第2の入射部9a,9bは、第1及び第2の光源5a,5bから互いに平行に出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差するように、それぞれの入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の入射方向を制御している。これにより、第1の入射部9aから入射した第1の光L1の光軸AX1と、第2の入射部9bから入射した第2の光L2の光軸AX2とは、第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差するように、互いに接近する方向に向かって傾斜している。
また、第1及び第2の入射部9a,9bでは、第1及び第2の光源5a,5bから出射された時点では互いの光軸AX1,AX2が平行となる第1及び第2の光L1,L2を、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって屈折させている。これにより、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって傾斜した平行光となって、導光部10の内部で互いに同一方向に向けて導光されることになる。
また、本実施形態の車両用灯具1Dにおいて、導光反射部11は、反射カットがない平滑な反射面により構成されていることが好ましい。これにより、導光部10の内部で導光される第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって傾斜した平行光のまま導光反射部11で反射された後、出射部12から第2のインナーレンズ7に向けて出射される。
本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述した第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差することで、これら第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とが拡散面15において重なり合っている。これにより、第1及び第2の光L1,L2は、拡散面15の同じ領域から拡散しながら前方に向けて出射されることになる。
なお、本実施形態では、平行光となる第1及び第2の光L1,L2が第2のインナーレンズ7の拡散面15に入射する様子について、図10中の一点鎖線で模式的に示している。但し、最もアウターレンズ3側に位置する光源セル5の第1及び第2の光源5a,5bからの第1及び第2の光L1,L2についてのみ図示するものとする。
すなわち、第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差する第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2については、これら第1及び第2の光L1,L2の照射範囲S1,S2が第2のインナーレンズ7の拡散面15において重複する範囲で交差している。また、第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とは、互いに1/2以上の範囲で重複していることが好ましい。
したがって、本発明において、第1の光L1の光軸AX1と第2の光L2の光軸AX2との交点は、第2のインナーレンズ7の拡散面15と一致している場合に必ずしも限定されるものではなく、この拡散面15に対する入側又は出側にずれた位置にあってもよい。すなわち、本発明では、上述した第1及び第2の光L1,L2の照射範囲S1,S2が第2のインナーレンズ7の拡散面15において重複する範囲で、第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において互いに交差している。
本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述した第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差することで、これら第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において平行となる場合よりも、第2のインナーレンズ7から前方に向けて出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Dでは、第1及び第2の光L1,L2を第2のインナーレンズ7の拡散面15により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Dでは、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
なお、車両用灯具1Dについては、上記車両用灯具1Cの構成と同様に、光源セル5毎に、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差するように、第1及び第2の光源5a,5bが配置された構成とすることが可能である。
また、車両用灯具1Dについては、上記車両用灯具1Bの構成と同様に、第2のインナーレンズ7を省略する代わりに、上記第1のインナーレンズ6の出射部12が拡散面16を有した構成とすることが可能である。
この構成の場合、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が出射部12の拡散面16(導光部10の正面10b)側において交差するように、第1及び第2の入射部9a,9b又は第1及び第2の光源5a,5bを配置する。これにより、第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が出射部12の拡散面16(導光部10の正面10b)側において平行となる場合よりも、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、第1及び第2の光L1,L2を出射部12の拡散面16により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。これにより、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態として、例えば図11、図12及び図13に示す車両用灯具1Eについて説明する。なお、図11は、車両用灯具1Eの構成を示す断面図である。図12は、図11中に示す矢印A側から見た車両灯具1Eの斜視図である。図13は、図11中に示す線分B−Bによる車両灯具1Eの断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の車両用灯具1Eでは、図11、図12及び図13に示すように、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bが、第1のインナーレンズ6の下面と対向しながら、第1のインナーレンズ6の基端側の端部に沿って並んで設けられている。これに対応して、回路基板8は、その一面が第1のインナーレンズ6の基端側の下面と対向するように、水平方向に対して平行となる向きで配置されている。
これにより、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、それぞれ回路基板8に実装された位置から回路基板8の一面に対して垂直な方向、すなわち上方に向けて第1及び第2の光L1,L2を放射状に出射する。また、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、互いに同一方向に向けて第1及び第2の光L1,L2を出射すると共に、第1の光源5aから出射される第1の光L1の光軸AX1と、第2の光源5bから出射される第2の光L2の光軸AX2とが互いに平行となっている。
第1及び第2の入射部9a,9bは、第1のインナーレンズ6の下面における第1及び第2の光源5a,5bと各々対向する位置に、第1のインナーレンズ6の基端側の端部に沿って交互に並んで設けられている。第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が平行となる平行光となって、導光部10の内部で互いに同一方向に向けて導光されることになる。
第1のインナーレンズ6は、第1及び第2の入射部9a,9bに各々対向して配置されて、第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2を導光部10に向けて反射する複数(本実施形態では6つ)の反射部19a,19bを有している。
複数の反射部19a,19bは、第1の入射部9aから入射した第1の光L1を導光部10に向けて反射する第1の反射部19aと、第2の入射部9bから入射した第2の光L2を導光部10に向けて反射する第2の反射部19bとから構成されている。
第1の反射部19aと第1の反射部19bとは、それぞれ第1及び第2の入射部9a,9bから入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2に対して45°の角度で、導光部10の先端側に向けて傾斜した傾斜面(全反射面)からなる。第1及び第2の反射部19a,19bは、第1のインナーレンズ6の基端側の端部に沿って交互に並んで設けられている。
本実施形態の車両用灯具1Eでは、第1及び第2の反射部19a,19bで反射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差するように、第1及び第2の反射部19a,19bが配置されている。
すなわち、これら第1及び第2の反射部19a,19bは、第1及び第2の入射部9a,9bから互いに平行に入射した第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差するように、それぞれの反射部19a,19bで反射される第1及び第2の光L1,L2の反射方向を制御している。これにより、第1の反射部19aで反射された第1の光L1の光軸AX1と、第2の反射部19bで反射された第2の光L2の光軸AX2とは、導光部10の背面10a側において交差するように、互いに接近する方向に向かって傾斜している。
これにより、第1及び第2の反射部19a,19bで反射された第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって傾斜した平行光となって、導光部10の内部で互いに同一方向に向けて導光されることになる。
本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した第1及び第2の反射部19a,19bで反射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とが導光部10の背面10aにおいて重なり合っている(なお、本実施形態では、照射範囲S1,S2の図示を省略するものとする。)。これにより、第1及び第2の光L1,L2は、導光反射部11の同じ領域から出射部12に向けて反射されることになる。
本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した第1及び第2の反射部19a,19bで反射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が導光部10の背面10a側において平行となる場合よりも、導光反射部11で反射されて出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Eでは、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2を第2のインナーレンズ7の拡散面15により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Eでは、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
なお、車両用灯具1Eについては、上記車両用灯具1Dの構成と同様に、第1及び第2の反射部19a,19bで反射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が第2のインナーレンズ7の拡散面15側において交差するように、第1及び第2の反射部19a,19bが配置された構成とすることが可能である。
また、車両用灯具1Eについては、上記車両用灯具1Bの構成と同様に、第2のインナーレンズ7を省略する代わりに、上記第1のインナーレンズ6の出射部12が拡散面16を有した構成とすることが可能である。
さらに、この構成の場合、第1及び第2の反射部19a,19bで反射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が出射部12の拡散面16(導光部10の正面10b)側において交差するように、第1及び第2の反射部19a,19bを配置する。これにより、第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2が出射部12の拡散面16(導光部10の正面10b)側において平行となる場合よりも、出射部12から出射される第1及び第2の光L1,L2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、第1及び第2の光L1,L2を出射部12の拡散面16により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。これにより、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態として、例えば図14、図15及び図16に示す車両用灯具1Fについて説明する。なお、図14は、車両用灯具1Fの構成を示す断面図である。図15は、車両用灯具1Fが備える第1のインナーレンズの基端側の一部を拡大した断面図である。図16は、車両用灯具1Fが備える第1のインナーレンズの先端側の一部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の車両用灯具1Fは、図14、図15及び図16に示すように、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では右後端側のコーナー部)に搭載されるものであり、赤色発光する尾灯(テールランプ)と、赤色発光するブレーキランプと、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたリアコンビネーションランプに本発明を適用したものである。
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1Fを正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
本実施形態の車両用灯具1Fでは、複数(本実施形態では3組)の光源セル5が3つの光源5c,5d,5eにより構成されている。具体的には、灯体4の正面側から順に、第1の光源5dと、第2の光源5eと、第3の光源5fとを有している。
第1の光源5cは、テールランプ用光源として、赤色光(以下、「第1の光」として区別する。)B1を発するLEDからなる。第2の光源5dは、ストップランプ用光源として、赤色光(以下、「第2の光」として区別する。)B2を発するLEDからなる。第3の光源5eは、ターンランプ用光源として、橙色光(以下、「第3の光」として区別する。)B3を発するLEDからなる。
したがって、各光源セル5を構成する第1の光源5cと第2の光源5dと第3の光源5cとは、各光源5c,5d,5eから放射状に出射される第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3とは交差する方向に交互に並んで設けられている。
なお、図14及び図15では、第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eから放射状に出射された光B1,B2,B3のうち、それぞれの光軸BX1,BX2,BX3と一致した光線のみを破線で示している。
各光源セル5を構成する第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eは、同一の回路基板8の一面(表面)に実装されている。回路基板8は、その一面が第1のインナーレンズ6の基端側の端部と対向するように、鉛直方向(Z軸方向)に対して平行となる向きで配置されている。
これにより、各光源セル5を構成する第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eは、それぞれ回路基板8に実装された位置から回路基板8の一面に対して垂直な方向に向けて第1、第2及び第3の光B1,B2,B3を放射状に出射する。すなわち、各光源セル5を構成する第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eは、互いに同一方向に向けて第1、第2及び第3の光B1,B2,B3を出射すると共に、第1の光源5cから出射される第1の光B1の光軸BX1と、第2の光源5dから出射される第2の光B2の光軸BX2と、第3の光源5eから出射される第2の光B3の光軸BX3とが互いに平行となっている。
第1のインナーレンズ6は、複数の光源5c,5d,5eに各々対向して配置されて、複数の光源5c,5d,5eから出射された光B1,B2,B3を内部へと入射する複数(本実施形態では9つ)の入射部9c,9d,9eを有する以外は、上記第1のインナーレンズ6と基本的に同じ構成である。また、それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Eでは、テールランプとして、複数の第1の光源5cから出射された第1の光B1を、第1のインナーレンズ6、第2のインナーレンズ7及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方(+X軸方向)に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Eでは、第1のインナーレンズ6の出射部12に対応した発光エリアを略均一に赤色発光させることが可能である。
一方、本実施形態の車両用灯具1Eでは、ブレーキランプとして、複数の第2の光源5dから出射された第2の光B2を、第1のインナーレンズ6、第2のインナーレンズ7及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Eでは、第1のインナーレンズ6の出射部12に対応した発光エリアを略均一に赤色発光させることが可能である。また、ブレーキランプの点灯時は、第1及び第2の光B1,B2を同時に出射することによって、テールランプの点灯時よりも強く赤色発光させることが可能である。
一方、本実施形態の車両用灯具1Eでは、ターンランプとして、複数の第3の光源5eから出射された第3の光B3を、第1のインナーレンズ6、第2のインナーレンズ7及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Eでは、第1のインナーレンズ6の出射部12に対応した発光エリアを略均一に点滅させながら橙色発光させることが可能である。
なお、車両用灯具1Eでは、各国の法規に応じて、ターンランプの点滅(点灯)中は、テールランプを点灯させたままとしたり、テールランプを消灯させたりすることが可能である。
ところで、本実施形態の車両用灯具1Eでは、光源セル5毎に、第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eから出射された第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において互いに交差している。
具体的に、この車両用灯具1Eでは、第1、第2及び第3の入射部9c,9d,9eから入射した第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において交差するように、第1、第2及び第3の入射部9c,9d,9eが配置されている。
すなわち、これら第1、第2及び第3の入射部9c,9d,9eは、第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eから互いに平行に出射された第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において交差するように、それぞれの入射部9c,9d,9eから入射した第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の入射方向を制御している。
具体的に、第1及び第3の入射部9c,9eでは、第1及び第3の光源5c,5eから出射された時点では互いの光軸BX1,BX3が平行となる第1及び第3の光B1,B3を、互いの光軸BX1,BX3が接近する方向に向かって屈折させている。一方、第2の入射部9dでは、第2の光源5bから出射された時点で第1及び第3の光B1,B3の光軸BX1,BX3と平行となる光軸BX2のまま、第2の光B2を入射させている。
これにより、第1及び第3の入射部9c,9eから入射して平行光となった第1及び第3の光B1,B3が、第2の入射部9dから入射して平行光となった第2の光B2の光軸BX2と接近する方向に向かって傾斜しながら、これら第1、第2及び第3の光B1,B2,B3が導光部10の内部で互いに同一方向に向けて導光されることになる。
なお、本実施形態では、第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eから放射状に出射された第1、第2及び第3の光B1,B2,B3が第1、第2及び第3の入射部9c,9d,9eから平行光となって入射する様子について、図15中の一点鎖線で模式的に示している。但し、最もアウターレンズ3側に位置する光源セル5の第1、第2及び第3の光源5c,5d,5eからの第1、第2及び第3の光B1,B2,B3についてのみ図示するものとする。
本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した第1、第2及び第3の入射部9c,9d,9eから入射した第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1の光B1の照射範囲S1と第2の光B2の照射範囲S2と第3の光B3の照射範囲S3とが導光部10の背面10aにおいて重なり合っている。これにより、これら第1、第2及び第3の光B1,B2,B3が導光反射部11の同じ領域から出射部12に向けて反射されることになる。
すなわち、導光部10の背面10a側において交差する第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3については、これら第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の照射範囲S1,S2,S3が導光部10の背面10aにおいて重複する範囲で交差している。また、第1の光B1の照射範囲S1と第2の光B2の照射範囲S2と第3の光B3の照射範囲B3とは、互いに1/2以上の範囲で重複していることが好ましい。
したがって、本発明において、第1の光B1の光軸BX1と第2の光B2の光軸BX2と第3の光B3の光軸BX3との交点は、導光部10の背面10aと一致している場合に必ずしも限定されるものではなく、この背面10aに対する入側又は出側にずれた位置にあってもよい。さらに、これら第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3の交点は、1点で交差している場合に限らず、互いの光軸BX1,BX2,BX3の交点がずれていてもよい。
すなわち、本発明では、上述した第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の照射範囲S1,S2,S3が導光部10の背面10aにおいて重複する範囲で、第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において互いに交差している。
本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した第1、第2及び第3の入射部9c,9d,9eから導光部10の内部に入射した第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において交差することで、これら第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3が導光部10の背面10a側において平行となる場合よりも、出射部12から出射される第1、第2及び第3の光B1,B2,B3の光軸BX1,BX2,BX3の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Eでは、出射部12から出射される第1、第2及び第3の光B1,B2,B3を第2のインナーレンズ7の拡散面15により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Eでは、第1及び第2の光B1,B2による赤色発光と第3の光B3による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
なお、車両用灯具1Eについては、各光源セル5を3つの光源5c,5d,5eにより構成した場合を例示したものであり、このような構成は上記車両用灯具1B〜1Dの構成において同様に適用することが可能である。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態として、例えば図17に示す車両用灯具1Gについて説明する。なお、図14は、車両用灯具1Gの構成を示す斜視図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の車両用灯具1Gでは、図17に示すように、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bが、それぞれ回路基板8に実装された位置から上方に向けて第1及び第2の光L1,L2を出射するように、回路基板8が水平方向に対して平行となる向きで配置されている。
これにより、各光源セル5を構成する第1及び第2の光源5a,5bは、互いに同一方向に向けて第1及び第2の光L1,L2を出射すると共に、第1の光源5aから出射される第1の光L1の光軸AX1と、第2の光源5bから出射される第2の光L2の光軸AX2とが互いに平行となっている。
なお、図17では、第1及び第2の光源5a,5bから放射状に出射された光L1,L2のうち、それぞれの光軸AX1,AX2と一致した光線のみを破線で示している。
本実施形態の車両用灯具1Gは、上記第1のインナーレンズ6の代わりに、複数の光源5a,5bから出射された光L1,L2を互いに同一方向に向けて反射させるリフレクタ20と、複数の光源5a,5bに各々対向して配置されて、複数の光源5a,5bから出射された光L1,L2をリフレクタ20に向けて反射する複数(本実施形態では6つ)のミラー21a,21bとを備えている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
リフレクタ20は、その正面側(+X軸側)に反射面20aを有している。リフレクタ20は、反射面20aが鉛直方向に対して平行となる向きで配置されると共に、上述した灯体4のスラント形状に合わせて、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜するように配置されている。これにより、リフレクタ20は、反射面20aに入射した第1及び第2の光L1,L2を前方に向けて反射する。
なお、反射面20aについては、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2に対して正面側に向かって傾斜した平面形状を有するものに限らず、正面側に向かって湾曲した曲面形状を有するものであってもよい。
また、反射面20aについては、第1及び第2の光L1,L2の入射方向とは直交する方向に並ぶ複数の反射カットが設けられた構成であってもよい。この構成の場合、各反射カットに入射した第1及び第2の光L1,L2を前方に向けて反射するように、各反射カットにより反射される第1及び第2の光L1,L2の反射方向を制御することが可能である。
複数のミラー21a,21bは、第1の光源5aから出射された第1の光L1をリフレクタ20に向けて反射する第1のミラー21aと、第2の光源5bから出射された第2の光L2をリフレクタ20に向けて反射する第2のミラー21bとから構成されている。
第1のミラー21aと第2のミラー21bとは、それぞれ第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2に対して45°の角度で、リフレクタ20側に向けて傾斜して配置されている。
また、第1及び第2のミラー21a,21bは、第1及び第2の光源5a,5bの中心(発光点)を焦点とする回転放物系反射面により構成されている。これにより、第1及び第2のミラー21a,21bは、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2を前方に向けて幅方向において平行化しながら反射している。
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Gでは、ポジションランプとして、複数の第1の光源5aから出射された第1の光L1を、第1のミラー21a、リフレクタ20及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方(+X軸方向)に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Gでは、リフレクタ20の反射面20aに対応した発光エリアを略均一に白色発光させることが可能である。
一方、本実施形態の車両用灯具1Gでは、ターンランプとして、複数の第2の光源5bから出射された第2の光L2を、第2のミラー21b、リフレクタ20及びアウターレンズ3を介して灯体4の前方に向けて出射する。これにより、車両用灯具1Gでは、リフレクタ20の反射面20aに対応した発光エリアを略均一に点滅させながら橙色発光させることが可能である。
ところで、本実施形態の車両用灯具1Gでは、光源セル5毎に、第1及び第2の光源5a,5bから出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2がリフレクタ20の反射面20a側において互いに交差している。
具体的に、この車両用灯具1Gでは、第1及び第2のミラー21a,21bで反射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2がリフレクタ20の反射面20a側において交差するように、第1及び第2のミラー21a,21bが配置されている。
すなわち、これら第1及び第2のミラー21a,21bは、第1及び第2の光源5a,5bから互いに平行に出射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2がリフレクタ20反射面20a側において交差するように、それぞれのミラー21a,21bで反射される第1及び第2の光L1,L2の反射方向を制御している。これにより、第1のミラー21aで反射された第1の光L1の光軸AX1と、第2のミラー21bで反射された第2の光L2の光軸AX2とは、リフレクタ20の反射面20a側において交差するように、互いに接近する方向に向かって傾斜している。
これにより、第1及び第2のミラー21a,21bで反射された第1及び第2の光L1,L2は、互いの光軸AX1,AX2が接近する方向に向かって傾斜した平行光となって、互いに同一方向に向けて反射されることになる。
本実施形態の車両用灯具1Gでは、上述した第1及び第2のミラー21a,21bで反射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2がリフレクタ20の反射面20a側において交差することで、これら第1の光L1の照射範囲S1と第2の光L2の照射範囲S2とがリフレクタ20の反射面20aにおいて重なり合っている(なお、本実施形態では、照射範囲S1,S2の図示を省略するものとする。)。これにより、第1及び第2の光L1,L2は、反射面20aの同じ領域から前方に向けて反射されることになる。
本実施形態の車両用灯具1Gでは、上述した第1及び第2のミラー21a,21bで反射された第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2がリフレクタ20の反射面20a側において交差することで、これら第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2がリフレクタ20の反射面20a側において平行となる場合よりも、反射面20aで反射されて灯体4の前方に向けて出射される第1及び第2の光L1,L2の光軸AX1,AX2の位置ずれを抑えることが可能である。
また、本実施形態の車両用灯具1Gでは、リフレクタ20の反射面20aにより反射された第1及び第2の光L1,L2を第2のインナーレンズ7の拡散面15により拡散しながら、灯体4の前方に向けて出射している。
これにより、本実施形態の車両用灯具1Gでは、第1の光L1による白色発光と第2の光L2による橙色発光とを切り替えたときに、発光色毎の輝点に位置ずれが生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
なお、車両用灯具1Gについては、第1のインナーレンズ6をリフレクタ20及び複数のミラー21a,21bに置換した構成を例示したものであり、このような構成は上記車両用灯具1B〜1Fの構成において同様に置換することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、色光の異なる複数の光源を用いた場合を例示しているが、色光の同じ複数の光源を用いた車両用灯具に対しても本発明を適用することが可能である。色光の同じ複数の光源を用いた場合、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)、リッドランプ、尾灯(テールランプ)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
また、光源については、光を放射状に出射するものであればよく、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することも可能である。