JP2021014451A - 製剤及びコアシェル構造体 - Google Patents

製剤及びコアシェル構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2021014451A
JP2021014451A JP2020116159A JP2020116159A JP2021014451A JP 2021014451 A JP2021014451 A JP 2021014451A JP 2020116159 A JP2020116159 A JP 2020116159A JP 2020116159 A JP2020116159 A JP 2020116159A JP 2021014451 A JP2021014451 A JP 2021014451A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active ingredient
fatty acid
surfactant
core
preparation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020116159A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7412292B2 (ja
Inventor
大地 川村
Daichi Kawamura
大地 川村
隆之 赤峰
Takayuki Akamine
隆之 赤峰
紗織 利根
Saori Tone
紗織 利根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JP2021014451A publication Critical patent/JP2021014451A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7412292B2 publication Critical patent/JP7412292B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】皮膚作用性を有する有効成分の効能を高め得る、製剤を提供する。【解決手段】有効成分を含有する製剤であって、有効成分が、皮膚作用性成分であり、ラット皮膚透過試験において、製剤適用24時間後の皮膚中における有効成分の含有量が、有効成分の投与量に対し、20%以上である、製剤。前記有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有し、前記コア部が固体である、コアシェル構造体を含む、製剤。前記有効成分が、発毛剤、育毛剤、しみ改善剤、又はしわ改善剤である、製剤。【選択図】なし

Description

本発明は、製剤及び該製剤に用いられるコアシェル構造体に関する。
外用薬や化粧品等の分野においては、薬物等の有効成分を経皮吸収させるための技術が開発されている。有効成分の経皮吸収過程では、皮膚バリア機能や代謝等の影響を受けることがあり、これらの影響は有効成分によって異なることが知られている。また、皮膚作用性などの局所作用性を有する有効成分においては、単に経皮吸収させるだけでは、その効能を十分に高められないことが知られている。また、外用薬において、製造コストの観点から、有効成分の量を削減することが望ましい場合がある。
下記の特許文献1には、ミノキシジル及びジプロピレングリコールを配合し、製剤を精製水で20倍希釈したときのpHが4〜9であることを特徴とする持効性育毛剤が開示されている。
特開平10−265343号公報
しかしながら、特許文献1の持効性育毛剤においても、発毛効果や育毛効果をなお十分に高めることができなかった。
本発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、特許文献1の持効性育毛剤においても、皮膚貯留性が十分に高められているとは言えず、その結果、発毛効果や育毛効果が十分に高められないことを見出した。
なお、発毛剤や育毛剤などの薬剤だけでなく、しみ改善剤やしわ改善剤などの化粧品の分野においても、皮膚作用性を有する有効成分の皮膚適用による効能をさらに向上させることが求められている。また、製造コストの観点から、有効成分の量を削減することが望ましい場合がある。
本発明の目的は、皮膚作用性を有する有効成分の効能を高め得る、製剤及び該製剤に用いられるコアシェル構造体を提供することにある。
本発明に係る製剤は、有効成分を含有する製剤であって、前記有効成分が、皮膚作用性成分であり、ラット皮膚透過試験において、前記製剤適用24時間後の皮膚中における前記有効成分の含有量が、前記有効成分の投与量に対し、20%以上である。
本発明に係る製剤のある特定の局面では、前記ラット皮膚透過性試験において、前記製剤適用24時間後の製剤中及び角層中における有効成分の含有量の総和が、前記有効成分の投与量に対し、70%以下である。
本発明に係る製剤の他の特定の局面では、前記有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有し、前記コア部が固体である、コアシェル構造体を含む。好ましくは、前記コア部と前記シェル部との重量比が、1:0.5〜1:100である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記有効成分が、発毛剤、育毛剤、しみ改善剤、又はしわ改善剤である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記界面活性剤のHLB値が、4〜14であり、前記界面活性剤が、炭素数が7〜15である飽和炭化水素基、又は炭素数が7〜17である不飽和炭化水素基を有する。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記界面活性剤が、アルコールと脂肪酸とがエステル結合又はアミド結合されてなる界面活性剤であり、前記アルコールの分子量が、70g/mol以上、330g/mol以下の範囲内にある。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記有効成分と前記界面活性剤との重量比が、1:0.5〜1:100である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記コア部が、さらに水溶性ポリマーを含有する。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む。
本発明に係るコアシェル構造体の広い局面では、有効成分を含有するコア部と、HLB値が4〜14である界面活性剤を含有するシェル部と、水溶性ポリマーとを含み、前記コア部が固体であり、前記界面活性剤が、炭素数が7〜15である飽和炭化水素基、又は炭素数7〜17である不飽和炭化水素基を有し、前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む。
本発明に係るコアシェル構造体の他の広い局面では、有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを含み、前記コア部が固体であり、前記界面活性剤が、炭素数が16〜40である飽和炭化水素基、又は炭素数18〜40である不飽和炭化水素基を有し、前記界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む。好ましくは、前記コア部が、さらに水溶性ポリマーを含有する。より好ましくは、前記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む。
本発明によれば、皮膚作用性を有する有効成分の効能を高め得る、製剤及び該製剤に用いられるコアシェル構造体を提供することができる。
図1は、薬物皮膚透過試験セルの模式的断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るコアシェル構造体を示す模式的断面図である。 図3は、アルコールと脂肪酸とがエステル結合されている界面活性剤の親水部及び疎水部について説明するための図である。 図4は、アルコールと脂肪酸とがアミド結合されている界面活性剤の親水部及び疎水部について説明するための図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の製剤は、有効成分を含有する製剤である。上記有効成分は、皮膚に作用する皮膚作用性成分である。皮膚作用性成分としては、例えば、発毛剤や育毛剤のような薬剤、あるいはしみ改善剤やしわ改善剤のような化粧品に用いられる成分が挙げられる。
本発明においては、ラット皮膚透過試験において、製剤適用24時間後の皮膚中における有効成分の含有量が、有効成分の投与量に対し、20%以上である。
具体的に、ラット皮膚透過試験は、例えば、以下のようにして行うことができる。
薬物皮膚透過試験セル(図1)にヘアレスラット皮膚(日本エスエルシー社、HWY/Slc 8週齢より摘出)をセットする。この装置の上部に、上記の方法で製造した製剤50μl(約1.33cm)適用する。また、蒸留水中にNaHPOを5×10−4M、NaHPOを2×10−4M、NaClを1.5×10−4M、硫酸ゲンタマイシン(和光純薬社製、G1658)を10ppm含有させた液をNaOHでpH7.2に調整して緩衝液を調製し、これを下部のレセプター層に投入する。また、試験開始後より32℃に保たれた恒温槽中に装置を設置する。試験開始後、所定時間後に下部のレセプター層より槽中の液のうち1mlを採取した直後に、同じ組成の液を1ml補充する。回収した各々のレセプター液試料にメタノールを添加して溶出脂質等を抽出し遠心分離する。遠心分離後、上清中の有効成分濃度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量する。定量した有効成分量に基づき、レセプター層中における24時間後皮膚透過量を算出する。また、製剤適用24時間後に、ヘアレスラット皮膚の製剤適用面をキムワイプで3回拭うことにより、製剤及び角層を適用部位から除去する。その後、除去した製剤及び角層にメタノールを添加して有効成分を抽出し、抽出液中の有効成分濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量する。定量した有効成分量に基づき、24時間後の製剤及び角層中における有効成分量を算出する。また、以下の式(1)から24時間後の皮膚貯留率を求める。
皮膚貯留率(%)=100−((24時間後の製剤中及び角層中における有効成分量+24時間後皮膚透過量)/有効成分投与量)×100 …式(1)
本発明の製剤は、上記の構成を備えるので、皮膚作用性を有する有効成分の効能を向上させることができる。
従来、発毛剤などの皮膚作用性を有する有効成分を含む製剤を皮膚に適用した場合、発毛効果や育毛効果などの効能が十分に高められない場合がある。
本発明者らは、皮膚作用性を有する有効成分の皮膚貯留性について着目し、ラット皮膚透過試験において皮膚中に残る有効成分の含有量を特定の値以上とすることにより、発毛剤などの皮膚作用性を有する有効成分の効能を高め得ることを見出した。また、皮膚作用性を有する有効成分の効能を高められるので、有効成分の量を低減し、製造コストを低減することもできる。なお、本明細書において、皮膚貯留性とは、角層下の表皮や真皮における貯留性のことをいう。
本発明においては、上述のラット皮膚透過試験において、製剤適用24時間後の皮膚中における有効成分の含有量が、有効成分の投与量に対し、20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。製剤適用24時間後の皮膚中における有効成分の含有量が上記下限値以上である場合、皮膚作用性を有する有効成分の効能をより一層高めることができる。なお、ラット皮膚透過試験において皮膚中に残る有効成分の含有量の上限値は、例えば、80%とすることができる。
本発明においては、上述のラット皮膚透過試験において、製剤適用24時間後の製剤中及び角層中における有効成分の含有量の総和が、有効成分の投与量に対し、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。製剤適用24時間後の製剤中及び角層中における有効成分の含有量を少なくすることで、もとの製剤中及び角層中に残る有効成分の量を少なくすることができ、角層より下の皮膚への移行性を高めることができ、その利用効率をより高めることができる。なお、製剤適用24時間後の製剤中及び角層中における有効成分の含有量の総和の下限値は、特に限定されないが、例えば、20%とすることができる。
有効成分の投与量に対する製剤適用24時間後の製剤中及び角層中における有効成分の含有量は、上述のラット皮膚透過試験の結果を用い、製剤残存率として下記式(2)から求めることができる。
製剤残存率(%)=(24時間後の製剤中及び角層中における有効成分量/有効成分投与量)×100 …式(2)
本発明においては、上述のラット皮膚透過試験において、製剤適用24時間後のレセプター液中における有効成分の含有量が、有効成分の投与量に対し、好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは5%以下である。製剤適用24時間後のレセプター液中における有効成分の含有量が上記上限値以下である場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。なお、製剤適用24時間後のレセプター液中における有効成分の含有量の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1%とすることができる。
有効成分の投与量に対する製剤適用24時間後のレセプター液中における有効成分の含有量は、上述のラット皮膚透過試験の結果を用い、皮膚透過率として下記式(3)から求めることができる。
皮膚透過率(%)=(24時間後累積皮膚透過量/有効成分投与量)×100 …式(3)
このように、全身作用性を目的とした従来の製剤では、レセプター液中における有効成分の含有量を高め、血中に移行する有効成分の量を高めることが望ましいところ、皮膚作用性成分を有効成分とする場合は、皮膚貯留性を高めることが望ましい。
特に、本発明者らは、このような皮膚貯留性は、例えば、以下に示す第1のコアシェル構造体や、第2のコアシェル構造体によって、効果的に高められることを見出した。
第1のコアシェル構造体は、有効成分を含有するコア部と、HLB値が4〜14である界面活性剤を含有するシェル部と、水溶性ポリマーとを含む。上記コア部は、固体である。上記界面活性剤は、炭素数が7〜15である飽和炭化水素基、又は炭素数7〜17である不飽和炭化水素基を有する。上記界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む。また、上記水溶性ポリマーは、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む。
第2のコアシェル構造体は、有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを含む。上記コア部は、固体である。上記界面活性剤は、炭素数が16〜40である飽和炭化水素基、又は炭素数18〜40である不飽和炭化水素基を有する。上記界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む。また、水溶性ポリマーを含有してもよい。好ましくは、上記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む。
このような第1のコアシェル構造体や、第2のコアシェル構造体を用いた場合、皮膚の角層下への有効成分の移行性を高めることができる。加えて、従来の製剤とは異なり、血中への移行を抑制し、有効成分の皮膚貯留性を高めることができる。そのため、有効成分の量を低減し、製造コストを低減することもできる。
以下、第1のコアシェル構造体や第2のコアシェル構造体のようなコアシェル構造体の詳細について説明する。
(コアシェル構造体)
本発明において、コアシェル構造体は、有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを備える。
本発明においては、コア部とシェル部とが、分子間力などによって結び付きあって集合体を形成していてもよい。もっとも、有効成分の皮膚貯留性をより一層高める観点から、コア部の表面の少なくとも一部がシェル部によって被覆されていることが好ましい。
より具体的には、コア部の表面の30%以上が、シェル部によって被覆されていることが好ましい。より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上である。もっとも、コア部の表面がシェル部によって完全に被覆されていてもよい。コアシェル構造体は、上記のような構成を有しているので、例えば、皮膚に適用した場合、コア部に含有される有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
本発明においては、上記コア部が、固体である。コア部が固体であるので、後述する基剤中での安定性をより一層向上させることができる。また、この場合、コアシェル構造体を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid in Oil)型の構造を有する製剤を形成することができる。
なお、後述する製造方法の欄で説明するように、コアシェル構造体は、W/Oエマルションを乾燥させ、溶媒(水性溶媒及び油性溶媒)を除去することにより得られるため、コア部が固体(上記S/O(Solid in Oil)型のS)である。なお、W/Oエマルションを乾燥させる工程により、水分を実質的に完全に除去することが好ましい。具体的には、例えば、カールフィッシャー法による測定で、含水率が、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。従って、コアシェル構造体は、W/Oエマルションとは異なるものである。
以下、コアシェル構造体の一例について図面を参照して説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るコアシェル構造体を示す模式的断面図である。
図2に示すように、コアシェル構造体10は、コア部11及びシェル部12を備える。コア部11の表面は、シェル部12により被覆されている。
もっとも、本発明のコアシェル構造体の形状は、このような球状の粒子に限定されない。本発明のコアシェル構造体は、例えば、ロッド状、キュービック状、レンズ状、ミセル状、ラメラ状、ヘキサゴナル状、バイセル状、スポンジ状又はウニ状の形状を有する粒子であってもよく、不定形状であってもよい。このように、本発明のコアシェル構造体の形状は、特に限定されない。もっとも、上述したように、コア部の表面の少なくとも一部がシェル部によって被覆されていることが好ましい。
また、本発明のコアシェル構造体のサイズは、特に限定されない。有効成分の皮膚貯留性をより一層高める観点から、コアシェル構造体の平均サイズは、好ましくは、1nm〜100μmとすることができる。
なお、本発明において、コアシェル構造体の平均サイズとは、溶媒(例えば、スクワラン等)分散時の動的光散乱法により、数平均径を算出したものとする。
コアシェル構造体におけるコア部とシェル部との質量比は、特に限定されず、好ましくは1:0.5〜1:100、より好ましくは1:0.6〜1:50、さらに好ましくは1:0.8〜1:10である。この場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
以下、コアシェル構造体を構成する各部材についてより詳細に説明する。
(コア部)
コア部は、少なくとも有効成分を含む。
有効成分は、皮膚に作用する皮膚作用性成分のような局所作用性の有効成分であることが好ましい。具体的に、皮膚作用性成分としては、発毛剤や育毛剤のような薬剤、あるいはしみ改善剤やしわ改善剤のような化粧品に用いられる成分が好ましい。
このような有効成分の具体例としては、ミノキシジル、硫酸ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリド、アデノシン、カルプロニウム塩化物、t−フラバノン、サイトプリン、ペンタデカン、ケトコナゾール、ビマトプロスト、ラタノプロスト、m−トラネキサム酸、ニコチン酸アミド、パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ビタミンC、ビタミンCエチル、ビタミンC誘導体、ボタンボウフウ、4MSK、セラミド、コエンザイムQ10、コウジ酸、グルコシルセラミド、アルブチン、アクアインプール、アセチル化ヒアルロン酸、D−アミノ酸、グルコシルセラミド、D−グルタミン酸、コラーゲン、酢酸レチノール、シカクマメ種子エキス、パルミチン酸レチノール、ヒアルロン酸、ビタミンE、レチノール等を用いることができる。これらの有効成分は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
有効成分は、親水性の有効成分であることが好ましい。
有効成分は、皮膚貯留性の高い成分が好ましい。有効成分は、特に限定されないが、オクタノール水分配係数が−3〜6を示す化合物であることが好ましい。この場合、有効成分の皮膚貯留性がより一層向上される。有効成分の皮膚貯留性をさらに一層向上させる観点から、オクタノール水分配係数が、−2以上であることが好ましく、−1以上であることがより好ましい。また、有効成分のオクタノール水分配係数は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。有効成分のオクタノール水分配係数が、上記上限以下である場合、有効成分の皮膚貯留性がより一層向上する。
なお、本発明において、オクタノール水分配係数は、オクタノールとpH7の水系緩衝液を入れたフラスコ中に有効成分を添加後、振とうし、それぞれの相の有効成分濃度から求められる。具体的には、式:オクタノール水分配係数=Log10(オクタノール相中濃度/水相中濃度)により算出して求めることができる。
コアシェル構造体に含まれる有効成分の量は、有効成分の種類にもよるが、例えば、原料重量として、好ましくは1重量%〜70重量%、より好ましくは5重量%〜70重量%である。原料重量は、コアシェル構造体に含まれる全原料の総重量を基準とした値である。
なお、コア部は、有効成分として、必要に応じて、2種以上の有効成分を含有していてもよい。
有効成分の分子量は、特に限定されない。有効成分の分子量は、好ましくは100g/mol以上、より好ましくは200g/mol以上、好ましくは7500g/mol以下、より好ましくは6500g/mol以下、さらに好ましくは1500g/mol以下である。
(シェル部)
シェル部は、界面活性剤を含む。界面活性剤のHLB値は、4〜14であることが好ましい。
本発明におけるHLB(Hydrophile Lypophile Balanceの略)値は、乳化剤が親水性か親油性かを知る指標となるもので、0〜20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。
本発明において、HLB値は、下記Griffin式より算出される。
HLB値=20×{(親水部分の分子量)/(全分子量)}
HLB値の加重平均値は、例えば以下の算出式を用いて算出することができる。
HLB値A、B、Cの界面活性剤があり、それぞれの界面活性剤の重量がx、y、zであったときの加重平均値の算出式は、(xA+yB+zC)÷(x+y+z)である。
本発明においては、界面活性剤のHLB値、又は複数の界面活性剤を含む場合はHLB値の加重平均値が、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。この場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
界面活性剤は、アルキル基等の飽和炭化水素基と、アルケニル基やアルキニル基等の不飽和炭化水素基との少なくとも一方を有するものであることが好ましい。
界面活性剤の飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは7以上、15以下であり、より好ましくは7以上、11以下である。不飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは7以上、17以下であり、より好ましくは7以上、13以下であり、さらに好ましくは7以上、11以下である。この場合、界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような界面活性剤を用いることにより、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
また、別の態様では、界面活性剤の飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは16以上、40以下であり、より好ましくは16以上、30以下であり、さらに好ましくは16以上、22以下である。界面活性剤の不飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは18以上、40以下であり、より好ましくは18以上、30以下であり、さらに好ましくは18以上、22以下である。この場合、界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような界面活性剤を用いることにより、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
界面活性剤が複数の炭化水素基を含有する場合、該界面活性剤が含有する割合が最も多い炭化水素基を、本発明における界面活性剤の炭化水素基とする。
特に、界面活性剤が炭素数の異なる複数の炭化水素基を含有する場合、該界面活性剤が含有する割合が最も多い炭化水素基の炭素数を、本発明における界面活性剤の炭化水素基の炭素数とする。
例えば、具体的には、界面活性剤がヤシ油脂肪酸エステルである場合、該界面活性剤において炭素数11の飽和炭化水素基を最も多く含むことから、ヤシ油脂肪酸エステルの炭化水素基は飽和炭化水素基であり、炭化水素基における炭素数は11である。
また、複数の界面活性剤を含有する場合においては、複数の界面活性剤が含有する割合が最も多い炭化水素基の炭素数を、本発明の界面活性剤における炭化水素基の炭素数とする。
また、界面活性剤は、アルコールと脂肪酸とがエステル結合又はアミド結合されてなる界面活性剤であることが望ましい。この場合、アルコールの分子量は、好ましくは70g/mol以上、より好ましくは80g/mol以上、好ましくは330g/mol以下、より好ましくは300g/mol以下、さらに好ましくは250g/mol以下、特に好ましくは200g/mol以下である。
アルコールの分子量が上記範囲にある場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。なお、アルコールと脂肪酸とがアミド結合されている場合は、アルカノールアミンと脂肪酸とがアミド結合されているものとする。従って、その場合、アルコールの分子量は、アルカノールアミンの分子量を意味するものとする。
以下、図3を参照して、アルコールと脂肪酸とがエステル結合されている界面活性剤の親水部及び疎水部について説明する。図3に示すように、アルコールと脂肪酸とがエステル結合している場合、図3中の破線部で囲む部分が疎水部である。炭化水素基の炭素数は、疎水部のRに含まれる炭素数である。従って、疎水部のRが、エーテル結合などを含んでいる場合も、単に、疎水部のRに含まれる炭素数の合計を求めるものとする。また、図3中の一点鎖線で囲む部分が親水部である。なお、アルコール部は、親水部のR’Oである。そのため、元のアルコールは、R’OHで表される。従って、この場合、上記アルコールの分子量は、R’OHの分子量である。
以下、図4を参照して、アルコールと脂肪酸とがアミド結合されている界面活性剤の親水部及び疎水部について説明する。図4に示すように、アルコールと脂肪酸とがアミド結合している場合、図4中の破線で囲む部分が疎水部である。炭化水素基の炭素数は、疎水部のRに含まれる炭素数である。従って、疎水部のRが、エーテル結合などを含んでいる場合も、単に、疎水部のRに含まれる炭素数の合計を求めるものとする。また、図4中の一点鎖線で囲む部分が親水部である。なお、アルコール部は、親水部のR’R”Nである。そのため、元のアルコールは、R’R”NHで表される。従って、この場合、上記アルコールの分子量は、R’R”NHの分子量である。
上述したように、界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、又は脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。なお、得られる製剤の使用感をより一層良好にする観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
これらの界面活性剤を構成する脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、リシノレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、エルカ酸、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、菜種油、米ぬか油、大豆油、ヒマシ油、等が挙げられる。
具体的に、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ソルビタンラウレート、モノパルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノオリーブ油脂肪酸グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸ジグリセリル、カプリン酸モノ・ジグリセリド、カプリン酸ジグリセリド、モノラウリン酸グリセリル、モノウンデシレン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
本発明における脂肪酸アルカノールアミドは、Nを中心として、R−COと、2つの−CHCHOHとが結合した構造を有し、R−CON(CHCHOH)の化学式で表されるものをいう。
具体的に脂肪酸アルカノールアミドとしては、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。皮膚貯留性をより一層高める観点から、脂肪酸アルカノールアミドは、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどのジエタノールアミドであることが好ましい。
本発明の界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、又は脂肪酸アルカノールアミド以外の界面活性剤をさらに含んでいてもよく、これらは用途に応じて適宜選択できる。例えば、医薬品や化粧品として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。また、複数種の界面活性剤を併用してもよい。
このような界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤のいずれであってもよい。
界面活性剤の含有量は、本発明の効果が奏される範囲内において適宜設定することができるが、有効成分との質量比(有効成分:界面活性剤)を、1:0.5〜1:100とすることが好ましく、1:0.6〜1:50とすることがより好ましく、1:0.8〜1:10とすることがさらに好ましい。この場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
(水溶性ポリマー)
コアシェル構造体は、水溶性ポリマーをさらに含んでいることが好ましい。皮膚貯留性をより一層高める観点から、水溶性ポリマーは、コア部に含まれていることが好ましい。上記水溶性ポリマーは、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む。皮膚貯留性をより一層高める観点から、上記水溶性ポリマーは、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンであることが好ましい。
多糖類としては、特に限定されず、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラト硫酸等のムコ多糖類(特に、酸性ムコ多糖類)、又はこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、より確実に本発明の効果が発揮されるという観点から、好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、又はこれらの塩であり、より好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン、又はこれらの塩であり、さらに好ましくはヒアルロン酸又はその塩が挙げられる。
多糖類の塩としては、多糖類と塩を形成可能なものであれば特に限定されず、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属塩である、より好ましくはナトリウム塩である。
これらの多糖類は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体は、構成モノマーが2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する限り特に限定されない。本明細書においては、これらを総称して、「リン脂質様水溶性ポリマー」と示すこともある。
リン脂質様水溶性ポリマーとしては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単独重合体、又は2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体が好ましい。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単独重合体は、構成モノマーが2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのみである、該モノマーの重合体である限り特に限定されない。
疎水性モノマーは、最終的に得られる共重合体が、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものである限り制限されないが、好適な一例として、一般式(A):CH=C(−R1)−COO−R2で表されるモノマーが挙げられる。
一般式(A)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。このようなアルキル基については、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。R2として、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは炭素数4のアルキル基(n−ブチル基)が挙げられる。
一般式(A)で表されるモノマーとしては、例えば、ブチルメタクリレート(BMA;R1がメチル基、R2がn−ブチル基)、メチルメタクリレート(MMA;R1がメチル基、R2がメチル基)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA;R1がメチル基、R2がヒドロキシエチル基)が挙げられる。一般式(A)で表されるモノマーは、好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートであり、より好ましくはブチルメタクリレートである。
一般式(A)で表されるモノマーが塩の形態をとれる場合(例えば、R1が水素原子の場合)には、モノマーは塩であってもよい。モノマーの塩の形態としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が例示される。
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの構成比は、使用するモノマーの構造等によって異なるが、通常、共重合体に対して、疎水性モノマーが5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは15〜25モル%である。
リン脂質様水溶性ポリマーは、公知の合成方法に従って又は準じて製造したものを用いてもよいし、市販品、例えば日油株式会社製のLipidureシリーズを用いてもよい。
リン脂質様水溶性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
本発明の水溶性ポリマーの重量平均分子量は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものである限り制限されない。重量平均分子量は、好ましくは400以上、より好ましくは1000以上、好ましくは500万以下、より好ましくは100万以下である。
有効成分と水溶性ポリマーとの質量比は、特に限定されないが、好ましくは1:0.01〜1:10、より好ましくは1:0.1〜1:5である。この場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
(その他の添加成分)
コアシェル構造体は、有効成分及び界面活性剤に加えて、さらに少なくとも1種の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、安定化剤、経皮吸収促進剤、皮膚刺激低減剤、防腐剤、又は鎮痛剤等が挙げられる。
(製造方法)
コアシェル構造体は、特に限定されないが、例えば水相に有効成分を含有するW/Oエマルションを乾燥する工程を備える方法によって、製造することができる。
W/Oエマルションは、いわゆる油中水滴エマルション、具体的には水性溶媒の液滴が油性溶媒中に分散した状態のエマルションである限り、特に制限されない。
水相に有効成分を含有するW/Oエマルションは、例えば、有効成分及び水溶性ポリマーを含有する水や緩衝水溶液等の水性溶媒と、界面活性剤を含有するシクロヘキサン、ヘキサン、又はトルエン等の油性溶媒とを混合することによって得ることができる。有効成分を含有する水性溶媒は、有効成分及び水溶性ポリマーの他に、必要に応じて安定化剤、吸収促進剤又は刺激低減剤等の添加成分を含有していてもよい。また、界面活性剤を含有する油性溶媒は、界面活性剤の他に、必要に応じて、刺激低減剤、鎮痛剤、吸収促進剤又は安定化剤等の添加成分を含有していてもよい。混合の方法としては、W/Oエマルションを形成できる方法である限り特に限定されず、例えばホモジナイザー等による撹拌が挙げられる。
ホモジナイザー撹拌時の条件は、例えば、5000rpm〜50000rpm程度、好ましくは、10000rpm〜30000rpm程度である。
上記W/Oエマルションにおける有効成分と界面活性剤との質量比(有効成分:界面活性剤)は、1:0.5〜1:100の範囲内にあることが好ましく、1:0.6〜1:50の範囲内にあることがより好ましく、1:0.8〜1:10の範囲内にあることがさらに好ましい。
水溶性ポリマーを含む場合、W/Oエマルションにおける有効成分と水溶性ポリマーとの質量比(有効成分重量:水溶性ポリマー重量)は、例えば、1:0.01〜1:10、好ましくは1:0.02〜1:5、より好ましくは1:0.1〜1:5、さらに好ましくは1:0.1〜1:2である。
水相に有効成分を含有するW/Oエマルションの乾燥の方法としては、該エマルション中の溶媒(水性溶媒及び/又は油性溶媒)を除去できる方法である限り特に限定されない。W/Oエマルションの乾燥の方法としては、例えば凍結乾燥又は減圧乾燥等が挙げられる。
また、得られるコアシェル構造体の個数平均粒子径をより一層小さくする観点から、W/Oエマルション又は該W/Oエマルションの乾燥物を加熱処理する工程をさらに備えることが好ましい。加熱処理温度は、例えば30℃〜60℃、好ましくは35℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃である。
加熱処理時間は、加熱処理温度に応じて適宜調整されるものであるが、例えば1日間〜30日間、好ましくは2日間〜15日間、より好ましくは3日間〜7日間である。
また、得られるコアシェル構造体の個数平均粒子径をより一層小さくする別の方法としては、W/Oエマルション又は該W/Oエマルションの乾燥物を必要に応じて溶媒等に分散後、フィルタ等で濾過する方法や、遠心処理分離を行う方法が挙げられる。フィルタ濾過の場合のフィルタ孔径は、例えば1μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
コアシェル構造体は、そのまま用いてもよいが、基剤等に分散して用いてもよい。
(製剤)
本発明の製剤は、基剤相を含有し、該基剤相がコアシェル構造体を含有するものであってもよい。このとき、コアシェル構造体は、基剤相中に分散又は溶解されていることが好ましい。
基剤は、特に限定されず、特に医薬品や化粧品として使用可能なものの中から幅広く選択することができる。
上述したように、コアシェル構造体では、コア部が固体である。そのため、基剤相が油相である場合、コアシェル構造体を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid in Oil)型の製剤を形成することができる。S/O型の製剤は、例えば、上述の製造方法により得られた粒子を、油相中に分散させることにより得ることができる。
基剤は、コアシェル構造体を分散又は溶解させるのに適切なものの中から使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
また、複数種の基剤を併用してもよい。
基剤としては、特に限定されず、油性基剤や、水性基剤等が挙げられる。なかでも、油性基剤であることが好ましい。基剤が油性基剤である場合、油性基剤中にコアシェル構造体を分散させることで、S/O(Solid in Oil)型構造を有する製剤を形成することができる。S/O(Solid in Oil)型構造を有する製剤は、上述したように例えば水相に有効成分を含有するW/Oエマルションを乾燥する工程を備える方法によって、製造することができる。
油性基剤としては、例えば、植物油、動物油、中性脂質、合成油脂、ステロール誘導体、ワックス類、炭化水素類、モノアルコールカルボン酸エステル類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、シリコーン類、高級アルコール類、高級脂肪酸類又はフッ素系油剤類等が挙げられる。水性基剤としては、水や、(多価)アルコール等が挙げられる。
植物油としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、やし油、パーム油、こめ油、綿実油、ひまわり油、コメヌカ油、カカオ脂、コーン油、べに花油、ヒマシ油、又はなたね油等が挙げられる。
動物油としては、特に限定されないが、例えば、ミンク油、タートル油、魚油、牛油、馬油、豚油、又は鮫スクワラン等が挙げられる。
中性脂質としては、特に限定されないが、例えば、トリオレイン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリステアリン、又はトリアラキドニン等が挙げられる。
合成油脂としては、特に限定されないが、例えば、リン脂質又はアゾン等が挙げられる。
ステロール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸又はコレステリルリノレート等が挙げられる。
ワックス類としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、又はエチレン・プロピレンコポリマー等が挙げられる。
炭化水素類としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、又は固形パラフィン等が挙げられる。
モノアルコールカルボン酸エステル類としては、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、又はクエン酸トリエチル等が挙げられる。
オキシ酸エステル類としては、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、又はモノイソステアリン酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、又はジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
シリコーン類としては、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、高重合ジメチコン(高重合ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン若しくはアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルキルエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、ペプチド変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カチオン変性若しくはポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性若しくはポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性若しくはポリエーテル変性シリコーン、又はポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体等が挙げられる。
高級アルコール類としては、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、又はダイマージオール等が挙げられる。
高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸、又は水素添加ダイマー酸等が挙げられる。
フッ素系油剤類としては、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、又はパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
(多価)アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又はポリエチレングリコール等が挙げられる。
本発明において、製剤中におけるコアシェル構造体の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。この場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
本発明の製剤は、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤、ローション剤、トニック剤に用いられることが好ましい。
なお、本発明の製剤は、有効成分の種類に応じて、例えば、皮膚外用薬、点眼薬、点鼻薬、座薬又は口腔薬などの外用薬や、化粧品または注射剤など、経皮吸収や経粘膜吸収を意図した幅広い用途に用いてもよい。
本発明の製剤は、特に限定されないが、1日〜1週間持続性であり、1日〜1週間あたり1回適用されるように用いられてもよい。
本発明の製剤は、プラスター剤等のテープ剤又は硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤又はパッチ剤等の貼付剤、軟膏剤、リニメント剤若しくはローション剤等の外用液剤、外用エアゾール剤若しくはポンプスプレー剤等のスプレー剤、クリーム剤又はゲル剤等として使用してもよい。
本発明の製剤は、好ましくは、水分含有率が20質量%以下であり、より好ましくは実質的に水を含有しない。これにより、コアシェル構造体の形状保持性をより一層高めることができる。また、コアシェル構造体が本来有する形状保持性と相まって、コアシェル構造体からの有効成分の漏出、ひいては有効成分の結晶化をより一層抑制することができ、結果としてより一層高い皮膚貯留性を発揮することが可能である。この観点から、本発明の製剤は、水分含有率が20質量%以下に調整される剤として使用されることが好ましい。より好ましくは実質的に水を含有しない剤として使用されることがより好ましい。本発明の製剤は、例えば、プラスター剤、パッチ剤、軟膏剤又はゲル剤等として使用されてもよい。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
コアシェル構造体の調製;
有効成分としてのミノキシジル(富士フイルム和光純薬社製、分子量:209.3g/mol、オクタノール水分配係数:1.24)60mgと、水溶性ポリマーとしてのリン脂質様水溶性ポリマー(日油社製、薬添Lipidure−PMB、重量平均分子量:60万)60mgを40gの純水に溶解し、これに、モノラウリル酸グリセリル(太陽化学社製、製品名「サンソフトNo.750−C」、HLB値:8.7、飽和炭化水素基の炭素数:11)60mgをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加え、ホモジナイザー撹拌(10000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥し、コアシェル構造体を得た。
得られたコアシェル構造体を、製剤の全体重量に対して15重量%となるように流動パラフィン(和光純薬工業社製、密度(20℃):0.800g/ml〜0.835g/ml)に加え、混合、分散して製剤を製造した。
(実施例2)
モノラウリル酸グリセリルの代わりにモノカプリン酸グリセリル(太陽化学社製、製品名「サンソフトNo.760−C」、HLB値:9.7、飽和炭化水素基の炭素数:9)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして製剤を製造した。
(実施例3)
流動パラフィンの代わりに、イソノナン酸イソトリデシル(高級アルコール工業社製、製品名「KAK139」)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして製剤を製造した。
(実施例4)
流動パラフィンの代わりに、スクワラン(日光ケミカルズ社製、製品名「NIKKOL シュガースクワラン」)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして製剤を製造した。
(実施例5)
流動パラフィンの代わりに、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして製剤を製造した。
(実施例6)
ミノキシジル(富士フイルム和光純薬社製、分子量:209.3g/mol、オクタノール水分配係数:1.24)60mgを40gの純水に溶解し、これに、モノエルカ酸グリセリル(東京化成工業社製、製品名「モノエルシン」、HLB値:5.8、不飽和炭化水素基の炭素数:21)60mgをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加え、ホモジナイザー撹拌(10000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥し、コアシェル構造体を得た。
得られたコアシェル構造体を、製剤の全体重量に対して10重量%となるように流動パラフィン(和光純薬工業社製、密度(20℃):0.800g/ml〜0.835g/ml)に加え、混合、分散して製剤を製造した。
(実施例7)
ミノキシジルの代わりに、ニコチン酸アミド(東京化成工業社製、分子量:122.1g/mol、オクタノール水分配係数:−0.4)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして製剤を製造した。
(実施例8)
モノラウリル酸グリセリルの代わりに、モノラウリン酸ソルビタン(日油社製、製品名「LP−20R」、HLB値:8.6、飽和炭化水素基の炭素数:11)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして製剤を製造した。
(比較例1)
製剤として、市販の発毛剤(大正製薬社製、「リアップX5プラスローション」)をそのまま用いた。
(比較例2)
モノエルカ酸グリセリルの代わりに、モノカプリン酸グリセリル(太陽化学社製、製品名「サンソフトNo.760−C」、HLB値:9.7、飽和炭化水素基の炭素数:9)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして製剤を製造した。
(比較例3)
有効成分としてのミノキシジル(富士フイルム和光純薬社製、分子量:209.3g/mol、オクタノール水分配係数:logP=1.24)2gと、ジプロピレングリコール(東京化成工業社製)30g、無水エタノール(富士フイルム和光純薬社製)60mlを配合し、精製水で全量を100mlとした。その後、攪拌溶解して製剤を製造した。
(評価)
ヘアレスラット皮膚透過性試験;
薬物皮膚透過試験セル(図1参照)にヘアレスラット皮膚(日本エスエルシー社、HWY/Slc 8週齢より摘出)をセットした。この装置の上部に、上記の方法で製造した製剤を50μl(約1.33cm)適用した。また、蒸留水中にNaHPOを5×10−4M、NaHPOを2×10−4M、NaClを1.5×10−4M、硫酸ゲンタマイシン(和光純薬社製、G1658)を10ppm含有させた液をNaOHでpH7.2に調整して緩衝液を調製し、これを下部のレセプター層に投入した。また、試験開始後より32℃に保たれた恒温槽中に装置を設置した。試験開始後、所定時間後に下部のレセプター層より槽中の液のうち1mlを採取した直後に、同じ組成の液を1ml補充した。回収した各々のレセプター液試料にメタノールを添加して溶出脂質等を抽出し遠心分離した。遠心分離後、上清中の有効成分濃度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。定量した有効成分量に基づき、レセプター層中における24時間後皮膚透過量を算出した。また、製剤適用24時間後に、ヘアレスラット皮膚の製剤適用面をキムワイプで3回拭うことにより、製剤及び角層を適用部位から除去した。その後、除去した製剤及び角層にメタノールを添加して有効成分を抽出し、抽出液中の有効成分濃度をHPLCにより定量した。定量した有効成分量に基づき、24時間後の製剤及び角層中における有効成分量を算出した。また、以下の式(1)から24時間後の皮膚貯留率を求めた。
皮膚貯留率(%)=100−((24時間後の製剤中及び角層中における有効成分量+24時間後皮膚透過量)/有効成分投与量)×100 …式(1)
以下の式(2)から24時間後の製剤残存率を求めた。
製剤残存率(%)=(24時間後の製剤中及び角層中における有効成分量/有効成分投与量)×100 …式(2)
また、以下の式(3)から24時間後の皮膚透過率を求めた。
皮膚透過率(%)=(24時間後皮膚透過量/有効成分投与量)×100 …式(3)
(使用感)
実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた製剤を40℃で5日間保管した後に、不快なざらつきを感じるかについて、以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
A…全くざらつき感がない
B…ほとんどざらつき感がない
C…わずかにざらつき感がある
D…ざらつき感がある
結果を下記の表1に示す。
Figure 2021014451
表1から明らかなように、実施例1〜8の製剤では、比較例1〜3の製剤と比べて、皮膚貯留性が高められており、発毛性を高め得ることが確認できた。さらに、実施例1〜8の製剤では、比較例1〜3の製剤と同等の発毛効果を維持しながら、ミノキシジルの投与量を下げ得ることが確認できた。また、実施例1〜8の製剤では、不快なざらつきについても、全く感じないか、ほとんど感じないことが確認できた。
1…パラフィルム
2…皮膚
3…製剤
4…レセプター液(pH=7.2リン酸緩衝液)
5…撹拌子
10…コアシェル構造体
11…コア部
12…シェル部

Claims (15)

  1. 有効成分を含有する製剤であって、
    前記有効成分が、皮膚作用性成分であり、
    ラット皮膚透過試験において、前記製剤適用24時間後の皮膚中における前記有効成分の含有量が、前記有効成分の投与量に対し、20%以上である、製剤。
  2. 前記ラット皮膚透過性試験において、前記製剤適用24時間後の製剤中及び角層中における有効成分の含有量の総和が、前記有効成分の投与量に対し、70%以下である、請求項1に記載の製剤。
  3. 前記有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有し、前記コア部が固体である、コアシェル構造体を含む、請求項1又は2に記載の製剤。
  4. 前記コア部と前記シェル部との重量比が、1:0.5〜1:100である、請求項3に記載の製剤。
  5. 前記有効成分が、発毛剤、育毛剤、しみ改善剤、又はしわ改善剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
  6. 前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の製剤。
  7. 前記界面活性剤のHLB値が、4〜14であり、
    前記界面活性剤が、炭素数が7〜15である飽和炭化水素基、又は炭素数が7〜17である不飽和炭化水素基を有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の製剤。
  8. 前記界面活性剤が、アルコールと脂肪酸とがエステル結合又はアミド結合されてなる界面活性剤であり、前記アルコールの分子量が、70g/mol以上、330g/mol以下の範囲内にある、請求項3〜7のいずれか1項に記載の製剤。
  9. 前記有効成分と前記界面活性剤との重量比が、1:0.5〜1:100である、請求項3〜8のいずれか1項に記載の製剤。
  10. 前記コア部が、さらに水溶性ポリマーを含有する、請求項3〜9のいずれか1項に記載の製剤。
  11. 前記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む、請求項10に記載の製剤。
  12. 有効成分を含有するコア部と、HLB値が4〜14である界面活性剤を含有するシェル部と、水溶性ポリマーとを含み、
    前記コア部が固体であり、
    前記界面活性剤が、炭素数が7〜15である飽和炭化水素基、又は炭素数7〜17である不飽和炭化水素基を有し、
    前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む、コアシェル構造体。
  13. 有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを含み、
    前記コア部が固体であり、
    前記界面活性剤が、炭素数が16〜40である飽和炭化水素基、又は炭素数18〜40である不飽和炭化水素基を有し、
    前記界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む、コアシェル構造体。
  14. 前記コア部が、さらに水溶性ポリマーを含有する、請求項13に記載のコアシェル構造体。
  15. 前記水溶性ポリマーが、多糖類及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有する重合体のうち少なくとも一方を含む、請求項14に記載のコアシェル構造体。
JP2020116159A 2019-07-10 2020-07-06 製剤 Active JP7412292B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019128106 2019-07-10
JP2019128106 2019-07-10

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021014451A true JP2021014451A (ja) 2021-02-12
JP7412292B2 JP7412292B2 (ja) 2024-01-12

Family

ID=74531248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020116159A Active JP7412292B2 (ja) 2019-07-10 2020-07-06 製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7412292B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006219450A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Pola Chem Ind Inc 皮膚外用剤
JP2017508802A (ja) * 2014-03-11 2017-03-30 プロミウス ファーマ, エルエルシーPromius Pharma, Llc 局所用コルチコステロイド組成物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006219450A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Pola Chem Ind Inc 皮膚外用剤
JP2017508802A (ja) * 2014-03-11 2017-03-30 プロミウス ファーマ, エルエルシーPromius Pharma, Llc 局所用コルチコステロイド組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP7412292B2 (ja) 2024-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101927560B1 (ko) 4-(3-에톡시-4-히드록시페닐)-2-부타논 및 친지성 용매를 함유하는 화장용 조성물
RU2589827C2 (ru) Косметическая композиция, содержащая 4-(3-этокси-4-гидроксифенил)-2-бутанон
JP5342736B2 (ja) 水中油型エマルション及びその製造方法
JP6148416B2 (ja) コアシェル構造体及び外用剤
KR102397632B1 (ko) 코어 셸 구조체, 제제, 외용약, 테이프제 및 화장품
JP6091721B2 (ja) 製剤
JP5339813B2 (ja) 逆ベシクル組成物
JP2000119167A (ja) 親水性の増粘化合物と多糖類アルキルエ―テルを含有するエマルション及び該エマルションを含有する組成物及びその用途
JP6767605B1 (ja) コアシェル構造体、製剤、外用薬、テープ剤及び化粧品
JP4832000B2 (ja) 油中水型乳化組成物
JP3967292B2 (ja) 油中水型乳化組成物
JP7412292B2 (ja) 製剤
EP1486194A1 (en) Oil-in-water emulsified cosmetic composition
JP4284236B2 (ja) 水中油型乳化化粧料
JPH072620A (ja) ジオールエステルを含有する化粧用または皮膚科組成物
JP2006509037A (ja) 少なくとも1種のパラヒドロキシ安息香酸アルキルおよび少なくとも1種の親油性アミノ酸誘導体を含む組成物、特に化粧品組成物
JP2004107227A (ja) 皮膚化粧料
JP6603815B2 (ja) 皮膚外用剤
WO2021049529A1 (ja) 製剤
JPWO2019155992A1 (ja) コアシェル構造体及び製剤
JP2000103722A (ja) 経皮吸収促進方法
JP4520903B2 (ja) 油中水型乳化組成物
JPH09249547A (ja) 油中水乳化組成物
JP2021059521A (ja) 製剤
JP2017014129A (ja) 持続性全身作用型外用剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230719

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231226

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7412292

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151