JP2021059521A - 製剤 - Google Patents

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紗織 利根
隆之 赤峰
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隆之 赤峰
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大地 川村
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Abstract

【課題】油性基剤を用いた場合にも、皮膚に適用したときの使用感を改善することができる、製剤を提供する。【解決手段】有効成分を含有するコア部2と、界面活性剤を含有するシェル部3とを有する、コアシェル構造体1と、第1の油性基剤を含有する、基剤と、を含む、製剤であって、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以上である、製剤。【選択図】図1

Description

本発明は、有効成分を含有するコアシェル構造体を含む、製剤に関する。
外用薬や化粧品等の分野においては、薬物等の有効成分を経皮吸収させるための技術が開発されている。有効成分の経皮吸収過程では、皮膚バリア機能や代謝等の影響を受けることがあり、これらの影響は有効成分の種類によって異なることが知られている。そこで、有効成分の種類によらず、経皮吸収性を高め得る技術の検討がなされている。
下記の特許文献1には、油相に溶解または分散している薬剤含有複合体を含む、S/O(Solid−in−Oil)型外用剤が開示されている。上記薬剤含有複合体は、親水性薬剤が界面活性剤により被覆されている固体状のものである。特許文献1では、このようなS/O型外用剤を用いることにより、親水性薬剤の経皮吸収性が高められるとされている。
下記の特許文献2には、複数の水溶性薬物を薬物ごとに薬物−界面活性剤複合体とし、油相に分散してSolid−in−Oil(S/O)の形態として脂溶性溶媒に分散した製剤が開示されている。また、特許文献2では、別の態様として、S/Oをさらに水相に分散してSolid−in−Oil−in−Water(S/O/W)の形態として親水性溶媒に分散した製剤が開示されている。
特許第4843494号 特開2014−88453号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2のS/O型製剤を、液状タイプの製剤に用いる場合には、皮膚や頭皮に塗布したときに、べたつきやヌルヌルした感触が残りやすく、使用感が問題となる場合がある。また、使用感を改善するために、水系基剤を用いた場合は、薬物の周囲に界面活性剤を被覆した構造が崩壊してしまい、製剤として用いられないことがある。従って、水系基剤を用いる場合は、さらに水相に分散してSolid−in−Oil−in−Water(S/O/W)型の形態にする必要がある。しかしながら、S/O/W型の形態は、複雑であることから、油性基剤を用いたS/O型の形態において、使用感を改善する手法が求められている。
本発明の目的は、油性基剤を用いた場合にも、皮膚に適用したときの使用感を改善することができる、製剤を提供することにある。
本発明に係る製剤は、有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有する、コアシェル構造体と、第1の油性基剤を含有する、基剤と、を含む、製剤であって、前記製剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以上である。
本発明に係る製剤のある特定の局面では、前記第1の油性基剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%を超える。
本発明に係る製剤の他の特定の局面では、前記第1の油性基剤が、シリコンオイルを含む。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記第1の油性基剤が、ジメチコン、ジシロキサン、トリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、カプリリルメチコン、及びシクロメチコンからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記製剤中における前記第1の油性基剤の含有量が、30重量%以上、100重量%未満である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記基剤が、前記第1の油性基剤とは異なる第2の油性基剤をさらに含み、前記第2の油性基剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以下である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記第2の油性基剤が、モノアルコールカルボン酸エステル類、又は多価アルコール脂肪酸エステル類を含む。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記第2の油性基剤が、2−エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸ジイソプロピル、リノール酸イソプロピル、及びトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記製剤中における前記第2の油性基剤の含有量が、10重量%以上、60重量%以下である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記基剤が、アルコールをさらに含む。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記製剤中における前記アルコールの含有量が、1重量%以上、30重量%以下である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記製剤中における前記コアシェル構造体の含有量が、1重量%以上、40重量%以下である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記コアシェル構造体における前記有効成分と前記界面活性剤との質量比(有効成分:界面活性剤)が、1:0.1〜1:100である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、前記製剤中における水分含有量が、5重量%以下である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、外用薬である。
本発明に係る製剤のさらに他の特定の局面では、化粧品である。
本発明によれば、油性基剤を用いた場合にも、皮膚に適用したときの使用感を改善することができる、製剤を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るコアシェル構造体を示す模式的断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の製剤は、コアシェル構造体と、基剤とを含む。上記コアシェル構造体は、有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有する。上記基剤は、第1の油性基剤を含有する。
また、本発明の製剤は、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以上である。なお、本発明において、試料の蒸発量は以下のようにして求めることができる。
まず、測定対象となる試料を温度32℃のインキュベータ内で3時間放置する。次に、放置後の試料の重量と放置前の試料の重量との差を求め、その差を放置前の試料の重量で除することによって、試料の蒸発量を求めることができる。具体的には、以下の式(1)に従って蒸発量(W)を求めることができる。
=((Ws−W)/Ws)×100 …式(1)
(式(1)中、Wは蒸発量(重量%)であり、Wsは試験前の試料の質量(g)であり、Wは試験後の試料の質量(g)である。)
なお、インキュベータ内の湿度は、特に限定されないが、例えば、5%RH〜50%RHの範囲で一定となるように設定すればよい。
本発明においては、基剤が第1の油性基剤を含有し、しかも製剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以上であるため、油性基剤を用いた場合にも、皮膚や頭皮に適用したときのベタツキ感やヌルヌル感のような使用感を改善することができる。
例えば、第1の油性基剤として、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%を超える、油性基剤を用いればよい。それによって、製剤の使用時における基剤の揮発量を多くすることができ、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感を改善することができる。
また、その場合、基剤には、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以下の第2の油性基剤を併用してもよい。それによって、基剤中におけるコアシェル構造体の形状保持性をより一層高めることができ、コアシェル構造体の安定性をより一層高めることができる。そのため、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。
なお、本発明においては、基剤が、第1の油性基剤及び第2の油性基剤とは異なる他の基剤を含んでいてもよい。
また、本発明において、製剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。製剤の蒸発量が上記下限値以上である場合、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。また、製剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量の上限値は、例えば、95重量%とすることができる。
以下、本発明の製剤を構成する各成分についてより詳細に説明する。
(コアシェル構造体)
本発明の製剤は、有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有する、コアシェル構造体を含む。そのため、例えば、皮膚に適用した場合、コア部に含有される有効成分の経皮吸収性を高めることができる。
本発明においては、コア部とシェル部とが、分子間力などによって結び付きあって集合体を形成していてもよい。もっとも、有効成分の経皮吸収性をより一層高める観点から、コア部の表面の少なくとも一部がシェル部によって被覆されていることが好ましい。
より具体的には、コア部の表面の30%以上が、シェル部によって被覆されていることが好ましい。コア部の表面のより好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上である。もっとも、コア部の表面がシェル部によって完全に被覆されていてもよい。この場合、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。
コア部は、固体であることが望ましい。コア部が固体である場合、後述する基剤中での安定性をより一層向上させることができる。また、この場合、コアシェル構造体を油相である基剤中に分散させることで、S/O(Solid−in−Oil)型の構造を有する製剤を形成することができる。
なお、後述する製造方法の欄で説明するように、コアシェル構造体は、W/Oエマルションを乾燥させ、溶媒(水性溶媒及び油性溶媒)を除去することにより得られるため、コア部が固体(上記S/O(Solid−in−Oil)型のS)である。なお、W/Oエマルションを乾燥させる工程により、水分を実質的に完全に除去することが好ましい。具体的には、例えば、カールフィッシャー法による測定で、含水率が、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。従って、コアシェル構造体は、W/Oエマルションとは異なるものである。
以下、コアシェル構造体の一例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコアシェル構造体を示す模式的断面図である。
図1に示すように、コアシェル構造体1は、コア部2及びシェル部3を備える。コア部2の表面は、シェル部3により被覆されている。コアシェル構造体1は、このような構造を有する球状の粒子である。
もっとも、本発明において、コアシェル構造体の形状は、このような球状の粒子に限定されない。コアシェル構造体は、例えば、ロッド状、キュービック状、レンズ状、ミセル状、ラメラ状、ヘキサゴナル状、バイセル状、スポンジ状又はウニ状の形状を有する粒子であってもよく、不定形状であってもよい。このように、コアシェル構造体の形状は、特に限定されない。もっとも、上述したように、コア部の表面の少なくとも一部がシェル部によって被覆されていることが好ましい。
また、コアシェル構造体のサイズは、特に限定されない。有効成分の経皮吸収性をより一層高める観点から、コアシェル構造体の平均サイズは、好ましくは、1nm〜100μmとすることができる。
なお、本発明において、コアシェル構造体の平均サイズとは、溶媒(例えば、スクワラン等)分散時の動的光散乱法により、数平均径を算出したものとする。
本発明の製剤100重量%中におけるコアシェル構造体の含有量は、特に制限されず、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下とすることができる。コアシェル構造体の含有量が上記範囲内にある場合、皮膚に適用したときのベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。
また、本発明において、コアシェル構造体におけるコア部とシェル部との質量比(コア部:シェル部)は、特に限定されず、好ましくは1:0.5〜1:100、より好ましくは1:0.6〜1:50、さらに好ましくは1:0.8〜1:10である。この場合、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。
コア部;
コア部は、有効成分を含有する。有効成分の具体例としては、特に限定されないが、例えば、認知症治療薬、抗てんかん薬、抗鬱薬、抗パーキンソン病薬、抗アレルギー薬、抗癌剤、糖尿病治療薬、降圧剤、呼吸器疾患薬、ED治療薬、発毛薬、皮膚疾患薬、又は局所麻酔薬等が挙げられる。なお、有効成分は、単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
より具体的には、メマンチン、ドネペジル、ジフェンヒドラミン、バルデナフィル、オクトレオチド、リバスチグミン、ガランタミン、ニトログリセリン、リドカイン、フェンタニル、ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリド、カルプロニウム塩化物、男性ホルモン類、女性ホルモン類、ニコチン、クロミプラミン、ナルフラフィン、メトプロロール、フェソテロジン、タンドスピロン、ベラプロストナトリウム、タルチレリン、ルラシドン、ネファゾドン、リファキシミン、ベニジピン、ドキサゾシン、ニカルジピン、フォルモテロール、ロメリジン、アムロジピン、テリパラチド、ブクラデシン、クロモグリク酸、リキセナチド、エキセナチド、リラグルチド、ランレオタイド、グルカゴン、オキシトシン、カルシトニン、エルカトニン、グラチラマー、リセドロン酸、ジクロフェナク、又はアスコルビン酸等や、これらの薬学上許容される塩等が挙げられる。
薬学上許容される塩としては、特に限定されるものではなく、酸性塩及び塩基性塩のいずれも採用することができる。酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又はパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基性塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、又はカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。具体的な有効成分の塩としては、例えば、メマンチン塩酸塩、塩酸ドネペジル、酒石酸リバスチグミン、臭化水素酸ガランタミン、硫酸ミノキシジル、クロミプラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ナルフラフィン塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、フェソテロジンフマル酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、ナルフラフィン塩酸塩、タンドスピロンクエン酸塩、ベラプロストナトリウム、ルラシドン塩酸塩、ネファゾドン塩酸塩、ベニジピン塩酸塩、ドキサゾシンメシル酸塩、ニカルジピン塩酸塩、フォルモテロールフマル酸塩、ロメリジン塩酸塩、又はアムロジピンベシル酸塩等が挙げられる。
化粧品に配合される有効成分としては、皮膚透過が求められるものであれば特に限定されず、例えば、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン成分、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン等の保湿成分、トラネキサム酸、アルブチン、ニコチン酸アミド、ハイドロキノン等の美白成分、FGF(線維芽細胞増殖因子)、EGF(表皮細胞増殖因子)等の美容成分、又はそれらの塩や誘導体等が挙げられる。
有効成分は、親水性であることが好ましい。有効成分が親水性薬物である場合、通常、全身作用又は局所作用が求められるものが用いられる。
有効成分は、経皮吸収されやすい薬物であれば好ましい。有効成分は、特に限定されないが、オクタノール水分配係数が−3〜6を示す化合物であることが好ましい。この場合、有効成分の皮膚透過性がより一層向上される。有効成分の皮膚透過性をさらに一層向上させる観点から、オクタノール水分配係数が、−2以上であれば好ましく、−1以上であればより好ましい。また、有効成分のオクタノール水分配係数は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。有効成分のオクタノール水分配係数が、上記上限値以下である場合、有効成分の皮膚透過性がより一層向上する。
なお、本発明において、オクタノール水分配係数は、オクタノールとpH7の水系緩衝液を入れたフラスコ中に有効成分を添加後、振とうし、それぞれの相の有効成分濃度から求められる。具体的には、式:オクタノール水分配係数=Log10(オクタノール相中濃度/水相中濃度)により算出して求めることができる。
本発明において、有効成分の分子量は、特に限定されない。有効成分の分子量は、好ましくは100g/mol以上、より好ましくは200g/mol以上、好ましくは7500g/mol以下、より好ましくは6500g/mol以下、さらに好ましくは1500g/mol以下である。
本発明において、コアシェル構造体に含まれる有効成分の量は、有効成分の種類にもよるが、例えば、原料重量として、好ましくは0.5重量%〜70重量%、より好ましくは5重量%〜70重量%である。原料重量は、コアシェル構造体に含まれる全原料の総重量を基準とした値である。
なお、コアシェル構造体は、有効成分として、必要に応じて、2種以上の有効成分を含有していてもよい。
シェル部;
シェル部は、界面活性剤を含有する。界面活性剤は、医薬品や化粧品として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。また、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
本発明において、界面活性剤のHLB値は、4〜14であることが好ましい。
本発明におけるHLB(Hydrophile Lypophile Balanceの略)値は、乳化剤が親水性か親油性かを知る指標となるもので、0〜20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。
本発明において、HLB値は、下記Griffin式より算出される。
HLB値=20×{(親水部分の分子量)/(全分子量)}
HLB値の加重平均値は、例えば以下の算出式を用いて算出することができる。
HLB値A、B、Cの界面活性剤があり、それぞれの界面活性剤の重量がx、y、zであったときの加重平均値の算出式は、(xA+yB+zC)÷(x+y+z)である。
本発明においては、界面活性剤のHLB値、又は複数の界面活性剤を含む場合はHLB値の加重平均値が、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。この場合、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。
本発明において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤のいずれであってもよい。有効成分の経皮吸収性をより一層高める観点からは、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
より具体的に、界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、又は脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
これらの界面活性剤を構成する脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、菜種油、米ぬか油、大豆油、ヒマシ油等が挙げられる。
具体的に、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ソルビタンラウレート、モノパルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノオリーブ油脂肪酸グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸ジグリセリル、カプリン酸モノ・ジグリセリド、カプリン酸ジグリセリド、モノラウリン酸グリセリル、モノウンデシレン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
脂肪酸アルカノールアミドは、Nを中心として、R−COと、2つの−CHCHOHとが結合した構造を有し、R−CON(CHCHOH)の化学式で表されるものをいう。
具体的に脂肪酸アルカノールアミドとしては、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、等が挙げられる。経皮吸収性をより一層高める観点から、脂肪酸アルカノールアミドは、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどのジエタノールアミドであることが好ましい。
界面活性剤は、アルキル基等の飽和炭化水素基と、アルケニル基やアルキニル基等の不飽和炭化水素基との少なくとも一方を有するものであることが好ましい。
界面活性剤の飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは7以上、15以下であり、より好ましくは7以上、11以下である。不飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは7以上、17以下であり、より好ましくは7以上、13以下であり、さらに好ましくは7以上、11以下である。この場合、界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような界面活性剤を用いることにより、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
また、別の態様では、界面活性剤の飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは16以上、40以下であり、より好ましくは16以上、30以下であり、さらに好ましくは16以上、22以下である。界面活性剤の不飽和炭化水素基における炭素数は、好ましくは18以上、40以下であり、より好ましくは18以上、30以下であり、さらに好ましくは18以上、22以下である。この場合、界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような界面活性剤を用いることにより、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
界面活性剤が複数の炭化水素基を含有する場合、該界面活性剤が含有する割合が最も多い炭化水素基を、界面活性剤の炭化水素基とする。
特に、界面活性剤が炭素数の異なる複数の炭化水素基を含有する場合、該界面活性剤が含有する割合が最も多い炭化水素基の炭素数を、界面活性剤の炭化水素基の炭素数とする。
例えば、界面活性剤がヤシ油脂肪酸エステルである場合、該界面活性剤において炭素数11の飽和炭化水素基を最も多く含むことから、ヤシ油脂肪酸エステルの炭化水素基は飽和炭化水素基であり、炭化水素基における炭素数は11である。
また、複数の界面活性剤を含有する場合においては、複数の界面活性剤が含有する割合が最も多い炭化水素基の炭素数を、界面活性剤における炭化水素基の炭素数とする。
陰イオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、又はリン酸エステル塩等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、又はアミン塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、又はアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
本発明において、コアシェル構造体に含まれる界面活性剤の含有量は、本発明の効果が奏される範囲内において適宜設定することができるが、原料重量として、好ましくは0.5重量%〜40重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%である。原料重量は、コアシェル構造体に含まれる全原料の総重量を基準とした値である。
界面活性剤の含有量は、本発明の効果が奏される範囲内において適宜設定することができるが、有効成分との質量比(有効成分:界面活性剤)を、1:0.1〜1:100とすることが好ましく、1:0.5〜1:100とすることがより好ましく、1:0.6〜1:50とすることがさらに好ましく、1:0.8〜1:10とすることが特に好ましい。この場合、有効成分の皮膚貯留性をより一層高めることができる。
その他の添加成分;
コアシェル構造体は、有効成分及び界面活性剤に加えて、さらに少なくとも1種の他の成分を含有していてもよい。他の成分は、コア部及びシェル部のそれぞれに含有されていてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、安定化剤、経皮吸収促進剤、皮膚刺激低減剤、血行促進剤、防腐剤、又は鎮痛剤等が挙げられる。
安定化剤は、粒子構造を安定化させる作用を有する。安定化剤としては、特に限定されないが、例えば、多糖類、タンパク質、又は親水性高分子材料等が挙げられる。安定化剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。安定化剤の含有量は、その種類にもより、適宜設定できる。例えば、有効成分と安定化剤の重量比(有効成分:安定化剤)が、1:0.1〜1:10となるように配合することができる。
経皮吸収促進剤としては、特に限定されないが、例えば、高級アルコール、N−アシルサルコシン若しくはその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸若しくはその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル若しくはその塩、乳酸、乳酸エステル、又はクエン酸等が挙げられる。経皮吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。経皮吸収促進剤の含有量は、その種類にもより、適宜設定できる。例えば、有効成分と経皮吸収促進剤の重量比(有効成分:経皮吸収促進剤)が、1:0.01〜1:50となるように配合することができる。
皮膚刺激低減剤としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE若しくはその誘導体、ビタミンC若しくはその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、エデト酸ナトリウム水和物、又は2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。皮膚刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。皮膚刺激低減剤の含有割合は、その種類にもより、適宜設定できる。皮膚刺激低減剤は、例えば、コアシェル構造体全体に対して0.1重量%〜50重量%となるように配合することができる。
血行促進剤としては、例えば、アセチルコリン、イクタモール、カフェイン、カプサイシン、カンタリスチンキ、ガンマーオリザノール、ショオウキョウチンキ、ジンゲロン、セファランチン、センブリエキス、タンニン酸、トウガラシチンキ、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル、塩化カルプロニウム、酢酸ニコチネート、酢酸トコフェロール、ノニル酸バニリルアミド、ジアゾキサイド、セファランチン、ヨウ化ニンニクエキス、スエルチアマリン、イチョウ抽出エキス、シャクヤクエキス、センブリエキス等が挙げられる。
防腐剤としては、特に限定されないが、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール、又はチモール等が挙げられる。防腐剤のコア部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できる。防腐剤は、例えば、コアシェル構造体全体に対して0.01重量%〜10重量%となるように配合することもできる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。
鎮痛剤としては、特に限定されないが、例えば、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン若しくはプリロカイン等の局所麻酔薬又はその塩等が挙げられる。鎮痛剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。鎮痛剤のコアシェル構造体における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できる。鎮痛剤は、例えば、コアシェル構造体全体に対して0.1重量%〜30重量%となるように配合することができる。
製造方法;
コアシェル構造体の製造方法は、特に限定されないが、例えば水相に有効成分を含有するW/Oエマルションを乾燥する工程を備える方法によって、製造することができる。
W/Oエマルションは、いわゆる油中水滴エマルション、具体的には水性溶媒の液滴が油性溶媒中に分散した状態のエマルションである限り、特に制限されない。なお、水性溶媒は、水と混ざる溶媒、すなわちメタノールやエタノールなどの極性溶媒であってもよい。以下、これらも含めて水性溶媒と称するものとする。
水相に有効成分を含有するW/Oエマルションは、例えば、有効成分を含有する水や緩衝水溶液等の水性溶媒と、界面活性剤を含有するシクロヘキサン、ヘキサン、トルエン、又は後述する油性基剤と同じ溶媒等の油性溶媒とを混合することによって得ることができる。有効成分を含有する水性溶媒は、有効成分の他に、必要に応じて安定化剤、吸収促進剤又は刺激低減剤等の添加成分を含有していてもよい。また、界面活性剤を含有する油性溶媒は、界面活性剤の他に、必要に応じて、刺激低減剤、鎮痛剤、吸収促進剤又は安定化剤等の添加成分を含有していてもよい。混合の方法としては、W/Oエマルションを形成できる方法である限り特に限定されず、例えばホモジナイザー等による撹拌が挙げられる。
ホモジナイザー撹拌時の条件は、例えば、5000rpm〜50000rpm程度、好ましくは、10000rpm〜30000rpm程度である。
W/Oエマルションにおける有効成分と界面活性剤との質量比(有効成分:界面活性剤)は、好ましくは1:0.1〜1:100、より好ましくは1:0.5〜1:100、さらに好ましくは1:0.5〜1:30、さらに好ましくは1:1〜1:20、特に好ましくは1:2〜1:20である。
水相に有効成分を含有するW/Oエマルションの乾燥の方法としては、該エマルション中の溶媒(水性溶媒及び油性溶媒)を除去できる方法である限り特に限定されない。W/Oエマルションの乾燥の方法としては、例えば凍結乾燥又は減圧乾燥等が挙げられ、好ましくは減圧乾燥が挙げられる。
また、得られるコアシェル構造体の個数平均粒子径をより一層小さくする観点から、W/Oエマルション又は該W/Oエマルションの乾燥物を加熱処理する工程をさらに備えることが好ましい。加熱処理温度は、例えば30℃〜60℃、好ましくは35℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃である。
加熱処理時間は、加熱処理温度に応じて適宜調整されるものであるが、例えば1日間〜30日間、好ましくは2日間〜15日間、より好ましくは3〜7日間である。
また、得られるコアシェル構造体の個数平均粒子径をより一層小さくする別の方法としては、W/Oエマルション又は該W/Oエマルションの乾燥物を必要に応じて溶媒等に分散後、フィルタ等で濾過する方法や、遠心処理分離を行う方法が挙げられる。フィルタ濾過の場合のフィルタ孔径は、例えば1μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
(基剤)
本発明の製剤は、基剤(基剤相)を含む。基剤相が、コアシェル構造体を含有するものであってもよい。このとき、コアシェル構造体は、基剤相中に分散又は溶解されていることが好ましい。
上述したように、コアシェル構造体は、コア部が固体である。そのため、基剤相が油相である場合、コアシェル構造体を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid−in−Oil)型の製剤を形成することができる。S/O型の製剤は、例えば、上述の製造方法により得られたコアシェル構造体を、油相中に分散させることにより得ることができる。
基剤は、第1の油性基剤を含有する。第1の油性基剤としては、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%を超える油性基剤であることが好ましい。それによって、製剤の使用時における基剤の蒸発量をより一層多くすることができ、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。
第1の油性基剤の蒸発量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。第1の油性基剤の蒸発量が上記下限値を超える又は以上である場合、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。また、第1の油性基剤の蒸発量の上限値は、特に限定されないが、例えば、99重量%とすることができる。
このような第1の油性基剤としては、例えば、シリコンオイルを用いることができる。シリコンオイルは、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%を超えることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%を超えることがさらに好ましい。
このようなシリコンオイルとしては、例えば、ジメチコン、ジシロキサン、トリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、カプリリルメチコン、又はシクロメチコン等を含むものを用いることができる。なかでも、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善する観点から、シリコンオイルは、好ましくはトリシロキサン又はシクロペンタシロキサンを含み、より好ましくはトリシロキサンを含む。
従って、第1の油性基剤は、ジメチコン、ジシロキサン、トリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、カプリリルメチコン、又はシクロメチコンを含むことが好ましく、トリシロキサン又はシクロペンタシロキサンを含むことがより好ましく、トリシロキサンを含むことがさらに好ましい。
第1の油性基剤は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
製剤100重量%中における第1の油性基剤の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、好ましくは100重量%未満、より好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下である。第1の油性基剤の含有量が上記下限値以上である場合、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。また、第1の油性基剤の含有量が上記上限値未満又は以下である場合、コアシェル構造体の形状保持性をより一層高めることができ、コアシェル構造体の安定性をより一層高めることができる。そのため、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。
また、基剤には、温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以下の第2の油性基剤を併用してもよい。これにより、コアシェル構造体の形状保持性をより一層高めることができ、コアシェル構造体の安定性をより一層高めることができる。そのため、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。
第2の油性基剤の温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。第2の油性基剤の蒸発量が上記下限値以上である場合、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。
第2の油性基剤としては、蒸発量が上記範囲内にある限りにおいて、特に限定されず、例えば、植物油、動物油、中性脂質、合成油脂、ステロール誘導体、ワックス類、炭化水素類、モノアルコールカルボン酸エステル類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、高級アルコール類、高級脂肪酸類又はフッ素系油剤類等が挙げられる。
植物油としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、やし油、パーム油、こめ油、綿実油、ひまわり油、コメヌカ油、カカオ脂、コーン油、べに花油、ヒマシ油、又はなたね油等が挙げられる。
動物油としては、特に限定されないが、例えば、ミンク油、タートル油、魚油、牛油、馬油、豚油、又は鮫スクワラン等が挙げられる。
中性脂質としては、特に限定されないが、例えば、トリオレイン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリステアリン、又はトリアラキドニン等が挙げられる。
合成油脂としては、特に限定されないが、例えば、リン脂質又はアゾン等が挙げられる。
ステロール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸又はコレステリルリノレート等が挙げられる。
ワックス類としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、又はエチレン・プロピレンコポリマー等が挙げられる。
炭化水素類としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、又は固形パラフィン等が挙げられる。
モノアルコールカルボン酸エステル類としては、2−エチルヘキサン酸セチル、リノール酸イソプロピル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、アボカド油脂肪酸エチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、又はクエン酸トリエチル等が挙げられる。
オキシ酸エステル類としては、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、又はモノイソステアリン酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、又はジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
高級アルコール類としては、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、又はダイマージオール等が挙げられる。
高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸、又は水素添加ダイマー酸等が挙げられる。
フッ素系油剤類としては、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、又はパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、第1の油性基剤と併用した場合に良好な使用感と粒子の安定性とをより一層両立しやすい観点から、第2の油性基剤は、モノアルコールカルボン酸エステル類、又は多価アルコール脂肪酸エステル類を含むことが好ましい。特に、第2の油性基剤は、2−エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸ジイソプロピル、リノール酸イソプロピル、及びトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
製剤100重量%中における第2の油性基剤の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。第2の油性基剤の含有量が上記下限値以上である場合、コアシェル構造体の形状保持性をより一層高めることができ、コアシェル構造体の安定性をより一層高めることができる。そのため、有効成分の経皮吸収性をより一層高めることができる。また、第2の油性基剤の含有量が上記上限値以下である場合、ベタツキ感やヌルヌル感のような使用感をより一層改善することができる。
第2の油性基剤は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
なお、本発明においては、基剤が、第1の油性基剤及び第2の油性基剤とは異なる他の基剤を含んでいてもよい。他の基剤は、アルコールであってもよい。
アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又はポリエチレングリコール等が挙げられる。
製剤100重量%中におけるアルコールの含有量は、例えば、1重量%以上、30重量%以下とすることができる。
(製剤)
本発明の製剤は、有効成分の種類に応じて、例えば、皮膚外用薬、点眼薬、点鼻薬、座薬又は口腔薬などの外用薬や、化粧品または注射剤など、経皮吸収や経粘膜吸収を意図した幅広い用途に用いることができる。
本発明の製剤は、特に限定されないが、通常、1日〜1週間持続性であり、好ましい態様では1日〜1週間あたり1回適用されるように用いられる。
本発明の製剤が外用剤である場合、対象疾患は、有効成分の種類によって異なる。
本発明の製剤は、特に限定されず、軟膏剤、リニメント剤若しくはローション剤等の外用液剤、クリーム剤、ゲル剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤等として使用できる。
本発明の製剤は、好ましくは、水分含有率が5重量%以下であり、より好ましくは実質的に水を含有しない。これにより、コアシェル構造体を用いた場合の形状保持性をより一層高めることができる。また、コアシェル構造体が本来有する形状保持性と相まって、コアシェル構造体からの有効成分の漏出、ひいては有効成分の結晶化をより一層抑制することができ、結果としてより一層高い経皮吸収性を発揮することが可能である。この観点から、本発明の製剤は、水分含有率が5重量%以下に調整される剤として使用されることが好ましい。より好ましくは実質的に水を含有しない剤として使用されることがより好ましい。本発明の製剤は、例えば、ローション剤等の外用液剤、軟膏剤又はゲル剤等として使用されることが好ましい。
また、本発明の製剤は、コアシェル構造体及び基剤に加えて、他の添加剤をさらに含んでもよい。他の添加剤としては、例えば、清涼化剤、感触改良剤、香料等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、イシリン、カンフル、アズレンスルホン酸ナトリウム、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、ゲラニオール、サリチル酸メチル、ハッカ水、ボルネオール、リュウノウ、メントキシプロパンジオール、モノメンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、リナロール、アネトール、オイゲノール、シネオール、N−エチル−p−メンタン−カルボキシアミド、PCA−メンチル、薄荷白油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ユーカリ油等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。本発明の製剤が清涼化剤を含む場合、使用感をさらに一層改善することができる。
感触改良剤としては、例えば、酸化チタン、シリカ、シリコーンパウダー、炭酸カルシウム、パルミチン酸デキストリン等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。本発明の製剤が感触改良剤を含む場合、使用感をさらに一層改善することができる。
香料としては、例えば、ローズ油、オレンジ油、ハッカ油、ベルガモット油、ミント油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、ユズ種子油等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。本発明の製剤が香料を含む場合、使用感をさらに一層改善することができる。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
コアシェル構造体の調製;
有効成分としてのミノキシジル(富士フィルム和光純薬社製、分子量:209.3g/mol、オクタノール水分配係数:1.24)60mgを40gの純水に溶解し、これに、界面活性剤としてのモノラウリン酸ソルビタン(日油社製、製品名「LP−20R」、HLB値:8.6、飽和炭化水素基の炭素数:12)300mgをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加え、ホモジナイザーにて撹拌(25000rpm、2分間)した。この後に2日間凍結乾燥し、コアシェル構造体を得た。
製剤の調製;
得られたコアシェル構造体30重量部に第1の油性基剤としてのトリシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「PMX−1184」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:60.2重量%)35重量部及び第2の油性基剤としてのトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)35重量部を配合し、混合、分散して製剤を作製した。
(実施例2〜5)
第1の油性基剤及び第2の油性基剤の配合量比を下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして製剤を作製した。
(実施例6)
第1の油性基剤として、トリシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「PMX−1184」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:60.2重量%)の代わりに、トリシロキサン(シリコンオイル、信越化学社製、商品名「KF−96A−1cs」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:98.9重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして製剤を作製した。
(実施例7〜10)
第1の油性基剤及び第2の油性基剤の配合量比を下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例6と同様にして製剤を作製した。
(実施例11〜15)
コアシェル構造体、第1の油性基剤、及び第2の油性基剤の配合量比を下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例6と同様にして製剤を作製した。
(実施例16)
第2の油性基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)の代わりに、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)21重量部及びエタノール7重量部を用いたこと以外は、実施例7と同様にして製剤を作製した。
(実施例17)
第2の油性基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)の代わりに、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)27重量部及びエタノール9重量部を用いたこと以外は、実施例13と同様にして製剤を作製した。
(実施例18,19)
第2の油性基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)の代わりに、2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)を用いたこと以外は、実施例18は実施例6と同様にして製剤を作製し、実施例19は実施例7と同様にして製剤を作製した。
(実施例20)
第2の油性基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)の代わりに、2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)21重量部を用い、エタノールの代わりに、イソプロパノール7重量部を用いたこと以外は、実施例16と同様にして製剤を作製した。
(実施例21〜23)
有効成分として、ミノキシジル(富士フィルム和光純薬社製、分子量:209.3g/mol、オクタノール水分配係数:1.24)の代わりに、ニコチン酸アミド(東京化成工業社製、オクタノール水分配係数:−0.4、分子量:122g/mol)を用いたこと以外は、実施例21は実施例6と同様にし、実施例22は実施例7と同様にし、実施例23は実施例16と同様にして製剤を作製した。
(実施例24)
第2の油性基剤として、2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)の代わりに、セバシン酸ジイソプロピル(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL DIS」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.04重量%)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして製剤を作製した。
(実施例25)
第2の油性基剤として、2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)の代わりに、リノール酸イソプロピル(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL VF−IP」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.1重量%)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして製剤を作製した。
(実施例26)
第2の油性基剤として、2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)の代わりに、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL TRIFAT S−308」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.09重量%)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして製剤を作製した。
(実施例27)
実施例1と同様にして得られたコアシェル構造体30重量部に第1の油性基剤としてのトリシロキサン(シリコンオイル、信越化学社製、商品名「KF−96A−1cs」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:98.9重量%)54.5重量部、第2の油性基剤としての2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)15重量部、及び添加剤としてl−メントール(和光純薬社製)0.5重量部を配合し、混合、分散して製剤を作製した。
(実施例28)
実施例1と同様にして得られたコアシェル構造体30重量部に第1の油性基剤としてのトリシロキサン(シリコンオイル、信越化学社製、商品名「KF−96A−1cs」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:98.9重量%)59.5重量部、第2の油性基剤としてのセバシン酸ジイソプロピル(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL DIS」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.04重量%)10重量部、及び添加剤としてl−メントール(和光純薬社製)0.5重量部を配合し、混合、分散して製剤を作製した。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られたコアシェル構造体30重量部に基剤としてのトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)70重量部を配合し、混合、分散して製剤を作製した。
(比較例2)
基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルの代わりに2−エチルヘキサン酸セチル(花王社製、商品名「エキセパールHO」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.2重量%)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして製剤を作製した。
(比較例3)
基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルの代わりにイソノナン酸イソトリデシル(高級アルコール工業社製、商品名「KAK139」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.3重量%)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして製剤を作製した。
(比較例4)
基剤として、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルの代わりに低密度流動パラフィン(富士フィルム和光純薬社製、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.3重量%)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして製剤を作製した。
(比較例5)
実施例1と同様にして得られたコアシェル構造体30重量部にトリシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「PMX−1184」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:60.2重量%)28重量部及び基剤としてのトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(ミツバ貿易社製、商品名「ミグリオール812」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.5重量%)42重量部を配合し、混合、分散して製剤を作製した。
(比較例6)
トリシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「PMX−1184」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:60.2重量%)の代わりに、トリシロキサン(シリコンオイル、信越化学社製、商品名「KF−96A−1cs」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:98.9重量%)を用いたこと以外は、比較例5と同様にして製剤を作製した。
(比較例7)
トリシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「PMX−1184」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:60.2重量%)の代わりに、フェニルトリメチルシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「SH556」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:0.9重量%)を用いたこと以外は、比較例5と同様にして製剤を作製した。
(比較例8〜12)
フェニルトリメチルシロキサン及びトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルの配合量比を下記の表2に示すように変更したこと以外は、比較例7と同様にして製剤を作製した。
(比較例13)
トリシロキサン(シリコンオイル、東レ・ダウコーニング社製、商品名「PMX−1184」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:60.2重量%)の代わりに、ジメチコン(シリコンオイル、信越化学社製、商品名「KF−96L−2cs」、温度32℃及び3時間後の蒸発量:7.3重量%)を用いたこと以外は、比較例5と同様にして製剤を作製した。
(比較例14〜18)
ジメチコン及びトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルの配合量比を下記の表2に示すように変更したこと以外は、比較例13と同様にして製剤を作製した。
(参考例1)
実施例1と同様にして得られたコアシェル構造体30重量部に基剤としての水70重量部を配合し、混合、分散して製剤を作製した。
[評価]
(温度32℃及び3時間後の蒸発量)
実施例1〜28、比較例1〜18及び、参考例1で得られた製剤の蒸発量を測定した。具体的には、まず、測定対象となる製剤を温度32℃及び湿度15RH%のインキュベータ(東京理化器械社製、品番「LTI−1200E」)内で3時間放置した。放置後、以下の式(1)に従って蒸発量(W)を求めた。
=((Ws−W)/Ws)×100 …式(1)
(式(1)中、Wは製剤の蒸発量(重量%)であり、Wsは試験前の製剤の質量(g)であり、Wは試験後の製剤の質量(g)である。)
(使用感)
実施例1〜28、比較例1〜18、及び参考例1で得られた製剤を塗布時や塗布後に、不快なべたつきを感じるかについて、以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
A…全くべたつき感がない
B…ほとんどべたつき感がない
C…わずかにべたつき感がある
D…べたつき感がある
(粒子の安定性)
実施例1〜28、比較例1〜18、及び参考例1で得られた製剤を25℃で保管した後、製剤中における粒子の形状を光学顕微鏡で観察した。観察した粒子の形状が初期から変化した時の日数から、粒子の安定性について、以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
AA…1か月以上粒子形状に変化なし
A…1週間以上粒子形状に変化なし
B…3日後に粒子形状の変化を確認
C…1日後に粒子形状の変化を確認
結果を下記の表1及び表2に示す。
Figure 2021059521
Figure 2021059521
以上の結果より、温度32℃及び3時間後の製剤の蒸発量が20重量%以上である実施例1〜28では、皮膚に適用したときのベタツキ感やヌルヌル感のような使用感を改善できていることが確認できた。また、実施例1〜28では、主に油性基剤を用いているため、粒子の安定性も良好であることが確認できた。
1…コアシェル構造体
2…コア部
3…シェル部

Claims (16)

  1. 有効成分を含有するコア部と、界面活性剤を含有するシェル部とを有する、コアシェル構造体と、
    第1の油性基剤を含有する、基剤と、
    を含む、製剤であって、
    前記製剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以上である、製剤。
  2. 前記第1の油性基剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%を超える、請求項1に記載の製剤。
  3. 前記第1の油性基剤が、シリコンオイルを含む、請求項1又は2に記載の製剤。
  4. 前記第1の油性基剤が、ジメチコン、ジシロキサン、トリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、カプリリルメチコン、及びシクロメチコンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
  5. 前記製剤中における前記第1の油性基剤の含有量が、30重量%以上、100重量%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
  6. 前記基剤が、前記第1の油性基剤とは異なる第2の油性基剤をさらに含み、
    前記第2の油性基剤を温度32℃の環境下で3時間放置した後の蒸発量が、20重量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
  7. 前記第2の油性基剤が、モノアルコールカルボン酸エステル類、又は多価アルコール脂肪酸エステル類を含む、請求項6に記載の製剤。
  8. 前記第2の油性基剤が、2−エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸ジイソプロピル、リノール酸イソプロピル、及びトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項6又は7に記載の製剤。
  9. 前記製剤中における前記第2の油性基剤の含有量が、10重量%以上、60重量%以下である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の製剤。
  10. 前記基剤が、アルコールをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
  11. 前記製剤中における前記アルコールの含有量が、1重量%以上、30重量%以下である、請求項10に記載の製剤。
  12. 前記製剤中における前記コアシェル構造体の含有量が、1重量%以上、40重量%以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製剤。
  13. 前記コアシェル構造体における前記有効成分と前記界面活性剤との質量比(有効成分:界面活性剤)が、1:0.1〜1:100である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製剤。
  14. 前記製剤中における水分含有量が、5重量%以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製剤。
  15. 外用薬である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤。
  16. 化粧品である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤。
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