JP2021013362A - ケーキ類用品質改良剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーキ類の生地の気泡安定性を向上させ、ケーキ類の口どけを良好にすることのできるケーキ類用品質改良剤を提供すること。【解決方法】(a)カゼインナトリウム及び(b)DE値が7〜11である分岐デキストリンを含有する水中油型乳化組成物であることを特徴とするケーキ類用品質改良剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、ケーキ類用品質改良剤に関する。
従来、工業的にケーキ類を製造する方法としては、生地に乳化剤を含有する起泡剤を添加し、その起泡力を利用して、小麦粉、卵、砂糖、油脂等の全ての原材料を同時に混合及び起泡させる「オールインミックス法」が主流となっている。一方、より手作り感のある内相や、良好な卵の風味を有するケーキ類を製造しようとする場合には、乳化剤の起泡力を利用せず、卵の起泡力のみにより生地を調製する方法がとられることがある。
そのようなケーキ類の製造方法としては、例えば、全卵に砂糖等の糖類を加えて混合及び起泡させた後、ここに小麦粉、油脂等の他の原材料を加えて混合し、生地を調製する「共立て法」や、卵白に糖類を加えて混合及び起泡させ、これを別途卵黄、小麦粉、油脂、糖類等の他の原材料を混合して得た卵黄生地と混合して生地を調製する「別立て法」が挙げられる。しかし、卵の起泡力により得られる気泡は、乳化剤の起泡力を利用した場合に比べて弱く脆い傾向があるため、これらの製造方法では起泡後に加える小麦粉や油脂の影響等により生地中の気泡が壊れ(消泡し)やすい。その結果、該生地を加熱調理して得られるケーキ類はボリューム(体積)が小さく、口どけの悪いものになりやすいという課題がある。この課題から、これらの製造方法で安定した品質のケーキ類を大量生産することは難しいとされてきた。
前記課題に対し、卵の起泡力により得られる気泡の安定性を向上させる方法として、例えば、油脂、デキストリン価が20〜50の澱粉糖、カゼインナトリウム、大豆多糖類を一定の割合で含むケーキ呈味用水中油型乳化物を添加する方法(特許文献1)、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有することを特徴とするスポンジケーキ用懸濁液を添加する方法(特許文献2)、分子量20万以下のデキストランを含有するスポンジケーキ改良材を添加する方法(特許文献3)等が提案されている。しかし、未だに十分な気泡安定性の向上効果が得られるケーキ類用品質改良剤はないのが実情である。
そこで、ケーキ類の生地の気泡安定性向上効果に優れる新たなケーキ類用品質改良剤が求められていた。
特開2012−135254号公報 特開2015−019651号公報 特開2016−096761号公報
本発明は、ケーキ類の生地の気泡安定性を向上させ、ケーキ類の口どけを良好にすることのできるケーキ類用品質改良剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カゼインナトリウムとDE値が特定の範囲内である分岐デキストリンとを含有する水中油型乳化組成物を用いることで、ケーキ類の生地を起泡させた際の気泡安定性が向上することを見出し、この知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記(1)及び(2)からなっている。
(1)(a)カゼインナトリウム及び(b)DE値が7〜11である分岐デキストリンを含有する水中油型乳化組成物であることを特徴とするケーキ類用品質改良剤。
(2)前記(1)に記載のケーキ類用品質改良剤を卵又は卵を含有する混合物に添加する工程の後に、該卵又は卵を含有する混合物を起泡させる工程を含むことを特徴とするケーキ類の製造方法。
本発明に係るケーキ類用品質改良剤は、ケーキ類の生地に添加することにより、該生地の気泡安定性を向上させ、油脂等を混合した際の消泡を抑制することができる。
本発明に係るケーキ類用品質改良剤は、ケーキ類の生地に添加することにより、該生地を加熱調理して得られるケーキ類の口どけを良好にすることができる。
本発明に係るケーキ類用品質改良剤は、ケーキ類の生地に添加することにより、該生地の加熱調理時における縮みを抑制し、得られるケーキ類のボリュームを向上させることができる。
本発明に係るケーキ類用品質改良剤は、ケーキ類の生地に添加することにより、該生地を加熱調理して得られるケーキ類の経時的な硬化(老化)を抑制することができる。
本発明に係るケーキ類用品質改良剤(以下「本発明の品質改良剤」ともいう)は、少なくとも(a)カゼインナトリウム及び(b)DE値が7〜11である分岐デキストリン(以下それぞれ「(a)成分」及び「(b)成分」ともいう)を含有する水中油型乳化組成物である。なお、水中油型乳化組成物とは、水及び/又は多価アルコール等を含む水相を連続相とし、該水相中に油脂等を含む油相を分散してなる組成物をいう。
本発明における(a)成分であるカゼインナトリウムは、乳由来のタンパク質であるカゼインのナトリウム塩であり、食品に一般的に利用されているものであれば特に制限はない。
カゼインナトリウムとしては、例えば、EM7(商品名;FrieslandCampina DMV社製)、ALANATE180(商品名;フォンテラ社製)、Sodium Caseinate 180(商品名;日成共益社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
本発明の品質改良剤中の前記(a)成分の含有量に特に制限はないが、例えば、本発明の品質改良剤100質量%中、3〜6質量%、好ましくは4〜5質量%である。
本発明における(b)成分であるDE値が7〜11である分岐デキストリンとは、分岐鎖を有するデキストリンであって、DE(Dextrose equivalent)値が7〜11の範囲内であるものをいい、通常、澱粉加水分解物に分岐酵素を作用させることにより製造される。なお、分岐デキストリンのDE値は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)に記載のレインエイノン法に従って算出することができる他、市販の分岐デキストリンを用いる場合は、メーカーが公表している値を採用してもよい。
DE値が7〜11である分岐デキストリンとしては、例えば、VIANDEX−BH(商品名;DE値7〜11;昭和産業社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
本発明の品質改良剤中の前記(b)成分の含有量に特に制限はないが、例えば、本発明の品質改良剤100質量%中、12〜22質量%、好ましくは16〜20質量%である。(b)成分の含有量がこのような範囲であると、発明の品質改良剤の粘度が適切となり、該剤自体の乳化が容易になる。また、本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明の品質改良剤の水相を構成する水としては、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば、蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜(RO)処理水又は限外ろ過膜(UF)処理水等の精製水、水道水、地下水、涌水等の天然水、アルカリイオン水等が挙げられる。
同じく本発明の品質改良剤の水相を構成する多価アルコールとしては、1分子中に2つ以上のヒドロキシ基をもつ化合物であれば特に制限はなく、例えば、キシロース、ブドウ糖、果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等のオリゴ糖類、デキストリン、水飴等の澱粉分解物、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等のマルトオリゴ糖類、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等の異性化糖、蜂蜜等の転化糖、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴等の糖アルコール類、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。これらの中でも、澱粉分解物又は糖アルコール類が好ましく、特に水飴、ソルビトール又はグリセリンが好ましい。これら多価アルコールは、いずれか1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明の品質改良剤の水相としては、前記水と多価アルコールのいずれか一方のみを用いてもよく、製剤の粘度調整等の目的でこれらを併用し、多価アルコール水溶液として用いてもよい。
本発明の品質改良剤中の前記水、多価アルコール又は多価アルコール水溶液の含有量に特に制限はなく、前記(a)成分及び(b)成分並びに後述する油脂や他の任意の成分を配合した残余を水、多価アルコール又は多価アルコール水溶液とすればよい。
本発明の品質改良剤の油相を構成する油脂は、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油、ハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂、牛脂、ラード、魚油、乳脂等の動物油脂、これら動植物油脂に分別、水素添加、エステル交換等の処理を施した加工油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられる。これらの中でも、常温(15〜25℃)で液状の油脂が好ましく、特に常温で液状の植物油脂(大豆油、菜種油等)が好ましい。これら油脂は、いずれか1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明の品質改良剤中の前記油脂の含有量に特に制限はないが、例えば、本発明の品質改良剤100質量%中、30〜50質量%、好ましくは40〜45質量%である。油脂の含有量がこのような範囲であると、本発明の品質改良剤の流動性が良くなり、ケーキ類の原材料に添加した際の分散性が良好となる他、製剤自体の乳化安定性が良好となり、油脂分離による起泡阻害が生じにくくなる。また、ケーキ類に油脂由来の旨味やしっとり感を付与することができる。
本発明の品質改良剤は、前記(a)成分、(b)成分、水、多価アルコール、多価アルコール水溶液及び油脂以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の任意の成分を含有していてもよい。そのような成分としては、例えば、調味料、香料、保存料、酸化防止剤等が挙げられる。なお、本発明の品質改良剤は、ケーキ類用の起泡剤として従来使用されている乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)を含有することを排除するものではない。
本発明の品質改良剤の性状に特に制限はなく、例えば、液状、ゲル状、ペースト状等の任意の性状に調製することができるが、ケーキ類の原材料と混合する際の分散性を良好にする観点から、常温(15〜25℃)で液状を呈することが好ましい。
本発明の品質改良剤の製造方法に特に制限はないが、その好ましい製造方法の概略は以下のとおりである。
即ち、水、多価アルコール又は多価アルコール水溶液に(a)成分を加え、攪拌混合して(a)成分を均一に分散させた後、さらに攪拌を続けながらこれを60〜80℃に加温して(a)成分を溶解させる。ここに(b)成分を加えて同じ温度で攪拌混合し、(b)成分を溶解させ、これを水相とする。該水相に対し、60〜80℃に加温した油脂を油相として加え、乳化機を用いて乳化することにより、本発明の品質改良剤を製造することができる。
なお、(b)成分は、所望により水相と油相に分けて加えてもよい。即ち、水、多価アルコール又は多価アルコール水溶液に(a)成分及び(b)成分の一部を溶解したものを水相、油脂に(b)成分の残部を分散させたものを油相として、該水相と油相とを乳化させることによっても本発明の品質改良剤を製造することができる。このようにすることで、水相中の(b)成分の含有量が少なくなり、水相の粘度上昇が抑えられるため、水相と油相との粘度差が小さくなり、製剤の乳化が安定しやすくなる。(b)成分を水相と油相に分けて加える場合、水相と油相それぞれに対する(b)成分の配合量の比率に特に制限はなく、製剤処方により適宜調整することができる。
前記水相と油相との乳化に用いる乳化機としては、例えば、TKホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)等の高速回転式ホモジナイザーが好ましく用いられる。乳化条件に特に制限はないが、分散相となる油相(油滴)のメジアン径(体積基準)が1.5μm以下であると、製剤自体の乳化安定性が良好になり、また、ケーキ類の生地に優れた気泡安定性を付与することができるため好ましい。
本発明のケーキ類用品質改良剤の使用対象であるケーキ類の種類に特に制限はなく、例えば、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキ、マフィン、パウンドケーキ、パンケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ、どら焼き等の焼成菓子や、蒸しパン、蒸しケーキ等の蒸し菓子等が挙げられる。
本発明の品質改良剤は、ケーキ類を製造する際、該ケーキ類の原材料に添加して使用することができる。ただし、本発明は卵の起泡力により得られる気泡の安定性を向上させることを目的とするため、該原材料の中でも、起泡処理に供する卵又は卵を含有する混合物に添加して使用することが好ましい。このようにすることで、卵の起泡力により生じる気泡に本発明の品質改良剤が作用し、生地中の気泡安定性を向上させることができる。その結果、該生地を加熱調理して得られるケーキ類のボリュームが向上し、口どけも良好になる。
前記卵は、起泡力を有するものであれば全卵(卵黄と卵白とを任意の比率で混合したものを含む)であっても卵白であってもよいが、好ましくは全卵である。また、前記卵を含有する混合物は、卵の起泡力を阻害しない範囲で、例えば、後述する糖類、調味料等を含有していてもよい。
本発明の品質改良剤を使用してケーキ類を製造する場合、該ケーキ類の原材料としては、前記卵の他に、例えば、穀粉類(小麦粉、大麦粉、そば粉、米粉等)、澱粉類(馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、小麦澱粉等及びこれらを原料として得られるエーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉、酸処理澱粉、酸化澱粉、油脂加工澱粉等の加工澱粉)、糖類(上白糖、グラニュー糖、黒糖、果糖ぶどう糖液糖、還元水飴等)、油脂類(マーガリン、ショートニング、製菓用油脂、バター等)、乳製品(牛乳、濃縮乳、生クリーム、脱脂粉乳、練乳、チーズ等)、果実、果実加工品、ココア、ココアパウダー、チョコレート類、ナッツ類、洋酒類、膨張剤(ベーキングパウダー、重曹等)、調味料(甘味料、酸味料、食塩等)、香料、着色料、酸化防止剤等、ケーキ類の原材料として一般的に使用されているものを使用することができる。なお、本発明の品質改良剤は、乳化剤を含有する起泡剤と併用することを排除するものではない。
本発明の品質改良剤を使用してケーキ類を製造する場合、該ケーキ類の原材料である卵又は卵を含有する混合物に対して本発明の品質改良剤を添加する工程の後に、該卵又は卵を含有する混合物を起泡させる工程をとること以外に特に制限はなく、一般的なケーキ類の製造方法に従うことができる。具体的には、例えば、本発明の品質改良剤を使用して「共立て法」でケーキ類を製造する場合、全卵に糖類及び本発明の品質改良剤を加え、これをミキサー等で攪拌して混合及び起泡させる。ここに穀粉類及び/又は澱粉類、油脂等の原材料を加えて混合し、生地を調製する。その後、該生地を加熱調理(焼成、蒸し調理等)することにより、ケーキ類を製造することができる。このようなケーキ類の製造方法も、本発明の形態の一つである。
本発明のケーキ類用品質改良剤のケーキ類の生地への添加量は、製剤の配合、ケーキ類の種類、生地の配合等により異なるが、ケーキ類の原材料中の穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して、例えば10〜30質量部、好ましくは15〜25質量部である。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ケーキ類用品質改良剤の調製]
1)カゼインナトリウム(商品名:EM7;FrieslandCampina DMV社製)
2)デキストリン
2−1)デキストリン1(商品名:VIANDEX−BH;昭和産業社製)
2−2)デキストリン2(商品名:パインデックス#2;松谷化学工業社製)
2−3)デキストリン3(商品名:パインデックス#4;松谷化学工業社製)
2−4)デキストリン4(商品名:クラスターデキストリン;江崎グリコ社製)
2−5)デキストリン5(商品名:FZ−100;J−オイルミルズ社製)
2−6)デキストリン6(商品名:パインデックス#100;松谷化学工業社製)
3)水
4)水飴(商品名:ハローデックス;林原社製)
5)ソルビトール(物産フードサイエンス社製)
6)グリセリン(Godrej Industries Ltd.社製)
7)菜種油(商品名:菜種白絞油;ボーソー油脂社製)
前記原材料のデキストリン1〜6について、分岐鎖の有無及びDE値(メーカー規格値又は公表値)を表1にまとめた。表1から明らかなとおり、デキストリン1は「DE値が7〜11である分岐デキストリン」であり、本発明における(b)成分に該当する。一方、デキストリン2〜6は、DE値若しくは分岐鎖の有無のいずれか又はその両方において、本発明における(b)成分の条件を満たしていない。
Figure 2021013362
(2)原材料の配合
前記原材料を用いて調製したケーキ類用品質改良剤1〜15の配合組成を表2及び表3に示した。このうち、表2のケーキ類用品質改良剤1〜9は本発明の実施例であり、表3のケーキ類用品質改良剤10〜15はそれらに対する比較例である。なお、各ケーキ類用品質改良剤は原材料の合計が400gとなる分量で調製した。
Figure 2021013362
Figure 2021013362
(3)ケーキ類用品質改良剤の調製方法
1)表2及び3に示した配合に従い、1L容ビーカーに水と、水飴、ソルビトール、グリセリンのいずれか1種又は2種を入れ、スリーワンモーター(商品名;型式:FBL−600;5cm径4枚羽根型;新東科学社製)を用いて400rpmで攪拌しながら、ここにカゼインナトリウムを加えて均一に分散させた。
2)カゼインナトリウムの分散を確認後、同条件で攪拌しながら70〜75℃まで加温し、カゼインナトリウムを溶解させた。
3)カゼインナトリウムの溶解を確認後、デキストリン1〜6のいずれかを1/3量加え、前記2)と同条件で加温及び攪拌し、該デキストリンを溶解させて水相を得た。
3)一方、1L容ビーカーに菜種油及びデキストリン1〜6の残部(2/3量)を入れ、スリーワンモーター(商品名;型式:FBL−600;5cm径4枚羽根型;新東科学社製)を用いて400rpmで攪拌しながら70〜75℃に加温し、油相を得た。
4)前記水相に前記油相を加え、70〜75℃に保温したまま、TKホモミクサー(商品名;型式:MARK II;特殊機化工業社製)を用いて8000rpmで30分間乳化を行い、水中油型乳化液状のケーキ類用品質改良剤1〜11及び15を得た。なお、表3のケーキ類用品質改良剤12〜14の処方では乳化状態が安定せず、水相と油相の分離が生じて製剤化することができなかったため、以下の評価からは除外した。
(4)乳化粒子径の測定
得られたケーキ類用品質改良剤1〜11及び15について、以下の方法で乳化粒子径を測定した。結果を表4に示す。
<乳化粒子径の測定方法>
ケーキ類用品質改良剤1gを、純水製造装置オートスチル(型式:WG510;ヤマト科学社製)を通したイオン交換水99mLに分散させた後、粒度分布計(型式:HORIBA LA−950;北浜製作所社製)を用いて粒度分布を測定し、そのメジアン径(体積基準)を乳化粒子径とした。
Figure 2021013362
[蒸しケーキの作製と評価]
(1)原材料
1)殺菌液卵(商品名:エクセルエッグHV;キユーピータマゴ社製)
2)上白糖(大日本明治製糖社製)
3)ケーキ類用品質改良剤(前記ケーキ類用品質改良剤1〜11又は15)
4)水
5)水飴(商品名:ハローデックス;林原社製)
6)薄力粉(商品名:バイオレット;日清製粉社製)
7)ベーキングパウダー(商品名:BP(C)#1;オリエンタル酵母工業社製)
8)菜種油(商品名:菜種白絞油;ボーソー油脂社製)
(2)原材料の配合
前記原材料を用いて作製した蒸しケーキ1〜13の配合組成を表5及び表6に示した。このうち、表5の蒸しケーキ1〜9は本発明の品質改良剤を添加して作製した実施例、表6の蒸しケーキ10〜12はそれらに対する比較例であり、蒸しケーキ13はケーキ類用品質改良剤を添加せずに作製した対照である。ここで、生地中に含まれる油脂の総量を揃えるため、蒸しケーキ13については、各ケーキ類用品質改良剤中の油相に相当する量だけ菜種油を多く配合して補正した。
なお、表5及び表6の配合割合は、使用する薄力粉の全量を100質量部とし、他の原材料の配合量をこれに対する比率に換算する「ベーカーズパーセント」で表記した。実際の薄力粉の使用量は200gである。
Figure 2021013362
Figure 2021013362
(3)蒸しケーキの作製方法
1)表5及び表6に示した配合に従い、殺菌液卵、上白糖及びケーキ類用品質改良剤を5コート縦型ミキサー(型式:万能混合攪拌機5DMr;ワイヤーホイッパー装着;三英製作所社製)に入れ、1分間低速で攪拌した後、比重が0.45g/cmになるまで高速で攪拌した。
2)その後、低速で攪拌しながら15秒かけて水と水飴との混合物を加え、15秒間攪拌した。
3)さらに、低速で攪拌しながら50秒かけて薄力粉とベーキングパウダーとの混合物を加え、一旦攪拌を止めてミキサーの縁に付着した粉を落とした後、70秒間攪拌した。
4)この時点で比重を測定した後、低速で攪拌しながら30秒かけて菜種油を加え、ミキサーの縁に付着した油を落とした後、さらに30秒間攪拌して均一に混合し、ケーキ生地を得た。
5)得られたケーキ生地の比重を測定した後、これを50gずつに分割し、カップ状のグラシン紙に入れ、94℃で14分蒸し上げ、蒸しケーキ1〜13を得た。
(4)生地の気泡安定性評価
各蒸しケーキにおける蒸し調理前の生地について、気泡安定性を評価した。評価は、前記蒸しケーキの作製方法の工程4)において測定した比重と、工程5)において測定した比重との差から、菜種油の影響による比重増加の程度を求める方法で行った。この比重増加の程度が小さいほど、菜種油の影響による消泡が少なく、生地の気泡安定性が高いことを意味する。結果は下記基準に従って記号化し、表8に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 比重増加が0.03g/cm未満
○:良好 比重増加が0.03g/cm以上、0.04g/cm未満
△:やや悪い 比重増加が0.04g/cm以上、0.07g/cm未満
×:悪い 比重増加が0.07g/cm以上
(5)外観の評価
得られた蒸しケーキ1〜13を室温で25分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に入れて密閉し、さらに室温にて24時間保存した。保存後、各蒸しケーキの外観(表面の張り、しわ、質感)について、目視観察により評価を行った。結果は下記基準に従って記号化し、表8に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 表面に張りがあり、しわが全くなく、非常に滑らか
○:良好 表面にやや張りがあり、しわが少なく、滑らか
△:やや悪い 表面にあまり張りがなく、しわがあり、ややざらついている
×:悪い 表面に張りがなく、しわが多く、ざらついている
(6)ボリューム向上効果の評価
ケーキ類用品質改良剤の添加によるボリューム向上効果を定量的に評価するため、ケーキ類用品質改良剤を用いずに作製した蒸しケーキ13を対照として比較試験を行った。評価は、前記保存後の蒸しケーキを縦に半分に切り、中心部の高さをそれぞれ測定して、対照における中心部の高さとの差を求める方法で行った。この高さの差が大きいほど、対照に比べて蒸しケーキのボリュームが向上していたことを意味する。結果は下記基準に従って記号化し、表8に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 中心部の高さの差が3mm以上
○:良好 中心部の高さの差が2mm以上、3mm未満
△:やや悪い 中心部の高さの差が1mm以上、2mm未満
×:悪い 中心部の高さの差が1mm未満
(7)口どけの官能評価
前記保存後の蒸しケーキの口どけについて、官能評価を行った。評価は表7に示す評価基準に従って、10名のパネラーで行い、結果は10名の評点の平均値を下記の基準に従って記号化した。結果を表8に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 平均値3.5以上
○:良好 平均値2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均値1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均値1.5未満
Figure 2021013362
Figure 2021013362
表8の結果から明らかなように、本発明の実施例であるケーキ類用品質改良剤1〜9を添加した蒸しケーキ1〜9は、蒸し調理前の生地の気泡安定性が高く、蒸し調理後も外観、ボリューム向上効果、口どけともに好ましい評価であり、良好な品質であった。一方、比較例のケーキ類用品質改良剤10、11又は15を添加した蒸しケーキ10〜12では、本発明の課題(即ち、生地の気泡安定性を向上させ、且つ、口どけを良好にすること)が解決されているとは言えなかった。
[スポンジケーキの作製と評価]
(1)原材料
1)殺菌液卵(商品名:エクセルエッグHV;キユーピータマゴ社製)
2)上白糖(大日本明治製糖社製)
3)ケーキ類用品質改良剤(前記ケーキ類用品質改良剤1〜11又は15)
4)薄力粉(商品名:バイオレット;日清製粉社製)
5)水
6)菜種油(商品名:菜種白絞油;ボーソー油脂社製)
(2)原材料の配合
前記原材料を用いて作製したスポンジケーキ1〜13の配合組成を表9及び表10に示した。このうち、表9のスポンジケーキ1〜9は本発明の品質改良剤を添加して作製した実施例、表10のスポンジケーキ10〜12はそれらに対する比較例であり、スポンジケーキ13はケーキ類用品質改良剤を添加せずに作製した対照である。ここで、生地中に含まれる油脂の総量を揃えるため、スポンジケーキ13については、各ケーキ類用品質改良剤中の油相に相当する量だけ菜種油を多く配合して補正した。
なお、表9及び表10の配合割合は、使用する薄力粉の全量を100質量部とし、他の原材料の配合量をこれに対する比率に換算する「ベーカーズパーセント」で表記した。実際の薄力粉の使用量は200gである。
Figure 2021013362
Figure 2021013362
(3)スポンジケーキの作製方法
1)表9及び表10に示した配合に従い、殺菌液卵、上白糖及びケーキ類用品質改良剤を5コート縦型ミキサー(型式:万能混合攪拌機5DMr;ワイヤーホイッパー装着;三英製作所社製)に入れ、1分間低速で攪拌した後、比重が0.25g/cmになるまで高速で攪拌した。
2)その後、薄力粉を半量加えて低速で7秒間攪拌し、ミキサーの縁に付着した粉を落としてから残りの半量を加えてさらに7秒間攪拌した。
3)この時点で比重を測定した後、低速で攪拌しながら、水、菜種油をそれぞれ10秒ずつかけて加え、ミキサーの縁に付着した油を落とした後、さらに10秒間攪拌して均一に混合することでケーキ生地を得た。
4)得られたケーキ生地の比重を測定した後、これを300gずつ直径18cmの丸型に入れ、固定窯(型式:NANBAN BACKEN;七洋製作所社製)を用いて、上火170℃下火150℃で30分間焼成し、スポンジケーキ1〜13を各2台得た。
(4)生地の気泡安定性評価
各スポンジケーキにおける焼成前の生地について、気泡安定性を評価した。評価は、前記スポンジケーキの作製方法の工程3)において測定した比重と、工程4)において測定した比重との差から、水及び菜種油の影響による比重増加の程度を求める方法で行った。この比重増加の程度が小さいほど、水及び菜種油の影響による消泡が少なく、生地の気泡安定性が高いことを意味する。結果は下記基準に従って記号化し、表12に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 比重増加が0.04g/cm未満
○:良好 比重増加が0.04g/cm以上、0.05g/cm未満
△:やや悪い 比重増加が0.05g/cm以上、0.06g/cm未満
×:悪い 比重増加が0.06g/cm以上
(5)外観の評価
得られたスポンジケーキ1〜13各2台を室温で40分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて保存した。保存開始から24時間経過した時点で該スポンジケーキ各1台を取り出し、それらの外観(中央の陥没の程度)について、目視観察により評価を行った。結果は下記基準に従って記号化し、表12に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 中央の陥没が見られない
○:良好 中央の陥没がほとんど見られない
△:やや悪い やや中央が陥没している
×:悪い 明らかに中央が陥没している
(6)ボリューム向上効果の評価
ケーキ類用品質改良剤の添加によるボリューム向上効果を定量的に評価するため、ケーキ類用品質改良剤を用いずに作製したスポンジケーキ13を対照として比較試験を行った。評価は、前記24時間保存後のスポンジケーキを縦に半分に切り、中心部の高さをそれぞれ測定して、対照における中心部の高さとの差を求める方法で行った。この高さの差が大きいほど、対照に比べてスポンジケーキのボリュームが向上していたことを意味する。結果は下記基準に従って記号化し、表12に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 中心部の高さの差が3mm以上
○:良好 中心部の高さの差が2mm以上、3mm未満
△:やや悪い 中心部の高さの差が1mm以上、2mm未満
×:悪い 中心部の高さの差が1mm未満
(7)官能評価
前記24時間保存後のスポンジケーキの口どけについて官能評価を行った。評価は表11に示す評価基準に従って、10名のパネラーで行い、結果は10名の評点の平均値を下記の基準に従って記号化した。結果を表12に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 平均値3.5以上、
○:良好 平均値2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均値1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均値1.5未満
Figure 2021013362
(8)老化抑制効果の評価
前記24時間保存後のスポンジケーキの下部を1.5cmの厚さにスライスした後、縦2cm×横2cmのピースにカットした。その後、テクスチャーアナライザー(商品名:Stable Micro Systems TA XT.plus;英弘精機社製)を用いて、該ピースの表面から侵入速度1mm/secにてプランジャー(直径2.5cm、高さ4cmの円柱状)を7mm押し込んだ時点の応力(g)を測定し、この数値を該スポンジケーキの硬さとした。また、別途保存していたもう1台のスポンジケーキについても、保存開始から96時間経過した時点で取り出し、同様にして硬さを測定した。測定した硬さを下記式に当てはめ、24時間保存時点から96時間保存時点までの期間における硬さの変化率を算出した。この数値が大きいほど、該期間中にスポンジケーキの老化が進行したことを意味する。結果は下記基準に従って記号化し、表12に示す。
〔記号化基準〕
◎:極めて良好 硬さの変化率が120%未満
○:良好 硬さの変化率が120%以上、130%未満
△:やや悪い 硬さの変化率が130%以上、140%未満
×:悪い 硬さの変化率が140%以上
Figure 2021013362
Figure 2021013362
表12の結果から明らかなように、本発明の実施例であるケーキ類用品質改良剤1〜9を添加したスポンジケーキ1〜9は、焼成前の生地の気泡安定性が高く、焼成後も外観、ボリューム向上効果、口どけ、老化抑制効果ともに好ましい評価であり、良好な品質であった。一方、比較例のケーキ類用品質改良剤10、11又は15を添加したスポンジケーキ10〜12では、本発明の課題(即ち、生地の気泡安定性を向上させ、且つ、口どけを良好にすること)が解決されているとは言えなかった。

Claims (2)

  1. (a)カゼインナトリウム及び(b)DE値が7〜11である分岐デキストリンを含有する水中油型乳化組成物であることを特徴とするケーキ類用品質改良剤。
  2. 請求項1に記載のケーキ類用品質改良剤を卵又は卵を含有する混合物に添加する工程の後に、該卵又は卵を含有する混合物を起泡させる工程を含むことを特徴とするケーキ類の製造方法。
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