JP2021011417A - 厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、および厚膜抵抗体 - Google Patents

厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、および厚膜抵抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】銀、パラジウム、ルテニウム系材料などの高価な材料を使用することなく、100mΩ/□〜15Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有し、かつ、良好な特性を備えた厚膜抵抗体、このような厚膜抵抗体を形成するための厚膜抵抗体用組成物および厚膜抵抗体用ペーストを提供する。【課題を解決するための手段】本発明の厚膜抵抗体用組成物は、導電性粉末と、鉛を実質的に含まないガラスフリットとを含み、導電性粉末は、銅、ニッケル、およびニッケル酸ランタンからなり、銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲、ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下、および、ガラスフリットの含有量は5質量%〜50質量%の範囲にある。【選択図】なし

Description

本発明は、チップ抵抗器やハイブリッドICなどの抵抗部品における厚膜抵抗体の形成に使用される、厚膜抵抗体用組成物および厚膜抵抗体用ペースト、並びに、これらを用いて形成された厚膜抵抗体に関する。
従来、電子部品のうちの抵抗部品としては、抵抗ペーストを用いて形成される厚膜抵抗体と、膜形成材料のスパッタリングなどにより形成される薄膜抵抗体とが存在する。これらのうち、厚膜抵抗体は、その製造設備が安価で、かつ、その生産性も高いことから、チップ抵抗器やハイブリッドICなどの抵抗部品として、広範に利用されている。
厚膜抵抗体は、厚膜抵抗体用ペーストをセラミックス基板上に印刷し、焼成することにより形成される。この厚膜抵抗体用ペーストは、導電性粉末と、ガラスフリットと、これらを印刷に適したペースト状にするための有機ビヒクルとにより、実質的に構成される。
導電性粉末としては、二酸化ルテニウム(RuO)やパイロクロア型ルテニウム系酸化物(PbRu7−X、BiRuO7)などのルテニウム(Ru)化合物が、一般的に使用されている。導電性粉末として二酸化ルテニウムやルテニウム化合物が使用される理由は、主にその濃度の変化に対して抵抗値がなだらかに変化するという特性を有するためである。
しかしながら、これらのルテニウム系では、抵抗値を下げるのには限界があり、その面積抵抗値の下限は10Ω/□程度、実用的には100Ω/□程度である。
これに対して、特開平04−206602号公報には、導電性粉末として、貴金属粉末、より具体的には、銀44重量%〜47重量%とパラジウム53重量%〜56重量%の組成を有する貴金属粉末を採用した厚膜抵抗体用組成物が開示されている。また、これらの貴金属粉末とルテニウム系材料粉末とからなる厚膜抵抗体用組成物も知られている。これらの厚膜抵抗体用組成物を用いて形成された厚膜抵抗体は、100mΩ/□〜10Ω/□の範囲にある低い面積抵抗値を有する。
特開平11−288801号公報には、導電性粉末として、銅系導体、より具体的には、銅粉とニッケル粉の混合粉(Cu/Ni=60/40〜80/20)を採用した厚膜抵抗体用ペーストが開示されている。この銅系の厚膜抵抗体用ペーストは、銀系の厚膜抵抗体用ペーストよりも低コストで得られる。かかる厚膜抵抗体用ペーストを窒素雰囲気下で焼成することにより、厚膜抵抗体が形成される。
特開平04−206602号公報 特開平11−288801号公報
しかしながら、銀およびパラジウムは、価格が高いという問題がある。特に、厚膜抵抗体の温度特性を良好なものとするためには、非常に高価なパラジウムを多く使用する必要がある。また、銀系の電極、抵抗体にはエレクトロマイグレ−ションを引き起こす可能性がある。
さらに、銅およびニッケルを用いた厚膜抵抗体では、その面積抵抗値が1Ω/□未満となって、1Ω/□〜10Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有する厚膜抵抗体を得ることができない。厚膜抵抗体のガラス量を増やしてその面積抵抗値を1Ω/□以上まで上げることは可能であるが、この場合には厚膜抵抗体の特性が悪化してしまうという問題がある。
本発明は、銀、パラジウム、ルテニウム系材料などの高価な材料を使用することなく、100mΩ/□〜15Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有し、かつ、良好な特性を備えた厚膜抵抗体、および、このような厚膜抵抗体を形成するための厚膜抵抗体用組成物および厚膜抵抗体用ペーストを提供することを目的とする。
本発明の厚膜抵抗体用組成物は、導電性粉末と、鉛を実質的に含まないガラスフリットとを含み、
前記導電性粉末は、銅、ニッケル、および、ニッケル酸ランタンからなり、
前記銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲にあり、前記ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲にあり、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下であり、および、前記ガラスフリットの含有量は5質量%〜50質量%の範囲にある、
ことを特徴とする。
前記導電性粉末は、銅およびニッケルからなる粉末と、ニッケル酸ランタン粉末とからなり、前記銅およびニッケルからなる粉末は、0.1μm〜3.0μmの範囲にあるBET法による平均粒径を有し、前記ニッケル酸ランタン粉末は、0.01μm〜0.2μmの範囲にあるBET法による平均粒径を有することが好ましい。
前記ガラスフリットは、5μm以下のレーザー式粒度分布測定による平均粒径D50を有することが好ましい。
本発明の厚膜抵抗体用ペーストは、厚膜抵抗体用組成物と有機ビヒクルとを含み、前記厚膜抵抗体用組成物として、本発明の厚膜抵抗体用組成物が用いられていることを特徴とする。
前記有機ビヒクルの含有量は、前記厚膜抵抗体用ペースト全体に対して、20質量%〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
本発明の厚膜抵抗体は、導電性成分と、鉛を実質的に含まないガラス成分とを含む焼成体からなり、
前記導電性成分は、銅、ニッケル、および、ニッケル酸ランタンからなり、
前記銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲にあり、前記ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲にあり、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下であり、および、前記ガラス成分の含有量は5質量%〜50質量%の範囲にある、
ことを特徴とする。
本発明によれば、銅およびニッケル系であって、すなわち、高価な銀、パラジウム、および、ルテニウム系材料を使用することなく、良好な特性を有し、かつ、100mΩ/□〜15Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有する、低抵抗の厚膜抵抗体を提供することが可能となる。
以下、本発明の厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、および、厚膜抵抗体について、詳細に説明する。
(1)厚膜抵抗体用組成物
本発明の厚膜抵抗体用組成物は、導電性粉末およびガラスフリットを主成分とする。
[導電性粉末]
本発明の厚膜抵抗体用組成物を構成する導電性粉末は、銅、ニッケル、および、ニッケル酸ランタンからなる。
導電性粉末の存在形態については限定されることはないが、本発明の導電性粉末は、通常、銅およびニッケルからなる粉末と、ニッケル酸ランタン粉末とにより構成される。
銅およびニッケルからなる粉末についても、その存在形態について限定されることはない。すなわち、銅粉末とニッケル粉末との混合粉末、銅ニッケル複合粉末、銅ニッケル合金粉末のいずれも用いることできる。
これらの銅およびニッケルからなる粉末のBET法による平均粒径は、0.1μm〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
導電性粉末のうちのニッケル酸ランタン粉末を構成するニッケル酸ランタン(LaNiO:「LNO」と略記される)は、ペロブスカイト型の結晶構造を有し、電気抵抗が比較的小さな金属的導電性酸化物である。銀系抵抗体における二酸化ルテニウムの働きと同様に、ニッケル酸ランタンは、金属とガラスだけの電気的に不安定な状態を安定なものにする働きを有する。このため、厚膜抵抗体において、抵抗値を十分に低下させる機能を有する。
本発明において、ニッケル酸ランタン粉末のBET法による平均粒径は、0.01μm〜0.2μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜0.1μmの範囲にあることがより好ましい。これにより、焼成により得られる厚膜抵抗体において、導電パスが微細となり、その抵抗値のばらつきを抑制することが可能となる。
なお、「BET法による平均粒径」とは、粉末粒子を球体と見なして比表面積より算出するものであり、以下の式により求めることができる。
平均粒径(μm)={6/(理論密度(g/cm)×比表面積(m/g))}
本発明の厚膜抵抗体用組成物において、銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲にあり、ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲にあり、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下である。
ニッケル酸ランタンの含有量は、厚膜抵抗体の抵抗値に応じて適宜決定され、厚膜抵抗体を高抵抗に構成する場合に、ニッケル酸ランタンの含有量が20質量%を超えると、厚膜抵抗体を構成する抵抗膜が脆くなってしまう。また、ブレンド性を考慮すると厚膜抵抗体を低抵抗に構成する場合でも、0質量%を超える僅かな量だけニッケル酸ランタンを配合する必要がある。
銅およびニッケルの含有量についても、厚膜抵抗体の抵抗値に応じて適宜決定される。また、厚膜抵抗体の抵抗温度係数(TCR)を小さくする場合における、銅とニッケルの含有比率については、銅とニッケルの比率が、75:25〜65:35の範囲にあるようにすることが好ましく、70:30とすることがより好ましい。
導電性粉末を構成するそれぞれの粉末の製法に関しては、特に制限はなく、種々の製法で得られた粉末を使用することができる。
本発明の厚膜抵抗体用組成物において、導電性粉末を構成する、銅およびニッケルからなる粉末、および、ニッケル酸ランタン粉末の含有量は、厚膜抵抗体の抵抗値、導電性粉末およびガラスフリットの種類および粒径に応じて、適宜調整される。たとえば、面積抵抗値を100mΩ/□〜1Ω/□とする場合には、銅およびニッケルからなる粉末の含有量を相対的に多くして、ニッケル酸ランタン粉末およびガラスフリット粉末の含有量を相対的に少なくする。面積抵抗値が1Ω/□以上の場合には、面積抵抗値が高くなるにつれて、銅およびニッケルからなる粉末の含有量を相対的に減少させて、ニッケル酸ランタン粉末およびガラスフリット粉末の含有量を相対的に増加させる。
[ガラスフリット]
本発明の厚膜抵抗体用組成物を構成するガラスフリットは、鉛を実質的に含まないガラスにより構成される。
ここで、ガラスフリットにおける「鉛を実質的に含まない」とは、ガラスフリットにおける鉛の含有量がRoHS指令の規制値(0.1質量%)以下であるか、または、鉛の含有量が通常の測定機器において検出限界以下であることを意味する。
本発明の厚膜抵抗体用組成物を構成するガラスフリットにおける、その他のガラス成分については、基本的には限定されない。ガラスフリットとして、アルミノホウケイ酸アルカリ土類亜鉛ガラス(SiO−B−RO−ZnO−Al:RはCa、Sr、およびBaから選択される少なくとも1種)、ホウケイ酸ガラス(SiO−B)、アルミノホウケイ酸ガラス(SiO−B−Al)、あるいはホウケイ酸アルカリ土類ガラス(SiO−B−RO:RはCa、Sr、およびBaから選択される少なくとも1種)を、好適に用いることができる。
ガラスフリットは、5μm以下、具体的には、0.5μm〜5.0μmの範囲にあるレーザー式粒度分布測定による平均粒径D50を有することが好ましい。所望の平均粒径のガラスフリットを得るためには、熔融し冷却したガラスフリットを、ボールミル、ジェットミルなどの公知の粉砕方法を用いて粉砕すればよい。ガラスフリットのレーザー式粒度分布測定による平均粒径D50は、1.0μm〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
厚膜抵抗体用組成物におけるガラスフリットの含有量についても、上述のように、得られる厚膜抵抗体における所望の抵抗値、導電性粉末およびガラスフリットの種類および粒径に応じて、適宜調整される。ガラスフリットの含有量は、5質量%〜60質量%の範囲にあることが好ましく、5質量%〜50質量%の範囲にあることがより好ましく、7質量%〜30質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[任意の含有成分]
本発明の厚膜抵抗体用組成物において、導電性粉末とガラスフリットのほかに、他の添加剤を添加することも可能である。たとえば、厚膜抵抗体における、抵抗値や抵抗温度係数などの電気的特性や温度特性の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上、その他の改質を目的として、本発明の厚膜抵抗体用組成物は、酸化マンガン、酸化銅、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化チタンなどの無機成分を、適宜含有することができる。
これらの無機成分の含有量は、導電性粉末とガラスフリットの合計質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下の範囲とすることが一般的である。
(2)厚膜抵抗体用ペースト
本発明の厚膜抵抗体用ペーストは、厚膜抵抗体用組成物と有機ビヒクルとを含み、該厚膜抵抗体用組成物として、上記の本発明の厚膜抵抗体用組成物が用いられていることを特徴とする。具体的には、本発明の厚膜抵抗体用ペーストは、本発明の厚膜抵抗体用組成物と有機ビヒクルの混練物により構成される。以下、詳細を説明する。
[有機ビヒクル]
厚膜抵抗体用ペーストを構成する有機ビヒクルは、少なくとも樹脂と溶剤により構成される。
有機ビヒクルとして用いることができる樹脂としては、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、メチルスチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、窒素雰囲気焼成においてガラスが軟化する前の温度で分解する樹脂が好ましい。より好ましくは、500℃以下の温度で分解する樹脂が好ましい。
樹脂を溶解する溶剤としては、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートなどを用いることができる。
これらの樹脂と溶剤により調合された有機ビヒクルの樹脂と溶剤の配合比は、所望する粘度や用途によって適宜調整することができる。
また、厚膜抵抗体用ペーストに要求される連続印刷性を考慮し、ペーストの乾燥速度を制御する観点から、高い沸点を有する可塑剤をさらに加えることができる。この場合の可塑剤の配合比も、所望する乾燥速度に応じて適宜調整することができる。
厚膜抵抗体用ペーストに対する有機ビヒクルの含有量は特に限定されることはないが、厚膜抵抗体用ペースト全体に対して、20質量%〜50質量%とすることが一般的である。
[その他の成分]
本発明の厚膜抵抗体用ペーストは、厚膜抵抗体用組成物と有機ビヒクルのほかに、添加剤を含むことができる。たとえば、導電性粉末やその他の無機成分などの凝集を防ぐ観点から、分散剤を含むことができる。また、塗布作業性の観点から、レオロジーコントロール剤を含むことができる。
[厚膜抵抗体用ペーストの調製方法]
厚膜抵抗体用ペーストの調製は、公知の技術を用いればよく、たとえば、3本ロールミル、ボールミルなどを用いることができる。
厚膜抵抗体用ペーストでは、導電性粉末、ガラスフリット、および、その他の無機成分などの凝集を解し、これらを有機ビヒクル中に分散させることが望ましい。
(3)厚膜抵抗体
本発明の厚膜抵抗体は、導電性成分とガラス成分とを含む焼成体からなる。前記導電性成分は、銅、ニッケル、ニッケル酸ランタンを含む。前記ガラス成分は、鉛を実質的に含まないことを特徴とする。すなわち、本発明の厚膜抵抗体は、本発明の厚膜抵抗体用ペーストを用いて形成され、本発明の厚膜抵抗体用組成物の焼成体により構成される。
したがって、導電性成分は、本発明の厚膜抵抗体用組成物を構成する導電性粉末と同様の組成となり、ガラス成分は、本発明の厚膜抵抗体用組成物を構成するガラスフリットと同様の組成となる。具体的には、銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲にあり、ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲にあり、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下である。これらの詳細な説明については、厚膜抵抗体用組成物における内容と同様であるため、ここでは省略する。
以下、厚膜抵抗体の製造方法について説明する。なお、厚膜抵抗体の抵抗値は厚膜抵抗体中の導電性成分とガラス成分の割合で適宜調整することが可能である。
[厚膜抵抗体の製造方法]
本発明の厚膜抵抗体の製造方法は、以下の内容に限定されるものではなく、処理条件などについては、公知の手段および方法を用いて、適宜変更することができる。
まず、厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗布する塗布工程を行う。すなわち、アルミナ(Al)などのセラミックス基板上に銅などからなる電極を形成し、その上に、本発明の厚膜抵抗体用ペーストを、スクリーン印刷などの手段により塗布する。
次に、厚膜抵抗体用ペーストが塗布された基板を焼成する焼成工程を行い、厚膜抵抗体を作製する。具体的には、塗布工程において、基板に塗布された厚膜抵抗体用ペーストを、オーブンなどを用いて乾燥させて、その後、ベルト炉などを用いて窒素雰囲気で焼成して、導電性成分とガラス成分とを含む焼成体を得る。なお、基本的には、厚膜抵抗体用ペーストに含まれていた、導電性粉末およびガラスフリットに起因する以外の成分、すなわち、有機ビヒクルを構成する樹脂および溶剤、さらには、その他の有機物添加剤は、焼成工程を経てすべて分解される。
以上のような工程により、本発明の厚膜抵抗体が得られる。
本発明の厚膜抵抗体によれば、銅、ニッケル、ニッケル酸ランタンを含む導電性成分と、鉛を実質的に含まないガラス成分とにより少なくとも構成される。よって、鉛を実質的に含有せず、かつ、100mΩ/□〜15Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有し、かつ、良好な特性を有する厚膜抵抗体が提供される。
[抵抗値]
本発明の厚膜抵抗体の抵抗値は、抵抗体幅と抵抗体長さの比を1:100とした抵抗値から計算した面積抵抗値で評価される。本発明の厚膜抵抗体は、100mΩ/□〜15Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有する。
[抵抗温度係数(TCR)]
抵抗温度係数(TCR)は、厚膜抵抗体の熱的安定性(温度特性)の指標となる。抵抗温度係数は次のように計算される。なお、抵抗温度係数のは単位は、ppm/℃である。
高温抵抗温度係数(HTCR)=[(R125−R25)/R25(125−25)]×10
低温抵抗温度係数(CTCR)=[(R−55−R25)/R25(−55−25)]×10
ここで、R25は25℃での抵抗値、R125は125℃での抵抗値、R−55は−55℃での抵抗値である。
高温抵抗温度係数(HTCR)および低温抵抗温度係数(CTCR)はいずれも、±100ppm/℃以内であることが好ましい。
[負荷特性]
負荷特性は、厚膜抵抗体の電流負荷に対する安定性(電気的特性の安定性)の指標となる。本発明においては、負荷特性として、200pFのコンデンサに2kVで充電した電荷を抵抗体に5回放電したときの抵抗値変化率の測定値(ΔR)を採用している。
この抵抗値変化率(ΔR)は、1%以下であることが好ましい。
本発明の厚膜抵抗体は、導電性成分とガラス成分のほかに、酸化マンガン、酸化銅、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化チタンなどの無機成分を含むことができる。
以上においては、主として特定の実施形態を用いて本発明について説明を行い、また、本発明を実施するための最良の構成、方法などについて開示を行った。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成に関して、当業者が、省略、追加、変更ないしは修正を加えることは可能であり、これらについても、本発明の範囲に包含される。
以下、本発明の実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定させるものではない。
(実施例1)
[厚膜抵抗体用組成物]
〔導電性粉末〕
導電性粉末として、銅粉末、ニッケル粉末、ニッケル酸ランタン粉末を使用した。
銅粉末には、BET法による平均粒径が2.5μmであるアトマイズ銅粉末を用いた。
ニッケル粉末には、水酸化ニッケルを400℃で水素還元して得た、BET法による平均粒径が0.5μmであるニッケル粉末を用いた。
ニッケル酸ランタン粉末には、塩化ニッケルと硝酸ランタンとアルカリにて得た共沈物を焙焼することによって作製した、BET法による平均粒径が0.05μmであるニッケル酸ランタン粉末を用いた。
〔ガラスフリット〕
ガラスフリットには、37重量%BaO−43重量%SiO−7重量%B−13重量%Alの組成のガラスフリットを用いた。このガラスフリットは、通常の手段である、混合、溶融、急冷、および粉砕の工程を経ることによって作製した。なお、粉砕工程後のガラスフリットのレーザー式粒度分布測定器を用いた測定により得られた平均粒径D50は、2.0μmであった。
銅粉末:63.5質量%、ニッケル粉末:27.2質量%、ニッケル酸ランタン粉末:1.5質量%、および、ガラスフリット:7.7質量%を混合して、厚膜抵抗体用組成物を得た。厚膜抵抗体用組成物の組成を表1に示す。
[厚膜抵抗体用ペースト]
厚膜抵抗体用組成物:70質量%、および、アクリルとターピネオールを主成分とする有機ビヒクル(アクリル:ターピネオールは、1:4):30質量%を混合し、三本ロ−ルミルで混練して抵抗ペーストを作製した。
あらかじめ銅ペーストを用いて電極を形成しておいたアルミナ基板上に、厚膜抵抗体用ペーストを、幅0.5mm×長さ50mmのパターンにスクリーン印刷し、次に、厚膜抵抗体用ペーストを、150℃で10分間乾燥し、その後、ベルト焼成炉を用いて、窒素雰囲気中、ピ−ク温度:900℃で10分間、厚膜抵抗体用ペーストを焼成して、厚膜抵抗体を得た。
[厚膜抵抗体の評価]
次に、得られた厚膜抵抗体の特性(面積抵抗値、抵抗温度係数(TCR)、負荷特性)を測定した。
ここで、抵抗値は、マルチメータ(KEITHLEY社製、Model2001)を用いて4端子法にて測定し、その面積抵抗値を算出した。
次に、高温抵抗温度係数(HTCR)および低温抵抗温度係数(CTCR)を、得られた面積抵抗値を用いて、次式により計算した。なお、抵抗温度係数の単位は、ppm/℃である。
高温抵抗温度係数(HTCR)=[(R125−R25)/R25(125−25)]×10
低温抵抗温度係数(CTCR)=[(R−55−R25)/R25(−55−25)]×10
ここで、R25は25℃での抵抗値、R125は125℃での抵抗値、R−55は−55℃での抵抗値である。
また、負荷特性として、200pFのコンデンサに2kVで充電した電荷を、厚膜抵抗体に5回放電したとき後に測定して得られた抵抗値の変化率を求めた。
厚膜抵抗体のそれぞれの特性について、表2に示す。
実施例2および3、並びに、比較例1〜4については、厚膜抵抗体用組成物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、厚膜抵抗体用ペーストおよび厚膜抵抗体を作製して、得られた厚膜抵抗体の特性を測定した。実施例2および実施例3および比較例2〜比較例4についても、厚膜抵抗体の特性について、表1に示す。なお、比較例1については、厚膜抵抗体を構成する抵抗膜が脆いため、その特性の評価は行わなかった。
Figure 2021011417
Figure 2021011417
以上の実施例と比較例で作製された厚膜抵抗体の特性の比較から、本発明による厚膜抵抗体は、100mΩ/□〜15Ω/□の範囲にある面積抵抗値を有し、かつ、高温抵抗温度係数(HTCR)および低温抵抗温度係数(CTCR)の絶対値、並びに、負荷特性を示す抵抗値変化率の値が小さいものとなっており、厚膜抵抗体として優れていることが明らかである。

Claims (6)

  1. 導電性粉末と、鉛を実質的に含まないガラスフリットとを含み、
    前記導電性粉末は、銅、ニッケル、および、ニッケル酸ランタンからなり、
    前記銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲にあり、前記ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲にあり、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下であり、および、前記ガラスフリットの含有量は5質量%〜50質量%の範囲にある、厚膜抵抗体用組成物。
  2. 前記導電性粉末は、銅およびニッケルからなる粉末と、ニッケル酸ランタン粉末とからなり、前記銅およびニッケルからなる粉末は、0.1μm〜3.0μmの範囲にあるBET法による平均粒径を有し、前記ニッケル酸ランタン粉末は、0.01μm〜0.2μmの範囲にあるBET法による平均粒径を有する、請求項1に記載の厚膜抵抗体用組成物。
  3. 前記ガラスフリットは、5μm以下のレーザー式粒度分布測定による平均粒径D50を有する、請求項1または2に記載の厚膜抵抗体用組成物。
  4. 厚膜抵抗体用組成物と有機ビヒクルとを含み、前記厚膜抵抗体用組成物として、請求項1〜3のいずれかに記載の厚膜抵抗体用組成物が用いられている、厚膜抵抗体用ペースト。
  5. 前記有機ビヒクルの含有量は、前記厚膜抵抗体用ペースト全体に対して、20質量%〜50質量%の範囲にある、請求項4に記載の厚膜抵抗体用ペースト。
  6. 導電性成分と、鉛を実質的に含まないガラス成分とを含む焼成体からなり、
    前記導電性成分は、銅、ニッケル、および、ニッケル酸ランタンからなり、
    前記銅の含有量は30質量%〜70質量%の範囲にあり、前記ニッケルの含有量は10質量%〜35質量%の範囲にあり、ニッケル酸ランタンの含有量は0質量%を超えて20質量%以下であり、および、前記ガラス成分の含有量は5質量%〜50質量%の範囲にある、
    厚膜抵抗体。
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