JP2021004014A - 作業車両 - Google Patents

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泰典 小林
Taisuke Kobayashi
泰典 小林
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Abstract

【課題】運転席に着座した作業者の体格に応じて、車体からの振動を適切に設定することができるようにする。【解決手段】作業車両は、横軸62周りに枢支された運転席10と、運転席10の側方に設けられ且つ走行又は作業に関する操作を行う操作具と、運転席10の下部に設けられたサスペンション63と、サスペンション63を運転席10に対して移動させる移動装置64と、を備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、例えばトラクタ等の作業車両に関する。
従来、特許文献1に開示された作業車両が知られている。
特許文献1に開示の作業車両は、運転席と、運転席の側方に設けられたアームレストと、を備えている。
特開平6−336129号公報
トラクタ等の作業車両において、振動抑制装置を備えたキャビンや運転席の技術は開発されているが、運転者の体格によってその重心位置が異なるため、単一の支持構造や従来からの振動抑制装置では適切に振動を吸収できない虞がある。また、運転者が操作したときに感じる操作感に個人差があるため、振動抑制装置による振動の設定が難しいという問題がある。
本発明は、上記したような実情に鑑みて、運転席に着座した作業者の体格に応じて、車体からの振動を適切に設定することが可能な運転席を備えた作業車両を提供する。
本発明の一態様に係る作業車両は、横軸周りに枢支された運転席と、前記運転席の側方に設けられ且つ走行又は作業に関する操作を行う操作具と、前記運転席の下部に設けられたサスペンションと、前記サスペンションを前記運転席に対して移動させる移動装置と、を備えている。
上記作業車両の運転席によれば、運転席に着座した作業者の体重や着座位置に応じて、車体からの振動を適切に設定することが可能となる。
運転席及びアームレストの平面図である。 作業車両の平面図である。 作業車両の側面図である。 運転席を側面視した図である。 運転席の振動挙動を解析するためのモデルを示した図である。 運転席の振動挙動の解析結果を示したグラフである(m=50kg)。 運転席の振動挙動の解析結果を示したグラフである(m=70kg)。 運転席の振動挙動の解析結果を示したグラフである(m=90kg)。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は作業車両1の平面図であり、図3は作業車両1の側面図である。作業車両1は、農作業を行うための車両であり、本実施形態の場合はトラクタである。以下、作業車両1がトラクタ1であるとして説明する。但し、作業車両1はトラクタには限定されない。
以下の説明において、トラクタ1の運転席10に着座した運転者の前側(図2、図3の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(図2、図3の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(図2の矢印B1方向)を左方、運転者の右側(図2の矢印B2方向)を右方として説明する。また、図2、図3の矢印K1で示す方向を前後方向として説明する。また、前後方向に直交する水平方向(図3の矢印K2方向)を車体幅方向という。また、車体幅方向であって、トラクタ1の中央部から右部又は左部へ向かう方向を車体外方という。また、車体幅方向であって、トラクタ1の右部又は左部からトラクタ1の中央部へ向かう方向を車体内方という。
図2、図3に示すように、トラクタ1は、車体2と、走行装置3と、連結部4と、を備えている。
図3に示すように、車体2は、車体フレーム5と、クラッチハウジング6と、ミッションケース7とを有している。車体フレーム5は、車体2の前後方向に延びている。車体フレーム5には、原動機8が搭載されている。本実施形態の場合、原動機8はエンジン8である。エンジン8の上方は、ボンネット29により覆われている。クラッチハウジング6は、エンジン8の後部に連設されており、クラッチを収容している。ミッションケース7は、クラッチハウジング6の後部に連結されており、変速装置や後輪差動装置等を収容している。変速装置は、主変速装置と副変速装置とを含む。ミッションケース7の後方にはPTO軸9が突出している。
走行装置3は、車体2の前部に設けられた前輪3Fと、車体2の後部に設けられた後輪3Rとを有している。前輪3Fは、車体フレーム5に支持されている。後輪3Rは、後輪差動装置の出力軸に支持されている。後輪3Rは、タイヤであってもよいし、クローラであってもよい。
連結部4は、車体2の後部に設けられている。連結部4は、圃場(農地)等に対して作業を行う作業装置(対地作業機)をトラクタ1の後部に連結するための部分である。作業装置は、例えばPTO軸9から伝達される駆動力によって駆動する。具体的には、作業装置は、耕耘機、散布機、播種機等であるが、これらに限定はされない。
連結部4は、油圧シリンダ等のアクチュエータにより駆動して作業装置を上昇又は下降させる昇降装置である(以下、「昇降装置4」ともいう)。本実施形態の場合、昇降装置4は、3点リンク機構であって、リフトアーム4a、ロアーリンク4b、トップリンク4c、リフトロッド4d、リフトシリンダ4eを有している。また、車体2の後部には、作業装置を水平に維持するための水平制御装置(モンロー)が設けられている。
車体2には、運転席10と、運転席10を囲うキャビン11が搭載されている。図1に示すように、運転席10の前方には、ステアリングホイールが設けられている。ステアリングホイールは、操縦台の上部に設けられたコラムカバーの上部に支持されている。
運転席10の前方であって、ステアリングホイールの下方には、アクセルペダル、左側のブレーキペダル、右側のブレーキペダル、クラッチペダル、ブレーキペダルの連結を解除する連結解除ペダルが設けられている。
トラクタ1は、走行系や作業系の制御を行う制御装置(図示略)を備えている。制御装置は、演算部(CPU等)や記憶部(メモリ)等を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて所定の制御を実行する。より具体的には、制御装置は、運転席10の周囲に設置された操作具(レバー、スイッチ、ダイヤル等)を操作したときの操作信号や、車体2に搭載された様々なセンサの検出信号等に基づいてトラクタ1の走行系や作業系の制御を行う。例えば、制御装置は、操作具からの操作信号に基づく昇降装置4の昇降に関する制御や、アクセルペダルセンサからの検出信号に基づくエンジン8の回転数の制御等を実行する。
図1に示すように、運転席10の一側方(右方)には、アームレスト20が設けられている。アームレスト20は、長手方向が前後方向を向き、短手方向が車体幅方向を向いて配置されている。以下、アームレスト20の短手方向をアームレスト20の幅方向という。アームレスト20の幅方向は、アームレスト20の長手方向と直交する方向であって、車体幅方向と同じ方向である。
アームレスト20は、第1部分21と第2部分22とを有している。第1部分21は、アームレスト20の長手方向一方側(前側)に設けられている。第2部分22は、アームレスト20の長手方向他方側(後側)に設けられている。つまり、第1部分21は、第2部分22の前方に設けられている。
先ず、アームレスト20の第1部分21について説明する。
図1に示すように、第1部分21は、前後方向において、運転席10の背もたれ部10aの前方に配置されている。第1部分21は、前後方向において、運転席10の座部10bとオーバーラップしている。第1部分21の前端部(アームレスト20の前端部)は、
運転席10の座部10bよりも前方に位置している。
図1に示すように、第1部分21の表面(以下、「第1表面部21」という)には、走行及び/又は作業に関する操作を行うための操作具30が設けられている。図3〜図6に示すように、第1表面部21は、第1上面21U、第1下面、第1左側面21L、第1右側面、第1前面を有している。
図2、図3に示すように、キャビン11の側方且つ下方には乗降ステップ140が設けられている。乗降ステップ140は、キャビン11の左方と右方とにそれぞれ設けられている。乗降ステップ140は、前輪3Fと後輪3Rとの間に設けられている。乗降ステップ140は、上段ステップ141と下段ステップ142とを含む。上段ステップ141は、キャビン11の乗降口88の下方に設けられている。下段ステップ142は、上段ステップ141の下方に設けられている。
さて、本実施形態の作業車両1に備えられた運転席10には、特徴的な構成が設けられている。
図4は、運転席10を模式的に示した側面図である。
運転席10は、座部60と、座部60の後端側から上方へ立ち上がるように設けられている背部61とを有している。この背部61は前後にリクライニング可能となっている。
背部61の下部はキャビン11の床に設置されている。特に、図4に示すように、運転席10の後部端は、水平方向を向く横軸62により、床に対して左右軸心回りに揺動可能となっており、運転席10の座部60の前端が上下方向に揺動可能となっている。
運転席10の座部60の下面には、バネ65を含む防振部材で構成されたサスペンション63が配備されている。このサスペンション63は、運転席10に対して当該サスペンション63を移動させる移動装置64とにより座部60の下面を前後方向へ移動可能となっている。サスペンション63を構成するバネ65などが外部へ露見しないよう、ゴム製の蛇腹状とされた覆い体で、サスペンション63の周囲を囲うように覆われている。
具体的には、移動装置64は、座部60の下面には前後方向を向く1または複数の座部レール部材66が形成されており、この座部レール部材66に対向して配置されるように、車体10(キャビン11の床部の上)にも前後方向を向く1または複数の床レール部材67が設けられている。
座部レール部材66と床レール部材67と間にサスペンション63が設けられており、座部60をキャビン11の床上で支えている。サスペンション63は両レール部材66、67に沿って、サスペンション63に備えられた車輪68などの移動体が座部レール部材66及び床レール部材67に沿って移動することにより、サスペンション63は座部60に対して移動自在となっている。サスペンション63は、座部60の前側から座部60の後側の横軸62との間の前後距離を移動することができる。移動体は、車輪68に限定されず、座部レール部材66及び床レール部材67に沿ってスライドするスライダであってもよい。
このように、サスペンション63の位置と横軸62との位置(前後方向の距離)とが可変となることにより、運転席10の振動の状態が異なるものとなる。
図5は、サスペンション63の位置と横軸62との位置(前後方向の距離)とを可変とした際の、運転席10の振動の様子をシミュレーションする実験を行った時の様子を示したものである。
運転席10には座部60の前後方向中央(0.5×l、lは座部60の前後長さ)に、質量mの運転者が座っていることを想定している。サスペンション63は、横軸62の位置を原点として前方側へa×lの位置に存在するものとする。
すると、以下の示す運動方程式が成立することになる。なお、座部60の質量(シート重量)は無視したものとしている。
Figure 2021004014
上記方程式を解くと、数2の解を得る。
Figure 2021004014
この解を基に、上記したaを可変とし(言い換えれば、サスペンション63の位置を変更し)シミュレーションを行った結果を図6A〜図6Cに示す。このとき、m=50kg、70kg、90kgとしている。図6A〜図6Cでは、作業車両の振動として、18Hzと25Hzに対する振動伝達倍率をラインで示している。また、a=1.00は、サスペンション63の位置が最も背部61から離れている座部60の前端に対応し、a=0.25は、サスペンション63の位置が背部61に近い側を示している。
図6A〜図6Cに示すように、運転者の体重が50kgの場合、a=1.00のときが運転者へ振動が伝わりにくいことが明らかとなった。運転者の体重が70kgの場合、18Hzの振動が気になる場合はa=1.00とし、25Hzの振動が気になる場合は、a=0.25とすると良いことがわかった。運転者の体重が90kgの場合、a=0.25のときに最も車体2からの振動が運転者へ伝わりにくいことが明らかとなった。一方、0〜50Hzにおいて、a=0.25,0.50,0.75では振動が大きくなるピークが存在し、位置によって振動の大きさが異なる。したがって、作業車両1において、作業車両1の全体の振動と運転席10の振動との互いの揺れ方を、サスペンション63の位置を変更することにより調整することができ、作業車両1の全体の振動と運転席10の振動とを同調させることができる。
上記作業車両によれば、以下の効果を奏する。
作業車両1は、運転席10と、前記運転席10の側方に設けられ且つ、走行又は作業に関する操作を行う操作具と、を有し、この運転席10は、後部側で横軸62に枢支されており、運転席10を構成する座部60の下部には、サスペンション63が設けられているといった構成を有している。この構成を有することで、サスペンション63を前後方向の適切な位置へ移動させることで、運転者に対する車体2からの振動の伝達を確実に抑制できる。
逆に、サスペンション63を別の適切な位置へ移動させることで、車体2の振動を運転席10へ効果的に伝えて、車体2と運転席10とが同周期・同位相で振動するようにすることもできる。すると運転者から見て、操作具(レバー、スイッチ、ダイヤル等)が相対的に常に同位置となるため、車体2の振動に邪魔されることなく、操作具が非常に操作されやすいものとなる。
また、本発明の運転席10に備えられたサスペンション63により、運転席10の支持構造のピッチ方向への剛性を可変にすることができ、運転者の体格に合わせた振動伝達の低減構造を実現することが可能となる。運転席10の支持構造のピッチ方向への剛性を可変にすることで運転者ごとに最適なシート剛性を実現可能となる。言い換えれば、運転席10の支持構造のピッチ方向への剛性を可変にすることで、振動伝達特性を可変にし、運転席10を個別に開発することなく運転者ごとに最適なシート剛性を実現することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 作業車両
10 運転席
20 アームレスト
62 横軸
63 サスペンション
64 移動装置

Claims (4)

  1. 横軸周りに枢支された運転席と、
    前記運転席の側方に設けられ且つ走行又は作業に関する操作を行う操作具と、
    前記運転席の下部に設けられたサスペンションと、
    前記サスペンションを前記運転席に対して移動させる移動装置と、
    を備えている作業車両。
  2. 前記運転席は、座部と、前記座部の後部に設けられた背もたれ部とを有し、
    前記移動装置は、前記座部に沿って前記サスペンションを移動させる請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記運転席を支持する機体を備え、
    前記移動装置は、
    前記座部の下部に沿って延設された座部レール部材と、
    前記機体に取付けられ且つ、前記座部レール部材に対向して配置された床レール部材と、
    を有し、
    前記サスペンションは、前記座部レール部材と前記床レール部材との間に配備され、前記座部レール部材及び床レール部材に沿って移動に移動可能とされている請求項2に記載の作業車両。
  4. 前記サスペンションは、バネを含む請求項1〜3のいずれかに記載の作業車両。
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