JP2021002439A - アルカリ電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】量産性を損なうことなく水素ガスの発生を防止することができる、アルカリ電池を提供する。【解決手段】亜鉛、または亜鉛合金を活物質として含むゲル状の負極5を備えたインサイドアウト型のアルカリ電池1であって、金属からなる基体61の表層側に、無電解錫メッキ層62と、電解亜鉛メッキ層63とがこの順に積層されてなる負極集電子6を有する。電解亜鉛メッキ層が1.0μm以上3.0μm以下の厚さを有するアルカリ電池とすることもできる。【選択図】図2

Description

本発明は、アルカリ電池に関する。
図1に、従来の一般的なアルカリ電池の例として、LR6型の円筒型アルカリ電池101を示した。図1は、円筒軸100の方向を上下(縦)方向としたときの、アルカリ電池101の縦断面図である。図1に示したアルカリ電池101は、インサイドアウト型と呼ばれるもので、金属からなる有底筒状の電池缶2、環状に成形された正極合剤3、この正極合剤3の内側に配設された有底円筒状のセパレーター4、亜鉛、または亜鉛合金を含んでセパレーター4の内側に充填される負極ゲル5、この負極ゲル5中に挿入された金属からなる棒状の負極集電子106、金属からなる皿状の負極端子板7、樹脂からなる封口用のガスケット8などにより構成される。そして、このようなインサイドアウト型のアルカリ電池101では、正極合剤3、セパレーター4、負極ゲル5が、電解液の存在下で発電要素を形成している。なお、以下では、電池缶2の底部側を下方として、上下方向を規定することとする。
電池缶2は、電池ケースを兼ねるとともに、正極合剤3に直接接触することにより、正極集電体としても機能する。この電池缶2の底面には、正極端子9が形成されている。皿状の負極端子板7は、フランジ状の縁がある皿状で、その皿を伏せたように底面を上にした状態で、電池缶2の開口にガスケット8を介してかしめられている。
ガスケット8は、中空円筒状のボス部の周囲に円盤状の隔壁部が形成された形状を有し、負極ゲル5中に挿入された棒状の負極集電子106は、ボス部の中央を上下方向に貫通する貫通孔に挿通されている。また、負極集電子106の上端は、皿状の負極端子板7の下面7dに溶接されて立設固定されている。そして、負極端子板7、負極集電子106およびガスケット8は、封口体としてあらかじめ一体に組み合わせられている。アルカリ電池101を組み立てる際には、発電要素が収納されている電池缶2の開口端側に、電池缶2と同軸に封口体を挿入した後、この電池缶2の開口端を内方に縮径加工する。それにより、ガスケット8の外周縁辺が、電池缶2の開口縁部と、負極端子板7の縁との間に挟持され、電池缶2が密閉状態で封口される。
ところで、一般的なアルカリ電池101の負極集電子106は、図1において円内を拡大して示したように、真鍮(Cu−Zn)などからなる棒状の基体61の表面に、例えば錫(Sn)などの金属を含むメッキ層162が形成されてなる。
なお、以下の特許文献1には、負極集電子106の構造や、負極集電子106を構成している基体61やメッキ層162の材料などについて記載されている。また、以下の非特許文献1および2には、アルカリ電池101の基本的な構造や材料、製造方法などについて記載されている。
特許4944482号公報
電池便覧編集委員会編「電池便覧」、第3版、丸善株式会社、2001年2月、p.74−100 FDK株式会社、"アルカリ電池のできるまで"、[online]、[平成31年3月25日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/denchi_club/denchi_story/arukari.htm>
特許文献1には、電解液に対する耐食性の点で好ましい負極集電子の一例として、真鍮製の基体の表面が錫でメッキされてなる負極集電子が記載されている。しかし、表面が錫メッキ皮膜で覆われている負極集電子を負極ゲル中に浸漬すると、負極集電子と負極ゲルとの界面の状態が安定するまでの間、ガス(主に水素ガス)が発生する。このため、特許文献1の負極集電子を図1に示したアルカリ電池101に適用する場合には、アルカリ電池101の作製直後に、ガスの発生を防止することができない。
また、基体の表面に錫メッキ層を形成する方法の一つとして、無電解メッキ法、あるいは置換メッキ法と呼ばれる方法がある。この、無電解メッキ法によって形成された錫メッキ層(以下、無電解錫メッキ層と言うことがある)は、基体の表面に正常に形成されていれば、アルカリ電池が過放電状態にあるときにも、電解液の漏出を防止することができる。
しかし、無電解錫メッキ層などの無電解メッキ法によって形成されたメッキ層は、基体の表面に付着したメッキ用金属が波紋状に成長しつつ、基体の表面を徐々に覆うように形成されることから、その厚みは極めて薄い。無電解錫メッキ層では、一般的に0.5μm程度である。そのため、アルカリ電池の作製時に、例えば負極集電子同士がぶつかって負極集電子の表層が擦れたりすると、無電解錫メッキ層の一部が損傷して基体の表面が露出してしまうことがある。そして、無電解錫メッキ層の損傷は、アルカリ電池の製造過程において発見することが難しく、無電解錫メッキ層の一部が損傷した負極集電子を使用してアルカリ電池を作製した場合、基体が真鍮製であると、露出した基体を構成する真鍮に含まれるCuが負極ゲルに直接触れ、水素ガスが発生し、場合によっては漏液が発生する可能性がある。
さらに、表層に無電解錫メッキ層が形成されている負極集電子には、アルカリ電池の製造過程において、搬送性に関わる問題がある。具体的には、工業製品の生産ラインにおいて、円板状の頭部を有する釘状の部材を搬送する一般的な方法として、二本のレールからなる搬送路を用いる方法がある。この搬送方法では、二本のレールによって頭部を下支えしながら、棒状の部分を二本のレール間から垂下させて釘状の部材を搬送する。そして、アルカリ電池の負極集電子も円板状の頭部を有する釘状であり、アルカリ電池101の製造ラインでは、負極集電子をこの二本のレールからなる搬送路によって搬送する場合が多い。
しかし、表層に無電解錫メッキ層が形成された負極集電子では、研磨などの表面加工が別途施されていない状態においても表面の平滑度が非常に高いため、搬送路の分岐点や滞留位置などにおいて、下流側の負極集電子の搬送が一時的に停止すると、その負極集電子に、上流から搬送されてきた他の負極集電子106が吸着し、結果として、搬送路上で多数の負極集電子106が凝集した状態となり、負極集電子の搬送動作が長時間にわたって停止してしまう、いわゆる「送り不良」を発生させてしまうことがある。
そこで本発明は、生産性を損なうことなく水素ガスの発生を防止することができる、アルカリ電池を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、亜鉛、または亜鉛合金を活物質として含むゲル状の負極を備えたインサイドアウト型のアルカリ電池であって、金属からなる基体の表層側に、無電解錫メッキ層と、電解亜鉛メッキ層とがこの順に積層されてなる負極集電子を有するアルカリ電池である。
本発明によれば、量産性を損なうことなく水素ガスの発生を防止することができる、アルカリ電池が提供される。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
アルカリ電池の構造を模式的に示す図である。 実施例に係るアルカリ電池の構造を模式的に示す図である。
以下、実施例に係るアルカリ電池について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面においては、同一、または類似の部分に同一の符号を付すことによって、重複する説明を省略することがある。また、図面によっては、説明の際に不要な符号を省略することがある。
===実施例===
実施例に係るアルカリ電池の基本的な構成や構造を、図2を用いて説明する。図2は、実施例に係るアルカリ電池1の構造を模式的に示す図である。図2に示したように、実施例に係るアルカリ電池1の基本的な構成や構造は、図1に示した一般的なアルカリ電池101と同様である。
しかし、実施例に係るアルカリ電池1は、図2において円内を拡大した図に示したように、真鍮からなる基体61の表層側に、無電解錫メッキ層62と、電解亜鉛メッキ層63とがこの順に積層されてなる負極集電子6を備えている。
ところで、図1に示した従来のアルカリ電池101の負極集電子106としては、真鍮(Cu−Zn)などからなる基体61の表面に錫(Sn)が電解メッキされてなる電解錫メッキ層162、あるいは基体61の表面に錫(Sn)が無電解メッキされてなる無電解錫メッキ層162が形成されたものがある。
電解錫メッキ層162が形成された負極集電子106については、電解液に対する耐食性の点で好ましいものの、基体61に対してメッキ層162を形成する錫が付着しにくいという問題を有する。無電解錫メッキ層162が形成された負極集電子106を備えたアルカリ電池101については、上述したように、無電解錫メッキ層162の厚さが0.5μm程度と薄いことから、製造過程における、無電解錫メッキ層162の損傷に伴うガスの発生や、送り不良が発生する可能性がある。
一方、図2に示した実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6は、基体61に対して無電解錫メッキ層62と電解亜鉛メッキ層63とがこの順に形成された二層構造のメッキ層を有している。すなわち、二層構造の基体61の表面側(以下、内側)には、基体61に対する付着性に優れた無電解錫メッキ層62が形成され、上記二層構造の表層側(以下、外側)に電解亜鉛メッキ層63が形成されている。
実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6では、内側の無電解錫メッキ層62の厚さが0.5μm程度と極めて薄いものの、その無電解錫メッキ層62の表層側に、電解亜鉛メッキ層63が形成されている。電解亜鉛メッキ層63は、周知の電解メッキ法によって形成され、電解メッキ法では、導体からなるメッキ対象物をメッキ液中に浸漬させるとともに、メッキ対象物に通電させることでメッキ層を形成している。そして、通電時間を長くするほど厚いメッキ層を形成することができる。なお、電解亜鉛メッキ層63は、無電解錫メッキ層62の表層に柱状に付着した亜鉛が積層されるように形成されるため、一般的に、1.0μm以上の厚さを有するものとなる。言い換えれば、電解亜鉛メッキ層63は、無電解錫メッキ層62のように薄いメッキ層にはなり難い。
===性能評価===
次に、上述した本実施例に係るアルカリ電池1の耐漏液性能や放電性能などを評価するために、図1や図2に示したアルカリ電池(101、1)において、真鍮製の基体61の表層側に形成されているメッキ層(162、62、63)の形成条件(メッキ金属の種類(メッキ種)、厚さ、メッキ方法)が異なる各種負極集電子(106、6)を用いたアルカリ電池(101、1)をサンプルとして作製した。
そして、これらのサンプルに対し、過放電状態における保存試験(過放電保存試験)、未放電状態におけるガスの発生を確認する試験(未放電ガス発生試験)、アルカリ電池1の生産性に関する試験(生産性試験)、およびJIS規格(JIS C8515:2017)に基づく放電試験をそれぞれ実施し、漏液の有無、ガスの発生の有無、生産設備における送り不良の有無、および放電性能の良否を調べた。なお、アルカリ電池1の生産性に関する試験においては、各サンプルに使用する負極集電子(6,106)を20万本ずつ用意し、それ以外の試験においては、同じ内容の試験ごとに、同じ種類のサンプルを10個ずつ用意した。以下に各試験の具体的な内容と試験結果とを示す。
<過放電保存試験>
放電負荷を75Ωとし、終止電圧を0.6Vとして、放電開始から終止電圧に至るまでの平均所要時間の1.5倍の時間、放電し続けることによって過放電状態にした各サンプルに対し、温度60℃の高温環境下で10日間保存する保存試験を実施した。過放電状態における保存性能については、各サンプルに属する全個体に対し、試験開始から10日後に、漏液の有無を目視で確認し、漏液が発生した個体の有無によって評価した。
以下の表1に、各サンプルの負極集電子(6、106)におけるメッキ層(62、63)の形成条件と、各サンプルに対する保存試験の結果とを示した。
Figure 2021002439
表1では、二層構造のメッキ層(62、63)を有する負極集電子6を用いたサンプルでは、上述したように、基材61側のメッキ層62を「内側」とし、負極集電子6の表層側のメッキ層63を「外側」としている。また、一層のみのメッキ層162を有する負極集電子106を用いたサンプルでは、「内側」の欄にのみ、メッキ層162の形成条件が示されている。そして、表1におけるサンプル1とサンプル2が従来のアルカリ電池101に対応している。また、表1では、各サンプルに属する10個の個体のうち、一個でも漏液が発生したサンプルを「×」で示し、全ての個体において漏液が発生しなかったサンプルを「○」で示した。
表1に示したように、メッキ種によらず、内側にのみ電解メッキ層62が形成されているサンプル2、7、8、およびメッキ層(62、63、162)が全く形成されていないサンプル9において、漏液の発生が確認された。一方、一層構造のメッキ層162、あるいは二層構造のメッキ層(62、63)であっても、内側に無電解錫メッキ層(62、162)が形成されているサンプル1、3〜6では、漏液の発生が確認されなかった。すなわち、基体61の表面に無電解錫メッキ層(62、162)が形成されている負極集電子(6、106)を備えたアルカリ電池(1、101)は、過放電状態になっても漏液が発生し難い。
<未放電ガス発生試験>
次に、表1に示したサンプル1〜9について、アルカリ電池(1、101)の生産設備が正常に稼働しているときに作製した個体A群と、生産設備を構成する部品の交換時期など、当該生産設備が経時劣化して設備の稼働状態が不安定になっている可能性があるときに作製した個体B群とを用意した。
そして、A群の個体を10個用意し、各個体について、組み立て直後から電圧が安定するまでの期間に、電池缶2内にガスが発生したか否かを確認した。ガスの発生の有無については、組み立て後、所定時間(約1時間)が経過した個体を水中で分解し、電池缶2内部から放出されたガスを水上捕集することで確認した。
また、A群とB群とについて、それぞれ10個の個体を用意し、組み立て後、電圧が安定した状態のサンプルを、温度90℃の高温環境下で30日間保存する長期保存試験を行い、試験後に、漏液の有無を目視により確認した。そして、漏液した個体が一つもなかったサンプルについては、上記の水上捕集により、ガスの発生の有無を確認した。
以下の表2に、各サンプルに対する未放電ガス発生試験の結果を示した。
Figure 2021002439
表2において、「組立後」は、組立直後から所定時間経過した時点までのガスの発生の有無を示しており、ガスが発生した個体が一つでもあったサンプルに対して「△」を付している。なお、所定時間が経過した時点で漏液した個体が一つでもあったサンプルについては「×」を付している。全個体においてガスの発生が確認されなかったサンプルについては「○」を付している。
また、長期保存試験の結果については、漏液が発生した個体が一つでもあったサンプルを「×」で示している。また、全個体において漏液の発生が確認されなかったものの、ガスの発生が確認された個体があったサンプルを「△」で示している。そして、全個体において漏液が発生せず、ガスも発生しなかったサンプルを「○」で示している。
表2に示したように、サンプル1〜9において、メッキ層(62、63、162)が形成されていない基体61のみからなる負極集電子を用いたサンプル9では、生産設備の稼働状態に拘わらず、漏液が発生した個体があった。従来のアルカリ電池101に対応するサンプル1、2は、生産設備の稼働状態に拘わらず、漏液が発生した個体がなかったが、無電解錫メッキ層のみを有する負極集電子106を備えたサンプル101では、上記B群、すなわち、設備の稼働状態が不安定になっていると思われる時期に作製した個体においてガスが発生したものがあった。これは、生産設備の稼働状態が不安定であると、生産設備と負極集電子106とが接触する際の摩擦が正常稼働時よりも大きくなり、薄い無電解錫メッキ層162のみが形成されている負極集電子106を用いたサンプル1では、製造時に負極集電子106の表面が損傷したためと考えることができる。また、従来のアルカリ電池101に対応するサンプル1、2では、今までと同様に、組立直後から所定時間が経過するまでの間にガスが発生した。
一方、二層構造のメッキ層(62、63)が形成された負極集電子6を備えたサンプル3〜7では、設備の稼働状態に拘わらず長期保存試験後でもガスが発生しなかった。また、組立直後から所定時間が経過するまでの期間においてもガスが発生しなかった。したがって、表2に示した未放電ガス発生試験の結果から、二層構造のメッキ層(62、63)を有する負極集電子6を用いたアルカリ電池1では、未放電状態でもガスの発生が抑止されていることが確認できた。
<生産性試験、放電試験>
まず、サンプル1〜9に用いた負極集電子(6、106)を、それぞれ20万本用意し、各負極集電子(6、106)が、アルカリ電池(1、101)の生産ラインで搬送される過程で、上述した送り不良が発生するか否かを検証する生産性試験を行った。
また、サンプル1〜9について、10個の個体を用意し、各個体に対し、上記JIS規格に基づく放電性能試験を行った。具体的には、近年のアルカリ電池に対して特に求められている、高負荷放電性能を評価するために、1500mWにて2秒および650mWにて28秒の放電サイクルを1時間あたり10回繰り返す試験を行い、終止電圧1.05Vに至るまでのサイクル数を測定した。そして、サンプルごとに10個の個体のサイクル数の平均値を求めた。さらに、サンプル3〜9の平均サイクル数を、従来のアルカリ電池101に対応するサンプル1およびサンプル2と比較した。なお、当然のことではあるが、サンプル1とサンプル2は、市販されているアルカリ電池101でもあるので、放電特性に大きな差がなく、実際に、平均サイクル数が同じであった。
以下の表3に、各サンプルにおける生産性試験と放電性能試験の結果を示した。
Figure 2021002439
表3では、生産性試験の結果について、負極集電子(6、106)の搬送過程で送り不良が発生し、生産ラインを止めるなどして、その後のアルカリ電池(1、101)の組立に支障を来したものを「×」で示した。また、一時的、あるいは凝集の度合いが少ないなど、軽微な送り不良が発生したものの、搬送動作自体は継続されて、アルカリ電池(1、101)の組立に支障が生じなかったサンプルを「△」で示した。そして、送り不良が発生しなかったサンプルを「○」で示した。
表3に示したように、従来のアルカリ電池101に対応するサンプル1の負極集電子106は、無電解錫メッキ層162のみが形成されたものであり、生産ラインでは、アルカリ電池101の組立てには支障を来さない程度の軽微な送り不良の発生が確認された。そして、サンプル9では、負極集電子が、表面が研磨された基体61のみからなり、多数の負極集電子が搬送路上で凝集し、深刻な送り不良が発生した。なお、一層、二層を問わず、負極集電子(6、196)の表層が電解メッキ層(63、162)からなるサンプル2〜8では送り不良が発生しなかった。
放電性能については、従来のアルカリ電池101であるサンプル1、2と同等以上の放電性能を有するものに「○」が付してあり、サンプル1、2よりも放電性能が5%以上劣化したサンプルには「×」を付した。そして、表3における放電性能試験の結果から、一層のメッキ層162のみが形成された負極集電子106、あるいは基体61のみの負極集電子を用いたサンプル1、2、8、9、および内側に無電解錫メッキ層62が形成され、外側に厚さが1.0μm以上3.0μm以下の電解亜鉛メッキ層63が形成されている負極集電子6をも備えたサンプル3〜5では、高負荷放電性能がサンプル1、2と同等以上であることが確認された。
<実施例に係るアルカリ電池>
表1、表2に示したように、実施例に係るアルカリ電池1(サンプル3〜6)は、過放電保存試験、および未放電ガス発生試験の双方においてガスの発生が認められなかった。これは、実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6では、外側の厚い電解亜鉛メッキ層63によって内側の無電解錫メッキ層62の薄さが補完されて基体61の表面が露出し難いものとなり、さらに、外側の電解亜鉛メッキ層63に負極活物質と同じ亜鉛が配置されていることで負極ゲル5との接触界面における水素ガスの発生が抑制されたものと考えることができる。
なお、一般的に、負極集電子(6、106)のように棒状のメッキ対象物の表面に電解メッキ層を形成する処理は、バッチ処理によって行われる。すなわち、多数の棒状のメッキ対象物は、軸方向を揃えた状態でメッキ浴に浸漬されつつ通電される。そのため、多数のメッキ対象物からなる「塊」の外側と内側とではメッキ層の成長速度が異なり、メッキ層の厚さに個体差が生じ易い。すなわち、表層側に電解亜鉛メッキ層63が形成されている負極集電子6を備えたアルカリ電池1では、負極集電子6の電解亜鉛メッキ層63から負極ゲル5中に溶出する亜鉛の量に個体差が生じる。
しかし、実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6は、基体61の表面に、無電解錫メッキ層62と電解亜鉛メッキ層63とがこの順に形成されているため、電解亜鉛メッキ層63が設定値よりも薄く形成されていて、亜鉛の溶出により、電解亜鉛メッキ層63の一部が消失したとしても、無電解錫メッキ層62が下地として形成されているため、基体61が露出する可能性は、極めて低い。すなわち、実施例に係るアルカリ電池1では、負極集電子6の基体61が真鍮製である場合であっても、基体61と負極ゲル5との接触に起因するガスの発生も抑制される。
また、実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6では、外側に平滑度が低い電解亜鉛メッキ層63が形成されているため、送り不良の発生が抑止される。すなわち、実施例に係るアルカリ電池1は、生産性にも優れたものとなっている。
さらに、表3に示した放電性能試験の結果から、実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6が、1.0μm以上3.0μm以下の厚さの電解亜鉛メッキ層63を有していれば、放電状態が、過放電、未放電のいずれであってもガスの発生が抑止され、かつ高負荷放電性能を従来のアルカリ電池101と同等以上にすることができる。
なお、実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6が、内側に無電解錫メッキ層62が形成され、外側に厚さが3.0μmよりも厚い電解亜鉛メッキ層63が形成されたものであっても、ガスの発生を確実に抑止できるという安全性に関わる格別な効果を奏するものである。したがって、実施例に係るアルカリ電池1の負極集電子6が、3.0μmよりも厚い電解亜鉛メッキ層63を有するものであっても、そのアルカリ電池1は、デジタルカメラのストロボ発光動作などに要求される高負荷放電性能が若干劣っているだけで、他の電子機器の電源としては、実用上の問題はない。
===その他の実施例===
以上、本発明を実施するための形態について説明した。上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明の実施形態は本発明の趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。本発明の実施形態は、例えば、以下の点について変更することができる。
一般的にアルカリ電池の負極集電子6の基体61は真鍮であるが、基体61の材料は、負極集電子6としての機能を発揮するために必要な性能を備えていれば、真鍮でなくてもよい。例えば、無電解錫メッキ層62との付着強度が十分に高い純金属、または合金であればよい。なお、負極集電子6の部材コストを考慮すれば、基体61は、従来のアルカリ電池1の負極集電子106用として広く使用されている真鍮製であることが望ましい。
上記実施例においては、負極集電子6の基体61の表層側に、無電解錫メッキ層62と、電解亜鉛メッキ層63とがこの順に積層されているとして説明したが、負極集電子6の集電特性を低下させない限度において、純金属、または合金からなる少なくとも1層以上のメッキ層が、電解亜鉛メッキ層63の上層側にさらに形成されていてもよいことは言うまでもない。
1,101 アルカリ電池、2 電池缶、3 正極合剤、4 セパレーター、
5 負極ゲル、6,106 負極集電子、61 基体、
62 内側のメッキ層(または無電解錫メッキ層)、
63 外側のメッキ層(または電解亜鉛メッキ層)、162 メッキ層、
7 負極端子板、7d 負極集電子の下面、8 ガスケット、9 正極端子、
100 円筒軸

Claims (3)

  1. 亜鉛、または亜鉛合金を活物質として含むゲル状の負極を備えたインサイドアウト型のアルカリ電池であって、金属からなる基体の表層側に、無電解錫メッキ層と、電解亜鉛メッキ層とがこの順に積層されてなる負極集電子を有することを特徴とするアルカリ電池。
  2. 前記電解亜鉛メッキ層は、1.0μm以上3.0μm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ電池。
  3. 前記基体が真鍮からなることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ電池。
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