JP2021001150A - ジカルボン酸モノエステルの製造方法 - Google Patents

ジカルボン酸モノエステルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021001150A
JP2021001150A JP2019116420A JP2019116420A JP2021001150A JP 2021001150 A JP2021001150 A JP 2021001150A JP 2019116420 A JP2019116420 A JP 2019116420A JP 2019116420 A JP2019116420 A JP 2019116420A JP 2021001150 A JP2021001150 A JP 2021001150A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
dicarboxylic acid
general formula
represented
acid monoester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019116420A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7306103B2 (ja
Inventor
麻美 本岡
Asami Motooka
麻美 本岡
遠藤 満
Mitsuru Endo
満 遠藤
圭 秋山
Kei Akiyama
圭 秋山
入江 俊介
Shunsuke Irie
俊介 入江
剛史 坂口
Takeshi Sakaguchi
剛史 坂口
輝賢 高橋
Terutaka Takahashi
輝賢 高橋
岡田 和之
Kazuyuki Okada
和之 岡田
奥山 健一
Kenichi Okuyama
健一 奥山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2019116420A priority Critical patent/JP7306103B2/ja
Publication of JP2021001150A publication Critical patent/JP2021001150A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7306103B2 publication Critical patent/JP7306103B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】重合性液晶化合物の製造中間体として有用なジカルボン酸モノエステルを、簡便に、高純度で製造する方法の提供。【解決手段】式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、ジカルボン酸と、式(III)で表される化合物とを、縮合剤の存在下に反応させて、式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を得る工程と、式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を珪藻土濾過することにより、当該溶液に含まれる不純物の含有量を低減させる工程と、を有する、ジカルボン酸モノエステルの製造方法。(A1〜A3は夫々独立にシクロヘキサン−1,4−ジイル基等;L1、L2は夫々独立に単結合等;Rsp1は単結合等;Z1は重合性官能基;mは0〜3の整数)【選択図】なし

Description

本開示は、重合性液晶化合物の製造中間体として有用な環構造を有するジカルボン酸モノエステルの製造方法に関する。
環構造と、当該環構造に直接置換したカルボキシ基と、当該環構造に直接置換したオキシカルボニル基を介して結合した別の環構造と、当該別の環構造に連結基を介して結合した重合性官能基とを有するジカルボン酸モノエステルは、液晶化合物の製造中間体として有用である。
液晶化合物の製造中間体として用いられるジカルボン酸モノエステルの製造方法としては、例えば、ジカルボン酸とアルコールとを縮合剤の存在下で反応させる方法、ジカルボン酸クロリドとアルコールとを塩基の存在下で反応させる方法、並びに、ジカルボン酸の保護及び脱保護を経る方法等が知られている。中でも、反応工程の簡便さから、ジカルボン酸とアルコールとを縮合剤の存在下で反応させる方法や、ジカルボン酸クロリドを用いる方法が用いられるが、これらの方法により得られる反応液には、未反応のジカルボン酸又はジカルボン酸クロリド、及びジエステル化合物等の不純物が含まれる。そのため、ジカルボン酸モノエステルを高純度で得る方法が試みられている。
例えば特許文献1には、塩化チオニルを作用させカルボン酸塩化物を得る方法又はメタンスルホニルクロリド等を作用させる混合酸無水物法により得られたエステル化反応物から、ジカルボン酸モノエステルをアミン塩として単離する方法が記載されている。
特許文献2には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に、塩基存在下、酸ハライドを反応させることにより、混合酸無水物を得る工程(A)、工程(A)で得られた混合酸無水物に、塩基存在下、ヒドロキシ化合物を反応させることにより、モノエステル化合物、及び、ジエステル化合物を含む反応混合物を得る工程(B)、並びに、工程(B)で得られた反応混合物から粗結晶を得、得られた粗結晶をアルコール溶媒に溶解させ、不溶物をろ過することにより、ジエステル化合物を除去する工程(C)を有する、モノエステル化合物の製造方法が記載されている。
特許文献3には、有機溶媒中、ヒドロキシ化合物と、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを反応させることにより、モノエステル化合物、及び、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含む反応溶液を得た後、得られた反応溶液をpHが5.0〜6.0の緩衝溶液にて洗浄することにより、前記反応溶液から1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、あるいは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を除去する方法が記載されている。
特開2016−69321号公報 特開2016−183132号公報 国際公開2016/159193号公報
ジカルボン酸とアルコールとを縮合剤の存在下で反応させる方法は、ジカルボン酸クロリドを用いる方法に比べ、反応工程を簡略化できる上に、より安定的に反応を再現することができ、更に、コストも削減できる点から望ましい。
しかしながら、ジカルボン酸とアルコールとを縮合剤の存在下で反応させてジカルボン酸モノエステルを得て、それを製造中間体として用いて液晶化合物を合成した場合、当該液晶化合物を含有する液晶組成物は、塗膜としたときに欠点が生じやすいという問題があった。
本発明者らは鋭意検討の結果、ジカルボン酸モノエステルの製造に用いた縮合剤とジカルボン酸との反応により生じる不純物が含まれていると、液晶組成物の塗膜に欠点が生じ易いことを見出した。
本開示の実施形態は、前述のような実情を鑑み、簡便に高純度なジカルボン酸モノエステルを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、下記一般式(I)
(式中、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びAはそれぞれ独立に、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びLはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
sp1は、炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、
は、重合性官能基を表し、
mは0〜3の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでLは、前記L及びLと同一のものを表すが、それぞれ前記L及びLと同一であっても異なっていても良く、RspE及びZは、それぞれ前記Rsp1及びZと同一のものを表すが、それぞれ前記Rsp1及びZと同一であっても異なっていても良い。)で表されるジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、下記一般式(II)
(式中、Aは前記と同じ意味を表す。)で表されるジカルボン酸と、下記一般式(III)
(式中、A、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物とを、下記一般式(IV)
(式中、Rc1及びRc2はそれぞれ独立に、3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はこれらの組み合わせであって、前記アミノ基、アンモニウム塩、アルキル基、又はシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い基を表す。)で表される縮合剤の存在下に反応させて、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を得る工程と、
前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を珪藻土濾過することにより、当該溶液に含まれる下記一般式(V)
(式中、A、Rc1及びRc2はそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の含有量を低減させる工程と、
を有する、ジカルボン酸モノエステルの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液をpHが6.2〜7.5の緩衝液にて洗浄することにより、当該溶液に含まれる前記一般式(II)で表されるジカルボン酸の含有量を低減させる工程を更に有する、ジカルボン酸モノエステルの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、濾過、分液又はこれらの組み合わせにより、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に含まれる下記一般式(VI)
(式中、Rc1及びRc2はそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の含有量を低減させる工程を更に有する、ジカルボン酸モノエステルの製造方法を提供する。
本開示の実施形態によれば、簡便に高純度なジカルボン酸モノエステルを製造することができる製造方法を提供することができる。
<ジカルボン酸モノエステルの製造方法>
本開示のジカルボン酸モノエステルを製造する方法は、下記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、下記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、下記一般式(III)で表される化合物とを、下記一般式(IV)で表される縮合剤の存在下に反応させて、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を得る工程(本開示において、エステル化工程という場合がある)と、
前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を珪藻土濾過することにより、当該溶液に含まれる下記一般式(V)で表される化合物の含有量を低減させる工程(本開示において、珪藻土濾過工程という場合がある)と、を有する、ジカルボン酸モノエステルの製造方法である。
(式中、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びAはそれぞれ独立に、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びLはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
sp1は、炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、
は、重合性官能基を表し、
mは0〜3の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでLは、前記L及びLと同一のものを表すが、それぞれ前記L及びLと同一であっても異なっていても良く、RspE及びZは、それぞれ前記Rsp1及びZと同一のものを表すが、それぞれ前記Rsp1及びZと同一であっても異なっていても良い。
c1及びRc2はそれぞれ独立に、3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はこれらの組み合わせであって、前記アミノ基、アンモニウム塩、アルキル基、又はシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い基を表す。)
なお、本開示において、各化合物の構造は、核磁気共鳴分光法(NMR)、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py−GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFMS)、及び元素分析等を適宜組み合わせて解析することができる。
本開示のジカルボン酸モノエステルを製造する方法は、ジカルボン酸とアルコールとを、カルボジイミド系縮合剤の存在下で反応させる方法において、従来着目されていなかった、カルボジイミド系縮合剤とジカルボン酸との反応により生じる不純物を、珪藻土濾過により除去する工程を有する方法である。
ジカルボン酸とアルコールとを脱水縮合反応させる場合、縮合剤としては、安価で入手し易い点から、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のカルボジイミド系縮合剤が用いられることが多い。しかし、カルボジイミド系縮合剤を用いて得られたジカルボン酸モノエステルを用いて液晶化合物を合成すると、当該液晶化合物を含有する液晶組成物の塗膜は、欠点が生じやすくなるという問題があった。これは、ジカルボン酸モノエステルの合成の際に不純物として生じるカルボジイミド系縮合剤とジカルボン酸との反応生成物が、目的化合物であるジカルボン酸モノエステルと同様の溶剤溶解性を示すため除去され難く、ジカルボン酸モノエステル生成後の反応液乃至ジカルボン酸モノエステルを析出させた析出物中に、不純物として含まれ易いためと推定される。カルボジイミド系縮合剤とジカルボン酸との反応生成物は、液晶組成物においてもそのまま不純物として含まれ易いが、当該不純物は、液晶組成物に用いられる溶剤に対する溶解性が低い傾向があり、溶剤中で非常に細かい粒子となり易いため、液晶組成物の塗膜に欠点が生じると推定される。
それに対し、本開示のジカルボン酸モノエステルを製造する方法では、珪藻土濾過を行うことにより、カルボジイミド系縮合剤とジカルボン酸との反応により生じる不純物が除去される。そのため、本開示の製造方法により製造したジカルボン酸モノエステルを用いて液晶化合物を製造し、更に当該液晶化合物を含有する液晶組成物を製造した場合は、液晶組成物の塗膜に欠点が生じ難く、均一な塗膜を形成しやすい。更に、当該液晶組成物の塗膜を硬化して得られる位相差層は、塗膜が均一であることにより、均一な配向が得られやすい。
以下、本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法が有する各工程について説明する。
(エステル化工程)
本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法において、エステル化工程では、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物とを、前記一般式(IV)で表される縮合剤の存在下に反応させて、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を得る。
前記エステル化工程において、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルのAは、使用した前記一般式(II)で表されるジカルボン酸のAと同一となり、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルのA、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、使用した前記一般式(III)で表される化合物のA、L、A、L、Rsp1、Z及びmと同一となる。
一般式(I)及び(II)中のAは、中でも、本開示の製造方法により得られるジカルボン酸モノエステルを製造中間体として用いて合成される液晶化合物の液晶性及び配向性を向上する点から、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基又はシクロヘプタン−1,4−ジイル基であることが好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基又はシクロペンタン−1,3−ジイル基であることがより好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることがより更に好ましい。
本開示の製造方法に用いられる前記一般式(II)で表されるジカルボン酸は、シス型であってもトランス型であっても、あるいはシス型とトランス型の異性体混合物であってもよいが、本開示の製造方法により得られるジカルボン酸モノエステルを製造中間体として用いて合成される液晶化合物の配向性が良好になることから、トランス型であることが好ましい。
なお、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
一般式(I)及び(III)中、A及びAは、中でも、本開示の製造方法により得られるジカルボン酸モノエステルを製造中間体として用いて合成される液晶化合物の液晶性及び配向性を向上する点から、それぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基であることが好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることがより好ましく、ベンゼン−1,4−ジイル基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることがより更に好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。なお、Aが複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
、A及びAにおいて、前記置換基Eとしては、本開示の製造方法により得られるジカルボン酸モノエステルを製造中間体として用いて合成される液晶化合物の液晶性を向上する点、及び合成の容易さの観点から、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、より更に好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い炭素原子数1以上12以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、中でも、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1以上8以下の直鎖アルキル基若しくは直鎖アルコキシ基を表すことが特に好ましい。
また、Aに置換されていても良い置換基E、中でも、Lが結合しているAに置換されていても良い置換基Eとしては、−L−RspE−Zで表される基も好ましい。
一般式(I)及び(III)中、Lは、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、−O−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、−O−、−COO−、−OCO、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−又は単結合を表すことが特に好ましい。なお、Lが複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(I)及び(III)中、Lは、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、又は単結合を表すことがより好ましい。
一般式(I)及び(III)中、Rsp1は、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1〜10のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、炭素原子数1〜10のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すことがより更に好ましい。
一般式(I)及び(III)中、Zは重合性官能基を表す。当該重合性官能基は、例えば、従来の重合性液晶化合物に使用されている重合性官能基を制限なく適用可能であるが、中でも、Zは下記式(Z−1)から式(Z−8)から選ばれる基を表すことが好ましい。なお、下記式(Z−1)から式(Z−8)において、*(アスタリスク)はRsp1との結合位置を示す。
(式(Z−1)〜(Z−8)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基である。)
紫外線照射により重合可能な重合性官能基Zとしては、式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−5)、又は式(Z−7)が好ましく、式(Z−1)、式(Z−3)、又は式(Z−7)がより好ましく、式(Z−1)がさらに好ましく、式(Z−1)であって、式中のRが水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である場合が特に好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記化合物(III−1)から化合物(III−61)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、下記化合物(III−1)から化合物(III−61)において、Rsp1の−(CH−のnは、1〜20の整数を表すが、nは2以上の整数であることが好ましく、4以上の整数であることがより好ましく、12以下の整数であることが好ましく、10以下の整数であることがより好ましい。
また、下記化合物(III−1)から化合物(III−61)において、Zである式(Z−1)中のRとしては、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
なお、前記一般式(III)で表される化合物は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記エステル化工程において、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸及び前記一般式(III)で表される化合物の使用量は、特に限定はされないが、前記一般式(III)で表される化合物1モルに対し、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸を2〜15モルの比率で用いることが好ましく、3〜10モルの比率で用いることがより好ましい。
前記エステル化工程では、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と前記一般式(III)で表される化合物とを脱水縮合させて、エステル化を行うために、前記一般式(IV)で表される縮合剤を用いる。
一般式(IV)中、Rc1及びRc2は、3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はこれらの組み合わせであって、前記アミノ基、アンモニウム塩、アルキル基、又はシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い基を表す。ここで、アルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであっても良い。
前記3級アミノ基は、具体的には−NRc3c4で表される基であることが好ましく、前記4級アンモニウム塩は、具体的には−Nc5c6c7で表される基と陰イオンとの塩であることが好ましい。Rc3、Rc4、Rc5、Rc6及びRc7はそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はこれらの組み合わせであり、前記アルキル基、又はシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良く、或いは、Rc3とRc4、Rc5とRc6、Rc6とRc7は、互いに結合して環を構成していてもよいものであることが好ましい。また、前記3級アミノ基は、HCl等との酸と塩を形成していても良い。
c3とRc4、Rc5とRc6、Rc6とRc7が互いに結合して環を構成する場合の当該環としては、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。中でも、反応性の観点から、Rc3、Rc4、Rc5、Rc6及びRc7はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがより更に好ましい。
c1及びRc2は、中でも反応性の観点から、それぞれ独立して、3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基又はこれらの組み合わせであって、前記アミノ基、アンモニウム塩、アルキル基、又はシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い基を表し、炭素、窒素及び酸素の原子数の合計が2〜10であることが好ましい。より好ましくは、(i)1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い炭素数4〜6のシクロアルキル基、(ii)3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い炭素数2〜8のアルキル基であって、炭素、窒素及び酸素の原子数の合計が2〜10である基、(iii)炭素数1〜3のアルキル基の水素原子が、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い炭素数4〜6のシクロアルキル基に置換されている基であって、炭素、窒素及び酸素の原子数の合計が6〜10である基、であり、中でも安価で入手が容易な点から、前記(i)1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い炭素数4〜6のシクロアルキル基、又は前記(ii)3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い炭素数2〜8のアルキル基であって、炭素、窒素及び酸素の原子数の合計が2〜10である基、であることが更に好ましく、前記(i)1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い炭素数4〜6のシクロアルキル基であることがより更に好ましく、シクロヘキシル基であることが特に好ましい。
前記一般式(IV)で表される縮合剤としては、具体的には例えば、下記式(IV−1)から下記式(IV−7)で表される縮合剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記一般式(IV)で表される縮合剤としては、中でも、安価で入手が容易であり、反応性に優れる点から、前記式(IV−1)で表される縮合剤、前記式(IV−4)で表される縮合剤及び前記式(IV−5)で表される縮合剤から選ばれる少なくとも1種が好ましく、前記式(IV−1)で表される縮合剤が特に好ましい。
また、前記一般式(IV)で表される縮合剤としては、市販品を使用しても良く、例えば、東京化成工業(株)製の製品コードD0436、D0437、D4029、D5347、D1601、D0254、B2771、C0793、和光純薬工業(株)製のカルボジイミド系縮合剤等が挙げられる。
なお、前記一般式(IV)で表される縮合剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記一般式(IV)で表される縮合剤の使用量は、特に限定はされないが、前記一般式(III)で表される化合物1モルに対し、前記一般式(IV)で表される縮合剤を1.0〜2.0モルの比率で用いることが好ましく、1.2〜1.7モルの比率で用いることがより好ましい。
また、本開示の製造方法において、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物との反応には、更に、反応を加速させる観点から、塩基を用いることが好ましい。
前記塩基としては、求核性が高い塩基であれば特に限定はされず、有機塩基及び無機塩基のいずれも用いることができるが、中でも有機塩基が好ましく、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、フェニルジメチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等が挙げられ、4−(ジメチルアミノ)ピリジンを特に好ましく用いることができる。
なお、前記塩基は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記塩基を用いる場合、前記塩基の使用量は、特に限定はされないが、前記一般式(III)で表される化合物1モルに対し、前記塩基を0.01〜0.2モルの比率で用いることが好ましく、0.02〜0.1モルの比率で用いることがより好ましい。
本開示の製造方法において、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物との反応は、有機溶剤中において行われることが好ましい。
前記エステル化工程に用いる有機溶剤としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン系;テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル系;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系;ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の含硫黄系;及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、反応性の観点、及び前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルに対する溶解性が高く、ウレア等の不純物を除去しやすい点から、アミド系有機溶剤を含有する有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤全量中のアミド系有機溶剤の割合が、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより更に好ましい。より具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤全量中のNMP、DMF及びDMAcの合計の割合が、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより更に好ましい。
また、前記エステル化工程に用いる有機溶剤としては、反応性の観点、及び前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルに対する溶解性が高く、ウレア等の不純物を除去しやすい点から、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの良溶媒を用いることが好ましく、具体的には、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの25℃での溶解度が10g/100g以上の有機溶剤であることが好ましく、20g/100g以上の有機溶剤であることがより好ましい。前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの良溶媒としては、中でも、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する有機溶剤が好ましく、有機溶剤全量中のNMP、DMF及びDMAcの合計の割合が、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより更に好ましい。
前記有機溶剤の使用量は、反応させる各化合物の種類に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と前記一般式(III)で表される化合物とを脱水縮合反応させる際に用いる反応液全量に対し、前記有機溶剤の量が50〜98質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
本開示の製造方法において、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物とを、前記一般式(IV)で表される縮合剤の存在下に反応させる方法としては、例えば、
(A)有機溶剤に、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物と、更に必要に応じて塩基等の添加剤とを溶解させた混合溶液と、有機溶剤に前記一般式(IV)で表される縮合剤を溶解させた縮合剤溶液とを準備し、前記混合溶液に、前記縮合剤溶液を滴下する方法、
(B)有機溶剤に、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物と、更に必要に応じて塩基等の添加剤と、前記一般式(IV)で表される縮合剤とを加えて全体を撹拌する方法、
等を挙げることができ、中でも、副反応を抑制する点から、前記(A)の方法が好ましい。
また、本開示の製造方法において、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物とを、前記一般式(IV)で表される縮合剤の存在下に反応させる際は、副反応を抑制する点から、窒素気流下等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
また、本開示の製造方法において、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物とを、前記一般式(IV)で表される縮合剤の存在下に反応させる際の反応温度は、反応の収率が向上する点から、25℃〜80℃の範囲であることが好ましく、40℃〜60℃の範囲であることがより好ましく、反応時間は、スケールにもより適宜選択されれば良いが、10分から4時間の範囲で行われることが好ましく、20分から3時間の範囲で行われることがより好ましい。
本開示の製造方法により得られる前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの具体例としては、例えば、前記一般式(I)中のAがシクロヘキサン−1,4−ジイル基又はシクロペンタン−1,3−ジイル基であり、A、L、A、L、Rsp1、Z及びmが、前記化合物(III−1)から化合物(III−61)のいずれかと同じであるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの代表的な構造式を下記に例示するが、これらに限定されるものではない。
(珪藻土濾過工程)
本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法において、珪藻土濾過工程では、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を珪藻土濾過することにより、当該溶液に含まれる前記一般式(V)で表される化合物の含有量を低減させる。
ここで、珪藻土濾過とは、濾過助剤として珪藻土を用いる濾過のことをいう。本開示の製造方法で行う珪藻土濾過では、予め濾紙等の濾材の表面に、珪藻土を充填させて乃至張り付けてなる珪藻土層を形成して行うプレコート法を用いることが好ましい。或いは、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に、珪藻土を少量ずつ加えながら濾過機に通しても良い。
前記珪藻土濾過工程において、濾過助剤として用いる珪藻土としては、特に限定はされないが、例えば、セライト(登録商標)、ダイカライト(登録商標)、ラヂオライト(登録商標)、セルピュア(登録商標)等が挙げられる。
セライト(登録商標)の市販品としては、例えば、イメリス社製のFilter−Cel、Celite 505,Standard Super−Cel、Celite 512、Hyflo Super−Cel、Celite 503、Celite 535、Celite 545、Celite 577;純正化学(株)製のセライト535、セライト545、スタンダードスーパーセル、ハイフロスーパーセル;関東化学(株)製のセライト、セライト503、セライト535、セライト545等が挙げられる。
ダイカライト(登録商標)の市販品としては、例えば、グレフコ社製のスーパーエイド、UF、スピードフロー、スピードプラス、スピーデックス、スイムプール、215、231、375、2500、4200、4500、5000、6000等が挙げられる。
ラヂオライト(登録商標)の市販品としては、例えば、昭和化学工業(株)製のラヂオライト#100、ラヂオライト#300、ラヂオライト#500、ラヂオライト#700、ラヂオライト#800、ラヂオライト#3000等が挙げられる。
セルピュア(登録商標)の市販品としては、例えば、イメリス社製のセルピュア65、セルピュア300、セルピュア1000等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記珪藻土は、特に限定はされないが、Darcyの式で求められる透過率が0.1〜4.0darcyであることが好ましく、1.0〜3.0darcyであることがより好ましい。ここで、1darcyは,厚さ1cmの珪藻土層を1気圧の差で、粘度1cpの流体が面積1cmについて毎秒1cmの流量のときの値であり、1darcyはSI単位を用いて9.87×10−13で表すこともできる。なお、JIS Z8803に規定される20℃における純水の粘度は1.002cpである。
また、前記珪藻土濾過工程において、珪藻土の使用量としては、固液分離前の溶液100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
また、前記珪藻土濾過工程において、濾過処理速度は、濾面の大きさ、濾過時の圧力等に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、好ましくは100kg/m・hr以上、より好ましくは300kg/m・hr以上であり、さらに好ましくは、500kg/m・hr以上である。
また、濾過時の圧力は、濾材の耐圧等を考慮して適宜調整され、特に限定はされないが、例えば、0.05〜1MPaとすることができ、好ましくは0.1〜1MPaである。
前記珪藻土濾過工程に用いる濾材としては、特に限定はされず、セルロール濾紙、ガラス繊維濾紙等の公知のものを用いることができるが、中でも、ガラス繊維濾紙を用いることが、前記一般式(V)で表される化合物を除去しやすい点から好ましい。
前記珪藻土濾過工程において、前記一般式(V)で表される化合物のAは、使用した前記一般式(II)で表されるジカルボン酸のAと同一となり、前記一般式(V)で表される化合物のRc1及びRc2は、使用した前記一般式(IV)で表される縮合剤のRc1及びRc2と同一となる。
前記一般式(V)で表される化合物としては、例えば、下記式(V−1)から下記式(V−8)で表される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本開示の製造方法においては、前記珪藻土濾過工程により、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に含まれる、前記一般式(V)で表される化合物の含有量を低減させることができる。例えば、目的化合物である前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル100質量部に対し、5質量部程度含まれていた前記一般式(V)で表される化合物を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定で不検出となるまで低減することができ、具体的には0.01質量部未満に低減することができる。
前記珪藻土濾過工程は、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物との脱水縮合反応後の任意の段階で行うことができ、後述するジカルボン酸除去工程を行う前に行っても良いし、ジカルボン酸除去工程を行った後に行っても良いが、後述するウレア除去工程の後に行うことが好ましい。前記珪藻土濾過工程に用いる珪藻土濾過前の前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液としては、例えば、ウレア除去工程後に得られる溶液をそのまま用いても良いが、ウレア除去工程後に、後述する溶剤置換工程を行った後の溶液を用いることが、珪藻土濾過工程により不純物を効率よく除去できる点から好ましい。
(ウレア除去工程)
本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法は、濾過、分液又はこれらの組み合わせにより、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に含まれる下記一般式(VI)
(式中、Rc1及びRc2はそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の含有量を低減させる工程(本開示において、ウレア除去工程という場合がある)を更に有することが好ましい。
前記一般式(VI)で表される化合物のRc1及びRc2は、使用した前記一般式(IV)で表される縮合剤のRc1及びRc2と同一となる。
本開示の製造方法では、前記ウレア除去工程を更に有することにより、ジカルボン酸モノエステルを含有する溶液中の前記一般式(VI)で表される化合物の含有量を低減することができるため、ジカルボン酸モノエステルをより高純度で得ることができ、更に当該ジカルボン酸モノエステルを用いて、高純度な液晶化合物を得ることができる。
前記ウレア除去工程は、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物との脱水縮合反応後の任意の段階で行うことができ、特に限定はされないが、前記珪藻土濾過工程及び後述するジカルボン酸除去工程の前に行うことが好ましく、前記エステル化工程の直後に行うことがより好ましい。
前記ウレア除去工程は、濾過、分液又はこれらの組み合わせにより、公知の方法で行うことができ、特に限定はされない。具体的には例えば、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物とを、DMF等のアミド系有機溶剤中で前記一般式(IV)で表される縮合剤の存在下に反応させて、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する反応液を得た後、当該反応液を室温まで冷却し、生成したジカルボン酸モノエステルを溶解させたまま、前記一般式(VI)で表される化合物を析出させ、濾過により析出物を除去することで、析出した前記一般式(VI)で表される化合物を除去することができる。
本開示の製造方法では、前記ウレア除去工程により、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に含まれる、前記一般式(VI)で表される化合物の含有量を低減させることができる。例えば、具体的には、目的化合物である前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル100質量部に対し、100〜150質量部程度含まれていた前記一般式(VI)で表される化合物を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)又はガスクロマトグラフ(GC)による測定で不検出となるまで低減することができる。
(ジカルボン酸除去工程)
本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を、pHが6.2〜7.5の緩衝液にて洗浄することにより、当該溶液に含まれる前記一般式(II)で表されるジカルボン酸の含有量を低減させる工程(本開示において、ジカルボン除去工程という場合がある)を更に有すること好ましい。
本開示の製造方法では、前記ジカルボン酸除去工程を更に有することにより、ジカルボン酸モノエステルを含有する溶液中の前記一般式(II)で表されるジカルボン酸の含有量を低減することができるため、ジカルボン酸モノエステルをより高純度で得ることができ、更に、当該ジカルボン酸モノエステルを用いて液晶化合物を合成する際に、ジカルボン酸による副反応を抑制することができ、また、高純度な液晶化合物を得ることができる。
なお、前記ジカルボン酸除去工程は、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸と、前記一般式(III)で表される化合物との脱水縮合反応後の任意の段階で行うことができ、前記珪藻土濾過工程を行う前に行っても良いし、前記珪藻土濾過工程を行った後に行っても良いが、前記ウレア除去工程の後に行うことが好ましい。
前記ジカルボン酸除去工程に用いるpHが6.2〜7.5の緩衝液としては、公知の緩衝液を用いることができる。特に限定はされないが、pHが6.2〜7.5の緩衝液としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム二水和物とリン酸水素二ナトリウム12水和物の混合系のリン酸緩衝液、酢酸と酢酸ナトリウムの混合系の酢酸緩衝液、クエン酸とクエン酸三ナトリウムの混合系のクエン酸緩衝液、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムの混合系のフタル酸緩衝液等が挙げられ、中でも、前記リン酸緩衝液及び前記酢酸緩衝液が好ましい。
pHが6.2〜7.5の緩衝液としては、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸を除去し易い点から、中でも、pHが6.5〜7.0の緩衝液を用いることが好ましい。
pHが6.2〜7.5の緩衝液は、従来公知の方法により調製することができる。例えば、23℃でのpHが6.7のリン酸二水素ナトリウム二水和物とリン酸水素二ナトリウム12水和物の混合系の緩衝溶液は、リン酸二水素ナトリウム二水和物11.7g、リン酸水素二ナトリウム12水和物27.0g、水490mlの割合で、これらを混合することにより調製することができる。
また、pHが6.2〜7.5の緩衝液の濃度は、特に限定はされないが、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸を除去し易い点から、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.5〜1.5Mであることがより好ましい。
前記ジカルボン酸除去工程において、前記緩衝液での洗浄回数は、特に限定はされないが、通常1〜5回である。また、前記緩衝液での洗浄は、水洗いした後に行っても良いし、前記緩衝液での洗浄の後に、更に水洗いを行っても良い。
(溶剤置換工程)
本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液中の溶剤を、別の溶剤に置換する工程(本開示において、溶剤置換工程という場合がある)を有していても良い。
前記溶剤置換工程としては、例えば、前記ウレア除去工程後、前記珪藻土濾過工程の前に、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に含まれる当該ジカルボン酸モノエステルの良溶媒を、当該ジカルボン酸モノエステルの溶解度が相対的に小さく、且つ当該ジカルボン酸モノエステルを適度に溶解する溶剤に置換する工程を有することが好ましい。このような溶剤置換工程を前記珪藻土濾過工程の前に行うことにより、前記珪藻土濾過工程において、前記一般式(V)で表される化合物を除去しやすくなる。
前記珪藻土濾過工程の前に行われる前記溶剤置換工程において、置換後の溶剤としては、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを適度に溶解するものであれば良く、特に限定はされないが、中でも、溶解度パラメータ(SP値)が8以上11未満の有機溶剤を含むことが、前記珪藻土濾過工程で不純物を効率よく除去できる点から好ましい。
溶解度パラメータ(SP値)が8以上11未満の有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;エチルエーテル、ブチルエーテル等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤;酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等を挙げることができ、中でも、芳香族炭化水素系溶剤を好ましく用いることができる。
ここで溶解度パラメータ(SP値)の測定方法や計算方法は幾つかあるが、本開示においては、Fedorsの方法[Fedors, R. F., Polymer Eng. Sci., 14, 147 (1974)]により決定する。Fedorsの方法ではSP値を、原子団寄与法により求めているが、原子団寄与法とは分子をいくつかの原子団に分割し、各原子団に経験パラメータを割り振って分子全体の物性を決定する手法である。
分子のSP値δは以下の式で定義される。
δ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
δ :SP値((cal/cm1/2
Δei :各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
Δvi :各原子団のモル体積(cm/mol)
構成原子団iのモル蒸発熱(Δei)及びモル体積(Δvi)は、文献(R.F.Fedors, POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,14(1974)147−154)のTable5に示す数値を用いる。
前記溶剤置換工程の方法は、特に限定されず、例えば、目的化合物である前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを溶液中から析出させ、析出物を濾過等により得た後、当該析出物を、前記別の溶剤中に溶解させることにより行うことができる。溶液中の前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルは、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの貧溶媒、好ましくは溶解度パラメータ(SP値)が8未満である有機溶剤及び水から選ばれる少なくとも1種の溶剤を、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に加えることにより析出させることができる。溶解度パラメータ(SP値)が8未満の有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤等を好ましく用いることができる。
前記溶剤置換工程の方法としては、分液による方法も挙げることができる。例えば、前記珪藻土濾過工程の前に行われる前記溶剤置換工程を分液により行う場合は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に、当該ジカルボン酸モノエステルの溶解度が相対的に小さく、且つ当該ジカルボン酸モノエステルを適度に溶解する溶剤、好ましくは溶解度パラメータ(SP値)が8以上11未満の有機溶剤を加えて、当該有機溶剤に前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを溶解させ、更に水を用いて前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの良溶媒を抽出し、当該良溶媒を除去することで、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの溶解度が相対的に小さい溶剤に置換することができる。
(その他の工程)
本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法は、前述した各工程とは異なる工程を更に有していても良い。
本開示の製造方法は、例えば、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を、活性炭及びシリカゲルを濾過助剤として用いて濾過する工程を更に有していても良い。これにより、着色成分を除去して、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルをより高純度で得ることができる。
また、目的化合物である前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを固体として得る場合、本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを析出させる工程(本開示において、析出工程という場合がある)を更に有することが好ましい。溶液中の前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを析出させる方法としては、例えば、溶液に前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルの貧溶媒を加え、必要に応じて冷却する方法が挙げられる。前記析出工程の後、濾過等によって析出物を得ることにより、目的化合物である前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを固体として得ることができる。
析出物中の下記一般式(VII)で表される化合物の含有量を制御することができる点からは、前記析出工程の前に、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを、溶解度パラメータ(SP値)が8以上11未満の有機溶剤に溶解させてから、前記析出工程を行うことが好ましい。具体的には例えば、前記珪藻土濾過工程で用いる前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液として、溶解度パラメータ(SP値)が8以上11未満の有機溶剤中に、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを溶解させた溶液を用いれば良い。
(式中、A、A、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、前記と同じ意味を表し、複数あるA、L、A、L、Rsp1、Z及びmは、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)
前記一般式(VII)で表される化合物のAは、使用した前記一般式(II)で表されるジカルボン酸のAと同一となり、前記一般式(VII)で表される化合物のA、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、使用した前記一般式(III)で表される化合物のA、L、A、L、Rsp1、Z及びmと同一となる。
前記析出工程により得られる析出物中の前記一般式(VII)で表される化合物の含有量が少ないほど、ジカルボン酸モノエステルをより高純度で得ることができ、更に当該ジカルボン酸モノエステルを用いて、高純度な液晶化合物を得ることができる。一方、本開示の製造方法により得られる前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを析出させた析出物が、前記一般式(VII)で表される化合物を含有していると、本開示の製造方法により得られる前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを製造中間体として用いて合成される液晶化合物は、固体−液晶相転移温度が低下する傾向がある。液晶化合物の固体−液晶相転移温度が低いと、液晶を配向させる工程での負荷が軽減されたり、高温に弱い基板への利用が可能となる。
ここで、固体−液晶相転移温度とは、液晶化合物が固体から液晶に変化する温度を意味する。本開示において固体−液晶相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって昇温時において確認する。すなわち、偏光顕微鏡観察において、昇温時、固体が融解して液状になり、かつ偏光顕微鏡のクロスニコル観察(偏光板が直交状態)において明視野となった点を固体−液晶相転移温度と特定することができる。
本開示の製造方法により得られる生成物が、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルと、前記一般式(VII)で表される化合物とを含有する混合物の場合、当該混合物中の前記一般式(VII)で表される化合物の含有量は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル100質量部に対し、0.01質量部以上であることが、固体−液晶相転移温度が低い液晶化合物が得られやすい点から好ましく、10質量部以下であることが、ジカルボン酸モノエステル及び液晶化合物をより高純度で得ることができる点から好ましく、7質量部以下であることがより好ましい。
<重合性液晶化合物の製造方法>
本開示の重合性液晶化合物を製造する方法は、
前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法により、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを製造する工程(本開示において、ジカルボン酸モノエステル製造工程という場合がある)と、
前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル又は前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルから誘導される下記一般式(I’)
(式中、L’は水酸基ではない脱離基を表し、A、A、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表されるジカルボン酸モノエステル誘導体と、下記一般式(1)
(式中、Acoreは、無置換であるか又は置換基E及び置換基Xからなる群から選ばれる1つ以上の置換基によって置換されていても良い単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の二価の基を表し、前記置換基Eは、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ペンタフルオロスルフラニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、これらによって置換されても良い炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、或いは、前記置換基Eは−LE−spE−Zで表される基を表し、ここで、前記L、RspE、及びZは、それぞれ、前記一般式(I)で定義されるL、Rsp1、及びZと同じ意味を表し、前記置換基Xは、前記置換基Eとは異なる任意の置換基を表す。)で表される化合物とを反応させることにより、下記一般式(2)
(式中、Acore、A、A、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を得る工程(本開示において、重合性液晶化合物製造工程という場合がある)と
を有する、重合性液晶化合物の製造方法である。
本開示の重合性液晶化合物の製造方法は、前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法により得たジカルボン酸モノエステルを用いるため、高純度な重合性液晶化合物を得ることができ、更に、得られた重合性液晶化合物を含有する液晶組成物は、前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されたものであるため、塗膜としたときに欠点が生じ難く、均一な塗膜を形成しやすいものである。
(ジカルボン酸モノエステル製造工程)
本開示の重合性液晶化合物の製造方法において、前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法により、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを製造する工程は、前述した通りなので、ここでの説明は省略する。
(重合性液晶化合物製造工程)
本開示の重合性液晶化合物の製造方法は、前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法により得た前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル又は前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルから誘導される前記一般式(I’)で表されるジカルボン酸モノエステル誘導体と、前記一般式(1)で表される化合物とを反応させることにより、前記一般式(2)で表される化合物を得る工程(重合性液晶化合物製造工程)を有する。
前記重合性液晶化合物製造工程において、前記一般式(1)で表される化合物のAcoreは、前記一般式(2)で表される化合物のAcoreと同一となる。
前記Acoreにおいて、単環芳香族基を構成する単環の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環が挙げられ、単環芳香族基を構成する単環の芳香族複素環としては、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。縮合環芳香族基を構成する縮合環の芳香族炭化水素環としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられ、縮合環芳香族基を構成する縮合環の芳香族複素環としては、キノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、及び特開2010−31223号公報に記載される一般式(1)中のArで表される基が有し得る縮合環の芳香族複素環等が挙げられる。環集合とは、2環が共有原子を持たず、結合を介して連結している構造をいい、環集合芳香族基を構成する構造としては、前記単環及び縮合環の芳香族炭化水素環並びに前記単環及び縮合環の芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも2種の環が直接連結している構造が挙げられる。炭素原子数4〜16の環集合芳香族基を構成する構造としては、例えば、ビフェニル、2−フェニルナフタレン、1−フェニルナフタレン等が挙げられる。
単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の二価の基は、無置換であっても良いが、置換基E及び置換基Xからなる群から選ばれる1つ以上の置換基によって置換されていても良い。
coreにおける置換基Eとしては、中でも、合成が容易な点から、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、によって置換されても良い炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
なお、前記Acoreが有する置換基Eの個数は特に限定はされない。
coreにおける置換基Xは、前記置換基Eとは異なる任意の置換基であり、特に限定はされない。Acoreにおける置換基Xとしては、芳香族環を含む基を挙げることができ、例えば、特許第6473537号に記載される一般式(D−1)で表される基、及び−M−Dで表される基(ここで、Mは−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、又は−N=N−を表し、Dは、インドレニン環構造を含む一価の基を表す。)等を挙げることができる。
前記Dは、下記一般式(d)の構造を含めばよく、更に置換基を有していても良く、下記一般式(d)のベンゼン環を含む縮合環が形成されていても良く、下記一般式(d)のいずれかの水素原子がMに置換した構造が挙げられる。
(一般式(d)中、Rd1及びRd2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置き換えられていても良く、或いは、Rd1及びRd2は互いに結合して3〜7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該非芳香族炭化水素環の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていても良いものである。)
また、Acoreが有する置換基Xが互いに結合して環を構成していても良い。Acoreにおいて置換基Xが互いに結合して環を構成している構造としては、例えば、特開2010−31223号公報に記載される一般式(1)中のArで表される基が有し得る、芳香族環に該当しない縮合環の構造、特許第5084293号に記載される一般式(I)中のベンゼン環と−A−C(=X)−A−で表される基で構成される構造、及び下記一般式(i)で表される構造等を挙げることができる。
(式中、Jは、−N=、又は−(CH)=を表し、
は、芳香環を有する炭素原子数2〜30の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、
は炭素原子数3〜20のアルキル基、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、炭素原子数3〜12のシクロアルケニル基、又は芳香環を有する炭素原子数2〜30の有機基を表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられていても良い。
置換基Eは前記と同じ意味を表し、n1は0〜2の整数を表す。
*(アスタリスク)は、前記一般式(1)の場合は−OHとの結合位置を示し、前記一般式(2)の場合は−COO−との結合位置又は−OCO−との結合位置を示す。)
なお、前記Acoreが有する置換基Xの個数は、特に限定はされないが、特許第6473537号に記載される一般式(D−1)で表される基、及び前記−M−Dで表される基の個数は、重合性液晶化合物が所望のフラット波長分散性又は逆波長分散性とのなりやすい点から、2個以下であることが好ましい。また、Acoreが有する置換基Xが互いに結合して環を構成している場合、Acoreが有する当該環の個数は、1個又は2個であることが好ましい。
coreにおける、単環、縮合環又は環集合芳香族基の環構造としては、中でも原料調達の容易さの点から、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルであることが好ましく、波長分散性の点からはベンゼンであることが好ましく、分子同士の配向性、複屈折率を向上する点からは、ビフェニルであることが好ましい。複屈折率(△n)が大きい重合性液晶化合物を用いることにより、薄膜で位相差を実現することが可能である。
coreにおける、無置換の単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の二価の基としては、例えば、下記式(Co−1)から式(Co−10)から選ばれる基が好ましいが、下記に限定されるものではない。なお、下記式(Co−1)から式(Co−10)において、*(アスタリスク)は、前記一般式(1)の場合は−OHとの結合位置を示し、前記一般式(2)の場合は−COO−との結合位置又は−OCO−との結合位置を示す。中でも、下記式(Co−1)から式(Co−6)から選ばれる基が特に好ましい。
下記式(Co−1)から式(Co−10)においては、芳香族基の1つ以上の水素原子が1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い。
coreが置換基Xとして特許第6473537号に記載される一般式(D−1)で表される基、又は前記−M−Dで表される基を有する場合の単環、縮合環又は環集合芳香族基である炭素原子数4〜16の二価の基としては、例えば、下記式(Co−11)から式(Co−28)から選ばれる基が好ましいが、下記に限定されるものではない。なお、下記式(Co−11)から式(Co−28)において、**は、置換基Xとの結合位置を示し、*は、前記一般式(1)の場合は−OHとの結合位置を示し、前記一般式(2)の場合は−COO−との結合位置又は−OCO−との結合位置を示す。中でも、下記式(Co−11)から式(Co−18)から選ばれる基、及び下記式(Co−26)から式(Co−28)から選ばれる基が特に好ましい。
下記式(Co−11)から式(Co−28)においては、芳香族基の1つ以上の水素原子が1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い。
前記一般式(I’)で表されるジカルボン酸モノエステル誘導体において、水酸基ではない脱離基L’としては、特に限定はされないが、例えば、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等を挙げることができる。中でも、反応性の観点から、ハロゲン原子及びRI’−SO−O−で表される基(RI’はメチル基、フェニル基又は4−メチルフェニル基を表す。)が好ましい。
前記重合性液晶化合物製造工程において、前記一般式(2)で表される化合物を得る反応では、前記一般式(1)で表される化合物の使用量を、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル及び前記一般式(I’)で表されるジカルボン酸モノエステル誘導体の合計1モルに対し、0.3〜0.5モルとすることが好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物を得る方法としては、例えば、下記方法(i)、(ii)及び(iii)が挙げられる。
(方法(i))
前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルと、前記一般式(1)で表される化合物とを、有機溶媒中、縮合剤の存在下に反応させることにより、前記一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
前記一般式(1)で表される化合物の使用量は、特に限定はされないが、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル1モルに対し、0.3〜0.5モルとすることが好ましい。
前記縮合剤としては、前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法で用いられる、前記一般式(IV)で表される縮合剤と同様の縮合剤を用いることができる。前記縮合剤の使用量は、適宜調整され、特に限定はされないが、前記一般式(1)で表される化合物1モルに対し、1〜3モルの量で用いることが好ましい。
前記方法(i)で使用可能な有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
前記有機溶媒の使用量は、適宜調整され、特に限定はされないが、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル1質量部に対し、1〜20質量部の量で用いることが好ましく、2〜10質量部の量で用いることがより好ましい。
前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルと、前記一般式(1)で表される化合物とを反応させる際の反応温度は、−20℃〜30℃とすることが好ましく、−10℃〜20℃とすることがより好ましく、反応時間は、反応スケール等によって適宜調整されるが、通常、数分から数時間である。
前記方法(i)を用いる場合は、前記重合性液晶化合物製造工程において、前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法における珪藻土濾過工程、及びウレア除去工程と同様の工程を更に有することが、目的化合物を高純度で得られ、本開示の製造方法により得られる重合性液晶化合物を含有する液晶組成物の塗膜の均一性を向上する点から好ましい。
(方法(ii))
前記一般式(I’)で表されるジカルボン酸モノエステル誘導体として、前記一般式(I’)中のL’がハロゲン原子であるジカルボン酸モノエステル誘導体Aと、前記一般式(1)で表される化合物とを、有機溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより、前記一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aは、例えば、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを、有機溶媒中、ハロゲン化剤と作用させることにより得ることができる。
前記ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩化スルフリル、塩化オキサリル、三塩化リン、五塩化リン等の塩素化剤;臭化チオニル等の臭素化剤;等が挙げられる。
前記ハロゲン化剤の使用量は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル1モルに対して、1〜5モルとすることが好ましく、1.1〜2モルとすることがより好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、前記方法(i)で使用可能な有機溶媒と同様のものを挙げることができる。
また、前記ハロゲン化の際には、活性化剤として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド混合物等の4級アンモニウム塩を用いても良い。
前記ハロゲン化の反応温度は、−20℃〜+30℃とすることが好ましく、−10℃〜+20℃とすることがより好ましい。反応時間は、反応スケール等によって適宜調整されるが、通常、数分から数時間である。
反応終了後は、反応液から生成した前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aを単離しても良いし、単離することなく、反応液から二酸化硫黄、ハロゲン化水素及び未反応のハロゲン化剤を除去して得られる溶液を、そのまま前記一般式(1)で表される化合物との反応に用いてもよい。
上記のようにして得られる前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aと、前記一般式(1)で表される化合物とを、有機溶媒中、塩基の存在下に反応させることで、前記一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
前記反応方法としては、例えば、
(A)前記ジカルボン酸モノエステル誘導体A及び塩基を含有する溶液に、前記一般式(1)で表される化合物を添加して、全体を撹拌する方法、
(B)前記ジカルボン酸モノエステル誘導体A及び前記一般式(1)で表される化合物を含有する溶液に、塩基を添加して、全体を撹拌する方法、
(C)前記一般式(1)で表される化合物及び塩基を含有する溶液に、前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aを添加して、全体を撹拌する方法
等が挙げられる。
方法(ii)において、前記一般式(1)で表される化合物の使用量は、前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aを1モルに対して、0.3〜0.5モルとすることが好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、前記方法(i)で使用可能な有機溶媒と同様のものを挙げることができる。なお、前記一般式(1)で表される化合物は、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
前記塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
前記塩基の使用量は、前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aを1モルに対し、1〜3モルとすることが好ましい。
前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aと、前記一般式(1)で表される化合物とを反応させる際の反応温度は、−20℃〜+30℃とすることが好ましく、−10℃〜+20℃とすることがより好ましく、反応時間は、反応スケール等によって適宜調整されるが、通常、数分から数時間である。
(方法(iii))
前記一般式(I’)で表されるジカルボン酸モノエステル誘導体として、前記一般式(I’)中のL’が、RI’−SO−O−で表される基(RI’はメチル基、フェニル基又は4−メチルフェニル基を表す。)であるジカルボン酸モノエステル誘導体Bと、前記一般式(1)で表される化合物とを、有機溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより、前記一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Bは、例えば、有機溶媒中、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルと、式:RI’−SO−X(RI’は前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるスルホニルハライドとを、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基存在下で反応させることにより得ることができる。
前記スルホニルハライドの使用量は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル1モルに対して、1〜3モルとすることが好ましい。
前記塩基の使用量は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステル1モルに対して、1〜3モルとすることが好ましい。
上記のようにして得られる前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Bと、前記一般式(1)で表される化合物とを、有機溶媒中、塩基の存在下に反応させることで、前記一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
前記反応方法としては、例えば、
(A)前記ジカルボン酸モノエステル誘導体B及び塩基を含有する溶液に、前記一般式(1)で表される化合物を添加して、全体を撹拌する方法、
(B)前記ジカルボン酸モノエステル誘導体B及び前記一般式(1)で表される化合物を含有する溶液に、塩基を添加して、全体を撹拌する方法、
(C)前記一般式(1)で表される化合物及び塩基を含有する溶液に、前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Bを添加して、全体を撹拌する方法
等が挙げられる。
方法(iii)で使用する前記有機溶媒としては、例えば、前記方法(i)で使用可能な有機溶媒と同様のものを挙げることができ、前記方法(iii)で使用する前記塩基としては、例えば、前記方法(ii)で使用可能な塩基と同様のものを挙げることができる。前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Bと、前記一般式(1)で表される化合物とを反応させる際の反応温度としては、前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Aと、前記一般式(1)で表される化合物とを反応させる際の反応温度と同様であって良い。
また、方法(iii)において、前記一般式(1)で表される化合物の使用量は、前記ジカルボン酸モノエステル誘導体Bを1モルに対して、0.3〜0.5モルとすることが好ましい。
なお、前記一般式(1)で表される化合物は、公知の方法に基づいて製造することができ、また、市販されているものを、所望により精製して用いても良い。
本開示の重合性液晶化合物の製造方法によれば、正常分散(正分散)又は逆波長分散性を示す重合性液晶化合物、或いは波長分散性を実質的に示さない(フラット分散又は低波長分散)重合性液晶化合物を得ることができる。本開示の製造方法により製造可能な公知の逆波長分散性の重合性液晶化合物としては、例えば、特許第5084293号、特開2009−149754号公報、特開2010−31223号公報、特許第5962760号、国際公開2014/061709号公報、国際公開2016/136533号公報、国際公開2016/104317号公報、特許第6473537号に記載のもの等が挙げられる。本開示の製造方法により製造可能なフラット分散性の重合性液晶化合物としては、例えば、Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas(1996),115(6),321-328に記載の化合物等が挙げられる。
また、本開示の製造方法により製造可能な重合性液晶化合物として、前記一般式(2)で表される化合物のうち、前記一般式(2)中のAcoreが、置換基Xとして前記−M−Dで表される基を1個又は2個有する重合性液晶化合物は、溶剤溶解性が良好で、析出し難く安定性が向上した、フラット波長分散性又は逆波長分散性を示す重合性液晶化合物である点から好ましい。
逆波長分散性を示す重合性液晶化合物として、前記一般式(2)で表される化合物のうち、前記一般式(2)中のAcoreが、置換基Xとして、特許第6473537号に記載される一般式(D−1)で表される基を1個又は2個有する重合性液晶化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、前記方法(i)、(ii)又は(iii)により、前記一般式(2)で表される化合物のうち、前記一般式(2)中のAcoreが置換基Eとしてアルデヒド基(−CHO)を1個又は2個有する化合物を得る。次いで、得られた化合物のAcoreが有するアルデヒド基と、特許第6473537号に記載されるQ−J−NHで表される中間体とを反応させることにより、前記一般式(2)中のAcoreが置換基Xとして前記一般式(D−1)で表される基を1個又は2個有する重合性液晶化合物を得ることができる。
このように、前記一般式(2)で表される化合物は、最終的な重合性液晶化合物としても良いし、最終的な重合性液晶化合物を製造するための中間体として用いても良い。
<液晶組成物の製造方法>
本開示の液晶組成物を製造する方法は、
前記本開示の重合性液晶化合物の製造方法により、重合性液晶化合物を製造する工程と、
前記重合性液晶化合物を少なくとも含有する液晶組成物を調製する工程と
を有する、液晶組成物の製造方法である。
本開示の液晶組成物の製造方法は、前記重合性液晶化合物を製造する工程において、前記本開示のジカルボン酸モノエステルの製造方法を用いるため、得られる液晶組成物中の前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されていることにより、得られる液晶組成物は、塗膜としたときに欠点が生じ難く、均一な塗膜を形成しやすいものである。
本開示の液晶組成物の製造方法において、重合性液晶化合物を製造する工程は、前述した本開示の重合性液晶化合物の製造方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
前記重合性液晶化合物を少なくとも含有する液晶組成物を調製する工程においては、前記本開示の製造方法により得られた重合性液晶化合物と、好ましくは光重合開始剤と、効果を損なわない範囲で更に他の成分とを混合することにより、液晶組成物を調製する。
以下、本開示の製造方法により得られる液晶組成物を構成する各成分について順に説明する。
1.本開示の製造方法により得た重合性液晶化合物
前記液晶組成物は、液晶組成物の塗布性を向上し、液晶組成物を塗膜としたときの均一性を向上させる点から、本開示の製造方法により得た重合性液晶化合物の含有量が、液晶組成物の固形分100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましく、54質量部以上であることがより好ましく、57質量部以上であることがより更に好ましい。一方、光重合開始剤等の他の成分を十分に含有させる点から、本開示の製造方法により得た重合性液晶化合物の含有量は、液晶組成物の固形分100質量部に対して、99質量部以下であることが好ましく、98質量部以下であることがより好ましい。
なお、本開示において固形分とは溶剤を除く全ての成分をいい、例えば、重合性液晶化合物等が液状であっても固形分に含まれるものとする。
また、本実施形態において重合性液晶化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、液晶組成物の塗布性を向上し、液晶組成物を塗膜としたときの均一性を向上させる点から、前記液晶組成物は、本開示の製造方法により得た重合性液晶化合物の含有量が、全重合性液晶化合物の合計100質量部に対し、80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがより好ましく、99質量部以上であることがより更に好ましく、液晶組成物が含有する全ての重合性液晶化合物が、前記本開示の製造方法により得た重合性液晶化合物であることが特に好ましい。
2.光重合開始剤
本実施形態において光重合開始剤は、従来公知の物の中から適宜選択して用いることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、塗膜の内部まで硬化し耐久性が向上するため、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤としては、例えば、特許第6473537号に記載のこれらの重合開始剤と同様のものが好適に用いられる。
本実施形態において光重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において光重合開始剤の含有割合は、液晶組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。重合性成分の硬化を促進する点からは、液晶組成物に含まれる重合性成分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。なお、重合性成分とは、重合性基を有する化合物をいう。
3.その他の成分
本開示の液晶組成物は、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。具体的には、他の成分としてレベリング剤、酸化防止剤、光安定化剤や、塗工性の観点から溶剤等を含有してもよい。
レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることが好ましい。レベリング剤の具体例としては、例えば、特開2010−122325号公報に記載のDIC(株)製のメガファックシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSFシリーズ及び(株)ネオス製のフタージェントシリーズ等が挙げられる。本実施形態においてレベリング剤を用いる場合、その含有割合は、液晶組成物の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
溶剤としては、液晶組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。中でも、液晶組成物の塗膜の欠点を抑制する効果が高く、塗膜の均一性を向上する効果が高い点から、前記溶剤としては、ケトン系溶剤を用いることが好ましい。
本実施形態において溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いることができる。
4.用途
本実施形態の液晶組成物は、配向性が良好であることから種々の用途に好適に用いられ、例えば、位相差フィルムや各種光学部材用途に好適に用いられる。
以下において、製造した各化合物は、日本電子(株)製JEOL JNM−LA400WBを用いて、1H−NMR測定により化学構造を確認した。
また、含有量(質量%)は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析した生成物中の含有割合である。
[実施例1:ジカルボン酸モノエステルの製造]
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 8.6g(50mmol)、6−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキシルアクリレート 2.6g(10mmol、DKSH製)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 61mg(0.5mmol)をジメチルホルムアミド(50ml)に溶解させ、そこへN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 3.1g(15mmol)のジメチルホルムアミド(5mL)溶液を滴下した。滴下終了後、40℃で3時間撹拌した。前記撹拌後、得られた溶液を室温まで冷却し、その後、濾紙を用いて濾過し、溶液中の沈殿物を除去した。前記沈殿物を除去した溶液に、水100mlを加え、1時間攪拌し、濾紙を用いて溶液中の析出物を回収した。ガラス濾過器(円筒ロート形、ポアサイズ(μm):16〜40、濾過板径(mm):φ39)に珪藻土濾過助剤(ハイフロスーパーセル(純正化学(株)製))3.0gを充填して珪藻土層を形成し、前記析出物をキシレン(40ml)に溶解させた溶液を、0.1MPaで、プレコート法にて珪藻土濾過し、その濾液を、目的化合物を含有する溶液として得た。リン酸二水素ナトリウム二水和物とリン酸水素二ナトリウム12水和物の混合によりpHが6.7となるように調整したリン酸緩衝液と、水で、得られた溶液を洗浄した後、ヘキサン20mlを添加し、目的化合物を析出させ、濾紙を用いて濾過し、溶液を除去することで、析出物である生成物1を得た。得られた生成物1に含まれる化合物の構造を、1H−NMRにより確認した結果、目的化合物である下記化学式(I)−1で表されるジカルボン酸モノエステルを含有するものであることが確認された。また、生成物1中の各化合物の含有割合(質量%)及び目的化合物であるジカルボン酸モノエステルの収率を表3に示す。
[実施例2〜実施例7:ジカルボン酸モノエステルの製造]
実施例1において、濾過助剤として、ハイフロスーパーセル(純正化学(株)製)に代えて表3に示す濾過助剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、前記化学式(I)−1で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する生成物2〜7を得た。
[実施例8:ジカルボン酸モノエステルの製造]
実施例1において、縮合剤として、DCC 3.1g(15mmol)に代えて、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(EDC)を2.3g(15mmol)用い、濾過助剤として、ハイフロスーパーセル(純正化学(株)製)に代えて表3に示す濾過助剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、前記化学式(I)−1で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する生成物8を得た。
[実施例9:ジカルボン酸モノエステルの製造]
実施例1において、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 8.6g(50mmol)に代えて、trans−1,3−シクロペンタンジカルボン酸 7.9g(50mmol)を用い、濾過助剤として、ハイフロスーパーセル(純正化学(株)製)に代えて表3に示す濾過助剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記化学式(I)−4で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する生成物9を得た。
[比較例1:ジカルボン酸モノエステルの製造]
実施例1において、珪藻土濾過を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、前記化学式(I)−1で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する比較生成物1を得た。
[比較例2:ジカルボン酸モノエステルの製造]
実施例1において、濾過助剤として、珪藻土濾過助剤であるハイフロスーパーセル(純正化学(株)製)に代えて、セルロース系濾過助剤であるKCフロック(銘柄:W−100GK、日本製紙(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、前記化学式(I)−1で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する比較生成物2を得た。
また、比較例1で得た比較生成物1、及び比較例2で得た比較生成物2について、生成物に含まれる化合物の構造を1H−NMRにより確認した結果、目的化合物であるジカルボン酸モノエステルに加えて、前記式(V−1)で表される化合物も含有するものであることが確認された。
なお、表中の「ND」は、HPLC測定で不検出であったことを意味する。
また、表中、ジカルボン酸は、前記一般式(II)で表されるジカルボン酸を意味し、縮合剤は、前記一般式(IV)で表される縮合剤を意味し、ジカルボン酸モノエステル(目的化合物)は、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを意味し、ウレアは、前記一般式(VI)で表される化合物を意味し、双頭体は、前記一般式(VII)で表される化合物を意味し、問題化合物は、前記一般式(V)で表される化合物を意味する。
また、表中の各略号は以下の通りである。
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、東京化成工業(株)製
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、東京化成工業(株)製
ハイフロスーパーセル:純正化学(株)製、セライト(珪藻土濾過助剤)
スピーデックス:グレフコ社製、ダイカライト(珪藻土濾過助剤)
ラヂオライト♯800:昭和化学工業(株)製、ラヂオライト(珪藻土濾過助剤)
セライト503:関東化学(株)製、セライト(珪藻土濾過助剤)
スイムプール:グレフコ社製、ダイカライト(珪藻土濾過助剤)
セライト545:純正化学(株)製、セライト(珪藻土濾過助剤)
スタンダートスーパーセル:純正化学(株)製、セライト(珪藻土濾過助剤)
KCフロック(W−100GK):日本製紙(株)製、セルロース系濾過助剤
実施例1〜9では、珪藻土濾過を行ったため、得られた生成物1〜9は、縮合剤由来の不純物である前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されており、目的化合物であるジカルボン酸モノエステルの純度が高かった。
一方、比較例1、2では、珪藻土濾過を行わなかったため、得られた比較生成物1、2は、縮合剤由来の不純物である前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されておらず、目的化合物であるジカルボン酸モノエステルの純度が比較的低かった。
[実施例10〜18及び比較例3、4]
(1)重合性液晶化合物の製造
メチルヒドロキノン0.36g(2.9mmol)、下記表4に従って選択される実施例1〜9又は比較例1、2で得た生成物3.2g(ジカルボン酸モノエステル約7.6mmol含有)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)14mg(0.12mmol)のジクロロメタン(20mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)1.9g(9mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物を濾過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(10mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物を濾過し、得られた結晶を乾燥させることにより、重合性液晶化合物を主成分とする混合物を得た。得られた重合性液晶化合物の構造を、1H−NMRにより確認した。
実施例10〜17及び比較例3、4では、下記式(2−1)で表される重合性液晶化合物1を主成分とする混合物1〜8及び比較混合物1、2を得た。
実施例18では、下記式(2−2)で表される重合性液晶化合物2を主成分とする混合物9を得た。
また、実施例10〜18で得た混合物1〜9の相転移温度を測定した結果、実施例10〜17で得た混合物1〜8は、Cr 117 N 200 ISOであり、実施例18で得た混合物9はCr 145 N 157 ISOであった。ここで、Crは結晶、Nはネマチック相、ISOは等方性液体を表す。「Cr 117 N 200 ISO」は、117℃で結晶からネマチック相に転移し、200℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを意味する。相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡(オリンパス製、BX51)によるテクスチャー観察によって昇温時において確認した。
(2)液晶組成物の製造
シクロペンタノン400質量部に、上記で得られた混合物1〜9又は比較混合物1、2を20質量部、下記化学式で表される重合性液晶化合物Aを80質量部、更に光重合開始剤(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン:チバスペシャルティケミカルズ製、イルガキュア907)を4質量部、溶解させて液晶組成物を製造した。
(3)位相差フィルムの製造
(3−1)光配向膜用組成物の調製
特許第5626493号の製造例1の記載に従って、光配向性モノマーとヒドロキシエチルメタクリレートを共重合した共重合体1を得て、下記に示す組成の光配向膜用組成物を調製した。
・共重合体1:0.1質量部
・ヘキサメトキシメチルメラミン(HMM):0.01質量部
・p−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA):0.0015質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):2.1質量部
(3−2)水平配向膜の形成
PET基板(東洋紡(株)製、E5100、厚さ38μm)の片面上に、前記光配向膜用組成物を、硬化後の膜厚が0.2μmとなるようにバーコートにより塗布し、120℃のオーブンで1分間加熱して乾燥及び熱硬化を行い、硬化塗膜を形成した。その後、この硬化塗膜表面にHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を基板法線から垂直方向に露光量100mJ/cmで照射することで、水平配向膜を形成した。
(3−3)位相差フィルムの作製
形成した水平配向膜上に、上記で得られた液晶組成物を、硬化後の膜厚が1μmになるように塗布し、液晶組成物を成膜した。その後、100℃に調整したオーブン中で2分間乾燥させた後に、Fusion社製のHバルブを用いて紫外線(UV)を照射量400mJ/cmで照射して位相差層を形成して位相差フィルムを得た。
[評価]
<サンプル作成>
得られた位相差フィルムのPET基板を剥離して、位相差層及び水平配向膜を粘着付きガラス板に転写したサンプルを用いた。
<配向性>
位相差層の配向性を、偏光顕微鏡観察により4段階で評価した。
(配向性の評価基準)
A:目視で均一な配向が得られており、偏光顕微鏡観察で欠点が一切見られない。
B:目視で均一な配向が得られており、偏光顕微鏡観察で配向面積は90%以上であるが、わずかに欠点が見られる。
C:目視でB程の配向は得られておらず、偏光顕微鏡観察での配向面積は50%以上90%未満。
D:目視では無配向で、偏光顕微鏡観察での配向面積も50%未満。
実施例10〜18では、重合性液晶化合物の製造に使用したジカルボン酸モノエステル含有生成物が、ジカルボン酸モノエステルの純度が高く、縮合剤由来の不純物である前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されたものであったため、得られた液晶組成物においても、前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されていたことにより、液晶組成物の塗膜に欠点が生じにくく、当該液晶組成物を用いて形成した位相差層は、均一な配向が得られており、配向性に優れるものであった。
一方、比較例3、4では、重合性液晶化合物の製造に使用したジカルボン酸モノエステル含有生成物が、縮合剤由来の不純物である前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されていないものであったため、得られた液晶組成物においても、前記一般式(V)で表される化合物の含有量が低減されておらず、液晶組成物の塗膜に欠点が生じやすく、当該液晶組成物を用いて形成した位相差層は、均一な配向が得られにくく、配向性が劣っていた。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    (式中、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
    及びAはそれぞれ独立に、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
    及びLはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
    sp1は、炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、
    は、重合性官能基を表し、
    mは0〜3の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
    前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでLは、前記L及びLと同一のものを表すが、それぞれ前記L及びLと同一であっても異なっていても良く、RspE及びZは、それぞれ前記Rsp1及びZと同一のものを表すが、それぞれ前記Rsp1及びZと同一であっても異なっていても良い。)で表されるジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、下記一般式(II)
    (式中、Aは前記と同じ意味を表す。)で表されるジカルボン酸と、下記一般式(III)
    (式中、A、L、A、L、Rsp1、Z及びmはそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物とを、下記一般式(IV)
    (式中、Rc1及びRc2はそれぞれ独立に、3級アミノ基又は4級アンモニウム塩を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はこれらの組み合わせであって、前記アミノ基、アンモニウム塩、アルキル基、又はシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられていても良い基を表す。)で表される縮合剤の存在下に反応させて、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を得る工程と、
    前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液を珪藻土濾過することにより、当該溶液に含まれる下記一般式(V)
    (式中、A、Rc1及びRc2はそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の含有量を低減させる工程と、
    を有する、ジカルボン酸モノエステルの製造方法。
  2. 前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液をpHが6.2〜7.5の緩衝液にて洗浄することにより、当該溶液に含まれる前記一般式(II)で表されるジカルボン酸の含有量を低減させる工程を更に有する、請求項1に記載のジカルボン酸モノエステルの製造方法。
  3. 濾過、分液又はこれらの組み合わせにより、前記一般式(I)で表されるジカルボン酸モノエステルを含有する溶液に含まれる下記一般式(VI)
    (式中、Rc1及びRc2はそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の含有量を低減させる工程を更に有する、請求項1又は2に記載のジカルボン酸モノエステルの製造方法。
JP2019116420A 2019-06-24 2019-06-24 ジカルボン酸モノエステルの製造方法 Active JP7306103B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019116420A JP7306103B2 (ja) 2019-06-24 2019-06-24 ジカルボン酸モノエステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019116420A JP7306103B2 (ja) 2019-06-24 2019-06-24 ジカルボン酸モノエステルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021001150A true JP2021001150A (ja) 2021-01-07
JP7306103B2 JP7306103B2 (ja) 2023-07-11

Family

ID=73994770

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019116420A Active JP7306103B2 (ja) 2019-06-24 2019-06-24 ジカルボン酸モノエステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7306103B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011207765A (ja) * 2009-03-16 2011-10-20 Sumitomo Chemical Co Ltd 化合物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
WO2014174929A1 (ja) * 2013-04-25 2014-10-30 Jnc株式会社 重合性化合物、重合性組成物および液晶表示素子
JP2015157776A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 住友化学株式会社 1個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸エステル化合物の製造方法
WO2016159193A1 (ja) * 2015-03-31 2016-10-06 日本ゼオン株式会社 重合性化合物の混合物及びその製造方法
WO2017154588A1 (ja) * 2016-03-10 2017-09-14 Dic株式会社 エステル基を有する化合物の製造方法
WO2017199754A1 (ja) * 2016-05-18 2017-11-23 日本ゼオン株式会社 化合物の製造方法、化合物、及び混合物
WO2018180716A1 (ja) * 2017-03-27 2018-10-04 日本ゼオン株式会社 重合性化合物の製造方法および溶液

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011207765A (ja) * 2009-03-16 2011-10-20 Sumitomo Chemical Co Ltd 化合物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
WO2014174929A1 (ja) * 2013-04-25 2014-10-30 Jnc株式会社 重合性化合物、重合性組成物および液晶表示素子
JP2015157776A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 住友化学株式会社 1個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸エステル化合物の製造方法
WO2016159193A1 (ja) * 2015-03-31 2016-10-06 日本ゼオン株式会社 重合性化合物の混合物及びその製造方法
WO2017154588A1 (ja) * 2016-03-10 2017-09-14 Dic株式会社 エステル基を有する化合物の製造方法
WO2017199754A1 (ja) * 2016-05-18 2017-11-23 日本ゼオン株式会社 化合物の製造方法、化合物、及び混合物
WO2018180716A1 (ja) * 2017-03-27 2018-10-04 日本ゼオン株式会社 重合性化合物の製造方法および溶液

Also Published As

Publication number Publication date
JP7306103B2 (ja) 2023-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6744963B2 (ja) 化合物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
TWI465552B (zh) A polymerizable liquid crystal compound, a polymerizable liquid crystal composition, a liquid crystalline polymer, and an optical anisotropy
KR101629587B1 (ko) 화합물, 헤이즈 저하제, 액정 조성물, 고분자 재료 및 필름
KR101298371B1 (ko) 중합성 키랄 화합물, 중합성 액정 조성물, 액정성 고분자 및 광학 이방체
KR101411896B1 (ko) 중합성 화합물 및 중합성 조성물
WO2016088749A1 (ja) 重合性化合物、組成物、重合体、光学異方体、液晶表示素子及び有機el素子
JP4227680B2 (ja) 液晶フィルムおよびその製造方法
JPWO2008105538A1 (ja) 重合性液晶化合物、重合性液晶組成物、液晶性高分子及び光学異方体
JPWO2006115112A1 (ja) 重合性液晶化合物及びそれを含有する重合性液晶組成物並びにそれらを用いて得られる重合体
KR20110067108A (ko) 중합성 액정 화합물 및 중합성 액정 조성물 및 배향 필름
WO2018194157A1 (ja) 化合物、液晶組成物、硬化物、光学異方体、及び反射膜
JPWO2019182129A1 (ja) 化合物、組成物、硬化物、光学異方体、反射膜
EP0731084A2 (de) Photovernetzbare Naphthyl-derivate
JP5522359B2 (ja) 重合性液晶化合物、液晶組成物および重合体
KR101634475B1 (ko) 화합물, 액정 조성물, 고분자 재료 및 필름
JPWO2013039053A1 (ja) 重合性液晶組成物および配向フィルム
JP5737283B2 (ja) 重合性キラル化合物、重合性液晶組成物、液晶性高分子及び光学異方体
JP7306103B2 (ja) ジカルボン酸モノエステルの製造方法
JPH08231470A (ja) 新規化合物および円盤状化合物からなる薄膜
JP2000191640A (ja) メソ―ゲン基を含むビスマレイミド
JP5750069B2 (ja) 液晶配向促進剤、液晶組成物、高分子材料およびフィルム
KR20130139180A (ko) 중합성 액정 화합물, 이를 포함하는 액정 조성물 및 광학 이방체
KR101682591B1 (ko) 중합성 액정 화합물, 이를 포함하는 액정 조성물 및 광학 이방체
JP7269317B2 (ja) 化合物、液晶組成物、硬化物、光学異方体、反射膜
JP2024047270A (ja) 1個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸エステル化合物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230612

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7306103

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150