JP2021001084A - 亜塩素酸塩水溶液及びその使用方法 - Google Patents

亜塩素酸塩水溶液及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亜塩素酸塩をより長期にわたって安定に保持することのできる塩基性亜塩素酸塩水溶液、二酸化塩素をより多く生成させることのできる酸性亜塩素酸塩水溶液の提供。【解決手段】塩基性亜塩素酸塩水溶液であって、亜塩素酸塩、及び、当該塩基性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物を含有し、pH(25℃)が9.0乃至14.0である塩基性亜塩素酸塩水溶液、並びに、酸性亜塩素酸塩水溶液であって、亜塩素酸塩、二酸化塩素、及び、当該酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物を含有し、pH(25℃)が1.0乃至6.0である酸性亜塩素酸塩水溶液。【選択図】図1

Description

本発明は、保存安定性に優れる亜塩素酸塩水溶液、より高い二酸化塩素生成量が達成される亜塩素酸塩水溶液、及び、より高い二酸化塩素生成量が達成されるか又は二酸化塩素生成量の経時による低減が抑制される、亜塩素酸塩に由来する二酸化塩素を含有する水溶液の使用方法に関する。
二酸化塩素は、殺菌剤、消臭剤、漂白剤等として用いられている。しかし、二酸化塩素は、標準的な環境温度(25℃)及び環境圧力(1bar)下において気体であるため、通常は、用時にその前駆体から発生させて使用する。二酸化塩素の前駆体から二酸化塩素を発生させる方法としては、種々の方法が知られている。その代表的な方法は、亜塩素酸塩水溶液に酸を添加することにより、亜塩素酸塩を分解させる方法(2液法)である。
亜塩素酸塩水溶液は、保存時におけるその分解を抑制するために、そのpHを10乃至12の塩基性にするという方法が採用されている。しかし、このようなpHに調整しても、特に光や温度の影響を受けると、亜塩素酸塩から二酸化塩素が発生してしまう。このようにして発生した気体の二酸化塩素により、亜塩素酸塩水溶液を収容しているプラスチック製の容器やその蓋、パッキンが腐食され、破損してしまう。
このような実情に鑑み、亜塩素酸塩水溶液の安定化方法が検討されてきた。例えば特許文献1には、亜塩素酸塩溶液(例えば、水溶液)にエリソルビン酸、アスコルビン酸、過酸化水素、エチレンジアミン四酢酸等の還元剤を添加する、亜塩素酸塩溶液の安定化方法が開示されている。
また、亜塩素酸塩からの効率的な二酸化塩素の発生方法も検討されてきた。例えば特許文献2には、亜塩素酸ナトリウムに炭酸カルシウム等の炭酸金属塩を混合することで、気体の二酸化塩素発生量を増大できる旨が記載されている。
特開2010−77004 特開2017−214267
本発明は、上記の従来技術に鑑みてなされたものであり、亜塩素酸塩をより長期にわたって安定に保持することのできる塩基性亜塩素酸塩水溶液、二酸化塩素をより多く生成させることのできる酸性亜塩素酸塩水溶液、二酸化塩素の生成量を増やす方法、及び、より高い二酸化塩素生成量が達成されるか又は二酸化塩素生成量の経時による低減が抑制される、亜塩素酸塩水溶液の使用方法の提供を目的とする。
本願第一の発明は、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)であって、亜塩素酸塩、及び、当該塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物を含有し、pH(25℃)が9.0乃至14.0であることを特徴とする塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に関する。塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)中の塩化物イオンの、完全電離していると仮定した場合のモル濃度は、0.10mol/L乃至4.00mol/Lであることが好ましい。
本願第二の発明は、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)であって、亜塩素酸塩、二酸化塩素、及び、当該酸性亜塩素酸塩水溶液(II)に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物を含有し、pH(25℃)が1.0乃至6.0であることを特徴とする酸性亜塩素酸塩水溶液(II)に関する。酸性亜塩素酸塩水溶液(II)中の塩化物イオンの、完全電離していると仮定した場合のモル濃度は、0.10mol/L乃至4.00mol/Lであることが好ましい。
本願第三の発明は、中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、酸性化剤を添加し、得られる水溶液のpHを酸性とすることを特徴とする、二酸化塩素の生成量を増やす方法に関する。中性乃至塩基性亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において酸性化剤を添加する工程は、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に酸性化剤を添加する工程であってよい。
本願第四の発明は、中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、酸性化剤を添加してpH(25℃)を1.0乃至6.0とし、その後、得られた酸性亜塩素酸塩水溶液を10乃至50℃に保持し、酸性化剤の添加直後から60分間以内に酸性亜塩素酸塩水溶液を使用することを特徴とする、亜塩素酸塩水溶液の使用方法に関する。中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、酸性化剤を添加する工程は、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に酸性化剤を添加する工程であってよい。
本願第五の発明は、二酸化塩素を含有する酸性亜塩素酸塩水溶液に、当該酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、塩基性の中和剤を添加してpH(25℃)を4.0乃至9.0とし、中和剤の添加後7日以内に使用することを特徴とする、二酸化塩素を含有する亜塩素酸塩水溶液の使用方法に関する。二酸化塩素を含有する酸性亜塩素酸塩水溶液に、当該酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、塩基性の中和剤を添加する工程は、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)に塩基性の中和剤を添加する工程であってよい。
本発明により、塩基性の亜塩素酸塩水溶液を長期にわたって安定に保存することが可能となる。
また、本発明により、亜塩素酸塩に由来する二酸化塩素をも含有する酸性の亜塩素酸塩水溶液を、その調製後に時間の猶予を持って使用することが可能となる。
さらに、本発明により、亜塩素酸塩水溶液からの二酸化塩素生成量を増大させることが可能となる。
本発明の亜塩素酸塩水溶液に含有されている亜塩素酸塩は、二酸化塩素の前駆体であり、亜塩素酸塩から生成される二酸化塩素は、漂白に使用することができる。したがって、本発明により、漂白方法を、時間の猶予を持って実施できるようになる。
本発明の亜塩素酸塩水溶液及びその使用方法は、歯の漂白に使用することができる。本発明によれば、複数の患者のための亜塩素酸塩水溶液を、一度にまとめて調製し、時差をもって使用することが可能となる。
図1は、亜塩素酸塩水溶液を酸性にして二酸化塩素を発生させ、その後に中和を行った場合の、相対二酸化塩素発生率(%)に対する、中和後の亜塩素酸塩水溶液の保存日数、塩化ナトリウムの有無、及び保存温度の影響を示すグラフである。 図2は、亜塩素酸塩水溶液を酸性にして二酸化塩素を発生させた後の、経時による相対二酸化塩素発生量の変化に対する、亜塩素酸塩水溶液中の塩化ナトリウムの量と、当該水溶液の保存環境(密閉系であるか、開放系であるか)の影響を示すグラフである。 図3−1は、亜塩素酸塩水溶液を酸性として二酸化塩素を発生させ、その後塩基性として二酸化塩素の発生を止めた後の、経時による相対二酸化塩素発生量の変化に対する、亜塩素酸塩水溶液の保存温度と、当該水溶液の保存環境(密閉系であるか、開放系であるか)の影響を示すグラフである。 図3−2は、亜塩素酸塩水溶液を酸性として二酸化塩素を発生させ、その後塩基性として二酸化塩素の発生を止めて得られた亜塩素酸塩水溶液を用いる着色ハイドロキシアパタイト(HAP)の漂白(具体的には、着色ハイドロキシアパタイト漂白率)に対する、亜塩素酸塩水溶液の保存温度、当該水溶液の保存環境(密閉系であるか、開放系であるか)、及び二酸化塩素の発生を止めた後の経過時間の影響を示すグラフである。 図3−3は、相対二酸化塩素発生量と着色ハイドロキシアパタイト漂白率との関係を示すグラフである。 図4は、塩基性亜塩素酸塩水溶液を酸性とし、二酸化塩素を発生させ、中和した後の、亜塩素酸塩水溶液の二酸化塩素含有量(具体的には、相対二酸化塩素残存率)の経時変化に対する、塩化ナトリウムの量の影響を示すグラフである。 図5は、塩基性亜塩素酸塩水溶液を酸性とし、二酸化塩素を発生させ、中和した後の、亜塩素酸塩水溶液の二酸化塩素含有量(具体的には、相対二酸化塩素残存率)の経時変化に対する、中和時のpHの影響を示すグラフである。
本願第一の発明は、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)であって、亜塩素酸塩、及び、当該塩基性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して、即ち、飽和水溶液中の塩化物イオンの、完全電離したと仮定したモル濃度が、0.4mol/L以上である化合物(以下、「水溶性塩化物イオン電離化合物1」という)を含有し、pH(25℃)が9.0乃至14.0であることを特徴とする。亜塩素酸塩水溶液(I)は、水溶性塩化物イオン電離化合物1が存在するために保存安定性に優れるので、そのままで保存され得る。後記するように、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に酸性化剤を添加して系のpHを酸性とすることにより、二酸化塩素が生成される。即ち、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)は、二酸化塩素の前駆体として使用され得る。
塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に含有される水溶性塩化物イオン電離化合物1は、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物であるが、当該モル濃度が1.0mol/L以上である化合物が好ましく、2.0mol/L以上である化合物がさらに好ましく、2.5mol/L以上である化合物がさらにより好ましく、3.0mol/L以上である化合物が最も好ましい。
水溶性塩化物イオン電離化合物1の水(20℃)への溶解度であって、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表した溶解度の例を、次の表1に示す。
Figure 2021001084
塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)の水溶性塩化物イオン電離化合物1の含有量は、水溶性塩化物イオン電離化合物1が完全電離していると仮定した場合の塩化物イオンのモル濃度で表して、0.10乃至8.00mol/Lであることが好ましく、0.15乃至6.00mol/Lであることがより好ましく、0.3乃至4.00mol/Lであることがさらにより好ましく、0.5乃至3.50mol/Lであることが特に好ましい。
塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)のpH(25℃)は、9.0乃至14.0であるが、10.0乃至13.0であることが好ましく、11.0乃至12.5であることがさらに好ましい。なお、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の塩基性化剤を、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)が所望の塩基性pHとなるような量で含有していてよい。
本願第二の発明は、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)であって、亜塩素酸塩、二酸化塩素、及び、当該酸性亜塩素酸塩水溶液(II)に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して、即ち、飽和水溶液中の塩化物イオンの、完全電離したと仮定したモル濃度が、0.4mol/L以上である化合物(以下、「水溶性塩化物イオン電離化合物2」という)を含有し、pH(25℃)が1.0乃至6.0であることを特徴とする。
酸性亜塩素酸塩水溶液(II)に含有される水溶性塩化物イオン電離化合物2は、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物であるが、当該モル濃度が1.0mol/L以上である化合物が好ましく、2.0mol/L以上である化合物がさらに好ましく、2.5mol/L以上である化合物がさらにより好ましく、3.0mol/L以上である化合物が最も好ましい。
酸性亜塩素酸塩水溶液(II)の水溶性塩化物イオン電離化合物2の含有量は、水溶性塩化物イオン電離化合物2が完全電離していると仮定した場合の塩化物イオンのモル濃度で表して、0.10乃至8.00mol/Lであることが好ましく、0.15乃至4.00mol/Lであることがより好ましく、0.60乃至3.00mol/Lであることがさらにより好ましく、1.20乃至2.50mol/Lであることが特に好ましい。
酸性亜塩素酸塩水溶液(II)は、水溶性塩化物イオン電離化合物2が存在するために、より多くの二酸化塩素を生成することができる。酸性亜塩素酸塩水溶液(II)は、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)に含まれている亜塩素酸塩に由来する二酸化塩素を含有している。この二酸化塩素により、漂白作用を示す。酸性亜塩素酸塩水溶液(II)は、水溶性塩化物イオン電離化合物2が存在するために、そのような化合物が存在しない場合と比べて、二酸化塩素生成量が多く、また、生成した二酸化塩素の水系中での保存安定性に優れる。酸性亜塩素酸塩水溶液(II)のpHが低いほど、より多くの二酸化塩素が生成される。しかし、例えば後記するように、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)を歯の漂白用途に使用する場合等、低すぎるpHが好ましくない場合には、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)は、亜塩素酸塩水溶液を一旦低pHとして二酸化塩素を生成させた後に、塩基性の中和剤を添加してpHを高めたもの(但し、pH=6以下)であってもよい。
酸性亜塩素酸塩水溶液(II)のpH(25℃)は1.0乃至6.0であるが、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)が二酸化塩素の生成に使用される際には、二酸化塩素生成開始時のpH(25℃)、即ち初期pHが、1.0乃至5.0であることが好ましく、1.0乃至4.0であることがさらに好ましい。酸性亜塩素酸塩水溶液(II)のpH(25℃)は、それが二酸化塩素生成後に塩基性の中和剤が添加されたものである場合には、4.0乃至6.0であることが好ましく、5.0乃至6.0であることがさらに好ましい。また、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)は、そのpH値を所定の範囲内とするために、各種の無機及び有機酸のような酸性化剤を含有していてもよい。酸性化剤の具体例については後記する。
本発明において、亜塩素酸塩は、水溶性であり且つ酸性の水溶液中で二酸化塩素を生成できるものであればよい。亜塩素酸塩は、その塩基性の水溶液は比較的安定である。亜塩素酸塩の例として、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カルシウム及び亜塩素酸マグネシウムが挙げられる。本発明においては、亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸カリウムを使用することが好ましく、亜塩素酸ナトリウムを使用することが特に好ましい。
亜塩素酸ナトリウムには、無水塩と三水塩が存在する。無水塩は無色の結晶性粉末であり、水に易溶である。亜塩素酸ナトリウムの水溶液は、無色乃至淡黄色であり、塩基性では光にあてない限り安定である。亜塩素酸カリウムは、無色の針状晶であり、水に易溶である。
塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)中の亜塩素酸塩濃度は、0.002乃至4.46mol/Lであることが好ましく、0.002乃至3.88mol/Lであることがより好ましく、0.002乃至3.37mol/Lであることがさらにより好ましく、0.01乃至2.60mol/Lであることが特に好ましい。酸性亜塩素酸塩水溶液(II)中の初期亜塩素酸塩濃度は、0.001乃至2.60mol/Lであることが好ましく、0.01乃至1.89mol/Lであることがさらに好ましい。「初期亜塩素酸塩濃度」としたのは、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)中では、亜塩素酸塩は安定には存在し難いからである。
亜塩素酸塩として亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)中の亜塩素酸塩濃度も、酸性亜塩素酸塩水溶液(II)中の初期亜塩素酸塩濃度も、0.1乃至31.5質量%であることが好ましく、0.1乃至28.1質量%であることがさらに好ましく、0.1乃至25質量%であることがさらにより好ましく、0.1乃至20質量%であることがさらにより好ましく、0.1乃至15質量%であることが最も好ましい。
本願第一の発明では水溶性塩化物イオン電離化合物1が使用される。その例として、金属の塩化物のような無機塩が挙げられる。無機塩の例として、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、塩化ストロンチウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化銅(II)、塩化マンガン(II)、塩化スズ(II)、塩化水銀(II)及び金属クロロ錯体が挙げられる。本願第一の発明においては、これらの無機塩並びに塩化コリン、1級アミン塩酸塩、2級アミン塩酸塩、3級アミン塩酸塩、4級アンモニウム塩化物、ヒスチジン塩酸塩等のアミノ酸塩酸塩及び有機金属錯体塩化物塩からなる群から選択される少なくとも一種を使用することが好ましい。これらの中でも、塩化ナトリウムの使用が最も好ましい。
また、本願第二の発明では、水溶性塩化物イオン電離化合物2として、上記の水溶性塩化物イオン電離化合物1の例として示した化合物を使用することができ、それらに加えて、その水溶液が酸性を示す、無機塩、有機塩化物塩及びその他の化合物も使用することができる。第二の発明において使用できる、その水溶液が酸性を示す水溶性塩化物イオン電離化合物2の例として、塩化アンモニウム、塩化水素(塩酸)、カルボン酸塩化物及びアニリン塩酸塩が挙げられる。
塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)及び酸性亜塩素酸塩水溶液(II)は、本発明の効果を損ねない限り、上記の必須成分以外の成分を含有していてもよい。必須成分以外の成分の例としては、プラチナ・ナノコロイド、二酸化チタン、塩化白金酸及び酸化コバルト等が挙げられる。
本願第三の発明は、中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して、即ち、飽和水溶液中の塩化物イオンの、完全電離したと仮定したモル濃度が、0.4mol/L以上である化合物(以下、「水溶性塩化物イオン電離化合物3」という)の存在下において、酸性化剤を添加し、得られる水溶液のpHを酸性とすることを特徴とする、二酸化塩素の生成量を増やす方法である。この方法で使用される、中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液のpH(25℃)は、通常は塩基性、好ましくはpH9.0乃至14.0、より好ましくは10.0乃至13.0、さらにより好ましくは11.0乃至12.5である。また、水溶性塩化物イオン電離化合物3の具体例及び使用量は、水溶性塩化物イオン電離化合物1の具体例及び使用量と同じである。
酸性化剤添加後の水溶液のpH(25℃)は、二酸化塩素の生成量を増大させる観点から、1.0乃至6.0とすることが好ましく、1.0乃至5.0とすることがさらに好ましく、1.0乃至4.0とすることがさらにより好ましい。酸性化剤添加後の水溶液をそのまま使用する場合であって、低pHが好ましくない用途(例えば、歯の漂白用途)である場合には、酸性化剤添加後の水溶液のpH(25℃)は、4.0以上7.0未満とすることが好ましく、5.5以上7.0未満とすることがさらに好ましい。第三の発明によって調製される水溶液を酸性のpHが好ましくない用途に使用する場合には、一旦、第三の発明を実施して酸性の水溶液を得、二酸化塩素の生成量を増大させた後、塩基性の中和剤を添加してpHを高めてもよい。
本願第三の発明は、具体的には、(1)中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、上記の水溶性塩化物イオン電離化合物3と酸性化剤とを、同時に若しくはこの順で添加するか、又は(2)上記の水溶性塩化物イオン電離化合物3を含有している中性乃至塩基性亜塩素酸塩水溶液(例えば、第一の発明の塩基性亜塩素酸塩水溶液(I))に、酸性化剤を添加することによって実施する。上記の水溶性塩化物イオン電離化合物3が存在することにより、酸性とされた亜塩素酸塩水溶液からの二酸化塩素の生成量が増える。
本願第三の発明における「亜塩素酸塩」については、本願第一の発明及び第二の発明におけるその説明を援用する。
本発明で使用する酸性化剤は、無機酸又はその塩でも、有機酸又はその塩でもよく、特に限定されない。酸性化剤の例としては、ギ酸、酢酸、アスコルビン酸、リン酸類、クエン酸、硫酸及び塩酸、並びにそれらの塩類、例えばアルカリ金属塩が挙げられる。これらの中で、リン酸類、クエン酸及び硫酸並びにそれらの塩類からなる群から選択される少なくとも一種を使用することが好ましい。また、リン酸類及びそれらの塩類の中で、縮合リン酸類及びそれらの塩類からなる群から選択される少なくとも一種を使用することがさらに好ましく、ウルトラリン酸又はその塩を使用することが特に好ましい。
「縮合リン酸」とは、2個以上のリン酸(PO)四面体が酸素原子を共有するポリマー又はそのオキソ酸を意味する。「縮合リン酸」には、直鎖状構造を有する「ポリリン酸」、環状構造又は極めて長い直鎖状構造を有する「メタリン酸」、高度な枝分かれ状(網目状)構造を有する「ウルトラリン酸」が包含される。さらに、「ポリリン酸」には、「長鎖ポリリン酸」、「中鎖ポリリン酸」、「短鎖ポリリン酸」がある。ウルトラリン酸及び短鎖ポリリン酸には、酸性化剤としての効果に加えて、物理化学的に歯のエナメル質や象牙質に沈着した色素(ステイン)の除去及び沈着防水効果が認められている。したがって、第三の発明を実施して調製される水溶液を歯の漂白に使用する場合には、酸性化剤として、ウルトラリン酸及び短鎖ポリリン酸を使用することが好ましい。
前記したように、本願第三の発明を実施した後、得られた水溶液に塩基性の中和剤を添加してもよい。そのような用途に使用する塩基性の中和剤は、水溶性であり且つ酸を中和できるものであれば特に限定されない。塩基性の中和剤の例として、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、アルギニン、及びエタノールアミン類が挙げられる。塩基性の中和剤として、二種以上の物質の混合物を使用してもよい。例えば、リン酸水素二ナトリウムと水酸化ナトリウムとの併用系である。塩基性の中和剤は、水性ゲルの形態であってもよい。
本願第四の発明は、中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して、即ち、飽和水溶液中の塩化物イオンの、完全電離したと仮定したモル濃度が、0.4mol/L以上である化合物(以下、「水溶性塩化物イオン電離化合物4」という)の存在下において、酸性化剤を添加してpH(25℃)を1.0乃至6.0とし、その後、得られた酸性亜塩素酸塩水溶液を10乃至50℃に保持し、酸性化剤の添加直後から60分間以内に酸性亜塩素酸塩水溶液を使用することを特徴とする、亜塩素酸塩水溶液の使用方法である。この方法では、亜塩素酸塩水溶液に水溶性塩化物イオン電離化合物4が含有されているために、二酸化塩素の生成量が増すとともに、生成された二酸化塩素量の経時による低減速度が小さくなる。なお、水溶性塩化物イオン電離化合物4の具体例及び使用量は、水溶性塩化物イオン電離化合物1の具体例及び使用量と同じである。
中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に酸性化剤を添加してpH(25℃)を1.0乃至6.0とし、その後10乃至50℃に保持するのは、亜塩素酸塩から二酸化塩素を生成させるためである。亜塩素酸塩及び酸性化剤については、本願第一乃至第三の発明におけるそれらの説明を援用する。酸性化剤添加後の水溶液のpHを1.0乃至6.0とするのは、二酸化塩素の生成量を増大させるためである。二酸化塩素の生成量の増大を優先させる場合には、pHは低い方がよく、具体的には、pHを1.0乃至3.0とすることが好ましい。また、低すぎるpHが好ましくない用途の場合には、酸性化剤添加後の水溶液のpHを4.0乃至6.0とすることが好ましい。
酸性化剤添加後の水溶液の温度は、亜塩素酸塩からの二酸化塩素の生成促進の観点から、10乃至50℃であり、15乃至40℃であることが好ましく、20乃至40℃であることがさらに好ましい。また、酸性化剤添加後においては、亜塩素酸塩から二酸化塩素が生成されるが、一方、生成した二酸化塩素は、特に酸性化剤添加後の水溶液が開放系に保存されると、気化して失われていく場合がある。よって、生成した二酸化塩素がなくならないうちに、即ち、酸性化剤の添加直後から60分間以内に、好ましくは2乃至40分間以内に、さらに好ましくは2乃至30分以内に、酸性の亜塩素酸塩水溶液を使用する。なお、生成した二酸化塩素の気化による損失を低減し、水溶液中の二酸化塩素濃度を高めるためには、酸性化剤添加後の水溶液を密閉系に保存することが好ましい。
本願第四の発明は、具体的には、(1)中性乃至塩基性亜塩素酸塩水溶液に、上記の水溶性塩化物イオン電離化合物4と酸性化剤とを、同時に若しくはこの順で添加するか、又は(2)上記の水溶性塩化物イオン電離化合物4を含有している中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液(例えば、第一の発明の塩基性亜塩素酸塩水溶液(I))に酸性化剤を添加し、水溶液のpH(25℃)を1.0乃至6.0とし、得られた酸性の亜塩素酸塩水溶液を10乃至50℃に保持し、酸性化剤の添加直後から60分以内に使用することによって実施する。上記の水溶性塩化物イオン電離化合物4が存在することにより、酸性とされた亜塩素酸塩水溶液からの二酸化塩素の生成量が増えるとともに、使用までの間における二酸化塩素の損失を低減できる。
本願第四の発明の使用方法中に調製される酸性の水溶液を、低pHが好ましくない用途(例えば、歯の漂白用途)に使用する場合には、例えば塩基性亜塩素酸塩水溶液(I)に酸性化剤を添加してpHを1.0乃至6.0とし、その後10乃至50℃に保持して亜塩素酸塩から二酸化塩素を生成させ、得られた水溶液に塩基性の中和剤を添加してpHを4.0乃至9.0とすることが好ましく、5.0乃至8.0とすることがさらに好ましく、5.5乃至7.0とすることが特に好ましい。このようなpHとすることにより、低pHが原因の好ましくない事象(例えば、歯の脱灰)が抑制されると共に、得られた水溶液中の二酸化塩素含有量の低下速度が小さくなる。塩基性の中和剤については、第三の発明における説明を援用する。
本願第四の発明も、亜塩素酸塩水溶液の使用前の工程を、密閉容器中に入れて行うことが好ましい。生成した二酸化塩素を水溶液中に溶解、保持させておくためである。
本願第五の発明は、二酸化塩素を含有する酸性亜塩素酸塩水溶液に、当該酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、その水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して、即ち、飽和水溶液中の塩化物イオンの、完全電離したと仮定したモル濃度が、0.4mol/L以上である化合物(以下、「水溶性塩化物イオン電離化合物5」という)の存在下において、塩基性の中和剤を添加してpH(25℃)を4.0乃至9.0とし、中和剤の添加後7日以内に使用することを特徴とする、二酸化塩素を含有する酸性亜塩素酸塩水溶液の使用方法である。水溶性塩化物イオン電離化合物5の具体例及び使用量は、水溶性塩化物イオン電離化合物2の具体例及び使用量と同じである。二酸化塩素、亜塩素酸塩及び塩基性の中和剤については、本願第一乃至第四の発明におけるそれらに対する説明を援用する。この方法では、亜塩素酸塩水溶液に水溶性塩化物イオン電離化合物5が含有されているために、当該水溶液中の二酸化塩素濃度の低下速度が小さくなる。
酸性亜塩素酸塩水溶液は、二酸化塩素を含有する。この水溶液中の二酸化塩素濃度の低減をより緩やかにするために、塩基性の中和剤を添加してpHを高める。塩基性の中和剤添加後のpH(25℃)は4.0乃至9.0であり、5.0乃至8.0とすることが好ましく、5.5乃至7.0とすることがさらに好ましい。このようなpHとすることにより、低pHが原因の好ましくない事象(例えば、歯の脱灰)が抑制されると共に、得られた水溶液中の二酸化塩素含有量の低下速度が小さくなる。
本願第五の発明では、特にpHを上記範囲内において低い値に設定すると、得られた水溶液中で二酸化塩素の生成が継続し、二酸化塩素含有量の低下が抑制されるので、塩基性中和剤の添加後7日間もの間、その中和後の水溶液を漂白目的で使用することができる。
塩基性の中和剤を添加した後の水溶液中からの二酸化塩素の気化による損失を低減するためには、中和剤添加後の水溶液を、密閉容器のような密閉系に保存することが好ましい。また、中和剤の添加後においては、亜塩素酸塩水溶液を、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、さらにより好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下に保存することが好ましい。
本願第五の発明は、具体的には、(1)二酸化塩素を含有する酸性亜塩素酸塩水溶液に、上記の水溶性塩化物イオン電離化合物5と塩基性の中和剤とを、同時に若しくはこの順で添加するか、又は(2)上記の水溶性塩化物イオン電離化合物5及び二酸化塩素を含有している酸性亜塩素酸塩水溶液(例えば、第二の発明の酸性亜塩素酸塩水溶液(II))に塩基性の中和剤を添加し、水溶液のpH(25℃)を4.0乃至9.0とし、得られた水溶液を、中和剤の添加後7日以内に使用することによって実施する。上記の水溶性塩化物イオン電離化合物5が存在することにより、塩基性の中和剤添加後、使用までの間における二酸化塩素の損失を低減できる。
本発明の亜塩素酸塩水溶液やその使用方法は、この用途に限定されるわけではないが、歯の漂白のために使用できる。
以下に、実施例を参照して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]塩化ナトリウムの添加による塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液の保存安定性の向上
塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を長期間放置した場合、二酸化塩素発生能が低下し、その水溶液を酸性としても、その水溶液から生じる二酸化塩素の量は少ない。以下の実験により、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを添加することで、その水溶液を酸性とした際の二酸化塩素の発生量が増えるとともに、保存安定性も向上することが明らかとなった。
(安定性確認用の溶液の調製・保存)
(1)8質量%亜塩素酸ナトリウム及び20mmol/kg水酸化ナトリウムの水溶液(pH=12)、並びに、(2)8質量%亜塩素酸ナトリウム、20mmol/kg水酸化ナトリウム及び2mol/kg(=2.28mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=12;密度=1.14g/mL)を調製した。10mLの水溶液(1)又は(2)を15mL容のチューブに分注し、蓋をして室温と50℃で保存した。また、酸性水溶液として、(3)25質量%ウルトラリン酸ナトリウムの水溶液(pH=1)、並びに、(4)25質量%ウルトラリン酸ナトリウム及び2mol/kg(=2.62mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=1;密度=1.31g/mL)を調製し、これらは室温で保存した。さらに、中和用水溶液として、(5)水酸化ナトリウム0.325mol/kg及びリン酸水素二ナトリウム0.3mol/kgの水溶液(pH=12)を調製し、室温で保存した。
なお、上記pHは、25℃における測定値であり、以下においても同様である。
(測定方法)
マイクロチューブに、表2の「保存日数」の欄に記載した日数、室温又は50℃にて保存した上記の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液100μLと上記酸性溶液200μLを加えた。この時、塩化ナトリウムを含まない亜塩素酸ナトリウム水溶液には塩化ナトリウムを含まない酸性水溶液を、塩化ナトリウムを含む亜塩素酸ナトリウム水溶液には塩化ナトリウムを含む酸性水溶液を加えた。即ち、(1)は(3)と混合し、(2)は(4)と混合した。2液混合後、室温で5分間静置して二酸化塩素を発生させた。その後、上記中和用水溶液(5)を500μL加えて中和した。このとき、保存日数0日のサンプルについて、(1)+(3)+(5)のpHは5.7、(2)+(4)+(5)のpHも5.7であった。中和後の液体の一部を採り、水で1/50濃度に希釈した。中和後約30秒で、希釈液の吸光度(360nm)を測定した。
(相対二酸化塩素発生量の算出方法)
二酸化塩素を含む水溶液の二酸化塩素濃度と、その水溶液の360nmにおける吸光度とは、直線的な相関関係があることが知られている。したがって、本明細書においては、水溶液の360nmにおける吸光度を測定し、その値から、以下の式にしたがって、相対二酸化塩素量を求め、相対二酸化塩素発生量とした。
相対二酸化塩素発生量=吸光度測定値(OD360)×希釈率
なお、この実験(即ち、実施例1)における希釈率は50である。
(相対二酸化塩素発生率(%)の算出方法)
相対二酸化塩素発生率(%)は、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製した日(保存日数:0日)に測定した相対二酸化塩素発生量に対する、表2の「保存日数」の欄に示した日数で保存した後における相対二酸化塩素発生量を、百分率で示したものである。これらの結果を表2及び図1に示す。
Figure 2021001084
表2及び図1の結果から、塩化ナトリウムを含まない水溶液に比べて、塩化ナトリウムを含む水溶液のほうが、それに酸性水溶液を加えて二酸化塩素を生成させた後に中和した場合、中和後の水溶液中において、安定した二酸化塩素濃度を得られることが分かった。塩化ナトリウムを含む系では、保存温度の違いによる差が殆ど無かった。なお、中和後の水溶液のpHは、いずれの実験でも5.5乃至6.0であった。
また、塩化ナトリウムを含まない系では、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液の保存により、二酸化塩素発生量が徐々に減っていることから、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液中の亜塩素酸ナトリウム自体が経時的に他の物質に変化しているものと推察された。塩化ナトリウムを加えることで、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液中のナトリウムイオン及び塩化物イオン濃度が高くなり、保存中に亜塩素酸ナトリウムの変化が生じづらい環境になったものと考えられる。
[実施例2]塩化ナトリウムの有無及び二酸化塩素発生時の環境(密閉状態及び開放状態)による二酸化塩素発生量の変化
塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液に酸性水溶液を加えた際、塩化ナトリウムが存在すると、亜塩素酸ナトリウムからの二酸化塩素の生成反応が促進される可能性があると考え、二酸化塩素発生量に対する、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液に酸性水溶液を加えた後、中和するまでの経過時間(水浴中での経過時間)の影響を調べた。また、二酸化塩素が気化しやすいので、密閉容器中で反応させて気体の放出を抑えた場合と、開放状態で反応させて自然に気化するにまかせた場合で、亜塩素酸ナトリウム水溶液中の二酸化塩素濃度に相違があるか否かも確認した。
(使用した水溶液)
8質量%亜塩素酸ナトリウム及び20mmol/kg水酸化ナトリウムを含む水溶液であって、それぞれ、塩化ナトリウムを含まない水溶液(密度=1.06g/mL)、塩化ナトリウム含有量が0.67mol/kg(=0.73mol/L)の水溶液(密度=1.09g/mL)、及び塩化ナトリウム含有量が2.00mol/kg(=2.28mol/L)の水溶液(密度=1.14g/mL)、並びに、25質量%ウルトラリン酸ナトリウムの水溶液であって、それぞれ、塩化ナトリウムを含まない酸性水溶液(密度=1.17g/mL)、塩化ナトリウム含有量が0.67mol/kg(=0.81mol/L)の酸性水溶液(密度=1.22g/mL)、及び塩化ナトリウム含有量が2.00mol/kg(=2.62mol/L)の酸性水溶液(密度=1.31g/mL)を使用した。
(測定方法)
上記亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH=12)100μLに対して上記酸性水溶液(pH=1)200μLを加えた。この時、実験番号B−1とB−2では塩化ナトリウムを含まない亜塩素酸塩水溶液と酸性水溶液を、実験番号B−3とB−4では、亜塩素酸塩水溶液と酸性水溶液であって塩化ナトリウムをそれぞれ0.67mol/kg含む水溶液を、B−5とB−6では、亜塩素酸塩水溶液と酸性水溶液であって塩化ナトリウムをそれぞれ2.00mol/kg含む水溶液を用いた。2液を混合することにより、水溶液のpHを酸性として二酸化塩素が発生する状態としてから、30℃の水浴中に30分間放置した。設定時間ごとに、混合後の各水溶液から10μLを採り、990μLの水を加えて希釈し、360nmにおける吸光度を測定した。
なお、ブランクとして、上記亜塩素酸ナトリウム水溶液を100倍希釈したものを使用している。また、酸性水溶液(希釈なし)の吸光度を測定しても、360nmにおける吸光度が0であることを確認している。
水浴中に放置する際、実験番号B−1、B−3及びB−5では、1.5mL容のマイクロチューブの蓋を閉じたが、実験番号B−2、B−4及びB−6においては蓋を開放した。
(算出方法)
相対二酸化塩素発生量=吸光度測定値(OD360)×希釈率
なお、この実験(即ち、実施例2)における希釈率は100である。これらの結果を表3及び図2に示す。
Figure 2021001084
表3及び図2において、実験番号B−1、B−3及びB−5の結果から、塩化ナトリウム濃度が高いほど、二酸化塩素生成反応が速くなることが分かった。また、塩化ナトリウム濃度が2.00mol/kgでは、2液混合後5分ほどで、二酸化塩素発生量が極大となることが分かった。
亜塩素酸ナトリウム水溶液中に塩化ナトリウムが存在する場合、二酸化塩素発生時の亜塩素酸ナトリウム水溶液中の二酸化塩素濃度(相対二酸化塩素発生量)は、密閉系(実験番号B−3及びB−5)が、開放系(実験番号B−4及びB−6)よりも明らかに高かった。
[実施例3]中和後における二酸化塩素濃度の経時変化
実施例2では、亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを酸性とし、二酸化塩素が継続的に発生する状況において、二酸化塩素を発生させる時間による、相対二酸化塩素発生量の変化を観察した。ここでは、塩化ナトリウムを含む酸性の亜塩素酸塩水溶液から二酸化塩素を発生させた後、中和して二酸化塩素の発生を停止させ、その後、密閉系もしくは非密閉系で室温(23℃)と4℃のそれぞれに保存した場合の相対二酸化塩素量の変化を調べた。
また、二酸化塩素濃度を360nmの吸光度を指標として測定しているが、この吸光度変化と実際の漂白効果に正の相関性があるかどうかを、茶渋で着色させたハイドロキシアパタイト粉末を用いた漂白実験により確認を行った。
(使用した水溶液)
8質量%亜塩素酸ナトリウム、20mmol/kg水酸化ナトリウム及び2mol/kg(=2.28mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=12;水溶液の密度=1.14g/mL)100μLに対し、25質量%ウルトラリン酸ナトリウム及び2mol/kg(=2.62mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=1;水溶液の密度=1.31g/ml)200μLを加えた。得られた水溶液のpHは2であった。30℃の水浴中に5分間静置し、二酸化塩素を発生させた。次いで、水酸化ナトリウム0.325mol/kg及びリン酸水素二ナトリウム0.3mol/kgの中和用水溶液0.5mLを加えて中和した(中和後のpH=5.7)。この中和後の水溶液を、150μLずつ、3本の1.5mL容のマイクロチューブに分注した。3本のマイクロチューブの各々は、保存時間120分、240分及び360分のいずれかにおける測定に使用した。また、残りから20μLを採り、980μLの水を加えて1/50濃度に希釈した。希釈液の360nmにおける吸光度を測定し、これを1分の値とした。
「使用した水溶液」の欄の記載にしたがって調製した3本一組のマイクロチューブを4組用意し、室温(23℃)と4℃設定の冷蔵庫内のそれぞれにおいて、マイクロチューブの蓋を閉じた密閉系と蓋を開けた開放系という条件で保存した。これらの保存サンプルから、設定時間ごとに20μLずつ採り、前述同様に1/50濃度に希釈し、360nmにおける吸光度を測定した。
(算出方法)
相対二酸化塩素量=吸光度測定値(OD360)×希釈率
なお、この実験(即ち、実施例3)における希釈率は50である。これらの結果を表4、並びに図3−1及び図3−3に示す。
(着色ハイドロキシアパタイト(HAP)の調製)
漂白効果を検証する実験に使用する茶渋液及び着色ハイドロキシアパタイトを、以下の方法で調製した。
(茶渋液の調製)
容器に、水110mL、インスタントコーヒー5g、紅茶ティーバック2個、緑茶ティーバック2個を入れ、電子レンジで2分間加熱した。その後、室温において、容器を振とうさせながら、3時間乃至一晩かけて放熱させた。その後、容器内容物を、200メッシュのろ紙でろ過した。このようにして、茶渋液を得た。
(着色ハイドロキシアパタイト(HAP)の調製)
ハイドロキシアパタイト(Biogel−HTP, BioRad社)1乃至2gを50mL容のチューブにとり、そこに、タンパク質水溶液(イクオスSCP5000(新田ゼラチン株式会社)の1%水溶液)20mLを加えた。約60分間放置後、遠心分離(3000×g、2分間)を行い、上清を除去した。次に、遠心分離によって沈殿したハイドロキシアパタイトに茶渋液20mLを加えた。約24時間放置後、遠心分離(2500rpm、2分間)を行い、上清を除去した。最後に、遠心分離によって沈殿したハイドロキシアパタイトに、人口唾液(20mM HEPES−KOH、pH7.0、1.5mM CaCl、 0.9mM HPO)20mLを加えた。約60分間放置後、遠心分離(2500rpm、2分間)を行い、上清を除去した。再度、タンパク質水溶液、茶渋液及び人口唾液による着色操作を同様に行った。その後、最後に沈殿したハイドロキシアパタイトを乾燥させた。以下、ここで作製したものを着色ハイドロキシアパタイト(着色HAP)とする。
(着色ハイドロキシアパタイトの漂白試験)
着色ハイドロキシアパタイト20mgを2mL容のマイクロチューブに入れ、480μLの水を加えた。次いで、「使用した水溶液」の欄に記載の方法で調製し、マイクロチューブ中で、室温又は4℃にて、密閉系又は開放系で所定時間保存した、中和後の水溶液120μLを、着色ハイドロキシアパタイトの入ったマイクロチューブに各設定時間の時点で加えて(中和後の水溶液は1/5濃度(120μL/480μL+120μL)に希釈された;亜塩素酸ナトリウム濃度0.2%に相当)1分間撹拌し、室温(23℃)で5分間静置した。その後、遠心分離(3000g、15秒間)によりハイドロキシアパタイトを沈殿させ、上清を除去した。水1mLを入れてよく混和し、ハイドロキシアパタイトを洗浄した。さらに、遠心分離(3000g、15秒間)し、上清を除去する操作を3回繰り返した。その後、ハイドロキシアパタイトを200μLの水に懸濁させ、その懸濁液を、96穴マイクロタイタープレートの1ウェルに移した。96穴マイクロタイタープレートをその底部よりスキャナー(エプソンGT8300)でスキャンし、イメージJ(imageJ)(フリーソフトウェア)にて明度を測定し、漂白率(%)を下記式1によって算出した。
Figure 2021001084
これらの結果を、表4、並びに図3−2及び図3−3に示す。
Figure 2021001084
表4及び図3−1より、中和後の液体中の相対二酸化塩素量は、時間とともに徐々に少なくなっていくことが分かった。中和後の液体を室温で密閉容器中で保存した場合(実験C−1)と開放系に保存した場合(実験C−2)とを比べると、密閉系の方が相対二酸化塩素量の低下が小さかった。また、4℃で密閉系に保存した場合(実験C−3)は、6時間経っても中和直後の88%以上の相対二酸化塩素量が保持されていた。この結果から、亜塩素酸ナトリウム及び二酸化塩素を含む中和後の液体を低温で密閉した容器に保存することが、二酸化塩素濃度の保持に最も好ましいと考えられた。
図3−2には、中和後の液体であって、それぞれの条件で保存したものを用いた着色ハイドロキシアパタイトの漂白率を示した。漂白率に関しても、図3−1に示した結果と同様に、亜塩素酸ナトリウム及び二酸化塩素を含む中和後の液体を低温状態で密閉して保存すると、漂白率の経時的な低下がゆるやかとなることがわかった。
図3−3は、漂白率と相対二酸化塩素量との関係を示したものである。吸光度が示す相対的な二酸化塩素量と漂白率には正の相関が認められた。
[実施例4]長期間の保存により二酸化塩素の発生能が低下した塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液への、二酸化塩素発生反応の際の塩化ナトリウム添加の効果
長期間保存した塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液は、二酸化塩素発生能が低下しており、その水溶液を酸性としても、二酸化塩素の発生量は少ない。ここでは、長期間保存した塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液に、塩化ナトリウムの存在下で酸性水溶液を添加して系を酸性とすることにより、二酸化塩素発生量が増加するか否かを調べた。また、着色ハイドロキシアパタイトの漂白率も測定した。
(使用した水溶液)
0.8質量%亜塩素酸ナトリウム、20mmol/kg水酸化ナトリウム及び1.6質量%プラチナ・ナノコロイドの水溶液を、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH=12)として用意した。6.8質量%リン酸水溶液を酸性水溶液(pH=1)として用意した。0.125mol/kg水酸化ナトリウム及び0.3mol/kgリン酸水素二ナトリウムの水溶液を中和用水溶液(pH=12)として用意した。これらは全て、室温で保存した。
(吸光度の測定方法)
上記の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液(但し、調製後1日のものと113日のもの)200μLを、1.5mL容のマイクロチューブに量り取り、上記酸性水溶液200μLを加えて混合水溶液を得た。混合水溶液のpHは、調製後1日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたものはpH=2、調製後113日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたものもpH=2であった。
塩化ナトリウムを添加する場合、塩化ナトリウム(和光純薬製)46.7mg(酸性の反応溶液(密度=1.2g/mL)中で2mol/kg(=2.4mol/L)に相当)を、1.5mL容のマイクロチューブにあらかじめ量り取っておいた。即ち、上記塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液200μLを塩化ナトリウムの入ったマイクロチューブに量り取り、塩化ナトリウムを溶解させた後、上記酸性水溶液200μLを加えて塩化ナトリウムを含む混合水溶液を得た。調製後1日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたものはpH=2、調製後113日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたものもpH=2であった。
このようにして得られた混合水溶液の各々を、30℃の水浴中に5分間静置して二酸化塩素を発生させ、その後上記中和用水溶液を400μL加えて中和した。調製後1日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、塩化ナトリウムを含まないものを使用した場合の中和後の水溶液はpH=6.1、調製後1日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、塩化ナトリウムを含むものを使用した場合の中和後の水溶液はpH=6.1、調製後113日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、塩化ナトリウムを含まないものを使用した場合の中和後の水溶液はpH=6.1、調製後113日の塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、塩化ナトリウムを含むものを使用した場合の中和後の水溶液はpH=6.1であった。
中和後の水溶液100μLを採り、水900μLを加えて1/10倍濃度に希釈したものを、中和後約30秒で360nmにおいて吸光度を測定した。
(算出方法)
相対二酸化塩素発生量=吸光度測定値(OD360)×希釈率
なお、この実験(即ち、実施例4)における希釈率は10である。結果を表5に示す。
(着色ハイドロキシアパタイトの漂白試験)
実施例3に記載した方法で、着色ハイドロキシアパタイトを調製した。着色ハイドロキシアパタイト20mgを2mL容のマイクロチューブに入れ、そこに、吸光度の測定方法の欄に記載の方法で調製した中和後の水溶液600μLを中和後1分の時点で加え、1分間撹拌し、その後室温(23℃)に5分間静置した。次いで、遠心分離(3000g、15秒間)によりハイドロキシアパタイトを沈殿させ、上清を除去した。水1mLを入れてよく混和し、ハイドロキシアパタイトを洗浄した。さらに、遠心分離(3000g、15秒間)し、上清を除去する操作を3回繰り返した。その後、ハイドロキシアパタイトを200μLの水に懸濁させ、その懸濁液を、96穴マイクロタイタープレートの1ウェルに移した。96穴マイクロタイタープレートをその底部よりスキャナー(エプソンGT8300)でスキャンし、イメージJ(imageJ)(フリーソフトウェア)にて明度を測定し、漂白率を実施例3に記載した式1にしたがって算出した。
結果を表5に示す。
Figure 2021001084
表5の実験番号D−1と実験番号D−3の結果の比較から、調製から113日経過した塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いると、相対二酸化塩素発生量、漂白率ともに大きく低下していることが明らかとなった。しかし、実験番号D−4のように、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液に酸性水溶液を添加して二酸化塩素を発生させる際に、塩化ナトリウムを共存させることで、二酸化塩素発生量、漂白率ともに向上することが明らかとなった。実際、調製から113日経過した塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを共存させた、実験番号D−4の相対二酸化塩素発生量は、塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製した後1日の実験番号D−1(塩化ナトリウムなし)の相対二酸化塩素発生量を上回っていた。即ち、調製から長期間経過して二酸化塩素の生成活性が弱くなった塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液であっても、その系を酸性として二酸化塩素を発生させる際に塩化ナトリウムを共存させることで、活性を取り戻すことができることが分かった。
また、着色ハイドロキシアパタイトを漂白する能力は、相対二酸化塩素発生量と相関していた。
[実施例5]塩化ナトリウム以外の無機塩による二酸化塩素発生量の増加効果、及び二酸化塩素発生量への塩化物イオンの濃度の影響
塩化ナトリウム以外の無機塩が、二酸化塩素発生量にどのような効果をもたらすか、及び、二酸化塩素発生量への塩化物イオン濃度の影響を検討した。
(使用した水溶液及び吸光度の測定)
各無機塩を以下の表6に示す塩化物イオン濃度で含む、8%質量塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液と、25%質量ウルトラリン酸ナトリウム水溶液を用意した。無機塩を溶かす際に発熱するものは放熱させて、室温(23℃)に戻してから実験に用いた。各亜塩素酸ナトリウム水溶液100μLとウルトラリン酸ナトリウム水溶液200μLとを混合した。得られた混合液を室温(23℃)で5分間静置し、その後1/250濃度となるように希釈し、360nmにおける吸光度を測定した。
結果を表6に示す。なお、表6中の「塩化物イオン濃度」は、塩化物が水中で完全電離しているものと仮定した場合の数値である。
Figure 2021001084
表6中、実験番号E−1、E−3及びE−4は、塩化物塩の種類は異なるが、塩化物イオン濃度はほぼ等しい。これらの吸光度測定値は0.720〜0.730とほぼ等しい値となっていることから、無機塩の種類によらず、これらの無機塩から電離された塩化物イオンの存在が、二酸化塩素生成を促進していると考えられた。また、実験番号E−4(塩化物イオン濃度:3mol/kg)が最大吸光度を示し、実験番号E−5(塩化物イオン濃度:5mol/kg)、実験番号E−6(塩化物イオン濃度:6mol/kg)と塩化物イオン濃度を増やしていくと、吸光度(即ち、水溶液中の二酸化塩素濃度)は下がることが分かった。これは、水溶液中に含まれる塩化物イオン及び陽イオンの濃度が高くなることで、水溶液への二酸化塩素気体の溶解度が低下し、二酸化塩素が気体として放出されたためであると考えられる。
[実施例6]シリンジ内で二酸化塩素を生成させ、中和させた後の二酸化塩素量に対する塩化物イオン濃度の影響
実施例3において、容器を密閉系とすると、開放系にした場合と比べて明らかに、水溶液中の二酸化塩素の濃度を高い状態を保つことができることが示された。そこで、酸性状況下で二酸化塩素を発生させた後、その水溶液を塩基性のジェルを用いて中和し、より密閉性の高いシリンジ内で保存し、経時による二酸化塩素の相対的な残存量を求めた。なお、塩基性の水性ジェルも、本願発明における「塩基性の中和剤」の一種である。
また、実施例5では、二酸化塩素発生用酸性水溶液中の塩化物イオンの濃度が2mol/kgよりも3mol/kgのほうが、二酸化塩素の発生量が増えることが示唆されたので、酸性水溶液中の塩化物イオンの濃度を高めた系についても同様に検討を行った。
(使用した水溶液)
亜塩素酸塩水溶液1(密度=1.14g/ml): 8.00質量%(1.01mol/L)亜塩素酸ナトリウム、20mmol/kg水酸化ナトリウム及び2mol/kg(2.28mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=12;実施例3で用いたものと同じ)
亜塩素酸塩水溶液2(密度=1.22g/mL): 7.48質量%(1.01mol/L)亜塩素酸ナトリウム、18.7mmol/kg水酸化ナトリウム及び3.28mol/kg(4.0mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=12)
酸性水溶液1(密度=1.31g/mL): 25質量%ウルトラリン酸ナトリウム及び2mol/kg(2.62mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=1;実施例3で用いたものと同じ)
酸性水溶液2(密度=1.28g/mL): 25.59質量%ウルトラリン酸ナトリウム及び1.6mol/kg(2.05mol/L)塩化ナトリウムの水溶液(pH=1)
中和用ジェル: 0.3mol/kgリン酸水素二ナトリウム、1.3質量%水酸化ナトリウム及び4質量%カルボキシメチルセルロース(サンローズF30MC、日本製紙株式会社製)の水溶液(10倍希釈でのpH=12)
(測定方法)
1mL容のシリンジに、それぞれ、亜塩素酸塩水溶液1を100μL、酸性水溶液1を200μL注入した。亜塩素酸塩水溶液1と酸性水溶液1のシリンジ同士をルアーフィッテングで接続し、シリンジ中の水溶液を、ピストンを約30秒間で10往復させて混合し、最後に酸性水溶液側のシリンジに水溶液全てを移した。このようにして得られた酸性亜塩素酸塩水溶液を、実験番号F−1とする。この時、この水溶液の塩化ナトリウム濃度(即ち、塩化物イオン濃度)は2.46mol/L(2mol/kg;混合後の密度=1.23g/mL)であった。
別途、亜塩素酸塩水溶液2と酸性水溶液2とを用いて同様に調製された酸性亜塩素酸塩水溶液を、実験番号F−2とする。この時、この水溶液の塩化ナトリウム濃度(即ち、塩化物イオン濃度)は、2.74mol/L(混合後の密度=1.25g/mL)であった。
別の1mL容のシリンジに中和用ジェル0.50gを入れ、亜塩素酸塩水溶液と酸性水溶液との混合開始から5分後に、亜塩素酸塩水溶液の入っていたシリンジと付け替えた。シリンジ中の水溶液とジェルを、ピストンを約90秒間で20往復させて混合し、最後に酸性水溶液側のシリンジに、水溶液で希釈されたジェル(pH=5.7)全てを移した。ルアーフィッテングを針に変え、針の接続部にパラフィルムを巻き付けた。針先をゴム栓に刺し、シリンジ内を外気から遮断した。
亜塩素酸塩水溶液と酸性水溶液との混合液とジェルとの混合を開始した時刻を0として、5分後に少量を針先から出し、うち20μLに980μLの水を加えて希釈し(1/50濃度への希釈)、360nmにおける吸光度を測定した。次の式により、相対二酸化塩素含有量を算出した。2時間後乃至168時間後にも、同様にシリンジから20μLを取り出し、1/50濃度への希釈を行い、360nmにおける吸光度を測定し、相対二酸化塩素発生量を算出した。なお、実験中、シリンジは、室温(23℃)に保存した。
(算出方法)
相対二酸化塩素含有量=吸光度測定値(OD360)×希釈率
なお、この実験(即ち、実施例6)の希釈率は50である。
また、この5分後の相対二酸化塩素含有量を100%として、各設定時間で同じように測定して求めた相対二酸化塩素含有量から、相対二酸化塩素残存率(%)を求めた。結果を表7及び図4に示す。
Figure 2021001084
表7及び図4の結果を実施例3の結果と比較すると、マイクロチューブよりもシリンジで保存した場合の方が、明らかに二酸化塩素濃度を高い状態で保つことができることがわかった。また、酸性亜塩素酸水溶液F−1とF−2とを比較すると、F−2の方(塩化ナトリウム濃度が高い方)が、二酸化塩素を発生させてから24乃至48時間では、酸性亜塩素酸塩水溶液中の二酸化塩素濃度がより高い状態に保持されることが分かった。但し、128時間(5日)経過後には、両者にほとんど差が無くなっていた。したがって、亜塩素酸塩から二酸化塩素を発生させた後、中和を行い、シリンジのような密閉性の高い容器に保存すれば、48時間程度であれば、二酸化塩素含有量をある程度高く維持できると考えられた。
[実施例7]褐色鶏卵の殻の漂白
実施例6において、シリンジ中で1週間保存した後のジェルを使用して、褐色鶏卵の殻の漂白実験を行った。
(褐色鶏卵の殻の漂白実験方法)
実施例6において、シリンジ中で1週間保存した後のジェルを褐色鶏卵に塗り、3分後に水で洗い流し、その後水を軽く拭き取った。この操作を、褐色鶏卵の同じ個所に三度繰り返した。
漂白処理前後に、同じ距離・角度から鶏卵を写真撮影し、イメージJにて明度を測定した。結果を表8に示す。
Figure 2021001084
表8から明らかなように、いずれのジェルを用いた場合も、漂白前後において明度が上昇しており、漂白が進んでいることが確認できた。このことから、亜塩素酸塩から二酸化塩素を発生させた後、塩基性の水性ジェルで中和を行い、中和後のジェルをシリンジのような密閉性の高い容器に保存すれば、一週間ほどの長期間でも漂白力を保つことができることが明らかとなった。
[実施例8]中和時のpHの二酸化塩素の安定性への影響
亜塩素酸塩から二酸化塩素を発生させた後、水溶液中において二酸化塩素を安定に保持するためには、中和工程において、pHをどのような値とすることがよいかを検討した。実施例6の酸性水溶液F−1を用い、水酸化ナトリウムを異なる量で含む中和用ジェルを使用し、中和後のpHを5乃至7として実験した。
(使用した中和用ジェル)
中和用ジェル1: 0.3mol/kgリン酸水素二ナトリウム、0.6質量%水酸化ナトリウム及び4質量%カルボキシメチルセルロース(サンローズF30MC、日本製紙株式会社製)の水性ジェル
中和用ジェル2: 0.3mol/kgリン酸水素二ナトリウム、2.4質量%水酸化ナトリウム及び4質量%カルボキシメチルセルロース(サンローズF30MC、日本製紙株式会社製)の水性ジェル
中和用ジェル3: 0.3mol/kgリン酸水素二ナトリウム、3.3質量%水酸化ナトリウム及び4質量%カルボキシメチルセルロース(サンローズF30MC、日本製紙株式会社製)の水性ジェル
(測定方法)
実施例6と同様の方法で、亜塩素酸塩水溶液1及び酸性水溶液1の調製、それらの混合、及びその後の塩基性の水性ジェル(中和用ジェル)を用いた中和を行った。中和用ジェル1、2及び3を用いて中和を行った後の水性ジェルG−1、G−2及びG−3のpHは、それぞれ、5.01、5.94及び7.09であった。
実施例6と同様の方法により、吸光度を測定し、相対二酸化塩素含有量及び相対二酸化塩素残存率を求めた。結果を表9及び図5に示す。
Figure 2021001084
表9及び図5の結果から、中和後のpHが高いほど、相対二酸化塩素残存率が下がりやすい傾向にあることが認められる。特に、pH=7(実験番号G−3)では、相対二酸化塩素残存率の低下が著しかった。pH=5(実験番号G−1)とpH=6(実験番号G−2)では、31時間まではほぼ同様の残存率低下挙動を示し、その後はpH=6のほうが下がりやすいことがわかった。但し、歯の漂白を行う場合には、pH=5であると歯の脱灰を進行させる恐れがあり、中和後31時間までは、pH=5とpH=6とを比べるとほぼ同様の残存率低下挙動を示したことから、中和後のpHは6程度に保つことが好ましいと考えられた。
[実施例9]二酸化塩素の生成量に対する塩化物イオン濃度の影響
塩基性亜塩素酸ナトリウム水溶液を酸性として二酸化塩素を生成させる際の、水溶液中の塩化物イオン濃度が二酸化塩素の生成量に与える影響を検討した。
(使用した水溶液)
8w/v%亜塩素酸ナトリウム及び20mmol/kg水酸化ナトリウムの水溶液1(pH=12)
8w/v%亜塩素酸ナトリウム、20mmol/kg水酸化ナトリウム及び3.6mol/L塩化ナトリウムの水溶液2(pH=12)
25w/v%ウルトラリン酸ナトリウムの水溶液3(pH=1)
25w/v%ウルトラリン酸ナトリウム及び3.6mol/L塩化ナトリウムの水溶液4(pH=1)
(異なる塩化物イオン濃度の水溶液の調製)
亜塩素酸ナトリウム水溶液:
水溶液1及び2を表10に示す割合で混合し、表10に示す塩化物イオン濃度の水溶液を調製した。
Figure 2021001084
ウルトラリン酸ナトリウムの水溶液:
水溶液3及び4を表11に示す割合で混合し、表11に示す塩化物イオン濃度の水溶液を調製した。
Figure 2021001084
(二酸化塩素の発生方法及び二酸化塩素含有量の測定方法)
亜塩素酸ナトリウム水溶液100μLとウルトラリン酸ナトリウムの水溶液200μLとを、1.5mL容のマイクロチューブに取り、混合した。その際、塩化物イオン濃度が同じである水溶液同士を混合した。得られた亜塩素酸塩水溶液のpHは2であった。マイクロチューブを室温(25℃)に5分間静置した。次いで、マイクロチューブに水1,200μLを加えて軽く撹拌した。マイクロチューブ中の水溶液20μLを取り、水で1/50濃度に希釈した。このようにして得られた、亜塩素酸ナトリウム水溶液とウルトラリン酸ナトリウムの水溶液との混合液体の1/250希釈液の、360nmにおける吸光度を測定した。
結果を表12に示す。
Figure 2021001084
この実験において、塩化物イオン濃度が2.4mol/Lまでは、塩化物イオン濃度の上昇と共に、二酸化塩素発生量が増加した。但し、3.6mol/Lの系については、混合液中に小さい気泡が生じており、吸光度測定値も2.4mol/Lに比べてやや小さいことから、二酸化塩素が気体状態で放出されたものと考えられる。
[実施例10]溶解度の小さい水溶性塩化物イオン電離化合物による二酸化塩素生成反応の活性化
水溶性塩化物イオン電離化合物であって、溶解度が小さく、したがって水溶液中での塩化物イオン濃度がさほど高くなり得ない化合物が、二酸化塩素の生成反応を活性化させるか否かを検討した。
(使用した水溶液)
2.0mol/L亜塩素酸ナトリウム及び40mmol/L水酸化ナトリウムの水溶液1の水溶液1(pH=12)
20v/v%リン酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)の水溶液2(pH=1)
20v/v%リン酸及び0.48mol/L塩化ナトリウムの水溶液3(pH=1)
20v/v%リン酸及び0.48mol/L L−ヒスチジン一塩酸塩一水和物(東京化成工業株式会社製)の水溶液4(pH=1)
20v/v%リン酸及び0.12mol/L塩化水銀(II)(富士フイルム和光純薬株式会社製)の水溶液5(pH=1)
(異なる塩化物イオン濃度の水溶液の調製)
亜塩素酸ナトリウム水溶液:
水溶液2及び3、水溶液2及び4を表13に示す割合で混合し、水溶液2及び5を表14に示す割合で混合し、表13及び表14に示す塩化物イオン濃度の水溶液を調製した。
Figure 2021001084
Figure 2021001084
(二酸化塩素の発生方法及び二酸化塩素含有量の測定方法)
水溶液1を50μLと上記で調製した異なる塩化物イオン濃度の水溶液250μLとを、1.5mL容のマイクロチューブに取り、混合した。得られた亜塩素酸塩水溶液のpHはいずれも1であった。マイクロチューブを室温(28℃)に5分間静置した。次いで、マイクロチューブに水1,200μLを加えて軽く撹拌した。マイクロチューブ中の水溶液20μLを取り、水で1/50濃度に希釈した。このようにして得られた、亜塩素酸ナトリウム水溶液とウルトラリン酸ナトリウムの水溶液との混合液体の1/250希釈液の、360nmにおける吸光度を測定した。
結果を表15に示す。
Figure 2021001084
この実験において、全ての塩化物イオンにおいて、その濃度の上昇と共に、二酸化塩素発生量が増加した。また、塩化物イオン濃度が0.10mol/Lでも、二酸化塩素発生量が増加したことが確認できた。また塩化水銀(II)のような溶解度の低い塩化物塩及びアミノ酸塩酸塩でも二酸化塩素発生量の増加を確認できた。

Claims (18)

  1. 塩基性亜塩素酸塩水溶液であって、亜塩素酸塩、及び、当該塩基性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物を含有し、pH(25℃)が9.0乃至14.0であることを特徴とする塩基性亜塩素酸塩水溶液。
  2. 亜塩素酸塩が亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸カリウムである、請求項1に記載の塩基性亜塩素酸塩水溶液。
  3. 塩基性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物が、無機塩である、請求項1又は2に記載の塩基性亜塩素酸塩水溶液。
  4. 塩基性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、塩化ストロンチウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化銅(II)、塩化マンガン(II)、塩化スズ(II)、塩化水銀(II)、金属クロロ錯体、塩化コリン、1級アミン塩酸塩、2級アミン塩酸塩、3級アミン塩酸塩、4級アンモニウム塩化物、アミノ酸塩酸塩及び有機金属錯体塩化物塩からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の塩基性亜塩素酸塩水溶液。
  5. 塩基性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物が、完全電離していると仮定した場合における塩化物イオンのモル濃度で表して0.10乃至4.00mol/Lの濃度で含有されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塩基性亜塩素酸塩水溶液。
  6. 酸性亜塩素酸塩水溶液であって、亜塩素酸塩、二酸化塩素、及び、当該酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物を含有し、pH(25℃)が1.0乃至6.0であることを特徴とする酸性亜塩素酸塩水溶液。
  7. 亜塩素酸塩が亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸カリウムである、請求項6に記載の酸性亜塩素酸塩水溶液。
  8. 酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物が、無機塩である、請求項6又は7に記載の酸性亜塩素酸塩水溶液。
  9. 酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、塩化ストロンチウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化銅(II)、塩化マンガン(II)、塩化スズ(II)、塩化水銀(II)、金属クロロ錯体、塩化コリン、塩化アンモニウム、塩化水素、カルボン酸塩化物、1級アミン塩酸塩、2級アミン塩酸塩、3級アミン塩酸塩、4級アンモニウム塩化物、アミノ酸塩酸塩、有機金属錯体塩化物塩及びアニリン塩酸塩からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6又は7に記載の酸性亜塩素酸塩水溶液。
  10. 酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物が、完全電離していると仮定した場合における塩化物イオンのモル濃度で表して0.10乃至4.00mol/Lの濃度で含有されている、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の酸性亜塩素酸塩水溶液。
  11. 中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、酸性化剤を添加し、得られる水溶液のpHを酸性とすることを特徴とする、二酸化塩素の生成量を増やす方法。
  12. 中性乃至塩基性の亜塩素酸塩水溶液に、当該亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、酸性化剤を添加してpH(25℃)を1.0乃至6.0とし、その後、得られた酸性亜塩素酸塩水溶液を10乃至50℃に保持し、酸性化剤の添加直後から60分間以内に酸性亜塩素酸塩水溶液を使用することを特徴とする、亜塩素酸塩水溶液の使用方法。
  13. 酸性亜塩素酸塩水溶液を10乃至50℃に保持している間であってその使用前に、酸性亜塩素酸塩水溶液に塩基性の中和剤を添加してpH(25℃)を4.0乃至9.0とする、請求項12記載の亜塩素酸塩水溶液の使用方法。
  14. 使用前の工程を、亜塩素酸塩水溶液を密閉容器中に入れて行う、請求項12又は13に記載の亜塩素酸塩水溶液の使用方法。
  15. 二酸化塩素を含有する酸性亜塩素酸塩水溶液に、当該酸性亜塩素酸塩水溶液に溶解して塩化物イオンを電離する化合物であって、水(20℃)への溶解度が、完全電離したと仮定した塩化物イオンのモル濃度で表して0.4mol/L以上である化合物の存在下において、塩基性の中和剤を添加してpH(25℃)を4.0乃至9.0とし、中和剤の添加後7日以内に使用することを特徴とする、二酸化塩素を含有する亜塩素酸塩水溶液の使用方法。
  16. 使用前の工程を、亜塩素酸塩水溶液を密閉容器中に入れて行う、請求項15に記載の二酸化塩素を含有する亜塩素酸塩水溶液の使用方法。
  17. 歯の漂白用である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塩基性亜塩素酸塩水溶液。
  18. 歯の漂白用である、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の酸性亜塩素酸塩水溶液。
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