以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、複数の粒状物が搬送される方向を「搬送方向」、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向を「幅方向」、搬送方向および幅方向に対して垂直な方向を「高さ方向」と称する。
<1.印刷装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置1の構成を示した図である。この印刷装置1は、医薬品である複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。錠剤9は、素錠(裸錠)であってもよいし、フィルムコーティング錠(FC錠)等のコーティング錠であってもよい。錠剤9は、硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤であってもよい。また、本発明において搬送対象となる粒状物は、錠剤に限らず、ラムネ等の錠菓であってもよい。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、供給機構20、搬送機構30、印刷部40、検査機構50および制御部10を有する。
供給機構20は、ホッパー21、直進フィーダ22、回転フィーダ23、供給フィーダ24およびガイド部25(図2参照)を有する。供給機構20は、装置内に投入された錠剤9を、搬送機構30へ受け渡すための機構である。
ホッパー21は、多数の錠剤9を一括して装置内に受け入れるための投入部である。ホッパー21は、印刷装置1の筐体100の最上部に配置されている。ホッパー21は、筐体100の上面に位置する開口部211と、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の傾斜面212とを有する。開口部211へ投入された複数の錠剤9は、傾斜面212に沿って直進フィーダ22へ流れ込む。
直進フィーダ22、回転フィーダ23および供給フィーダ24は、ホッパー21へ投入された複数の錠剤9を、搬送機構30まで搬送する機構である。直進フィーダ22は、平板状の振動トラフ221を有する。ホッパー21から振動トラフ221に供給された複数の錠剤9は、振動トラフ221の振動によって、回転フィーダ23側へ搬送される。
回転フィーダ23は、円板状の回転台231を有する。振動トラフ221から回転台231の上面に落下した複数の錠剤9は、回転台231の回転による遠心力で、回転台231の外周部付近へ集まる。
供給フィーダ24は、後述する保持部610のそれぞれに錠剤9を1つずつ供給する供給部である。図2は、供給フィーダ24の一部、搬送ドラム31および上側搬送コンベア32の一部を含む斜視図である。図1および図2に示すように、供給フィーダ24は、回転台231の外周部から搬送機構30の後述する搬送ドラム31まで、鉛直下向きに延びる。
図2に示すように、供給フィーダ24の内部には、鉛直方向に延びる複数(図2の例では8個)の空洞部241が設けられている。空洞部241の下端部は、搬送ドラム31の後述するドラム循環部61の外表面に対向して配置されている。回転台231の外周部へ搬送された複数の錠剤9は、それぞれ、複数の空洞部241のいずれか1つに供給され、空洞部241内を鉛直下向きに落下する。このように、複数の錠剤9は、複数の空洞部241に分散供給されることによって、複数の搬送列に整列される。そして、各搬送列の複数の錠剤9が、先頭のものから順に搬送ドラム31へ供給される。これにより、錠剤9は、ドラム循環部61の外表面に設けられた保持部610のそれぞれへと1つずつ供給される。
ガイド部25は、供給フィーダ24から搬送ドラム31の後述する保持部610に供給された錠剤9の姿勢を調整する機構である。ガイド部25は、板ばね部材251と、複数(図2の例では8個)の樹脂部252とにより構成される。また、ガイド部25は、供給フィーダ24に固定される固定部25aと、ドラム循環部61の外周面に対して垂直な方向(高さ方向)に変形可能な複数の接触部25bとを有する。
板ばね部材251は、SUSなどの金属により形成される板状の部材である。なお、板ばね部材251は、金属以外の材料により形成されてもよい。板ばね部材251は、固定部25aを構成する基端部と、基端部から分岐した複数(図2の例では8個)の先端部とを有する。樹脂部252は、板ばね部材251の先端部の下面に固定される。板ばね部材251の先端部と樹脂部252とにより、接触部25bが構成される。なお、ガイド部25は、高さ方向に変形可能な弾性部材であれば、板ばね部材251および樹脂部252に代えて、他の部材を用いてもよい。
ガイド部25の下方を錠剤9が通過すると、ガイド部25の接触部25bの下面が上下に変形しながら錠剤9に接触する。これにより、錠剤9の姿勢を、安定した搬送姿勢へと調整する。本実施形態では、ガイド部25が、搬送列の数と同じ8個の接触部25bを有する。このため、1つの保持部610に保持された錠剤9に接触する接触部25bは、他の保持部610に保持された錠剤9に接触しない。したがって、1つの錠剤9に接触する接触部25bの動きが、他の錠剤9に接触する接触部25bの動きに影響を与えない。したがって、接触部25bによる錠剤9の姿勢の調整が、他の錠剤9の姿勢に影響を受けない。
搬送機構30は、搬送ドラム31、上側搬送コンベア32、下側搬送コンベア33および搬出コンベア34を有する。
搬送ドラム31は、供給フィーダ24から上側搬送コンベア32へ、複数の錠剤9を受け渡す搬送部である。搬送ドラム31には、図2に示すように、搬送方向および幅方向に略等間隔に配置された複数の保持部610が設けられている。保持部610は、搬送ドラム31の外表面に設けられた凹部である。搬送ドラム31の複数の保持部610は、複数の搬送列の各々に対応する幅方向位置において、搬送方向に配列されている。保持部610の底部には、貫通孔600が設けられている。貫通孔600は、後述する吸引機構64と繋がっている。吸引機構64を動作させると、貫通孔600を介して、ガイド部25の下流側に位置する複数の保持部610のそれぞれに、大気圧よりも低い負圧が生じる。保持部610は、当該負圧によって、供給フィーダ24から供給される錠剤9を、1つずつ吸着保持する。
そして、搬送ドラム31上において上側搬送コンベア32に対向する位置まで移動した保持部610には、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、錠剤9の吸着を解除する。搬送ドラム31は、このように、供給フィーダ24から供給される複数の錠剤9を吸着保持しつつ回転し、それらの錠剤9を、上側搬送コンベア32へ受け渡す。搬送ドラム31から上側搬送コンベア32に錠剤9が受け渡される際、搬送ドラム31が吸着保持する錠剤9の面と、上側搬送コンベア32が吸着保持する錠剤9の面とが異なる。このため、搬送ドラム31に保持されている間と、上側搬送コンベア32に保持されている間とで、錠剤9の表裏が反転する。
上側搬送コンベア32は、搬送ベルト71と、一対のプーリ72とを有するベルトコンベア状の搬送部である。搬送ベルト71は、一対のプーリ72の間に、環状に掛け渡されている。上側搬送コンベア32により搬送される錠剤9に対して、印刷部40の後述する第1印刷部41により、印刷処理が施される。また、上側搬送コンベア32は、下側搬送コンベア33へと複数の錠剤9を受け渡す。
上側搬送コンベア32には、搬送方向および幅方向に略等間隔に配置された複数の保持部710が設けられている。保持部710は、搬送ベルト71の外表面に設けられた凹部である。上側搬送コンベア32の複数の保持部710の搬送方向および幅方向の間隔は、搬送ドラム31における複数の保持部610の搬送方向および幅方向の間隔と等しい。保持部710の底部には、貫通孔700が設けられている。貫通孔700は、後述する吸引機構75と繋がっている。吸引機構75を動作させると、貫通孔700を介して、所定の領域に位置する複数の保持部710のそれぞれに、大気圧よりも低い負圧が生じる。保持部710は、当該負圧によって、錠剤9を1つずつ吸着保持する。
上側搬送コンベア32上において下側搬送コンベア33に対向する位置まで移動した保持部710には、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、錠剤9の吸着を解除する。これにより、上側搬送コンベア32は、下側搬送コンベア33へ錠剤9を受け渡す。上側搬送コンベア32から下側搬送コンベア33に錠剤9が受け渡される際、上側搬送コンベア32が吸着保持する錠剤9の面と、下側搬送コンベア33が吸着保持する錠剤9の面とが異なる。このため、上側搬送コンベア32に保持されている間と、下側搬送コンベア33に保持されている間とで、錠剤9の表裏が反転する。
下側搬送コンベア33は、上側搬送コンベア32とほぼ同等の構成をしている。下側搬送コンベア33は、搬送ベルト71と、一対のプーリ72とを有するベルトコンベア状の搬送部である。下側搬送コンベア33により搬送される錠剤9に対して、印刷部40の後述する第2印刷部42により、印刷処理が施される。
下側搬送コンベア33の下方には、下側搬送コンベア33と搬出コンベア34とを接続するシュート341が配置されている。下側搬送コンベア33上においてシュート341に対向する位置まで移動した保持部710には、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、錠剤9の吸着を解除する。これにより、下側搬送コンベア33は、シュート341内へ錠剤9を落下させる。これにより、下側搬送コンベア33からシュート341を介して搬出コンベア34へと、錠剤9が受け渡される。
搬出コンベア34は、印刷後の複数の錠剤9を、印刷装置1の筐体100の外部へ搬出する搬送部である。搬出コンベア34の上流側の端部は、シュート341の下方に位置する。搬出コンベア34の下流側の端部は、筐体100の外部に位置する。搬出コンベア34の下流側の端部は、例えば、印刷処理後の錠剤9を包装する包装装置と接続される。搬出コンベア34には、例えば、ベルト搬送機構が用いられる。下側搬送コンベア33から搬出コンベア34へ受け渡された複数の錠剤9は、搬出コンベア34によって、筐体100の外部へ搬出される。
このように、供給機構20と搬送機構30とにより、錠剤9を搬送するための搬送装置が構成される。なお、搬送機構30の各部の詳細な構成については、後述する。
印刷部40は、第1印刷部41と、第2印刷部42とを有する。
第1印刷部41は、錠剤9の一方側の表面に画像を印刷するための印刷処理部である。図1に示すように、第1印刷部41は、4つのヘッド400を有するヘッドユニット410を有する。図3は、1つのヘッド400の下面図である。図3には、搬送ベルト71の各部が、二点鎖線で示されている。また、図3には、搬送ベルト71に保持された複数の錠剤9が、破線で示されている。
ヘッドユニット410の有する4つのヘッド400はそれぞれ、搬送機構30により搬送される錠剤9の表面に向けてインク滴を吐出して印刷処理を行うインクジェット式のヘッドである。4つのヘッド400は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色)のインク滴を吐出する。これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド400から吐出されるインクには、食品衛生法で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
図3中に拡大して示したように、ヘッド400の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル401が設けられている。本実施形態では、ヘッド400の下面に、複数のノズル401が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル401は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル401を二次元的に配置すれば、各ノズル401の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル401は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
ノズル401からのインク滴の吐出方式には、例えば、圧電素子であるピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル401内のインクを加圧して吐出させる、いわゆるピエゾ方式が用いられる。なお、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル401内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
第2印刷部42は、錠剤9の他方側の面に画像を印刷するための処理部である。第2印刷部42の構成は、第1印刷部41と同等であるため、説明を省略する。
検査機構50は、図1に示すように、第1外観検査カメラ51と、第2外観検査カメラ52と、第1印刷検査カメラ53と、第3外観検査カメラ54と、第2印刷検査カメラ55と、不良品回収部56とを有する。
第1外観検査カメラ51は、搬送ドラム31により搬送される錠剤9の他方側の表面を撮影するカメラである。第2外観検査カメラ52は、第1印刷部41の上流側において、上側搬送コンベア32により搬送される錠剤9の一方側の表面を撮影するカメラである。第1外観検査カメラ51および第2外観検査カメラ52により得られた撮影画像は、制御部10へ入力される。制御部10は、得られた撮影画像に基づいて、各保持部610,710における錠剤9の有無、各錠剤9の形状不良の有無、各錠剤9の向き等を検出する。
第1印刷検査カメラ53は、第1印刷部41の下流側において、上側搬送コンベア32により搬送される錠剤9の一方側の表面を撮影するカメラである。第1印刷検査カメラ53により得られた撮影画像は、制御部10へ入力される。制御部10は、得られた撮影画像に基づいて、第1印刷部41による印刷処理の不良の有無を検出する。
第3外観検査カメラ54は、第2印刷部42の上流側において、下側搬送コンベア33により搬送される錠剤9の他方側の表面を撮影するカメラである。第3外観検査カメラ54により得られた撮影画像は、制御部10へ入力される。制御部10は、得られた撮影画像に基づいて、下側搬送コンベア33の各保持部710における錠剤9の有無、各錠剤9の形状不良の有無、各錠剤9の向き等を検出する。
第2印刷検査カメラ55は、第2印刷部42の下流側において、下側搬送コンベア33により搬送される錠剤9の他方側の表面を撮影するカメラである。第2印刷検査カメラ55により得られた撮影画像は、制御部10へ入力される。制御部10は、得られた撮影画像に基づいて、第2印刷部42による印刷処理の不良の有無を検出する。
不良品回収部56は、上記の5つのカメラ51〜55により得られた撮影画像に基づいて、形状不良と判断された錠剤9および印刷不良と判断された錠剤9を回収する。不良品回収部56は、加圧機構(図示せず)と回収箱561とを有する。加圧機構が、不良が検出された錠剤9を保持する保持部710に対して、下側搬送コンベア33の内側から局所的に加圧された気体を吹き付けることにより、当該錠剤9の吸着を解除する。これにより、不良が検出された錠剤9が、回収箱561へと回収される。
制御部10は、印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。図4は、制御部10と、印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図1中に概念的に示したように、制御部10は、CPU等の演算処理部101、RAM等のメモリ102、および、ハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムPやデータDが、記憶されている。
図4に示すように、制御部10は、直進フィーダ22、回転フィーダ23、搬送ドラム31(モータ、吸引機構および加圧機構を含む)、上側搬送コンベア32(モータ、吸引機構および加圧機構を含む)、下側搬送コンベア33(モータ、吸引機構および加圧機構を含む)、搬出コンベア34、第1印刷部41および第2印刷部42のヘッド400、第1外観検査カメラ51、第2外観検査カメラ52、第1印刷検査カメラ53、第3外観検査カメラ54、第2印刷検査カメラ55および不良品回収部56と、それぞれ通信可能に接続されている。
制御部10は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムPやデータDをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9に対する印刷処理が進行する。
<2.各搬送部の構成>
続いて、搬送ドラム31、上側搬送コンベア32および下側搬送コンベア33の3つの搬送部の詳細な構成について、図5および図6を参照しつつ説明する。図5は、搬送機構30の構成を示した概略図である。図6は、搬送機構30の各受渡部301,302,303付近の構成を示した断面図である。
図2、図5および図6に示すように、搬送ドラム31は、循環帯状のドラム循環部61と、ドラム循環部61の内部に配置される円筒部62と、ドラム循環部61および円筒部62の幅方向の側面を覆うドラムカバー部63と、吸引機構64と、加圧機構65とを有する。
ドラム循環部61は、樹脂製の円筒状の部材である。ドラム循環部61は、図示を省略したモータから得られる動力により、幅方向に延びる回転軸を中心として、図1、図2、図5および図6の矢印の方向へ回転する。
ドラム循環部61は、略円筒形状の外周面を有する。図2に示すように、ドラム循環部61の外周面には、搬送方向および幅方向に略等間隔に配置された複数の保持部610が設けられている。複数の保持部610は、供給フィーダ24の各々に対応する幅方向位置において、搬送ドラム31の外周面に格子状に配列されている。
保持部610はそれぞれ、ドラム循環部61の外表面に設けられた凹部である。保持部610の底部には、貫通孔600が設けられている。すなわち、ドラム循環部61は、搬送方向および幅方向に間隔を空けて格子状に配列された複数の貫通孔600を有する。
ドラム循環部61は、その搬送方向位置に応じて、ドラム吸着領域611、ドラムブロー領域612およびドラム遮断領域613を有する。ドラム吸着領域611では、貫通孔600に対してドラム循環部61の内部から吸引力が働く。ドラムブロー領域612では、貫通孔600に対してドラム循環部61の内部から気体が吹き付けられる。ドラム遮断領域613では、貫通孔600に対するドラム循環部61の内部からの気圧の作用が遮断される。
ドラム吸着領域611は、供給フィーダ24およびガイド部25の下流側に配置される。すなわち、ドラム吸着領域611は、供給フィーダ24から搬送ドラム31へ錠剤9が受け渡される第1受渡部301の下流側に配置される。これにより、供給フィーダ24から供給され、ガイド部25で姿勢が調整された錠剤9が、ドラム吸着領域611において保持部610内に吸着保持される。
ここで、図5に示すように、ドラム循環部61のうち、上側搬送コンベア32と間隙を介して対向する円筒面状の部位を、ドラム送出部61aと称する。図6に示すように、ドラム送出部61aのうち、上側搬送コンベア32と最も近接する位置に、ドラムブロー領域612が配置される。ドラム送出部61aには、少なくとも、ドラム吸着領域611の下流側端部と、ドラムブロー領域612と、ドラム遮断領域613の上流側端部とが含まれる。ドラム送出部61aにおいて、上流側から下流側へと向かって順に、ドラム吸着領域611、ドラムブロー領域612およびドラム遮断領域613が、搬送方向に隣り合って配置される。
円筒部62は、ドラム循環部61の内部に配置される部材である。円筒部62は、印刷装置1の筐体100に対して固定される。円筒部62は、円筒状の外周面621と、凹部622と、吸引通路部623と、複数の吸引口624と、加圧通路部625と、複数の吹出口626とを有する。
外周面621は、ドラム循環部61の円筒状の内周面と微小な間隙を介して対向する。凹部622は、外周面621から径方向内側へ凹む。凹部622は、搬送方向の一部のみに設けられている。凹部622の幅方向の範囲は、幅方向に並ぶ全ての搬送列を包含する。また、凹部622の搬送方向の範囲は、保持部610の複数の行を包含する。本実施形態では、図6に示すように、およそ8行分の保持部610を包含するように、凹部622が設けられている。
吸引通路部623は、円筒部62内を回転軸方向に延びる。吸引通路部623の回転軸方向(すなわち幅方向)の一方側の端部は、ドラムカバー部63によって覆われる。あるいは、吸引通路部623の一方側の端部は、円筒部62の一方側の端部に達しない。吸引通路部623の他方側の端部は、吸引機構64と接続される。
吸引口624は、凹部622の内部に配置され、凹部622内の空間と、吸引通路部623とを繋ぐ。すなわち、吸引通路部623および吸引口624は、凹部622内の空間と、吸引機構64とを繋ぐ。本実施形態では、吸引口624は、搬送方向の4箇所において、それぞれ、幅方向に7箇所に、合計28個配置される。なお、吸引口624の数やその配置については、この限りではない。吸引機構64を駆動させると、吸引通路部623および吸引口624を介して、凹部622内に、大気圧よりも低い負圧が生じる。当該負圧によって、凹部622と重なる位置に配置された保持部610に保持される錠剤9が、貫通孔600へと吸着される。
これにより、ドラム循環部61のうち、円筒部62の凹部622と径方向に重なる搬送方向領域が、ドラム吸着領域611となる。
加圧通路部625は、円筒部62内を回転軸方向に延びる。加圧通路部625の回転軸方向の一方側の端部は、ドラムカバー部63によって覆われる。あるいは、加圧通路部625の一方側の端部は、円筒部62の一方側の端部に達しない。加圧通路部625の他方側の端部は、加圧機構65と接続される。
吹出口626は、凹部622の下流側において、外周面621に設けられる。なお、吹出口626は、凹部622の下流側端部の近傍に設けられる。吹出口626は、錠剤9の搬送列に対応した位置に配置される。すなわち、吹出口626は、ドラム循環部61の貫通孔600と幅方向に一致する位置に配置される。このため、本実施形態では、吹出口626は、搬送列の数と同じ8個配置される。
加圧通路部625は、吹出口626と加圧機構65とを接続する。このため、加圧機構65を駆動させると、加圧通路部625を介して吹出口626から外側へ向かって気体が吹き出す。ドラム循環部61が回転し、貫通孔600と吹出口626とが重なる位置に配置されるタイミングで加圧機構65を駆動させることにより、所定の搬送方向位置において、保持部610には、大気圧よりも高い陽圧が作用する。これにより、当該保持部610に保持される錠剤9に対して、貫通孔600を介して気体が吹き付けられ、錠剤9の吸着が解除される。
これにより、ドラム循環部61のうち、吹出口626と径方向に重なる搬送方向領域が、ドラムブロー領域612となる。
なお、本実施形態では、ドラム循環部61と円筒部62とが径方向に隣り合って配置されたが、本発明はこの限りではない。ドラム循環部61と円筒部62の間に、ドラム循環部61とともに回転する円筒状の中間部材が介在していてもよい。ただし、その場合、当該中間部材には、貫通孔600と、中間部材の内部とを連通させるための貫通孔が設けられているものとする。
上側搬送コンベア32は、搬送ベルト71と、一対のプーリ72と、枠体73と、一対のサイドカバー74と、吸引機構75と、第1遮蔽部材76と、第2遮蔽部材77と、加圧機構78とを有する。
搬送ベルト71は、上記の通り、一対のプーリ72の間に、環状に掛け渡されている。搬送ベルト71は、図示を省略した駆動機構によって、プーリ72間を回動する。プーリ72は、印刷装置1の筐体100に対して固定された略円筒状の部材である。このため、搬送ベルト71のプーリ72と接触する部分は、円筒面状になっている。搬送ベルト71は、図示を省略した駆動機構によって、プーリ72間を回動する。
また、図2および図6に示すように、搬送ベルト71の外表面には、搬送方向および幅方向に略等間隔に配置された複数の保持部710が設けられている。保持部710はそれぞれ、搬送ベルト71の外表面に設けられた凹部である。保持部710の底部には,貫通孔700が設けられている。搬送ベルト71は、搬送方向および幅方向に間隔を空けて格子状に配列された複数の保持部710および貫通孔700を有する。
ここで、図5に示すように、上側搬送コンベア32の一対のプーリ72のうち、搬送ドラム31および下側搬送コンベア33に近接するプーリ72を第1プーリ721と称する。また、他方のプーリ72(図1参照)を第2プーリ722と称する。また、搬送ベルト71のうち、第1プーリ721に接触する円筒面状の部位を第1プーリ接触部701と称する。また、搬送ベルト71のうち、第2プーリ722に接触する円筒面状の部位を第2プーリ接触部702(図1参照)と称する。
搬送ベルト71は、プーリ72間においては、平面状となっている。プーリ72間において、搬送ベルト71の内周面は、枠体73に支持される。本実施形態の枠体73は、プーリ72の間において、搬送ベルト71の幅方向端部を支持する。ここで、搬送ベルト71のうち、第1プーリ接触部701と第2プーリ接触部702との間に配置された平面状の2つの部位を第1平面部703および第2平面部704と称する。なお、第1平面部703は、第1プーリ接触部701の下流側かつ第2プーリ接触部702の上流側においてプーリ72の上部に掛け渡された部位である。また、第2平面部704は、第2プーリ接触部702の下流側かつ第1プーリ接触部701の上流側においてプーリ72の下部に掛け渡された部位である。
搬送ベルト71は、その搬送方向位置に応じて、上側遮断領域711、吸着領域712、ブロー領域713および下側遮断領域714を有する。上側遮断領域711および下側遮断領域714では、貫通孔700に対する搬送ベルト71の内部からの気圧の作用が遮断される。吸着領域712では、貫通孔700に対して搬送ベルト71の内部から吸引力が働く。ブロー領域713では、貫通孔700に対して搬送ベルト71の内部から気体が吹き付けられる。
上側搬送コンベア32の第1プーリ721は、搬送ドラム31の下方、かつ、下側搬送コンベア33のプーリ72の一方の上方に配置される。これにより、第1プーリ接触部701は、その上部が搬送ドラム31と近接して配置され、その下部が下側搬送コンベア33と近接して配置される。ここで、図5に示すように、第1プーリ接触部701のうち、搬送ドラム31と間隙を介して対向する円筒状の部位を、コンベア受取部71aと称する。また、第1プーリ接触部701のうち、その下部に配置され、下側搬送コンベア33と間隙を介して対向する円筒面状の部位を、コンベア送出部71bと称する。
また、図6に示すように、コンベア受取部71aのうち、搬送ドラム31と最も近接する位置、すなわち、ドラムブロー領域612と対向する位置を錠剤受取位置P1と称する。上側遮断領域711は、錠剤受取位置P1の上流側に配置される。吸着領域712は、錠剤受取位置P1から下流側へと続く。このように、コンベア受取部71aにおいて上流側から下流側へと向かって順に、上側遮断領域711と、吸着領域712とが、搬送方向に隣り合って配置される。
吸着領域712は、錠剤受取位置P1から下流側へ続き、第1平面部703、第2プーリ接触部702および第2平面部704の全域と、第1プーリ接触部701の下部まで拡がる。このため、コンベア受取部71aの錠剤受取位置P1において搬送ドラム31から受け取った錠剤9は、第1平面部703、第2プーリ接触部702および第2平面部704を通ってコンベア送出部71bへと搬送される。
コンベア送出部71bのうち、下側搬送コンベア33と最も近接する位置に、ブロー領域713が配置される。コンベア送出部71bには、少なくとも、吸着領域712の下流側端部と、ブロー領域713と、下側遮断領域714の上流側端部とが含まれる。コンベア送出部71bにおいて、上流側から下流側へと向かって順に、吸着領域712、ブロー領域713および下側遮断領域714が、搬送方向に隣り合って配置される。
ここで、図7は、第1プーリ721、第1遮蔽部材76および第2遮蔽部材77の斜視図である。また、図8は、第1遮蔽部材76の斜視図である。なお、第1プーリ721と第2プーリ722とは、同一形状をしているため、以下では第1プーリ721のみについて説明する。図6および図7に示すように、プーリ72は、中心軸に沿って円柱状に延びる連結部723と、中心軸を中心として円板状に拡がる複数の円板部724とを有する。円板部724の外端面は、搬送ベルト71の内周面と接触する。円板部724はそれぞれ、搬送ベルト71の貫通孔700と重ならない幅方向位置に配置される。これにより、貫通孔700を介して、保持部710の内部と、円板部724同士の間の空間とが連通する。
サイドカバー74は、プーリ72および搬送ベルト71の幅方向の両端部を覆う部材である。幅方向他方側のサイドカバー74には、搬送ベルト71とサイドカバー74とにより囲まれた内部空間70と、吸引機構75とを繋ぐための通気孔741(図5参照)が設けられている。これにより、吸引機構75を駆動させると、通気孔741を介して、内部空間70内に、大気圧よりも低い負圧が生じる。したがって、内部空間70内に配置されたプーリ72の円板部724間の空間にも、負圧が生じる。貫通孔700と内部空間70とが連通すると、当該負圧によって、保持部710に保持される錠剤9が、貫通孔700へと吸着される。
第1遮蔽部材76は、搬送ベルト71の内周面に接触し、貫通孔700を遮蔽するための部材である。第1遮蔽部材76は、第1プーリ721の近傍に配置される。図6、図7および図8に示すように、第1遮蔽部材76は、複数の第1遮蔽部761と、第1固定部762とを有する。第1遮蔽部761はそれぞれ、第1プーリ721の円板部724間に配置される。第1遮蔽部761は、円弧状の端面である第1遮蔽面760を有する。複数の円板部724の外端面と、複数の第1遮蔽部761の第1遮蔽面760とにより、搬送ベルト71の内表面に沿う曲面が形成される。図6に示すように、第1固定部762は、第1遮蔽部761から搬送ベルト71の第1平面部703に沿って延びて、枠体73に固定される。
第1遮蔽面760が配置された搬送方向位置では、第1遮蔽部材76の第1遮蔽部761によって貫通孔700と内部空間70との連通が遮断される。これにより、当該搬送方向位置において、貫通孔700に対する気圧の作用が遮断される。搬送ベルト71のうち、第1遮蔽面760と径方向に重なる搬送方向位置が、上側遮断領域711となる。また、上側遮断領域711の下流側に隣接する領域では、第1遮蔽面760による貫通孔700の遮蔽がなされないため、貫通孔700が負圧となった内部空間70と連通する。したがって、上側遮断領域711の下流側に隣接する領域は、吸着領域712となる。
第2遮蔽部材77は、搬送ベルト71の内周面に接触し、貫通孔700を遮蔽するための部材である。また、第2遮蔽部材77は、同時に、貫通孔700に対して高い陽圧を作用させるための加圧通路部774を構成するための部材である。
第2遮蔽部材77は、第1プーリ721の近傍に配置される。図6および図7に示すように、第2遮蔽部材77は、複数の第2遮蔽部771と、第2固定部772とを有する。第2遮蔽部771はそれぞれ、第1プーリ721の円板部724間に配置される。第2遮蔽部771は、円弧状の端面である第2遮蔽面770を有する。複数の円板部724の外端面と、複数の第2遮蔽部771の第2遮蔽面770とにより、搬送ベルト71の内表面に沿う曲面が形成される。図6に示すように、第2固定部772は、第2遮蔽部771から搬送ベルト71の第2平面部704に沿って延びて、枠体73に固定される。
第2遮蔽部材77は、第2遮蔽面770の下端部付近に配置される吹出口773と、吹出口773から第2遮蔽部材77内を延びる加圧通路部774とを有する。吹出口773は、第2遮蔽面770のうち、上流側端部付近に設けられる。吹出口773は、搬送ベルト71の搬送列に対応した位置に配置される。すなわち、吹出口773は、搬送ベルト71の貫通孔700と幅方向に一致する位置に配置される。このため、本実施形態では、吹出口773は、搬送列の数と同じ8個配置される。
加圧通路部774は、吹出口773から第2固定部772の端部まで延びる。加圧通路部774の吹出口773と反対側の端部は、加圧機構78と接続される。すなわち、加圧通路部774は、吹出口773と加圧機構78とを接続する。このため、加圧機構78を駆動させると、加圧通路部774を介して吹出口773から外側へ向かって気体が吹き出す。搬送ベルト71が回動し、貫通孔700と吹出口773とが重なる位置に配置されるタイミングで加圧機構78を駆動させることにより、所定の搬送方向位置において、保持部710には、大気圧よりも高い陽圧が作用する。これにより、当該保持部710に保持される錠剤9に対して、貫通孔700を介して気体が吹き付けられ、錠剤9の吸着が解除される。
第2遮蔽面770が配置された搬送方向領域のうち、吹出口773が配置された搬送方向位置は、貫通孔700に対して搬送ベルト71の内部から気体が吹き付けられるブロー領域713となる。また、第2遮蔽面770が配置された搬送方向領域のうち、吹出口773の下流側の領域は、第2遮蔽部材77の第2遮蔽部771によって貫通孔700と内部空間70との連通が遮断される。これにより、当該搬送方向位置において、貫通孔700に対する気圧の作用が遮断される。このため、搬送ベルト71のうち、吹出口773の下流側において第2遮蔽面770と径方向に重なる搬送方向位置が、下側遮断領域714となる。また、ブロー領域713の上流側に隣接する領域では、第2遮蔽面770による貫通孔700の遮蔽がなされないため、貫通孔700が負圧となった内部空間70と連通する。したがって、下側遮断領域714の上流側に隣接する領域は、吸着領域712となる。
下側搬送コンベア33は、上側搬送コンベア32とほぼ同等の構成をしている。このため、下側搬送コンベア33の詳細な説明を省略する。なお、上側搬送コンベア32のコンベア送出部71bのブロー領域713と、下側搬送コンベア33のコンベア受取部71aの吸着領域712の上流側端部付近の錠剤受取位置P2とが対向して配置される。
上記構成により、搬送ドラム31のドラム送出部61aと、上側搬送コンベア32のコンベア受取部71aとにより、錠剤9の受け渡しが行われる第2受渡部302が構成される。第2受渡部302において、搬送ドラム31が「第1搬送部」、ドラム循環部61が「第1循環部」、ドラム送出部61aが「送出部」、上側搬送コンベア32が「第2搬送部」、上側搬送コンベア32の搬送ベルト71が「第2循環部」、上側搬送コンベア32のコンベア受取部71aが「受取部」を構成する。また、搬送ドラム31において、ドラム吸着領域611が「第1吸着領域」、ドラムブロー領域612が「ブロー領域」、ドラム遮断領域613が「第1遮断領域」を構成する。上側搬送コンベア32において、上側遮断領域711が「第2遮断領域」、吸着領域712が「第2吸着領域」を構成する。
ここで、第2受取り部302では、搬送ドラム31のドラムブロー領域612から上側搬送コンベア32の錠剤受取位置P1へと受け渡した錠剤9は、搬送ドラム31のドラムブロー領域612の下流側に隣接する部分と対向した状態で、上側搬送コンベア32上を搬送される。このため、搬送ドラム31のドラムブロー領域612の下流側に隣接する部分において、ドラム循環部61の内部から貫通孔600に対して負圧や加圧等の気圧の作用が働くと、上側搬送コンベア32へ受け渡された錠剤9に、当該気圧の作用が及ぶ虞がある。そうすると、当該気圧の作用によって、上側搬送コンベア32へ受け渡された錠剤9の位置ずれが生じる虞がある。
この搬送機構30では、搬送ドラム31のドラム送出部61aが、ドラム遮断領域613を有する。これにより、ドラムブロー領域612から上側搬送コンベア32の錠剤受取位置P1へと受け渡された錠剤9に、搬送ドラム31の内部の気圧変化に起因して、錠剤9の位置ずれが生じるのが抑制される。
また、第2受取り部302における錠剤9の受け渡し前において、錠剤9は、搬送ドラム31のドラムブロー領域612の上流側において、上側搬送コンベア32の錠剤受取り位置P1の上流側に隣接する部分と対向した状態で搬送される。このため、上側搬送コンベア32の錠剤受取り位置P1の上流側に隣接する部分において、搬送コンベア71の内部から貫通孔700に対して負圧や加圧等の気圧の作用が働くと、搬送ドラム31上を搬送される錠剤9に、当該気圧の作用が及ぶ虞がある。そうすると、当該気圧の作用によって、受け渡し前の錠剤9の位置ずれが生じる虞がある。
この搬送機構30では、上側搬送コンベア32の上側コンベア受取部71aが、錠剤受取位置P1の上流側に隣接する位置に上側遮断領域711を有する。これにより、錠剤9の受け渡し前において上側搬送コンベア32の内部の気圧変化に起因して、錠剤9の位置ずれが生じるのが抑制される。このように、第2受渡部302における錠剤9の受け渡しの前後において、錠剤9の位置ずれが生じるのが抑制される。したがって、印刷装置1において、不良品の発生率を低減できる。
また、上記構成により、上側搬送コンベア32のコンベア送出部71bと、下側搬送コンベア33のコンベア受取部71aとにより、錠剤9の受け渡しが行われる第3受渡部303が構成される。第3受渡部303において、上側搬送コンベア32が「第1搬送部」、上側搬送コンベア32の搬送ベルト71が「第1循環部」、上側搬送コンベア32のコンベア送出部71bが「送出部」、下側搬送コンベア33が「第2搬送部」、下側搬送コンベア33の搬送ベルト71が「第2循環部」、下側搬送コンベア33のコンベア受取部71aが「受取部」を構成する。また、上側搬送コンベア32において、吸着領域712が「第1吸着領域」、ブロー領域713が「ブロー領域」、下側遮断領域714が「第1遮断領域」、第2遮蔽部771が「第1の遮蔽部材」を構成する。下側搬送コンベア33において、上側遮断領域711が「第2遮断領域」、吸着領域712が「第2吸着領域」、第1遮蔽部761が「第2の遮蔽部材」を構成する。
上側搬送コンベア32のコンベア送出部71bが下側遮断領域714を有することにより、上側搬送コンベア32のブロー領域713から下側搬送コンベア33の錠剤受取位置P2へと受け渡した錠剤9に、上側搬送コンベア32の内部の気圧変化に起因して、錠剤9の位置ずれが生じるのが抑制される。
下側搬送コンベア33のコンベア受取部71aが錠剤受取位置P2の上流側に隣接する位置に上側遮断領域711を有することにより、錠剤9の受け渡し前において下側搬送コンベア33の内部の気圧変化に起因して、錠剤9の位置ずれが生じるのが抑制される。このように、第3受渡部303における錠剤9の受け渡しの前後において、錠剤9の位置ずれが生じるのが抑制される。したがって、印刷装置1において、不良品の発生率をさらに低減できる。
<3.搬送部の位置調整について>
続いて、印刷装置1の使用前における搬送機構30の各部の位置調整について図4、図9および図10を参照しつつ説明する。図9は、印刷装置1の使用前における搬送機構30の各部の位置関係を示した概略図である。図9中には、印刷装置1の使用時における上側搬送コンベア32、下側搬送コンベア33および搬出コンベア34の位置が、破線にて示されている。図10は、印刷装置1の使用開始時における搬送機構30の各部の位置調整の流れを示したフローチャートである。
この印刷装置1は、複数の種類の錠剤9に対して印刷処理を行うことが可能である。錠剤9は、その種類によって厚み、大きさ、形状等が異なる。このため、搬送対象(印刷対象)となる錠剤9の種類によって、適切な保持部610,710,710の形状が異なる。この印刷装置1では、搬送対象とする錠剤9の種類によってドラム循環部61および搬送ベルト71を交換可能である。
また、ドラム循環部61および搬送ベルト71を印刷対象の種類ごとに交換するか否かに関わらず、搬送対象となる錠剤9の種類によって、錠剤9の受渡箇所における搬送部間の適切な間隔が異なる。このため、供給フィーダ24の下端部と搬送ドラム31との間隔、搬送ドラム31のドラムブロー領域612と上側搬送コンベア32の錠剤受取位置P1との間隔、および、上側搬送コンベア32のブロー領域713と下側搬送コンベア33の錠剤受取位置P2との間隔は、搬送対象となる錠剤9の種類によって変更することが好ましい。
各受渡部301,302,303における搬送部間の間隔が適切でないと、錠剤9に欠け等の欠陥が生じたり、錠剤9の位置ずれが生じる可能性が高くなる。そうなると、不良品の発生率が高くなってしまう。このため、各受渡部301,302,303における搬送部間の間隔を適切に保つことが重要である。
本実施形態の搬送機構30は、図4および図9中に概念的に示すように、搬送ドラム31の位置を移動させる第1移動機構35、上側搬送コンベア32の位置を移動させる第2移動機構36、下側搬送コンベア33の位置を移動させる第3移動機構37、および、搬出コンベア34の位置を移動させる第4移動機構38を有する。また、印刷装置1は、制御部10に対して上方を入力するための入力部11を有する。入力部11は、例えば、キーボードやマウスと、ディスプレイとにより構成されてもよいし、タッチパネルにより構成されてもよい。図4に示すように、制御部10は、第1移動機構35、第2移動機構36、第3移動機構37および第4移動機構38と、入力部11と、それぞれ通信可能に接続されている。
印刷装置1の使用開始前には、図9に示すように、搬送ドラム31、上側搬送コンベア32、下側搬送コンベア33および搬出コンベア34は、それぞれ、待機位置A1,A2,A3,A4に配置される。そして、位置調整を行うことによって、搬送ドラム31、上側搬送コンベア32、下側搬送コンベア33および搬出コンベア34は、それぞれ、印刷位置B1,B2,B3,B4に移動される。
搬送機構30の各搬送部31〜34が待機位置A1〜A4に配置されている場合、印刷位置B1〜B4に配置されている場合と比べて、互いの間隔が大きい。具体的には、供給フィーダ24の下端部と、待機位置A1における搬送ドラム31との間隔は、供給フィーダ24の下端部と、印刷位置B1における搬送ドラム31との間隔よりも大きい。待機位置A2における搬送ドラム31と待機位置A3における上側搬送コンベア32との間隔は、印刷位置B2における搬送ドラム31と印刷位置B3における上側搬送コンベア32との間隔よりも大きい。また、待機位置A3における上側搬送コンベア32と待機位置A4における下側搬送コンベア33の間隔は、印刷位置B3における上側搬送コンベア32と印刷位置B4における下側搬送コンベア33の間隔よりも大きい。
本実施形態では、上側搬送コンベア32は、待機位置A2と印刷位置B2とで、錠剤9の受け渡しを行う側のプーリ72(第1プーリ721)が移動するが、他方のプーリ72(第2プーリ722)は移動しない。また、下側搬送コンベア33についても同様に、待機位置A3と印刷位置B3とで、錠剤9の受け渡しと行う一方のプーリ72が移動するが、他方のプーリ72は移動しない。このように、少なくとも、錠剤9の受け渡しを行う箇所において、搬送部間の間隔を調整できればよい。
図10に示すように、印刷装置1の使用開始前の位置調整時には、まず、ユーザが、各循環部の準備を行う(ステップS1)。具体的には、搬送ドラム31のドラム循環部61と、上側搬送コンベア32の搬送ベルト71と、下側搬送コンベア33の搬送ベルト71とを、搬送対象となる錠剤9の種類に応じて、必要があれば交換する。
続いて、ユーザが、印刷対象(搬送対象)となる錠剤9の種類に関する情報を入力部11を介して制御部10へと入力する(ステップS2)。本実施形態では、制御部10の記憶部103内には、予め、錠剤9の種類ごとの搬送機構30の各部の印刷位置B1,B2,B3,B4の情報が含まれるデータが記憶されている。このため、錠剤9の種類が入力されると、制御部10は、当該データを記憶部103から呼び出して、以下のステップS3〜S7の工程を行う。なお、ステップS2において入力される情報は、錠剤9の形状や大きさに関する情報であってもよい。
制御部10が印刷位置B1,B2,B3,B4を認識した後、制御部10は、第1移動機構35に、搬送ドラム31を待機位置A1から印刷位置B1へと移動させる(ステップS3)。これにより、搬送ドラム31が待機位置A1から供給フィーダ24側へと近づいて、供給フィーダ24と搬送ドラム31との間隔が、錠剤9の種類に応じた間隔となる。
次に、制御部10は、第2移動機構36に、上側搬送コンベア32を待機位置A2から印刷位置B2へと移動させる(ステップS4)。これにより、上側搬送コンベア32が待機位置A2から搬送ドラム31側へと近づいて、搬送ドラム31と上側搬送コンベア32との間隔が、錠剤9の種類に応じた間隔となる。
その後、制御部10は、第3移動機構37に、下側搬送コンベア33を待機位置A3から印刷位置B3へと移動させる(ステップS5)。これにより、下側搬送コンベア33が待機位置A3から上側搬送コンベア32側へと近づいて、上側搬送コンベア32と下側搬送コンベア33との間隔が、錠剤9の種類に応じた間隔となる。
そして、制御部10は、搬出コンベア34を待機位置A4から印刷位置B4へと移動させる(ステップS6)。これにより、搬出コンベア34が待機位置A4から下側搬送コンベア33へと近づく。
このように、錠剤9の種類に応じて、搬送機構30の各搬送部31〜34間の距離を設定する。これにより、搬送機構30の各搬送部31〜34間における錠剤9の受け渡しを、錠剤9の種類に応じた間隔で行うことができる。したがって、搬送部31〜34間における錠剤9の受け渡しを行う際に、錠剤9の欠損や、錠剤9の位置ずれが生じるのを抑制できる。
ステップS3〜S6における搬送機構30の各搬送部31〜34の移動が完了すると、続いて、保持部610,710を有する循環部であるドラム循環部61および搬送ベルト71の搬送方向位置の調整を行う(ステップS7〜S9)。
まず、制御部10が、ドラム循環部61を回転させて、搬送ドラム31のドラム循環部61の搬送方向位置を初期位置に調整する(ステップS7)。本実施形態では、初期位置において、ドラム循環部61が、保持部610の構成する行と行との間の部位が、供給フィーダ24の下端部と対向して配置される。これにより、搬送機構30による搬送開始前に供給フィーダ24内に供給された錠剤9が、保持部610の縁部に衝突して欠損するのが抑制される。
次に、制御部10は、上側搬送コンベア32の搬送ベルト71を回動させて、搬送ベルト71の搬送方向位置を初期位置に調整する(ステップS8)。上側搬送コンベア32の搬送ベルト71の初期位置は、搬送ドラム31のドラム循環部61の初期位置に依存して決められる。具体的には、上側搬送コンベア32の保持部710の搬送方向位置と、搬送ドラム31の保持部610の搬送位置とが、第2受渡部302において互いに対向する位置に配置される。
続いて、制御部10は、下側搬送コンベア33の搬送ベルト71を回動させて、搬送ベルト71の搬送方向位置を初期位置に調整する(ステップS9)。下側搬送コンベア33の搬送ベルト71の初期位置は、上側搬送コンベア32の搬送ベルト71の初期位置に依存して決められる。具体的には、下側搬送コンベア33の保持部710の搬送方向位置と、上側搬送コンベア32の保持部710の搬送方向位置とが、第3受渡部303において互いに対向する位置に配置される。
ステップS7〜ステップS9において、循環部61,71の各保持部610,710の搬送方向位置を調節することにより、各受渡部301,302,303において、保持部610,710間の錠剤9の受け渡しをスムーズに行うことができる。したがって、錠剤9の位置ずれを抑制できる。
なお、本実施形態では、供給フィーダ24と搬送ドラム31との間隔を調整するために搬送ドラム31を移動させた。しかしながら、供給フィーダ24と搬送ドラム31との間隔を調整するために、供給フィーダ24側を移動させてもよい。同様に、各搬送部31〜34の移動の順番や、移動の方向は、上記のものに限られない。
<4.変形例>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の搬送機構30は、印刷装置1の内部に備えられたが、本発明はこれに限られない。本発明の搬送機構30は、印刷装置1以外の用途に用いられてもよい。
また、上記の印刷装置1は、第1印刷部41および第2印刷部42によって、錠剤9の両面に印刷を行う装置であった。しかしながら、本発明の錠剤印刷装置は、錠剤9の片面のみに印刷を行う装置であってもよい。
また、印刷装置1の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。