JP2021000780A - ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維強化樹脂基材の表面にハードコート層が設けられているハードコート層付き繊維強化樹脂成形品において、熱プレス加工等の高温での成形加工時においてハードコート層に亀裂が生じることを防ぐこと。【解決手段】未硬化の熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂基材に、架橋済みの硬化性樹脂を主たる材料樹脂とするハードコート層が積層されている、繊維強化樹脂仮成形品を、前記マトリックス樹脂の硬化温度未満の温度で成形する、予備成形工程と、前記予備成形工程を経た繊維強化樹脂仮成形品を、前記マトリックス樹脂の硬化温度を超える加熱温度で成形する、本成形工程と、を含んでなる、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法に関する。
近年、大きな衝撃や変形応力を受けるスポーツ用具、自動車、船舶、航空機等の部材として、炭素繊維強化樹脂(CFRP)やガラス繊維強化樹脂(GFRP)に代表される繊維強化樹脂を用いた成形品が提案されており、特に軽量且つ高い力学特性が求められる分野において積極的に採用されている。これらの繊維強化樹脂は、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維に対して熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂といったマトリックス樹脂を含浸させ、必要に応じて硬化させることで製造され、繊維によって強化されていることにより、物性が著しく向上し、比較的軽量でありながら強靭な部材である。
一方、この繊維強化樹脂は、意匠性の面においても、強化繊維由来の微細な模様を活かした精巧な意匠が好まれることが多くある(特許文献1参照)。特に、自動車や、スポーツ用具等の分野においては、このような意匠を活かした各種の成形品の需要が増加している。
このような繊維強化樹脂を基材とする成形品において、その耐傷性を向上させるために、当該成形品の表面にハードコート層を設けることも広く行われている。このようなハードコート層は、通常、硬化性樹脂によるコーティングや、ハードコート層付きフィルムによる転写、又は該ハードコート層付きフィルムを貼着することにより形成されている。又、上述のハードコート層付きフィルムとしては、基材フィルム上にハードコート層と接着剤層とが積層一体化されてなる、熱転写フィルムが広く用いられている(特許文献2参照)。
尚、本明細書においては、繊維強化樹脂からなる基材の少なくとも何れか一方の表面にハードコート層が設けられている成形品全般のことを指して「ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品」と称するものとする。
ここで、多くの繊維強化樹脂からなる基材は、マトリックス樹脂として熱硬化型の樹脂を採用しており、この場合、最終的な成形品の成形は、140℃程度の高温をかけた成形により行われる。この高温度での成形加工時に、ハードコート層が、成形品の形態に追従しきれずに、同層の表面に微細な亀裂が発生してしまう場合があった。
特開平10−138354号公報 特開2014−208493号公報 特開2011−102013号公報
本発明は、炭素繊維強化樹脂基材等の繊維強化樹脂基材の表面にハードコート層が設けられているハードコート層付き繊維強化樹脂成形品において、熱プレス加工等の高温での成形加工時においてハードコート層に亀裂が生じることを防ぐことを課題とする。
本発明者らは、高温での本成形工程に先行して、低温での予備成形工程を行う製造方法とすることによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 未硬化の熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂基材に、架橋済みの硬化性樹脂を主たる材料樹脂とするハードコート層が積層されている、繊維強化樹脂仮成形品を、前記マトリックス樹脂の硬化温度未満の温度で成形する、予備成形工程と、前記予備成形工程を経た繊維強化樹脂仮成形品を、前記マトリックス樹脂の硬化温度を超える加熱温度で成形する、本成形工程と、を含んでなる、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法。
(2) 前記硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である、(1)に記載のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法。
本発明によれば、炭素繊維強化樹脂基材等の繊維強化樹脂基材の表面にハードコート層が設けられているハードコート層付き繊維強化樹脂成形品において、熱プレス加工等の高温での成形加工時においてハードコート層に亀裂が生じることを防ぐことができる。
本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の層構成を模式的に示す断面図である。 本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の表面の態様を模式的に示す平面図である。 本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法の各工程の実施態様を模式的に示す図面である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。先ず、本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法によって製造することができるハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の概要について説明し、引き続き、本発明の製造方法の詳細について説明する。
<ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品>
本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法によって製造することができるハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10は、炭素繊維等の強化繊維を含んでなる繊維強化樹脂基材3の表面に、接着層2等を介して、ハードコート層1が積層されている構成からなる積層体である。
尚、上述の熱転写フィルム(特許文献2参照)を用いて、ハードコート層1を、接着層2の表面に形成する場合には、熱転写フィルム由来の接着層(図視せず)が、結果的にハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10におけるハードコート層1と接着層2との間に形成されることとなる。尚、この場合における上記の接着層は、ハードコート層の側から順に、プライマー層とヒートシール層とが配置されてなる2層構成であることが好ましい(特許文献2参照)。
そして、ハードコート層1が、繊維強化樹脂基材3と一体化されてハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10を構成している状態において、ハードコート層1は、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10の表面保護層として機能する。
又、は、図2に示すように、ハードコート層1が形成されている側の表面に、繊維強化樹脂基材3を構成する炭素繊維等の強化繊維31によって形成されている微細模様が視認可能に存在する構成とすることができる。この微細模様は、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10を構成する接着層2、及び、ハードコート層1が、「可視光を透過する層」であることによって、繊維強化樹脂基材3を構成する強化繊維31の立体形状(織目)の平面視における形状が、上記各層を通して需要者に好ましい意匠として視認されるものである。
ここで、本明細書における「可視光を透過する層」とは、上述の通り、当該層の一方の面の外側から他方の面の外側にある上記の微細模様の形状を、300ルクス照度下で、目視にて視認可能な程度の透明性を有する層のことを言う。尚、この「可視光を透過する層」とは、必ずしも当該層の全面において可視光を透過することが必須であること意味するものではない。例えば、何れかの層の表面の一部が可視光を透過しない色・濃度で着色されている場合であっても、所望の範囲内のみにおいて、微細模様の形状を上記態様で視認可能とする層であれば、上記の「可視光を透過する層」に含まれる。
一方で、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10は、繊維強化樹脂基材3とハードコート層1との間に有色インキ等によって形成されている意匠層を更に配置することもできる。この場合は、意匠性向上に寄与する独自の色味や模様が付与されているハードコート層付き繊維強化樹脂成形品とすることができる。
ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10の全体形状については、用途に応じて、プレス成型によって実現可能な様々な形状とすることができる。各種形状からなるハードコート層付き繊維強化樹脂成形品は、例えば、車両や航空機等の各種機体のボディや、その他の内外装用の部品、一般住居や公共施設の建築構造物の外装材や内装材、家電製品の部材等、繊維強化樹脂を基体とする成形品全般に広く用いることができる。
[繊維強化樹脂基材]
ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10の基体部分を構成する繊維強化樹脂基材3は、炭素繊維等の強化繊維に対して熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として含浸させた、繊維強化樹脂を、所望の形状に成形したものである。この繊維強化樹脂基材3の好ましい具体例として、炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸させた成形中間基材である炭素繊維強化樹脂(CFRP)を挙げることができる。
繊維強化樹脂基材3は、例えば、「プリプレグ」と称される基材を、必要に応じて積層、硬化することで得ることができるが、本発明の製造方法は、熱硬化性樹脂であるマトリックス樹脂が未硬化である状態において、低温で予備的なプレス成型を行うことを必須とするため、マトリックス樹脂の硬化は最終的な成形時に行う。
(強化繊維)
繊維強化樹脂基材3を構成する強化繊維31については特に限定されない。繊維強化樹脂基材を構成する強化繊維が炭素繊維である場合、強化繊維(炭素繊維)は、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等、或いは、それらの混合物等であればよい。
又、上述のハードコート層1の側から視認可能な微細模様を形成することとなる炭素繊維等の強化繊維31の立体形状(織目)は、図2に示すような格子状の形状を代表的な例として挙げることができるが、これに限られない。強化繊維31の立体形状(織目)は、一方向に引き揃えられた長繊維、二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組み紐等の何れの形状であってもよい。ここでいう長繊維とは、実質的に10mm以上連続な単繊維若しくは繊維束を意味する。
(マトリックス樹脂)
繊維強化樹脂基材3を構成するマトリックス樹脂32は、従来公知の各種の熱硬化性樹脂とすることができる。このような熱硬化性樹脂の具体例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂等も用いることができる。
[ハードコート層]
ハードコート層1は、硬化性樹脂を含んでなる樹脂組成物(以下、「硬化性樹脂組成物」とも言う)からなる層である。そして、このハードコート層1は、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10の表面保護層として、その最表面に良好な耐傷性を備えさせる機能を有する層である。
又、ハードコート層1は、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品10において、炭素繊維強化樹脂基材等の繊維強化樹脂基材3の備える特有の意匠性、或いは、上述した有色インキ等で形成される意匠層の意匠性を発現させるために、上記において規定した通り「可視光を透過する層」であることも求められる。
このようなハードコート層1を形成する硬化性樹脂組成物の主たる材料樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。尚、本明細書において、「主たる材料樹脂」とは当該樹脂を含んで形成される樹脂層において、樹脂成分中の組成比が最も大きい樹脂であり同組成比で50質量%以上の割合を占める樹脂のことを言うものとする。よってハードコート層1には、上記主たる「材料樹脂」以外の樹脂が、必要に応じて、「主たる材料樹脂」よりも少ない割合で混合されていてもよい。
ハードコート層1を形成するための電離放射線硬化性樹脂としては、従来から電離放射線硬化性を有する樹脂として慣用されている重合性オリゴマーやプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。そのような重合性オリゴマーやプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等を好ましく用いることができる。
ハードコート層1を形成するための電離放射線硬化性樹脂に照射する電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)を選択することができる。又、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も選択することができる。
又、硬化性樹脂組成物は、耐候性及びハードコート性を向上させ、優れた透明性を得る観点から、シリコーン化合物を含有することができる。シリコーン化合物としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性官能基を有する反応性シリコーン化合物、或いはこれらの反応性官能基を有しない非反応性シリコーン化合物の何れも使用することができる。
又、ハードコート層1を形成する硬化性樹脂組成物は、更に、ハードコート性や耐候性を向上させるために、耐傷フィラーや、耐候剤を含有することが好ましい。ハードコート層1に含有させることができる耐傷フィラーとしては、無機系と有機系のフィラーがあり、無機物では、例えば、アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の無機粒子が挙げられる。これらの無機系の耐傷フィラーのうち、シリカ粒子は好ましいものの一つである。シリカ粒子は、ハードコート性を向上させ、且つ、ハードコート層の透明性を阻害しないからである。シリカ粒子としては、従来公知のシリカ粒子から適宜選択して用いることが可能であり、コロイダルシリカ粒子等も好適に挙げられる。コロイダルシリカ粒子は、添加量が増えた場合であっても、透明性に影響を及ぼすことが少ない。
又、ハードコート層1の形成する硬化性樹脂組成物は、優れた耐候性を得るため、耐候性改善剤を含むことが好ましい。耐候剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤等があり、紫外線吸収剤は有害な紫外線を吸収し、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の長期にわたる耐候性、安定性を向上させる。又、光安定剤は、これ自体は紫外線をほとんど吸収しないが、紫外線により生じる有害なフリーラジカルを効率良く捕捉することにより安定化が得られるというものである。紫外線吸収剤としては、二酸化チタンや酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機系のものや、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系の有機系の紫外線吸収剤が好ましく挙げられ、中でもトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。又、光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)が好ましく挙げられる。
又、ハードコート層1を形成する硬化性樹脂組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤とは、例えば、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等である。
[接着層]
接着層2は、ハードコート層1を、繊維強化樹脂基材3の表面に接着、或いは、粘着させる機能を有する層である。接着層2を構成する樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂を用いることができ、より好ましくは、各種のエラストマーを含んでなる樹脂組成物を用いることができる。
接着層2を構成することができる熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等を挙げることができる。
又、接着層2は、各種のエラストマーを含んでなる樹脂組成物(以下、「エラストマー組成物」とも言う)からなる「弾性層」とすることがより好ましい。これにより、上述の通り、繊維強化樹脂基材の表面に製造過程で空隙が形成されることを防止或いは十分に低減させて、より意匠性に優れる炭素繊維強化樹脂成形品とすることができる。尚、本明細書における「弾性層」とは、25℃程度の常温において外部からの力に対して弾性変形する層のことを言うものとする。
接着層2を、「エラストマー組成物」からなる「弾性層」とする場合、同層の厚さは10μm以上であることが好ましい。接着層2を、構成する弾性層に、この程度の厚さとすることにより、接着層2(弾性層)に、繊維強化樹脂基材3の表面における上述の空隙の形成を防止或いは十分に低減させる機能を備えさせることができる。
上記の「弾性層」を構成するエラストマー組成物の主たる材料樹脂とするエラストマーとしては、一般的に「エラストマー」と称される「弾性材料」であれば、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性エラストマーの何れをも用いることができる。接着層2を形成するエラストマー組成物の主たる材料樹脂とするエラストマーの具体例としては、エラストマーをポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂の何れかをベース樹脂とする各種のオレフィン系エラストマー、或いは、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルフォン化エチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコーンゴム系エラストマー、アクリルゴム系エラストマー、フッ素ゴム系エラストマー等を挙げることができる。これらの中でも、オレフィン系エラストマー、或いは、ポリエステル系エラストマーを、接着層2を「弾性層」として形成するエラストマー組成物の主たる材料樹脂として、特に好ましく用いることができる。
<ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法>
本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法は、ハードコート層付き炭素繊維強化樹脂成形品等の各種のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品を製造する方法である。この製造方法は、炭素繊維強化樹脂成形品に限られず、以下に説明する本発明独自の要件を満たす限りにおいて、繊維強化樹脂基材の表面にハードコート層が積層されてなるハードコート層付き繊維強化樹脂成形品全般の製造に広く適用することができる製造方法である。
[材料樹脂]
本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも言う)においては、繊維強化樹脂基材を構成するマトリックス樹脂を熱硬化性樹脂とし、ハードコート層を形成する硬化性樹脂については、低温での成形加工性(伸度)に優れる架橋済みの硬化性樹脂とする。
そして、このようにして選択された上記の熱硬化性樹脂の硬化温度未満の温度で、成形品を予備的に成形する予備成形工程を、成形品の最終的な成形工程である高温高圧での本成形工程に先行して行うこととした。
(ハードコート層)
ハードコート層を形成する硬化性樹脂材料としては、成型条件に応じて求められる低温での成形加工性(伸度)を有するものであれば、各種の架橋済みの硬化性樹脂を用いることができる。そのような硬化性樹脂として、具体的には、エポキシ(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等に代表される各種の電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。
(繊維強化樹脂基材)
繊維強化樹脂基材を構成するマトリックス樹脂については、従来広く併用されていた紫外線硬化型の樹脂を排除して、熱硬化性樹脂に限定した。
[各工程の実施手順]
本発明の製造方法は、上記の樹脂材料を用いて、図3に模式的に示す通り、使用する熱硬化性樹脂の硬化温度以下の低温で、材料積層体の予備的な成形を行う予備成形工程と、同硬化温度を超える加熱温度で最終的な成形を行う本成形工程との二段階に分けて行う製造方法であることを特徴とする。
尚、ハードコート層を形成する硬化性樹脂材料樹脂を架橋済みとしておくための電離放射線の照射等の架橋処理は、以下の各成形工程に先行して適宜行っておくものとする。
(予備成形工程)
予備成形工程は、後述の本成形工程に先行して、繊維強化樹脂仮成形品(図3における10A)に対して、使用する熱硬化性樹脂の硬化温度以下の低温、より好ましくは、30℃以下の低温(室内常温)で、プレス成型等により、予備的な成形を行う工程である。尚、図3においては、プレス機100Aが予備成形工程を行うプレス機である。この予備成形工程における成形条件は、一例として、30℃の常温下で、プレス機により、繊維強化樹脂仮成形品に、0.5MPa程度の圧力をかけることにより好ましく行うことができる。
この予備成形工程においてプレス機100Aに投入する繊維強化樹脂仮成形品10Aは、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂基材の表面に、硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いたハードコート層が、積層されている積層体であり、ハードコート層については架橋済みであって、繊維強化樹脂基材のマトリックス樹脂について未硬化の段階にある積層体である。予備成形工程は、各層毎の架橋(若しくは熱硬化)の進行状態が、それぞれ異なる繊維強化樹脂仮成形品を、熱硬化性樹脂の硬化温度以下の低温で仮成形する工程である。
(本成形工程)
本成形工程は、前述の予備成形工程後に、仮成形済の繊維強化樹脂仮成形品(図3における10B)に対して、高温で最終的なプレス成型を行う工程である。尚、図3においてはプレス機100Bが、本成形工程を行うプレス機である。
この本成形工程においてプレス機100Bに投入する仮成形済みの繊維強化樹脂仮成形品10Bは、上記の通り、ハードコート層については架橋済みであるが、低温での成形を経ているので、繊維強化樹脂基材のマトリックス樹脂については依然として未硬化の段階にある積層体である。本成形工程は、このような積層体を、使用する熱硬化性樹脂の硬化温度を超える高温で成形する最終の成形工程である。この本成形工程は、例えば、予備成形工程仮において仮成形済の上記の繊維強化樹脂仮成形品に、更に、硬化温度:140℃、硬化時間:2時間、圧力:0.49MPaの条件でのプレス成型をかけることにより行うことができる。
尚、上述の2工程(予備成形工程と本成形工程)は、何れも上記において一例として示したプレス成形による実施の他、オートクレーブによる成形にも適用することができる。この成形は、金型に材料積層体を軽く沿わせて、真空状態で、温度と圧力を加える事で成形を行う製法である。この場合、予備成形工程を、常温で圧力を加えて材料積層体を金型に追従させた後、熱硬化温度以上に炉内の温度を上げて、本成型工程を行う。一例として、予備成形工程を、30℃、0.5MPa、10分程度の条件で行い、その後、本成型工程を、140℃、1MPa、2時間等程度の条件で実施する例を挙げることができる。
以上、説明したように、低温での成形加工性(伸度)に優れる電離放射線硬化性樹脂を、予備成形工程において十分に伸ばし切り、その後、本成形工程において熱硬化性樹脂を硬化させる2段階でのプレス成型を行う製造方法とすることにより、ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造において、ハードコート層表面の亀裂の発生を防ぎながら、より深絞りの成形が可能となる。
尚、本発明の製造方法においては、図1に示す層構成の積層体に限らず、例えば、上述の電離放射線硬化性樹脂と同程度に低温での成形加工性に優れるその他の樹脂基材(例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、パラフィルム等)を、何れかの層に追加的に積層した材料積層体も、繊維強化樹脂仮成形品として用いることができる。
[ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造]
上述した本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法により、実施例及び比較例のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品試料を作成した。資料作成のための材料は下記の通りとした。又、各試料のサイズは何れも、300mm×300mmとした。
(繊維強化樹脂基材(炭素繊維強化樹脂基材))
格子状に編まれた炭素繊維に未硬化の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)を含浸させてなるプリプレグ(厚さ500μm)を、繊維強化樹脂基材(「繊維強化樹脂仮成形品」)として用いた。
(接着層)
厚さ200μmのオレフィン系樹脂のホットメルト樹脂フィルム(クランベターM−2:倉敷紡績社製)を、各試料において接着層を形成する材料として用いた。
(ハードコート層)
ハードコート層を構成する材料として、電離放射線硬化性樹脂(アクリル系のオリゴマー)を主たる材料とするハードコート層と、厚さ3μmのプライマー層及び接着層を有するハードコート転写フィルムを用いた。尚、ハードコート層については転写前に予め電離放射線の照射により架橋処理を行った。
(繊維強化樹脂仮成形品)
上記の繊維強化樹脂基材、エラストマーフィルム、ハードコート転写フィルムを順次積層し、最後にハードコート転写フィルムの基材フィルム(PETフィルム)を剥離する事で、「繊維強化樹脂仮成形品」を得た。
(予備成形工程)
「繊維強化樹脂仮成形品」について、30℃の雰囲気で、0.5MPaの条件でプレス成型による予備成形工程を行った。
(本成形工程)
予備成形工程を経た「繊維強化樹脂仮成形品」について、硬化温度:140℃、硬化時間:2時間、圧力:0.49MPaの条件で、プレス成型による本成形工程を行い、実施例のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品試料を得た。
一方、上記の「繊維強化樹脂仮成形品」について、予備成形工程を行わずに、上記条件の本形成工程のみによりプレス成型を行ったものを比較例のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品試料とした。
上記各方法により得た実施例と比較例のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品試料について、下記評価方法に基づいて、製造方法の優劣を評価した。結果を表1に示す。
<製造方法の優劣の評価方法>
実施例及び比較例の各ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品について、それぞれのハードコート層表面における亀裂の発生の有無を目視観察により確認した。
Figure 2021000780
表1より、本発明のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法が、ハードコート層の亀裂発生を抑制するという課題の下で優位性を有する製造方法であることが確認された。
1 ハードコート層
2 接着層
3 繊維強化樹脂基材
31 強化繊維
32 マトリックス樹脂
10 ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品

Claims (2)

  1. 未硬化の熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂基材に、架橋済みの硬化性樹脂を主たる材料樹脂とするハードコート層が積層されている、繊維強化樹脂仮成形品を、前記マトリックス樹脂の硬化温度未満の温度で成形する、予備成形工程と、
    前記予備成形工程を経た繊維強化樹脂仮成形品を、前記マトリックス樹脂の硬化温度を超える加熱温度で成形する、本成形工程と、
    を含んでなる、
    ハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である、請求項1に記載のハードコート層付き繊維強化樹脂成形品の製造方法。
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