JP2014030968A - 加飾シートおよびそれを用いた加飾成形品の製造方法 - Google Patents

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原 正 博 安
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田 広 史 岸
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Abstract

【課題】高硬度性などの表面特性を維持しながら、より複雑な形状の成形体に適用しても転写性に優れる加飾シートの提供。
【解決手段】基材フィルム11と、前記基材フィルムの一方の面に設けられた離型層12と、前記離型層の基材フィルム側とは反対側の面に設けられたハードコート層形成層13とを備えた加飾シート1であって、離型層が、35〜65質量%のメラミン系樹脂と、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂とを含んでなり、ハードコート層形成層が、電離放射線硬化性官能基Aを有する、重量平均分子量が50000未満である多官能性ラジカル重合型プレポリマー、表面に電離放射線硬化性官能基Bを有する反応性無機粒子、および多官能イソシアネート化合物を含んでなるインキ組成物を、前記離型層に塗布することにより形成されるものであり、前記プレポリマーが、前記プレポリマーと前記反応性無機粒子との合計に対して、15〜75質量%含まれている。
【選択図】図1

Description

本発明は、加飾シートに関し、ハードコート層を備えた加飾成形品の製造に好適に使用できる加飾シート、および加飾シートを用いた加飾成形品の製造方法に関する。
従来、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体の加飾には、射出成形同時加飾方法が用いられる。射出成形同時加飾方法とは、射出成形の際に、金型内に挿入された加飾シートをキャビティ内に射出注入された溶融した射出樹脂と一体化させて、樹脂成形体表面に加飾を施す方法であり、樹脂成形体と一体化される加飾シートの構成の違いにより、一般に、射出成形同時ラミネート加飾法と射出成形同時転写加飾法とに大別される。
射出成形同時転写加飾法においては、加飾シートを金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した射出樹脂を射出して、加飾シートと射出樹脂とを一体化し、次いで加飾成形品を冷却して金型から取り出した後、基材フィルムを剥離することにより、所望の加飾が施された転写層を転写した加飾成形品を得ることができる。
上記のようにして得られる加飾成形品は、従来用いられている家庭用電化製品、自動車内装品などの分野に加えて、例えば近年パソコン市場の拡大に伴う、日常携帯できるモバイルパソコンを含めたノート型のパソコンの分野での使用や、自動車外装、携帯電話分野での使用も注目されている。これらの分野においては、加飾シートに対して、加飾成形品に優れた高硬度性などの表面特性を付与し得ると同時に、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が求められる。
このような要求を満たすため、例えば、特開2009−137219号公報には、高硬度性などの表面物性を得ることを目的として、低分子量のポリマーと硬化剤とコロイダルシリカ粒子とを含む保護層を有する転写材が提案されている。しかしながら、鉛筆硬度でH以上のより厳しい要求に対して十分ではなく、また、形状が複雑な成形品に対して、保護層が白化したり塗装割れを生じる場合があるといった問題があった。高硬度性などの表面特性と耐ブロッキングおよび成形性とは相反する性能であり、これらの相反する性能をより高いレベルで実現できる加飾シートが希求されている。
また、加飾シートを用いた射出成形同時転写加飾法では、加飾成形品を冷却して金型から取り出した後、基材フィルムを剥離する際に、被加飾体の端部あるいは表面に凹部や貫通孔などがある箇所には加飾したくない場合でも転写層が残ってしまう、いわゆる箔ばりや、加飾シートをスリット加工する際に、スリット部付近の転写層の一部が加飾シートから剥離し脱落してしまう、いわゆる箔こぼれが生じることがある。このような問題に対して、例えば特開2012−40814号公報には、基材フィルムを剥離する際の剥離力を所定の範囲内とすることで、加飾成形品に優れた高硬度性を付与すると同時に、箔ばりや箔こぼれの発生も抑制できる加飾シートが提案されている。
特開2009−137219号公報 特開2012−40814号公報
近年、深絞り度が高い三次元曲面を有するような複雑な形状の成形品が求められており、深絞りの成形体を製造するための金型に、特開2012−40814号公報で提案されているような加飾シートを適用すると、保護層に皺が発生したり、場合によっては深絞り部分にクラック等が発生する場合あった。
本発明者らは、上記のような皺やクラックの発生が、加飾シートの保護層と離型層との伸張差に起因していることに気づき、保護層と離型層との伸張差をなくすように、離型層を特定の樹脂で形成することにより、高硬度性などの表面特性を維持しながら、より複雑な形状の成形体に適用しても転写性に優れる加飾シートを実現できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、高硬度性などの表面特性を維持しながら、より複雑な形状の成形体に適用しても転写性に優れる加飾シートを提供することである。
本発明による加飾シートは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられた離型層と、前記離型層の基材フィルム側とは反対側の面に設けられたハードコート層形成層と、を少なくとも備えた加飾シートであって、
前記離型層が、35〜65質量%のメラミン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、および尿素系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂とを含んでなり、
前記ハードコート層形成層が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の電離放射線硬化性官能基Aを有する、重量平均分子量が50000未満である多官能性ラジカル重合型プレポリマー、表面に電離放射線硬化性官能基Bを有する反応性無機粒子、および多官能イソシアネート化合物を含んでなるインキ組成物を、前記離型層に塗布することにより形成され、前記プレポリマーが、前記プレポリマーと前記反応性無機粒子との合計に対して、15〜75質量%含まれてなるものである。
本発明の態様によれば、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が60℃以上であってもよい。
本発明の態様によれば、前記離型層と前記ハードコート層形成層との80℃における剥離強度が、0.06〜0.75N/18mmであってもよい。
本発明の態様によれば、前記反応性無機粒子が、反応性シリカ粒子および反応性異形シリカ粒子からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明の態様によれば、前記多官能性ラジカル重合型プレポリマーが、アクリル(メタ)アクリレート系プレポリマーであってもよい。
本発明の態様によれば、前記多官能イソシアネート化合物が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種の電離放射線硬化性官能基Cを有していてもよい。
本発明の態様によれば、前記基材フィルムの前記離型層を設ける面とは反対側の面に、帯電防止層を備えていてもよい。
また、本発明の別の態様による、加飾シートを用いた加飾成形品の製造方法は、上記加飾シートを用いた加飾成形品の製造方法であって、
射出成型金型の内壁に前記加飾シートを配置し、
前記射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出し、前記溶融樹脂を冷却・固化させて、前記加飾シートが表面に積層されたて一体化した樹脂成形体を形成し、
前記樹脂成形体を前記金型から取り出し、
前記加飾シートが一体化した樹脂成形体からから、前記加飾シートの基材フィルムを剥離し、
前記樹脂成形体に電離放射線を照射し、前記加飾シートのハードコート層形成層を硬化させてハードコート層を形成する、
ことを含んでなる。
本発明の別の態様によれば、上記方法により得られる、加飾成形品も提供される。
本発明による箇所クシーは、保護層と離型層との伸張差をなくすように、離型層を特定の樹脂で形成することにより、高硬度性などの表面特性を維持しながら、より複雑な形状の成形体に適用しても転写性に優れる。
本発明による加飾シートの一実施形態の断面模式図。 本発明による加飾成形品の一実施形態の断面模式図。
<加飾シート>
本発明による加飾シートは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられた離型層と、前記離型層の基材フィルム側とは反対側の面に設けられたハードコート層形成層と、を少なくとも備えている。以下、本発明による加飾シートを、図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の加飾シートの好ましい一態様についての断面を示す模式図である。加飾シート1は、基材フィルム11の一方の表面に、離型層12およびハードコート層形成層13が順次積層された層構成を有している。本発明の好ましい態様として、ハードコート層形成層13上には、さらにアンカー層14、絵柄層15および接着層16が順次積層されていてもよい。また、基材フィルム11の他方の面(離型層11を設けた面とは反対側の面)には、帯電防止層19が積層されていてもよい。以下、本発明による加飾シートを構成する各層について、以下、説明する。
<基材フィルム>
基材フィルム11は、加飾シート1の支持体となるものであり、離型層12およびハードコート層形成層13を支持できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、基材フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものを好適に利用できる。これらのなかでも、成形性および耐熱性の観点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)が好ましい。
基材フィルムの厚さとしては、成形性や形状追従性、取り扱いが容易であるとの観点から、25〜150μmの範囲が好ましく、さらに25〜75μmの範囲がより好ましい。
<離型層>
離型層12は、この剥離を容易にするために必要に応じて設けられる層であり、基材シート11とハードコート層形成層13との間に設けられる。加飾シートを用いて成形品の表面を加飾する際、ハードコート層形成層13、アンカー層14、絵柄層15および接着層16が順に積層してなる転写層17は、基材シート11から剥離されるが、離型層12を設けることにより、加飾シート1から転写層18を確実かつ容易に被転写体(成形体)へ転写させ、基材フィルム11、離型層12および必要に応じて設けられる帯電防止層19からなる剥離層18を確実に剥離することができる。
離型層は、メラミン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、および尿素系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂とを含む複合系樹脂からなり、メラミン系樹脂が35〜65質量%の割合で含まれる。本発明においては、メラミン系樹脂の含有割合が35〜65質量%であるような複合系樹脂からなる離型層とすることにより、深絞りの金型を使用して加飾成形品を製造する場合であっても、加飾シートの最大延伸部に塗膜割れや白化が生じることなく、良好に型の形状に追従させることができるとともに、箔ばりや箔こぼれの発生を抑制しながら良好な転写状態を維持できる。メラミン系樹脂の含有量が65質量%を超えると、成形性が低下し、複雑な形状の成形品に適用した場合にクラック等が発生する場合がある。また、離型層とハードコート層との剥離強度が低くなり、箔ばりや箔こぼれ等が発生する場合がある。一方、メラミン系樹脂の含有量が35質量%未満であると、剥離強度が高くなり過ぎて転写不良が発生する場合がある。
上記したように、離型層をメラミン系樹脂に特定の熱可塑性樹脂を35〜65質量%の割合で含有させることにより、成形時においてもハードコート層の伸びに離型層が追従して伸びるため、優れた成形性と転写性とを両立させることができるものと考えられる。本発明においては、加飾シートの80℃での伸び率が200%となるような延伸部においても、加飾シートの転写層(ハードコート層、および必要に応じて設けられるアンカー層、絵柄層および接着層)にクラックが発生せず、深絞り成形であっても良好な成形性を維持することができる。
本発明においては、離型層とハードコート層形成層とのかつ80℃における剥離強度が0.06〜0.8N/18mmの範囲であることが好ましい。剥離強度が0.06N/18mm未満であると、剥離強度が小さすぎて、箔ばりや箔こぼれが生じるため、これらの除去作業に時間と手間がかかり作業効率が悪化し、また加飾成形品の外観不良を招いてしまう。一方、80℃における剥離強度が0.8N/18mmよりも大きいと、剥離強度が大きすぎて、転写不良による加飾成形品の外観不良を招いてしまう。このような観点から、離型層12とハードコート層形成層13との80℃における剥離強度は、0.06〜0.6N/18mmが好ましく、0.06〜0.5N/18mmがより好ましい。
また、上記と同様の理由から、離型層とハードコート層形成層との20℃における剥離強度は0.06〜0.55N/18mmの範囲であることが好ましく、0.06〜0.45N/18mmの範囲であることがより好ましく、特に0.06〜0.35N/18mmの範囲であることが好ましい。
なお、本明細書において、「剥離強度」とは、以下のようにして測定した値である。まず、幅50mm、長さ150mmの両面テープを、該テープと同じサイズにした加飾シートの基材フィルムの離型層が設ける面とは反対側の面(帯電防止層が設けられている場合は帯電防止層面)に貼り付け、平らな台に固定する。次に、固定した加飾シートの転写層17面に幅18mm、長さ100mmのセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」)を密着させ、密着させたセロファンテープに沿ってカッターで切り込みを入れる。次に、密着させたセロテープ(登録商標)ごと転写層17を剥離層18から剥離させて、転写層17を10mmほど浮かせ、その先端に引っ掛け治具を貼り付ける。80℃で3分間放置した後、引っ掛け治具にテンションゲージ(荷重測定用)のフックをひっかけ、テンションゲージを転写層17と剥離層18との剥離角度が常に90°となるように、剥離速度を100〜500mm/分の範囲で、ゆっくりと引き上げる。この時のテンションゲージの示す荷重を剥離強度(N/18mm)とする。
上記のようにしてテンションゲージを引き上げると、テンションゲージの示す荷重は振れるため、得られる剥離強度は一定の振れ幅を有する値となる。本発明においては、振れ幅の全範囲は、上記した剥離強度の範囲内に含まれることが好ましい。剥離強度は、メラミン系樹脂と熱可塑性樹脂との配合割合や樹脂の種類によっても調整することができる。
また、メラミン系樹脂と併用して使用される熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が60℃以上、好ましくは90℃以上であるものを好適に使用できる。ガラス転移温度が低い熱可塑性樹脂を使用すると、離型層の形成後、加飾シートにタックが残りやすく、加飾シートをロール状の形態で保管等する際に、不都合を生じる場合がある。特に、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびアクリル系樹脂を好適に使用することができる。
離型層は、上記した樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散させたインキを、基材シート上に公知の手段により塗布・乾燥させることにより形成される。上記した樹脂の硬化を促進するため、インキ中には酸触媒を添加してもよい。酸触媒としては特に限定されず、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などが好ましく挙げられる。酸触媒の使用量は、樹脂成分中に含まれるメラミン樹脂の固形分に対して0.05〜3質量%程度が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。また、離型剤の硬化を促進させるために、130〜170℃の加熱処理を30秒〜2分程度行うことが好ましい。
離型層の厚みは、概ね0.1〜5μm程度であることが好ましく、上記したインキの塗布量により調整することができる。塗布方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、ダイコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
<ハードコート層形成層>
後記するように、本発明による加飾シートは樹脂成形体の表面に積層一体化された後、樹脂成形体の加飾シートから基材シートが剥離される。基材シートの剥離によって、樹脂成形体の表面に配置されたハードコート層形成層を硬化させることにより、樹脂成形体の表面にハードコート層が形成される。ハードコート層は、加飾された成形品の最外層となるため、摩滅や薬品などから成形品(凹凸模様を含む)や絵柄層を保護することができる。また、ハードコート層形成層13は、硬化することにより、優れた高硬度性と耐スクラッチ性はもちろんのこと、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性に優れるという性能を有する層であることを要する。
ハードコート層形成層13は、ハードコート層形成用組成物を、離型層12上に塗布することによりハードコート層形成層13が形成される。ハードコート層形成用組成物は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基およびアリル基から選ばれる少なくとも一種を有する、重量平均分子量が50000未満である多官能性ラジカル重合型プレポリマーからなる電離放射線硬化性官能基Aと、表面に電離放射線硬化性官能基Bを有する反応性無機粒子と、多官能イソシアネート化合物と、を必須成分として含む。なお、本発明において、電離放射線硬化性とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などの照射により励起して、重合反応を生じることにより架橋、硬化する性能のことである。また、電離放射線硬化性官能基とは、上記電離放射線硬化性を発現しうる官能基を意味する。
上記の多官能性ラジカル重合型プレポリマーは、電離放射線硬化性官能基Aを有するプレポリマーであれば特に限定されるものではない。このような電離放射線硬化性官能基Aを有するラジカル重合型プレポリマーとしては、例えば、アクリル(メタ)アクリレート系プレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマー、エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマー、およびポリエーテル(メタ)アクリレート系プレポリマーなどのプレポリマーが好ましく挙げられる。これらのなかでも、アクリル(メタ)アクリレート系プレポリマーが好ましい。本発明においては、これらのプレポリマーを単独で、あるいは複数を組合せて用いてもよい。
ここで、アクリル(メタ)アクリレート系プレポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの官能基含有(メタ)アクリル系化合物、あるいは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸とを共重合してなるプレポリマーである。
ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンプレポリマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルプレポリマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるプレポリマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマーを用いることもできる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系ポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
本発明で用いられるプレポリマーの重量平均分子量は、50000未満であることを要し、より好ましくは5000〜40000であり、さらに好ましくは10000〜35000である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、優れた高硬度性と耐ブロッキング性を得ることができる。なお、重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値を意味し、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
また、優れた表面特性を得る観点から、プレポリマーの二重結合当量は、100〜800、好ましくは150〜500、より好ましくは150〜300である。なお、二重結合当量は、電離放射線硬化性官能基1molあたりの分子量を意味する。
ハードコート層形成用組成物に含まれる反応性無機粒子は、表面に電離放射線硬化性官能基Bを有する。なお、電離放射線硬化性官能基とは、上記電離放射線硬化性を発現しうる官能基のことであり、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基およびアリル基といったエチレン性不飽和結合やエポキシ基、シラノール基などの官能基のことである。本発明においては、高硬度性および耐スクラッチ性の向上の観点から、電離放射線硬化性官能基Bが、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、およびアリル基であることが好ましい。
無機粒子としては、シリカ粒子(コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカなど)、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子などの金属酸化物粒子が好ましく挙げられ、高硬度性の向上の観点から、シリカ粒子およびアルミナ粒子が好ましく、特にシリカ粒子が好ましい。
無機粒子の形状としては、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、これらの形状が均一で、整粒であることが好ましい。また、無機粒子の平均粒子径は、ハードコート層形成用組成物により形成する層の厚さにより適宜選択しうるが、通常0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。ここで、平均粒子径とは、溶液中の粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)であり、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
また、無機粒子のなかでも、高硬度性の観点からは、異形無機粒子が好ましい。異形無機粒子は、無機粒子が平均連結数2〜40個の連結凝集した無機粒子群からなるものが好ましい。連結凝集は、規則的であっても不規則的であってもよい。無機粒子群を形成する無機粒子としては、シリカ(コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカなど)、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛などの金属酸化物からなる無機粒子が好ましく挙げられ、高硬度性の向上の観点から、シリカあるいはアルミナからなる異形無機粒子であることが好ましい。すなわち、異形無機粒子は、シリカ粒子あるいはアルミナ粒子が平均連結数2〜40個の連結凝集したシリカ粒子群あるいはアルミナ粒子群からなるものであることが好ましく、特に、シリカ粒子が平均連結数2〜40個の連結凝集したシリカ粒子群からなる異形シリカ粒子が好ましい。
上記無機粒子群を形成する無機粒子の形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが好ましく挙げられ、これらの形状が均一で、整粒であることが好ましい。また、無機粒子群を形成する無機粒子の平均粒子径は、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましい。また、異形無機粒子の平均粒子径としては、ハードコート層形成用組成物により形成する層の厚さにより適宜選択しうるが、通常0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。なお、平均粒子径は、上記した無機粒子の平均粒子径と同じ方法により測定したものである。
本発明において使用される反応性無機粒子は、上記したシリカ粒子または異形シリカ粒子の表面に、電離放射線硬化性官能基Bを有する反応性シリカ粒子または反応性異形シリカ粒子であることが好ましい。これら粒子の表面に電離放射線硬化性官能基Bを結合させるには、シランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基などを有する公知のシランカップリング剤が好ましく挙げられ、より具体的には、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などが好ましく挙げられ、より好ましくは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシランである。
無機粒子をシランカップリング剤で表面装飾する方法は、特に制限はなく公知の方法であればよく、シランカップリング剤をスプレーする乾式の方法や、無機粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式の方法などが挙げられる。
ハードコート層形成用組成物に含まれる多官能イソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物であることが好ましい。このような多官能イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。また、これら各種イソシアネートの付加体または多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等や、ブロック化されたイソシアネート化合物等も挙げられる。
また、本発明においては、多官能イソシアネート化合物のうち、電離放射線硬化性官能基Cとしてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも一種を有するものが、高硬度性の観点から特に好ましく、具体的には「Laromer LR9000(商品名)」(BASF社製)のように、エチレン性不飽和結合を有する官能基を少なくとも1個と、2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物が好ましい。
本発明において使用されるハードコート層形成用組成物は、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンなどのその他の物;またはこれらの混合物が好ましく挙げられる。より好ましい溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
ハードコート層形成用組成物中の溶媒の量は、組成物の粘度に応じて適宜選定すればよいが、プレポリマーの固形分、反応性無機粒子およびその他後述する光重合開始剤などを合わせた固形分の含有量が通常10〜70質量%程度、好ましくは20〜50質量%となるような量である。
ハードコート層形成用組成物には、光重合開始剤を配合してもよい。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ケトン系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ケタール系、アントラキノン系、ジスルフィド系、チオキサントン系、チウラム系、フルオロアミン系などの光重合開始剤が挙げられる。なかでも、アセトフェノン系、ケトン系、ベンゾフェノン系が好ましく挙げられる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で使用することができ、また複数を組み合わせて使用することもできる。
光重合開始剤の含有量は、プレポリマーの固形分100質量部に対して、0.5〜10質量部程度とすることが好ましく、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは3〜8質量部である。
本発明において使用されるハードコート層形成用組成物には、得られる所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤などが挙げられる。
また、ハードコート層形成用組成物には、その効果を阻害しない範囲で、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などのポリマーや、電離放射線硬化性官能基としてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも一種を有するモノマー、例えばウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートなどの反応性モノマーを配合することもできる。
ハードコート層形成用組成物は、上記したプレポリマー、反応性無機粒子および多官能イソシアネート化合物を必須成分として含むが、プレポリマーの固形分と反応性無機粒子との合計に対するプレポリマーの固形分の含有量は、15〜75質量%である。プレポリマーの含有量を上記範囲内とすることにより、ハードコート層形成用組成物を用いてハードコート層形成層を形成する際、離型層上にハードコート層形成用組成物を塗布して形成したハードコート層形成層は、必要に応じて熱乾燥するだけでタックフリーとなるため、電離放射線の照射や高温の焼付けなどによる半硬化処理を行うことなく、シートをロール状に巻き取ってもブロッキング(裏移り)することがない。また、半硬化処理の必要がなくなるため、成形した際に成形前後の加飾シートの面積比が130%以上となるような深絞りであっても、最大延伸部に塗膜割れや白化が生じることなく、良好に型の形状に追従できるハードコート形成層の形成が可能となる。さらに、成型転写後にハードコート形成層を電離放射線を用いて硬化することにより、優れた高硬度性が得られる。プレポリマーの固形分の含有量は、プレポリマーの固形分と反応性無機粒子との合計に対して、20〜70質量%が好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。
また、ハードコート層形成用組成物中の多官能イソシアネート化合物の固形分の含有量は、プレポリマーの固形分100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましい。多官能イソシアネート化合物の固形分の含有量を上記範囲内とすることにより、優れた高硬度性と成形性を維持したまま、成形時の耐熱性が得られる。
ハードコート層形成層は、上記したハードコート層形成用組成物を離型層上に塗布することにより形成される。塗布方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、ダイコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
ハードコート層形成層の厚さは、0.5〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。厚さを上記範囲内とすることにより、優れた高硬度性と耐スクラッチ性はもちろんのこと、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性が得られると同時に、優れた成形性や形状追従性を得ることができる。また、材料費の点でも有利である。
<アンカー層>
本発明においては、加飾シート1のハードコート層形成層13上に、アンカー層14を設けてもよい。アンカー層14は、ハードコート層形成層13と、必要に応じて設けられる接着層16や絵柄層16との密着性を向上させるために、所望により設けられる層である。
アンカー層14は、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用し、例えば上記のように形成したハードコート層形成層13の上に、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などにより塗布して形成することができる。アンカー層14の厚さは、通常0.1〜5μm程度であり、好ましくは1〜5μm程度である。
<絵柄層>
本発明による加飾シートに、所望により設けられる絵柄層15は、加飾成形品に所望の意匠性を付与するための層である。絵柄層15の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。また、絵柄層15は、上記絵柄を表現する柄パターン層および全面ベタ層を単独でまたは組み合わせて設けることができ、全面ベタ層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層などとして用いられる。
絵柄層15は、通常は、上記のように形成したハードコート層形成層13の上、あるいはアンカー層14の上に、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適当な色の顔料または染料を着色剤として含有する印刷インキによる印刷を行うことで形成する。印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷法が挙げられる。絵柄層15の厚みは、意匠性の観点から5〜40μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
<接着層>
本発明による加飾シートに、所望により設けられる接着層16は、転写層17(ハードコート層、および必要に応じて設けられるアンカー層および絵柄層)を接着性よく樹脂成形体に転写するために形成される層である。この接着層16には、樹脂成形体の素材に適した感熱性または感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、樹脂成形体の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂成形体の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、樹脂成形体の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着層16の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。なお、絵柄層15が樹脂成形体に対して充分な接着性を有する場合には、接着層16を設けなくてもよい。接着層16の厚さは、通常0.1〜5μm程度が好ましい。
<帯電防止層>
また、本発明の加飾シートは、基材シート11の離型層12を設けた面とは反対側の面に帯電防止層19が設けられていてもよい。帯電防止層19は、加飾シートへの異物の付着を防止するために好ましく設けられる層であり、基材フィルム11の離型層12を設ける面とは反対側の面に設けられる。
帯電防止層に用いられる帯電防止剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、リン酸系などのアニオン性界面活性剤;第4級アンモニウム系などのカチオン系界面活性剤;アルキルベタイン系、アルキルイミダゾリン系、アルキルアラニン系などの両性界面活性剤;アルキレンオキサイド重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール−アルキレンオキサイド付加物などのノニオン系界面活性剤;カーボンや、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデンなどの各種金属粉末などの無機導電性物質;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、あるいはアミノカルボン酸、ジカルボン酸およびポリエチレングリコールからなるポリエーテルエステルアミド樹脂などの導電性高分子などが好ましく挙げられる。
帯電防止層は、上記した帯電防止剤と有機溶剤などからなる塗料を、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により、基材フィルム上に塗布することにより形成される。帯電防止層の厚さは、通常0.1〜5μmであることが好ましい。帯電防止層の厚さを上記範囲内とすることにより、優れた帯電防止性能が効率よく得られる。
本発明の加飾シートは、ハードコート層形成層が必要に応じて熱乾燥するだけでタックフリーとなるため、耐ブロッキング性に優れ、同時に耐熱性も付与できるので製造効率に優れるものである。また、タックフリーとするために電離放射線の照射や高温の焼付けなどによる半硬化処理を行う必要がないため、優れた成形性や形状追従性を有するものとなる。さらに、成形転写後にハードコート層形成層を電離放射線を用いて硬化することにより、優れた高硬度性および耐スクラッチ性が得られる。これらのことから、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において使用することができる。
<加飾成形品の製造方法>
図2は、本発明による加飾成形品の好ましい一態様についての断面を示す模式図である。図2に示される加飾成形品2は、樹脂成形体20の表面に、接着層16、絵柄層15、アンカー層14およびハードコート層形成層13を硬化させたハードコート層21が順に積層したものである。このような加飾成形品の製造方法について、以下、説明する。
本発明による加飾成形品の製造方法は、(1)射出成形金型の内側に上記した加飾シートを配置する工程、(2)前記金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、前記加飾シートが表面に積層されて一体化した樹脂成形体を形成する工程、(3)前記樹脂成形体を金型から取り出す工程、(4)前記樹脂成形体から前記加飾シートの基材フィルムを剥離する工程、(5)前記樹脂成形体に電離放射線を照射して、前記加飾シートのハードコート層形成層を硬化させてハードコート層を形成する工程、を含む。以下、各工程について説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、本発明の加飾シートを成形金型内に配し、挟み込む工程である。具体的には、加飾シートを、可動型と固定型とからなる成形用金型内に転写層17を内側にして、つまり、基材フィルム11が固定型側となるように加飾シートを送り込む。この際、枚葉の加飾シートを1枚ずつ送り込んでもよいし、長尺の加飾シートの必要部分を間欠的に送り込んでもよい。
加飾シートを成形金型内に配する際、(i)単に金型を加熱し、金型に真空吸引して密着するように配する、あるいは(ii)転写層17側から熱盤を用いて加熱し軟化させて、加飾シートが金型内の形状に沿うように予備成形して、金型内面に密着させる型締を行って、配することができる。(ii)の時の加熱温度は、基材フィルム11のガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(または融点)未満の範囲であることが好ましく、通常はガラス転移温度近傍の温度で行う。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲であり、一般に70〜130℃程度である。また、(ii)の場合には、加飾シートを成形金型表面により密着させる目的で、加飾シートを熱盤で加熱し軟化させる際に、真空吸引することもできる。
<工程(2)>
工程(2)は、金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程である。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、加飾シートが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、加飾成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、一般に180〜280℃程度である。
加飾成形品に用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であればよく、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
<工程(3)および工程(4)>
工程(3)は、加飾シートと樹脂成形体とが一体化した成形体を金型から取り出す工程であり、工程(4)は、その一体化した成形体から、加飾シート1のハードコート層形成層13と離型層12との間で剥離するように、加飾シートの基材フィルム側(即ち、基材フィルム11を剥離する工程である。上記したような加飾シートによれば、離型層12とハードコート層形成層13との境界面で、基材フィルム11、離型層12および必要に応じて設けられる帯電防止層19を含む剥離層18を、加飾成形品2から容易に剥離することができる。剥離工程より、樹脂成形体21の表面に、接着層16、絵柄層15、アンカー層14およびハードコート層形成層13が順に積層した成形品が得られる。
<工程(5)>
工程(5)は、工程(4)において基材フィルム11が剥離されて、成形品の最表面に位置するハードコート層形成層13を電離放射線を用いて硬化させて、ハードコート層21を形成する工程である。成形品表面に形成されたハードコート層は、成形品の表面を保護して、成形品の高硬度性および耐スクラッチ性を向上させるものである。工程(5)の硬化は、酸素濃度2%以下の雰囲気下で電離放射線を照射して行うことができる。このように硬化を行うことで、さらに優れた高硬度性および耐スクラッチ性を得ることができる。
酸素濃度2%以下の雰囲気は、例えば窒素、アルゴン、水素など、好ましくは窒素を用いる、あるいは酸素濃度が2%以下程度となるように空気吸引を行うなどの方法により得ることができる。
ハードコート層形成層13の硬化は、電子線および紫外線などの電離放射線を照射して行うことができる。電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いるプレポリマーやモノマーの種類、あるいはハードコート層形成層13の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が好ましい。照射線量は、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。また、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射し、その照射線量は500〜1500mJ程度である。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
このようにして得られた加飾成形品2は、優れた高硬度性を有し、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性にも優れるものである。また、より形状が複雑な成形品に対応し得る成形性が得られる本発明の加飾シートを使用することで、仕上がりにも優れた加飾成形品が得られる。本発明の加飾成形品は、これらの優れた特性を活かして、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
実施例1
<プレポリマーの調製>
冷却器、滴下ロートおよび温度計付きの2L四つ口フラスコに、メチルイソブチルケトン(MIBK)120g、メチルエチルケトン(MEK)210gを仕込み、四つ口フラスコに、グリシジルメタクリレート(GMA)80g、メチルメタクリレート(MMA)20gおよびアゾ系の開始剤(アゾビスイソブチロニトリル,AIBN−1)1.0gからなる混合液を滴下ロートで2時間かけて滴下させながら、100〜110℃の温度下で4時間反応させた後、アゾ系の開始剤(アゾビスイソブチロニトリル,AIBN−2)1.0gをさらに加えて、3時間保温後、室温まで冷却した。これに、アクリル酸(AA)40.6g、トリフェニルホスフィン2g、およびメトキノン0.5gからなる混合液を加えて、付加反応を行った。水酸化カリウム溶液の中和滴定で、反応性生物の酸価の消失を確認し、反応を終了させた。
得られたプレポリマーの重量平均分子量は25000であり、二重結合当量は250g/mol(計算値)であり、固形分は30%であった。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
<ハードコート層形成用組成物の調製>
上記で得られたプレポリマー1を20.0質量部(固形分6質量部)と、反応性異形シリカ粒子(「ELCOM V−8803(品番)」,日揮触媒化成株式会社製,反応性異形シリカ粒子,平均連結数:規則的に2〜10個,異形無機粒子の平均粒子径;25nm)10質量部(固形分4質量部)と、反応性多官能イソシアネート(「Laromer LR9000(品番)」,BASF社製)1質量部(固形分1質量部)と、光重合開始剤(「IRGACURE 184(品番)」,チバ・ジャパン株式会社製,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)0.4質量部と、溶媒(メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合溶剤、配合比70:30)6.7質量部とを混合して、ハードコート層形成用組成物を得た。なお、表1に示された溶媒の含有量は、プレポリマー1および反応性無機粒子に含まれる溶媒との合計量である。
<加飾シートの作製>
基材フィルム(「F99(品番)」、厚さ50μm,東レ株式会社製)上に、メラミン系樹脂を主成分とする塗工液(メラン265:イソブチルアルコール変性メラミン樹脂、日立化成工業株式会社製)に、ポリエステル系樹脂(バイロン20SS:非晶性ポリエステル樹脂、東洋紡績株式会社製)を添加して、樹脂固形分比率が、メラミン系樹脂:ポリエステル系樹脂=1:1であるような混合液を調製した。この混合液を、塗布量2g/mでグラビア印刷して離型層形成用塗布膜を形成した。
次いで、上記で得られたハードコート層形成用組成物を、離型層上に塗布量6g/mでグラビア印刷してハードコート層形成層を形成した。続いて、ハードコート層形成層上に、アクリル系樹脂を主成分とする塗料を塗布量4g/mでグラビア印刷してアンカー層を形成し、そのアンカー層上に、アクリル系塗工液を、塗布量2g/mでグラビア印刷して接着層を形成した。
さらに、基材フィルムの賦形層を設けた面とは反対側の面に、カチオン系界面活性剤を主成分とする塗工液(カチオン系界面活性剤:第4級アンモニウム塩)を塗布量1g/mでグラビア印刷して帯電防止層を形成することにより、加飾シートを得た。
<加飾成形品の作製>
上記で得られた加飾シートを、70℃に加熱した二種の金型Aおよび金型Bにそれぞれ吸引し、金型内面に密着させた。金型Aとして、110mm×65mmの大きさで、立ち上がり10mm、コーナー部が3R、テーパー7°のトレー状形状のものを用いた。また、金型Bとして、110mm×65mmの大きさで、立ち上がり17mm、コーナー部が3R、テーパー5°のトレー状である金型Aよりも深絞り度の高い形状のものを用いた。
射出樹脂としてABS樹脂(「クラスチックMTH−2(品番)」,日本エイアンドエル株式会社製)を用いて、これを230℃にて溶融状態にしてから、金型Aおよび金型Bのそれぞれのキャビティ内に射出した。冷却して金型から取り出した後、基材フィルムを剥離して、樹脂成形体の表面に接着層、印刷層、アンカー層およびハードコート層形成層を順に備えた成形品を得た。さらに、大気雰囲気下において、出力可変型UVランプシステム(「DRS−10/12QN(型番)」,フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製)を用い、照射線量:1000mJで、成形体に紫外線を照射して、ハードコート層形成層を硬化させてハードコート層とすることにより加飾成形品1Aおよび1Bを得た。
実施例2
離型層形成用塗工液の組成を、下記表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾成形品2Aおよび2Bを得た。
比較例1
離型層形成用塗工液の組成を、下記表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾成形品3Aおよび3Bを得た。
比較例2
離型層形成用塗工液の組成を、下記表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾成形品4Aおよび4Bを得た。
比較例3
離型層形成用塗工液の組成を、下記表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾成形品5Aおよび5Bを得た。
Figure 2014030968
<評価>
(1)剥離強度
幅50mm、長さ150mmの両面テープを、両面テープと同じサイズにカットした加飾シートの基材フィルムの離型層が設ける面とは反対側の面(帯電防止層帯面)に貼り付け、平らな台に固定した。次に、固定した加飾シートの転写層面に幅18mm、長さ100mmのセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」)を密着させ、密着させたセロファンテープに沿ってカッターで切り込みを入れ、次いで、密着させたセロテープ(登録商標)ごと転写層を剥離層から剥離させて、転写層を10mmほど浮かせ、その先端に引っ掛け治具を貼り付けた。その状態で、80℃×3分間放置した後、引っ掛け治具にテンションゲージ(荷重測定用)のフックをひっかけ、テンションゲージを転写層と剥離層との剥離角度が常に90°となるように、剥離速度300mm/分で引き上げた。この時のテンションゲージの示す荷重を剥離強度(N/18mm)とした。
(2)加飾シートの伸度
実施例1および2、ならびに比較例1〜3で使用した加飾シートを、幅15mm、長さ80mmにカットした試料の両端を、把持部の間隔が50mmとなるように引っ張り試験機((オリエンテック製RTA−1T)に固定し、80℃の恒温槽にて1分間放置した後、500mm/分の引張速度にて伸度の測定を行った。この時、加飾シートの転写層(ハードコート層が形成された面)側にクラックが発生する直前の伸度を、加飾シートの伸び率とした。例えば、引っ張り試験機の把持部の間隔が125mm(即ち、伸度250%)ではクラックの発生は確認できず、把持部間隔が130mm(即ち、伸度260%)でクラックの発生が目視にて確認できたときは、伸び率は250%とした。
(3)表面硬度
得られた加飾成形品について、JIS K5600−5−4に準拠して、鉛筆引掻き塗膜硬さ試験機(「D−NP(型番)」,株式会社東洋精機製作所製)、及び鉛筆引掻き値試験用鉛筆(三菱鉛筆株式会社製)を用いて鉛筆硬度を測定した。各硬度の鉛筆で加飾成形品の表面を引掻く試験を5回行い、3回以上傷跡が生じなかった鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。
(4)転写性
得られた加飾成形品について、箔ばりの状態を目視で確認した。箔ばりの評価基準は以下の通りとした。
○ :箔ばりは全く確認されなかった
△ :箔ばりが若干確認されたものの、実用上問題ない
× :著しい箔ばりが確認された
また、実施例1および2、ならびに比較例1〜3で使用した加飾シートにスリット加工した際の箔こぼれの状態を目視で確認した。箔こぼれの評価基準は以下の通りとした。
○ :箔こぼれは全く確認されなかった
△ :箔こぼれが若干確認されたものの、実用上問題ない
× :著しい箔こぼれが確認された
さらに、得られた加飾成形品について、下記の評価基準により転写状態の評価を行った。
○ :転写状態は良好であった
△ :転写状態が若干悪い部分があるが、実用上問題ない
× :転写状態が著しく悪かった
(5)外観評価(成形性)
得られた加飾成形品の外観(成形性)を下記の基準で評価した。
○:ハードコート層(およびその形成層)に塗装割れや白化が全く確認できず、良好に金型の形状に追従した
△:ハードコート層(およびその形成層)に若干の塗装割れや軽微な白化が確認されたが、実用上問題ない
×:ハードコート層(およびその形成層)に著しい塗装割れや白化が確認された
(6)外観評価(耐熱性)
また、加飾成形品のゲート部(樹脂射出部)周囲の外観(耐熱性)を下記の基準で評価した。
○:ハードコート層(およびその形成層)に流動による変形や白化が全く確認されなかった
△:ハードコート層(およびその形成層)に若干の流動による変形や軽微な白化が確認されたが、実用上問題ない
×:ハードコート層(およびその形成層)に著しい流動による変形や白化が確認された
評価結果は、下記の表2に示される通りであった。
Figure 2014030968
1 加飾シート
2 加飾成形品
11 基材フィルム
12 離型層
13 ハードコート層形成層
14 アンカー層
15 絵柄層
16 接着層
17 転写層
18 剥離層
19 帯電防止層
20 樹脂成形体
21 ハードコート層

Claims (9)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられた離型層と、前記離型層の基材フィルム側とは反対側の面に設けられたハードコート層形成層と、を少なくとも備えた加飾シートであって、
    前記離型層が、35〜65質量%のメラミン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、および尿素系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂とを含んでなり、
    前記ハードコート層形成層が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の電離放射線硬化性官能基Aを有する、重量平均分子量が50000未満である多官能性ラジカル重合型プレポリマー、表面に電離放射線硬化性官能基Bを有する反応性無機粒子、および多官能イソシアネート化合物を含んでなるインキ組成物を、前記離型層に塗布することにより形成されるものであり、
    前記プレポリマーが、前記プレポリマーと前記反応性無機粒子との合計に対して、15〜75質量%含まれてなる、加飾シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が60℃以上である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記離型層と前記ハードコート層形成層との80℃における剥離強度が、0.06〜0.75N/18mmである、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 前記反応性無機粒子が、反応性シリカ粒子および反応性異形シリカ粒子からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の加飾シート。
  5. 前記多官能性ラジカル重合型プレポリマーが、アクリル(メタ)アクリレート系プレポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の加飾シート。
  6. 前記多官能イソシアネート化合物が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種の電離放射線硬化性官能基Cを有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加飾シート。
  7. 前記基材フィルムの前記離型層を設ける面とは反対側の面に、帯電防止層を備えてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の加飾シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の加飾シートを用いた加飾成形品の製造方法であって、
    射出成型金型の内壁に前記加飾シートを配置し、
    前記射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出し、前記溶融樹脂を冷却・固化させて、前記加飾シートが表面に積層されたて一体化した樹脂成形体を形成し、
    前記樹脂成形体を前記金型から取り出し、
    前記加飾シートが一体化した樹脂成形体からから、前記加飾シートの基材フィルムを剥離し、
    前記樹脂成形体に電離放射線を照射し、前記加飾シートのハードコート層形成層を硬化させてハードコート層を形成する、
    ことを含んでなる、方法。
  9. 請求項8に記載の方法により得られる、加飾成形品。
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