JP2011161692A - 加飾成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を有する加飾成形品の製造方法、インキ組成物を用いた加飾シート、加飾成形品を提供する。
【解決手段】工程(1)射出成型金型内に基材フィルム11の片面上に少なくとも離型層12と、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を塗工してなるハードコート層形成層13とを順に有する加飾シート10を配する工程;工程(2)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程;工程(3)樹脂成形体と加飾シート10とが一体化した成形体を金型から取り出す工程;工程(4)成形体から加飾シート10の基材フィルム11を剥離する工程;及び工程(5)酸素濃度2%以下の雰囲気下で前記成形体上に設けられたハードコート層形成層13を硬化させるハードコート層形成工程、を有する加飾成形品の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、加飾成形品の製造方法に関する。
従来、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体の加飾には、射出成形同時加飾方法が用いられる。射出成形同時加飾方法とは、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートをキャビティ内に射出注入された溶融した射出樹脂と一体化させて、樹脂成形体表面に加飾を施す方法であって、樹脂成形体と一体化される加飾シートの構成の違いによって、一般に射出成形同時ラミネート加飾法と射出成形同時転写加飾法に大別される。
射出成形同時転写加飾法においては、射出成形同時転写加飾用の加飾シートの転写層側を金型内に向けて転写層側から熱盤によって加熱し、該加飾シートが金型内形状に沿うように成形して金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した射出樹脂を射出して該加飾シートと射出樹脂とを一体化し、次いで加飾成形品を冷却して金型から取り出した後、基材フィルムを剥離することにより転写層を転写した加飾成形品を得ることができる。
このようにして得られる加飾成形品は、従来用いられている家庭用電化製品、自動車内装品などの分野に加えて、例えば近年パソコン市場の拡大に伴う、日常携帯できるモバイルパソコンを含めたノート型のパソコンの分野での使用や、自動車外装、携帯電話分野での使用も注目されている。これらの分野においては、加飾シートに対して、加飾成形品に優れた高硬度性、耐スクラッチ性を付与しうると同時に、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が求められる。
このような要求を満たすため、例えば基材フィルムに、成形品を保護するための剥離層を設けた加飾シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、高硬度性や耐スクラッチ性におけるより厳しい要求に十分に対応できない、あるいは例えば深絞り度が高い三次元曲面を有するような、より形状が複雑な成形品に対しては、加飾シートの金型の凹凸形状への追随が十分ではなく、より優れた成形性を得るという課題がある。
高硬度性や耐スクラッチ性などの表面物性を得ることを目的として、樹脂成形品の表面に所定のハードコート剤を用いた加飾シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、ハードコート剤、あるいは保護層を形成する剤の性状に起因して、射出成型前に加飾シート(転写シート)を硬化させているなどの理由により、一定の表面物性は得られても、優れた成形性が得られないという問題があった。また、上記の表面物性を得つつ、深絞り形状への転写を向上させることを目的として、電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を有する転写シートを金型内で真空・圧空成形してから、電離放射線を照射し、保護層を硬化させてから、射出成型を行い樹脂成形品を得る製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この製造方法でも、より厳しい表面物性や成形性に対する要請に十分対応できず、さらなる改良が必要である。このように、高硬度性及び耐スクラッチ性と成形性とは相反する性能であり、これらの相反する性能を高いレベルで確保することが求められている。
特開2009−247011号公報 特開2008−231220号公報 特許第3345668号
本発明は、このような状況下で、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を有する加飾成形品の製造方法、加飾成形品に優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を付与すると同時に、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が得られるインキ組成物及び該インキ組成物を用いた加飾シート、ならびに該製造方法により得られる加飾成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、以下の加飾成形品の製造方法、インキ組成物及び該インキ組成物を用いた加飾シート、ならびに該製造方法により得られる加飾成形品を提供するものである。
1.下記の工程(1)〜工程(5)を有する加飾成形品の製造方法。
工程(1)射出成型金型内に基材フィルムの片面上に少なくとも離型層と、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を塗工してなるハードコート層形成層とを順に有する加飾シートを配する工程
工程(2)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程
工程(3)樹脂成形体と加飾シートとが一体化した成形体を金型から取り出す工程
工程(4)成形体から加飾シートの基材フィルムを剥離する工程
工程(5)酸素濃度2%以下の雰囲気下で前記成形体上に設けられたハードコート層形成層を硬化させるハードコート層形成工程
2.工程(5)における硬化が、電離放射線を照射して行われることを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.前記インキ組成物が、電離放射線硬化性官能基を有するポリマー及びモノマーを含み、該ポリマーの配合量が、該ポリマーと該モノマーとの合計に対して50質量%以上である上記1又は2に記載の製造方法。
4.前記電離放射線硬化性官能基が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種である上記3に記載の製造方法。
5.電離放射線硬化性官能基としてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種を有するポリマー及びモノマーを含み、該ポリマーの配合量が、該ポリマーとモノマーとの合計に対して50質量%以上であるインキ組成物。
6.前記電離放射線硬化性官能基を有するポリマーが、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びポリエーテル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種からなるポリマーである上記5に記載のインキ組成物。
7.前記電離放射線硬化性官能基を有するモノマーが、該官能基を2個以上有し、その数平均分子量が100〜10000のウレタン(メタ)アクリレートである上記5に記載のインキ組成物。
8.基材フィルムの片面に少なくとも離型層とハードコート層形成層とを順に有する加飾シートであって、該ハードコート層形成層が上記5〜7のいずれかに記載のインキ組成物を用いてなるものである加飾シート。
9.上記1〜4のいずれかに記載の加飾成形品の製造方法に用いられる上記8に記載の加飾シート。
10.上記1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる加飾成形品。
本発明によれば、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を有する加飾成形品の製造方法、加飾成形品に優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を付与すると同時に、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が得られるインキ組成物及び該インキ組成物を用いた加飾シート、ならびに該製造方法により得られる加飾成形品を提供することができる。
本発明の加飾シートの断面を示す模式図である。 本発明の加飾成形品の断面を示す模式図である。
本発明は、上記したように加飾成形品の製造方法、インキ組成物及び該インキ組成物を用いた加飾シート、ならびに該製造方法により得られる加飾成形品に関するものである。以下、本発明を、インキ組成物から説明する。
[インキ組成物]
本発明のインキ組成物は、電離放射線硬化性官能基としてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種を有するポリマー及びモノマーを含み、該ポリマーの配合量が、該ポリマーとモノマーとの合計に対して50質量%以上であり、電離放射線硬化性を有する組成物である。
《電離放射線硬化性官能基を有するポリマー》
電離放射線硬化性とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などの照射により励起して、重合反応を生じることにより架橋、硬化する性能のことである。また、電離放射線硬化性官能基とは、上記電離放射線硬化性を発現しうる官能基のことであり、本発明においてはビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基といったエチレン性不飽和結合を有する官能基及びエポキシ基のことである。
電離放射線硬化性官能基を有するポリマーは、上記電離放射線硬化性官能基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えばアクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びポリエーテル(メタ)アクリレートなどのポリマーが好ましく挙げられる。本発明においては、これらのポリマーを単独で、あるいは複数を組合せて用いてもよい。
本発明で用いられるポリマーの数平均分子量は、5000〜150000程度であり、好ましくは20000〜100000である。数平均分子量が上記範囲内であれば、インキ組成物のチキソ性が得られ、良好な成形性も得られる。ここで、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
また、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を得る観点から、ポリマーの二重結合当量は、50〜1000、好ましくは100〜1000、より好ましくは100〜500である。ここで、二重結合当量は、電離放射線硬化性官能基1個あたりの分子量を意味する。
《電離放射線硬化性官能基を有するモノマー》
本発明で用いられる電離放射線硬化性官能基を有するモノマーは、電離放射線硬化性官能基としてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種を有するモノマーであれば特に制限はなく、1分子中に2つ以上の官能基を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく挙げられ、より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びポリエーテル(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
モノマーの有する官能基数は、2〜16が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜8がさらに好ましい。官能基数が上記範囲内であれば、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性が得られる。
本発明で用いられるモノマーの数平均分子量は、好ましくは100〜10000程度であり、より好ましくは1000〜5000の範囲内である。モノマーの数平均分子量が上記範囲内であれば、優れた高硬度性が得られる。ここで、数平均分子量は、上記と同じく測定された値である。
また、本発明においては、上記以外のモノマーとして多官能(メタ)アクリレートを用いることもできる。多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。このような多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
《溶媒》
本発明のインキ組成物は、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、あるいはこれらの混合溶剤などが好ましく挙げられる。
インキ組成物中の溶媒の量は、該組成物の粘度に応じて適宜選定すればよいが、前記ポリマー及びモノマーの固形分が通常10〜50質量%程度、好ましくは20〜40質量%となるような量である。
《光重合開始剤》
本発明のインキ組成物は、光重合開始剤を配合することができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ケトン系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ケタール系、アントラキノン系、ジスルフィド系、チオキサントン系、チウラム系、フルオロアミン系などの光重合開始剤が挙げられる。なかでも、アセトフェノン系、ケトン系、ベンゾフェノン系が好ましく挙げられる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で使用することができ、また複数を組み合わせて使用することもできる。
光重合開始剤の含有量は、ポリマーとモノマーとの合計量100質量部に対して、0.5〜10質量部程度とすることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部、さらに好ましくは3〜5質量部である。
《その他の成分》
本発明のインキ組成物は、得られる所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤などが挙げられる。
また、本発明のインキ組成物は、高硬度性及び耐スクラッチ性を向上させる目的で、分子中に重合性不飽和結合を有するアルコキシシラン、すなわちシランカップリング剤で表面が処理された充填剤を含むことができる。充填剤としては、シリカやアルミナが好ましく挙げられ、シリカがより好ましく、その平均粒子径は0.02〜5μm程度が好ましい。
《インキ組成物》
本発明のインキ組成物は、上記したポリマーとモノマーを含むものであり、ポリマーの配合量は、該ポリマーとモノマーとの合計に対して50質量%以上であることを要し、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは50〜85質量%であり、さらに好ましくは70〜85質量%である。ここで、ポリマーの配合量は、ポリマー及びモノマーの固形分を基準としたものである。ポリマーの配合量が上記範囲内であれば、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性が得られる。また、インキ組成物を用いて加飾シートを作製したとき、該加飾シートを用いて加飾成形品を作製する前に巻き取りをして保存しておくことが可能であり、取り扱いが容易となる。
[加飾シート]
本発明の加飾シートは、基材フィルムの片面に少なくとも離型層とハードコート層形成層とを順に有しており、該ハードコート層形成層が本発明のインキ組成物を用いてなるものである。以下、本発明の加飾シートを、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の加飾シートの好ましい一態様についての断面を示す模式図である。図2は、本発明の加飾成形品の好ましい一態様についての断面を示す模式図である。
図1に示される本発明の加飾シート10は、ポリエステルフィルムからなる基材フィルム11の一方の表面に、離型層12、ハードコート層形成層13、アンカー層14、絵柄層15及び接着層16を順に積層してなるものである。また、図2に示される本発明の加飾成形品20は、樹脂成形体21の表面に、接着層16、絵柄層15、アンカー層14及びハードコート層形成層13が硬化してなるハードコート層22が順に積層したものである。
《基材フィルム》
基材フィルム11としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成形性及び剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)が好ましい。
基材フィルム11の厚さとしては、成形性や形状追従性、取り扱いが容易であるとの観点から、25〜150μmの範囲が好ましく、さらに50〜100μmの範囲がより好ましい。
《離型層12》
離型層12は、好ましくはハードコート層形成層13、アンカー層14、絵柄層15及び接着層16が順に積層してなる転写層17が基材シート11からの剥離を容易に行われるために設けられる層である。該離型層12を有することで、本発明の加飾シートから転写層17を確実に、かつ容易に被転写体へ転写させ、基材フィルム11及び離型層12からなる剥離層18を確実に剥離することができる。
離型層12には、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤及びこれらの複合型離型剤などの離型剤が好ましく用いられる。これらのうち、アクリル樹脂系離型剤及びポリオレフィン樹脂系離型剤が好ましく、アクリル−ポリエチレン系などのこれらを複合したものが特に好ましい。
離型層12の形成は、上記のような離型剤に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散して調製したインキを、基材シート11上に公知の手段により塗布・乾燥させて行うことができ、厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。
《ハードコート層形成層13》
ハードコート層形成層13は、本発明のインキ組成物を用いてなる層であり、硬化することにより加飾成形品20におけるハードコート層22を形成する層である。該ハードコート層22は、加飾成形品の最外層となり、摩耗や光、薬品などから成形品や絵柄層を保護するための層である。よって、ハードコート層形成層13は、硬化することで、優れた高硬度性と耐スクラッチ性はもちろんのこと、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性に優れるという性能を有する層であること要する。本発明においては、ハードコート層形成層13の形成に本発明のインキ組成物を用いることにより、ハードコート層22に上記のような性能を付与することを可能としている。
ハードコート層形成層13は、本発明のインキ組成物をグラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などにより塗工することで、形成することができる。
ハードコート層形成層13の厚さは、0.5〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。厚さが上記範囲内であると、優れた高硬度性と耐スクラッチ性はもちろんのこと、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性が得られると同時に、優れた成形性や形状追従性を得ることができる。また、経済的にも有利である。
《アンカー層14》
アンカー層14は、ハードコート層形成層13と接着層16との密着性を向上させるために、所望により設けられる層である。
アンカー層14は、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用し、例えば上記のように形成したハードコート層形成層13の上に、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などにより塗工して形成することができる。
アンカー層14の厚さは、通常0.1〜5μm程度であり、好ましくは1〜5μm程度である。
《絵柄層15》
絵柄層15は、加飾成形品に所望の意匠性を付与するための層であり、所望により設けられる層である。絵柄層15の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。また、絵柄層15は、上記絵柄を表現する柄パターン層及び全面ベタ層を単独で又は組み合わせて設けることができ、全面ベタ層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層などとして用いられる。
絵柄層15は、通常は、上記のように形成したハードコート層形成層13の上、あるいはアンカー層14の上に、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適当な色の顔料又は染料を着色剤として含有する印刷インキによる印刷を行うことで形成する。印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インキジェット印刷などの公知の印刷法が挙げられる。
絵柄層15の厚みは、意匠性の観点から5〜40μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
《接着層16》
接着層16は、転写層17を接着性よく樹脂成形体に転写するために形成される層である。この接着層16には、樹脂成形体の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、樹脂成形体の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂成形体の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、樹脂成形体の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着層16の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。なお、絵柄層15が樹脂成形体に対して充分な接着性を有する場合には、接着層16を設けなくてもよい。
接着層16の厚さは、通常0.1〜5μm程度が好ましい。
《加飾シートの用途など》
本発明の加飾シートは、加飾成形品に優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を付与し、またより形状が複雑な成形品が得られるという優れた成形性を有する。また、本発明の加飾シートを用いて加飾成形品を作製する場合、加飾シートをそのまま用いることもできるし、ロール状に巻き取ってから使用することもできるので、巻取り容易性に優れており、使い勝手の点でも優れている。これらのことから、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において使用することができる。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、工程(1)射出成型金型内に基材フィルムの片面上に少なくとも離型層と、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を塗工してなるハードコート層形成層とを順に有する加飾シートを配する工程;工程(2)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程;工程(3)樹脂成形体と加飾シートとが一体化した成形体を金型から取り出す工程;工程(4)成形体から加飾シートの基材フィルムを剥離する工程;及び工程(5)酸素濃度2%以下の雰囲気下で前記成形体上に設けられたハードコート層形成層を硬化させるハードコート層形成工程を有するものである。
《工程(1)》
(A)工程は、加飾シートを成形金型内に配し、挟み込む工程である。具体的には、加飾シートを、可動型と固定型とからなる成形用金型内に転写層17を内側にして、つまり、基材フィルム11が固定型側となるように加飾シートを送り込む。この際、枚葉の加飾シートを1枚ずつ送り込んでもよいし、長尺の加飾シートの必要部分を間欠的に送り込んでもよい。
加飾シートを成形金型内に配する際、転写層17側から熱盤を用いて加熱し軟化させて、加飾シートが金型内の形状に沿うように予備成型して、金型内面に密着させる型締を行うことが好ましい。この時の加熱温度は、基材フィルム11のガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(または融点)未満の範囲であることが好ましく、通常はガラス転移温度近傍の温度で行う。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲であり、一般に70〜130℃程度である。また、加飾シートを成形金型表面により密着させる目的で、加飾シートを熱盤で加熱し軟化させる際に、真空吸引することもできる。
加飾シートは、基材フィルムの片面上に少なくとも離型層と、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を塗工してなるハードコート層形成層とを順に有するものであればよく、上記した本発明の加飾シートが好ましい。
ここで、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物としては、電離放射線硬化性官能基を有するポリマー及びモノマーを含み、該ポリマーの配合量が、該ポリマーと該モノマーとの合計に対して50質量%以上であるインキ組成物が好ましく挙げられ、より好ましくは本発明のインキ組成物である。
《工程(2)》
工程(2)は、キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程である。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、加飾シートが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、加飾成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、一般に180〜270℃程度である。
(射出樹脂)
加飾成形品に用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であればよく、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
《工程(3)及び(4)》
工程(3)は、加飾シートと樹脂成形体とが一体化した成形体を金型から取り出す工程であり、工程(4)は、該成形体から加飾シートの基材フィルムを剥離する工程である。基材フィルム11は、離型層12を有しているので、該離型層12とハードコート層形成層13との境界面で、基材フィルム11と離型層12を含む剥離層18を加飾成形品20から容易に剥離することができる。このようにして、樹脂成形体20の表面に、接着層16、絵柄層15、アンカー層14及びハードコート層形成層13が順に積層する成形品が得られる。
《工程(5)》
工程(5)は、工程(4)で得られた成形品におけるハードコート層形成層13を、酸素濃度2%以下の雰囲気下で硬化させて、ハードコート層を形成する工程である。本発明の加飾成形品の製造方法は、本工程を有することで、加飾シートの形状追従性や成形性を維持しつつ、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性が得られるという、相反する性能をより高い基準で達成することを可能としている。
酸素濃度2%以下の雰囲気は、例えば窒素、アルゴン、水素など、好ましくは窒素を用いる、あるいは酸素濃度が2%以下程度となるように空気吸引を行うなどの方法により得ることができる。
ハードコート層形成層13の硬化は、電子線及び紫外線などの電離放射線を照射して行うことができる。
電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いるポリマーやモノマーの種類、あるいはハードコート層形成層13の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が好ましい。照射線量は、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。また、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射し、その照射線量は500〜1500mJ程度である。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
このようにして得られた加飾成形品は、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を有し、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性にも優れるものである。また、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が得られる、本発明の加飾シートを使用することで、仕上がりにも優れた加飾成形品が得られる。
本発明の加飾成形品は、これらの優れた特性をいかして、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、本発明における評価方法は、以下の方法にて行った。
《試験サンプルの作製》
各実施例及び比較例で用いられるインキ組成物を、PETフィルム(「F99(品番)」,厚さ:50μm,東レ株式会社製)上にバーコーターで塗工し、100℃のオーブン内で60秒間乾燥し、試験サンプルを得た。得られた試験サンプルのインキ塗工量は6g/m2(インキ塗工層の厚さは5μm)であった。
《シート巻取り容易性の評価》
試験サンプルのインキ塗工層面に、試験サンプルの作製に用いたPETフィルムを重ね合わせて、インキブロッキングテスター(「DG−BT(型番)」,大和グラビヤ株式会社製)を用いて、1kg/cm2の荷重を加えながら、40℃のオーブン内で12時間放置した。その後、試験サンプルを取り出して、重ね合わせたPETフィルムを剥離した。剥離したPETフィルムへのインキ塗工層の取られを、下記の基準で評価した。
○ :塗工層の取られは全くなかった
△ :塗工層の取られは若干あるものの、実用上問題なかった
× :塗工層の取られが著しかった
《高硬度性及び耐クラッキング性の評価》
試験サンプルを、第1表及び第2表に示される各実施例及び比較例における硬化方法により硬化させた後、JIS K5600−5−4に準拠して、鉛筆引掻き塗膜硬さ試験機(「D−NP(型番)」,株式会社東洋精機製作所製)、及び鉛筆引掻き値試験用鉛筆(三菱鉛筆株式会社製)を用いて鉛筆硬度を測定した。
各硬度の鉛筆でインキ塗工層を引掻く試験を5回行い、3回以上傷跡が生じなかった鉛筆の硬度を、試験サンプルの鉛筆硬度とした。
実施例1
(1)ポリマーの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びメチルエチルケトン(MEK)40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)38g、メチルメタクリレート(MMA)30g、メタクリル酸(MAA)7g、イソボニルメタクリレート(IBM)7g、トルエン30g及びMEK20gの混合液を、滴下ロートを経て約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(「カレンズMOI(商品名)」,昭和電工株式会社製)46g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20g及びMEK20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
(2)加飾シートの製造
基材フィルム(「F99(品番)」,厚さ:50μm,東レ株式会社製)上に、アクリル系樹脂をバインダー樹脂として、シリコーン系樹脂を離型剤とする塗工液を塗工量4g/m2でグラビア印刷して離型層を形成し、下記に示される電離放射線硬化性を有するインキ組成物を塗工量8g/m2でグラビア印刷してコーティング層形成層を形成した。次いで、セルロースエステル系樹脂を主成分とする塗料を塗工量4g/m2でグラビア印刷してアンカー層を形成し、次いでアクリル系印刷インキを塗工量8g/m2で、木目模様をグラビア印刷して絵柄層を形成し、さらにアクリル系塗工液を厚さ4μmで塗布して接着層を形成し、実施例1の加飾シートを得た。
(インキ組成物)
上記(1)で製造したポリマー18.6質量部(固形分8質量部):アクリルアクリレート(分子量40000,二重結合当量:430g/mol)
モノマー2質量部:ウレタンアクリレート(「紫光UV1700B(品番)」,日本合成化学株式会社,分子量:2000,官能基数:6以上)
光重合開始剤0.4質量部:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(ケトン系,「IRGACURE 184(品番)」,チバ・ジャパン株式会社製)
溶媒13.7質量部:トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(配合比50:50)
(3)加飾成形品の製造
上記(2)で得られた加飾シートを、熱盤温度70℃で加熱して加飾シートを軟化して、空気吸引を行い射出成型の金型内形状に沿うように成形して、金型内面に密着させた。金型は、80mm角の大きさで、立ち上がり10mm、コーナー部が3Rのトレー状である深絞り度の高い形状のものを用いた。
一方、射出樹脂としてABS樹脂(「クラスチックMTH−2(品番)」,日本エイアンドエル株式会社製)を用いて、これを230℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。冷却して金型から取り出した後、基材フィルムを剥離して、樹脂成形品の表面に接着層、印刷層、アンカー層及びハードコート層形成層を順に有する成形品を得た。さらに、窒素気流を用いた酸素濃度1%の雰囲気下において、出力可変型UVランプシステム(「DRS−10/12QN(型番)」,フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製)を用い、照射線量:1000mJで、該成形品に紫外線を照射して、ハードコート層形成層を硬化させて、ハードコート層とした実施例1の樹脂成形品を得た。
得られた樹脂成形品について、その外観(成形性)を下記の基準で評価した。
○ :しわや裂けが全く確認できなかった
△ :しわや裂けが若干みられたものの、実用上問題なかった
× :著しいしわや裂けが確認された
比較例1
実施例1において、硬化条件を第1表に示されるものにした以外は、実施例1と同様にして、加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の外観(成形性)の評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、インキ組成物のポリマーとモノマーとの比を6:4(固形分比)、すなわちポリマーの配合量をポリマーとモノマーとの合計に対して60質量%(固形分比)とした以外は実施例1と同様にして加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の外観(成形性)の評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例2
実施例2において、硬化条件を第1表に示されるものにした以外は、実施例2と同様にして、加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の外観(成形性)の評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、インキ組成物を下記組成のものにした以外は実施例1と同様にして加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の外観(成形性)の評価を行った。その結果を第1表に示す。
(インキ組成物)
実施例1の(1)で製造したポリマー9.3質量部(固形分4質量部):アクリルアクリレートモノマー2質量部:ウレタンアクリレート(「紫光UV1700B(品番)」,日本合成化学工業株式会社,分子量:2000,官能基数:6以上)
充填剤4質量部:シリカ(「MIBK−SD−L(品番)」,日産化学工業株式会社製)
光重合開始剤0.4質量部:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(ケトン系,「IRGACURE 184(品番)」,チバ・ジャパン株式会社製)
溶媒19質量部:トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(配合比50:50)
Figure 2011161692
実施例1と比較例1との対比、あるいは実施例2と比較例2との対比により、所定の酸素濃度以下で硬化処理を行う本発明の製造方法により、高硬度性と耐スクラッチ性の点で優れた向上効果が発現し、優れた高硬度性と耐スクラッチ性が得られることが確認された。また、硬化方法として電子線を用いた実施例3においても、実施例1及び2と同様に、本発明の製造方法により優れた高硬度性と耐スクラッチ性が得られることが確認された。
実施例4〜6
実施例1において、インキ組成物及び硬化条件を第2表に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の外観(成形性)の評価を行った。その結果を第2表に示す。
Figure 2011161692
実施例4〜6の結果から、本発明の製造方法によれば、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を有する加飾成形品が得られることが確認された。
また、本発明のインキ組成物を用いた実施例4及び5と、モノマーを含まないインキ組成物を用いた実施例6との対比によれば、本発明のインキ組成物及び加飾シートは、加飾成形品により優れた高硬度性、耐スクラッチ性、そして外観を付与することが確認された。さらに、本発明の加飾シートは、シート巻取り容易性に優れ、使い勝手の点でも優れていることが確認された。
本発明によれば、優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を有する加飾成形品の製造方法、加飾成形品に優れた高硬度性及び耐スクラッチ性を付与すると同時に、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が得られるインキ組成物及び該インキ組成物を用いた加飾シート、ならびに該製造方法により得られる加飾成形品を提供することができる。よって、本発明は、家庭用電化製品、自動車内装品、自動車外装、携帯電話分野などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において有効である。
10 加飾シート
11 基材フィルム
12 離型層
13 ハードコート層形成層
14 アンカー層
15 絵柄層
16 接着層
17 転写層
18 剥離層
20 加飾成形体
21 樹脂成形体
22 ハードコート層

Claims (10)

  1. 下記の工程(1)〜工程(5)を有する加飾成形品の製造方法。
    工程(1)射出成型金型内に基材フィルムの片面上に少なくとも離型層と、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を塗工してなるハードコート層形成層とを順に有する加飾シートを配する工程
    工程(2)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程
    工程(3)樹脂成形体と加飾シートとが一体化した成形体を金型から取り出す工程
    工程(4)成形体から加飾シートの基材フィルムを剥離する工程
    工程(5)酸素濃度2%以下の雰囲気下で前記成形体上に設けられたハードコート層形成層を硬化させるハードコート層形成工程
  2. 工程(5)における硬化が、電離放射線を照射して行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記インキ組成物が、電離放射線硬化性官能基を有するポリマー及びモノマーを含み、該ポリマーの配合量が、該ポリマーと該モノマーとの合計に対して50質量%以上である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記電離放射線硬化性官能基が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種である請求項3に記載の製造方法。
  5. 電離放射線硬化性官能基としてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種を有するポリマー及びモノマーを含み、該ポリマーの配合量が、該ポリマーとモノマーとの合計に対して50質量%以上であるインキ組成物。
  6. 前記電離放射線硬化性官能基を有するポリマーが、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びポリエーテル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種からなるポリマーである請求項5に記載のインキ組成物。
  7. 前記電離放射線硬化性官能基を有するモノマーが、該官能基を2個以上有し、その数平均分子量が100〜10000のウレタン(メタ)アクリレートである請求項5に記載のインキ組成物。
  8. 基材フィルムの片面に少なくとも離型層とハードコート層形成層とを順に有する加飾シートであって、該ハードコート層形成層が請求項5〜7のいずれかに記載のインキ組成物を用いてなるものである加飾シート。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の加飾成形品の製造方法に用いられる請求項8に記載の加飾シート。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる加飾成形品。
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