JP2020531594A - シリコーン高分子光開始剤およびその使用 - Google Patents

シリコーン高分子光開始剤およびその使用 Download PDF

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Abstract

ポリシロキサンポリマーを、末端またはペンダント光退色性光開始剤部分と共有結合させることにより形成されるシリコーン高分子光開始剤が開示されている。このシリコーン高分子光開始剤を含む液体シリコーンの光学的に透明な接着剤組成物は、ディスプレイデバイスにおけるカバーガラス、タッチパネルおよび偏光子の封止および接着に特に適している。

Description

本発明は、光学的に透明なシリコーン系コーティングおよび接着剤に適するシリコーン高分子光開始剤に関する。シリコーン高分子光開始剤は、光学ディスプレイ用途、例えば、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、タッチスクリーンなどに特に適している。
スマートフォン、モバイル機器、自動車用ディスプレイ、屋外用ディスプレイ、フレキシブルで折り畳み可能なディスプレイおよびワイヤレスリーディングデバイス用の光学ディスプレイ用途に対する需要が高まっている。フィルム(OCA)および液体(LOCA)の両方として光学的に透明な接着剤は、光学表示装置における透明カバー、タッチパネル、ディフューザー、リジッドコンペンセーター、ヒーター、偏光子、リターダーなどの光学ディスプレイ用途において基材層を接着するシリコーン系の接着剤である。これらの基材を結合することに加えて、OCAまたはLOCAはさまざまな層間の空隙を埋め、画像品質とディスプレイの耐久性を向上させる。
LOCAは多くの課題に直面している。1つの重要な課題は、シリコーン系接着剤組成物に溶けない多くの市販の光開始剤の適合性である。市販の光開始剤をシリコーン系接着剤に組み込むと、光透過率が低下し、LOCAフィルムのヘイズを生じる。この現象は、熱と湿度によって悪化する。また、PETフィルムやUVフィルターフィルムのような透明なプラスチックは、特に約400nm未満の波長で一部のUV放射を阻害するため、UV光によるLOCAフィルムの硬化が問題となる。しかしながら、従来の非光退色性赤方偏移光開始剤は、UV光分解後に有色断片を生成し、その結果、LOCAはもはや光学的に無色ではない。
シリコーン系コーティングおよび接着剤に可溶性または適合性の光開始剤を提供するために、いくつかの試みがなされてきた。例えば、米国特許第4,534,838号および第4,536,265号は、平均で少なくとも2つのシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサン光開始剤を開示している。ただし、該オルガノポリシロキサン光開始剤は400nmを超えるUV吸収を有しておらず、PETフィルムや他のプラスチックカバーフィルムを介してUV硬化することはできない。
米国特許第4,507,187号は、非加水分解性Si−C結合を介してシリコーンに結合したギ酸アリロイルフォト部位を含むポリオルガノシロキサン光開始剤を開示している。それらは、光硬化性シリコーン樹脂およびエチレン性不飽和モノマーのための効果的な光開始剤であるが、光退色性ではない。光分解後の有色断片は、ディスプレイ用途においては許容されない。
同様に、国際公開第2004/108799号は、2つの酸素間にメチレン基を有するポリオルガノシロキサンポリマー光開始剤を開示している。これらの光開始剤もまた、光退色性ではない。
国際公開第2011/053615号は、インデノ縮合ナフトピランフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック材料を含有するシランおよびシロキサンを開示している。フォトクロミック材料は、ウレタンコーティング組成物との適合性を向上させるが、光分解後にインデノ融合ナフトピランの強い有色断片が生成される。
米国特許第6,399,805号は、光退色性光開始剤、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)およびモノアシルホスフィンオキシド(MAPO)を開示している。これらの光開始剤は、シリコーン接着剤組成物と適合しない。
J.Organomet.Chem.2004、689、3258−3264および中国特許出願103333276号は、長波吸収光開始剤を含むアルコキシシランを開示している。しかしながら、シランはシリコーン系接着剤組成物とは相溶性がなく、これらは濁った混合物を形成する。
米国特許第4,534,838号明細書 米国特許第4,536,265号明細書 米国特許第4,507,187号明細書 国際公開第2004/108799号 国際公開第2011/053615号 米国特許第6,399,805号明細書
したがって、当技術分野においては、ヘイズおよび着色のないシリコーン系の光学的に透明な接着剤組成物に完全に適合し、光分解後および高温高湿条件下でのエイジング後に可視光に対して完全に透明な光退色性光開始剤に対する要求がある。本発明は、この要求を満たす。
本発明は、シリコーン系接着剤またはコーティング組成物と適合する高分子光開始剤を提供する。該高分子光開始剤は、光学デバイス、特に種々の基材を封止および接着するのに有用である。硬化した組成物は、広範囲の温度で長時間にわたって光透過性と光学効率を向上させ、ディスプレイデバイスにおける層間に接着結合をもたらす。
本発明の一態様は、下記構造:
〔式中、
Mは、それぞれ独立して、アルキル、アリール、アルコキシ、H、ビニルまたはそれらの組み合わせであり;
Rは、それぞれ独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシロキシ、トリアリールシロキシまたはそれらの組み合わせであり;
Xは、二価のアルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、エステル、イミド、アミド、アルコール、炭酸塩、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、若しくはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを有する、直鎖状、環状または分枝状のリンクであり;
Yは、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシ、アシルまたはベンゾイルであり;
Zは、アルキルまたはアリールであり;
NおよびQは異なっていて、独立して、アルキル、アリール、トリアルキルシロキシ、トリアリールシロキシ、アルコキシ、アミン、エステル、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、H、ビニルまたはそれらの誘導体であり;
n≧1であり;
m、q、r≧0である〕
を有し、かつ、重量平均分子量(Mw)が100〜300,000g/molである、高分子光開始剤を対象とする。
本発明の別の態様は、
下記構造式:
〔式中、RおよびR’は、独立して、アルキルまたはアリールであり、
NおよびQは、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、アルコキシ、ベンゾキシまたはHであり、
Xは、アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、エステル、イミド、アミド、アルコール、炭酸塩、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、若しくはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、直鎖状、環状または分枝状リンクであり、
Yは、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシ、アシルまたはベンゾイルであり、
Zは、アルキルまたはアリールであり、
mおよびnは、独立して、≧1である〕
を有し、かつ、重量平均分子量(Mw)が100〜300,000g/molである、高分子光開始剤を対象とする。
本発明の別の態様は、モノアシルホスフィン酸(MAPO酸)および/または(メタ)アクリル酸を、ペンダントまたは末端エポキシ官能基のいずれかを含むエポキシポリジメチルシロキサンポリマーと反応させる工程を含む、高分子光開始剤の製造方法を対象とする。
本発明の別の態様は、高分子光開始剤の製造方法を対象とする。シラン変性モノアシルホスフェート(MAPO−TMS)をシナノール末端ポリシロキサンポリマーと、酸または塩基触媒の存在下で反応させて、末端シリコーン高分子光開始剤を生成する。
さらに、本発明の他の態様は、高分子光開始剤の製造方法を対象とする。アリル変性モノアシルホスフェート(MAPO−TMS)をH末端ポリシロキサンポリマーと、白金触媒の存在下で反応させて、末端シリコーン高分子光開始剤を生成する。
さらに、本発明の別の態様は、上記シリコーン高分子光開始剤を含むUV硬化性シリコーン接着剤組成物を対象とする。該接着剤組成物は、さらに、(メタ)アクリロキシアルキル末端シロキサンポリマーおよび/または(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性シランを含み得る。硬化した接着剤は、500nmでASTM E903に従って測定した場合に、90%を超える透過率を有する。
別の態様において、本発明は上記高分子光開始剤を含む物品を対象とする。該物品は、ディスプレイパネル、タッチパネルまたは他の光学デバイスである。
さらなる態様において、本発明は、(1)第一基材を準備する工程、(2)上記高分子光開始剤を含むUV硬化性シリコーン接着剤組成物を調製する工程、(3)第一基材上に前記接着剤組成物をコーティングする工程、(4)室温で、前記コーティング上に第二基材を積層する工程、および(5)380〜410nmで2つの基材のうちの一つを通るUV光により接着剤組成物を硬化させる工程を含む、電子デバイスの製造方法を対象とする。
本発明のこれらの、および他の態様を、以下の詳細な説明に記載する。いかなる場合でも、上記の要約は、本明細書に記載の請求項によってのみ定義される請求項の主題に対する制限として解釈されるべきではない。
図1は、実施例3の高分子光開始剤およびエポキシ官能性PDMS出発物質の波長に対するUV−可視光吸光度のグラフである。 図2Aは、実施例3の高分子光開始剤およびエポキシ官能性PDMS出発物質のGPC屈折率(RI)クロマトグラムである。図2Bは、実施例3の高分子光開始剤およびエポキシ官能性PDMS出発物質のGPC UVクロマトグラムである。
本明細書に引用されるすべての文書は、参照によりその全体が組み込まれる。本説明は例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を限定することを意図するものではないことを当業者は理解するべきである。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、C1〜C24の炭素を含み、該部位の炭素原子間に単結合のみを含む一価の直鎖状、環状または分枝状の部位をいい、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシルおよびn−エイコシルをいう。
本明細書で使用される「アリール」という用語は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合(縮合)環を有する、6〜24個の炭素原子の一価不飽和芳香族炭素環基であって、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニルまたはアントリル)であるものをいう。好ましい例としては、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチルなどが挙げられる。
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、−O−R基〔式中、Rは上記で定義されたアルキルである〕をいう。
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、該部位の炭素原子間に単結合のみを含む二価の直鎖状、環状または分枝状の部位をいい、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン、n−ヘプチレン、2,4,4−トリメチルペンチレン、2−エチルヘキシレン、n−オクチレン、n−ノニレン、n−デシレン、n−ウンデシレン、n−ドデシレン、n−ヘキサデシレン、n−オクタデシレンおよびn−エイコシレンをいう。
本明細書で使用される「アリーレン」という用語は、単環(例えば、フェニレン)または複数の縮合(縮合)環を有する6〜20個の炭素原子の二価不飽和芳香族炭素環基であって、少なくとも1つの間が芳香族(例えば、ナフチレン、ジヒドロフェナントレニレン、フルオレニレンまたはアントリレン)であるものをいう。好ましい例としては、フェニレン、ナフチレン、フェナントレニレンなどが挙げられる。
本明細書で使用される「(メタ)アクリロキシ基」という用語は、アクリロキシおよびメタクリロキシ基の両方を表す。
本明細書で使用する場合、上記の基はさらに置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、該基の水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護されたC−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、トリアルキルシロキシ、トリアリールシロキシル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、およびアミノ(モノ−およびジ−置換アミノ基を含む)、およびそれらの保護された誘導体から、独立して選択される1つ以上の置換基により置換される。アリールが置換される場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルを含む、アリール基と縮合した非芳香族環を形成してもよい。
すべてのパーセンテージ、部および比は、特に明記しない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。記載された成分に関係するそのような重量はすべて、活性レベルに基づくため、市販品に含まれ得る担体または副生成物は含まれない。
本明細書で使用される場合、ポリマーまたはオリゴマーは、約5個のモノマー単位よりも大きなモノマー単位からなる高分子である。本発明においては、ポリマーとオリゴマー、またはポリマーの、とオリゴマーの、を互換的に使用する。
本明細書で使用される用語「光学的に透明」または「光学的透明度」は、500nmでASTM E903に従って測定された、90%以上のフィルムの透過率をいう。
本明細書に使用される用語「光学的に透明な接着剤」および「OCA」は互換的に使用され、光学的透明性を有する接着剤を指す。用語OCAは、当技術分野で十分に確立されている。OCAフィルムは通常、フィルム、光学的に透明な接着フィルムとしてキャストされる。
本明細書に使用される用語「液体の光学的に透明な接着剤」および「LOCA」は互換的に使用され、光学的透明性を有する液体接着剤を指す。用語LOCAは、当技術分野で十分に確立されています。
本明細書で使用される用語「ディスプレイデバイス」および「電子デバイス」は、互換的に使用され、カバーフロントシートと基材バックシート間にインク、印刷回路または活性発光層などの様々な部材を有し、電子の流れを操作することにより稼働する物品をいい、例えば、フレキシブルで折り畳み可能なディスプレイ、自動車用ディスプレイ、屋外用ディスプレイ、LCDディスプレイ、LEDディスプレイなどのディスプレイ、タッチスクリーン、携帯電話;タブレットPC;テレビ;ノートPC;デジタルカメラ;フォトフレーム;カーナビゲーションなどをいう。
本発明は、シリコーンOCAおよびLOCA組成物において良好な溶解性および相溶性を有し、QUV、QSunおよび高温高湿の1000時間エイジング条件下で、低ヘイズおよび高パーセント透過率(%T)などの光学特性を改善する新規クラスの高分子光開始剤を提供する。該高分子光開始剤は、ポリシロキサンポリマー骨格鎖と光開始部位の両方を含む。特に、高分子光開始剤は、ポリマー鎖に共有結合したペンダント基または末端基として光開始部位を有するポリシロキサンポリマーを提供する。
種々の光開始剤部位を、高分子光開始剤の形成に使用し得る。例えば、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、アシルホスフィンオキシドおよびその誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、アントラキノン、チオキサントン、トリアジンまたはフルオレノン誘導体などが挙げられる。一般に、UV光開始剤は、ノリッシュI型光開始剤とノリッシュII型光開始剤に分類される。本発明の目的のために、ノリッシュI型光開始剤には、カルボニル基の代わりに別の官能基が存在し、開裂がこの基とα炭素原子との間の結合に関係するものも含まれる。I型開始剤には、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタールおよびアセトフェノン誘導体などの芳香族カルボニル化合物が含まれる。II型光開始剤には、ベンゾフェノン、ベンジルおよびチオキサントンなどの芳香族ケトンが含まれる。水素引き抜きを伴うノリッシュII型反応により、ノリッシュII型光開始剤は光への暴露で分解する。これは分子内反応である。脂肪族ケトンの場合、水素は上記の官能基に対応する基へγ−位から離脱し得る。さらに、トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾールおよび染料に基づく光開始剤も存在する。多くのノリッシュI型光開始剤は光退色を示し、適当な波長に曝されると照射時間とともに吸光度が減少する。これは、光分解生成物の吸収特性が元の開始剤分子と異なるために生じる。光退色が特に顕著であるα−開裂性光開始剤の2つのクラスは、スペクトルの365 nm領域におけるアリールホスフィンオキシドと、450nm領域における置換チタノセンである。光退色は、厚みのあるポリマー部品と着色コーティングの光重合にとって特に重要である。
いずれのノリッシュ型光開始剤も本発明の高分子光開始剤に使用し得るが、本発明において好ましい光開始剤は、光への暴露でノリッシュI型反応により分解し、光開始剤のカルボニル化合物の光開裂がアシルラジカルおよびアルキルラジカルを生成するものである。特に、本発明において好ましい光開始剤は光退色特性を示すものである。
一実施態様において、Si LOCAは、光学的に透明なカバーシートまたはフロントシートを通して硬化され、光開始剤は、カバーまたは基材シートが透明であり、波長の放射を吸収できなければならない。例えば、接着剤がソーダ石灰ガラスカバープレートを介して硬化される場合、光開始剤は320nmを超える顕著なUV吸収を持たなければならない。320nm未満の紫外線放射は、ソーダ石灰ガラスカバープレートに吸収され、接着フィルムの光開始剤に到達できない。接着剤が400nm以下でカットオフ吸光度のあるPETフィルムを介して硬化される場合、光開始剤は400nmを超えるUV吸収を持つか、赤方偏移光増感剤を含む必要がある。一実施形態において、高分子光開始剤の光開始剤部位はアシルホスフィンオキシドである。アシルホスフィンオキシドの例は、モノアシルホスフィンオキシド(MAPO)およびビス(アシル)ホスフィンオキシド(BAPO)である。MAPOおよびBAPOは化学修飾によって高分子光開始剤に組み込むことができるが、市販の光開始剤も化学修飾によって組み込むことができる。そのような市販の光開始剤としては、BASFから入手可能なIRGACURE(登録商標)819、LUCIRIN(登録商標)TPO(2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、LUCIRIN(登録商標)TPO−L(エチル2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート)が挙げられる。
本発明の高分子光開始剤のポリマー成分として有用なポリシロキサンポリマーは、LOCA組成物とも適合性がある。一般に、そのようなポリシロキサンポリマーは、ヒドロキシ(シラノール)、アルコキシ、水素化物、ビニル、アミン、エポキシ、(メタ)アクリロキシアルキルまたはそれらの混合物の、α、ω−末端キャップ官能基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーであり、該ポリジオルガノシロキサンポリマーは、(RR’SiO)〔式中、RおよびR’は独立してアルキルまたはアリールである〕の少なくとも2つのモノマー単位を有するものである。好ましいポリジオルガノシロキサンポリマーは、ヒドロキシ、アルコキシ、水素化物、ビニル、アミン、エポキシ、(メタ)アクリロキシアルキルまたはそれらの混合物の末端キャップ官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマー(PDMS)である。
本発明の高分子光開始剤におけるポリマー主鎖として別の有用なポリジオルガノシロキサンポリマーとしては、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロアキサン、および、モノマー単位(RR’SiO)のいくつかの有機置換基RまたはR’がビニル、水素化物、アルコキシ、フルオロアルキル、アミノアルキル、エポキシアルキル、(メタ)アクリロキシアルキルまたはそれらの混合物で置換されたポリアルキルアリールシロキサンが挙げられる。そのようなポリマーの好ましい例には、水素化物、アルコキシ、エポキシアルキル、(メタ)アクリロキシアルキルまたはそれらの混合物のペンダント官能基を含むモノマー単位のいくつかを有するポリジメチルシロキサンポリマー(PDMS)が含まれる。
骨格中のポリシロキサンポリマーの化学構造は、例えば(メタ)アクリルC=C、アルコキシSi(OR)4−nまたはそれらの混合物などのペンダントUV若しくは水分硬化性官能基を含む。これらの官能基は、UV光または水分の存在下でシリコーンOCAまたはLOCA硬化プロセス中にさらに架橋を受け、これによりポリマー樹脂からの光開始剤のブリードアウトが減少する。さらに、高分子光開始剤中のアミンおよびエポキシ官能基の存在は、ディスプレイデバイスにおける種々の基材に対するシリコーンOCAまたはLOCAの接着をさらに促進する。
ポリシロキサン骨格と光開始部位との間の化学共有スペーサーは、UV照射時の光開始部位の分解の干渉を最小限に抑えるよう選択される。また、スペーサーは高分子光開始剤の熱安定性に影響すべきでない。有用なスペーサーは、直鎖状、環状または分枝状の有機部位を含み、二価アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、炭酸塩、カルバメート、尿素またはそれらの誘導体若しくはそれらの組み合わせの化学構造を有する。
本発明の一態様は、下記構造式を有する。
〔式中、
Mは、それぞれ独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、H、ビニルまたはそれらの組み合わせであり;
Rは、それぞれ独立して、アルキル、アリール、トリアルキルシロキシまたはそれらの組み合わせであり;
Xは、二価のアルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、エステル、イミド、アミド、アルコール、炭酸塩、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、若しくはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを有する、直鎖状、環状または分枝状のリンクであり;
Yは、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシ、アシルまたはベンゾイルであり;
Zは、アルキルまたはアリールであり;
NおよびQは異なっていて、独立して、アルキル、アリール、トリアルキルシロキシ、トリアリールシロキシ、アルコキシ、アミン、エステル、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、H、ビニルまたはそれらの誘導体であり;
n≧1であり;
m、q、r≧0である。〕
別の実施態様において、上記高分子光開始剤構造は、
Mが、アルキル、アリール、アルコキシまたはHであり、
Rが、アルキルまたはアリールであり、
Nが、脂環式1,2−エポキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、グリシジルエポキシドであり、
Qが、アクリレートまたはメタクリレートの誘導体であり、かつ、
n、m、q、r≧1
を有する。
好適な一実施態様において、光開始剤は下記構造式を有する。
〔式中、Mは独立して、アルキル、アリール、アルコキシまたはHであり、
Rは独立して、アルキルまたはアリールであり、
NおよびQは、脂環式1,2−エポキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、グリシジルエポキシド、アクリレート、メタクリレート、H、またはそれらの誘導体であり、
m、n、q、r≧1である。〕
高分子光開始剤の別の態様は、下記構造を有する。
別の一実施態様において、光開始剤は下記構造式を有する。
〔式中、Meはメチル基である。〕
別の好ましい実施態様において、光開始剤は下記構造式を有する。
〔式中、Rはアルキルまたはアリールであり、Xは、アルキレンおよびオキシアルキレンの直鎖状、環状または分枝状のリンクの組み合わせであり、nおよびm≧1である。〕
別の好ましい実施態様は、下記構造式を有する光開始剤を含む。
〔式中、Meはメチルであり、Rはアルキルまたはアリールであり、nおよびm≧1である。〕
別の実施態様において、光開始剤は下記構造式を有する。
〔式中、Rはアルキルまたはアリールであり、Xはアルキレンおよびオキシアルキレンの直鎖状、環状または分枝状のリンクの組み合わせ、m、n、およびq≧1である。〕
好ましい実施態様は、下記構造式を有する光開始剤を含む。
〔式中、Mは独立して、アルキル、アリール、アルコキシまたはHであり、
Rは独立して、アルキルまたはアリールであり、
Nは、脂環式1,2−エポキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、グリシジルエポキシド、アクリレート、メタクリレート、Hまたはそれらの誘導体である。〕
本発明の一実施態様において上記高分子光開始剤は、100〜300,000g/molの重量平均分子量を有する。
本発明の他の態様は、下記構造式を有する高分子光開始剤に関する。
〔式中、RおよびR’は、独立して、アルキルまたはアリールであり、
NおよびQは、独立して、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシまたはHであり、
Xは、アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、エステル、イミド、アミド、アルコール、炭酸塩、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、若しくはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、直鎖状、環状または分枝状リンクであり、
Yは、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシ、アシルまたはベンゾイルであり、
Zは、アルキルまたはアリールであり、
nおよびmは、独立して、≧1である。〕
上記の高分子光開始剤の重量平均分子量は、100〜300,000g/molである。
好ましい一高分子光開始剤は、下記構造式を有する。
〔式中、Xは、アルキレンおよびオキシアルキレンの直鎖状、環状または分枝状のリンクの組み合わせである。〕
特に好適な高分子光開始剤は、下記構造式を有する。
本発明の別の実施形態は、高分子光開始剤の製造方法に関する。J.Am.Chem.Soc.,1950,72(9),pp4292〜4293,“The Synthesis of Phosphonic and Phosphinic Acids”,Gennady M.Kosolapoff,Mar.2011,Organic Reactions, Inc.,John Wiley&Sons,Inc.,に従って、または、当業者に公知の他の合成方法を用いることにより製造したモノアシルホスフィン酸(MAPO酸)をエポキシアルコキシシランと反応させて、シラン変性モノアシルホスフェートオキシド(MAPO)の中間体を形成し、MAPO−TMSを生成する。MAPO酸の例は、ベンゾイルフェニルホスフィン酸である。MAPO−TMSの例は、トリメトキシシリルベンゾイルフェニルホスフィネートである。酸または塩基触媒の存在下で、シラン変性MAPO−TMSをシナノール末端ポリシロキサンポリマーと反応させて、シリコーン高分子光開始剤を形成する。好ましい触媒は、炭化水素溶媒中で−6以下のまたは15以上のpKa値を有する。
一好適な触媒は塩基触媒である。塩基触媒の例は、KOH、NaOH、LiOH、有機リチウム試薬、グリニャール試薬およびそれらの混合物である。他の触媒には、スズ、チタン、アルミニウム、ビスマスなどの金属の有機金属塩が含まれる。上記触媒の組み合わせも使用できる。好ましい有機リチウム試薬には、メチル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシルおよびn−オクチルリチウムなどのアルキルリチウムが含まれる。他の有用な触媒には、フェニルリチウム、ビニルリチウム、リチウムフェニルアセチリド、リチウム(トリメチルシリル)アセチリド、リチウムシラノレートおよびリチウムシロキサノレートが含まれる。一般に、反応混合物におけるリチウムの量は、反応物の重量に基づいて1ppm〜約10,000ppm、好ましくは約5ppm〜約1,000ppmである。触媒系で使用される有機リチウム触媒の量は、シラノール基含有反応物の反応性および重合性エチレン性不飽和基を含むアルコキシシランの反応性に依存する。選択される量は、当業者により容易に決定され得る。反応後、有機リチウム触媒を二酸化炭素と反応させ、炭酸リチウムとして沈殿させ、遠心分離、ろ過などの固液分離手段によって反応混合物から除去することができる。
より具体的には、高分子光開始剤の製造方法は、(1)シラノール末端ポリジオルガノシロキサンポリマー、(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン、および有機リチウム触媒の混合物を形成すること、および(2)水分非存在下で所望の量のシラノールキャッピングが生じるまで前記混合物を撹拌しながら反応させることを含む。実質的に完全なキャッピングが望ましい場合、シラノール基とアルコキシシランの当量比は、好ましくは約1:0.95〜約1:1.5、より好ましくは約1:1〜約1:1.2である。キャッピングが必要なレベルに達した後、減圧下で穏やかに加熱することにより、反応混合物に残っている揮発性物質を除去できる。揮発性物質の除去中に、反応混合物に不活性ガスを通してもよい。
別の実施態様において、高分子光開始剤の合成は、MAPO酸と、ペンダントまたは末端エポキシ官能基のいずれかを含むエポキシポリシロキサンポリマーとの反応により開始され、シリコーン高分子光開始剤を形成する。エポキシポリシロキサンポリマーは、米国特許第4,313,988号、第6,187,834号または当該分野で公知の他の方法に従って製造することができる。また、エポキシポリシロキサンポリマーのいくつかは、Gelest、Dow Corning、Wackerなどから市販されている。
本発明の別の実施態様は、高分子光開始剤の製造方法に関する。MAPO酸とハロゲンおよびC=C官能基の両方を含むC3−C24アルケンとの反応により生成されるアリルまたはビニル変性モノアシルホスフィン酸(MAPO酸)を、Pt、Rh、Ruの遷移金属錯体の触媒下で、末端またはペンダント水素化物(SiH)ポリシロキサンポリマーと反応させる。好ましい触媒は、スペイア触媒HPtCl、カルステッド触媒またはアルケン安定化白金のような白金金属錯体である。
一実施態様において高分子光開始剤の調製は、有機溶媒中ほぼ室温でから有機溶媒の還流温度で実施される。適当な有機溶媒または溶媒の混合物は、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびイソオクタンなどのアルカン;トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;エチル、プロピル、酢酸ブチルなどのエステル;クロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、エチレングリコールおよびエチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルカノール;ジエチルエーテルおよびジブチルエーテルなどのエーテル;またはそれらの混合物である。好ましい溶媒には、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフランおよびそれらの混合物が含まれる。
別の実施態様において、シリコーン高分子光開始剤の調製は、室温でおよび最高150℃まで適切に実施することができる。
本発明の高分子光開始剤の製造に使用されるポリシロキサンポリマーの分子量の適切な範囲は、シリコーンOCAまたはLOCA組成物の所望する最終特性および意図される最終用途に依存する。重量平均分子量(Mw)の許容範囲は約100〜約1,000,000g/molであり、好ましい範囲は約500〜約300,000g/molであり、さらにより好ましい範囲は約1,000〜100,000g/molである。平均分子量は、ポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
高分子光開始剤は、UVおよび/または可視光によりフリーラジカルを生成し、フリーラジカル反応性官能基を含むシリコーン接着剤組成物を硬化させる。本明細書におけるUV硬化性という用語は、化学線照射による接着剤の硬化性部分の架橋、強化、硬化または加硫を指す。化学線は、電子線硬化などを、材料の化学変化を引き起こす電磁放射線である。ほとんどの場合、このような放射は紫外線(UV)または可視光である。放射線硬化の開始は、光開始剤の添加により達成される。接着剤の硬化は、紫外線(UV)または可視光への直接暴露、またはポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラスなどでできた透明カバーシートを介した間接暴露によって達成される。本発明の高分子光開始剤は、多種多様なUV硬化性シリコーン感圧接着剤、インクおよびコーティング組成物を調製するために特に有用である。より具体的には、本発明の高分子光開始剤は、組成物が光学的透明性を必要とするため、シリコーンOCAおよびLOCA組成物において有用である。実際、該組成物は、高温高湿度条件下、長期安定性(例えば85%RH(相対湿度)および85℃で1000時間にわたる安定性)を有している。
別の実施態様において、本発明は、(a)本発明の高分子光開始剤、(b)(メタ)アクリルオキシ官能性ポリシロキサン液体ポリマー、および(c)UV架橋剤、接着促進剤および/または鎖延長剤としての官能性シランを含む、UV硬化性シリコーンLOCA組成物を提供する。
さらに別の実施態様において、本発明は、(a)約0.1〜約30%の本発明の高分子光開始剤;(b)約60〜約99.9%の、約100〜約500,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリロキシおよびアルコキシ官能性ポリシロキサンポリマー;(c)場合により、約10%までの湿気硬化触媒;および(d)場合により、UV架橋剤、水分架橋剤、接着促進剤および/または鎖延長剤として最大10%のシラン、を含むUVおよび湿気硬化性シリコーンLOCA組成物を提供する。
上記組成物中の成分を、ミキサー中、約10℃〜約100℃で一緒に混合してシリコーンLOCAを形成する。ミキサーは、機械的攪拌機、コンデンサー、温度計、加熱マントル、窒素注入口を備えており、添加漏斗に成分(a)、(b)、(c)および(d)を充填し、100℃まで加熱する。内容物を真空下、120rpmで約3時間混合し、次いで真空下で室温まで冷却する。
シリコーンLOCA中に投入される高分子光開始剤の量は、十分な反応速度および硬化速度をもたらし、架橋および、老化に対する光学特性の優れたバランスを維持するのに十分な量でなければならない。この量は、組成物、放射線源、放射線の線量、および基材上の接着剤コーティングの厚みに依存する。一般に、この量は、シリコーンLOCA組成物の約0.001重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の範囲である。
(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性ポリシロキサンポリマーは、(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ末端またはペンダントポリジオルガノシロキサンポリマーであってもよい。好ましい(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性シリコーンポリマーは、α、ω−末端キャップRR’nR’’2−nSiO基〔式中、Rは(メタ)アクリロキシエチルまたは(メタ)アクリロキシプロピルであり、R’はアルコキシであり、R’’はアルキルであり、0≦n≦2である〕を有する(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーである。好ましい実施態様において、(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ末端ポリシロキサンポリマーは、(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシシリル、(メタ)アクリロキシプロピルメチルメトキシシリル、(メタ)アクリロキシエチルジメトキシシリル、(メタ)アクリロキシエチルメチルメトキシシリル、またはそれらの混合物の末端官能基を有するポリジメチルシロキサンである。特に好ましい(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ末端ポリシロキサンポリマーは、メタクリロキシプロピルジメトキシ末端PDMSである。(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性ポリシロキサンポリマーの平均重量分子量は、約100〜300,000 g/molの範囲である。(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性ポリシロキサンポリマーは、Henkel Corporationから入手可能であるか、米国特許第5,300,608号および第6,140,444号に従って製造される。
湿気硬化触媒の添加は、水分の存在下でLOCA接着剤組成物の湿気硬化を開始する。湿気硬化触媒には、金属触媒および非金属触媒が含まれる。本発明において有用な金属触媒の金属部分の例としては、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、ビスマスおよび亜鉛化合物が挙げられる。一実施態様において、組成物の湿気硬化を促進するのに有用なスズ化合物には、限定するものではないが、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、チノクトエート、イソブチルスズトリセロエート、ジブチルスズオキシド、可溶化ジブチルスズ酸化物、ジブチルスズビスジイソオクチルフタレート、ビス−トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズ−アセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリウベレート、イソブチルスズトリセロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジネオデカノエート、トリエチルスズタータレート、ジブチルスズジベンゾエート、オレイン酸スズ、ナフテン酸スズ、ブチルスズ−2−エチルヘキシルヘキソエート、酪酸スズ、ジオクチルスズジデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナンが含まれる。一好適な実施態様において、湿気硬化触媒は、ジメチルジネオデカノアテチン(FOMREZ UL−28Aの商品名でMomentive Performance Materials Inc.から入手可能)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド(FOMREZ UL−32)、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン(FOMREZ UL−38)、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン(FOMREZ UL−50)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明による湿気およびUV硬化性接着剤組成物において、湿気硬化触媒は、全成分の総重量に基づいて0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%の量で存在する。
LOCA組成物の任意のUVおよび/または水分架橋剤および鎖延長剤は、式RR’Si(OR’’)4−(a+b)〔式中、aおよびbは独立して0〜3であり、Rは(メタ)アクリロキシアルキル基であり、R’R’’はアルキルまたはアリール基である〕を有する(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性シランである。本発明において有用な(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性シランの例としては、(γ−アクリロキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ−アクリロキシメチル)トリメトキシシラン、(γ−アクリロキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ−アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−アクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリロキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ−メタクリロキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ−メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、(γ−メタクリロキシメチルフェネチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリロキシメチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ−メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ−メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、(γ−メタクリロキシプロピル)トリイソプロポキシシラン、(γ−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−メタクリロキシプロピル)トリス(メトキシエトキシ)シラン、(γ−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリロキシ基を有する(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性シランは、(γ−アクリロキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−アクリロキシメチル)トリメトキシシラン、(γ−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−メタクリロキシエチル)トリメトキシシラン;(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、またはそれらの混合物から選択される。
水分加水分解性シランの水分架橋剤および接着促進剤、ならびにポリマーおよび/またはオリゴマー接着促進剤を硬化性接着剤にさらに添加してもよい。有用なシラン接着促進剤の例としては、限定するものではないが、C3−C24アルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシランなどが挙げられる。しかしながら、LOCA組成物またはディスプレイデバイスにおいて活性有機成分と反応して分解するシラン接着促進剤は、電子デバイスでの使用を目的とした接着剤に添加すべきでない。有用な機能性ポリマーおよび/またはオリゴマー接着促進剤の例としては、限定するものではないが、加水分解性PDMSポリマーまたはオリゴマー、例えば、トリアルコキシシリル(メタ)アクリレート、ジアルコキシシリル(メタ)アクリレートまたはメタクリレート基で末端キャップされたPDMSが挙げられる。接着促進剤は、通常、硬化性シリコーンLOCA全体の0.2〜40重量%、より好ましくは1〜20重量%の量で使用される。
UV架橋剤、水分架橋剤、接着促進剤または鎖延長剤としての任意のシランまたはシロキサンポリマーの量は、通常、アクリルポリマーの0〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%の量で使用される。
本発明の液体シリコーンLOCA組成物は、約20〜60℃の範囲において約100〜約100,000cpsの、好ましくは約25〜60℃で約1,000〜約40,000cpsのブルックフィールド粘度範囲を有する。そのような粘度範囲の液体接着剤組成物は、基材への塗布または注入を容易にする良好な流動性を有する。ブルックフィールド粘度は、ASTM 01084−1997に従って、25℃でスピンドルによりブルックフィールド回転粘度計(デジタルブルックフィールド粘度計、DV−II+、米国BROOKFIELDから入手可能)を用いて測定される。試験用のスピンドルの選択は、接着剤組成物の粘度のレベルに依存するであろう。
光学デバイスを作製するために、液体接着剤をガラスまたは基材上にコーティングする。コーティングの手順は、当業者に周知である。次いで、コーティングされたフィルムを基材上に積層し、UVA&V 1−5J/cmの線量でUV硬化(Fusion SystemsまたはLED UV光)する。
硬化した接着フィルムの光学特性(T%、ヘイズ%、黄色指数b*)は、ASTM E903およびASTM D1003に従って、Agilent製のCary 300により測定できる。硬化したシリコーン接着フィルムがガラススライド間で少なくとも90%の、好ましくは>99%の光透過率を示し、500−900nmの範囲にわたり<1%のヘイズと黄色度b*を示す場合、接着剤は光学的に透明であるとみなされる。
本発明のシリコーンLOCA組成物は、光学的透明度および/または接触触覚が求められるディスプレイデバイスの接着に有用である。一実施態様において、LOCAは、カバーレンズ、プラスチックまたは他の光学材料をディスプレイモジュール基材に接着するために使用される。LOCAは一般に、ムラの最小化を含むデバイスの光学特性の改善、および耐久性とプロセス効率の改善に使用される。LOCAの主な用途には、静電容量式タッチパネル、LED/OLEDテレビも含まれる。
本発明のシリコーンLOCAを、LCD、LED、タッチパネルディスプレイデバイスのカバーレンズとディスプレイモジュール基材との間のディスプレイデバイスに組み込むためのいくつかの方法がある。一実施態様において、本発明のLOCA接着剤を、ブレードにより一方向にコーティングおよび積層することによって、デバイスの背面基材または前面カバーレンズのいずれかに塗布する。次いで、背面基材またはカバーレンズを、好ましくは真空下(<0.1MPa)および/またはオートクレーブ内の圧力下(<0.5MPa)でLOCA表面に積層する。気泡のない接合には真空条件が好ましい。
別の実施態様において、LOCAを第一基材上にコーティングし、その後、前面カバーシートまたは背面基材のいずれかの第二基材上に積層する。本発明のLOCAは、200nm〜700nmの、好ましくは380〜410nmの範囲の波長を含む電磁照射に暴露することにより、透明な上部基材を介して硬化される。硬化度は、対応する処方化学に特徴的な吸収ピークでのIR吸収の減少を測定することにより決定できる。これは、当業者に十分に確立されている。Fusion UV Systemsから入手可能なシステムなどの、連続的高輝度発光システムを用いてUV照射を行うことができる。メタルハライドランプ、LEDランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプなどは、約1〜約5J/cmのエネルギー範囲でUV硬化に使用できる。
好ましい実施態様において、上部基材は、ガラスまたはポリマーフィルム、好ましくは、特にポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリイミドフィルムおよび/またはトリアセテートセルロース(TAC)を含むプラスチックフィルムから選択される。別の実施態様において、上部基材は、反射体、カバーレンズ、タッチパネル、位相差フィルム、位相差ガラス、LCD、レンチキュラーレンズ、ミラー、防眩または反射防止フィルム、アンチスプリンターフィルム、ディフューザーまたは電磁干渉フィルターである。3D−TV用途に対して、パッシブ3D−TVの場合はガラスまたは位相差フィルムがLCDに接着され、裸眼3Dの場合はTN LCDまたはレンチキュラーレンズが通常のTFT LCDに接着される。ベース基材は、上部に偏光フィルムを備えたLCDモジュールである。ベース基材はディスプレイパネル、好ましくは液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイおよび陰極線管ディスプレイから選択されるディスプレイパネルであり得る。
さらに別の実施態様において、ディスプレイパネルはタッチ機能を有する。本発明の接着剤は、酸化インジウムスズ被覆ガラスの2つの層を必要とするタッチパネルセンサーを結合するために使用し得る。該接着剤は、特に透明なプラスチックポリメチル(メタ)アクリレートなどのカバーレンズを使用するタッチパネルセンサーとガラスタッチパネルセンサーのエアギャップを埋めるためのカバーレンズ接着に使用し得る。該接着剤は、カバーレンズをLCDモジュールに直接接着するために使用できる。別の実施態様において、本発明は、層間に本発明のLOCAを有するベース基材上に2つ以上の上部基材が積み重ねられる可能性を含む。
当業者に明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの修正および変更を行うことができる。本明細書で説明される特定の実施態様は、例としてのみ提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲、およびそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ制限される。
光学特性(%T、ヘイズ%および黄色指数b)は、ASTM E903およびASTM D1003に従って、Agilent製の分光計Cary 300で測定した。
パーセント透過率(%T)は以下のように測定した:(1)イソプロパノールで3回拭いた75mm×50mmのプレーンマイクロスライド(Corning社製ガラススライド)上に接着剤の小フィルムを置く;(2)力をかけて第二のスライドガラスを接着剤上に接着させる;(3)UVA&V 1−5J/cmでD−bulb(Fusion Systems)を用いて接着剤を硬化させる;および(4)分光計で300〜900nmの光透過率を測定する。
末端またはペンダントエポキシ官能性ポリジメチルシロキサン(分子量20,000〜30,000g/mol)、水素化物末端ポリシロキサン(分子量5,000g/mol)、Pt触媒、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およびグリシジルプロピルトリメトキシシランは、Gelestから商業的に入手した。
(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサンは、Henkel社の米国特許第5,300,608号に従って製造した。
MAPO酸は、J.Am.Chem.Soc.、1950、72(9)、4292〜4293頁、および、Organic Reactions、Inc.、John Wiley&Sons、Inc.による「The Synthesis of Phosphonic and Phosphinic Acids」、Gennady M.Kosolapoff、2011年3月に従って調製した。
ヘプタン、アクリル酸、アセトン、トルエン、KCOおよびn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)はAldrichから商業的に入手した。
比較例1:シラン変性光開始剤(I)の調製
ヘプタン(無水、60mL)中のMAPO酸(10.0g、34.7mmol)およびグリシジルプロピルトリメトキシシラン(8.20g、34.7mmol)の溶液を窒素ガス下、室温で12時間撹拌した。次いで、溶媒を室温、真空下で除去し、淡黄色の液体として生成物を定量的収率で収集した。1H NMRにより、この化合物の同一性が以下の構造(I)を有することであると確認された。
比較例2:シランおよびアクリレート変性光開始剤(II)の調製
ヘプタン(無水、60mL)中のMAPO酸(10.0g、34.7mmol)およびグリシジルプロピルトリメトキシシラン(8.20g、34.7mmol)の溶液を窒素ガス下、室温で撹拌した。次いで、2−イソシアナトエチルメタクリレート(8.0g、0.05mol)およびトリエチルアミン(1.0g、10.0mmol)を前記溶液に加えた。次いで、溶媒を室温、真空下で除去し、淡黄色の液体として生成物を定量的収率で収集した。1H NMRにより、この化合物の同一性は以下の構造(II)を有することであると確認された。
実施例3:高分子光開始剤(III)の調製
ヘプタン中のMAPO酸(2.3g、8.0mmol)およびペンダントエポキシ官能基を有するポリジメチルシロキサン(Mw20,000g/mol、150g)の溶液を60℃で4時間攪拌した。その後、溶媒を真空下、60℃で除去した。淡黄色の液体として生成物を定量的収率で収集した。1H NMRにより、この化合物の同一性は以下の構造を有することであると確認された。
実施例4:高分子光開始剤(IV)の調製
ヘプタン中のMAPO酸(2.3g、8.0mmol)および末端エポキシ官能性ポリジメチルシロキサン(Mw20,000g/mol、150g)の溶液を60℃で4時間攪拌した。その後、溶媒を真空下、60℃で除去した。1H NMRにより、この化合物の同一性は以下の構造(IV)を有することであると確認された。
実施例5:高分子光開始剤(IV)の調製
トルエン(20mL)、アセトン(20mL)および水(20mL)中のMAPO酸(1.0g、0.35mmol)、KCO(0.5g、3.6mmol)、臭化アリル(1.0g、8.3mmol)の溶液を、還流で4時間撹拌した。水層を除去した。水素化物末端ポリシロキサン(Mw5000g/mol、50g、10mmol)、Pt触媒を加え、60℃で48時間攪拌した。有機溶媒を除去した後、透明な液体として生成物を収集した。1H NMRにより、この化合物の同一性は以下の構造を有することであると確認された。
図1は、実施例3のUV−可視光スペクトルである。破線は、出発物質のエポキシ官能性PDMSであり、実線は、実施例3の高分子光開始剤である。実施例3は、400nmを超えるUV吸収を有するが、出発物質には250nmを超えるUV吸収はない。したがって、実施例3は、400nmを超える波長で硬化することができる高分子光開始剤である。
図2Aは、実施例3のGPC屈折率(RI)クロマトグラムであり、図2Bは、実施例3のGPC UVクロマトグラムである。破線は、出発物質のエポキシ官能性PDMSであり、実線は、実施例3の高分子光開始剤である。出発物質のエポキシ官能性PDMSのRIおよびUV曲線は、UV吸収がないことを示す。しかしながら、MAPOのUV発色団部分がPDMSポリマー骨格に化学的に結合するとUV吸光度が得られるため、GPC UV検出器は信号を検出できる。また、UVクロマトグラムは、MAPO部分がPDMS鎖に結合した後、分子量がほぼ同じままであることを示している。
実施例6:光学的に透明な液体接着剤の調製
表1は、10個のLOCA調製物:試料1−2および比較試料A〜Dを示す。成分と量を表中に記載する。種々の光開始剤を添加して、ヘイズ、透過率(%)および黄色指数bについて試験した。比較試料A〜Dは、市販のIrgacure TPO、TPOL、819を用いて調製し、実施例試料1〜2は、実施例3のポリマー光開始剤を用いて調製した。
表1に示すように、試料A〜Dにおける市販の光開始剤は、調製直後の場合、ヘイズ0で示されるように、Mw20,000または30,000g/molのいずれかを有するアクリレート末端ポリジメチルシロキサン樹脂と初めは適合した。しかしながら、85℃および85%相対湿度でエイジングした後、試料A〜Dのヘイズ%はすべて増加した。本発明の光開始剤により調製した試料1および2のヘイズは、85℃および85%相対湿度で500時間エイジングした後であっても0のままであった。
当業者に明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの修正および変更を行うことができる。本明細書で説明される特定の実施態様は、例としてのみ提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲、およびそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ制限される。

Claims (20)

  1. 下記構造:
    〔式中、
    Mは、それぞれ独立して、アルキル、アリール、アルコキシ、H、ビニルまたはそれらの組み合わせであり;
    Rは、それぞれ独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシロキシ、トリアリールシロキシまたはそれらの組み合わせであり;
    Xは、二価のアルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、エステル、イミド、アミド、アルコール、炭酸塩、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、若しくはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを有する、直鎖状、環状または分枝状のリンクであり;
    Yは、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシ、アシルまたはベンゾイルであり;
    Zは、アルキルまたはアリールであり;
    NおよびQは異なっていて、独立して、アルキル、アリール、トリアルキルシロキシ、トリアリールシロキシ、アルコキシ、アミン、エステル、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、H、ビニルまたはそれらの誘導体であり;
    n≧1であり;
    m、q、r≧0である〕
    を有し、かつ、重量平均分子量(Mw)が100〜300,000g/molである、高分子光開始剤。
  2. Mが、独立して、アルキル、アリール、アルコキシまたはHであり、
    Rが、独立して、アルキルまたはアリールであり、
    Nが、脂環式1,2−エポキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、グリシジルエポキシドであり、
    Qが、アクリレートまたはメタクリレートの誘導体であり、かつ、
    n、m、q、r≧1である、請求項1に記載の高分子光開始剤。
  3. 下記構造:
    を有する、請求項2に記載の高分子光開始剤。
  4. 下記構造式:
    〔式中、n=1である〕
    を有する、請求項1に記載の高分子光開始剤。
  5. 下記構造:
    〔式中、Meはメチルである〕
    を有する、請求項4に記載の高分子光開始剤。
  6. 下記構造式:
    〔式中、Meはメチルであり、Rはアルキルまたはアリールであり、nおよびm≧1である〕
    を有する、請求項1に記載の高分子光開始剤。
  7. 下記構造式:
    〔式中、m、nおよびq≧1である〕
    を有する、請求項1に記載の高分子光開始剤。
  8. 下記構造式:
    〔式中、
    Mは独立して、アルキル、アリール、アルコキシまたはHであり、
    Rは独立して、アルキルまたはアリールであり、かつ、
    Nは、脂環式1,2−エポキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、グリシジルエポキシド、アクリレート、メタクリレート、Hまたはそれらの誘導体である〕
    を有する、請求項7に記載の高分子光開始剤。
  9. 下記構造式:
    〔式中、RおよびR’は、独立して、アルキルまたはアリールであり、
    NおよびQは、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、アルコキシ、ベンゾキシまたはHであり、
    Xは、アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、エステル、イミド、アミド、アルコール、炭酸塩、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、若しくはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、直鎖状、環状または分枝状リンクであり、
    Yは、アルキル、アリール、アルコキシ、ベンゾキシ、アシルまたはベンゾイルであり、
    Zは、アルキルまたはアリールであり、
    mおよびnは、独立して、≧1である〕
    を有し、かつ、重量平均分子量(Mw)が100〜300,000g/molである、高分子光開始剤。
  10. 下記構造式:
    〔式中、RおよびR’は、アルキルまたはアリールであり、NおよびQは、アルキル、アクリルまたはアルコキシである〕
    を有する、請求項9に記載の高分子光開始剤。
  11. 下記構造式:
    を有する、請求項10に記載の高分子光開始剤。
  12. 下記構造式:
    を有する、請求項10に記載の高分子光開始剤。
  13. モノアシルホスフィン酸を、ペンダントエポキシ官能基を有するポリシロキサンポリマーと反応させる工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子光開始剤の製造方法。
  14. モノアシルホスフィン酸を、末端エポキシ官能基を有するポリシロキサンポリマーと反応させる工程を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の高分子光開始剤の製造方法。
  15. 酸または塩基触媒の存在下で、トリアルコキシシラン変性MAPOをシラノール末端ポリシロキサンポリマーと反応させる工程を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の高分子光開始剤の製造方法。
  16. 白金触媒の存在下で、アリル変性MAPOを水素化物末端ポリシロキサンポリマーと反応させる工程を含む、請求項12に記載の高分子光開始剤の製造方法。
  17. (a)約0.1〜約30%の、請求項1〜12のいずれかに記載の高分子光開始剤、
    (b)約60〜約99.9%の、約100〜500,000g/molの重量平均分子量を有する、(メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ官能性ポリシロキサン、および、
    (c)約0〜約20%の、(メタ)アクリロキシアルキル官能性シラン、シランUV架橋剤、水分架橋剤、シラン接着促進剤、加水分解性ポリジメチルシロキサンポリマーおよび/または鎖延長剤
    を含み、
    硬化した接着剤が、500nmでASTM E903に従って測定した場合に、90%を超える透過率を有する、UV硬化性の光学的に透明なシリコーン接着剤組成物。
  18. (メタ)アクリロキシアルキルまたは(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシ末端ポリシロキサンポリマーが、α、ω−末端キャップRR’R’’2−nSiO基〔式中、Rは、(メタ)アクリロキシエチルまたは(メタ)アクリロキシプロピルであり、R’はアルコキシであり、R’’はアルキルであり、0≦n≦2である〕を有する、請求項17に記載のUV硬化性の光学的に透明なシリコーン接着剤組成物。
  19. 請求項17または18に記載のUV硬化性の光学的に透明なシリコーン接着剤組成物を含む物品。
  20. (1)請求項1〜12のいずれかに記載の高分子光開始剤を含む請求項17または18に記載のUV硬化性シリコーン接着剤組成物を調製する工程、
    (2)第一基材を準備する工程、
    (3)第一基材上に接着剤組成物をコーティングする工程、
    (4)前記コーティング上に第二基材を積層する工程、
    (5)380〜410nmで第一基材または第二基材のいずれかを通るUV光により接着剤組成物を硬化させる工程、
    を含む、電子デバイスの製造方法。
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