JP2020519645A - 脂肪組織由来幹細胞による多発性硬化症の治療 - Google Patents

脂肪組織由来幹細胞による多発性硬化症の治療 Download PDF

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Abstract

進行型の多発性硬化症を治療する方法であって、脂肪組織由来幹細胞を中枢神経系(CNS)に投与するステップを含む方法が提供される。更に、現在用いられている方法と比較して費用対効果がより高くより高い収量をもたらす、ADSCを得るための改善された方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪組織由来幹細胞の投与を含む多発性硬化症の治療計画に関する。特に、本発明は、脂肪組織由来幹細胞の脳室内又は髄腔内投与を用いた進行型の多発性硬化症の治療に関する。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性炎症性疾患であり、一般に若い成人に起こり、男性よりも女性に多く見られる。MSは、脳と脊髄の神経細胞の互いに情報伝達し身体機能を制御する能力に影響を与える。臨床上の障害は、CNSの軸索を取り囲む保護鞘であるミエリンの炎症に関連し、ミエリンは、自己免疫性の攻撃と神経変性プロセスによって損傷を受ける。結果として、脳及び脊髄の白質は限局性病変(プラーク)により瘢痕化し、神経学的機能障害が生じる。MSの症状にはいくつかのパターンがある。ほとんどの患者は、初期段階で再発寛解(RRMS)の経過をたどる。これは、予測できない再発と、それに続く部分的又は完全な回復(寛解)を特徴とし、ある時点で進行性(PMS)になる。このような進行性MSは、二次進行型MS(SPMS)に分類される。症状の発症から進行性の経過をたどる患者もおり、そのような疾患パターンは一次進行型MS(PPMS)として分類される。
再発寛解型MSの患者は通常、急性発作(再発)時にはコルチコステロイドで治療され、新たな再発と障害の進行を防ぐために免疫調節薬又は免疫抑制薬で治療される。これらは、インターフェロンベータ(Avonex(登録商標)、Rebif(登録商標)、Betaseron(登録商標))、酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、フマル酸ジメチル(Tecfidera(登録商標))、フィンゴリモド(Gilenya(登録商標))、ナタリズマブ(Tysabri(登録商標))、より重症のケースでは化学療法薬ミトキサントロンを含む。
進行型のMSは同様の薬物を用いて治療されることがあるが、治療は主に症状とリハビリテーションの管理に焦点を当てている。MSに関する治療の選択肢は全て、部分的にのみ有効である。
最近のレビューでは、進行性MSが現在、利用可能な疾患修飾治療が不足している領域であることが強調されている(Clinical Medicine,2016、第16(6)巻、s53−s59頁)。オクレリズマブ(OCREVUS(商標))は、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体であり、2016年に食品医薬品局(FDA)からPPMSに対する画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)が付与された(バーゼルのロシュによる投資家アップデート、2016年2月17日)。
自己免疫疾患及び/又は神経変性疾患の治療のための間葉系幹細胞(MSC):
MSCは、元々は成人の骨髄で特定された、多能性自己再生細胞の供給源である。生来、それらは分化して骨芽細胞、軟骨細胞及び脂肪細胞を産生する。MSCは、胚性幹(ES)細胞に代わって多能性幹細胞の利用しやすい供給源を提供する。MSCは、自己供給源由来とすることができ、同種異系の使用に有利な免疫特権の性質を特徴とするので、細胞療法における免疫抑制の必要性が潜在的に回避される。
MSCベースの治療法は、移植片対宿主病、脳卒中、心筋梗塞、肺線維症及び自己免疫障害を含む多くの適応症の前臨床試験において、有効であることが示されている。MSCは、神経変性疾患に対する治療ツールとしても広く研究されている。MSCは、神経変性疾患との関連において2つの側面、すなわち特定の条件下で神経細胞に分化転換する能力と、その神経保護及び免疫調節の効果に関して議論されている。MSCは、脳に移植されると、損傷組織を保護し再生を誘導する神経栄養因子及び成長因子を産生する。更に、MSCは遺伝子導入溶媒としても検討されており、例えば、脳でグリア由来又は脳由来の神経栄養因子を過剰発現するように遺伝子操作されている。MS、ALS、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び脳卒中について、MSCを伴う臨床試験が現在進行中である。
脂肪組織由来幹細胞(ADSC):
過去数十年にわたって、脂肪組織はそのエネルギー貯蔵庫としての主な機能に加えて、多能性間質細胞の豊富な資源でもあることが示されている(Zuk他、Mol Biol Cell 2002;13:4279−4295)。
国際公開第2010/045645号は、脂肪組織から脂肪幹細胞を回収する方法を開示している。
米国特許第8,021,882号は、脂肪幹細胞の培養物を提供し、その上清を収集することにより、神経障害の治療のための幹細胞馴化培地を作製する方法を開示している。
Constantin他(2009)Stem Cells.、27(10):2624−35は、慢性の実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のマウスへの脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈内投与を研究した。
Stepien他(2016)Mediators of Inflammation、vol.2016は、髄腔内に注入された自己脂肪幹細胞で治療されたRRMS又はSPMSのMS患者の1年間の追跡調査を報告している。
国際公開第2006/057003号は、とりわけ、グラチラマーと組み合わせて骨髄由来の幹細胞を用いる幹細胞療法の方法を開示している。
Aharoni他(2009)J Neuroimmunol.、215(1−2):73−83は、脳室内又は腹腔内のいずれかに移植された筋肉前駆細胞(MPC)、及び酢酸グラチラマーによる、EAE誘導マウスの共治療について報告している。
当技術分野では、多発性硬化症を治療するための、特に進行型の該疾患を有する患者のための、改善された方法が必要である。
本発明は、一部の態様によれば、中枢神経系(CNS)に投与される脂肪組織由来幹細胞(ADSC)を用いた、進行性MS、特に一次進行型MSを含む多発性硬化症(MS)の治療法を提供する。本発明は更に、ADSCを得るための改善された方法を提供し、本方法は現在使用されている方法と比較してより費用効率が高く、より高い収量を提供する。
本発明は、部分的に、慢性多発性硬化症の動物モデルにおける臨床スコアに対する、CNSに投与されたヒトADSCの驚くべき効果に基づく。該細胞は、最大疾患スコアを低減すること、そして重要なことに、疾患の進行を遅らせることに特に効果的であることが分かった。有利なことに、細胞は、本明細書で以下に例示される改善された方法を用いて単離された。本明細書で初めて開示される改良された方法は、脂肪吸引によって得られた脂肪組織すなわち吸引脂肪組織のサンプルを、更なる処理の前に凍結及び解凍することを含む。また、改良された方法は、現在用いられている方法で必要とされるような、吸引脂肪組織に見られる赤血球を破壊するために緩衝液を適用する必要性を回避する。よって改善された方法は、その後、細胞残屑からADSCを分離することも排除する。驚くべきことに、赤血球溶解バッファーが適用されなくても、結果として得られるADSCサンプルは、標準的な方法に従って単離されたサンプルと同じくらい効果的に増殖することが分かった。
一態様によれば、本発明は、非遺伝子組み換えのヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象の中枢神経系(CNS)に投与することを含む、一次進行型多発性硬化症を治療する方法を提供する。
一部の実施形態では、hADSCは、
(a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
(c)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意にペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で洗浄し、懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、再懸濁されたペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、
(e)任意に、hADSCの選択の前に少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
(f)任意に、hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
によってヒト皮下脂肪から得られたhADSCである。
一部の実施形態では、hADSCは、(i)吸引脂肪組織を凍結するステップと、(ii)吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、(iii)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングするステップと、(iv)ペレットを等張緩衝液又は培養液で洗浄し、更なる遠心分離にかけるステップと、(v)ステップ(iv)で得られたペレットを等張緩衝液又は培養液で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、(vi)再懸濁されたペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、(vii)hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、によってヒト皮下脂肪から得られたhADSCである。
本明細書に開示されるように、ADSCを得る方法により、吸引脂肪組織に元々見られる赤血球の溶解を引き起こすために緩衝液を適用する必要性が回避される。よって、一部の実施形態では、吸引脂肪組織は、赤血球溶解バッファーを適用することなく、脂肪組織由来幹細胞を単離するために処理される。これらの実施形態によれば、遠心分離後に得られたhADSCを含む細胞分画は、赤血球溶解バッファーにさらされない。
別の態様によれば、本発明は、ヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象の中枢神経系(CNS)に注入する方法を提供する。本方法は、
(a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
(c)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意にペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で洗浄し、少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
(d)ステップ(c)で得られたペレットを緩衝液又は培養液で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
(e)再懸濁されたペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、
(f)任意に、hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
(g)対象のCNSにhADSCを注入するステップと、
によってヒト皮下脂肪からhADSCを取得することを含む。
更なる態様によれば、本発明は、ヒト皮下脂肪からヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象への投与のために取得する方法を提供する。本方法は、
(a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
(c)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意にペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で洗浄し、懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
(e)再懸濁されたペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、
(f)任意に、hADSCを対象への投与の前に少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
から成る。
本明細書に開示されるように、遠心分離後に得られたhADSCを含む細胞分画は、赤血球溶解バッファーにさらされない。
一部の実施形態では、hADSCは、細胞培養容器への付着性によって選択される。一部の実施形態では、細胞はプラスチック組織培養容器に付着する。
一部の実施形態では、凍結は−80℃で実施され、その後に気相液体窒素が続く。
一部の実施形態では、組織分散酵素は、コラゲナーゼ、ディスパーゼ又はそれらの組合わせから選択される。一部の具体的な実施形態では、組織分散酵素はコラゲナーゼである。
一部の実施形態では、hADSCは、細胞の少なくとも95%によるCD44、CD73及びCD90の陽性発現と、細胞の少なくとも90%によるCD105の陽性発現と、細胞の少なくとも95%によるCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRの陰性発現とによって特徴付けられる。一部の実施形態によれば、hADSCは更に、細胞の1〜10%によるCD34の陽性発現によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、hADSCは、細胞の少なくとも98%によるCD44、CD73及びCD90の陽性発現と、細胞の少なくとも90%によるCD105の陽性発現と、細胞の少なくとも98%によるCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRの陰性発現とによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、細胞の少なくとも50%は、CD105、CD73、CD44及びCD90に対して陽性であり、CD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。
一部の実施形態では、hADSCは、投与の前に継代数3〜10まで培養されたhADSCである。追加の実施形態では、hADSCは、投与の前に継代数3〜5まで培養されたhADSCである。
一部の実施形態では、hADSCは、投与の前にゼノフリー培地で培養されたhADSCである。
一部の実施形態によれば、hADSCは1回投与される。
他の実施形態によれば、hADSCは、例えば2回、3回、4回など複数回投与される。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。一部の実施形態によれば、hADSCは2〜8ヶ月毎に1回投与される。追加の実施形態によれば、hADSCは3〜12ヶ月毎に1回投与される。
一部の実施形態によれば、hADSCを投与することは髄腔内投与による。
他の実施形態によれば、hADSCを投与することは、室内又は脳室内(ICV)投与、すなわち脳室への投与による。
一部の実施形態によれば、hADSCは、脂肪吸引法によって得られたヒト皮下脂肪由来である。
一部の実施形態によれば、hADSCは自己由来である。
他の実施形態によれば、hADSCは同種由来である。
一部の実施形態によれば、hADSCを投与することは、1回の投与につき約10〜3×10個の細胞を投与することを含む。
本明細書に記載の治療される対象は、一般にヒトである。一部の実施形態によれば、本発明の方法及び組成物は、多発性硬化症、特に進行型の多発性硬化症(MS)の治療に有用である。よって、一部の実施形態によれば、対象はMSに罹患している。一部の実施形態では、対象は、進行型のMSに罹患している対象である。一部の具体的な実施形態では、進行性MSは二次進行型MSである。追加の具体的な実施形態では、進行性MSは一次進行型MSである。
本発明のこれら並びに更なる態様及び特徴は、以下の詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
EAEに対するADSC用量反応:28日までの平均臨床スコア分析。全ての群(n=10/群、+/−標準誤差)。 EAEに対するADSC用量反応:28日までの平均臨床スコア分析。2×10細胞/動物と比較した溶媒。(n=10/群、+/−標準誤差)。 EAEに対するADSC用量反応:28日までの平均臨床スコア分析。1×10個の細胞、2×10個の細胞及び4×10個の細胞/動物の比較。(n=10/群、+/−標準誤差)。 EAEに対するADSC用量反応:29日までの体重分析。(n=10/群、+/−標準誤差)。 EAEに対するADSC細胞用量の効果:28日までの平均臨床スコア(疾病負荷)の平均AUC。*P<0.05(n=10/群、+/−標準誤差) EAEに対するADSC用量の効果:28日目までの平均最大スコア分析。*P<0.05(n=10/群、+/−標準誤差)。 継代数に応じたADSCの細胞表面マーカー発現。細胞を脂肪組織から単離し、実施例のセクションに記載されているように培養し、示されたマーカーの発現について分析した。結果は、9つのサンプルの平均+/−標準偏差である。 図8A−図8B。赤血球溶解を伴う又は伴わない単離後のSVF細胞計数データ。(A)細胞/ml;(B)%生存率。 図9A−図9B。赤血球溶解を伴う又は伴わない単離後の継代0での細胞計数データ。(A)細胞/ml;(B)%生存率。 図10A−図10C。吸引脂肪組織サンプルの初期量に応じたSVF及びADSC収量:第1のバッチ。SVF単離直後(A)、P#0(B)及びP#1(C)での生細胞の総数。 図11A−図11C。吸引脂肪組織サンプルの初期量に応じたSVF及びADSC収量:第2のバッチ。SVF単離直後(A)、P#0(B)及びP#1(C)での生細胞の総数。 図12A−図12C。吸引脂肪組織サンプルの初期量に応じたSVF及びADSC収量:第3のバッチ。SVF単離直後(A)、P#0(B)及びP#1(C)での生細胞の総数。
本発明は、一部の態様によれば、脂肪組織由来幹細胞(ADSC)を用いた進行性MSを含む多発性硬化症(MS)の治療法を提供する。
一部の実施形態では、ヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象の中枢神経系(CNS)に投与することを含む、一次進行型多発性硬化症を治療する方法が提供される。
本発明の発明者らは、疾患の転帰に対する脂肪組織由来間葉系幹細胞の効果の評価のために、MOG誘導EAEモデルを利用した。MOGは、中枢神経系(CNS)の神経のミエリン化プロセスで重要と考えられる糖タンパク質である。MOG35−55ペプチドによる免疫化は、一般にC57BL/6マウスの慢性EAEの誘導に用いられる。MOGを用いてEAEが誘導されたマウスの脳室(ICV)にADSCを注入した。マウスを様々な用量の幹細胞を用いて治療した。
本明細書で初めて開示される驚くべき所見により、臨床スコア、最大平均疾患スコア及び疾患進行を含む、慢性EAEに対するヒトADSCの明らかな効果が示されている。
よって本発明は、進行型の多発性硬化症に罹患している対象へのヒト間葉系脂肪組織由来幹細胞の投与を含む治療方法及びレジメンを提供する。これらの治療は、幹細胞を用いた静脈内治療と比較して、多発性硬化症に対して優れた治療効果をもたらす。現在の治療は、様々な臨床スコアによって決定されるように、改善された長期の効果をもたらした。
現在、脂肪組織由来幹細胞の投与を含む多発性硬化症の治療のための方法及びレジメンは、効果的且つ安全であるとはまだ証明されておらず、市販の治療薬もない。このような治療法は、多くの患者、特に神経学的症状又は身体障害を伴う進行性疾患をもつ患者にとって有益であろう。具体的には、この治療は進行型の多発性硬化症の患者に有益であろう。
本明細書で用いられる「治療する」という用語は、一次進行型若しくは二次進行型の多発性硬化症の発症後の症状又は複数の症状の予防、抑制又は緩和を指す。特定の実施形態において、症状は、協調障害、歩行能力障害、平衡障害、脚の衰弱、脚の硬直、記憶障害、認知機能障害、嚥下困難、視覚障害、全身疲労、疼痛、膀胱機能障害、腸機能障害及びそれらの組合わせから成る群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
一部の特定の実施形態では、本発明に従って多発性硬化症を治療することは、疾患の進行を遅らせること、すなわち障害の進行を遅らせることを含む。
細胞が投与される「対象」は哺乳類であり、一般にヒトである。一部の実施形態に係る対象は、進行型の多発性硬化症に罹患しており、すなわち、進行型の多発性硬化症と診断されている。
本明細書で用いられる「多発性硬化症」という用語は、上記の症状の1つ以上を伴う中枢神経系の自己免疫疾患を指す。一部の実施形態では、進行性MSは二次進行型MSである。他の実施形態では、進行性MSは一次進行型MSである。追加の実施形態では、進行性MSは進行性の再発性MSである。
一部の実施形態によれば、ADSCは1回投与される。一部の実施形態によれば、ADSCは複数回、例えば2〜8ヶ月毎、3〜12ヶ月毎、又はより低い頻度で投与される。
一部の実施形態によれば、ADSCは3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月毎に1回投与される。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
脂肪組織由来幹細胞
本発明は、脂肪組織由来の間葉系幹細胞を利用する。本明細書で用いられる場合、「脂肪組織由来間葉系幹細胞」又は「脂肪組織由来幹細胞」という用語、「ADSC」又は「hADSC」(すなわちヒト脂肪組織由来幹細胞)という略語は、脂肪組織から回収された、プラスチック付着性の多能性細胞集団を指す。細胞集団は、細胞の少なくとも95%によるCD44、CD73及びCD90の陽性発現と、細胞の少なくとも90%によるCD105の陽性発現と、細胞の少なくとも95%によるCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRの陰性発現とによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、細胞集団は、細胞の少なくとも98%によるCD44、CD73及びCD90の陽性発現と、細胞の少なくとも90%によるCD105の陽性発現と、細胞の少なくとも98%によるCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRの陰性発現とによって特徴付けられる。
細胞集団は更に、細胞の最大10%〜20%によるCD34の陽性発現によって特徴付けられる。一部の実施形態では、細胞集団は、細胞の最大5%によるCD34の陽性発現によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、細胞の少なくとも50%は、CD105、CD73、CD44及びCD90に対して陽性であり、CD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。
一部の実施形態によれば、ヒトADSCの90〜100%が、マーカーCD44、CD73及びCD90に対して陽性である。追加の実施形態によれば、ヒトADSCの少なくとも95%が、マーカーCD44、CD73及びCD90に対して陽性である。更なる追加の実施形態によれば、ヒトADSCの少なくとも98%が、マーカーCD44、CD73及びCD90に対して陽性である。
一部の実施形態によれば、ヒトADSCの65〜100%がCD105に対して陽性である。追加の実施形態によれば、hADSCの80〜100%がCD105に対して陽性である。更なる追加の実施形態によれば、hADSCの90〜100%がCD105に対して陽性である。更なる追加の実施形態によれば、hADSCの80〜95%がCD105に対して陽性である。
一部の実施形態によれば、ヒトADSCの0.1〜20%がマーカーCD34を発現する。追加の実施形態によれば、ヒトADSCの0.1〜10%がマーカーCD34を発現する。
他の実施形態によれば、hADSCの1〜10%がマーカーCD34に対して陽性である。他の実施形態によれば、hADSCの1〜5%がマーカーCD34に対して陽性である。一部の実施形態によれば、細胞の少なくとも90%、例えば細胞の少なくとも95%が、マーカーCD34に対して陰性である。
一部の実施形態によれば、投与されるヒトADSCの少なくとも90%が、マーカーCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。追加の実施形態によれば、投与されるヒトADSCの少なくとも95%が、マーカーCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。更なる追加の実施形態によれば、投与されるヒトADSCの少なくとも98%が、マーカーCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。
一部の実施形態によれば、注入されるヒトADSCの少なくとも50%が、CD105、CD73、CD44及びCD90に対して陽性であり、CD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。追加の実施形態によれば、注入されるヒトADSCの少なくとも60%、70%、80%又は90%が、CD105、CD73、CD44及びCD90に対して陽性であり、CD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
細胞表面マーカー発現の特徴付けは、当技術分野で既知の方法により、例えば蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて、実行することができる。FACSのFACSプロトコルは、例えば、Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology Volume 699 2011,Editors:Teresa S.Hawley,Robert G.Hawley Humana Press.でレビューされている。例示的な手順を以下に記載する。
多能性間質/幹細胞の供給源としての脂肪組織には、他の供給源に対していくつかの利点がある(Baer PC、Geiger H.Stem Cells Int 2012;2012:812693)。例えば、皮下脂肪はヒトに遍在し、脂肪吸引法の吸引により大量に簡単に利用可能である。脂肪吸引法は、大量の組織吸引物をもたらす忍容性の高い手順である。吸引脂肪組織は通常、医療廃棄物として廃棄されるので、脂肪組織由来の間質/幹細胞(ASC)単離の優れた出発材料として適格である。組織は、培養液中で単離及び増殖することができる多数の多能性細胞を含む。
一部の実施形態によれば、ADSCはヒト皮下脂肪に由来する。特定の実施形態によれば、細胞は、脂肪吸引法の吸引によって得られたヒト皮下脂肪由来である。ADSCは、腹部、腰、大腿部、腕、首、臀部など、体の様々な部位において脂肪吸引法の手順によって取得されてよい。本発明によれば、ADSCを得るために、脂肪吸引法の任意の手順が用いられてよく、これには、当技術分野で既知であるように腹部形成術によるレーザー、超音波及び脂肪除去が含まれるが、これらに限定されない。
脂肪組織は、脂肪組織由来幹細胞を単離するために処理される。調製方法は通常、組織をPBSや生理食塩水などの緩衝液及び/又は増殖培地(通常、外部サイトカインや増殖因子などの添加物を伴わない)(例えばDMEM、StemMACS(商標)又はPlasma−Lyte)で洗浄するステップと、組織をコラゲナーゼなどの組織分散酵素で処理するステップ及び/又は例えばTulip Nano Transfer(商標)などの装置を用いて組織を非酵素的機械的破砕にかけるステップと、を含む。サンプルの酵素消化は、ディスパーゼとコラゲナーゼの組合わせを用いて実行することもできる。リポソームは、一般に凝集しており、遠心分離により、幹細胞や、赤血球、内皮細胞及び線維芽細胞などの他の細胞を含む遊離間質細胞から分離することができる。適切な溶解バッファーを用いて、懸濁したペレットから赤血球を溶解することができ、残りの細胞を濾過又は遠心分離することができる。
本明細書に開示されるように、脂肪組織由来幹細胞を単離するための改善された方法は、更なる処理の前に脂肪組織を凍結及び解凍することを含む。有利なことに、解凍後、溶解バッファーを適用して赤血球を破壊する必要なく、組織を処理して幹細胞を単離することができる。標準的な溶解バッファーは、通常、pH7.3の塩化アンモニウム(NHCl)、炭酸水素カリウム(KHCO)及びEDTAの溶液である。このような緩衝液組成物は、赤血球の細胞の特定の特性と浸透圧ストレスに抵抗する能力が限られていることを活用して、これらの細胞を選択的に溶解する。
一部の実施形態に係る凍結は、以下のように実行される。吸引脂肪組織を凍結バッグに入れ、DMSOを最終濃度10%で添加する。凍結バッグを凍結キャニスターに入れ、サンプルを−80℃で一晩(〜24時間)保持する。次に、凍結したサンプルを気相液体窒素タンクに移す。保存期間中に安定性テストを実行することができる。
解凍では、一部の実施形態によれば、サンプルを取り出し、室温で数分間、通常5〜10分間放置する。次に、サンプルを37℃の水浴で数分間(通常は5〜10分間)、又はサンプルの大部分が解凍されるまで、解凍する。次に、サンプルを37℃で、細胞生存率を支持可能な懸濁培地(本明細書では、間葉系幹細胞に適した等張緩衝液又は培養液として定義される)、例えばPBSなどの緩衝液で洗浄する。サンプルは通常2回洗浄する。
一部の実施形態では、プロセスは、少なくとも1回の濾過をおこなうことを含む。組織を更に分離しSVF分画の収集を容易にするために、濾過は、一部の実施形態では、100ミクロンメッシュを通し、その後40ミクロンメッシュを通して実行される。
SVF分画の細胞集団内からADSCを単離するために、通常、細胞培養容器への付着による(例えばプラスチック付着による)選択及び/又はビーズ/抗体による選択などのプロセスが適用される。任意に、細胞は細胞選別によって分離されるか、免疫組織化学的に分離されてよい。Bunnell他(2008)Methods.,45(2):115〜120は、ADSCの単離のための方法を検討している。
培養容器への付着による選択は、通常、SVF細胞を適切な培養液を用いて培養フラスコ(例えばプラスチック製フラスコ)に播種し、播種した細胞を一晩インキュベートし(一部の実施形態では、少なくとも12時間、又は24〜48時間)、フラスコを洗浄して、非付着細胞と組織残屑を除去し、フラスコに新鮮な培養液を加えることによって、実施される。付着性細胞(ADSC)は、所望のレベルのコンフルエンシーまで培養されてよく、その後、それらを収集して保存するか、又は更なる継代まで継代培養してよい。
一部の実施形態では、hADSCは、(a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、(c)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意にペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で洗浄し、懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、プラスチック製フラスコでの一晩のインキュベーションにより、プラスチック付着性hADSCを選択するステップと、(e)任意に、プラスチック付着性選択の前に、少なくとも1回の濾過をおこなってhADSCを単離するステップと、(f)任意に、hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、によってヒト皮下脂肪から得られたhADSCである。
一部の実施形態では、hADSCは、(a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、(b)吸引脂肪組織を解凍し、コラゲナーゼで消化するステップと、(c)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意にペレットを緩衝液又は培養液で洗浄し、更なる遠心分離にかけるステップと、(d)ステップ(c)で得られたペレットを適切な培養液で再懸濁し、細胞培養容器への付着性によってhADSCを選択するステップと、によってヒト皮下脂肪から得られたhADSCである。
一部の実施形態では、ヒト皮下脂肪からhADSCを、それを必要とする対象への投与のために取得するための方法は、本質的に、
(a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
(c)hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意にペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で洗浄し、懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
(e)細胞培養容器への付着性によってhADSCを選択するステップと、
(f)任意に、対象への投与の前にhADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
から成る。
ADSCを単離するための例示的な手順は、以下の実施例1に記載される。
一部の好適な実施形態では、ADSCは、それを必要とする対象に提供される前に(及び/又は後で使用するために保存される前に)培養される。好ましくは、細胞はゼノフリー培地で培養される。一部の実施形態では、ADSCは、対象への投与の前に約80%〜100%のコンフルエンシー、例えば約80%のコンフルエンシーまで培養され、継代数3〜10、好ましくは3〜5又は3〜4まで継代培養される。よって、一部の実施形態では、投与される細胞は3〜10の継代にある。追加の実施形態では、投与される細胞の継代数は3〜5である。一部の実施形態では、ADSCは継代数3まで継代培養される。一部の実施形態では、ADSCは継代数4まで継代培養される。一部の実施形態では、ADSCは継代数5まで継代培養される。
投与前に細胞はカウントされ、薬学的に許容される希釈剤/キャリアで注入のために調製される。通常、細胞は対象に投与される前に濃縮される。濃度は通常、1.5×10/ml〜100×10/mlの範囲である。
本発明の方法に係る単回投与のための幹細胞組成物は、一部の実施形態では、10〜3×10個のヒトADSCを含む。一部の実施形態によれば、組成物は10〜10個のヒトADSCを含む。追加の実施形態によれば、10〜10個のヒトADSCが1回の投与で注入される。更なる追加の実施形態によれば、200×10〜300×10個のヒトADSCが1回の投与で注入される。更なる追加の実施形態によれば、10〜2×10個のヒトADSCが1回の投与で注入される。
一部の実施形態によれば、本発明のADSC組成物は全身投与による使用を目的とする。通常、投与は対象の中枢神経系(CNS)に対しておこなわれる。このような投与は、血液脳関門の迂回を目的とすることがある。更に他の実施形態によれば、ADSCは脳の特定の領域に直接投与される。
一部の実施形態によれば、組成物はCNSに投与され、例えば脊髄内投与によって投与される。一部の実施形態によれば、組成物は髄腔内に投与される。他の実施形態によれば、組成物は室内又は脳室内(ICV)経路によって投与され、つまり脳室に投与される。
脳室内薬物送達は、槽(C1〜2椎骨)及び頭蓋内脳室の脳脊髄液内での薬物の送達である。薬物を直接投与することにより、必要な薬物が少なくなり、経口投与される薬物よりも副作用が少なくなる。薬剤は通常、当技術分野で知られているように、ポンプに接続された埋め込みカテーテルを通して送達される。ポンプはプログラム可能であり、埋込み型又は外部型のいずれかであることがある。
髄腔内投与は、薬物が脳脊髄液(CSF)に到達するように、脊柱管、より具体的にはくも膜下腔への注入による薬物の投与経路であり、脊椎麻酔、化学療法又は疼痛管理用途に有用である。また、この経路は、特定の感染症、特に神経外科手術後の感染症と闘う薬物を導入するためにも用いられる。薬物は、血液脳関門を避けるために、この方法で投与される必要がある。髄腔内及び硬膜外の薬物送達は、薬物投与の脊髄内経路を含む。各経路は、薬物を脳脊髄液(CSF)に送達する。髄腔内送達は、脊柱の髄腔内空間内のCSFへの薬物の直接注入を伴うが、硬膜外腔に注入された薬物は、CSFに到達するために硬膜を通過する必要がある。そのようなものとして、硬膜外投与された薬物は全身循環に達する可能性があるが、髄腔内投与された薬物は、脊柱及び脳室を循環するCSF内に限局される。
本発明には、脂肪組織由来幹細胞と任意に少なくとも1つの他の活性薬剤との併用療法も包含される。
本発明の範囲内の活性薬剤は、インターフェロン(例えばpeg化又は非ペグ化α‐インターフェロン)又はβ‐インターフェロン(例えばインターフェロンβ‐1aやインターフェロンβ‐1b)又はτ‐インターフェロン;任意に抗増殖/抗腫瘍活性を伴う免疫抑制剤(例えばミトキサントロン、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド)又はステロイド(例えばメチルプレドニゾロン、プレドニゾンやデキサメタゾン)又はステロイド分泌剤(例えばACTH);アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えばクラドリビン);様々なT細胞表面マーカーに対するIV免疫グロブリンG(例えばNeurology,1998,May 50(5):1273−81に開示のもの)モノクローナル抗体(例えばナタリズマブ(ANTEGREN(登録商標))やアレムツズマブ);TH2促進サイトカイン(例えばIL−4,IL−10)、又はTH1促進サイトカインの発現を抑制する化合物(例えばホスホジエステラーゼ阻害剤(例えばペントキシフィリン));バクロフェン、ジアゼパム、ピラセタム、ダントロレン、ラモトリジン、リフルゾール、チザニジン、クロニジン、ベータ遮断薬、シプロヘプタジン、オルフェナドリン又はカンナビノイドを含む鎮痙剤;AMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬(例えば2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン、[1,2,3,4、−テトラヒドロ−7−モルホリン−イル−2,3−ジオキソ−6−(トリフルオロメチル)キノキサリン−i−イル]メチルホスホネート、1−(4−アミノフェニル)−4−メチル−7,8−メチレン‐ジオキシ−5H−2,3−ベンゾジアゼピン、又は(−)1−(4−アミノフェニル)−4−メチル−7,8−メチレン−ジオキシ−4,5−ジヒドロ−3−メチルカルバモイル−2,3−ベンゾジアゼピン;VCAM−1発現の阻害剤又はそのリガンドの拮抗薬(例えばα4β1インテグリンVLA−4及び/又はα−4−β−7インテグリの拮抗薬、例えばナタリズマブ(ANTEGREN(登録商標));抗マクロファージ遊走阻止因子(Anti−MIF);xii)カテプシンS阻害剤;xiii)mTor阻害剤を含むが、これらに限定されない。それぞれの可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。現在好ましい他の活性薬剤のひとつは、免疫抑制剤のクラスに属するFTY720(2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1、3−ジオール;フィンゴリモド)である。
本発明は、ADSCと、少なくとも1つの追加の薬物、好ましくは免疫抑制剤、特にフィンゴリモドとの組合わせを包含する。
本発明はまた、ヒトADSCの多発性硬化症の治療における使用を、任意に多発性硬化症の治療に適した追加の薬物と共に提供する。
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態をより完全に説明するために提示される。しかしながら、それらは決して、本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される原理の多くの変形及び変更を容易に考案することができる。
実施例
実施例1:ヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)がC57BL/6マウスのMOG誘導慢性EAEに及ぼす影響
材料及び方法
ADSCの単離:
ヒトの健康なドナーから得られた吸引脂肪組織を−80℃で凍結し、その後気相液体窒素で(1週間以上)凍結した。次に、吸引脂肪組織を解凍し、37℃において等量のPBSで2回洗浄した。次に吸引脂肪組織を、37℃で35分間振盪しながら、コラゲナーゼ(NB4、Serva)で消化した。等量のDMEMを追加し、サンプルをRTで10分間、300〜500gで1回遠沈した。沈殿した分画をDMEMで洗浄し、再度遠沈し、赤血球溶解バッファーを適用せずに、ペレットを培養液(StemMACS(商標)、Miltentyi)で再懸濁した。培養液の量は、初期吸引脂肪組織の150mlごとに50mlとして計算した。次に、サンプルを100μmフィルターで濾過し、続いて5mlの培地を追加し、RTで10分間、500gで遠心分離した。この手順を、40μmフィルターを用いて繰り返し、細胞を計数した。結果として得られた細胞を、間質血管分画(SVF)と呼ぶ。
細胞培養:
SVF分画を、コーティングなしで75cmあたり約2×10細胞の密度で播き、一晩インキュベートしてプラスチック付着細胞(ADSC)を選択した。翌日、フラスコを洗浄して非付着細胞及び組織残屑を除去し、新鮮な培地を加え、細胞を80〜100%コンフルエントまで増殖させ、トリプシン処理して継代3〜5まで継代培養した。
次に細胞を収集し、マーカーCD105、CD73、CD90、CD45、CD44、CD19、CD11b、HLA−DR及びCD34について分析した。細胞は使用するまで液体窒素で凍結保存した。使用の際は、凍結細胞を解凍し、5000細胞/cmの濃度で播き、一晩インキュベートした。
細胞のICV注入の前に、細胞をトリプシン処理し、カウントし、以下の表2に詳述される選択された濃度で注入の準備をおこない、30分を超えない期間、使用まで氷上で保管した。ICV注入は定位システムを用いて実施し、マウスの脳を傷付けないように注意を払った。
動物:全ての動物実験は、地元の倫理委員会によって承認された。7〜9週齢のC57BL/6雌マウスを、同様の平均体重の対照群又は治療群に無作為に分けた。動物は実験を通して自由に食物と水を与えられた。
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の誘導:EAEを誘導するために、修正完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma−Aldrich、セントルイス、MO、米国)でのミエリン・オリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)35−55(GL Biochem co.Ltd、上海、中国)のエマルジョンを、次のように調製した。熱殺菌された結核菌株H37RA(Sigma)を、最終濃度4mg/mLに達するようにCFAに添加した。その後、2mg/mLのMOG35−55を等量の修飾CFAで乳化した。このエマルジョンをマウスの剃毛された背中の1ヶ所に皮下(SC)注射し、続いて、0日目とMOG免疫化の48時間後にPBSに溶かした百日咳菌毒素(Sigma)を腹腔内注射することで、EAEを誘発した。
測定:
体重は、0日目から29日目まで毎日測定した。EAEは、免疫後0日目から29日目までの1日1回のマウスの臨床スコアリングによって評価した(表1)。死亡した動物(発生した場合)には臨床スコア5を与え、動物の死亡前の最後の体重測定値を最終体重として記録した。
Figure 2020519645
以下の計算は、臨床スコアの生データから導出された。
平均最大スコア:
指示された分析日までの特定群の各マウスについて記録された最高スコアの平均である。
平均疾患期間:
(分析の日−各マウスの疾患発症日)の合計/(群ごとのマウスの数)
平均発症日:
各マウスの疾患発症日の合計/群ごとのマウスの数
臨床スコアの曲線下面積(AUC):
Microsoft Excelを用いて計算され、疾病負荷を表す。
実験計画:
EAEモデルの実験計画の詳細を表2に示す(各群n=10)。
Figure 2020519645
統計分析:各データセットを、単一因子分散分析(ANOVA)を用いて分析し、その後、不等分散を想定した2標本両側スチューデントt検定をおこなった(n=10/群、+/−標準誤差)。
結果
被験物質の初回注入から28日まで計算された試験の結果を、表3と図1〜6に記載する。
Figure 2020519645
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EAE MOGモデルにおけるADSCのICV移植では、研究した3つの用量全てで疾患の症状の出現率の低下が示された(図1)。最も効果的な用量は2×10細胞/動物であり、これは疾患の重症度の有意な低下を示し、平均臨床スコアは、溶媒群の2.75±0.25と比較して、2±0.11でプラトーに達した(図2)。マウスあたり10万(1×10)個の細胞では、疾患の進行の変化を誘発するのに十分ではないと思われ、動物の挙動は溶媒対照群と同様であった。図3に見られるように、最高用量(4×10細胞/動物)は、症状の軽減には効果的であるが、中用量の2×10細胞/動物よりも効果が低い。これはおそらく、マウスの小さなICV空間において細胞の密度が高いためである。
動物の体重の分析により、動物の臨床スコアの分析で認められた所見が確認された。細胞の2つの高用量(2×10細胞/動物及び4×10細胞/動物)では、結果として得られる平均体重が高く、これは実験全体で保存された(図4)。
免疫化後28日目の細胞用量に応じて計算された平均臨床スコアの曲線下面積(AUC)は、溶媒及び1×10ADSCと比較して、2×10ADSC及び4×10ADSC動物グループで有意に低かった(図5)。更に、免疫化後28日目の2×10ADSC群の平均最大疾患スコアは、1×10ADSC及び対照群のそれよりも有意に低かった(図6)。
実験データにより、マウスあたり2×10個の細胞で最大効果を発揮する、ADSCのICV移植の明確な利点が示される。このADSC投与は、EAE症状の減弱に長期的な影響を与え、これにより疾病負荷が大幅に減少した。
実施例2:ADSCの細胞表面マーカーの分析
表4〜12は、上記の実施例1で説明したように調製されたADSCの9つのサンプルの、1〜5継代後のFACS分析をまとめたものである。表13〜14及び図7は、平均及び標準偏差(“StDev”)の値を示す。表及び図から分かるように、マーカーはP3の後に安定化している。継代数P3〜P4は、せいぜい約14回の集団倍加に相当する。
Figure 2020519645
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実施例3:赤血球溶解ありと赤血球溶解なしのSVF単離
研究計画
2つの150ml凍結保存吸引脂肪組織サンプルを、気相窒素に保存された2つの異なるバッチから採取した(合計4つの吸引脂肪組織サンプル)。以下に詳述するように、組織サンプルを解凍し、各サンプルからSVFを単離した。赤血球溶解バッファーのステップの前に、各組織サンプルを同じ方法で処理した。その時点で、2つのサンプル(各バッチから1つ)にはACK溶解バッファー(Lonza)を用いて赤血球溶解ステップを実施し(“A”と表記されたサンプル)、一方その他の2つのサンプル(各バッチから1つ)にはこのステップを実施しなかった(“B”と表記されたサンプル)。溶解ステップの後、全てのサンプルについて同じ方法でSVF単離プロセスを進めた。
SVF単離に続いて細胞をカウントし、以下のパラメータを測定した。
・生細胞数/ml
・死細胞数/ml
・サンプルごとの生細胞の総数
・生存率
・平均細胞サイズ(μm)
次に、各サンプルの細胞を播種し増殖させ、継代0(P0)とした。各バッチについて、サンプルのうち1つが70〜80%のコンフルエンシーに達したときに、全てのフラスコを回収した。P0において以下のパラメータを測定した。
・生細胞数/ml
・死細胞数/ml
・サンプルごとの生細胞の総数
・生存率
・平均細胞サイズ(μm)
・MSC形態
・免疫表現型(FACS分析:CD90、CD73、CD45及びCD31)
・回収までの時間(日)
手順
吸引脂肪組織の解凍とSVF単離
2つの異なるバッチ(バッチEF137及びバッチEF144として識別される)からの2つの150ml吸引脂肪組織サンプルを解凍した(合計4つの吸引脂肪組織サンプル)。解凍した各組織サンプルを500mlの遠心管に移した。各バッチについて、1つのチューブに“A”とラベリングし、もう1つのチューブに“B”とラベリングした。各チューブに150mlコラゲナーゼ溶液(142ml PBS、7.5mlの5%コラゲナーゼストック溶液、0.6ml CaCl 1M)を加え、チューブを振盪しながら(130rpm)水浴において37℃で約30分間インキュベートした。次に、各チューブに200mlのDMEM低グルコース(DMEM LG、Gibco)を室温で加え、チューブを500×g、21±2℃で10分間遠心分離にかけた。遠心分離の終わりに上清の大部分を除去し、約5mlを残した。各チューブのペレットを残りの上清に再懸濁し、50mlコニカルチューブに移した。次に、各50mlチューブに45mlのDMEM LGを加え、チューブを500×g、21±2℃で10分間遠心分離にかけた。この2回目の遠心分離の後、上清を除去し、“B”と指定されたチューブのペレットを5mlのDMEM LGに再懸濁した。
“A”と指定されたチューブでは、ペレットを10mlのACK赤血球溶解バッファーに再懸濁し、15〜25℃で約10分間インキュベートした。次に、20mlのPBS(15〜25℃)をチューブに加え、チューブを500×g、21±2℃で10分間遠心分離にかけた。遠心分離後、上清を除去し、ペレットを5mlのDMEM LGに再懸濁した。
次に、Aと指定されたチューブとBと指定されたチューブの両方に対し、同様の方法で2つの濾過ステップをおこなった。100μmのメッシュフィルターを新しいラベル付き50mlチューブ(“A”又は“B”とラベリングした)の上部に設置し、懸濁液を濾過した。各フィルターを追加の5mlのDMEM LGで洗浄した後、濾液を500×g、21±2℃で10分間遠心分離した。ペレットを5mlのDMEM LGに再懸濁した。次に、40μmのフィルターを新しいラベル付き50mlチューブ(“A”又は“B”とラベリングした)のもう一組の上部に設置し、懸濁液を濾過した。各フィルターを追加の5mlのDMEM LGで洗浄した後、濾液を500×g、21±2℃で10分間遠心分離した。各ペレットを5mlのStemMACS(商標)Complete培養培地(Miltenyi)に再懸濁した。
SVF細胞計数及びSVF播種
NC−200 Nucleo−Counterを用いて、各チューブの細胞数をカウントした。以下のパラメータ、すなわち生細胞/ml、死細胞/ml、生存率(%)、平均細胞サイズ(μm)及び生細胞の総数を記録した。各チューブを2回計数し、2つの計数の平均を計算した。
次に、各チューブから2.6×10細胞を75cmのフラスコに二重に播種し、15mlのStemMACS(商標)Complete増殖培地を各フラスコに加えた。フラスコを一晩インキュベートして、プラスチック付着細胞(ADSC)を選別した。翌日、フラスコを洗浄して非付着細胞と組織残屑を除去し、新鮮な培地を加えて細胞を増殖させた。群のうち1つが約80%のコンフルエンスに達したときに、細胞を回収した。
P0の回収
細胞を回収し計数した。以下のパラメータ、すなわち生細胞/ml、死細胞/ml、生存率(%)、平均細胞サイズ(μm)、生細胞の総数及び播種から回収までの時間(日)を記録した。各チューブを2回計数し、2つの計数の平均を計算した。
免疫表現型−P0
各チューブからの細胞を、以下のマーカーCD73、CD90、CD45、CD31及び対照としてのIgG1についてFACSによって分析した。
結果
以下の表15及び表17と図8A〜8B、9A〜9Bは、SVF単離直後及び継代0(P0)での細胞計数データ(各サンプルの2つの計数の平均)を示す。標準偏差(SD)データを表16、18にまとめた。
Figure 2020519645
Figure 2020519645
Figure 2020519645
Figure 2020519645
表及び図から分かるように、更に良好な一部のパラメータについて、細胞計数データは、赤血球溶解を実施しなかったサンプル(“B”と指定されたサンプル)と溶解ステップを実施したサンプル(“A”と指定されたサンプル)で本質的に同じであり、溶解テップの省略は得られた細胞の増殖に悪影響を及ぼさないことが示された。
有利なことに、P0では、赤血球溶解をおこなわなかったサンプルは、溶解ステップをおこなったサンプルよりも速く70〜80%のコンフルエンシーに達した。
表19は、継代0での免疫表現型データ(マーカー発現)をまとめたものである。
表から分かるように、マーカー発現は、赤血球溶解を実施しなかったサンプルと溶解ステップを実施したサンプルで本質的に同じであり、このステップの省略は得られた細胞の表現型に悪影響を及ぼさないことが示された。
Figure 2020519645
結論として、赤血球溶解バッファーが適用されなくても、得られるADSCサンプルは、赤血球溶解を採用する標準的な方法に従って単離されたサンプルと同じくらい効果的に増殖することが見出された。
実施例4:間質血管分画(SVF)及び脂肪組織由来幹細胞(ADSC)の収量に対する初期組織量の影響
吸引脂肪組織サンプルから得ることのできるADSCの量は、とりわけ、吸引脂肪組織サンプルの初期量に依存する。本明細書に記載の多発性硬化症の治療などの治療用途では、少なくとも10個のADSC、又は更には少なくとも10個のADSCを得ることが提案される。
以下の研究は、本発明に係る多発性硬化症の治療などの治療目的に十分な量のADSCを得るために用いることのできる脂肪組織(吸引脂肪組織)の最小量を定め、処理に利用できる量が100ml未満である場合に収量を向上させ得る、生産プロセスへの可能な変更を評価することを目的とした。
研究計画
ヒト吸引脂肪組織の3つの異なるバッチを得た。各バッチから、5、10、20、50、150mlのサンプルをPBSで洗浄し、凍結バッグに入れた。DMSOを最終濃度10%で添加し、サンプルを使用するまで液体窒素で保存した。
SVF作製
上記の実施例1及び3に記載されているように、全てのサンプルを解凍し、赤血球溶解を適用することなく処理してSVFを得た。5、10、20及び50mlのサンプルは濾過を適用せずに処理した(すなわち、赤血球溶解の省略に加えて、100μmフィルターとその後の40μmフィルターによる濾過のステップを省略した)。
細胞培養
20、50及び150mlのサンプルから得られたSVF分画を35×10/cmの濃度で播種した。5ml及び10mlのサンプルから得られたSVF分画を約4×10細胞/cmの濃度で播種した。プラスチック付着細胞(ADSC)を選別するために一晩インキュベートした後、フラスコを洗浄し、新鮮な培地を加え、細胞をStemMACS(商標)Complete培地で約80%コンフルエンシーまで増殖させた。この段階で、細胞継代をP#0と定めた。次に細胞をトリプシン処理し、回収し、5×10細胞/cmの濃度で新しいフラスコに播種し、再び約80%コンフルエンシーまで増殖させてP#1と定められる次の継代とした。次に細胞をトリプシン処理し、回収し、使用するまで1mlの凍結チューブで約5×10/mlの濃度で凍結保存した。
更に、50mlサンプルの処理中に、組織消化と遠心分離の後に多数の組織凝集体が観察されたので、個別に処理した場合に凝集体も間葉系幹細胞を生成できるか否かを検証することを決めた。凝集体を収集し、別のフラスコに播種し、一晩インキュベートしてプラスチック付着細胞を選別した。非付着細胞を洗浄し、残りのサンプルを他のサンプルと同じ方法で更に処理した。
分析:
細胞を解凍し、解凍直後に細胞数、細胞生存率及び細胞直径を決定した。FACS分析では、分析前に細胞を一晩回復させた(175cmのフラスコに1つの凍結バイアルを播種)。
結果
以下の表20〜22及び図10A〜C、11A〜C、12A〜Cは、SVF単離直後と継代0及び1(P#0、P#1)での各サンプルの細胞計数データを示す。
Figure 2020519645
Figure 2020519645
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3つの異なるバッチ間でSVF収量に大きなばらつきが見られた。更に、SVF分画の細胞数は、P#0で得られた細胞数と必ずしも相関しなかった。ただし、選択したMSC集団が回収されると(P#0)、P#1への更なる増大はP#0でのMSC細胞の数と相関し、P#1では所与のバッチの細胞数はP#0での該バッチの細胞数と相関した。
上記のように、50mlサンプルは濾過されず、大きな凝集体が観察された。凝集体を収集し、(通常行われるように廃棄するのではなく)個別に播種した。凝集体は多数のMSCを産生したので、収量を上げるために凝集体を保持し培養することが有利であると結論付けられた。
FACS分析:
3つのバッチのP#1サンプルを回収し、約5×10細胞/mlの濃度で凍結保存した。次に細胞を解凍し、StemMACS(商標)Completeで一晩播種し、回収してFACSで分析した。分析されたマーカーを表23に挙げる。分析の結果を表24〜27に示す。
Figure 2020519645
Figure 2020519645
Figure 2020519645
Figure 2020519645
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陽性マーカーは、3つの被験バッチ(陽性CD73、CD105、CD90、CD44)の全てから得られた処理量の全てにおいて、(ISCTガイドラインで定義されている)間葉系幹細胞の割合が高いことを示した。
陰性マーカーは、脂肪組織由来間葉系幹細胞で通常見られるものよりも高い割合を示し、造血前駆細胞の不純物としての存在を示した。別個の実験において、細胞を5継代にわたって培養し、陰性マーカーは継代に応じて減少することが実証された。
フィルター処理されていないサンプルでは、組織凝集体はより多くの造血前駆細胞を捕捉する可能性があり、CD34のより高い発現と、より高いCD45及びCD19の発現細胞をもたらす。この仮定は、最高のCD34発現を示した50mlの凝集体培養によって支持される。
結論として、大きなばらつきにも関わらず、結果は、非常に低い初期組織量からも、本明細書に開示されるMSの治療などの治療用途に十分な量のADSCが得られることを示している。低い初期容量を利用するために、細胞の損失を減らし、十分な純度のADSC集団を得るために、濾過の省略や少なくとも4継代にわたる培養など、生産プロセスへの特定の適応を適用することができる。
可能であれば、少なくとも50mlの初期組織量を用いることが提案される。更に、とりわけ、早い継代でのADSCの純度を向上させるために、一連のフィルターを介した濾過を含む(しかし本明細書に開示されるように、赤血球溶解を欠く)生産プロセスを適用することが提案される。
ただし、患者から収集された吸引脂肪組織の量が50ml未満であり、それ以上収集できない場合は、適合プロセスを適用することができる。
本発明を特に説明してきたが、当業者であれば、多くの変形及び修正が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明は、特に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、本発明の範囲及び概念は、以下の特許請求の範囲を参照することによってより容易に理解されるであろう。

Claims (31)

  1. 非遺伝子組み換えのヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象の中枢神経系(CNS)に投与することを含む、一次進行型多発性硬化症を治療する方法。
  2. 前記hADSCは、
    (a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
    (b)前記吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
    (c)前記hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意に細胞生存率を支持可能な懸濁培地で前記ペレットを洗浄し、前記懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
    (d)ステップ(c)で得られた前記ペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、再懸濁された前記ペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、
    (e)任意に、前記hADSCの選択の前に少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
    (f)任意に、前記hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
    によってヒト皮下脂肪から得られたhADSCである、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記hADSCは、(i)吸引脂肪組織を凍結するステップと、(ii)前記吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、(iii)前記hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングするステップと、(iv)前記ペレットを等張緩衝液又は培養液で洗浄し、追加の遠心分離にかけるステップと、(v)ステップ(iv)で得られた前記ペレットを等張緩衝液又は培養液で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、(vi)再懸濁された前記ペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、(vii)前記hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、によってヒト皮下脂肪から得られたhADSCである、
    請求項2に記載の方法。
  4. 遠心分離後に得られた前記hADSCを含む前記細胞分画は、赤血球溶解バッファーにさらされない、請求項2又は請求項3に記載の方法。
  5. 前記hADSCは、前記細胞培養容器への付着性によって選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象の中枢神経系(CNS)に注入する方法であって、
    (a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
    (b)前記吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
    (c)前記hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意に細胞生存率を支持可能な懸濁培地で前記ペレットを洗浄し、前記懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
    (d)ステップ(c)で得られた前記ペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
    (e)再懸濁された前記ペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、
    (f)任意に、前記hADSCを少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
    (g)前記対象の前記CNSに前記hADSCを注入するステップと、
    によってヒト皮下脂肪からhADSCを取得することを含む、方法。
  7. ヒト皮下脂肪からヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を、それを必要とする対象への投与のために取得する方法であって、
    (a)吸引脂肪組織を凍結するステップと、
    (b)前記吸引脂肪組織を解凍し、組織分散酵素を用いて、又は機械的破砕により分散させるステップと、
    (c)前記hADSCを含む細胞分画を遠心分離によってペレッティングし、任意に前記ペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で洗浄し、前記懸濁液を少なくとも1回の追加の遠心分離にかけるステップと、
    (d)ステップ(c)で得られた前記ペレットを、細胞生存率を支持可能な懸濁培地で再懸濁し、少なくとも1回濾過をおこなうステップと、
    (e)再懸濁された前記ペレット内の細胞集団からhADSCを選択するステップと、
    (f)任意に、前記hADSCを前記対象への投与の前に少なくとも3継代にわたって培養するステップと、
    を含む、方法。
  8. 前記hADSCは、組織培養容器への付着性によって選択される、請求項6又は請求項7に記載の方法。
  9. 前記対象は多発性硬化症(MS)を患っている、請求項6又は請求項7に記載の方法。
  10. 前記多発性硬化症は進行性MSである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記進行性MSは二次進行型MSである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記進行性MSは一次進行型MSである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記凍結は−80℃で実施され、その後に気相液体窒素が続く、請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記組織分散酵素は、コラゲナーゼ、ディスパーゼ又はそれらの組合わせから選択される、請求項2〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記組織分散酵素はコラゲナーゼである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記hADSCは、前記細胞の少なくとも95%によるCD44、CD73及びCD90の陽性発現と、前記細胞の少なくとも90%によるCD105の陽性発現と、前記細胞の少なくとも95%によるCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRの陰性発現とによって特徴付けられる、
    請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記hADSCは、前記細胞の少なくとも98%によるCD44、CD73及びCD90の陽性発現と、前記細胞の少なくとも90%によるCD105の陽性発現と、前記細胞の少なくとも98%によるCD45、CD19、CD11b及びHLA−DRの陰性発現とによって特徴付けられる、
    請求項16に記載の方法。
  18. 前記hADSCは更に、前記細胞の1〜10%によるCD34の陽性発現によって特徴付けられる、請求項16に記載の方法。
  19. 前記細胞の少なくとも50%は、CD105、CD73、CD44及びCD90に対して陽性であり、CD45、CD19、CD11b及びHLA−DRに対して陰性である、
    請求項16に記載の方法。
  20. 前記hADSCは、投与の前に継代数3〜10まで培養されたhADSCである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記hADSCは、投与の前に継代数3〜5まで培養されたhADSCである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記hADSCは1回投与される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記hADSCは複数回投与される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記hADSCは2〜8ヶ月毎に1回投与される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記hADSCは3〜12ヶ月毎に1回投与される、請求項23に記載の方法。
  26. 前記hADSCを投与することは髄腔内投与による、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記hADSCを投与することは室内又は脳室内(ICV)投与による、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記hADSCは自己由来である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記hADSCは同種由来である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記hADSCを投与することは、1回の投与につき約10〜3×10個の細胞を投与することを含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 中枢神経系(CNS)への投与による一次進行型多発性硬化症の治療における使用のための、非遺伝子組み換えのヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を含む、医薬組成物。
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