JP2020502225A - トリアジントリオン誘導体、ならびにニューロトロフィン受容体および受容体型チロシンキナーゼのモジュレーターとしてのその使用。 - Google Patents

トリアジントリオン誘導体、ならびにニューロトロフィン受容体および受容体型チロシンキナーゼのモジュレーターとしてのその使用。 Download PDF

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Abstract

本発明は、式Iに従う4−フェノキシ−フェニル−1,3,5−トリアジン誘導体、またはその薬学的に許容される塩の新規な使用に関するものであり、【化19】式中、R1、R2およびUは、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防のための薬剤としての、本明細書で提供される意味を有する。特に、本発明は、脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるそのような疾患の治療に関する。

Description

本発明は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療および/または予防するための医薬としての、4−フェノキシ−フェニル−1,3,5−トリアジン誘導体およびその薬学的に許容される塩の新規な使用に関する。本発明はまた、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防における、新規な化合物、医薬組成物、およびそれらの使用に関する。
神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ならびにニューロトロフィン−3(NT−3)およびニューロトロフィン−4/5は全て、ニューロトロフィンタンパク質ファミリーに属する。これらのホルモンは、トロポミオシン−受容体キナーゼ(Trk)と呼ばれる受容体型チロシンキナーゼのクラスを介して作用する。Trkへのリガンド結合は、キナーゼドメインの受容体二量体化および自己リン酸化を開始し、これが受容体のキナーゼ活性を活性化する。これは、TrkAのTyr490、Tyr751、およびTyr785(または他のTrk受容体におけるそれらの等価な残基)におけるさらなる受容体リン酸化をもたらす。このリン酸化は、受容体をSHCアダプタータンパク質1(SHC−1)、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、およびホスホリパーゼCγ1(PLCγ1)に結合するアダプター結合部位をもたらす。受容体へのアダプタータンパク質の結合は、いくつかの異なる細胞事象を開始し、例えば神経突起伸長および軸索伸長をもたらす。これらの受容体およびそれらのシグナル伝達経路は、例えば、脳の海馬神経発生、シナプス可塑性、および長期増強における多くの重要なプロセスにおいて極めて重要な役割を果たしており、これはシナプスレベルでの記憶形成の基礎となる提案されているメカニズムである。NGF/TrkAおよびBDNF/TrkB刺激シグナル伝達は両方とも、ニューロンの生存および形態形成にも必要である。
古典的なリガンド結合によるTrk受容体の活性化に加えて、ニューロトロフィンシグナル伝達を調節することができるリガンド非依存性事象がある。
受容体型チロシンキナーゼの活性とチロシンホスファターゼの活性との間のバランスは、リン酸化された受容体のレベルを複雑に調節する。したがって、PTP−1Bなどのタンパク質チロシンホスファターゼまたは他のホスファターゼは、ニューロトロフィンシグナル伝達を増大させ、Trk受容体ならびに受容体型チロシンキナーゼの時間的および空間的活性を調節することができる。
また、アデノシンおよびアデノシンアゴニストは、アデノシン2A(A2A)受容体を必要とするメカニズムを介して、Trk受容体のリン酸化を媒介することができる。Trk受容体のこのリン酸化はリガンド結合に非依存性であり、このことはTrk受容体シグナル伝達の調節がいくつかの異なるメカニズムによって達成できることを示唆している。
増殖因子ファミリーの他の重要なメンバーは、線維芽細胞増殖因子(FGF1〜23)およびインスリン増殖因子(IGF1〜2)である。FGFは、それらの受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4)への結合を介して、多種多様な細胞および組織の増殖および分化過程において重要な役割を果たし、それによって血管形成、創傷治癒、胚発生、および様々な内分泌シグナル伝達経路などの過程に関与する。一方、IGFは、インスリンと同様の分子構造を有し、その受容体IGF−1Rに結合して、小児期の成長に対する効果を媒介し、成人において同化の効果を持ち続ける。これらの要因の両方が、アルツハイマー病などの中枢神経系(CNS)の神経変性障害の病因にも関与している(Li JS et al.,Med Hypotheses,2013Apr.80(4),341−4 and Gasparini et al.,Trends Neurosci.2003Aug.26(8):404−6)。
シナプス喪失および海馬体積の減少は、脳におけるアルツハイマー病の病理学的徴候であり、シナプス喪失が疾患における認知低下の最良の神経解剖学的指標であることを多くの研究が示唆している。前脳基底部コリン作動性ニューロン(BFCN)は、ADの病状に対して特に損傷を受けやすいと思われるニューロンの亜集団である。これらのニューロンの機能障害性萎縮は、次に皮質および海馬神経支配(innervation)の重度の喪失をもたらすが、ADにおけるコリン作動系の機能障害の原因となり得る(Bartus RT Exp Neurol2000;163:495−529)。疾患における重度の皮質コリン作動性欠損には、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性およびアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性の喪失も含まれる。前脳基底部コリン作動系はNGFに依存し、コリン作動性前脳基底部ニューロンはNGFの受容体、すなわちTrkAを発現する主要な細胞群である。コリン作動性ニューロンの生存および機能におけるNGFの役割は十分に確立されているが、研究により、この系によって媒介される神経保護/神経回復効果、例えば、動物における軸索切断コリン作動性投射がTrkA活性化によって救済され得ることが示されている(Lucidi−Phillipi CA,Neuron.,1996,16(3):653−663)。
AD患者の脳における初期の形態学的変化は、海馬体積の減少である。BDNF/TrkB刺激シグナル伝達は、特に海馬ニューロンの生存および形態形成に必要であることが今までに示されている。さらに、BDNFが神経可塑性および長期増強(LTP)において重要な役割を果たすことは広く認められている。実際、BDNFシグナル伝達の増加がADにおける認知を改善する可能性があることを示す実験的証拠が増えている。アミロイドおよびタウの病状、すなわちADの主要な神経病理学的特徴を発現するADのトリプルトランスジェニックマウスモデルの脳への幹細胞の移植は、認知の改善をもたらす(Blurton−Jones M,PNAS,2009.106(32):p.13594−13599)。この効果はBDNFによって媒介されるが、それは、機能獲得研究によって組換えBDNFが神経幹細胞(NSC)移植の有益な効果を模する(mimic)ことが示されているからである。さらに、機能喪失研究によって、NSC由来BDNFの枯渇は認知を改善せず、または海馬シナプス密度を回復しないことが示されている。
TrkA/NGFおよびTrkB/BDNF系の強力な神経保護および神経回復効果を考えると、ニューロトロフィンシグナル伝達の小分子の正のモジュレーターは、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、ならびに他のパーキンソン障害を含むがこれに限定されない、神経変性を伴う多くの疾患の治療に有益であり得る。モジュレーターはまた、多発性硬化症を含むがこれに限定されない脱髄疾患などの、神経再生の増強が有益である疾患の治療にも使用することができる。モジュレーターはまた、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷などの、損傷前または損傷後の神経保護にも使用し得る。さらに、シナプス可塑性におけるこれらのニューロトロフィン系の重要な役割は、学習および記憶プロセスを媒介すると考えられており、軽度認知障害、認知症障害(血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老人性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)、および統合失調症における認知機能障害を含むがこれらに限定されない、認知機能が損傷している疾患にモジュレーターが使用され得ることを示している。
最近のデータはまた、NGF/TrkAおよびBDNF/TrkB系がメタボトロフィン(metabotrophin)として作用し得ること、すなわち心臓代謝ホメオスタシス(グルコースおよび脂質代謝、ならびにエネルギーバランス、心臓保護、および創傷治癒)に関与し得ることを示した(Chaldakov G,Arch Ital Biol.2011 Jun.149(2):257−63)。事実、BDNFおよびその受容体TrkBをコードする遺伝子における変異は、ヒトにおいて重度の肥満をもたらすことが示されている(Yeo,GS.et al.Nat.Neurosci.2004,7,1187−1189)。したがって、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病、およびメタボリックシンドロームなどの適応症もまた、NGF/TrkAおよびBDNF/TrkB指向型治療から利益を受け得る。
ニューロトロフィンシグナル伝達に関する別の関心領域は神経精神障害である(Castren E et al.,Neurobiol Dis.2016 Jul 15,30169−3)。例えば、鬱病患者では血清BDNFレベルが低下しており、このレベルが病状回復の成功後に回復することが研究によって明確に実証されている(Shimizu et al.,2003,Sen et al.,2008)。さらに、様々な抗鬱薬による長期治療が、大脳皮質および海馬におけるBDNF mRNAおよびタンパク質レベルを増加させることがいくつかの研究により実証されている(Calabrese et al.,Psychopharmacology,2011,215,pp.267−275)。また、脳へのBDNFの局所投与は、鬱病様の行動を減少させ、抗鬱薬の効果を模することが示されている(Hoshaw et al.,Brain Res.,2005,1037,pp.204−208)。特に、BDNFの役割は鬱病に限られるようではなく、それはまた不安および統合失調症などの他の疾患にも関係している(Castren E.,Handb.Exp.Pharmacol.,2014,220,pp.461−479)。これらのデータは、ニューロトロフィン系、例えばNGF/TrkAおよびBDNF/TrkBを標的とする治療が、鬱病、統合失調症、および不安を含むがこれらに限定されないいくつかの神経精神障害において治療効果を有し得ることを示唆している。
NGFおよびBDNFがそれらの神経保護効果および神経回復効果と組み合わせて神経ホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすという発見により、これらの経路が中枢神経系および末梢神経系の疾患の治療のための薬物介入の候補として非常に適したものとなる。しかしながら、BDNFおよびNGFは、それらの薬物動態学的特性、投与の困難性、およびそれらの血液脳関門を通過する能力が制限されているために、それ自体理想的な薬物候補ではない。このことは、NGFもしくはBDNFの、ペプチド、環化ペプチド、ペプチドミメティック、小分子アゴニスト、または選択的モジュレーターを同定するいくつかの試みをもたらした。ガンボギンアミド(gambogic amide)(およびその類似体)、デオキシゲズニン(deoxygedunin)、および7,8−ジヒドロキシフラボンなどのいくつかの天然物は、TrkAまたはTrkBアゴニストとして作用することが実証されている。さらに、三環式抑制薬アミトリプチリンもまたTrkAおよびTrkBアゴニストであることが示されている。しかしながら、現在、市場に出ている特定のTrkAまたはTrkBアゴニストはない。したがって、神経性(neurological)障害および非神経性障害の両方の治療のための、TrkC、FGFR1、および/またはIGF1R、ならびに任意選択で他の受容体型チロシンキナーゼと組み合わせる、TrkAおよび/またはTrkB受容体を刺激または調節する能力を有する小分子化合物に対する当該技術分野における未だ満たされていない必要性が存在する。TrkAおよび/またはTrkB受容体に対する改善された効力および改善された選択性を有する化合物が依然として必要とされている。
BDNF産生は、BDNF遺伝子(rs6265)内の多型により影響され得、コドン66でのバリン(Val)からメチオニン(Met)への置換を引き起こす(Val66Met)。この多型は、白人のおよそ30%およびアジア人口の最大70%に見られる。1つまたは2つのMet対立遺伝子の存在は、対象におけるより低いBDNF産生に関連する。このより低いBDNF産生は、認知低下および海馬体積の減少をもたらし得る。
Bootsらによる研究により(Neurology,2017,88,1−9)、BDNF Met対立遺伝子を保有する孤発性アルツハイマー病に罹患している対象が、非保有者よりもエピソード記憶および遂行機能においてより急激な低下を経験することが実証された。家族性アルツハイマー病を有するVal66Met患者において、記憶のより大きな低下および海馬機能の低下も観察されている(Lim et al.,Brain,2016,139(10),2766−2777)。同じ研究により、この患者群の脳脊髄液中のタウタンパク質およびリン酸化タウタンパク質の増加も示された。前臨床的または臨床的アルツハイマー病を有する対象における記憶の低下はアミロイド斑負荷の増大によって悪化し、したがって、このことはVal66Met多型を有する患者におけるBDNFの効果を増強することにより、疾患の様々な段階でアルツハイマー病を治療することが可能であることを示唆している。そのような治療は、神経保護および認知機能の増大をもたらし得る。
トルトラズリル(1−メチル−3−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン;Baycox(登録商標))およびその酸化代謝物、特にトルトラズリルスルホン(ポナズリル;Marquis(登録商標))は、イソスポラ症、トキソプラズマ症、ネオスポラ症、およびウマ原虫性髄膜脳炎などのコクシジウム感染症を治療するために獣医学で使用されるトリアジン系抗原虫化合物である。
Suzukiらによる最近の研究により(FEBS Open Bio 2016,6 461−468)、トルトラズリルがエフリンB型受容体2(EphB2;記憶および学習機能において役割を果たすと理解されている受容体)へのβ−アミロイドオリゴマーの結合を30%阻害することが報告された。しかし、細胞プリオンタンパク質(PrP)において同様の阻害活性がなかったことから、それは、アルツハイマー病の治療のための潜在的な候補化合物としてのさらなる研究には選択されなかった。
本明細書における明白な先行公開文献の記載または考察は、該文献が先端水準の一部であるかまたは共通の一般知識であることを認めるものとして必ずしも解釈されるべきではない。
ここで驚くべきことに、トルトラズリルおよびその酸化誘導体などのある特定の4−フェノキシ−フェニル−1,3,5−トリアジン誘導体は、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkCを含む)ならびにIGF1Rおよび/またはFGFR1などの受容体型チロシンキナーゼの正のモジュレーターであり、したがって、アルツハイマー病などのニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療に有用となる特性を有する。それらの作用機序の結果として、該化合物は、予想外にも、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるアルツハイマー病などの疾患の治療薬として特に好適である。
本概要は、本開示の主題のいくつかの実施形態を列挙し、多くの場合、これらの実施形態の変形および置換を列挙する。本概要は、多くの様々な実施形態の単なる例示である。所与の実施形態の1つ以上の代表的な特徴についての言及は同様に例示的である。そのような実施形態は、典型的には、言及された特徴を伴ってまたは伴わずに存在することができ、同様に、それらの特徴は、本概要に列挙されているか否かにかかわらず、本開示の主題の他の実施形態に適用することができる。過度の繰り返しを避けるため、本概要は、そのような特徴の全ての可能な組み合わせを列挙または示唆しない。
言い換えれば、疑念を避けるために、当業者は、本発明の特定の態様の化合物(例えば本発明の第1の態様、すなわち、本明細書の第1の態様で定義される式Iの化合物を指す)への本明細書における言及が、全ての実施形態およびその特定の特徴への言及を含み、その実施形態および特定の特徴は組み合わせて、本発明のさらなる実施形態および特徴を形成し得ることを理解するであろう。
IGF1Rおよび/またはFGFR1受容体分子などの受容体型チロシン受容体によって媒介されるシグナル伝達に対する、直接的または間接的のいずれかでの調節効果と任意選択で組み合わせて、TrkA、TrkB、およびTrkC受容体によって媒介されるシグナル伝達に対して、直接的または間接的のいずれかで正の調節効果を有する化合物が本明細書に開示される。
新しい医薬用途のための化合物
本発明の第1の態様において、脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防に使用するための、式Iの化合物:
Figure 2020502225

(式中、
は、C1〜4アルキル、−OC1〜4アルキル、ハロゲン、−OC1〜4ハロアルキル、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の(例えば1つの)基によって任意選択で置換されたフェニル、1つ以上の(例えば1つの)メチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、または特にC1〜4アルキルを表し、
は、1つ以上の(例えば1つの)メトキシ基によって任意選択で置換されたOC1〜4アルキル、または特にC1〜4アルキルを表し、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S−、C1〜4ハロアルキル−S(O)−、
1〜4ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択される)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
疑念を避けるために、本明細書で定義される式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩を「本発明の化合物」と称し得る。さらに、疑義を避けるために、当業者は、本発明の主題である本発明の化合物が、入手可能なもの、すなわち安定した形態で調製され得るものを含むことを理解するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば反応混合物から有用な純度までの、単離に耐えるほどに十分に頑強なものを含む。
本発明の代替の第1の態様において、脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療する方法であって、それを必要としている患者に治療有効量の上記で定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
本発明のさらなる代替の第1の態様において、脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療するための薬剤の製造のための、上記で定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用が提供される。
特定の実施形態(すなわち、本発明の第1の態様の特定の実施形態)において、式Iの化合物は、RがC1〜2アルキル(例えばメチル)、−OC1〜2アルキル(例えばメトキシ)、Cl、F、−OC1〜2ハロアルキル(例えば−OCF)、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の(例えば1つの)基によって任意選択で置換されたフェニル、1つ以上の(例えば1つの)メチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、または特にC1〜4−アルキル(例えばメチル)を表すものである。
さらなる特定の実施形態において、Rは、メチル、−OCH、Cl、F、−OCF、もしくはメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意選択で置換されたフェニル、または特にC1〜4アルキル(例えばメチル)を表す。
さらなる特定の実施形態において、Rは、C1〜2アルキル、または1つ以上の(例えば1つの)メトキシ基によって任意選択で置換されたOC1〜3アルキルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rは、メチル、メトキシ(−OMe)、エトキシ(−OEt)、イソプロポキシ(−OPr)、または−OCHCHOCH(例えばメチル)を表す。
さらなる特定の実施形態において、Rはメチルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rはメチルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Uは、C1〜2ハロアルキル−S−、C1〜2ハロアルキル−S(O)−、およびC1〜2ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択される。
さらなる特定の実施形態において、Uは、CFS−、CFS(O)、およびCFS(O)−からなる群から選択される。
なおさらなる特定の実施形態において、
は、(上記で定義された通りの任意選択で置換された、または好ましくは非置換の)フェニル、または特にC1〜4アルキル(例えばC1〜2アルキル)を表し、
は、C1〜4アルキルであり、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S−、C1〜4ハロアルキル−S(O)−、および
1〜4ハロアルキル−S(O)−)からなる群から選択される。
なおさらなる特定の実施形態において、
は、メチルまたはフェニル(例えばメチル)を表し、
は、C1〜2アルキル(例えばメチル)を表し、
Uは、C1〜2フルオロアルキル−S−(例えばCFS−)、
1〜2フルオロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)、およびC1〜2フルオロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O))からなる群から選択される。
他の特定の実施形態において、Rはフェニル(すなわち、非置換のフェニル)を表す。
本発明の第1の態様に従った使用のための特定の化合物は、
1−メチル−3−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(トルトラズリル、化合物1)またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
本発明の第1の態様に従った使用のためのさらなる化合物は、
1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物2)またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
本発明の第1の態様に従った使用のためのさらなる化合物は、
1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物3)またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
トルトラズリルの酸化バリアント(すなわち、トルトラズリルスルホンおよびトルトラズリルスルホキシド)およびその類似体は、予想外にも、トルトラズリルよりも有効なTrK受容体の正のモジュレーターであることがまた見出された。アルツハイマー病などのニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患において、ニューロトロフィンのレベルを低下させることができ、したがって、化合物が低NGF/BDNF濃度でもニューロトロフィンの効果を刺激することができることが最も重要である。したがって、これらの化合物の直接投与は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患に対して特に有効な治療を提供する可能性がある。
したがって、本発明の第2の態様において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療に使用するための、上記で定義された式Iの化合物:
(式中、
およびRは、本発明の第1の態様(の様々な実施形態)に関して上記で定義された通りであり、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S(O)−およびC1〜4ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択される)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
本発明の代替の第2の態様において、ニューロトロフィンまたは他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の本発明の第2の態様に関して定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
本発明のさらなる代替の第2の態様において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患を治療および/または予防するための薬剤の製造のための、本発明の第2の態様に関して定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用が提供される。
特定の実施形態(すなわち、本発明の第2の態様の特定の実施形態)において、式Iの化合物は、
がC1〜4アルキルを表し、
がC1〜4アルキルを表し、
UがC1〜4ハロアルキル−S(O)−およびC1〜4ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択されるものである。
より特定の実施形態において、
はフェニル(すなわち、非置換フェニル)または特にメチルを表し、
はC1〜2アルキル(例えばMe)を表し、
UはC1〜2フルオロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)および
1〜2フルオロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)からなる群から選択される。
本発明の第2の態様のさらなる特定の実施形態において、
はメチルを表し、
はC1〜4アルキルを表し、
UはC1〜2フルオロアルキル−S(O)−およびC1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択される。
本発明の第2の態様の他の特定の実施形態において、Rはフェニルを表す。
本発明の第2の態様のさらなる特定の実施形態において、UはCFS(O)−および(例えばCFS(O)−)からなる群から選択される。
本発明の第2の態様に従った使用のための特定の化合物は、1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物2)またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
本発明の第2の態様に従った使用のためのさらなる特定の化合物は、1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物3)またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
本発明の第1および第2の態様の他の特定の実施形態において、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防における、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにIGF1RおよびFGFR1などの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターとしての使用に適応される。
特定の例において、式Iは以下のように定義される:
Figure 2020502225

式中、
はC1〜4アルキルを表し、
はC1〜4アルキルを表し、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S−、C1〜4ハロアルキル−S(O)−、および
1〜4ハロアルキル−S(O)−を含む群から選択される。
さらなる特定の実施形態は、
がメチルを表し、
がC1〜2アルキルを表し、
UがC1〜2フルオロアルキル−S−、C1〜2フルオロアルキル−S(O)−、および
1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、式Iに従う化合物に関する。
よりさらなる特定の実施形態は、Rがメチルであり、Rがメチルであり、Uがトリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルホニル、およびトリフルオロメチルスルフィニルを含む群から選択される、式Iに従う化合物に関する。
別の実施形態は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防における、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターとしての使用のための、化合物1−メチル−3−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物1)またはその薬学的に許容される塩に関する。
さらなる実施形態は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防における、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターとしての使用のための、化合物1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物2)またはその薬学的に許容される塩に関する。
一実施形態は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防における、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターとしての使用のための、化合物1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物3)またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明の第1および第2の態様のある特定の化合物は新規であり、および/または医薬での使用についてこれまでに開示されていない。
したがって、本発明の第3の態様において、上記に定義された式Iの化合物:
(式中、
は、C2〜4アルキル、C1〜4アルキル、−OC1〜4アルキル、ハロゲン、−OC1〜4ハロアルキル、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の基で任意選択で置換されたフェニル、1つ以上の(例えば1つの)メチル基によって任意選択で置換されたチオフェニルメチル、ベンゾフラニル、またはインドリルであり、
は、1つ以上の(例えば1つの)メトキシ基によって任意選択で置換されたOC1〜4アルキル、または特にC1〜4アルキルを表し、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S−、C1〜4ハロアルキル−S(O)−、および
1〜4ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択される)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
特定の実施形態(すなわち、本発明の第3の態様の特定の実施形態)において、Rは、C2〜4アルキル、C1〜2アルキル(例えばメチル)、OC1〜2アルキル(例えば−OCH)、Cl、F、OC1〜2ハロアルキル(例えば−OCF)、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の(例えば1つの)基によって任意選択で置換されたフェニル、1つ以上の(例えば1つの)メチル基で任意選択で置換されたチオフェニル、ベンゾフラニル、またはインドリルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rは、C1〜2アルキル(例えばメチル)、−OC1〜2アルキル(例えばOCH)、Cl、F、−OC1〜2ハロアルキル(例えば−OCF)、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の(例えば1つの)基によって置換されたフェニル、1つ以上の(例えば1つの)メチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル、ベンゾフラニル、またはインドリルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rは、メチル、−OCH、Cl、F、−OCF、またはメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意選択で置換されたフェニルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rはフェニルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rは、C1〜2アルキルまたは1つ以上の(例えば1つの)OMeで任意選択で置換されたOC1〜3アルキルを表す。
さらなる特定の実施形態において、Rは、メチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、または−OCHCHOCH(例えばメチル)を表す。
さらなる特定の実施形態において、Uは、CFS−、CFS(O)−、およびCFS(O)−からなる群から選択される。
さらなる特定の実施形態において、式Iの化合物は、
がC2〜4アルキルまたはフェニル(すなわち、非置換フェニル)を表し、
がC1〜2アルキル(例えばメチル)を表し、
UがC1〜2フルオロアルキル−S−、C1〜2フルオロアルキル−S(O)−、および
1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択されるものである。
本発明の第3の態様のより特定の実施形態において、
はフェニル(すなわち、非置換フェニル)を表し、
はメチルを表し、
UはCFS−、CFS(O)−、およびCFS(O)−からなる群から選択される。
本発明の第3の態様の特定の化合物は、
1−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物4)およびその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、
1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物5)およびその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、
1−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物6)およびその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
本発明の第4の態様において、医薬で使用するための、本発明の第2および第3の態様(の様々な実施形態)において定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
特に、医薬に使用するための、式Iの化合物(式中、
は、フェニルまたは特にC1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
は、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)および
1〜4ハロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)からなる群から選択される)
またはその薬学的に許容される塩が提供される。
さらなる実施形態において、医薬に使用するための、式Iの化合物(式中、
は、C2〜4アルキルまたは特にフェニルを表し、
は、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S−(例えばCFS−)、C1〜4ハロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)、およびC1〜4ハロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)からなる群から選択される)、
またはその薬学的に許容される塩が提供される。
なおさらなる実施形態において、特にBDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療に使用するための、式Iの化合物[式中、
は、C2〜4アルキルまたは特にフェニルを表し、
は、C1〜4アルキルを表し、
Uは、C1〜4ハロアルキル−S−(例えばCFS−)、C1〜4ハロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)、およびC1〜4ハロアルキル−S(O)−(例えばCFS(O)−)からなる群から選択される)、
またはその薬学的に許容される塩が提供される。
本明細書で使用する場合、「医薬で使用するための」との語句は、ヒトの医薬における使用のみを指すと理解し、獣医学的使用を含まない。
医薬用途
上記のように、本発明の第1から第4の態様の化合物は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療に有用である。その作用機序により、本化合物は、BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるそのような疾患の治療において特に有用性を有する。
当業者は、栄養因子が細胞組織の成長および維持を促進する分子クラスを指すことを理解するであろう。ニューロトロフィンは、神経栄養因子とも呼ばれるニューロンの成長および生存の促進に関連する分子のクラスを指すと理解され得る。ニューロトロフィンの例には、NGF、BDNF、NT3およびNT4/5が含まれる。他の栄養因子には、インスリン様成長因子(IGF−1)、線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子(HGF)、およびグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)などのグリア細胞株由来神経栄養因子、ニュールツリン(NRTN)、アルテミン(ARTN)、ならびにペルセフィン(PSPN)が含まれる。
本明細書で使用する場合、ニューロトロフィンおよび他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患との語句は、上記で列挙したものなどの栄養因子のシグナル伝達の減少を伴う疾患および障害を示すと理解され得る。そのような障害は、TrKA、TrKB、およびTrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の正の調節、および/または他の栄養因子受容体の正の調節によって治療し得る。
BDNF遺伝子におけるVal66Met変異とは、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子における多く見られる一塩基多型を指し、コドン66のバリン(Val)(Val66Met)に代えてメチオニン(Met)の置換をもたらす。
当業者は、特定の状態の「治療」(同様に、その状態を「治療する」)についての言及は、医学分野における通常の意味であると理解するであろう。特に、この用語は、状態に関連する1つ以上の臨床症状の重症度および/または発生頻度の軽減を達成することを指し、そのような症状を有するかまたはかかりやすい患者を看る医師によって判断される。例えば、アルツハイマー病の場合、この用語は治療を受けている患者の認知改善を達成することを指し得る。
本明細書で使用する場合、「予防(prevention)」(および同様に、「予防すること(preventing)」)との用語は、疾患または障害(およびその逆も同様)の予防(prophylaxis)を指すことを含む。したがって、予防(prevention)への言及は予防(prophylaxis)への言及でもあり得、逆もまた同様である。特に、この用語は、患者(または健康な対象)が状態(該状態は、患者が、医師により、関連する疾患または障害を有する、例えば、それらの治療が必要であると診断されるような患者の状態の変化を意味すると理解され得る)を発症する可能性の低下(例えば少なくとも10%の低下、例えば少なくとも20%、30%、または40%の低下、例えば少なくとも50%の低下)を達成することを指し得る。
本明細書で使用する場合、患者への言及は、哺乳動物(例えばヒト)患者を含む、治療される生きた対象を指す。特に、患者への言及はヒト患者を指す。
疑念を避けるために、当業者は、そのような治療または予防がそれを必要とする患者(または対象)で行われることを理解するであろう。患者(または対象)がそのような治療または予防を必要とすることは、日常的な技術を用いて当業者によって評価され得る。
本明細書で使用する場合、疾患および障害の用語(および同様に、状態、病気、医学的問題などの用語)は互換的に使用され得る。
4−フェノキシ−フェニル−1,3,5−トリアジン誘導体は、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターである。この化合物は、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の調節について改善された効力を有すると考えられる。本発明の化合物は、TrkAおよびTrkBに対する従来のアゴニストに関連した副作用の可能性が低いと考えられる。
別の適応には、リハビリテーションまたは新たに習得した身体的もしくは知的スキルの習得の際などに神経系の可塑性を促進することの目標がある状況設定が含まれる。さらに、これには、IGF1Rおよび/またはFGFR1受容体などの受容体型チロシンキナーゼによって媒介されるシグナル伝達に対する、直接的または間接的のいずれかでの調節効果と任意選択で組み合わせて、TrkA、TrkB、およびTrkC受容体によって媒介されるシグナル伝達に対して、直接的または直接的のいずれかで正の調節効果を有する能力を有する本発明の化合物で神経細胞もしくは非神経細胞または幹細胞を治療することによる、神経細胞もしくは非神経細胞または幹細胞の生存の促進または神経機能の促進も含まれる。
本発明は、治療において使用するための、上記で定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。上記で定義された化合物の作用機序に関する理論に拘束されることなく、化合物は下記の疾患の治療および/または予防に使用できると考えられる。
特定の実施形態において、式Iの化合物によって治療され得る疾患には、アルツハイマー病、鬱病、パーキンソン病、他のパーキンソン障害および/または他のタウオパチー、レビー小体型認知症、多発性硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、脳損傷(外傷性脳損傷を含む)、脳卒中、他の認知症障害、運動ニューロン疾患、ピック病、脊髄損傷、低酸素性虚血性損傷、認知機能障害、冠状動脈疾患、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、シャルコー・マリー・トゥース病、糖尿病性神経障害、組織再生、運動機能、神経損傷、難聴、失明、後眼部疾患、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、緑内障、高眼圧症(IOP)、網膜色素変性症、心的外傷後ストレス障害、WAGR症候群、嗅索の疾患、嗅覚低下、嗅覚機能障害、不安、脆弱X症候群、先天性中枢性低換気症候群、強迫性障害、全般性不安障害、摂食障害、双極性障害、慢性疲労症候群、視神経脊髄炎、レット症候群、フリードライヒ運動失調症、および閉塞性睡眠時無呼吸・低呼吸症候群が含まれる。
本明細書で使用する場合、「他のパーキンソン障害」との語句は、運動緩慢、震え、および姿勢保持反射障害などのパーキンソン病に類似した症状を有する障害を指すと理解され得る。そのような障害の例には、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、および大脳皮質基底核変性症(CBD)が含まれる。
「他のタウオパチー」との語句は、脳内のタウタンパク質の病理学的ミスフォールディングに関連するアルツハイマー病以外の神経変性疾患を指すことを理解され得る。そのような障害の例には、原発性年齢関連タウオパチー、進行性核上性麻痺、ピック病、大脳皮質基底核変性症、および脳炎後パーキンソン症候群が含まれる。当業者は、進行性核上性麻痺などのある特定の障害がパーキンソン障害およびタウオパチーの両方として記載され得ることを理解するであろう。
「他の認知症障害」という語句は、血管性認知症、混合型血管性認知症、偶発性認知症、術後認知症、初老期認知症、パーキンソン病に関連する認知症、およびHIV感染による認知症を含むと理解され得る。進行性核上性麻痺および大脳皮質基底核変性症はまた、認知症障害として分類され得る。
運動ニューロン疾患には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、遺伝性痙性対麻痺(HSP)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性延髄麻痺(PBP)、および仮性球麻痺が含まれる。
認知機能障害は、学習、記憶の喪失、理解、および問題解決の能力の低下を含む、患者の認知能力の低下を指すと理解され得る。認知機能障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、および統合失調症などの広範な状態と関連している。したがって、特定の実施形態において、本発明の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、または統合失調症における認知機能障害の治療に使用するためのものである。認知機能障害にはまた、術後認知機能障害および早産に関連する認識障害が含まれる。
同様に、他の特定の実施形態において、本発明の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、または統合失調症を有する患者における認知を改善するのに使用するためのものである。本明細書で使用する場合、「認知を改善する」との語句は、患者の学習、記憶、理解、および/または問題解決の能力を向上させることを示すと理解され得る。認知を改善することはまた、(例えば上記の障害に関連する)認知機能障害を患っている患者における認知の低下の速度を遅らせるまたは認知の低下を止めることを指し得る。
認知機能は、当業者に既知の標準的な検査を用いて評価し得る。そのような検査の例には、アルツハイマー病評価尺度−認知サブスケール検査(ADAS−COG)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、臨床的認知症尺度(CDR)、臨床的認知症尺度−合計点数(CDR−SB)、アルツハイマー病共同研究−前臨床アルツハイマー認知複合指数(Alzheimer’s Disease Cooperative Study−Preclinical Alzheimer Cognitive Composite)(ADCS−PACC)、および神経心理状態反復性バッテリー(RBANS)が含まれる。
本明細書で使用する場合、「摂食障害」は、過食症、神経性無食欲症、制限型神経性無食欲症、および神経性過食症を含むと理解され得る。
本発明の第1および第2の態様の他の特定の実施形態において、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老年性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、疼痛、鬱病、統合失調症、ならびに不安を含むまたは含有する群から選択される1つ以上の疾患の治療および/または予防における使用のための、式Iの化合物、例えば上記で定義された化合物1、もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
より特定の実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン病、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン疾患、ピック病、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、およびレット症候群からなる群から選択される。この群の障害の治療は、BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者に特に有効であり得る。
さらに特定の実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、鬱病、およびレット症候群からなる群から選択される。
一実施形態は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、ならびに/または他のパーキンソン障害の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症における認知機能障害、レット症候群、および/または鬱病の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
さらなる実施形態は、アルツハイマー病の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
一実施形態は、鬱病の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
一実施形態は、脱髄疾患などの神経再生の増強が有益である疾患の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
さらなる実施形態は、多発性硬化症の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
さらなる実施形態は、レット症候群の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
別の実施形態は、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、および/または外傷性脳損傷を含む脳損傷の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
一実施形態において、本発明は、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老人性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性に関連する認知症、術後認知症を含む)、および/または統合失調症における認知機能障害の予防の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
さらなる実施形態において、本発明は、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性もしくは外傷性難聴、失明および後眼部疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、ならびに/または疼痛の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
なおさらなる実施形態において、本発明は、鬱病、統合失調症、および/または不安の治療および/または予防に使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
別の実施形態は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防などの、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターが有益である疾患の治療および/または予防における、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
さらなる実施形態は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老年性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、疼痛および癌、鬱病、統合失調症、ならびに不安からなる、または含む群から選択される、1つ以上の病気の治療および/または予防における、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防などの、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターが有益である疾患を治療、予防、またはそのリスクを軽減する方法における本発明の化合物の使用に関する。
一実施形態は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老年性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、アテローム性動脈硬化、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、嗅索の疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、疼痛および癌、鬱病、統合失調症、ならびに不安を含むまたは含有する群から選択される1つ以上の疾患を治療、予防、またはそのリスクを軽減する方法であって、それを必要とするヒトなどの哺乳動物に上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法における本発明の化合物の使用に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、ならびに/または他のパーキンソン障害を治療、予防、またはそのリスクを軽減する前記方法における本発明の化合物の使用に関する。
一実施形態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症における認知機能障害、レット症候群、ならびに/または鬱病を治療、予防、またはそのリスクを軽減する前記方法における本発明の化合物の使用に関する
さらなる実施形態は、多発性硬化症などの脱髄疾患などの神経再生の促進が有益である疾患を治療、予防、またはそのリスクを軽減する前記方法における本発明の化合物の使用に関する。
なおさらなる実施形態は、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血および/または外傷性脳損傷を含む脳損傷を治療、予防、またはそのリスクを軽減する前記方法における本発明の化合物の使用に関する。
別の実施形態は、軽度認知機能障害、認知症障害(混合性血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老人性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症)、および/または統合失調症における認知機能障害を治療、予防、またはそのリスクを軽減する前記方法における本発明の化合物の使用に関する。
一実施形態は、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性もしくは外傷性難聴、失明および後眼部疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、ならびに/または疼痛を治療する前記方法における本発明の化合物の使用に関する。
さらに別の実施形態は、鬱病、統合失調症、および/または不安を治療、予防、またはそのリスクを軽減する前記方法における本発明の化合物の使用に関する。
言及する特定の実施形態は、
アルツハイマー病の治療に使用するための、1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物2)またはその薬学的に許容される塩である。
言及するさらなる特定の実施形態は、
アルツハイマー病の治療に使用するための、1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物3)またはその薬学的に許容される塩である。
言及するさらなる特定の実施形態は、
BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるアルツハイマー病の治療に使用するための、1−メチル−3−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物1)またはその薬学的に許容される塩である。
言及するさらなる特定の実施形態は、
BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるアルツハイマー病の治療に使用するための、1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物2)またはその薬学的に許容される塩である。
言及するさらなる特定の実施形態は、
BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるアルツハイマー病の治療に使用するための、1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(化合物3)またはその薬学的に許容される塩である。
医薬組成物
本明細書に記載の通り、本発明の第1から第3の態様のいずれかについて定義された化合物は医薬品として有用である。そのような化合物は、単独で投与されてもよく、または既知の医薬組成物/製剤によって投与されてもよい。
本発明の第5の態様において、本発明の第2または第3の態様(の様々な実施形態)で定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む医薬組成物が提供される。
本発明の第6の態様において、任意選択でBDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患(本明細書中に列挙される様々な疾患および障害を含む)の治療に使用するための、本発明の第1から第3の態様(の様々な実施形態)のいずれか1つで定義された化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む医薬組成物が提供される。
特定の実施形態において、BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患(本明細書中に列挙される様々な疾患および障害を含む)の治療に使用するための、本発明の第1の態様(の様々な実施形態)のいずれか1つに定義された化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む医薬組成物が提供される。
さらなる特定の実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患(本明細書中に列挙される様々な疾患および障害を含む)の治療に使用するための、本発明の第2または第3の態様(の様々な実施形態)のいずれか1つに定義された化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む医薬組成物が提供される。
当業者は、本発明の化合物が全身的におよび/または局所的に(すなわち特定の部位で)作用し得、したがって当業者に既知の適切な技術を用いて投与され得ることを理解する。
当業者は、本明細書に記載の化合物および組成物が、通常、経口、静脈内、皮下、口腔内、直腸、経皮、経鼻、気管内、気管支、舌下、鼻腔内、局所、他の非経口経路または吸入により、薬学的に許容される剤形で投与されることを理解するであろう。
適切な医薬製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、‘‘Pharmaceuticals−The Science of Dosage Form Designs’’,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988.に記載されている。本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、不活性の薬学的に許容される担体は固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が含まれる。
本明細書に記載の医薬組成物には、経口投与のための錠剤、カプセル剤、もしくはエリキシル剤、直腸投与のための坐剤、非経口もしくは筋肉内投与のための滅菌溶液または懸濁液などの形態の組成物が含まれる。あるいは、特に本発明のそのような化合物が局所的に作用する場合、医薬組成物は局所投与用に製剤化され得る。特に、化合物は、例えば人工脳脊髄液(CSF)の形態で、CNSへの局所送達用に製剤化され得る。
したがって、特定の実施形態において、医薬組成物は、錠剤もしくはカプセル剤、経口でもしくは注射により摂取される液体形態、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、吸入剤(例えば鼻腔内投与される)、または局所投与に好適な形態を含む、薬学的に許容される剤形で提供される。疑念を回避するために、そのような実施形態では、本発明の化合物は、固体(例えば、固体分散物)、液体(例えば、溶液中)、またはミセルの形態などの他の形態で存在してもよい。
したがって、本発明の化合物およびこれを含む組成物は、経口、非経口、口腔内、膣内、直腸、吸入、吹送(insufflation)、舌下、筋肉内、皮下、局所、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、および髄腔内、脳室内、および関節への注射により投与し得る。
例えば、経口投与のための医薬組成物の調製において、化合物は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチンなどの固体粉末成分または他の好適な成分、ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびポリエチレングリコールワックスなどの崩壊剤および滑沢剤と混合してもよい。次いで、混合物は、顆粒に加工されるか、または錠剤に圧縮されてもよい。
軟質ゼラチンカプセル剤は、例えば、植物油、脂肪、または軟質ゼラチンカプセルのための他の適切なビヒクルと一緒に、1つ以上の活性化合物(例えば、本発明の第1の態様の化合物、したがって、ならびに第2および第3の態様の化合物、ならびに任意で追加の治療薬)を含有するカプセル剤で調製されてもよい。同様に、硬質ゼラチンカプセル剤は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどの固体粉末成分と組み合わせてそのような化合物(複数可)を含有してもよい。
直腸投与のための投薬単位は、(i)中性脂肪基剤と混合された化合物(複数可)を収容する坐剤の形態で、(ii)植物油、パラフィン油、またはゼラチン直腸用カプセル用の他の適切なビヒクルとの混合物中に活性物質を収容するゼラチン直腸用カプセルの形態で、(iii)既製の微小浣腸剤の形態で、あるいは(iv)投与直前に適切な溶媒中で再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態で、調製されてもよい。
経口投与のための液体製剤は、化合物(複数可)および糖または糖アルコールからなる製剤の残り、ならびにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物を含有する、シロップまたは懸濁液、例えば、溶液または懸濁液の形態で調製されてもよい。所望であれば、そのような液体調製物は、着色剤、着香剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含有してもよい。液体製剤に使用できる他の賦形剤には、メグルミンおよびシクロデキストリン誘導体などのアミノ糖が含まれる。経口投与のための液体製剤は、使用前に適切な溶媒で再構成する乾燥粉末の形態で調製されてもよい。
非経口投与のための溶液は、薬学的に許容される溶媒中の化合物(複数可)の溶液として調製されてもよい。これらの溶液はまた、安定化成分および/または緩衝成分を含有してもよく、アンプルまたはバイアルの形態で単位用量に分配されてもよい。非経口投与のための溶液は、使用前に適切な溶媒で即座に再構成される乾燥調製物として調製されてもよい。
投与形式に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.05〜80重量%、さらにより好ましくは0.10〜70重量%、さらにより好ましくは0.10〜50重量%の本発明の化合物を含み、全ての比率は全組成物を基準にする。
本発明の化合物(すなわち活性成分)の効力および物理的特性に応じて、言及し得る医薬製剤には、活性成分が少なくとも1重量%(もしくは少なくとも10%、少なくとも30重量%、または少なくとも50重量%)である量で存在するものが含まれる。すなわち、医薬組成物の他の成分(すなわちアジュバント、希釈剤、および担体の添加)に対する活性成分の比は少なくとも1:99(もしくは少なくとも10:90、少なくとも30:70、または少なくとも50:50)である。
投与される化合物の量は治療される患者によって異なり、1日当たり約100ng/体重kg〜100mg/体重kgまで変化するであろう。例えば、投与量は、この開示および当該技術分野における知識から当業者によって容易に確かめることができる。したがって、当業者は、組成物中のおよび本発明の使用または方法において投与される化合物および任意選択での添加剤、ビヒクル、および/または担体の量を容易に決定することができる。
より特定的には、当業者は、本発明の化合物を様々な用量で(例えば上記の製剤として)投与することができ、好適な用量は当業者によって容易に決定されることを理解するであろう。経口、肺、および局所投与量(ならびに皮下投与量、但し、これらの投与量は相対的により低くてもよい)は、1日あたり約0.01μg/kg体重(μg/kg/日)〜約200μg/kg/日、好ましくは、約0.01〜約10μg/kg/日、より好ましくは、約0.1〜約5.0μg/kg/日の範囲であり得る。例えば、経口投与される場合、そのような化合物による治療は、典型的には約0.01μg〜約2000mg、例えば、約0.1μg〜約500mgまたは1μg〜約100mg(例えば20μg〜約80mg)の活性成分を含有する製剤の投与を含み得る。静脈内投与される場合、最も好ましい用量は、定速注入中において約0.001〜約10μg/kg/時の範囲であろう。有利には、治療は、そのような化合物および組成物を1日1回用量で投与することを含んでもよく、または1日の総投与量を1日2回、3回、もしくは4回の分割用量(本明細書に記載の用量を参照して1日2回、例えば、25mg、50mg、100mg、もしくは200mgの用量を1日2回)で投与し得る。
最適な投与量および投与頻度は、治療される特定の状態およびその重症度、特定の患者の年齢、性別、体格および体重、食事、および全身の身体状態、患者が服用している場合がある他の薬物、投与経路、処方、ならびに医師および他の当業者に既知の様々な他の要因に依存するであろう。
疑念を回避するために、当業者(例えば医師)は、個々の患者に最も好適である実際の投与量を決定することができ、これは、投与経路、治療される状態の種類および重症度、ならびに治療される特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能、および応答によって変わる可能性が高い。上記の投与量は、平均の場合の例であるが、当然に、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、そのような用量も本発明の範囲内に含まれる。
特定の実施形態において、本発明はさらに、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体とともに、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物に関する。
本発明はまた、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合することを含む、上記で定義された医薬組成物の調製方法に関する。
一実施形態は、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防などの、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターが有益である疾患の治療または治療および/もしくは予防における、上記で定義された医薬組成物の使用に関する。このような疾患の例は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老年性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、術後認知症、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、嗅索の疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、疼痛および癌、鬱病、ならびに不安を含むまたは含有する群から選択され得る。
本発明はまた、非神経性疾患および神経性疾患の両方の治療および/または予防などの、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターが有益である疾患の治療および/もしくは予防のため薬剤の製造における、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。このような疾患の例は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老年性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病およびメタボリックシンドローム、シャルコー・マリー・トゥースおよびその変形型を含む糖尿病性神経障害、神経移植およびその合併症、運動ニューロン疾患、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、鬱病、肥満、メタボリックシンドローム、疼痛および癌、統合失調症、ならびに不安を含むまたは含有する群から選択され得る。
組み合わせおよび構成成分キット(kits−of−parts)
本明細書で定義される神経系および関連する病状の治療および/または予防は、本明細書で言及される1つ以上の疾患状態の治療において、単独の治療として適用してもよいし、または本発明の化合物に加えて、価値ある従来の治療との併用治療を伴ってもよい。そのような従来の治療には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、抗炎症剤、認知および/もしくは記憶増強剤、非定型抗精神病剤、ドーパミンアゴニスト、ならびに/またはL−DOPAなどの1つ以上の薬剤を含まれ得る。
そのような併用治療および/または予防は、本発明の個々の化合物または治療および/もしくは予防の追加の薬剤の同時、逐次、または別々の投与によって達成することができる。そのような組み合わせ製品は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する。
したがって、当業者は、本発明の化合物による治療が、同じ症状に対するさらなる治療または予防方法をさらに含む(すなわち組み合わせる)ことができることを理解するであろう。特に、本発明の化合物による治療は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患(本明細書に記載のアルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、および鬱病、例えばアルツハイマー病など)の治療手段、例えば、本明細書に記載のニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする様々な疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬による治療、および/または当業者に既知である、治療に使用される1つ以上の物理的方法(外科手術による治療など)と組み合せてもよい。
本明細書に記載されるように、本発明の化合物はまた、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防に有用な1つ以上の他の(すなわち異なる)治療薬(すなわち本発明の化合物ではない薬剤)と組み合せてもよい。1つ以上の他の治療薬と合わせて本発明の化合物を投与するそのような組み合わせ製品は、別々の製剤として提供してもよく、ここでは、それらの製剤うちの少なくとも1つは本発明の化合物を含み、少なくとも1つは他の治療薬を含み、または組み合わせ製剤として提供(すなわち製剤化)されてもよい(すなわち、本発明の化合物および1つ以上の他の治療薬を含む単一製剤として提供されてもよい)。
したがって、本発明の第7の態様によれば、
(I)本発明の第2および第3の態様に従って定義される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および
(II)ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療薬、
を含む組み合わせ製品が提供され、構成要素(I)および(II)のそれぞれは、任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される。
本発明の第8の態様によれば、
(a)本発明の第5の態様に従って定義された医薬組成物、および
(b)ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療薬を、任意選択で1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と混合して含む医薬組成物
を含む構成成分キットが提供され、構成要素(A)および(B)はそれぞれ、互いに合わせて投与するのに好適な形態で提供される。
本明細書に記載の構成成分キットに関して、「と合わせて投与」(および同様に、「と合わせて投与する」)には、それぞれの製剤が、関連する状態の治療に対する医療介入の一部として、逐次、別々に、または同時に投与されることを含む。
したがって、本発明に関連して、「と合わせて投与」(同様に「と合わせて投与する」)との用語は、2つの活性成分が、関連する状態の治療および予防の過程にわたって、一緒にまたは時間的に十分に近接して(任意選択で繰り返して)投与され、いずれかの薬剤が、同じ過程の治療および予防にわたって、他の構成要素の不存在下で単独で(任意選択で繰り返して)投与される場合よりも患者のためのより大きな有益な効果を可能とすることを含む。組み合わせが、特定の状態の治療または予防に関しておよびその過程にわたって、より大きな有益な効果を提供するかどうかの決定は治療または予防される状態に依存するであろうが、当業者によって日常的に行い得る。
さらに、本発明の文脈において、「と一緒に」という用語は、2つの製剤のうちの一方が、他方の構成要素の投与の前、後、および/または同時に投与され得る(任意で繰り返して)ことを含む。この文脈で使用する場合、「同時に(simultaneously)投与する」および「同時に(at the same time as)投与する」との用語は、本発明の化合物、ならびにニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療するための追加の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の個々の用量を、互いに48時間以内に(例えば24時間、12時間、6時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、または10分以内に)投与する場合を含む。
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な他の治療薬は当業者に周知であろう。例えば、そのような他の治療薬には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗炎症薬、認知増強薬、記憶増強薬、および非定型抗精神病薬、抗鬱薬、抗アルツハイマー薬、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼモジュレーター、タウ機能修飾薬、アミロイドβ産生阻害薬、アミロイドβに対する抗体、タウに対する抗体、αシヌクレインに対する抗体、抗パーキンソン病薬、抗糖尿病薬、抗多発性硬化症薬、抗肥満薬、聴覚機能障害の治療に使用される薬剤、眼疾患の治療に使用される薬剤、嗅覚機能障害の治療に使用される薬剤、味覚機能障害の治療に使用される薬剤、抗ハンチントン薬、抗レット症候群薬、抗脳卒中薬が含まれ得る。言及し得る特定の治療薬には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アルツハイマー薬、抗パーキンソン薬、認知増強薬、アミロイドβに対する抗体、タウに対する抗体、αシヌクレインに対する抗体、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼモジュレーターが含まれる。
言及し得る組み合わせ製品の特定の実施形態は、(i)上記で定義された式Iの化合物、化合物1、化合物2もしくは化合物3(例えば、化合物2もしくは化合物3)、もしくはそれらの任意の混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、(ii)追加の治療薬またはその薬学的に許容される塩、および(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む、医薬組成物を含む。
さらなる特定の実施形態は、(i)上記で定義された式Iの化合物、化合物1、化合物2もしくは化合物3(例えば、化合物2もしくは化合物3)、もしくはそれらの任意の混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、(ii)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗炎症薬、認知増強薬、記憶増強薬、および非定型抗精神病薬、抗鬱薬、抗アルツハイマー薬、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼモジュレーター、タウ機能修飾薬、アミロイドβ産生阻害薬、アミロイドβに対する抗体、タウに対する抗体、αシヌクレインに対する抗体、抗パーキンソン薬、抗糖尿病薬、抗多発性硬化症薬剤、抗肥満薬、聴覚機能障害の治療に使用される薬剤、眼疾患の治療に使用される薬剤、嗅覚障害の治療に使用される薬剤機能、味覚機能障害の治療に使用される薬剤、抗ハンチントン薬、抗レット症候群薬、抗脳卒中薬からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤、ならびに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む、医薬組成物に関する。
化合物/組成物の調製
本明細書で定義される医薬組成物/製剤、組み合わせ製品、およびキットは、標準的および/または容認されている製薬プラクティスに従って調製することができる。
したがって、本発明の第9において、上記で定義された医薬組成物/製剤の調製方法であって、該方法は、上記で定義された本発明の化合物またはそのプロドラッグを1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と関連付けることを含む、方法が提供される。
本発明のさらなる態様(例えば第10および第11)において、上記で定義された組み合わせ製品または構成成分キットの調製方法であって、該方法は、上記で定義された本発明の化合物またはそのプロドラッグを、関連する疾患または障害の治療に有用である他の治療薬および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と関連付けることを含む、方法が提供される。
本明細書中で使用される場合、関連付けることへの言及は、2つの構成要素が互いに組み合わせて投与するのに適格とすることを意味し得る。
したがって、上記で定義された構成成分キットの調製方法に関して、2つの構成要素を互いに「関連付ける」には、構成成分キットの2つの構成要素が、
(i)別々の製剤として(すなわち、互いに独立して)提供され、その後、これらが併用治療において互いに合わせて使用されてもよいし、または
(ii)併用治療において互いに合わせて使用するための「組み合わせ包装」の別々の構成要素として一緒に包装され、提供されてもよいことが含まれる。
本発明の化合物は、様々な特許に記載されている方法などの当業者に周知の方法および以下に提供される実施例に記載されている方法により、遊離塩基またはその薬学的に許容される塩として調製することができる。例えば、参照により本明細書に含まれる米国特許第4,219,552号、特に米国特許第4,219,552号の第10欄の実施例2、3および第11欄の実施例15。
本発明の第12の態様によれば、上記で定義された本発明の化合物の調製方法であって、
式IIの化合物
Figure 2020502225

(式中、R、R、およびUは上記で定義された通りであり、特に本発明の第3の態様に従って定義された通りである)
を式IIIの化合物
Figure 2020502225

(式中、Xは好適な脱離基(例えば−Oアルキル、−Cl)を表す)
と、適当な溶媒(例えばトルエンなどの極性非プロトン性溶媒)の存在下で反応させる工程を含む、方法が提供される。
あるいは、式IIの化合物を、水素化ナトリウムなどの好適な塩基と、0℃〜室温の温度で好適な時間(例えば1〜60分間)、DMFなどの好適な溶媒中で反応させる。これに続いて、式IIIの化合物を、この混合物に0℃〜室温の温度で添加し、好適な時間(例えば1〜60分間)撹拌する。
式IIおよびIIIの化合物は市販されているか、文献において既知であるか、または本明細書に記載の方法と同様にしてもしくは従来の合成手順によるかのいずれかで、標準的な方法に従って、適当な試薬および反応条件を用いて入手可能な出発物質から得ることができる。これに関して、当業者は、特に、B.M.TrostおよびI.Flemingによる“Comprehensive Organic Synthesis”,Pergamon Press,1991を参照し得る。使用し得るさらなる参考文献には、J.A.Joule,K.MillsおよびG.F.Smithによる“Heterocyclic Chemistry”,第3版,Chapman&Hallより出版、A.R.Katritzky,C.W.ReesおよびE.F.V.Scrivenによる“Comprehensive Heterocyclic Chemistry II”,Pergamon Press,1996、および“Science of Synthesis”,Volumes 9−17(Hetarenes and Related Ring Systems),Georg Thieme Verlag,2006が含まれる。
特に、式IIの化合物は、式IVの化合物
Figure 2020502225

(式中、RおよびUは、上記で定義された通りであり、特に本発明の第3の態様に従って定義された通りである)を、式Vの化合物
Figure 2020502225

(式中、Rは、上記で定義された通りであり、特に本発明の第3の態様に従って定義された通りである)と、好適な塩基(例えば有機アミン塩基(例えばトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン))および好適な溶媒(ジクロロメタンなど)の存在下で反応させることにより調製することができる。
あるいは、式IVの化合物を、式VIの化合物
Figure 2020502225

(式中、Rは、上記で定義された通りであり、特に本発明の第3の態様に従って定義された通りである)と、好適な塩基(例えばトリエチルアミン)および好適な溶媒(例えばジクロロメタン)の存在下で反応させることができる。
同様に、式IV、V、およびVIの化合物は市販されているか、文献において既知であるか、または本明細書に記載の方法と同様にしてもしくは従来の合成手順によるかのいずれかで、標準的な方法に従って、適当な試薬および反応条件を用いて入手可能な出発物質から得ることができる。
当業者は、本明細書で定義された置換基および該置換上の置換基が、当業者に周知の方法により、本発明の化合物の調製について上記の方法の後またはその間に1回以上修飾されてもよいことを理解するであろう。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素化、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、およびニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序の間いつでも、異なるそのような基または式Iで定義された基に変えることができる。当業者はまた、A.R.Katritzky,O.Meth−CohnおよびC.W.Reesによる“Comprehensive Organic Functional Group Transformations”,Pergamon Press,1995、および/またはR.C.Larockによる“Comprehensive Organic Transformations”,Wiley−VCH,1999を参照し得る。
本発明の化合物は、それらの反応混合物から単離され、必要な場合には当業者に既知のものなどの従来技術を用いて精製することができる。したがって、本明細書に記載の本発明の化合物の調製方法は、最終工程として、本発明の化合物の単離および任意選択での精製を含んでもよい。
上記および下記の方法において、中間体化合物の官能基を保護基によって保護する必要があり得ることは当業者によって理解されるであろう。官能基の保護および脱保護は、先に言及したスキームにおける反応の前または後に行ってもよい。
保護基は、当業者に周知であって以下に記載されるような技術に従って適用および除去することができる。例えば、本明細書に記載の保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を用いて、保護されていない化合物に化学的に変換することができる。関与する化学の種類は、保護基の必要性および種類ならびに合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Synthesis”,第3版,T.W.Greene&P.G.M.Wutz,Wiley−Interscience(1999)に十分に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
理論に拘束されることを望むことなく、本発明の化合物は、アルツハイマー病などのニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする障害の治療のための新規な治療を提供すると考えられる。本化合物がTrkA、TrkB、TrkCなどの受容体ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの関連する受容体型チロシンキナーゼの調節を介してニューロトロフィンシグナル伝達を調節する能力は、それらがBDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者における障害の治療に特に適し得ることを示す。
本発明の化合物は、上記の適応症での使用のためであろうと他での使用のためであろうと、先行技術で既知の化合物よりも、より効果的であり、より毒性が低く、より長く作用し、より効力があり、より副作用が少なく、より吸収されやすく、および/もしくははより優れた薬物動態プロフィール(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティおよび/またはより低いクリアランス)を有し、ならびに/または他の有用な薬理学的、物理的、または化学的特性を有し得るという利点を有し得る。特に、本発明の化合物は、インビボでより有効でありおよび/または有利な特性を示すという利点を有し得る。
他に示さない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって理解される一般的な意味を有する。
本出願に記載の定義は、本出願を通して使用される用語を明確にすることを意図している。「本明細書」との用語は、出願全体を意味する。
本明細書で使用する場合、「疾患」との用語は、障害、状態、またはそれらの任意の同等物を含むことを意図する。
本明細書で使用する場合、「認知症」との用語は、脳の物理的変化に関連する広範な症状を記載し、症例の60〜80%を占めるアルツハイマー病、および第2の最も一般的な認知症の種類である脳卒中後に起こる血管性認知症、および老化の正常な部分である精神的な衰退を反射する老年性認知症、レビー体(DLB)を伴う認知症、前頭側頭型認知症、パーキンソン病に関連する認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、ハンチントン病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ならびに混合型認知症を含む疾患を含むことが意図されている。一実施形態において、「認知症」との用語には、アルツハイマー病、血管性認知症、老人性認知症、認レビー体(DLB)を伴う認知症、前頭側頭痴呆、パーキンソン病に関連する認知症、クロイツフェルト・ヤコブ疾患、正常圧水頭症、ハンチントン病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ならびに混合型認知症を含む。
本明細書で使用する場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「C1〜4アルキル」との用語は、1〜4個の炭素原子を有する、分枝鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。C1〜4アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルが含まれる。
本明細書で使用する場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「C1〜4ハロアルキル」との用語は、フルオロ、ヨード、ブロモ、およびクロロから選択される少なくとも1個のハロゲン置換基を有し、1〜4個の炭素原子を有する、分枝鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。C1〜4ハロアルキルの例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、トリフルオロプロピル、ブロモメチル、ブロモエチル、ジフルオロブチル、およびトリフルオロブチルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「ハロゲン」または「ハロ」との用語は、臭素、塩素、フッ素、およびヨウ素を含むことを意図している。
「C1〜4ハロアルキル−S−」との用語は、少なくとも1個のハロゲン原子を有するアルキルスルファニルを指す。例示的なハロアルキルスルファニルには、フルオロメチルスルファニル、ジフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルファニル、フルオロエチルスルファニル、およびブロモプロピルスルファニルが含まれる。
「C1〜4ハロアルキル−S(O)−」との用語は、少なくとも1個のハロゲン原子を有するアルキルスルフィニルを指す。例示的なハロアルキルスルフィニルには、フルオロメチルスルフィニル、ジフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルフィニル、フルオロエチルスルフィニル、およびブロモプロピルスルフィニルが含まれる。
「C1〜4ハロアルキル−S(O)−」との用語は、少なくとも1つのハロゲン原子を有するアルキルスルホニルを指す。ハロアルキルスルホニルの例には、フルオロメチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、フルオロエチルスルホニル、およびブロモプロピルスルホニルが含まれる。
本明細書で使用する場合、「任意選択での」または「任意選択で」との用語は、その後に説明される事象または状況が発生する可能性があるが発生する必要はないことを意味し、この記載は事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含む。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」とは、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合って、健全な医学的判断の範囲内でヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために本明細書で使用される。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を作ることによって修飾されている開示化合物の形態をいう。一般に、上記で定義された本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知の標準的な手順を用いて、例えば、十分に塩基性の化合物、例えばアルキルアミンを、好適な酸、例えば塩酸または酢酸と反応させることによって生理学的に許容される陰イオンを得ることにより得ることができる。また、カルボン酸もしくはフェノールなどの好適に酸性のプロトンを有する本発明の化合物を1当量のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物もしくはアルコキシド(例えばエトキシドもしくはメトキシド)または好適に塩基性である有機アミン(例えばコリンもしくはメグルミン)で水性媒体中で処理し、続いて従来の精製技術を行うことにより、対応するアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムなど)またはアルカリ土類金属(カルシウムなど)の塩を作ることも可能であり得る。
上記で定義された本発明の化合物は、その薬学的に許容される塩または溶媒和物、特に、酸付加塩、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムなど)もしくはアルカリ土類金属(カルシウム)の塩、アンモニア、アミノ酸(好ましくはヒスチジン、リジン、オルニチン)、テトラアルキルアンモニウム塩(好ましくは、カルニチンおよびそのエステル、コリン、テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム)、アミノポリオール(好ましくは、トロメタミン)、プリン、グアニン、ビタミン(好ましくは、ビタミンB1、B3、B6、およびB11)、アミノ糖(好ましくは、ダウノサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、N−メチルグルカミン)、およびエチルアミン誘導体(好ましくはベンザチン、ジエチルアミン、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピペラジン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン)などの塩基性アミンの塩もしくはその溶媒和物に変換してもよい。一実施形態において、その薬学的に許容される塩または溶媒和物は、ナトリウム塩またはカルシウム塩である。
本発明における様々な化合物は、特定の幾何学的形態または立体異性形態で存在してもよい。本発明は、互変異性体、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、およびそれらの他の混合物を含む、全てのそのような化合物を考慮に入れ、それらは本発明の範囲内に包含される。アルキル基などの置換基中にさらなる不斉炭素原子が存在してもよい。全てのそのような異性体ならびにそれらの混合物は、本発明に含まれることが意図される。本明細書に記載の化合物は不斉中心を有してもよい。非対称的に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離してもよい。ラセミ体の分割、光学活性出発物質からの合成、または光学活性試薬を用いた合成などによって光学活性体を調製する方法は、当技術分野において周知である。必要な場合、ラセミ材料の分離は当技術分野で既知の方法によって達成することができる。特定の立体化学または異性体形態が特定的に示されていない限り、全てのキラル、ジアステレオマーおよびラセミ体が本発明の範囲に含まれることが意図される。
本明細書で使用する場合、「互変異性体」は、水素原子の移動から生じる平衡状態で存在する他の構造異性体を意味する。例えば、ケト−エノール互変異性は、得られる化合物がケトンおよび不飽和アルコールの両方の特性を有する場合に生じる。
本明細書で使用する場合、「化合物または薬学的に許容される塩」との語句は、それらの水和物および溶媒和物を含む。
本明細書に記載の化合物および塩は同位体標識化合物(または「放射標識」)であってもよい。その場合、1つ以上の原子は、天然に典型的に見出される(すなわち、天然に存在する)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられる。導入し得る好適な同位体の例には、H(重水素については「D」とも記載される)、H(トリチウムについては「T」とも記載される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、および131Iが含まれる。使用される放射性核種はその放射能標識誘導体の特定の用途に依存するであろう。例えば、インビトロの受容体標識および競合アッセイのためには、Hまたは14Cが導入された化合物がしばしば有用である。放射線画像処理の用途のためには、11Cまたは18Fがしばしば有用である。いくつかの実施形態において、放射性核種はHである。いくつかの実施形態において、放射性核種は14Cである。いくつかの実施形態において、放射性核種は11Cである。さらに、いくつかの実施態様において、放射性核種は18Fである。
位において二環式ヘテロ芳香族基を含有する本発明の化合物について、トリアジン環へのこれらの基の結合点はベンゼン環または複素環上の任意の位置に位置し得ることが理解され得る。しかしながら、結合点がベンゼン環上(すなわち、二環の4、5、6、または7(例えば5)位)にあり、例えばベンゾフラン−5−イルまたはインドール基5−イル置換基を生じることが好ましい。
本発明の化合物はそれ自体で薬理学的活性を有し得るが、本発明の化合物のある特定の薬学的に許容される(例えば「保護された」)誘導体が存在し、または調製され得、それらはそのような活性を有さない場合があり得るが、非経口または経口投与された後に体内で代謝されて本発明の化合物を形成し得る。したがって、そのような化合物(該化合物はいくらかの薬理学的活性を有し得るが、ただし、そのような活性は該化合物が代謝される活性化合物の活性よりもかなり低い)は、本発明の化合物の「プロドラッグ」として記載され得る。
本明細書で使用する場合、プロドラッグについての言及は、経腸または非経口投与(例えば経口または非経口投与)後の所定の時間内に、実験的に(experimentally)検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含む。本発明の化合物の全てのプロドラッグは本発明の範囲内に含まれる。
さらに、本発明のある特定の化合物は、それ自体では薬理活性を全く有さないかまたは最小の薬理活性を有し得るが、非経口的または経口的に投与された後に、体内で代謝されて、それ自体で薬理学的活性を有する本発明の他の化合物を形成し得る。
本明細書の文脈において、「治療(therapy)」との用語はまた、それとは反対の特定の指示がない限り、「予防」も含む。「治療の」および「治療上」との用語はそれに合わせて解釈されるべきである。本発明の文脈内の「治療」との用語は、既存の疾患状態、急性もしくは慢性、または再発状態のいずれかを緩和するために、有効量の本発明の化合物を投与することをさらに包含する。この定義はまた、再発状態の予防のための予防的治療および慢性疾患のための継続的治療を包含する。
治療または治療および/または予防は、ヒト患者、ならびに動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、サルなどに対するものであり得ることを理解されたい。本明細書で使用する場合、「哺乳動物」および「患者」との用語は、ヒトおよび動物(特にヒト)の両方を含んでもよい。
本発明の別の実施形態は、イヌ、ウマ、およびネコなどの動物の認知障害の予防および/または治療で使用するための、上記で定義された式Iの化合物、化合物1もしくは特に化合物2もしくは化合物3、もしくはそれらの任意の混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明の化合物は、経口、非経口、口腔内、膣内、直腸、吸入、吹送、舌下、筋肉内、皮下、局所、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、髄腔内、脳室内、および関節への注射により投与してもよい。
特定の値(量など)に関して本明細書で使用する場合、「約」との用語(または「およそ」などの同様の用語)は、そのような値が定義された値の最大10%(特に、最大5%、例えば、最大1%)変動し得ることを示すと理解される。それぞれの場合において、そのような用語は、表記「±10%」などと(または関連する値に基づいて計算された特定量の変動を示すことによって)置き換えてもよいことが企図される。それぞれの場合において、そのような用語は削除してもよいこともまた企図される。
本発明は特に以下の化合物の使用に関する。
非神経性疾患および/もしくは神経性疾患の両方、または上記の疾患のうちのいずれか1つ、特にアルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症における認知機能障害、レット症候群、および鬱病の治療および/または予防における、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達のモジュレーターとしての、化合物1
一般名:トルトラズリル
(IUPAC名:1−メチル−3−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、および以下の構造式を有する)
Figure 2020502225

、および/もしくは
化合物2
一般名:トルトラズリルスルホン
(IUPAC名:1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、および以下の構造式を有する)
Figure 2020502225

、ならびに/または
化合物3
一般名:トルトラズリルスルホキシド
(IUPAC名:1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、および以下の構造式を有する)。
Figure 2020502225
化合物の調製
本発明の化合物は、様々な特許に記載されている方法によって遊離塩基またはその薬学的に許容される塩として調製することができる。例えば、参照により本明細書に含まれる米国特許第4,219,552号、特に米国特許第4,219,552号の第10欄の実施例2、3および第11欄の実施例15。
実施例1に記載の受動回避課題の結果を示す。グラフは、明るい領域内での保持潜時(retention latency)の増加によって示されるように、化合物1をスコポラミンで治療したマウスに投与することにより認知機能が改善されることを実証している。 実施例2に記載の受動回避課題の結果を示す。グラフは、明るい領域で過ごした時間の増加によって示されるように、化合物2をMK−801で治療したマウスに投与することにより認知機能が改善されることを実証している。 脳由来神経栄養因子(BDNF)で刺激したまたは刺激しないTrkB発現細胞に対する化合物1、2、および3の効果の比較を示す。BDNF受容体TrkBを発現する細胞を用いて、BDNFをリガンドとして使用した場合、化合物1(トルトラズリル)は明確な用量反応曲線を示さない。さらに、化合物1の活性は試験した2つの最高濃度で有意に減少する(A1、B1、およびC1)。この効果は、驚くべきことに、化合物2(トルトラズリルスルホン)(A2、B2およびC2)または化合物3(トルトラズリルスルホキシド)(A3、B3、およびC3)では観察されない。 NGFで刺激されたまたは刺激しないTrkA発現細胞に対する化合物1、2、および3の効果の比較を示す。TrkBおよびBDNFを用いた実験と同様の傾向がトルトラズリルについて観察されるが(A1、A2、およびA3)、結果は統計的に有意ではない。これは、TrkBを活性化するトルトラズリルの能力のその酸化誘導体と比較した減少が、一般的な細胞毒性によるのではなく、むしろ化合物の特定の薬理学的作用によるものであることを示している。
一般的な方法:
全ての溶媒は分析用グレードのものであり、市販の無水溶媒を反応に日常的に使用した。使用した出発物質は、商業的供給源から入手可能であったかまたは文献の手順に従って調製した。室温は20〜25℃を指す。溶媒混合物組成は、体積百分率または体積比として与えられる。
MW加熱は、2450MHzで連続照射を生成する標準的なMW反応器中で行った。MWは反応混合物の加熱に使用できることが理解される。
薄層クロマトグラフィー(TLC)をMerckTLCプレート(シリカゲル60F254)で行い、スポットを紫外線で可視化した。TLCは一般に反応進行をモニタリングするために使用され、使用した溶媒は、例えば1〜10%のMeOHを含む酢酸エチルもしくはアセトニトリルもしくはDCM、0〜95%のヘキサンを含む酢酸エチルであった。ストレート相(straight phase)フラッシュカラムクロマトグラフィー(「フラッシュクロマトグラフィー」/「カラムクロマトグラフィー」)は、Merckシリカゲル60(0.040〜0.063mm)または塩基性酸化アルミニウムもしくは中性酸化アルミニウムで手動で行ったか、または表示されている溶媒システムを使用して、RediSep(商標)順相(normal−phase)フラッシュカラム(「Combiflash」)を用いたISCO Combiflash(登録商標)Companion(商標)システムを用いて自動的に行った。
NMR
NMRスペクトルは、好適な構成のプローブを備えた400MHz NMR分光計(Bruker 400MHz Avance−III)で記録した。特記しない限り、スペクトルは周囲温度で記録した。化学領域(chemical field)は、TMS(0.00ppm)からの低磁場および高磁場のppmで示した。(別段の指示がない限り)以下の基準シグナルをH−NMRに使用した:TMS∂0.00、またはDMSO−d6δ2.49、CDClδ7.25の残留溶媒シグナル。共鳴多重度は、一重項、二重項、三重項、四重項、二重項の二重項、三重項の三重項、三重項の二重項、多重項、広幅、および見かけに対して、それぞれs、d、t、q、m、dd、tt、dt、br、およびappと表される。いくつかの場合には、診断シグナルのみが報告される。
HPLC、HPLCMS、およびLCMS分析:
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を逆相(RP)カラムで行った。例えば、移動相A(水中の5mM酢酸アンモニウム+0.1%ギ酸)およびB(アセトニトリル中0.1%ギ酸)、もしくはA(水中の0.1%NH3)およびB(アセトニトリル中の0.1%NH3)、またはA(水中の10mM酢酸アンモニウム)およびB(アセトニトリル)を用いて勾配を適用した。
使用した逆相カラムは、例えば:BEHC18(50×2.1mm)、1.7μm;X−Bridge C18(50×4.6mm)、3.5μm;X−Bridge/YMCC18(150×4.6mm)、5μm;BEH C18(50×2.1mm)、1.7μmとした。使用した流速は、例えば0.55ml/分または1.00ml/分であった。
質量分析(MS)分析は、エレクトロスプレーイオン化(ESI+/−)を用いて陽および/または陰イオンモードで行った。
分取HPLCクロマトグラフィー:
分取クロマトグラフィーは、PDA検出器を備えたWaters e2695 Separation Moduleで行った。カラム;X−BRIDGE C18、150×4.6mm、5μm、もしくはX−Bridge C18(250×19mm)5μm、またはGEMINI C18(250×21.2mm)5μm。
例えば、LC分離のために、流速1ml/分で、移動相A(水中の0.1%NH)およびB(アセトニトリル中の0.1%NH3)、A(水中の0.1%TFA)およびB(アセトニトリル)、A(水中の5mM重炭酸アンモニウム+0.05%アンモニア)およびB(アセトニトリル)、A(5mM重炭酸アンモニウム)およびB(アセトニトリル)を用いて勾配を適用した。
ストレート(順)相HPLC分析:
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)はストレート(順)相カラムで行った。例えば相A(ヘキサン)および相B(XX)を使用して線形(linear)勾配またはアイソクラティックフローを適用した。
略語
DCM ジクロロメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
TEA トリエチルアミン
Collaborative Drug Discovery Inc.(米国、カリフォルニア州バーリンゲーム)のCDD vault、もしくはiChemLabs LLC(米国)のChemDoodle8.1.0、またはAdvanced Chemistry Development(ACD/labs)(カナダ、オンタリオ州)のACD/ChemSketch2012(14.01)を使用して化合物を命名した。化合物の名称と同じ化合物の構造式との間に矛盾がある場合、構造式が化合物の分子構造について決め手となる。
中間体1
1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−3−フェニル尿素
Figure 2020502225

3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}アニリン(市販、1.78g、0.0059mol)およびTEA(1.67mL)をDCM(18.0mL)に添加し、攪拌し、0℃に冷却した。フェニルイソシアネート(0.708mL、0.0065mol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、反応混合物を水(25ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を、移動相としてのヘキサン中の15%酢酸エチルおよび固定相としての100〜200シリカによるカラムクロマトグラフィーで精製して、2.25g(収率90%)の表題化合物を得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d6)δppm2.09(s,3H)6.87−7.12(m,4H)7.18−7.41(m,4H),7.41−7.51(m,4H)7.64−7.72(s,1H)8.76(s,1H);MS(ES+)m/z419[M+H]
中間体2
1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]フェノキシ}フェニル)−3−フェニル尿素
Figure 2020502225

オキソン(8.810g、0.0143mol)をメタノール(30mL)中の1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−3−フェニル尿素(中間体68、1.5g、0.0035mol)の溶液に25℃で何回かに分けて添加し、同じ温度で48時間撹拌した。反応混合物を氷水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(3×40ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を、溶離液としてヘキサン中の60%酢酸エチルを用いてシリカゲル(100〜200メッシュ)で精製して、0.580g(39%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm2.10(s,3H)6.92−7.00(m,1H)7.02−7.07(m,1H)7.09−7.17(m,2H)7.23−7.30(m,2H)7.32−7.41(m,1H)7.43−7.53(m,3H)7.83−7.90(m,2H)8.69(s,1H)8.73(s,1H);MS(ES−)m/z433[M−H]
合成例1(化合物4)
1−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン
Figure 2020502225

マグネチックスターラーを予め備えた30ml密封菅中で、エトキシカルボニルイソシアネート(0.291g、0.0025mol)を、トルエン(5.70mL)中の1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]フェノキシ}フェニル−3−フェニル尿素(中間体69、0.570g、0.0012mol)の溶液に0℃で撹拌しながら添加した。得られた反応混合物を110℃で16時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を、調整剤として0.1%アンモニアおよび移動相として水:アセトニトリル(0〜100%勾配系)を用いた分取HPLC精製によって精製して、0.045g(8%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm2.18(s,3H)7.15−7.26(m,3H)7.29−7.36(m,1H)7.37−7.55(m,6H)7.90−7.98(m,2H)12.05(s,1H);MS(ES−)m/z502[M−H]
合成例2(化合物5)
1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン
Figure 2020502225

マグネチックスターラーを予め備えた30mlの密封菅中で、1−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−3−フェニル尿素(中間体68、0.60g、0.0014mol)をトルエン(6.00mL)に溶解し、0℃に冷却した。反応混合物に、エトキシカルボニルイソシアネート(0.247g、0.0021mol)を添加した。反応混合物を110℃で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を、移動相として酢酸エチルおよび固定相として60〜120シリカを使用することによってコンビフラッシュクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を、調整剤として5mM重炭酸アンモニウム+0.05%アンモニアおよび移動相として水:アセトニトリル(0〜100%勾配系)を用いた分取HPLC精製によってさらに精製して、0.020g(2.9%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm2.15(s,3H)6.99−7.06(m,2H)7.08−7.14(m,1H)7.24−7.30(m,1H)7.33−7.51(m,6H)7.68−7.75(m,2H)12.00(s,1H);MS(ES−)m/z486[M−H]
合成例3(化合物6)
1−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン
Figure 2020502225

m−クロロペルオキシ安息香酸(70%、0.048g、0.000198mol)を、DCM(0.250ml)中の1−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−3−フェニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(合成例1(化合物4)、0.025g、0.0000496mol)の溶液に0℃で何回かに分けて添加した。反応混合物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物を氷水(20ml)でクエンチし、DCM(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、調整剤として0.1%アンモニアおよび移動相として水:アセトニトリル(0〜100%勾配系)を用いることによって分取HPLCを用いて精製し、0.011g(収率42%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm2.16(s,3H)7.22−7.33(m,3H)7.33−7.55(m,7H)8.15(s,1H)8.17(s,1H)12.08(s,1H);MS(ES−)m/z518[M−H]
生物学的アッセイ
インビトロアッセイ
細胞ベースのハイスループットスクリーニングは、TrkA、TrkBおよびTrkCの正のモジュレーターを同定するために使用されている。このスクリーニングは、TrkA、TrkB、またはTrkCを過剰発現する細胞ベースのアッセイの使用を含む。アッセイの目的は、ニューロトロフィンシグナル伝達を調節する化合物を同定することである(Forsell et al2012)。アッセイは、高濃度のリガンドを使用する阻害剤モード、中濃度を使用するモジュレーターモード、および低濃度のリガンドを使用するアゴニストモードで使用することができる。
アッセイは、近接ベース(proximity−based)アッセイである酵素断片相補(EFC)技術を使用する。簡単に言えば、このアッセイで使用される細胞は、2つの融合タンパク質、すなわち、β−ガラクトシダーゼの小ペプチドおよびアダプタータンパク質に融合したTrkA、TrkB、TrkC、IGF1R、またはFGFR1のいずれか1つであり得る受容体、すなわち、β−ガラクトシダーゼの主要部分に融合したSHC1(または他の任意のTrk−アダプタータンパク質)を過剰発現する。受容体へのリガンド結合は、細胞内ドメインのリン酸化およびそれ故の受容体へのアダプタータンパク質の動員を含む。受容体上の小さな活性化ペプチドとアダプタータンパク質上のβ−ガラクトシダーゼの主要部分との間の近接は活性β−ガラクトシダーゼ酵素をもたらす。受容体の活性化は、非発光基質の発光生成物への変換による活性β−ガラクトシダーゼの量を測定することによって定量化される。
TrkAまたはTrkBまたはTrkCを過剰発現しているU2OS細胞を96または384ウェルプレートでプレーティングし、一晩インキュベートする。あるいは、IGFR1を発現する凍結保存HEK293細胞またはFGFR1を発現する凍結保存U2OS細胞を96または384ウェルプレートでプレーティングした。翌日、試験化合物をリガンド(NGF、BDNF、NT−3、IGF−1、または塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF(FGF−2)))と予め混合し、次いでリガンド−化合物混合物を細胞に添加して、典型的には10ng/mLの(または図3および4に示される)最終リガンド濃度を生じさせた。室温で3時間インキュベーションした後、界面活性剤を含有するβ−ガラクトシダーゼ基質混合物を添加することによりインキュベーションを停止する。基質混合物を周囲温度で60分間インキュベートする。その後、発光をプレートリーダーを用いて読み取る。
インビボアッセイ
受動回避課題
受動回避(PA)は、無条件刺激、すなわち電気的足ショックを調整することによって記憶機能の促進および障害の両方の分析を可能にする古典的(パブロフ)恐怖条件付けに基づく嫌悪学習課題である。一般に、認知障害剤を動物に投与して、様々な認知障害、例えば、コリン作動性(スコポラミン)およびグルタミン酸作動性(MK−801)欠損症に存在する神経化学的障害を模する。
試験前に、動物を実験室に持っていき、そこで60分間慣れさせる。試験は、分離壁に組み込まれた小さなスライドドアおよびステンレス鋼バーの床を備えた同じ大きさの2つの連通区画を有する改良されたシャトル箱を用いて行われる。一方の区画は照明がなく、したがって黒であり、他方の区画(明るい区画)はプレキシガラスカバーの上部に設置された電球によって照らされている。PAトレーニングは1回のセッションで行われる。動物は60秒間区画を探索できるようにし、その後スライドドアが自動的に開き、マウスは暗い区画の中へ横断できるようにする。マウスが4本の全ての足で暗室に入ると、スライドドアは自動的に閉じ、乱波長の(scrambled)電流がグリッドフロアを通って供給される。暗い区画へ横断するための潜時(トレーニング潜時)を記録する。保持潜時および明るい区画で過ごした合計時間を24時間後に試験する(2日目)。動物を明るい区画に入れ、15秒間探索できるようようにし、15秒の際にスライドドアを開けて、300秒間にわたって暗い区画に自由にアクセスできるようにする。4本の全ての足で暗い区画の中へと横断するまでの潜時(保持潜時)、ならびに明るい区画での時間および他のいくつかの関連するパラメーター(暗い区画における訪問数など)を測定する。
実施例1では、ビヒクル(0.1M PBS中20%DMSO)または化合物1(20mg/kg)を、PAトレーニング前に4日間、1日1回、C57/B16マウスに投与(腹腔内投与)した。さらに、PAトレーニング日に、0.3mg/kgのスコポラミンまたはビヒクルをトレーニングの30分前に皮下投与した。保持潜時に関するデータを図1に示す。
実施例2では、ビヒクル(0.1M PBS中20%DMSO)または異なる用量の化合物2を、PAトレーニング前に4日間、1日1回、C57/Bl6マウスに投与(腹腔内投与)した。さらに、PAトレーニング日に、0.3mg/kgのMK−801またはビヒクルをトレーニングの30分前に皮下投与した。明るい区画で過ごした合計時間に関するデータを図2に示す。
実施例3では、ビヒクル(0.1M PBS中20%DMSO)または異なる用量の化合物3を、PAトレーニング前に4日間、1日1回、C57/B16マウスに投与(腹腔内投与)する。さらに、PAトレーニング日に、0.3mg/kgのMK−801またはビヒクルをトレーニングの30分前に皮下投与した。
結果(インビトロアッセイ)
代表的な化合物に対してのこれらのアッセイのデータを以下の表に示す。効力はEC50(μM)として表され、有効性は10ng/mLのリガンドに対する刺激%として表される。使用したリガンドは、それぞれNGF(TrkAアッセイ用)、BDNF(TrkBアッセイ用)、NT−3(TrkCアッセイ用)、bFGF(FGFR1アッセイ用)、IGF−1(IGFR1アッセイ用)であった。データは、本発明の化合物が有用な治療特性を有するものと期待されることを示している。
Figure 2020502225

Claims (34)

  1. 脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者における、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防に使用するための、式Iの化合物:
    Figure 2020502225

    であって、
    式中、
    は、
    1〜4アルキル、−OC1〜4アルキル、ハロゲン、−OC1〜4ハロアルキル、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の基によって任意選択で置換されたフェニル;1つ以上のメチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル;ベンゾフラニル;インドリル;またはC1〜4アルキルを表し、
    は、1つ以上のメトキシ基によって任意選択で置換された−OC1〜4アルキル;または
    1〜4アルキルを表し、
    Uは、C1〜4ハロアルキル−S−、C1〜4ハロアルキル−S(O)−、および
    1〜4ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、化合物、
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
  2. 脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者における、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に請求項1に記載の治療有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、方法。
  3. 脳由来神経栄養因子遺伝子においてVal66Met変異を有する患者における、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防のための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
  4. が、C1〜2アルキル、−OC1〜2アルキル、Cl、F、−OC1〜2ハロアルキル、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の基で任意選択で置換されたフェニル、1つ以上のメチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、またはC1〜4アルキルを表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  5. が、メチル、メトキシ、Cl、F、−OCF、もしくはメチレンジオキシから選択される1つの基で任意選択で置換されたフェニル、またはC1〜4アルキルを表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  6. が、C1〜2アルキル、または1つ以上のメトキシ基によって任意選択で置換された−OC1〜3アルキルを表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  7. が、メチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、または−OCHCHOCHを表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  8. Uが、CFS−、CFS(O)−、およびCFS(O)−からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  9. が、メチルまたはフェニルを表し、
    が、C1〜2アルキルを表し、
    Uが、C1〜2フルオロアルキル−S−、C1〜2フルオロアルキル−S(O)−、および
    1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  10. 前記化合物が、1−メチル−3−(3−メチル−4−{4−[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオンまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項9に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  11. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防に使用するために、UがC1〜4ハロアルキル−S(O)−およびC1〜4ハロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、請求項1または4〜7のいずれか一項に記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
  12. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に請求項11に記載の治療有効量の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、方法。
  13. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防のための薬剤の製造のための、請求項11に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
  14. が、メチルまたはフェニルを表し、
    が、C1〜2アルキルを表し、
    Uが、C1〜2フルオロアルキル−S(O)−およびC1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  15. が、メチルを表し、
    が、C1〜4アルキルを表し、
    Uが、C1〜2フルオロアルキル−S(O)−およびC1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法または使用。
  16. 前記化合物が、
    1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、
    1−メチル−3−[3−メチル−4−(4−トリフルオロメタンスルフィニルフェノキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、または
    その薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項1〜3または13〜15のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  17. が、C2〜4アルキル;C1〜4アルキル、−OC1〜4アルキル、ハロゲン、−OC1〜4ハロアルキル、またはメチレンジオキシから選択される1つ以上の基によって任意選択で置換されたフェニル;1つ以上のメチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル;ベンゾフラニル;またはインドリルを表す、請求項1に記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
  18. が、C2〜4アルキル;C1〜2アルキル、−OC1〜2アルキル、Cl、F、−OC1〜2ハロアルキル、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上の基によって任意選択で置換されたフェニル;1つ以上のメチル基によって任意選択で置換されたチオフェニル;ベンゾフラニル;またはインドリルを表す、請求項17に記載の化合物。
  19. が、メチル、−OCH、Cl、F、−OCF、またはメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意選択で置換されたフェニルを表す、請求項17または18に記載の化合物。
  20. が、メチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、または−OCHCHOCHを表す、請求項17〜19のいずれか一項に記載の化合物。
  21. Uが、CFS−、CFS(O)−、およびCFS(O)−からなる群から選択される、請求項17〜20のいずれか一項に記載の化合物。
  22. が、C2〜4アルキルまたはフェニルを表し、
    が、C1〜2アルキルを表し、
    Uが、C1〜2フルオロアルキル−S−、C1〜2フルオロアルキル−S(O)−、および
    1〜2フルオロアルキル−S(O)−からなる群から選択される、請求項17、18、または20のいずれか一項に記載の化合物。
  23. が、フェニルを表し、
    が、メチルを表し、
    Uが、CFS−、CFS(O)−、およびCFS(O)−からなる群から選択される、請求項17記載の化合物。
  24. 医薬に使用するための、請求項11または14〜23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
  25. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、鬱病、パーキンソン病、他のパーキンソン障害、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、多発性硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、脳損傷、脳卒中、他の認知症障害、運動ニューロン疾患、ピック病、脊髄損傷、低酸素性虚血障害、認知機能障害、冠動脈疾患、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、シャルコー・マリー・トゥース病、糖尿病性神経障害、組織再生、運動機能、神経損傷、難聴、失明、後眼部疾患、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、緑内障、高眼圧症、網膜色素変性症、心的外傷後ストレス障害、WAGR症候群、嗅索の疾患、嗅覚低下、嗅覚機能障害、不安、脆弱X症候群、先天性中枢性低換気症候群、強迫性障害、全般性不安障害、摂食障害、双極性障害、慢性疲労症候群、視神経脊髄炎、レット症候群、フリードライヒ運動失調症、および閉塞性睡眠時無呼吸・低呼吸症候群からなる群から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  26. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン病、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン疾患、ピック病、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、およびレット症候群からなる群から選択される、請求項25に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  27. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、鬱病、およびレット症候群からなる群から選択される、請求項25または26に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  28. ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする前記疾患がアルツハイマー病である、請求項25〜27のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、または使用。
  29. 請求項1、11、または25〜28のいずれか一項に記載の使用のための、請求項1、4〜11、もしくは14〜23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む、医薬組成物。
  30. 請求項11もしくは14〜23のいずれか一項に記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む、医薬組成物。
  31. (I)請求項11もしくは14〜23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および
    (II)ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療薬、
    を含む組み合わせ製品であって、構成要素(I)および(II)のそれぞれが、任意選択で薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品。
  32. (a)請求項30に記載の医薬組成物、および
    (b)ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療薬を、任意選択で1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と混合して含む医薬組成物、
    を含む構成成分キットであって、構成要素(a)および(b)が、それぞれ、互いに合わせて投与するのに適した形態で提供される、構成成分キット。
  33. 式IIの化合物:
    Figure 2020502225

    であって、
    式中、R、RおよびUは、請求項17〜23に記載の通りである、式IIの化合物を、
    式IIIの化合物であって、
    Figure 2020502225

    式中、Xは好適な脱離基を表す、式IIIの化合物と、
    好適な溶媒の存在下で反応させるステップを含む、請求項17〜23のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の調製方法。
  34. 請求項11もしくは14〜23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と関連付けることを含む、請求項30に記載の医薬組成物の製造方法。
JP2019534090A 2016-12-21 2017-12-21 トリアジントリオン誘導体、ならびにニューロトロフィン受容体および受容体型チロシンキナーゼのモジュレーターとしてのその使用。 Pending JP2020502225A (ja)

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