JP2020500930A - エベロリムス、ダクトリシブまたは両方で免疫応答を増強する方法 - Google Patents

エベロリムス、ダクトリシブまたは両方で免疫応答を増強する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、対象における免疫応答を増強する方法に関する。

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、2016年11月23日に出願された米国仮特許出願第62/425,766号明細書;2017年3月24日に出願された米国仮特許出願第62/476,160号明細書;および2017年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/576,511号明細書の優先権を主張するものであり、これらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、対象における免疫応答の促進および/または増強のための、同時、別個または順次使用のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せ;そのような組合せを含む医薬組成物;対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する方法であって、それを必要とする対象への、前記RAD001もしくはBEZ235または組合せの投与を含む方法;対象における免疫応答の促進および/または増強用の医薬の調製のためのその使用;ならびにその商品パッケージに関する。
発明の背景
mTORは、成長因子、アミノ酸およびエネルギーの形態の環境信号を統合する上で中心的役割を果たす、進化的に保存されたセリン/トレオニンキナーゼである。免疫系の研究において、mTORは、免疫微小環境からの信号を感知および統合する上でのその役割により、免疫機能の重大な調節因子として浮上しつつある。免疫細胞機能の重要な調節因子としての細胞代謝のより優れた理解により、mTORは、免疫機能と代謝との間の不可欠な連結であることを証明している。mTORは、T細胞、B細胞および抗原提示細胞において、適応免疫応答を導く、例えば、分化、活性化および機能を促進する能力を有する。
発明の要旨
一態様において、本発明は、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含み、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せを投与されていない患者よりも、感染症による疾病をより少なく経験する、方法に関する。
別の態様において、本発明は、対象における免疫応答の促進および/または増強のための、同時、別個または順次使用のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せに関する。
一態様において、本発明は、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、BEZ235または薬学的に許容されるその塩は、先天性免疫等、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する際に有効である。一部の実施形態において、組合せは、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する際に、共同で治療的に有効である。
一態様において、本発明は、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する方法であって、それを必要とする対象に、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、前記免疫応答を促進するおよび/または増強する際に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
一態様において、本発明は、老齢化に関連する状態を治療する方法であって、前記老齢化に関連する状態を治療するために、それを必要とする対象に、有効量の(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを投与するステップを含む方法も提供する。
一態様において、本発明は、対象における免疫応答の促進および/または増強のためならびに免疫応答の促進および/または増強用の医薬の調製のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの使用を提供する。
一態様において、本発明は、対象における老齢化に関連する状態の治療のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの使用を提供する。
一態様において、本発明は、有効成分として、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、対象における免疫応答の促進および/または増強におけるそれらの同時、別個または順次使用のための説明書と一緒に含む商品パッケージを提供する。
一態様において、本発明は、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、ならびに(b)対象における免疫応答の促進および/または増強におけるBEZ235または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
図1は、RAD001および/またはBEZ235治療対プラセボコホートにおける、インフルエンザワクチン株に対する抗体力価の増大を示す。RAD001および/またはBEZ235治療コホートにおける3つのインフルエンザワクチン株(A/H1N1[A/カリフォルニア/7/2009]、A/H3N2[A/テキサス/50/2012]またはB[B/マサチューセッツ/2/2012])のそれぞれに対する幾何平均力価(GMT)の比における、プラセボコホートと比べた増大(ワクチン接種の4週間後/ベースライン)が示されている。黒色太線は、研究のプライマリーエンドポイントを満たすために、3つのインフルエンザワクチン株のうちの2つにおいて必要とされるプラセボと比べたGMT比の1.2倍の増大を示している。アスタリスクは、プラセボと比べたGMTの増大が1.0を超える確率が100%であることを示している。 図2は、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235が、対象が研究薬物で治療された6週間の間に、気道感染症の罹患率および重症度を減少させることを示す。単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235は、対象が研究薬物で治療された6週間の間に、気道感染症の罹患率および重症度を減少させる。(上部)対象が研究薬物で治療された6週間の間に、1つまたは複数の気道感染症を有すると報告された各コホートにおける対象のパーセンテージが示されている。(下部)対象が研究薬物で治療された6週間の間に、中等度の重症度の気道感染症を経験した対象のパーセンテージが示されている。研究において、重度と評価された気道感染症を経験した対象はいなかった。各バーの上部の数字は、プラセボと比べたパーセント変化を示している。 図3は、BEZ235およびRAD001+BEZ235は免疫系およびインターフェロン誘導遺伝子発現の上方調節につながるが、プラセボ治療はそうではないことを示す。6週間の研究薬物治療の前対後の、全血における遺伝子発現変化のパスウェイエンリッチメント解析が示されている。この解析は、経路の高度に有意なエンリッチメントが、BEZ235単独療法およびBEZ235+RAD001組合せコホートにおいては免疫系およびインターフェロンシグナル伝達に関係しているが、プラセボコホートにおいてはそうではないことを明らかにした。X軸は、各経路における遺伝子の発現の平均log2倍変化を示している。y軸は、経路上方調節のp値の−log10を示しており、6より大きい値は、0.05未満のボンフェローニの偽発見率で統計的有意性を示している。各点は、具体的な生物学的経路を表す。 図4は、BEZ235が、10mgを上回る用量で許容できないほど高いPK変動性を有することを示す。用量(mg)対AUClastが示されている。各点は、各コホートにおける各個々の患者について、投薬の1日目または8日目のいずれかにおけるBEZ235 AUClastを表す。 図5は、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235が、細胞外マトリックスリモデリングタンパク質を上方調節することを示す。
発明の特定の実施形態の詳細な説明
一態様において、本発明は、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せに関する。別の態様において、本発明は、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する方法であって、対象に、有効量の(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、同時、別個または順次投与によって投与するステップを含む方法を提供する。
本明細書において使用される一般用語は、明示的に別段の記載がない限り、下記の意味で定義される。
用語「を含む(comprising)」および「を含む(including)」は、本明細書において、別段の注記がない限り、それらのオープンエンドおよび非限定的な意味で使用される。
本発明を記述する文脈において(とりわけ下記の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の言及は、本明細書において別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、単数形および複数形の両方を包括すると解釈されるべきである。化合物、塩等について複数形の形態が使用される場合、これは、単一の化合物、塩等も意味すると受け取られる。
用語「組合せ(combination)」または「医薬組合せ(pharmaceutical combination)」は、本明細書において、RAD001または薬学的に許容されるその塩およびBEZ235または薬学的に許容されるその塩が、同じ時間に、または組合せパートナーが協同性、例えば相乗効果を示すことを可能にする時間間隔以内で別個に、独立して投与されてよい場合、1つの投薬量単位形態(dosage unit form)の固定組合せ、非固定組合せまたは組合せ投与用の部品のキットのいずれかを指すと定義される。
用語「固定組合せ(fixed combination)」は、有効成分または治療剤、例えばRAD001およびBEZ235が、単一の実体または剤形の形態で、同時に患者に投与されることを意味する。
用語「非固定組合せ(non-fixed combination)」は、有効成分または治療剤、例えばRAD001およびBEZ235が、いずれも、同時に、同時発生的にまたは具体的な時間制限を設けず順次に、のいずれかで別個の実体または剤形として患者に投与されることを意味し、ここで、そのような投与は、それを必要とする対象、例えば哺乳動物またはヒトの体内において、治療有効レベルの2つの化合物を提供する。
用語「医薬組成物」は、本明細書において、その対象に影響を及ぼす特定の疾患または状態を治療するために、対象、例えば哺乳動物またはヒトに投与される少なくとも1つの治療剤を含有する混合物または溶液を指すと定義される。
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において、妥当な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合う形で、過剰な毒性、刺激 アレルギー反応および他の問題の合併症なしに、対象、例えば哺乳動物またはヒトの組織と接触させるのに好適である化合物、生物学的作用物質、材料、組成物および/または剤形を指すと定義される。
用語「組合せ投与(combined administration)」は、本明細書において使用される場合、単一の対象、例えば哺乳動物またはヒトへの、選択された治療剤の投与を包含すると定義され、作用物質が必ずしも同じ投与ルートによってまたは同じ時間に投与されるとは限らない、治療レジメンを含むように意図されている。
用語「治療すること」または「治療」は、本明細書において使用される場合、対象における少なくとも1つの症状を、軽減する、低減させるもしくは緩和する、または疾患、状態および/もしくは障害の進行の遅延に影響を及ぼす、治療を含む。例えば、治療は、障害の1つもしくはいくつかの症状の縮減または障害の完全な根絶であり得る。本発明の意味の範囲内で、用語「治療する」は、発症(すなわち、疾患の臨床的兆候の前の期間)を阻止する、遅延させる、および/または、疾患を発生するもしくは悪化させるリスクを低減させることも意味する。
用語「共同で治療的に活性」または「共同治療効果」は、本明細書において使用される場合、治療される温血動物(例えば、ヒト)が相乗的相互作用(共同治療効果)等の相互作用を依然として示すように、治療剤が別個に(経時的にずらした様式で、例えば配列特異的な様式で)与えられてよいことを意味する。そうなっているか否かは、とりわけ、両方の治療剤が、治療されるヒトの血液中に、少なくともある特定の時間間隔の間に存在することを示す血中レベルに準拠することによって、決定することができる。
治療剤の「有効量」、「薬学的有効量」または「治療有効量」は、免疫応答の促進および/または増強の徴候および症状を臨床的に観察可能な、ベースラインを超える観察可能な改善を提供するために十分な量である。
用語「相乗効果」は、本明細書において使用される場合、例えば(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩等の2つの作用物質の、効果を生成する、例えば、対象における免疫応答を促進および/または増強し、これが、それらだけで投与される各薬物の効果の単純な相加よりも大きい、作用を指す。相乗効果は、例えば、シグモイドEmax方程式(Holford, N. H. G. and Scheiner, L. B., Clin. Pharmacokinet. 6: 429-453 (1981))、ロエベ相加式(Loewe, S. and Muischnek, H., Arch. Exp. Pathol Pharmacol. 114: 313-326 (1926))および半数効果方程式(Chou, T. C. and Talalay, P., Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55 (1984))等の好適な方法を使用して、計算することができる。上記で言及した各方程式を、実験データに適用して、薬物の組合せの効果を評価するのを支援するための対応するグラフを作成することができる。上記で言及した方程式に関連する、対応するグラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線および組合せ指数曲線である。
用語「対象」または「患者」は、本明細書において使用される場合、免疫応答を促進するおよび/もしくは増強するならびに/または老齢化に関連する状態を有することができる、動物を含む。対象の例は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、雌ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラットおよびトランスジェニック非ヒト動物を含む。一部の実施形態において、対象は、ヒト、例えば、老齢化に関連する状態に罹患している、罹患するリスクがある、または潜在的に罹患する可能性がある、ヒトである。
用語「約」または「およそ」は、所与の値または範囲の10%以内、例えば5%以内という意味を有するものとする。
免疫応答の文脈における用語「促進する」または「増強する」は、数ある中でも、がん細胞を標的化するおよび/または死滅させる、病原体および病原体感染細胞を標的化するおよび/または死滅させる免疫細胞の能力の増大、ならびにワクチン接種後の防御免疫等の、免疫応答の増大を指す。一部の実施形態において、防御免疫は、同じ抗原を発現している病原体によるその後の感染症から保護するための十分な免疫応答(抗体力価等)または新たな病原体に対する保護の存在を指す。
用語「免疫老化(immunosenescence)」または「免疫老化状態にある(immunosenescent)」は、数ある中でも、例えば、がん、ワクチン接種、感染性病原体に対して免疫応答異常をもたらす、免疫機能の減少を指す。これは、感染症に応答する宿主の能力およびとりわけワクチン接種による長期免疫記憶の発生の両方を伴う。この免疫欠損は、普遍的であり、長寿命および短寿命種の両方において、経時的時間よりもむしろ平均余命に対するそれらの年齢に応じて、見られる。これは、高齢者の間での疾病率および死亡率の増発の主要な寄与因子とみなされる。免疫老化は、無作為な劣化現象ではなく、むしろ、進化パターンを逆に繰り返すと思われ、免疫老化によって影響を受けるパラメーターのほとんどは、遺伝子制御下にあると思われる。免疫老化は、時に、ウイルスおよび細菌等の多様な抗原への不可避の曝露の連続的感作の結果として想定することもできる。
免疫老化は、例えば老齢個体群における多くの病理学的に有意な健康問題につながる多因子状態である。造血幹細胞の機能の低下、PD1+リンパ球の増大、食細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球、T細胞、B細胞およびNK細胞の機能の低下、ならびに先天性、細胞媒介性または体液性免疫の低下等の、年齢依存性生物学的変化は、免疫老化の発症に寄与する。一態様において、免疫老化は、個体において、免疫細胞中のテロメア長を測定することによって、測定することができる(例えば、米国特許第5,741,677号明細書を参照)。免疫老化は、個体において、通常よりも少ない数のナイーブCD4および/もしくはCD8T細胞、早期プロ−B細胞およびプレ−B細胞の減少、TおよびB細胞レパートリーの減少、PD1発現T細胞の数の増大、例えば、通常よりも少ない数のPD−1陰性T細胞、CD8+CD28negT細胞の増大、CD57+および/もしくはKLRG1+CD8+T細胞の増大、LAG−3−陽性T細胞の数の増大、T細胞表面糖タンパク質の変化、抗体グリコシル化の変化、細胞内発現タンパク質のもしくは免疫細胞の表面上のグリコシル化の変化、ICOS、CTLA−4、Tim−3および/もしくはLAG−3発現CD4T細胞の増大、または老齢化した対象におけるワクチン接種に対する応答の減少を実証することによって、決定することもできる。
用語「免疫応答異常(impaired immune response)」は、対象が、数ある中でも、例えば、がん、ワクチン接種、病原体感染症に対して適切な免疫応答を有さない状態を指す。一部の実施形態において、免疫応答異常を有する対象は、予防的ワクチン接種後に保護抗体力価レベルに達しないことが予測されるか、または、この場合、対象は、治療的ワクチン接種後に細胞媒介性免疫または疾患負荷の減少を有さない。対象が先天性免疫応答遺伝子の発現異常を有する場合、対象は、免疫応答異常も有し得る。対象が、免疫機能が減少していることが公知である、または、高齢者、化学療法治療を受けている対象、無脾症の対象、免疫不全対象もしくはHIV/AIDSを有する対象等、免疫機能減少の病歴を有する、個体群のメンバーである場合、対象は、免疫応答異常も有し得る。本明細書において記述されている方法は、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤、例えば、RAD001等のアロステリックmTOR阻害剤の投与により、免疫応答異常の治療を可能にする。
用語「低い免疫増強用量(low, immune enhancing dose)」は、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばRAD001もしくはラパマイシン、またはカタリティックmTOR阻害剤(catalytic mTOR inhibitor)と併せて使用される場合、例えば、P70S6キナーゼ活性の阻害によって測定されるように、mTOR活性を完全にではないが部分的に阻害するmTOR阻害剤の用量を指す。例えばP70S6キナーゼの阻害によってmTOR活性を審査するための方法は、本明細書において論じられている。用量は、完全な免疫抑制をもたらすためには不十分であるが、免疫応答を増強するためには十分である。ある実施形態において、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤は、PD−1陽性T細胞の数もしくはパーセンテージの減少および/またはPD−1陰性T細胞の数もしくはパーセンテージの増大、あるいはPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞の比の増大をもたらす。ある実施形態において、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤は、ナイーブT細胞の数の増大をもたらす。ある実施形態において、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤は、下記のうちの1つまたは複数をもたらす:
血液細胞におけるインターフェロン誘導遺伝子の発現の増大
マーカーLAG−3、CTLA−4、ICOSまたはTim−3を発現しているT細胞のパーセンテージの減少;
例えばメモリーT細胞、例えばメモリーT細胞前駆体上における、下記のマーカー:CD62Lhigh、CD127high、CD27+およびBCL2のうちの1つまたは複数の発現の増大;
例えばナイーブまたはメモリーT細胞、例えばメモリーT細胞前駆体上における、KLRG1またはCD57の発現の減少;ならびに
メモリーT細胞前駆体、例えば、下記の特徴:増大したCD62Lhigh、増大したCD127high、増大したCD27+、減少したKLRG1および増大したBCL2のいずれか1つまたは組合せを持つ細胞の数の増大;
ここで、上述した変化のいずれかは、例えば未治療対象と比較して、例えば少なくとも一時的に出現する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが90%以下、少なくとも10であるが90%以下、少なくとも15であるが90%以下、少なくとも20であるが90%以下、少なくとも30であるが90%以下、少なくとも40であるが90%以下、少なくとも50であるが90%以下、少なくとも60であるが90%以下または少なくとも70であるが90%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが80%以下、少なくとも10であるが80%以下、少なくとも15であるが80%以下、少なくとも20であるが80%以下、少なくとも30であるが80%以下、少なくとも40であるが80%以下、少なくとも50であるが80%以下または少なくとも60であるが80%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが70%以下、少なくとも10であるが70%以下、少なくとも15であるが70%以下、少なくとも20であるが70%以下、少なくとも30であるが70%以下、少なくとも40であるが70%以下または少なくとも50であるが70%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが60%以下、少なくとも10であるが60%以下、少なくとも15であるが60%以下、少なくとも20であるが60%以下、少なくとも30であるが60%以下または少なくとも40であるが60%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが50%以下、少なくとも10であるが50%以下、少なくとも15であるが50%以下、少なくとも20であるが50%以下、少なくとも30であるが50%以下または少なくとも40であるが50%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが40%以下、少なくとも10であるが40%以下、少なくとも15であるが40%以下、少なくとも20であるが40%以下、少なくとも30であるが40%以下または少なくとも35であるが40%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5であるが30%以下、少なくとも10であるが30%以下、少なくとも15であるが30%以下、少なくとも20であるが30%以下または少なくとも25であるが30%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも1、2、3、4もしくは5であるが20%以下、少なくとも1、2、3、4もしくは5であるが30%以下、少なくとも1、2、3、4もしくは5であるが35以下、少なくとも1、2、3、4もしくは5であるが40%以下または少なくとも1、2、3、4もしくは5であるが45%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
ある実施形態において、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも1、2、3、4または5であるが90%以下のmTOR阻害に関連するまたはそれを提供する。
本明細書において論じられているように、mTOR阻害の程度は、P70S6K阻害の程度として表現することができ、例えば、mTOR阻害の程度は、P70S6K活性の減少のレベルによって、例えばP70S6K基質のリン酸化の減少によって、決定することができる。mTOR阻害のレベルは、本明細書において記述されている方法によって、例えばブーレイアッセイによって、審査することができる。
免疫応答の文脈における用語「促進する」または「増強する」は、数ある中でも、がん細胞を標的化するおよび/または死滅させる、病原体および病原体感染細胞を標的化するおよび/または死滅させる免疫細胞の能力の増大、ならびにワクチン接種後の防御免疫等、免疫応答の増大を指す。一部の実施形態において、防御免疫は、同じ抗原を発現している病原体によるその後の感染症から保護するための十分な免疫応答(抗体力価等)の存在を指す。
mTOR阻害剤
本明細書において使用される場合、用語「mTOR阻害剤」は、細胞においてmTORキナーゼを阻害する、化合物もしくはリガンド、または薬学的に許容されるその塩を指す。ある実施形態において、mTOR阻害剤は、アロステリック阻害剤である。ある実施形態において、mTOR阻害剤は、カタリティック阻害剤である。
アロステリックmTOR阻害剤は、中性三環式化合物ラパマイシン(シロリムス)、ラパマイシン関連化合物、すなわち、例えば、ラパマイシン誘導体、ラパマイシン類似体(ラパログとも称される)を含む、ラパマイシンとの構造的および機能的類似性を有する化合物、ならびにmTOR活性を阻害する他のマクロライド化合物を含む。
ラパマイシンは、式Aに示される構造を有する、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)によって生成される公知のマクロライド抗生物質である。
例えば、McAlpine, J.B., et al., J. Antibiotics (1991) 44: 688;Schreiber, S.L., et al., J. Am. Chem. Soc. (1991) 113: 7433;米国特許第3,929,992号明細書を参照されたい。ラパマイシンのために提案されている種々の番号付けスキームがある。混乱を回避するために、具体的なラパマイシン類似体が本明細書において命名される場合、その名称は、式Aの番号付けスキームを使用し、ラパマイシンを参照して与えられる。
本発明において有用なラパマイシン類似体は、例えば、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基がORによって置きかえられているO置換類似体(ここで、Rは、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アシルアミノアルキルまたはアミノアルキルである)であり、例えば、参照によりその内容が組み込まれる米国特許第5,665,772号明細書および国際公開第94/09010号パンフレットに記述されている通り、エベロリムスとしても公知のRAD001である。他の好適なラパマイシン類似体は、26または28位で置換されているものを含む。ラパマイシン類似体は、上記で言及した類似体のエピマー、特に、40、28または26位で置換されている類似体のエピマーであってよく、例えば、参照によりその内容が組み込まれる米国特許第6,015,815号明細書、国際公開第95/14023号パンフレットおよび国際公開第99/15530号パンフレットに記述されている通り、場合によりさらに水素化されていてよく、例えば、参照によりその内容が組み込まれる米国特許第7,091,213号明細書、国際公開第98/02441号パンフレットおよび国際公開第01/14387号パンフレットにおいて記述されているゾタロリムスまたはラパマイシン類似体としても公知のABT578、例えば、リダホロリムスとしても公知のAP23573であってよい。
米国特許第5,665,772号明細書から本発明において使用するために好適なラパマイシン類似体の例は、40−O−ベンジル−ラパマイシン、40−O−(4’−ヒドロキシメチル)ベンジル−ラパマイシン、40−O−[4’−(1,2−ジヒドロキシエチル)]ベンジル−ラパマイシン、40−O−アリル−ラパマイシン、40−O−[3’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4(S)−イル)−プロパ−2’−エン−1’−イル]−ラパマイシン、(2’E,4’S)−40−O−(4’,5’−ジヒドロキシペンタ−2’−エン−1’−イル)−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−(6−ヒドロキシ)ヘキシル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−[(3S)−2,2−ジメチルジオキソラン−3−イル]メチル−ラパマイシン、40−O−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロパ−1−イル]−ラパマイシン、40−O−(2−アセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチノイルオキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−モルホリノ)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−(2−N−イミダゾリルアセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−メチル−N’−ピペラジニル)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、39−O−デスメチル−39,40−O,O−エチレン−ラパマイシン、(26R)−26−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−アミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−アセトアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチンアミドエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−(N−メチル−イミダゾ−2’−イルカルボエトキサミド)エチル)−ラパマイシン、40−O−(2−エトキシカルボニルアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−トリルスルホンアミドエチル)−ラパマイシン、および40−O−[2−(4’,5’−ジカルボエトキシ−1’,2’,3’−トリアゾール−1’−イル)−エチル]−ラパマイシンを含むがこれらに限定されない。
本発明において有用な他のラパマイシン類似体は、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基および/または28位のヒドロキシ基がヒドロキシエステル基で置きかえられていることが公知である類似体、例えば、米国再発行特許第RE44,768号明細書において見られるラパマイシン類似体、例えばテムシロリムスである。
本発明において有用な他のラパマイシン類似体は、16位のメトキシ基が、別の置換基、例えば(場合によりヒドロキシ置換)アルキニルオキシ、ベンジル、オルトメトキシベンジルもしくはクロロベンジルで置きかえられている、ならびに/または、39位のメトキシ(mexthoxy)基が、39炭素と一緒に削除され、そのため、ラパマイシンのシクロヘキシル環が39位のメトキシ(methyoxy)基を欠くシクロペンチル環になるものを含み;例えば、参照によりその内容が組み込まれる国際公開第95/16691号パンフレットおよび国際公開第96/41807号パンフレットにおいて記述されている通りである。類似体は、ラパマイシンの40位のヒドロキシがアルキル化され、および/または32−カルボニルが還元されるように、さらに修飾され得る。
国際公開第95/16691号パンフレットからのラパマイシン類似体は、16−デムトキシ−16−(ペンタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デムトキシ−16−(ブタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デムトキシ−16−(プロパルギル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(4−ヒドロキシ−ブタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デムトキシ−16−ベンジルオキシ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、16−デムトキシ−16−ベンジルオキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−オルト−メトキシベンジル−ラパマイシン、16−デメトキシ−40−O−(2−メトキシエチル)−16−ペンタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ホルミル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ヒドロキシメチル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−カルボキシ−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(モルホリン−4−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−[N−メチル,N−(2−ピリジン−2−イル−エチル)]カルバモイル−42−ノル−ラパマイシンおよび39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(p−トルエンスルホニルヒドラゾノメチル)−42−ノル−ラパマイシンを含むがこれらに限定されない。
国際公開第96/41807号パンフレットからのラパマイシン類似体は、32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペンタ−2−イニル−32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペンタ−2−イニル−32−デオキソ−40−O−(2−ヒドロキシ−エチル)−ラパマイシン、16−O−ペンタ−2−イニル−32−(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−メトキシ)エチル−ラパマイシンおよび32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンを含むがこれらに限定されない。
別の好適なラパマイシン類似体は、参照によりその内容が組み込まれる米国特許出願公開第2005/0101624号明細書に記述されている通り、ウミロリムスである。
哺乳動物細胞において、ラパマイシンの標的(mTOR)キナーゼは、mTORC1複合体またはmTORC2複合体として記述されている多タンパク質複合体として存在し、これは、栄養素およびエネルギーの利用可能性を感知し、成長因子からの入力およびストレスシグナル伝達を統合する。mTORC1複合体は、ラパマイシン等のアロステリックmTOR阻害剤に対して感受性であり、mTOR、GβL、およびmTORの調節関連タンパク質(raptor)で構成され、ペプチジル−プロリルイソメラーゼFKBP12タンパク質(FK506結合タンパク質1A、12kDa)と結合する。対照的に、mTORC2複合体は、mTOR、GβL、およびmTORのラパマイシン非感受性コンパニオンタンパク質(rictor)で構成され、FKBP12タンパク質とインビトロで結合しない。
mTORC1複合体は、タンパク質翻訳制御に関与し、成長および増殖調節のための成長因子および栄養素感受性装置として動作することが示されてきた。mTORC1は、2つの主要な下流基質:リボソームタンパク質P70S6をリン酸化するP70S6キナーゼ、およびeIF4E調節キャップ依存性翻訳をモジュレートする上で主要な役割を果たす真核生物翻訳開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)を介して、タンパク質翻訳を調節する。mTORC1複合体は、細胞のエネルギーおよび栄養素恒常性に応答して細胞成長を調節し、mTORC1の脱調節は、多種多様なヒトがんにおいて一般的である。mTORC2の機能は、Aktのリン酸化を介して細胞生存を調節すること、およびアクチン細胞骨格ダイナミクスのモジュレートすることを伴う。
mTORC1複合体は、主に、FKBP12との細胞内複合体の形成およびmTORのFKBP12−ラパマイシン結合(FRB)ドメインとの結合を伴うラパマイシンの作用機序のために、ラパマイシンおよび誘導体等のアロステリックmTOR阻害剤に対して感受性である。これは、mTORC1の配座変化をもたらし、この変化は、その足場タンパク質raptorとの相互作用を変化および弱化させ、これはP70S6K1等の基質がmTORにアクセスしてリン酸化されるのを妨ぐと考えられている。ラパマイシンおよびRAD001等のラパログは、良性および悪性両方の増殖性障害に関連するmTORの超活性化を阻害することによって、臨床的重要性を獲得した。
別名エベロリムス(Afinitor(登録商標))として知られているRAD001は、化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−12−{(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−11,36−ジオキサ−4−アザ−トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−2,3,10,14,20−ペンタオンおよび下記の化学構造
を有する。
エベロリムスは、進行性腎がんの治療のためのFDA承認薬であり、腫瘍学においていくつかの他の第III相臨床試験で調査されている。前臨床研究は、エベロリムスが、おそらくラパマイシン感受性mTORC1機能の抑制を通して、多種多様な腫瘍細胞株の増殖をインビトロおよびインビボの両方で阻害できることを示した。ラパマイシンの誘導体としてのエベロリムスは、mTORC1機能の一部、すなわちP70S6キナーゼ(P70S6K)および下流P70S6K基質P70S6を阻害する上で高度に強力な、アロステリックmTOR阻害剤である。エベロリムス(および他のラパマイシン類似体)のようなアロステリックmTOR阻害剤は、mTORC2経路またはその結果として生じるAktシグナル伝達の活性化を阻害する際に効果をほとんどまたは全く有さない。アロステリックmTOR阻害剤のさらなる例は、シロリムス(ラパマイシン、AY−22989)、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(テムシロリムスまたはCCI−779とも呼ばれる)およびリダホロリムス(AP−23573/MK−8669)を含む。アロステリックmTOR阻害剤の他の例は、ゾタロリムス(ABT578)およびウミロリムスを含む。
代替的にまたは加えて、カタリティックATP競合性mTOR阻害剤は、mTORキナーゼドメインを直接標的化し、mTORC1およびmTORC2の両方を標的化することが分かっている。これらは、4EBP1−T37/46リン酸化およびキャップ依存性翻訳等のラパマイシン抵抗性mTORC1出力をモジュレートすることから、ラパマイシンのようなアロステリックmTOR阻害剤よりも完全なmTORC1の阻害剤でもある。
BEZ235は、化学名2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルおよび下記の化学構造
を有する、カタリティックmTOR阻害剤である。
BEZ235は、そのモノトシレート塩形態で使用されてもよい。BEZ235の合成は、国際公開第2006/122806号パンフレットにおいて記述されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
カタリティックmTOR阻害剤として、BEZ235は、ラパマイシン感受性(P70S6Kのリン酸化、およびその後のP70S6のリン酸化)およびラパマイシン非感受性(4EBP1のリン酸化)機能の両方を含む、mTORC1複合体の完全な機能を停止させることができる。BEZ235は、使用した薬物濃度に従う示差的効果を有し、それにより、mTORC1阻害は、非常に低濃度(10nmol/L以下)で優勢であり、mTORC1およびmTORC2阻害は低濃度(200nmol/L未満)であるが二重PI3K/mTOR阻害は比較的高濃度(およそ500nmol/L)で、優勢である。
コード番号、一般名または商標名によって同定される有効成分の構造は、標準概論「The Merck Index」の現行版、またはデータベース、例えばPatents International(例えば、IMS World Publications)から取り込まれてよい。その対応する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態において、本発明は、対象における免疫応答の増強または促進のための、同時、別個または順次使用のための、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む組合せを提供する。
一部の実施形態において、RAD001は、中性形態である。一部の実施形態において、BEZ235は、モノトシレート塩である。一部の実施形態において、RAD001は、0.01〜0.2mgの投薬量範囲、例えば0.1mgで投与される。一部の実施形態において、BEZ235は、1〜20mgの投薬量範囲、例えば10mgで投与される。
一部の実施形態において、化合物(単数もしくは複数)またはそれらの組合せは、即時放出剤形である。一部の実施形態において、化合物(単数もしくは複数)またはそれらの組合せは、週当たり1回投与される。一部の実施形態において、化合物(単数もしくは複数)またはそれらの組合せは、1日当たり1回投与される。
一部の実施形態において、対象は、免疫不全である。一部の実施形態において、対象は、HIV+であるか、またはAIDSを有する。一部の実施形態において、対象は、感染性疾患を有する。
一部の実施形態において、対象は、免疫応答異常を有する。一部の実施形態において、対象は、免疫老化状態にある。一部の実施形態において、対象は、老齢化に関連する状態、例えば免疫老化を有する。
本発明の一実施形態において、本発明は、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せ、および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
治療方法
一態様において、本発明は、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含み、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せを投与されていない患者よりも、感染症による疾病をより少なく経験する、方法を提供する。
一部の実施形態において、患者の先天性免疫は、増強される。
一部の実施形態において、抗原特異的免疫は、増強されない。
一部の実施形態において、少なくとも1つのインターフェロン誘導遺伝子(ISG)は、上方調節される。
一部の実施形態において、感染症は、尿路感染症である。
一部の実施形態において、感染症は、歯もしくは歯茎の感染症である。
一部の実施形態において、感染症は、気道感染症である。
一部の実施形態において、感染症は、ウイルス感染症である。
一部の実施形態において、患者は、高齢者である。
一部の実施形態において、患者は、少なくとも65歳である。
一部の実施形態において、患者は、少なくとも75歳である。
一部の実施形態において、患者は、少なくとも85歳である。
一部の実施形態において、低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せは、患者に、最大連続約6週間、最大連続約8週間、最大連続約10週間、最大連続約12週間、最大連続約16週間、最大連続約20週間、最大連続約6か月間、最大約1年間にわたって、または長期治療の一部として(無期限に)投与される。
一部の実施形態において、低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩は、患者に、最大連続約3週間、最大連続約6週間、最大連続約8週間、最大連続約10週間、最大連続約12週間、最大連続約16週間、最大連続約20週間、最大連続約24週間、または最大連続約6か月間にわたって投与される。
一部の実施形態において、患者は、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、約1日から約1年まで、感染症による疾病をより少なく経験し続ける。
一部の実施形態において、患者は、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも1か月および約1年までにわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける。
一部の実施形態において、患者は、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも3か月および約1年までにわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける。
一部の実施形態において、患者は、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも6か月間にわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける。
一部の実施形態において、患者は、低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を単独療法として投与される。
一部の実施形態において、患者は、低用量のRAD001または薬学的に許容されるその塩を単独療法として投与される。
一部の実施形態において、患者は、低用量のRAD001または薬学的に許容されるその塩および低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩の両方を組合せ療法として投与される。
一部の実施形態において、低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を受けている患者の薬物動態AUC変動性は、より高用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を受けている患者よりも低い。
一部の実施形態において、RAD001または薬学的に許容されるその塩は、中性形態である。
一部の実施形態において、BEZ235または薬学的に許容されるその塩は、モノトシレート塩である。
一部の実施形態において、方法は、0.01〜0.2mgのRAD001または薬学的に許容されるその塩の投与を含む。
一部の実施形態において、方法は、1〜50mgのBEZ235または薬学的に許容されるその塩の投与を含む。
一部の実施形態において、対象は、免疫不全である。
一部の実施形態において、対象は、免疫応答異常を有する。
一部の実施形態において、対象は、免疫老化状態にある。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのインターフェロン誘導遺伝子(ISG)を上方調節する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む方法を提供する。
一態様において、本発明は、細胞外マトリックスリモデリングに関与する少なくとも1つのタンパク質を上方調節する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態において、細胞外マトリックスリモデリングに関与するタンパク質は、少なくとも1日、約1週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間または約6か月間にわたる治療後に、有意に上方調節される。
一部の実施形態において、本発明は、異常な細胞外マトリックスリモデリングに関連する疾患または状態を治療する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態において、異常な細胞外マトリックスリモデリングに関連する疾患または状態は、駆出率が保たれた心不全、慢性腎不全等の心不全、糸球体腎症(glomerunephropathy)、皮膚の老齢化、NASH、肝繊維症/肝硬変、特発性肺線維症を含む肺線維症、老齢化に関連する腱機能不全/硬直、変形性関節症を含む関節炎、サルコペニア、骨髄線維症、骨髄異形成、血液脳関門の老齢化に関連する機能不全、糖尿病性腎症、アテローム性動脈硬化、または創傷治癒から選択される。
一部の実施形態において、本発明は、対象における免疫応答を促進するまたは増強する方法であって、前記対象に、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、免疫応答を促進するまたは増強する際に治療的に有効な、または共同で治療的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、対象における老齢化に関連する状態を治療する方法であって、前記対象に、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、老齢化に関連する状態、例えば免疫老化を、治療する、予防するまたは軽快させるために治療的に有効な、または共同で治療的に有効な分量で投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、免疫応答の促進または増強用の医薬の調製のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの使用を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、老齢化に関連する状態、例えば免疫老化の治療用の医薬の調製のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの使用を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩、および免疫応答の促進または増強におけるBEZ235または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
一部の実施形態において、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩、および老齢化に関連する状態の治療におけるBEZ235または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
一部の実施形態において、組合せの使用の利益は、より低用量の(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩;および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩が、組み合わせて使用される場合に使用できること、例えば、投薬量が、多くの場合、より少なくするだけではなく、より低い頻度で適用される必要もある、またはより大きい用量を用いた場合、または組合せパートナーの1つを単独で用いた場合に観察される副作用の罹患率縮減を呈することである。これは、治療される患者の所望および要件に従うものである。
確立された試験モデルによって、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの投与が、本明細書において先に記述した有益な効果をもたらすことを、示すことができる。当業者は、そのような有益な効果を証明するための妥当な試験モデルを選択することが十分にできる。化合物または組合せの薬理学的活性は、例えば、当技術分野において公知の通りまたは以下で記述する通り、臨床研究においてまたはインビボもしくはインビトロ試験手順において実証されてよい。
一態様において、本発明は、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する際に共同で治療的に有効な分量の、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩;および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。この組成物において、組合せパートナー(a)および(b)は、単一の製剤または単位剤形で、任意の好適なルートによって投与される。単位剤形は、固定組合せであってもよい。
さらなる態様において、本発明は、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する際に共同で治療的に有効な分量の、同時発生的にではあるが別個に投与されるまたは順次に投与される、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩;および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を別個に含む医薬組成物を提供する。
組合せパートナーの別個投与のための、または固定組合せ、すなわち単一の生薬組成物での投与のための、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩;および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、当技術分野において公知の様式で調製されてよく、対象への腸内(経口または経直腸等)および/または非経口投与に好適なものであり、治療有効量の少なくとも1つの組合せパートナーを単独で、例えば上記で示されている通りに、または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体との組合せで含むものである。
新規医薬組成物は、約0.1%から約99.9%まで、例えば約1%から約60%までの、有効成分(単数または複数)を含有してよい。
先行する実施形態のいずれかに従う一部の実施形態において、対象は、少なくとも65歳である。
一部の実施形態において、対象は、うっ血性心不全を有する。
一部の実施形態において、対象は、真性糖尿病を有する。
一部の実施形態において、対象は、慢性腎不全を有する。
一部の実施形態において、対象は、現喫煙者である。
一部の実施形態において、対象は、COPDを有する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、正常呼吸に干渉し、完全には可逆的でない、肺気流の慢性閉塞を特徴とする、肺疾患である。より身近な用語「慢性気管支炎」および「気腫」は、もはや使用されておらず、現在はCOPD診断内に含まれる。COPDは、単に「喫煙者の咳」ではなく、過小診断された、命を脅かす肺疾患である。COPD診断は、ある人物がいかに深く呼吸することができるかおよびいかに速く空気が肺に出入りすることができるかを測定する、肺活量測定法と呼ばれる簡単な試験によって確認される。そのような診断は、咳、痰の生成もしくは呼吸困難(難しいまたは苦しい呼吸)の症状、および/または疾患のリスク要因への曝露歴を有する任意の患者において検討されるべきである。肺活量測定法が利用不可能である場合、COPDの診断は、すべての利用可能なツールを使用して為されるべきである。異常な息切れおよび努力性呼出時間の増大等の臨床症状および徴候を使用して、診断を助けることができる。低ピークフローは、COPDと一致するが、それは他の肺疾患によっておよび試験中の性能不良によって引き起こされ得るため、COPDに特異的ではない場合がある。慢性咳および痰の生成は、多くの場合、気流制限の発生よりも何年も前に起こるが、咳および痰の生成を伴うすべての個体がCOPDの発生に進むわけではない。
一部の実施形態において、対象は、老人ホーム施設に居住する。
一部の実施形態において、対象は、生活介護施設に居住している。
一部の実施形態において、対象は、高度看護施設に居住する。
一部の実施形態において、対象は、リハビリテーション施設に居住する。
一部の実施形態において、対象は、1つまたは複数の日常生活動作で補助を必要とする。
日常生活動作(ADL)は、人々が補助を必要とすることなく毎日する傾向がある習慣となっている活動である。6つの基本的なADL:食事、入浴、更衣、トイレの使用、移動(歩行)および排尿排便の随意調節がある。ADLを実施する個体の能力は、どんな種類の長期ケア(例えば、老人ホームケアまたは在宅ケア)および保険適用(すなわち、メディケア、メディケイドまたは長期ケア保険)を個体が必要とするかを決定するために重要である。
ADL(日常生活動作):料理、摂食、入浴、更衣、身繕い、仕事、家事および余暇等のセルフケアのために我々が行う任意の日常活動を含む、日常生活において我々が通常すること。ADLを実施することができるか、またはできないかは、多くの障害において能力/能力障害の非常に実用的な尺度として使用することができる。
一部の実施形態において、対象は、運動能力障害を有する。
運動能力障害または運動機能障害は、ある人物の四肢の1つもしくは複数を使用するための能力の異常、または、歩行する、物体を握るもしくは持ち上げるために必要とされる力の減少を指す。車椅子、松葉杖または歩行器の使用を利用して、運動を支援する場合がる。運動機能障害は、老齢化に関連するサルコペニア、疾患、事故または先天性障害等のいくつかの要因によって引き起こされる場合があり、筋肉、神経筋または整形外科的機能障害による結果である場合がある。
腸内または非経口投与のための、固定組合せまたは非固定組合せを含む開示された化合物または組合せを含む医薬組成物は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤もしくは坐剤、またはアンプル剤等の単位剤形のものである。別段の指示がなければ、これらは、当技術分野において公知の様式で、例えば種々の従来の混合、粉体化、造粒、糖衣、溶解、凍結乾燥プロセスまたは当業者には容易に明らかな製作技術によって調製される。複数の投薬量単位の投与によって必要有効量に到達してよいことから、各剤形の個々の用量に含有される組合せパートナーの単位含有量は、それ自体で有効量を構成する必要がないことが分かるであろう。非経口投与のための組合せパートナーの単位含有量は、投与前に有効投薬量に希釈される、より高い投薬量の組合せパートナーを含有してよいことがさらに分かるであろう。
作用物質の組合せまたは作用物質の組合せの個々の作用物質を含有する単位剤形は、カプセル剤、例えばゼラチンカプセル剤の内部に封入されたマイクロ錠剤の形態であってよい。このため、医薬製剤において用いられるような、Pfizerから入手可能なCAPSUGEL(商標)として公知の硬ゼラチンカプセル剤等のゼラチンカプセル剤を使用することができる。
本発明の単位剤形は、医薬品に使用される追加の従来の担体または添加剤を場合によりさらに含んでよい。そのような担体の例は、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、および充填剤、賦形剤、着色剤、香味剤、および保存剤を含むがこれらに限定されない。当業者は、剤形の特定の所望の特性に関して、前述の担体の1つまたは複数を、慣用的実験により、いかなる過度の負担もなく、選択してよい。使用される各担体の量は、当技術分野において慣習的な範囲内で変動してよい。参照によりすべてが本明細書に組み込まれる下記の参考文献は、経口剤形を製剤化するために使用される技術および添加剤を開示している。The Handbook of Pharmaceutical Excipients, 4th edition, Rowe et al., Eds., American Pharmaceuticals Association (2003);およびRemington: the Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, Gennaro, Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2003)を参照されたい。
これらの任意選択の追加の従来の担体は、溶融造粒の前または最中に1つもしくは複数の従来の担体を初期混合物に組み込むことによって、または1つもしくは複数の従来の担体を経口剤形中の顆粒剤と組み合わせることによってのいずれかで、経口剤形に組み込んでよい。後者の実施形態において、組み合わせた混合物を、例えばVブレンダーを通してさらに混和し、その後、錠剤、例えばモノリシック錠剤に圧縮もしくは成型するか、カプセルによってカプセル化するか、またはサシェに充填してよい。
薬学的に許容される崩壊剤の例は、デンプン;粘土;セルロース;アルギン酸塩;ガム;架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドン、例えば、International Specialty Products(Wayne、NJ)製のPOLYPLASDONE XL(商標);架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウム、例えば、FMC製のAC−DI−SOL(商標);および架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム;大豆多糖;ならびにグアーガムを含むがこれらに限定されない。崩壊剤は、組成物の約0重量%から約10重量%の量で存在してよい。一実施形態において、崩壊剤は、組成物の約0.1重量%から約5重量%の量で存在してよい。
薬学的に許容される結合剤の例は、デンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、微結晶性セルロース、例えば、FMC(Philadelphia、PA)製のAVICEL PH(商標)、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースDow Chemical Corp.(Midland、MI)製のMETHOCEL(商標);スクロース;デキストロース;コーンシロップ;多糖;ならびにゼラチンを含むがこれらに限定されない。結合剤は、組成物の約0重量%から約50重量%、例えば、2〜20重量%の量で存在してよい。
薬学的に許容される滑沢剤および薬学的に許容される流動促進剤の例は、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、第3リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末セルロースおよび微結晶性セルロースを含むがこれらに限定されない。滑沢剤は、組成物の約0重量%から約10重量%の量で存在してよい。一実施形態において、滑沢剤は、組成物の約0.1重量%から約1.5重量%の量で存在してよい。流動促進剤は、約0.1重量%から約10重量%の量で存在してよい。
薬学的に許容される充填剤および薬学的に許容される賦形剤の例は、製菓用砂糖、圧縮可能な砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクを含むがこれらに限定されない。充填剤および/または賦形剤は、例えば、組成物の約0重量%から約80重量%の量で存在してよい。
治療剤または毒性なしに効能を産出する作用物質の、最適な比、個々および組み合わせた投薬量ならびに濃度は、部位を標的化する治療剤の利用可能性の反応速度論に基づき、当業者に公知の方法を使用して決定される。
本発明に従って、治療有効量の、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せのそれぞれは、同時にまたは順次にかつ任意の順序で投与されてよく、成分は、別個にまたは固定組合せとして投与されてよい。例えば、一態様において、本発明は、本発明による感染症または老齢化に関連する疾患を予防するまたは治療する方法を提供し、同時にまたは任意の順序で順次に、共同で治療的に有効な量で、一部の実施形態において相乗的に有効な量で、例えば本明細書において記述されている量に対応する1日または間欠投薬量での、(i)遊離または薬学的に許容される塩形態の第1の作用物質(a)の投与および(ii)遊離または薬学的に許容される塩形態の作用物質(b)の投与を含んでよい。個々の治療剤は、治療のコース中の異なる時点に別個に、または分割されたもしくは単一の組合せ形態で同時発生的に、投与されてよい。さらに、用語「投与すること」は、インビボで治療剤に変換する治療剤のプロドラッグの使用も包含する。したがって、本発明は、同時または交互治療のすべてのそのようなレジメンを内包するとして理解されるべきであり、用語「投与すること」は、相応に理解されるべきである。
治療剤のそれぞれまたはそれらの組合せの有効投薬量は、用いられる特定の治療剤または医薬組成物、投与モード、治療されている状態および治療されている状態の重症度に応じて変動してよい。故に、投薬レジメンは、投与ルートならびに患者の腎および肝機能を含む多様な要因に従って選択される。通常の技量の臨床医または医師は、状態を緩和する、それに対抗する、またはその進行を阻止するために必要とされる単一の有効成分の有効量を容易に決定し処方することができる。
2つの治療剤が組み合わせて使用される実施形態において、治療剤のそれぞれの有効投薬量は、組合せ中の他の治療剤(単数または複数)と比較して、治療剤(単数または複数)の1つのより頻繁な投与を必要とする場合がある。したがって、適切な投薬を可能にするために、パッケージ化された医薬製品は、化合物の組合せを含有する1つまたは複数の剤形、および治療剤(単数または複数)の組合せの1つを含有するが組合せの他の治療剤(単数または複数)を含有しない1つまたは複数の剤形を含有してよい。
(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩;および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩の組合せ等の治療剤の組合せが、単一の薬物として市販されている通りの形態で適用される場合、それらの投薬量および投与モードは、本明細書において別段の言及がなければ、それぞれの市販薬の添付文書上に提供された情報に従うものであってよい。
一部の実施形態において、RAD001、例えばその遊離形態は、1日におよび/または週に約0.01mgから約1mgまでの範囲内の用量で、経口的に投与される。一部の実施形態において、RAD001、特にその遊離形態の投薬量は、1日に0.1mgの投薬量で、成人に経口的に投与される。
一部の実施形態において、BEZ235または薬学的に許容されるその塩、例えばそのp−トルエンスルホン酸塩は、1日に約1mgから約20mgまでまたは1日におよび/もしくは週に約1mgから約50mgまでの範囲内の用量で、経口的に投与される。一部の実施形態において、BEZ235またはそのp−トルエンスルホン酸塩等の薬学的に許容されるその塩の投薬量は、1日に約10mgの投薬量で、65歳以上の人物等の成人に、例えば経口的に投与される。一部の実施形態において、BEZ235または薬学的に許容されるその塩の投薬量は、約2mgから約19mg、約3mgから約17mg、約4mgから約16mg、約5mgから約15mg、約6mgから約14mg、約7mgから約13mg、約8mgから約12mg、または約9mgから約11mgである。一部の実施形態において、BEZ235または薬学的に許容されるその塩の用量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、または約50mgである。一部の実施形態において、BEZ235は、そのp−トルエンスルホン酸塩として経口的に投与される。一部の実施形態において、BEZ235または薬学的に許容されるその塩は、1日当たり2回、1日当たり1回、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、週に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、月に1回、2か月毎に1回、3か月毎に1回、4か月毎に1回、6か月毎に1回、または年に1回、投与される。
対象における免疫応答の促進および/もしくは増強のためのならびに/または対象における老齢化に関連する状態を治療するための各治療剤の最適投薬量は、公知の方法を使用して、各個体について経験的に決定することができ、疾患の進行の程度;個体の年齢、体重、全体的健康、性別および食生活;投与の時間およびルート;ならびに個体が服用している他の薬剤を含むがこれらに限定されない多様な要因に応じて決まることになる。最適投薬量は、当技術分野において周知である慣用的試験および手順を使用して、確立されてよい。
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わせてよい各治療剤の量は、治療される個体および特定の投与モードに応じて変動することになる。一部の実施形態において、本明細書において記述されている通りの治療剤の組合せを含有する単位剤形は、治療剤が単独で投与される場合、典型的に投与される量の組合せの各作用物質を含有することになる。
投薬頻度は、使用される治療剤および治療される特定の状態に応じて変動してよい。概して、有効な療法を提供するために十分な最小投薬量の使用が好ましい。患者は、概して、当業者には身近であろう、治療されている状態に好適なアッセイを使用して、治療有効性についてモニターされてよい。
一態様において、本発明は、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する方法であって、それを必要とする対象に、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する際に治療的に有効な、または共同で治療的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、対象における老齢化に関連する状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、ある量の(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、免疫老化等の老齢化に関連する状態を治療するために治療的に有効な、または共同で治療的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する方法であって、それを必要とする対象に、BEZ235または薬学的に許容されるその塩を、先天性免疫応答等の対象における免疫応答を促進するおよび/または増強する際に治療的に有効である量で投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、対象における老齢化に関連する状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、ある量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を、免疫老化等の老齢化に関連する状態を治療するために治療的に有効である量で投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、免疫応答の増強および/もしくは促進のためならびに/または免疫応答の増強および/もしくは促進用の医薬の調製のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの使用を提供する。
別の態様において、本発明は、老齢化に関連する状態の治療のためおよび/または免疫老化等の老齢化に関連する状態の治療用の医薬の調製のための、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せの使用を提供する。
別の態様において、本発明は、免疫応答の増強および/もしくは促進のためならびに/または先天性免疫応答等の免疫応答の増強および/もしくは促進用の医薬の調製のための、BEZ235または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、老齢化に関連する状態の治療のためおよび/または免疫老化等の老齢化に関連する状態の治療用の医薬の調製のための、BEZ235または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
一態様において、本発明は、有効成分として、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、免疫応答の増強および/または治療における、それらの同時、別個または順次使用のための説明書と一緒に含む商品パッケージを提供する。
別の態様において、本発明は、有効成分として、(a)RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、免疫老化等の老齢化に関連する状態の治療における、それらの同時、別個または順次使用のための説明書と一緒に含む商品パッケージを提供する。
一態様において、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩、ならびに免疫応答の増強および/または促進におけるBEZ235または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
別の態様において、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩、および免疫老化等の老齢化に関連する状態の治療におけるBEZ235または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
別の態様において、本発明は、BEZ235または薬学的に許容されるその塩、ならびに先天性免疫応答等の免疫応答の増強および/または促進におけるRAD001または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
別の態様において、本発明は、BEZ235または薬学的に許容されるその塩、および免疫老化等の老齢化に関連する状態の治療におけるRAD001または薬学的に許容されるその塩との同時、別個または順次使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
別の態様において、本発明は、BEZ235または薬学的に許容されるその塩、ならびに先天性免疫応答等の免疫応答の増強および/または促進における使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
別の態様において、本発明は、BEZ235または薬学的に許容されるその塩、および免疫老化等の老齢化に関連する状態の治療における使用のための説明書を含む商品パッケージを提供する。
病原性感染症
別の態様において、本明細書において提供される方法を使用して、対象における病原体による感染症を治療するまたは予防することができる。一部の実施形態において、対象は、免疫欠損がある。一部の実施形態において、対象は、免疫老化状態にある。一部の実施形態において、病原体は、ウイルス性病原体、例えば、ウイルス性病原体、例えば、HIV、髄膜炎の原因となるウイルス、脳炎の原因となるウイルス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、狂犬病ウイルス、ポリオウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹、百日咳、パピローマウイルス、黄熱病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パルボウイルス、ノーウォークウイルス、チクングニアウイルス、エボラウイルスを含む出血熱ウイルス、デングウイルス、ジカウイルス、ならびにヘルペスウイルス、例えば、水痘、サイトメガロウイルスおよびエプスタイン・バールウイルスである。一部の実施形態において、感染症は、慢性ウイルス感染症等のウイルス感染症である。一部の実施形態において、慢性ウイルス感染症は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン・バールウイルス、HIV、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルスおよびカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスから選択される。一部の実施形態において、慢性ウイルス感染症は、HIVを含む。
例えば、Lichterfeldおよび同僚は、HIV特異的CD8+T細胞が、PD−1の阻害時に、テロメア長の低減ならびにテロメア長およびテロメラーゼ活性の増大を示すことを観察した(例えば、Lichterfeld, M et al. (2008) Blood 112(9):3679- 3687を参照)。別の例において、PD−1は、C型肝炎(HVC)特異的CD8+細胞毒性Tリンパ球において有意に上方調節された(例えば、Golden-Mason, L (2007) J. Virol. 81(17): 9249-9258を参照)。
一部の実施形態において、ウイルス感染症は、ウイルス性気道感染症を含む。一部の実施形態において、ウイルス性気道感染症は、ウイルス性上気道感染症である。一部の実施形態において、ウイルス性気道感染症は、ウイルス性下気道感染症である。一部の実施形態において、ウイルス性気道感染症は、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、メタニューモウイルス、エンテロウイルス、ボカウイルス パラミクソウイルスおよび/またはパラインフルエンザウイルスによって引き起こされる。一部の実施形態において、ウイルス性気道感染症は、肺炎である。一部の実施形態において、ウイルス性気道感染症は、肺膿瘍を含む。一部の実施形態において、ウイルス性気道感染症は、気管支炎を含む。
一部の実施形態において、病原体は、細菌性病原体、例えば、数ある中でも、髄膜炎菌(Meningococcus)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、ナイセリア(Neisseria)、モラクセラ属(Moraxella)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ菌(Klebsiella)、シュードモナス菌(Pseudomonas)、エンテロバクター属(Enterobacter)、プロテウス(Proteus)、セラチア属(Serratia)、レジオネラ菌(Legionella)、サルモネラ菌(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)、アシネトバクター(Acinetobacer)、リステリア(Listeria)、クラミジア(Chlamydia)およびマイコバクテリウム(Mycobacterium)から選択される細菌性病原体である。
一部の実施形態において、病原体は、寄生性病原体、例えば、トキソプラズマ(Toxoplasma)、リーシュマニア(Leishmania)およびマラリア、クルーズトリパノソーマ(T. cruzii)、寄生蠕虫、例えば、住血吸虫属(Schistosoma)である。
一部の実施形態において、病原体は、酵母または真菌性病原体、例えば、カンジダ属(Candida)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、コクシジオイデス属(Coccidioides)、ブラストミセス属(Blastomyces)、アスペルギルス属(aspergillus)またはムコール真菌(mucormycetes)である。
老化および他の障害
別の態様において、本明細書において提供される方法を使用して、対象における老化を治療することができる。本明細書において使用される場合、用語「老化」は、すべての種類の老齢化を含むことになっている。一部の実施形態において、老化は、免疫欠損、例えば免疫老化を含む。免疫老化は、老齢化に伴う感染症に対する免疫応答の低減を含み、T細胞系譜における胸腺退縮から生じて、T細胞産生および移出の減少をもたらす(例えば、Shimatani, K et al. (2009) PNAS 106 (37):15807-15812を参照)。一部の実施形態において、抗原に対するT細胞応答を阻害する、PD−1の持続発現によって定義される真正な年齢依存性CD4+またはCD8+T細胞集団の集団の増大がある(例えば、Shimatani, K et al. (2009) PNAS 106 (37):15807-15812;Nunes, C et al. (2012) Clinical Cancer Research 18(3):678-687を参照)。一部の実施形態において、老化は、細胞がそれ以上分裂しない細胞の老化を含む。一部の実施形態において、老齢化に関連する免疫老化は、造血幹細胞によるナイーブリンパ球の産生の減少を含む(Chen, Science Signalling, ra75, 2009)。細胞の老化は、各細胞分裂またはp16の細胞内発現に伴って出現するテロメアの進行性短縮と相関している。一部の実施形態において、老化は、好中球、リンパ球、NK細胞、マクロファージおよび/または樹状細胞の機能の、老齢化に関連する減少を含む(例えば、Boraschi D et al. (2013) Sci Transl Med 5(185):ps8;Kumar R and Burns EA. (2008) Expert Rev. Vaccines 7(4): 467-479を参照)。
例証(exemplification)
下記の実施例は、上述した本発明を例証するが、しかしながら、本発明の範囲をいかようにも限定することは意図されていない。本発明の医薬化合物、組合せおよび組成物の有益な効果は、関連技術の当業者にそのようなものとして公知である他の試験モデルによって決定することもできる。
実施例1: BEZ235は、抗原特異的免疫を増強しないが、インターフェロン誘導遺伝子(ISG)の上方調節を介して先天性免疫を増強することにより、感染率(infection rate)を減少させるという主張を裏付けるデータ
合計264人の、不安定な病状がない65歳以上の高齢者ボランティアが、無作為二重盲検プラセボ対照試験に登録した。対象を、プラセボ、または4つの経口mTOR阻害剤投薬レジメン:1日にRAD001:0.5mg、1日にRAD001 0.1mg、1日にBEZ235 10mg、もしくは1日に0.1mgのRAD001および10mgのBEZ235の組合せのうちの1つを受けるように、無作為に割り当てた。対象を、研究薬物で6週間にわたって治療し、2週間の無薬物期間後、2014年の季節性インフルエンザワクチン(Fluvax(登録商標)、CSL Biotherapies)を与えた。インフルエンザワクチン中の3つのインフルエンザ株に対する血球凝集阻害(HI)抗体力価を、ベースライン時およびインフルエンザワクチン接種の4週間後に収集した血清中で測定した。血清HI力価を、Quest Diagnosticsで測定した。次いで、対象は、その後、もう9か月間にわたって研究薬物を絶った。研究のプライマリーエンドポイントは、3つのインフルエンザワクチン株のうちの少なくとも2つに対する血球凝集阻害(HI)幾何平均力価(GMT)比(ワクチン接種の4週間後のGMT/ベースライン時におけるGMT)において、プラセボと比べて1.2倍の増大であった。MF−59ワクチンアジュバントによって誘導されるインフルエンザGMT比におけるおよそ1.2倍の増大は、インフルエンザの疾病の減少と関連していたことから、このエンドポイントが選択された(1)。
低用量RAD001(1日に0.1mg)およびBEZ235(1日に10mg)の組合せだけが、研究のプライマリーエンドポイントを満たしており、3/3のインフルエンザワクチン株においてインフルエンザGMT比の1.2倍よりも大きい統計学的に有意な増大をもたらした(図1)。RAD001単独療法(1日に0.1mgまたは0.5mg)は、1/3のインフルエンザワクチン株においてのみインフルエンザGMT比の1.2倍よりも大きい統計学的に有意な増大をもたらした。BEZ235単独療法は、3つのインフルエンザワクチン株のいずれに対してもインフルエンザGMT比の増大をもたらさなかった。これらの結果は、低用量アロステリック(RAD001)およびカタリティック(BEZ235)mTOR阻害剤の組合せが、インフルエンザワクチン接種応答において、RAD001またはBEZ235単独療法よりも大きい改善をもたらしたことを示唆している。
免疫機能の追加の評価として、各治療群における全体の感染率を、研究薬物治療の開始の翌年中に対象が経験したあらゆる感染症を日誌に記録させ、これを各研究訪問時に研究調査員がレビューすることによって評価した。1人当たりの年間感染数は、RAD001 0.1mg+BEZ235 10mgの組合せおよびBEZ235単独療法治療群の対象において、プラセボと比べて優位に減少した(表1)。加えて、尿路感染症(表2)ならびに歯および歯茎の感染症(表3)の率は、BEZ235単独療法およびRAD001+BEZ235治療群において、プラセボまたはRAD001単独療法治療群よりも低かった。
対象を研究薬物で治療した6週間中の感染率も検査した。6週間の研究薬物治療中に出現した主要な感染症は、気道感染症であった。BEZ235およびRAD001+BEZ235はいずれも、対象を研究薬物で治療した6週間中の気道感染症の罹患率および重症度の低減をもたらした(図2)。
低用量BEZ235単独療法の組合せまたはRAD001+BEZ235の組合せ療法が高齢者における感染率を低減させた、可能性のある機構を探究するために、RNAseq遺伝子発現プロファイリングを、ベースライン時およびプラセボ、BEZ235またはRAD001+BEZ235治療のいずれかの6週間後に対象から取得した全血中で実施した。全血のRNAseq解析は、経路の高度に有意なエンリッチメントがインターフェロンシグナル伝達に関係していることを明らかにした(図3)。その発現がエンリッチされた経路において最も高度に上方調節されている遺伝子の一部は、ウイルスに対する免疫応答において重大な役割を果たす1型インターフェロン誘導遺伝子(ISG)のサブセットを含んでいた(表4)(2)。これらの知見は、低用量BEZ235および/またはBEZ235+RAD001の組合せ療法による免疫系およびインターフェロン誘導遺伝子のサブセットの上方調節が、免疫機能を増強し、それにより、高齢者における感染率を低減させることを示唆している。
RNASeqによる遺伝子発現プロファイリング
末梢静脈血試料を、PAXgene Blood RNAチューブ中に収集した。全RNAを、PAXgeneで収集した血液から精製し、Agilent 2100バイオアナライザ(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、USA)を使用して、単離されたRNAの品質および収率を評価した。RNA−Seqライブラリは、RNAから、Ribo−Zeroグロビンキット付きのIllumina TruSeq標準全RNAを使用して、調製した。このキットは、リボソームRNAおよびグロビンmRNAの除去を単一ステップで実施した。取得されたライブラリは、Illumina HiSeq2500プラットフォームをペアエンドモードで使用して、2×76塩基対(bp)の読み取り長さまでシーケンスした。製造業者のソフトウェアを使用して機器からの画像を処理して、FASTQシーケンスファイルを作成した。
FASTQファイルに対してFastQC(バージョン0.10)を実行することによって、リード品質を評価した。シーケンシングリードは優れた品質を示し、平均Phredスコアはすべての塩基位置について30よりも高かった。1つの試料当たり1億個の76bpペアエンドリードの平均を、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)ゲノム(バージョンGRCh38)にマッピングし、ヒト遺伝子および転写産物アノテーションにRefSeq UCSCを使用した。自社の遺伝子定量化パイプラインを使用して、各遺伝子にマッピングするカウント数を決定した(Schuierer, S. & Roma, G. The exon quantification pipeline (EQP): a comprehensive approach to the quantification of gene, exon and junction expression from RNA-seq data. Nucleic acids research (2016))。平均して、全リードの88%がゲノムまたは転写産物にマッピングされ、整列したリードの30%が発現シーケンスにマッピングされた。800万個未満の発現リードを持つ試料および鎖不均衡を実証する3つの試料をさらなる解析から除いた。
RNASeq差次的遺伝子発現解析
任意の治療/時間条件において100万個当たり1未満のカウントの平均発現を持つあらゆる遺伝子を検出不可能とみなし、さらなる解析から除いた。次いで、残りの遺伝子についてのカウントデータを、R統計計算ソフトウェア(v3.1.3)で、limmaパッケージにあるvoom正規化手順を使用して正規化した(Law, CW, Chen, Y, Shi, W, and Smyth, GK (2014). Voom: precision weights unlock linear model analysis tools for RNA-seq read counts. Genome Biology 15, R29.)。
データの技術的品質を審査する場合、本発明者らは、Rにおいてprcomp関数を使用して主成分解析を実施した。この解析は、第1の主成分が試料処理の複数の側面(RNA抽出バッチ、mRNAの収率等)を反映することを示していた。故に、本発明者らは、技術的バリエーションの調整として、この主成分の値をその後の解析に含めた。
各遺伝子について、下記の線形混合モデルをvoom正規化発現データに当てはめ、SAS v9.3ソフトウェアを使用して、関連する共変量(年齢、性別およびBMI)およびPC1を調整した。
proc mixed data=exprsData anovaf;
class SubjID Day Trt Gender;
model log2exprs=Day Trt DayTrt PC1 Age Gender Bmi/solution DDFM=KenwardRoger;
repeated Day/type=un subject=SubjID;
by gene;
ここで、log2exprsは、voom正規化発現測定を指し;Dayは、試料が採取された時点(投薬前または後)を指し;Trtは、対象の治療群を指し;PC1は、その試料についてのPC1の値を指し;Ageは、対象の年齢を指し;Genderは、対象の性別を指し;Bmiは、対象のボディマス指数を指し;およびSubjIDは、対象のIDを指す。差次的発現変化倍率およびp値は、SAS estimateステートメントを使用して取得した。この解析は、治療アーム(BEZ、RAD+BEZおよびプラセボ)のそれぞれについて遺伝子発現応答シグネチャーをもたらした。これらの遺伝子発現シグネチャーは、各治療についての治療前対後の変化倍率およびp値からなるものであった。
RNASeq遺伝子発現パスウェイエンリッチメント解析
この解析のために、本発明者らは、各治療応答シグネチャー内の定義された生物学的経路において遺伝子の上方または下方調節されている非対称を探した。カノニカル経路(c2.cp.v5.0.entrez.gmt)は、カノニカルシグネチャーデータベース(http://software.broadinstitute.org/gsea/msigdb/)からダウンロードした。シグネチャーは、「RNASeq差次的発現解析」の節において記述されている通りに定義した。各経路および治療応答シグネチャーについて、重み付きKS検定をこれまでに記述されている通り実施し(Subramanian et al. Gene set enrichment analysis: A knowledge-based approach for interpreting genome-wide expression profiles. Proc. Nat. Acad. Sci. vol 102. no 43. 15545-15550 2005)、得られた−log10(p値)を、経路における遺伝子の平均変化倍率の関数として、図3にプロットした。
RNASeq遺伝子発現−上方調節されている遺伝子の指定
遺伝子は、テューキーの外れ値検出法を使用して、それらの変化倍率が外れ値であると決定された場合、上方調節されているとみなした。具体的には、上方調節されている遺伝子は、下記の基準を満たした:log2(FC治療後対前)はQ3+1.5(Q3−Q1)よりも大きく、ここで、各治療について、Q3はlog2(FC)の上方(すなわち、第3)四分位数であり、Q1は下方(すなわち、第1)四分位数である。
BEZ235単独療法が、インフルエンザワクチン接種に対する応答を改善しなかったが感染率を減少させたという知見は、全く予想外であった。インフルエンザワクチン接種応答は、抗原特異的適応免疫の読み出しである。故に、これらの知見は、BEZ235が、RAD001とは異なり、特異的抗原に対する免疫応答を改善しないことを示唆している。代わりに、BEZ235、およびBEZ235+RAD001の組合せは、ISG発現の上方調節を介して、複数の病原体に対する非抗原特異的先天性免疫応答を改善することにより、感染率を低減させ得る。
実施例2: RAD001+BEZ235は、いずれかの単独療法よりも選択的かつ完全なTORC1阻害をこの組合せがもたらすため、高齢者におけるワクチン接種応答(老齢化に関連するエンドポイント)を改善するためのRAD001またはBEZ235単独療法のいずれかよりも大きい効能を有し得る
老齢化は、mTOR経路を含む細胞シグナル伝達経路のディスクリートセット(discreet set)の攪乱によるものである可能性がある。mTORは、2つの複合体:TORC1およびTORC2を介してシグナル伝達する。前臨床種における老齢化に対するmTOR阻害の有益な効果の多くは、TORC1の阻害によって媒介され得る(3,4)。対照的に、TORC2阻害は、高血糖症、高コレステロール血症、および雄マウスにおける寿命減少に関連するとされてきた(4,5)。加えて、いくつかの長寿命動物モデルでは、TORC2活性が減少するよりもむしろ増大していた(6)。したがって、TORC1特異的阻害は、免疫機能の低下等のヒトにおける老齢化に関連する状態の治療に最適となり得る。RAD001等のラパログは、TORC1複合体の下流にあるS6Kノードのみを一貫して阻害するアロステリックmTOR阻害剤のクラスである(7)。低濃度のBEZ235も、1日に10mgのBEZ235(およそ10〜20nM)を投与した高齢者対象の血清中で実現されたように、TORC1の下流にあるS6Kノードのみを一貫して阻害する(8)。より高い用量では、BEZ235は、TORC1を完全に阻害するが、TORC2も阻害する(8,9)。しかしながら、低用量のRAD001と組み合わせた低用量のカタリティック阻害剤は、TORC2活性を阻害することなく、TORC1の下流にあるすべてではないとしてもほとんどのノードを相乗的に阻害する(8,10)。本発明者らの臨床知見は、低用量RAD001およびBEZ235の組合せを用いて実現される、より完全かつ選択的なTORC1阻害が、高齢者対象におけるインフルエンザワクチン応答の、低用量RAD001またはBEZ235単独療法よりも良好な増強に関連していることを示唆している。低用量RAD001およびBEZ235の組合せは、組合せのより完全かつ選択的なTORC1阻害により、他の老齢化に関連する状態について、RAD001および/またはBEZ235単独療法よりも良好な効能も有し得る。
実施例3: BEZ235またはBEZ235+RAD001を使用して、インターフェロン誘導遺伝子(ISG)のサブセットの低レベル上方調節を介し、高齢者における免疫機能を安全に増強し、感染率を減少させることができる
BEZ235単独療法またはRAD001+BEZ235の組合せ治療後の全血中におけるISG上方調節の規模は、小さかった(1〜9%)。ISG発現の低レベル増大は、ISG誘導のはるかに大きい増大を有するインターフェロンで治療した患者において出現する望ましくない有害事象を回避しながら、高齢者において免疫機能を増強し感染率を減少させるために十分であり得る(11)。故に、低レベルISG誘導は、インターフェロン療法で治療した患者における高レベルISG誘導に関連する安全性および忍容性の問題を回避すると考えられる。
実施例4: BEZ235またはBEZ235+RAD001の6週間のコースは、薬物中止後、免疫機能における持続的な改善をもたらす
BEZ235単独療法およびRAD001+BEZ235の組合せは、研究薬物が6週間の治療後に中止されたという事実にもかかわらず、1年間にわたる全体の感染率の有意な低減をもたらした。結果は、mTOR阻害剤療法が、薬物中止後数か月にわたって、免疫機能における持続的な改善をもたらし得ることを示唆している。mTOR阻害剤ラパマイシンの短期コースも、マウスにおいて寿命を延長することが示されており、一過性mTOR阻害の有益な効果が薬物中止後数か月にわたって持続したという概念を裏付けている(12,13)。
実施例5: BEZ235のPK変動性は低用量の投与を介して和らげることができる
BEZ235は、腫瘍学適応症のための二重PI3K−mTORカタリティック阻害剤として開発された。しかしながら、腫瘍学適応症に使用された高用量のBEZ235(1日に1200mgの最大忍容量まで)は、許容できないほど高い患者間の変動性に関連していた(AUCtau,ssパーセント変動係数(%CV)=113%)。PK変動性は、一部には、pH3を上回るBEZ235の低い溶解度によるものであり得る。しかしながら、1日にBEZ235 10mgの患者間の変動性は、許容されるもの(AUClast,ss%CV=39%)であった。これはおそらく低用量のBEZ235は低pHの胃中で完全に吸収され得るからである。1日に10mgを上回る用量のBEZ235の増大するPK変動性を、図4に示す。
実施例6: 単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235は、細胞外マトリックスリモデリングタンパク質の上方調節を介して幅広い抗老齢化効果を有し得る
細胞外マトリックスリモデリングは、抗老齢化介入の多様なセットの根底にある共通機構である(14)。これらの知見は、細胞外マトリックスの代謝回転の欠如が、老齢化に寄与すること、および細胞外マトリックスリモデリングを促進する作用物質が、老齢化に関連する状態に対して有益な効果を有し得ることを示唆している。血清プロテオミクスは、BEZ235単独療法またはBEZ235+RAD001の組合せ療法が、細胞外マトリックスリモデリングを促進することを示唆している。血清試料は、ベースライン時、または、プラセボ、1日にBEZ235 10mgもしくは1日にBEZ235 10mg+RAD001 0.1mgの組合せによる6週間の治療後に、高齢者対象から取得した。6週間のBEZ235単独療法またはBEZ235+RAD001の組合せはいずれも、細胞外マトリックス分解/リモデリングに関与するタンパク質の発現における高度に有意な上方調節(neglog10 BEZ235については14.34およびBEZ235+RAD001の組合せについては13.32のp値)をもたらしたが、プラセボはそうではなかった(図5)。これらの知見は、BEZ235単独療法またはBEZ235+RAD001の組合せが、細胞外マトリックスのリモデリングを刺激することによって幅広い抗老齢化効果を有し得ることを示唆している。BEZ235単独療法またはBEZ235+RAD001の組合せは、心不全、慢性腎不全および皮膚の老齢化を含む組織の細胞外マトリックスにおける老齢化に関連する異常に関連する、老齢化に関連する状態の治療において特に効果的となり得る。
実施例7: 単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235は、高齢者対象における気道感染症(RTI)を減少させ得る
米国において、肺炎およびインフルエンザは、85歳以上の人々における死因の第5位である(National Vital Statistics Report, Deaths, Final Data for 2014, 2016)。その上、呼吸器系ウイルス(現在は有効な治療がない)は、この個体群における市中肺炎の大部分を引き起こす(Jain et al 2015)。加えて、米国における85歳以上の人々の7%が、毎年RTIで緊急治療室に行く(Goto et al 2016)。最後に、RTIでの入院は、85歳以上の対象の、老人ホームに入れられるリスクを増大させる。米国において、85〜95歳の人々の10%のみが老人ホームに居住するが、入院している85歳以上の対象の36%は、老人ホームへ退院する(The Older Population 2010 US Census Briefs, National Center for Health Statistics Data Brief 2015)。
RTIの予防も、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性気管支炎、2型真性糖尿病(T2DM)、うっ血性心不全(CHF)および現在の喫煙等、根本的なリスク要因のある65歳以上の高齢者対象にとって、アンメットメディカルニーズである。例えば、RTIは、COPDおよび喘息悪化の最も一般的な原因である(Nicholson et al BMJ, 2003; Sethi et al 2008)。RTIは、うっ血性心不全を持つ患者における入院の16%の根本的な原因でもある(Chin and Goldman 1997)。T2DMを持つ患者は、下気道感染症のリスクも増大し(Muller et al 2005)、肺炎での入院のリスクも増大する(Kornum et al 2008)。現在の喫煙は、市中肺炎を発生するリスクも増大させる(Almirall et al 1999)。最後に、以前に肺炎を有していた高齢者対象は、再発性肺炎のリスクが増大する(Hedlund et al 1992)。
したがって、この研究の目的は、RTI関連疾病率または死亡率のリスクが増大した高齢者対象における、RTIの罹患率を低減させるためのさらなる開発用の用量選択を支持するために、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の、効能、忍容性および安全性を審査することである。
本発明者らは、現喫煙者であり、根本的なCOPD、喘息、慢性気管支炎、CHFおよび/もしくはT2DMを有し、かつ/または過去12か月の間にRTIで入院していたもしくは緊急治療室に行った、85歳以上または65歳以上として定義される、高リスク高齢者個体群において、低用量mTOR阻害剤が、RTIの罹患率および重症度を減少させるか否かを決定することとする。
目的および関連エンドポイント
研究デザイン
これは、不安定な病状がない高齢者対象における、プラセボと比較した、2用量の単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の、安全性、忍容性および効能を評価するための、24週間の、無作為化、盲検化、プラセボ制御、並行群、用量設定2段階アダプティブデザイン研究である。対象は、85歳以上または65歳以上のいずれか、および現喫煙者である、または根本的なCOPD、喘息、慢性気管支炎、T2DMもしくはCHFを持つ、かつ/あるいは過去1年の間にRTIで入院していたまたは緊急治療室において審査されていたことによって定義される通り、気道感染症のリスクが増大していれば、含まれ得る。研究は、6週間のスクリーニング期間、4週間の導入期間、16週間の治療期間および8週間の追跡調査期間で構成されることになる。
研究期間:各対象についての研究の総予定持続時間は、無作為化から最後の追跡調査訪問まで最大24週間であり(図3〜1);研究治療は16週間にわたって行われる。
スクリーニング期間:スクリーニング訪問(ベースライン/無作為化前の最大6週間)中に、対象は、包含/除外基準に基づき、試験に参加するための適格性について評価されることになる。
導入期間:導入期間(ベースライン/無作為化前の最大4週間)中に、スクリーニング訪問中に適格性基準を満たした対象は、研究に登録することになり、診療所に入り、対象がこの試験に慣れ、それにより、ベースライン訪問時における試験変動性を低減させるために、手の握力試験および6分間歩行テスト(6MWT)を受けることになる。対象には、6MWTの前および後に、息切れアンケートも施されることになる。加えて、導入期間中に、対象は、心機能を評価するためのベースライン心エコー検査を受けることになる。
盲検治療期:パート1(南または北半球のいずれかで行われる)
治療期(16週間):ベースライン訪問(訪問3)時、適格な対象は、3つの治療群のうちの1つに、1:1:1の比で無作為化されることになる。
(1)1日にBEZ235 5mg
(2)1日にBEZ235 10mg
(3)1日に適合するプラセボ
対象を、16週間にわたって研究薬物で治療する。総登録者数はおよそ168人の対象であり、およそ56人の対象が各治療群に登録する。およそ10%の中断率があり、およそ150人の対象が研究のパート1を完了するという結果になる(各アームにおよそ50人の対象)ことが想定される。中断率が10%よりも高い場合、交代要員を登録してよい。
ベースライン訪問時に、対象は、臨床審査を受け、ベースライン安全性評価、EAST(IgEレベル)およびバイオマーカー評価のために採血されることになる。季節性インフルエンザワクチンをまだ受けていなかった対象からは、インフルエンザ力価を得ることになる。対象はまた、握力、6MWTを受け、ベースライン訪問時における6MWTの前および後に息切れアンケートの全項目に回答することになる。次いで、対象は、診療所において第1回用量の研究薬物を与えられ、研究薬物を持って帰宅することになる。対象は、ベースライン訪問から、日誌も持って帰宅することになる。対象は、毎日自宅で投与した研究薬剤のカプセルの時間および数を日誌に記録するように指導されることになる。対象は、訪問と訪問との間に出現するあらゆる感染症症状を日誌に記録するようにも指導されることになる。最後に、対象は、症状が解決するまで、上気道感染症の症状を発生したら毎日書き込むように指導される短期ウィスコンシン上気道症状調査(WURSS−21)を持って帰宅することにもなる。
対象が研究薬物を1週間にわたって服用した後、第1週の研究薬物が忍容性良好であったことを確認するために、対象と現場との間で電話が行われるべきである。研究薬物が研究薬物治療の第1週中に忍容されない場合、調査員は、resTORbioメディカルモニターによる審議後に研究薬物を中止してよい。
研究薬物が忍容性良好であり続けるならば、対象は、16週間にわたって研究薬物で治療されることになり、この期間中に、対象は、最初の8週間は2週間毎に(2、4、6および8週目に訪問)、次いで最後の8週間は4週間毎に(12および16週目に訪問)、診療所に再来して、臨床審査を受け、安全性評価のために採血されることになる。PK評価のために、4、6および8週目の訪問時にも採血されることになる。バイオマーカー評価のために、ベースライン時ならびに6、16および24週目の訪問時に採血されることになる。現場は、研究中、週に2回、電話でまたは現場訪問においてのいずれかで対象に接触して、対象が研究薬物を指導された通りに服用していることおよび研究薬物が忍容性良好であり続けていることを確認することになる。現場は、各接触中に気道感染症アンケートを施し、2つ以上の気道感染症症状または1つ以上の非気道感染症症状を発生している対象に、調査員によって対象を審査できるように可能な限り早く、予定外の訪問のために来るように指導することにもなる。
感染症症状により予定外の訪問のために現場に来る対象は、研究操作マニュアルにおいて記述されている通り、感染症の関連する徴候および症状を感染症調査員ワークシートに書き留める調査員によって審査されることになる。RTIの症状を有する対象は、診療所において鼻咽頭スワブを採取されることになる。対象が予定外の訪問のために現場に再来することができないまたは意に沿わない場合、調査員は、対象に電話をかけ、電話で感染症調査員ワークシートの全項目に回答し、対象が次の訪問のために来た際に鼻咽頭スワブを取得することができる。すべての感染症に対して適切な医学的ケアが提供されることになる。追加の医学的ケアを必要とする対象は、そのヘルスケア提供者にまたは指示されていれば病院に、照会すべきである。
研究中に、対象の日常のヘルスケアの一部として季節性インフルエンザワクチンを受ける対象は、インフルエンザ力価を得るために、対象のインフルエンザワクチン接種のおよそ4週間後に、予定外の訪問のために現場に再来するよう求められることになる。
16週間の研究薬物治療後、対象は、安全性研究所およびバイオマーカー評価のために採血され、繰り返し握力評価、6MWTを受け、6MWTの前および後、16週目の訪問時に、息切れアンケートの全項目に回答することになる。対象は、16週間の研究薬物治療を完了した後に、繰り返し心エコー図も受けることになる。
治療後追跡調査期間(8週間):すべての対象は、研究薬物の最後の投薬後、8週間にわたって追跡調査されることになり、この期間中に、出現するあらゆる感染症を対象の日誌に記録し続けるように言われることになる。現場は、週に2回対象に電話をかけ、呼吸器症状アンケートへの週に2回の接触を施すのを続けることになる。2つ以上の気道感染症症状または1つ以上の非気道感染症症状を発生している対象は、上述した通り、調査員によって対象を審査できるように可能な限り早く、予定外の訪問のために来るように指導されることになる。気道感染症症状を持つ対象は、呼吸器系ウイルスPCRのために鼻咽頭スワブを採取されることになる。さらなる詳細は、研究操作マニュアルにおいて提供される。
研究の終わりの24週目の訪問時に、対象は、完全な身体検査を受け、安全性研究所およびバイオマーカー評価のために採血され、繰り返し握力評価、6MWTを受け、6MWTの前および後に息切れアンケートの全項目に回答することになる。
24週目の訪問時または後に、調査員は、対象の医療記録をレビューして、研究データベースに書き留められていない追加の感染症が出現したか否かを決定することになる。書き留められていなかった感染症についての情報は、適切な調査員感染症ワークシートに記録されることになる。
研究薬物に関連するとみなされ、追跡調査期間の終わりに解決も安定化もされていない、医学的に重要な検査所見の異常または医学的に重要なAEを発生している患者は、予定された治療後追跡調査期間を越えて、これらの事象が解決または安定化されるまで、追跡調査されることになる。研究の完了時にこれらの事象が解決されていない場合、「継続中」としてデータベースに書き留められるべきである。
中間解析(IA):パート1で無作為化された少なくとも120人の対象が16週目の訪問を完了すると、IAが実施されることになる。非盲検データモニタリング委員会(DMC)によりIAの結果をレビューし、研究のための勧告を作製することになる。中間解析で可能な決定は、
− 無益なためにBEZ235単独療法投薬アームの研究を停止するか、またはパート2において1もしくは2つのBEZ235治療アームを用いて続けるか、
− パート1中の気道感染症の率に基づき、研究をサイズ変更するか否か、
− パート1からの安全性データおよび気道感染症率データに基づき、治療の持続時間を変更するか否か、ならびに/あるいは
− 追加のPK試料採取が必要とされるか否かおよび/またはPK試料採取レジメンを簡略化することができるか否か
である。
パート2(パート1とは反対側の半球において行われる):パート2では、スクリーニング訪問中に適格性基準を満たした310〜430人の間の対象が研究に登録することになる。これらの対象は、プラセボ、パート1からの0、1または2用量のBEZ235、および5mgまたは10mgのBEZ235+RAD001 0.1mgに無作為化されることになる。パート1におけるものと同一の手順を、パート2におけるスクリーニング、導入、治療および治療後追跡調査期間中に適用することとする。
図3−1 研究デザイン:
研究デザインの根拠:研究は、効能、忍容性および安全性データを公平な方式で取得し、調査されている薬物の用量反応特徴を決定するための、標準的な無作為化、盲検化、プラセボ制御、並行群研究としてデザインされる。導入期間は、ベースライン心エコー図を取得するためならびに対象を6MWTおよび手の握力評価に慣れさせるために含まれる。パート1および2における16週間の治療は、各半球において冬の寒さおよびインフルエンザ流行期間中にRTIの臨床的に意味がある低減をもたらすために十分であるとみなされる。研究の最後の8週間は、対象が研究薬物治療を中止した後にRTIの低減が持続するか否かについての情報を提供するであろう。研究薬物が定常レベルに到達した後のPKの特徴付けを可能にするために、PK試料は、すべての対象において、4、6および8週目の訪問時に取得されるであろう。
研究個体群:Novartisによって行われた2つの以前の臨床試験(CRAD002X2202およびCBEZ235Y2201)からのデータは、低用量のBEZ235および/またはRAD001による65歳以上の高齢者対象の6週間の治療が安全であり、RTIの罹患率を減少させたことを示唆している。単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235のリスク/利益は、RTI関連疾病率および死亡率のリスクが増大している高齢者対象において最も好都合であり得る。したがって、本研究では、本発明者らは、下記の条件の1つを有することによって定義される通りの、RTI関連疾病率および死亡率のリスクが増大しているとみなされる高齢者対象を登録することとする:
− 85歳以上
− 次のものを持つ65歳以上:
− 喘息
− COPDゴールドクラスIまたはII
○ 気管支拡張薬後FEV/FVC<0.70およびFEV≧50%が予測される
− 慢性気管支炎
− T2DM
− CHFニューヨーク心臓協会機能分類I〜II
○ 普通の活動中に症状なしまたは軽度の症状(息切れおよび/または狭心症)ならびにわずかな制限
− 現喫煙者
− これまでの12か月の間にRTIで1回または複数回の緊急治療室訪問または入院
さらなる包含基準:
女性は閉経後でなくてはならない。女性は、適切な臨床プロファイル(例えば、年齢に適している、血管運動症状歴)で12か月の自然な(自発的な)無月経を有したか、または、少なくとも6週間前に、外科的両側卵巣摘出術(子宮摘出術の有無にかかわらず)、子宮全摘出術もしくは卵管結紮術を行ったならば、閉経後であり出産の可能性がないとみなされる。卵巣摘出術単独の事例において、女性の生殖状態が追跡調査ホルモンレベル評価によって確認されている場合のみ、その女性は、出産の可能性がないとみなされる。
出産の可能性があるパートナーを持つ性的に活動的な男性対象は、研究薬物使用の最中および研究薬物を停止した後1週間は、コンドームを進んで装着しなくてはならず、この期間中は子どもの父親となるべきではない。コンドームは、精液を介する薬物の送達を予防するために、精管切除した男性も使用する必要がある。
スクリーニングおよびベースライン時、バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧、脈拍数ならびに呼吸速度)は、対象が少なくとも3分間にわたって休憩した後に、座位で評価されることになる。座位でのバイタルサインは、下記の範囲内であるべきである:
・ 35.0〜37.5℃の間の経口または鼓膜の体温
・ 収縮期血圧、90〜160mmHg
・ 拡張期血圧、50〜95mmHg
・ 脈拍数、40〜95bpm
バイタルサインがこれらの範囲外である場合、調査員は、最大2つの追加の読み取りを取得してよく、そのため、最大3つの連続評価が為される。少なくとも読み取りの最後のセットは、対象が適格となるために、上記で提供されている範囲内でなくてはならない。
対象は、少なくとも40kgの重量でなくてはならない。
対象は、調査員とうまくコミュニケーションを取ることができ、研究の要件を理解および順守することができなくてはならない。
研究の結果は、異なる方法を使用して定量化されてよい。例えば、結果は、感染症の総数を対象の総数で割ることによって計算される通り、特定の期間中の感染率を見ることによって定量化されてよい。代替として、研究の結果は、特定の期間中の1つまたは複数の感染症を有する対象のパーセンテージを見ることによって定量化されてよい。
プライマリーエンドポイント:研究のプライマリーエンドポイントは、16週間の研究薬物治療中に1つまたは複数のRTIを経験する対象のパーセンテージの減少である。なぜなら、RTIが高齢者において有意な疾病率および死亡率を引き起こすからである(Millett et al 2013)。
副次的エンドポイント:副次的エンドポイントとして、1つまたは複数のRTIを24週間(研究薬物治療中に16週間、続いて、研究薬物治療をやめて8週間)にわたって経験する対象のパーセンテージを評価して、高齢者対象が、研究薬物中止後に気道感染症率の低減を有し続けるか否かを決定することとする。
高齢者におけるほとんどの気道感染症はウイルスによって引き起こされる(Jain et al 2015)ことから、研究所で確認されたウイルス性気道感染症の罹患率に対する単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の効果(鼻咽頭スワブの呼吸器系ウイルスPCRによって決定される通り)は、対象が研究薬物を受けている16週間の間に評価することとする。
追加の副次的エンドポイントとして、単独でまたはRAD001と組み合わせて与えられたBEZ235の薬物動態(PK)を審査することとする。
探究エンドポイント:探究エンドポイントとして、RTIの罹患率に対する単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の効果を、高齢者の具体的なサブセットにおいて探究して、効能がサブグループ間で変動するか否かを決定することとする。
ベースラインから16または24週目までの、すべての感染症の罹患率およびUTIの罹患率に対する、プラセボと比較した、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の効果も探究することとする。なぜなら、臨床試験CBEZ235Y2201において、1日にBEZ235 10mgまたは1日にBEZ235 10mgプラスRAD001 0.1mgの組合せのいずれかで6週間にわたって治療した高齢者対象は、研究薬物投与後1年間にわたって、すべての感染症率の有意な減少およびUTI率の減少を有したからである。
追加の探究エンドポイントとして、上気道症状の持続時間および/または重症度に対する、プラセボと比較した、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の効果を、WURSS−21調査を使用して評価することとする。
CBEZ235Y2201の結果は、高齢者ボランティアが、インフルエンザワクチンを受ける2週間前に、RAD001と組み合わせた低用量BEZ235の6週間のコースを受けた場合に、インフルエンザワクチン接種への高齢者ボランティアの応答が増強されたことを示していた。したがって、探究エンドポイントとして、インフルエンザワクチン接種への応答に対する、プラセボと比較した、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の効果を、研究中の対象の日常のヘルスケアの一部としてインフルエンザワクチンを受ける対象において評価することとする。
単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235によるmTOR阻害は、単に免疫機能を改善させ感染率を減少させることを越える抗老齢化効果を有し得る。本発明者らの以前の臨床試験において、1日にBEZ235 10mgおよびRAD001 0.1mgの組合せで6週間にわたって治療した対象のサブセットは、研究薬物使用の最中にエネルギーの増大を自発的に報告したが、プラセボで治療した対象はそうではなかった。加えて、mTOR阻害剤ラパマイシンで治療した老齢マウスは、プラセボ治療対照と比較して、身体活動および/または握力が増大したことが注記されている(Flynn et al 2013)。したがって、追加の探究エンドポイントとして、本発明者らは、6MWTによって評価される通り、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235が握力および/または耐久力を増大させるか否かを評価することとする。
mTOR阻害剤は、老齢マウスにおいて、心機能を改善することも報告されている(Flynn et al 2013)。したがって、追加の探究エンドポイントとして、本発明者らは、ベースラインと比べた16週目における心エコー検査によって評価される通り、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235が、プラセボと比較して、心機能を改善するか否かを決定することとする。
最終探究エンドポイントとして、全血中における遺伝子発現に対するおよび血清プロテオミクスに対する単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235の効果を評価して、単独もしくはRAD001と組み合わせたBEZ235が免疫機能を改善し得るおよび/または老齢化生物学に影響を与え得る機構を、さらに解明することとする。
用量/レジメンの根拠、投与ルートおよび治療の持続時間:Novartis臨床研究CBEZ235Y2201において、すべてのmTOR阻害剤投薬レジメン(1日にBEZ235 10mg、1日にRAD001 0.5mgまたは0.1mg、および1日にBEZ235 10mgプラス1日にRAD001 0.1mg)は、忍容性良好であり、高齢者対象が研究薬物治療を受けた6週間の間に、気道感染症の罹患率を50〜60%の間だけ低減させた。加えて、1日にBEZ235 10mgおよびRAD001 0.1mgの組合せは、インフルエンザワクチン接種に対する応答を有意に改善させた。本研究では、本発明者らは、これらの知見を拡大し、気道感染症率が最高である場合の各半球における冬の寒さおよびインフルエンザ流行期間の間に、高齢者対象をより長い16週間の持続時間にわたって治療した場合、単独またはRAD001と組み合わせたBEZ235が気道感染症の罹患率を減少させるか否かを決定することとする。本発明者らは、1日にBEZ235 5mg対10mgの安全性および効能を比較することにより、BEZ235についての最小の効果的な用量レベルも調査することとする。1日にBEZ235 10mgを本研究では1用量として選択した。なぜなら、これが臨床研究CBEZ235Y2201において気道感染症および全感染症の両方の低減に関連していたからである。1日にBEZ235 5mgは、モデリングおよびシミュレーションによって、S6Kリン酸化を10%だけ阻害することが予測され、したがって、本研究では、治療量以下であってよく、最小限に効果的な用量を確立し得る。本発明者らは、1日にBEZ235 10mg超から2回のBEZ235 10mgまでの用量を試験することとする(we will test doses of BEZ235 above 10 mg up to BEZ235 10 mg twice daily)。なぜなら、以前の臨床研究におけるBEZ235のPK変動性は、25mg以上の用量において高かったからである。したがって、本明細書において企図されているある特定の投薬レジメンは、例えば、1日2回の10mgのBEZ235の投与を含む。一部のそのような実施形態において、投薬レジメンは、例えば、単独で(すなわち、RAD001なし)またはRAD001と組み合わせて、例えば0.1mgのRAD001の1日用量と組み合わせてのいずれかでの、1日2回の10mgのBEZ235の投与を含む。一部の実施形態において、本明細書において企図されている投薬レジメンは、約0.015mgから約0.1mgまでの範囲の量のRAD001を毎日投与することを含む。一部のそのような実施形態において、約0.015mgから約0.1mgまでの範囲の量のRAD001を、ある量のBEZ235と組み合わせて投与する。
参考文献
列挙される実施形態
第1の実施形態において、本発明は、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを患者に投与するステップを含み、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;またはそれらの組合せを投与されていない患者よりも、感染症による疾病をより少なく経験する、方法である。
第2の実施形態において、本発明は、患者の先天性免疫が、増強される、第1の実施形態に従う方法である。
第3の実施形態において、本発明は、抗原特異的免疫が、増強されない、第1または第2の実施形態に従う方法である。
第4の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのインターフェロン誘導遺伝子(ISG)が、上方調節される、第2の実施形態に従う方法である。
第5の実施形態において、本発明は、感染症が、尿路感染症;または歯もしくは歯茎の感染症である、第1から第4の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第6の実施形態において、本発明は、感染症が、気道感染症である、第1から第4の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第7の実施形態において、本発明は、感染症が、ウイルス感染症である、第1から第4の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第8の実施形態において、本発明は、患者が、高齢者である、第1から第7の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第9の実施形態において、本発明は、患者が、少なくとも65歳である、第1から第8の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第10の実施形態において、本発明は、患者が、少なくとも75歳;または少なくとも85歳である、第1から第9の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第11の実施形態において、本発明は、低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せが、患者に、最大連続約6週間にわたって投与される、第1から第10の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第12の実施形態において、本発明は、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、約1日から約1年まで、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、第11の実施形態に従う方法である。
第13の実施形態において、本発明は、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも1か月および約1年までにわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、第11の実施形態に従う方法である。
第14の実施形態において、本発明は、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも3か月および約1年までにわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、第11の実施形態に従う方法である。
第15の実施形態において、本発明は、患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも6か月間にわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、第11の実施形態に従う方法である。
第16の実施形態において、本発明は、患者が、低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を単独療法として投与される、第1から第15の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第17の実施形態において、本発明は、患者が、低用量のRAD001または薬学的に許容されるその塩を単独療法として投与される、第1から第15の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第18の実施形態において、本発明は、患者が、低用量のRAD001または薬学的に許容されるその塩および低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩の両方を組合せ療法として投与される、第1から第15の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第19の実施形態において、本発明は、低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を受けている患者の薬物動態AUC変動性が、より高用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を受けている患者よりも低い、第1から第16または第18の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第20の実施形態において、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩が、中性形態である、第1から第15、第17または第18の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第21の実施形態において、本発明は、BEZ235または薬学的に許容されるその塩が、モノトシレート塩である、第1から第16または第18の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第22の実施形態において、本発明は、0.01〜0.2mgのRAD001または薬学的に許容されるその塩の投与を含む、第1から第15または第17から第21の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第23の実施形態において、本発明は、1〜50mgのBEZ235または薬学的に許容されるその塩の投与を含む、第1から第16または第18から第22の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第24の実施形態において、本発明は、対象が、免疫不全である、第1から第23の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第25の実施形態において、本発明は、対象が、免疫応答異常を有する、第1から第24の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第26の実施形態において、本発明は、対象が、免疫老化状態にある、第1から第25の実施形態のいずれか1つに従う方法である。
第27の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのインターフェロン誘導遺伝子(ISG)を上方調節する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む方法である。
第28の実施形態において、本発明は、細胞外マトリックスリモデリングに関与する少なくとも1つのタンパク質を上方調節する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む方法である。
第29の実施形態において、本発明は、細胞外マトリックスリモデリングに関与するタンパク質が、少なくとも約1週間;少なくとも約2週間;少なくとも約3週間;または少なくとも約6週間にわたる治療後に、有意に上方調節される、第28の実施形態の方法である。
第30の実施形態において、本発明は、異常な細胞外マトリックスリモデリングに関連する疾患または状態を治療する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む方法である。
第31の実施形態において、本発明は、異常な細胞外マトリックスリモデリングに関連する疾患または状態が、心不全、駆出率が保たれた心不全、慢性腎不全、糸球体腎症(glomerunephropathy)、皮膚の老齢化、NASH、肝繊維症/肝硬変、特発性肺線維症を含む肺線維症、老齢化に関連する腱機能不全/硬直、変形性関節症を含む関節炎、サルコペニア、骨髄線維症、骨髄異形成(myelodysplasia)、血液脳関門の老齢化に関連する機能不全、糖尿病性腎症、アテローム性動脈硬化、または創傷治癒から選択される、第30の実施形態の方法である。

Claims (33)

  1. (a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを患者に投与するステップを含み、前記患者が、RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せを投与されていない患者よりも、感染症による疾病をより少なく経験する、方法。
  2. 前記患者の先天性免疫が、増強される、請求項1に記載の方法。
  3. 抗原特異的免疫が、増強されない、請求項1または2に記載の方法。
  4. 少なくとも1つのインターフェロン誘導遺伝子(ISG)が、上方調節される、請求項2に記載の方法。
  5. 前記感染症が、尿路感染症である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記感染症が、気道感染症である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記感染症が、歯周感染症を含む口腔感染症である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記感染症が、ウイルス感染症である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記患者が、高齢者である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記患者が、少なくとも65歳である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記患者が、少なくとも75歳である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記患者が、少なくとも85歳である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、前記低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せが、前記患者に、最大連続約6週間にわたって投与される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記患者が、前記RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、前記BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、約1日から約1年まで、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、請求項13に記載の方法。
  15. 前記患者が、前記RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、前記BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも1か月および約1年までにわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、請求項13に記載の方法。
  16. 前記患者が、前記RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、前記BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも3か月および約1年までにわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、請求項13に記載の方法。
  17. 前記患者が、前記RAD001もしくは薬学的に許容されるその塩、前記BEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの組合せの投与後、少なくとも6か月間にわたって、感染症による疾病をより少なく経験し続ける、請求項13に記載の方法。
  18. 前記患者が、前記低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を単独療法として投与される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記患者が、前記低用量のRAD001または薬学的に許容されるその塩を単独療法として投与される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記患者が、前記低用量のRAD001または薬学的に許容されるその塩および前記低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩の両方を組合せ療法として投与される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記低用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を受けている患者の薬物動態AUC変動性が、より高用量のBEZ235または薬学的に許容されるその塩を受けている患者よりも低い、請求項1から18または20のいずれか一項に記載の方法。
  22. RAD001または薬学的に許容されるその塩が、中性形態である、請求項1から17、19または20のいずれか一項に記載の方法。
  23. BEZ235または薬学的に許容されるその塩が、モノトシレート塩である、請求項1から18または20のいずれか一項に記載の方法。
  24. 0.01〜0.2mgのRAD001または薬学的に許容されるその塩の投与を含む、請求項1から17または19から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 1〜20mgのBEZ235または薬学的に許容されるその塩の投与を含む、請求項1から18または20から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記対象が、免疫不全である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記対象が、免疫応答異常を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記対象が、免疫老化状態にある、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 少なくとも1つのインターフェロン誘導遺伝子(ISG)を上方調節する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む、方法。
  30. 細胞外マトリックスリモデリングに関与する少なくとも1つのタンパク質を上方調節する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む、方法。
  31. 細胞外マトリックスリモデリングに関与する前記タンパク質が、少なくとも約3週間にわたる治療後に、有意に上方調節される、請求項30に記載の方法。
  32. 異常な細胞外マトリックスリモデリングに関連する疾患または状態を治療する方法であって、(a)低用量のRAD001もしくは薬学的に許容されるその塩;(b)低用量のBEZ235もしくは薬学的に許容されるその塩;または(c)それらの組合せを、患者に投与するステップを含む、方法。
  33. 異常な細胞外マトリックスリモデリングに関連する前記疾患または状態が、心不全、駆出率が保たれた心不全、慢性腎不全、糸球体腎症(glomerunephropathy)、皮膚の老齢化、NASH、肝繊維症/肝硬変、特発性肺線維症を含む肺線維症、老齢化に関連する腱機能不全/硬直、変形性関節症を含む関節炎、サルコペニア、骨髄線維症、骨髄異形成(myelodysplasia)、血液脳関門の老齢化に関連する機能不全、糖尿病性腎症、アテローム性動脈硬化、または創傷治癒から選択される、請求項32に記載の方法。
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