JP2020204257A - 複合建物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、図8に示されるような、建物構造100が開示されている。建物構造100においては、コンクリート充填鋼管柱(以下、CFT柱と呼称する)102と、CFT柱102よりも下層に配設された鉄筋コンクリート柱(以下、RC柱と呼称する)103とが、鉛直方向に連続して配置されている。CFT柱102とRC柱103の接合、すなわち、柱梁架構構造の切り替えは、地下1階(B1FL)と地下2階(B2FL)の境界付近で行われている。
RC柱103の頭部の外周面には筒状の補強部材104が周設されている。RC柱103の主筋105はRC柱103の上端面から突出し、CFT柱102の内部で定着され、または、CFT柱102に固定されている。
CFT柱102は、RC柱103に接合される取付部106を備えている。取付部106は、第一取付部材107と第二取付部材108を備えている。第一取付部材107と第二取付部材108の各々の下端には、梁110を接合するためのダイヤフラムとしても機能する、ベースプレート109が接合されている。
非特許文献1には、上記のような第一取付部材107として示されたような鋼管柱をはじめとした柱と、梁との、様々な接合形式が紹介されている。
このような中高層建物を、下層階と上層階の各々の用途に応じた適切な構造形式を採用することにより、上記のような複合建物として実現することが考えられる。ここで、商業用施設としては、柱をできるだけ少なくして柱スパンを長くし、大規模空間を実現するために、鉄骨やCFT柱を使用した柱梁架構による構造形式が望ましい。他方、住宅系施設としては、僅かな振動をも抑えて快適な住環境を実現するために、RC柱等の剛性を備えた柱梁架構による構造形式が望ましい。
このような観点に基づくと、上記のような特許文献1に開示されている建物構造100は、下層階の柱としてRC柱が、上層階の柱としてCFT柱が、それぞれ用いられており、なおかつ、柱梁架構構造の切り替えは、地下1階(B1FL)と地下2階(B2FL)の境界付近で行われているため、地上の低層階を含む下層階が商業用施設として、上層階が住宅系施設として、それぞれ使用される複合建物の施工に際しては、これに適した構造となっていない。
上層部と下層部の境界層の柱113の外殻をなす鋼管114が、直下階の躯体に接合されて床面から直上階の梁下の間に配置されている。鋼管114内の少なくとも下部にスタッド117が設置されている。鋼管114内に柱主筋115が挿入されて、境界層の床面付近まで配筋されている。柱主筋115の周囲には、少なくとも柱頭部の位置に帯筋118が巻回されている。鋼管114内にコンクリート116が打設充填されて、コンクリート116およびスタッド117を介して柱主筋115と鋼管114とが接合されている。柱主筋115への帯筋118の巻回範囲は、曲げモーメントの反曲点の位置までとされ、鋼管114内の下部へのスタッド117の設置範囲は、帯筋118の巻回位置よりも下方に限定されている。
界層が上下に長く、全体として複雑な構造となっている。また、鋼管114内に多数の
タッド117を設ける必要がある。すなわち、上層部のRC柱111と下層部のCFT
112の接合構造が複雑であり、施工が容易ではなかった。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、コンクリート充填鋼管柱と、前記コンクリート充填鋼管柱より上層階に配設された鉄筋コンクリート柱が鉛直方向に連続して配置された複合建物であって、前記コンクリート充填鋼管柱の上端部には、当該コンクリート充填鋼管柱の内壁面と交差する方向に延在する上部鋼板と下部鋼板が、間隔をあけて設けられ、前記鉄筋コンクリート柱の柱主筋が、前記上部鋼板、及び前記下部鋼板に設けられた鉄筋用孔を貫通して、前記コンクリート充填鋼管柱の内部に定着されていることを特徴とする複合建物を提供する。
上記のような構成によれば、コンクリート充填鋼管柱より上層階に鉄筋コンクリート柱が配設されている。すなわち、下層階は、柱をできるだけ少なくして柱スパンを長くし、大規模空間を実現するのに適した、コンクリート充填鋼管柱を使用した柱梁架構となっており、上層階は、僅かな振動をも抑えて快適な住環境を実現するのに適した、剛性を備えた鉄筋コンクリート柱を使用した柱梁架構となっているため、下層階が店舗や事務所等の商業用施設として使用され、上層階が集合住宅等の住宅系施設として使用される建物に適した構造となっている。
また、鉄筋コンクリート柱の柱主筋は、コンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管と、上部鋼板、及び、下部鋼板によって囲われた領域に挿通されて、この領域に充填されて鋼管と上部及び下部鋼板によって強く拘束されたコンクリートに埋設され、柱主筋のコンクリートに対する付着力が強められている。更に、柱主筋は、上部鋼板と下部鋼板に設けられた鉄筋用孔を貫通して、コンクリート充填鋼管柱の内部にまで延在するように設けられて、コンクリートに定着されている。これにより、鉄筋コンクリート柱の柱脚に生じる曲げに対して抵抗可能な、コンクリート充填鋼管柱と鉄筋コンクリート柱との間に高い接合強度を実現することができる。
また、コンクリート充填鋼管柱と鉄筋コンクリート柱の接合は、柱鉄筋を介して一体化されており、簡潔で優れた構造となっている。更に、鉄筋コンクリート柱の柱主筋をそのまま、あるいは、機械式継手等により延長して、コンクリート充填鋼管柱の内部に配筋することが可能な、簡潔な構造である。これにより、施工が容易である。
上記のような構成によれば、上記のように、コンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管と、上部鋼板、及び、下部鋼板によって囲われた領域のコンクリートは、これらにより強く拘束されているが、上部鋼板の上面に、コンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管の上方外周を覆うように塞ぎ鋼板が設けられることにより、鋼管が上部鋼板を挟んで上方に延長されたような形状となるため、強く拘束されたコンクリートの領域も、上部鋼板よりも上方へ拡大される。これにより、コンクリート充填鋼管柱と鉄筋コンクリート柱との接合部分のせん断強度を増大させることができるとともに、柱主筋のコンクリートに対する付着力をより強くして柱同士の接合強度を高めることができる。
また、塞ぎ鋼板によってコンクリートの表面欠損等を防ぐことができる。
上記のような構成によれば、コンクリート充填鋼管柱の上面に、現場打設コンクリート柱が設けられ、その上にプレキャストコンクリート柱が設けられているため、現場打設コンクリート柱とプレキャストコンクリート柱のせん断強度の相対的な関係を容易に調整することができる。ここで、例えば、現場打設コンクリート柱に高強度フープ筋または高強度コンクリートを用いることで、現場打設コンクリート柱のせん断強度をプレキャストコンクリート柱のせん断強度より高くすることができる。これにより、コンクリート充填鋼管柱と鉄筋コンクリート柱との接合部分を一体化し、高靱性を実現することができる。
また、現場打設コンクリート柱の高さを調整することにより、コンクリート充填鋼管柱にプレキャストコンクリート柱を設置する際に、高さ方向の設置精度を容易に調整することができる。
具体的には、上層階側のRC柱の柱主筋を下層階側のCFT柱を構成する内部水平鋼板を貫通させてCFT柱内部に配置するとともに、CFT柱の上部に、現場打設RC柱を設け、その上面にプレキャストコンクリート柱を設置し、其々を接合させた接合構造(第1実施形態、図3、4)と、前記第1実施形態と異なる点として、現場打設RC柱の周囲に、塞ぎ鋼板と縦リブを設けた接合構造(第1の変形例、図5、6)と、RC柱の柱主筋の下方端を下層階側のCFT柱を構成する内部水平鋼板を貫通させてナット締結し、定着させた接合構造(第2の変形例、図7)である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
下層階3においては、柱5はCFT柱5であり、CFT柱5間には鉄骨梁7が架設されている。これにより、下層階3は、CFT柱5と鉄骨梁7による柱梁架構を備えている。また、上層階4においては、柱6はRC柱であり、RC柱6間には鉄骨梁7が架設されている。これにより、上層階4は、RC柱6と鉄骨梁7による柱梁架構を備えている。図1においては、CFT柱5は白抜きで示されており、RC柱6はハッチングがかけられて示されている。
このように、複合建物1においては、CFT柱5と、CFT柱5より上層階に配設されたRC柱6が、鉛直方向Zに連続して配置されている。また、CFT柱5とRC柱6の接合部、すなわち、柱梁架構構造の切り替え部分は、地上2階以上の高さに位置している。
以下、CFT柱5とRC柱6の接合部の構造について、図2乃至図4を用いて詳細に説明する。図2は、図1のA矢視部分、すなわち、複合建物1におけるCFT柱5とRC柱6の接合部の斜視図である。図3は、図2のB―B部分の縦断面図である。図4(a)、図4(b)、図4(c)、及び、図4(d)は、それぞれ、図3の、C−C部分、D−D部分、E−E部分、及び、F−F部分における、横断面図である。
一般部10は、矩形断面の鋼管10aと、鋼管10a内に充填されているコンクリート10bを備えている。
取付部11は、一般部10の鋼管10aと略同等の断面形状を備えている鋼管11aと、鋼管11a内に充填されているコンクリート11bを備えている。取付部11は、その鉛直方向Zにおける長さが、鉄骨梁7の梁成と略同等となるように形成されている。
より詳細には、下部鋼板16は、CFT柱5の一般部10の鋼管10aの上端に溶接されている。下部鋼板16の上面上には、CFT柱5の取付部11の鋼管11aが、下部鋼板16の下方に位置する鋼管10aが下部鋼板16を挟んで上方に略連続するような位置に、溶接されている。上部鋼板15は、取付部11の鋼管11aの上端に溶接されている。
図3に示されるように、本実施形態においては鉄骨梁7はH形鋼であり、鉄骨梁7の上フランジ7aが上部鋼板15に、下フランジ7bが下部鋼板16に、及び、ウェブ7cが取付部11の鋼管11aの外壁面11dに、それぞれ接合されている。
開口部15aの周囲の、上部鋼板15が取付部11に接合されたときに取付部11の鋼管11aの内壁面11cよりも内側に位置する部分には、複数の鉄筋用孔15bが設けられている。
上部鋼板15は、鉄骨梁7の上フランジ7aと同等以上の厚みを備えている。この上部鋼板15に対して、鉄骨梁7の上フランジ7aが接合されている。上部鋼板15は、開口部15aを中心として図4(b)中二点鎖線で示されている矩形形状端辺15gで区切られた矩形形状が、鉄骨梁7が接合される方向に台形形状に突出するように形成されている。この台形形状の梁接続部15cは、外方に向かうにつれて、幅が漸次小さくなり、鉄骨梁7の上フランジ7aと同じ幅となった位置で終端している。この、鉄骨梁7の上フランジ7aと同じ幅の最外端の端辺15dに対して、鉄骨梁7の上フランジ7aが接合されている。
図3に示される上部鋼板15の上面15e上には、鉄骨梁7の上に敷設される床スラブ18との接合用の、スタッドボルト15f(図4(b)参照)が設けられている。なお、図2においては、図面を簡単にするために、床スラブ18は図示されていない。
下部鋼板16は、鉄骨梁7の下フランジ7bと同等以上の厚みを備えている。この下部鋼板16に対して、鉄骨梁7の下フランジ7bが接合されている。下部鋼板16は、上部鋼板15と略同等な輪郭形状を備えており、鉄骨梁7が接合される方向に梁接続部16cが設けられている。鉄骨梁7の下フランジ7bは、この梁接続部16cの最外端の端辺16dに対して接合されている。
現場打設RC柱8には、柱主筋13が配筋されている。柱主筋13は、CFT柱5及びRC柱6の軸方向、すなわち鉛直方向Zに沿って配筋されている。柱主筋13の上端13aは、現場打設RC柱8の上面8f上からわずかに突出している。また、柱主筋13の下側は、現場打設RC柱8を鉛直方向Zに貫通し、また、上部鋼板15の鉄筋用孔15bと下部鋼板16の鉄筋用孔16bを挿通することにより、取付部11の鋼管11a内を更に貫通するように設けられており、柱主筋13の下端13bは、一般部10の鋼管10aの内側に位置せしめられている。このように、柱主筋13は、所定の定着長が確保できる長さを備えており、CFT柱5の内部において、一般部10と取付部11のコンクリート10b、11bに定着されている。
柱主筋13は、CFT柱5及びRC柱6の周方向に所定の配筋ピッチにより配筋されている。柱主筋13は、後述するPCaRC柱9の柱主筋9cと同じ平面位置に設けられている。
現場打設RC柱8には、柱主筋13を水平方向に囲うように、複数のフープ筋8eが設けられている。フープ筋8eは、後述するPCaRC柱9のフープ筋9dに比べて、太径または高強度フープ筋であり、CFT柱5側には複数の鉄筋が重ねて巻き立てられた重ね巻き部がある。フープ筋8eは、コンクリート8bに埋設されている。
PCaRC柱9の下端9aには、機械式継手9eが、その一方の端面が下端9aから露出するように埋設されており、機械式継手9eの他方の端面、すなわち上方を向く端面側から、柱主筋9cの下端が機械式継手9e内に挿入されて、固定されている。
柱主筋9cを囲うように、複数のフープ筋9dが設けられている。フープ筋9dは、コンクリート9bに埋設されている。
上記のように構成された現場打設RC柱8とPCaRC柱9を、一体とされたRC柱6としてみた場合においては、PCaRC柱9の柱主筋9cが、機械式継手9eを介して柱主筋13として下方向に延在するように構成されているため、RC柱6の柱主筋9c、13が、上部鋼板15、及び、下部鋼板16に設けられた鉄筋用孔15b、16cを貫通して、CFT柱5の内部のコンクリート10b、11bに定着されている構造となっている。
より具体的には、現場打設RC柱8においては、高強度フープ筋8eが、PCaRC柱9のフープ筋9dよりも密になるように配筋されている。また、現場打設RC柱8には、PCaRC柱9のコンクリート9bに比べて、同等強度または高強度コンクリート8bが使用されている。
次に、柱主筋13、及び、現場打設RC柱8部分のフープ筋8eを配筋する。柱主筋13は、上部鋼板15、及び、下部鋼板16に設けられた鉄筋用孔15b、16bを貫通して、後にCFT柱5の内部に追って打設されるコンクリート10b、11bに十分に定着されるような長さで配筋する。また、高強度フープ筋8eは、後に立設されるPCaRC柱9のフープ筋9dよりも密になるように配筋する。
コンクリート8b、10b、11bの養生後には、床スラブ18を形成するとともに、PCaRC柱9を、現場打設RC柱8の上面8f上に立設する。具体的には、上面8fから上方に突出する柱主筋13の上端13aを、PCaRC柱9の下端9aから下方に露出している機械式継手9eの端面から、機械式継手9e内に挿入し、グラウト等を注入することにより固定する。
このようにして、CFT柱5とRC柱6の接合部を施工した後には、更に上方に向けて上層階4を施工する。
また、RC柱6の柱主筋13は、CFT柱5を構成する鋼管11aと、上部鋼板15、及び、下部鋼板16によって囲われた領域に挿通されて、この領域に充填されて鋼管11aと上部及び下部鋼板15、16によって強く拘束されたコンクリート11bに埋設され、柱主筋13のコンクリート11bに対する付着力が強められている。更に、柱主筋13は、上部鋼板15と下部鋼板16に設けられた鉄筋用孔15b、16bを貫通して、CFT柱5(10、11)の内部にまで延在するように設けられて、コンクリート10b、11bに定着されている。これにより、RC柱6の柱脚に生じる曲げに対して抵抗可能な、CFT柱5とRC柱6間の高い強度の接合を実現することができる。
また、CFT柱5とRC柱6の接合は、柱主筋13を介して一体化されており、簡潔で優れた構造となっている。更に、RC柱6の柱主筋9cを機械式継手9eにより柱主筋13として延長して、CFT柱5の内部に配筋されている、簡潔な構造であるため、施工が容易である。
また、現場打設RC柱8の高さを調整することにより、CFT柱5上にPCaRC柱9を設置する際に、高さ方向Zの設置精度を容易に調整することができる。
次に、図5、図6を用いて、上記実施形態として示した複合建物1の第1の変形例を説明する。図5は、本第1の変形例における複合建物30の、CFT柱5とRC柱6の接合部の縦断面図である。図6は、図5のG−G部分における横断面図である。本第1の変形例の複合建物30は、上記実施形態における複合建物1とは、現場打設RC柱8の周囲に、塞ぎ鋼板31と縦リブ32が設けられている点が異なっている。
塞ぎ鋼板31の外側表面31aまたは内側表面31bには、複数の縦リブ32が接合されている。縦リブ32の各々は、略直角三角形状をなしており、直角部分を挟んだ2本の端辺のうち、一方が塞ぎ鋼板31の外側表面31aまたは内側表面31bに、他方が上部鋼板15の上面15eに、それぞれ接合されている。縦リブ32の厚みや形状は、縦リブ32が負担する応力に応じて適宜設定される。
上記実施形態において説明したように、上部鋼板15の、鉄骨梁7が接合される方向には、外方に台形形状に突出するように梁接続部15cが形成されている。塞ぎ鋼板31のうち、この梁接続部15cが形成されている側に位置する部分には、縦リブ32は、塞ぎ鋼板31の外側表面31aに、縦リブ32が鉄骨梁7の延在する方向に突出するように設けられている。また、塞ぎ鋼板31のうち、梁接続部15cが形成されていない側、すなわち複合建物30の外周側に位置する部分には、縦リブ32は、塞ぎ鋼板31の内側表面31bに、縦リブ32が現場打設RC柱8の内側に食い込んで延在するように設けられている。
特に、本第1の変形例の構成においては、上記実施形態において説明したように、CFT柱5を構成する鋼管11aと、上部鋼板15、及び、下部鋼板16によって囲われた領域のコンクリート11bは、これらにより強く拘束されているが、上部鋼板15の上面15eに、CFT柱5を構成する鋼管11aの上方外周を覆うように塞ぎ鋼板31が設けられることにより、鋼管11aが上部鋼板15を挟んで上方に延長されたような形状となるため、強く拘束されたコンクリートの領域も、現場打設RC柱8のコンクリート8bを含むように、上部鋼板15よりも上方へ拡大される。これにより、CFT柱5とRC柱6の接合部のせん断強度を増大させることができるとともに、柱主筋13のコンクリート8bに対する付着力をより強くして柱同士の接合強度を高めることができる。
また、塞ぎ鋼板31に対して、縦リブ32が接合されているため、塞ぎ鋼板31に対して水平方向に作用する水平地震力に、強く、せん断抵抗することが可能である。
次に、図7を用いて、上記実施形態として示した複合建物1の第2の変形例を説明する。図7は、本第2の変形例における複合建物40の、CFT柱5とRC柱6の接合部の縦断面図である。本第2の変形例の複合建物40は、上記実施形態における複合建物1とは、CFT柱5の柱主筋41が、CFT柱5の取付部11のコンクリート11bと、下部鋼板16に定着されている点が異なっている。
より詳細には、ネジ節鉄筋または先端部分がネジ加工されたRC柱6の柱主筋41が、CFT柱5に接合された下部鋼板16を貫通するように設けられている。柱主筋41の下端41bには、ナット42が締結されることにより、柱主筋41が下部鋼板16に定着されている。柱主筋41を締付けるナット42としては、例えば、ナットと定着板が一体となった定着具(例えば、東京鉄鋼株式会社のプレートナット、合同製鐵株式会社のEG定着板など)、または六角ナットが使用可能である。ナット42は、図7においては、下部鋼板16を上面と下面の双方から挟み込んで締め付けるように、下部鋼板16の上方と下方に設けられているが、下部鋼板16の下方のみに設けられても構わない。
特に、本第2の変形例の構成においては、下層階側のCFT柱5内部に挿入させる上層階側のRC柱6の柱主筋41の挿入長さは短く、かつ柱主筋41の下方端41bをCFT柱5を構成する下部鋼板16にナット42を締結して定着させることで、柱主筋41の抜け出しに対して、ナット42本体と、ナット42本体に面接合された下部鋼板16が抵抗し、柱主筋41が高い定着強度を有することになる。
また、上記実施形態及び変形例において、CFT柱5、RC柱6の断面形状は矩形であり、これに伴い、上部鋼板15、下部鋼板16の形状も、矩形を基にした形状となっていたが、これに限られず、CFT柱5、RC柱6の断面形状は円形等の他の形状であってもよいし、上部鋼板15、下部鋼板16の形状も、円形等の他の形状を基にした形状であってもよい。
定着体は、例えば、柱主筋13の下端13bを拡径させる、柱主筋13の直径よりも大きな幅寸法を有した鋼製プレートを柱主筋13の下端13bに溶着あるいは溶接する、柱主筋13の下端13bにナット等を螺着する、柱主筋13の下端13bに筒状部材を被せた状態で固定する等の、様々な方法により、形成することができる。
また、現場打設RC柱8は、図3に示すように床スラブ18と略同等の高さになるように形成されているが、現場打設RC柱8内にフープ筋を設けることなく、コンクリートのみ薄層としてもよい。
3 下層階 11a 鋼管
4 上層階 11b コンクリート
5 コンクリート充填鋼管柱 11c 内壁面
6 鉄筋コンクリート柱 13 柱主筋
7 鉄骨梁 15 上部鋼板
8 現場打設コンクリート柱 15b 鉄筋用孔
8b コンクリート 15e 上面(コンクリート充填鋼管柱の上面)
8f 上面 16 下部鋼板
9 プレキャストコンクリート柱 16b 鉄筋用孔
9b コンクリート 30 複合建物
9c 柱主筋 31 塞ぎ鋼板
10 一般部 32 縦リブ
10a 鋼管 GL 地表
10b コンクリート Z 鉛直方向
10c 内壁面 40 複合建物
Claims (3)
- コンクリート充填鋼管柱と、前記コンクリート充填鋼管柱より上層階に配設された鉄筋コンクリート柱が鉛直方向に連続して配置された複合建物であって、
前記コンクリート充填鋼管柱の上端部には、当該コンクリート充填鋼管柱の内壁面と交差する方向に延在する上部鋼板と下部鋼板が、間隔をあけて設けられ、
前記鉄筋コンクリート柱の柱主筋が、前記上部鋼板、及び前記下部鋼板に設けられた鉄筋用孔を貫通して、前記コンクリート充填鋼管柱の内部に定着されていることを特徴とする複合建物。 - 前記上部鋼板の上面には、前記コンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管の上方外周を覆うように塞ぎ鋼板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合建物。
- 前記コンクリート充填鋼管柱と連結される前記鉄筋コンクリート柱は、前記コンクリート充填鋼管柱の上面に現場で構築される現場打設コンクリート柱と、該現場打設コンクリート柱の上面に設置されるプレキャストコンクリート柱を備え、
前記現場打設コンクリート柱のせん断強度は、前記プレキャストコンクリート柱のせん断強度より高いことを特徴とする請求項1または2に記載の複合建物。
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