JPH06331776A - 鋼板コンクリート原子炉格納容器 - Google Patents

鋼板コンクリート原子炉格納容器

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JPH06331776A
JPH06331776A JP5147074A JP14707493A JPH06331776A JP H06331776 A JPH06331776 A JP H06331776A JP 5147074 A JP5147074 A JP 5147074A JP 14707493 A JP14707493 A JP 14707493A JP H06331776 A JPH06331776 A JP H06331776A
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Yasuyoshi Shimazaki
保義 嶋崎
Ryoichi Shohara
良一 称原
Koichi Yajima
宏一 矢島
Shinichiro Aoki
晋一郎 青木
Yoshiro Kai
芳郎 甲斐
Kazuo Murakami
一夫 村上
Yutaka Nishikawa
裕 西川
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Shimizu Construction Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Abstract

(57)【要約】 【目的】 迅速かつ精度良く施工でき、所望の温度荷重
に対しても耐力を有する格納容器を提供する。 【構成】 スタッドボルト14が内面に所定間隔で植設
された鋼板1A、1Bを、スタッドボルト14を対向さ
せた状態で所定距離をあけて配置して外殻パネルを構成
する。この状態の外殻パネルを型枠として該型枠内にコ
ンクリートを打設する。これによりスタッドボルト14
を一体的に埋設した構造の合成構造体により原子炉格納
容器の少なくとも円筒壁体1を構築する。さらに円筒壁
体1の下端に差筋11を埋設し基礎マット3で固定支持
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼板コンクリート原子炉
格納容器に係り、特に面内せん断力を伝達可能なずれ止
め部材により一体化した鋼板とコンクリートとの合成構
造で円筒壁体、トップスラブ等の主要構造系を構成した
鋼板コンクリート原子炉格納容器に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所の主要構造物である原子炉
格納容器は、その内部に原子炉とその他多数の機器、配
管が格納されている。そして万一前記格納物から放射性
物質が放散された場合に、確実にその逸散を防止できる
よう設計されている。その構造形式としては小規模発電
のものでは鋼板製容器も建設されたが、現在では鉄筋コ
ンクリート(RC)、パーシャルプレストレストコンク
リート(PRC)あるいはプレストレストコンクリート
(PC)構造の各構造の特徴を活かした設計が進めら
れ、各構造の原子炉格納容器が建設されている。我国で
は鉄筋コンクリート原子炉格納容器(以下、RCCVと
記す)及びプレストレストコンクリート原子炉格納容器
(以下、PCCVと記す)に関しては、「原子力用コン
クリート格納容器設計指針案」(日本建築学会)等の関
係基準が制定されており、これらの基準に基づき、種々
のRCCV及びPCCVの設計、施工が行われている。
【0003】図10は一般的な原子炉建屋の例を示した
概略断面図である。同図において、符号101は原子炉
建屋100の基礎マットを示しており、この基礎マット
101のほぼ中央位置に原子炉圧力容器(図示せず)が
配置されている。そしてこの原子炉圧力容器を内部に格
納するために原子炉格納容器(以下、CVと記す)円筒
壁102が基礎マット101上に立設されている。この
CV円筒壁102は鉄筋コンクリートにより構築され、
脚部102aは基礎マット101に構造上、固定支持さ
れている。さらにCV円筒壁102の外周位置には各機
器を収容し、建屋を構成する多層スラブ103が構築さ
れ、その上方位置にクレーン操作空間を確保するように
してトラス屋根104が架設されている。
【0004】一方、CV円筒壁102の上端部102b
には円環状のトップスラブ105の外周縁が剛結接合さ
れており、このCV円筒壁102とトップスラブ105
とにより一体的な構造の鉄筋コンクリート原子炉格納容
器(RCCV)が構成されている。このうちCV円筒壁
102は所定の設計荷重に耐えるようにその壁厚及び鉄
筋量が算定されており、本例のような高出力原子炉の場
合にはCV円筒壁102の壁厚tはt=200cm以上
となり、使用鉄筋も直径51mmの異形鉄筋(D51)
が用いられ、鉄筋は壁体の内外の配筋位置にそれぞれ3
段配筋となるように設計されている。また、CV円筒壁
102の内面にはライニング構造を構成するライナ材1
10がライナアンカー(図示せず)を介して内張りされ
ている。このライナ材は荷重を負担しない非構造部材
で、容器としての気密性を保持することを主目的として
設けられている。通常その施工は、鉄筋コンクリート壁
が構築されてから壁体の周囲に再度足場等を組んでコン
クリート壁面からアンカーを取ってライナ材を縦横に配
置接合し、面状に組み立てられたライナ材を型枠として
鉄筋コンクリート壁との間に発泡コンクリート等を裏込
充填し、ライナ材と鉄筋コンクリート壁とを一体化して
いる。
【0005】このようにRCCVは原子炉格納容器の構
造形式として確立されたものであるが、前述の太径鉄筋
は重量が重く、人力では運搬できないので、鉄筋運搬の
ための運搬具等が多数必要となる。またこの鉄筋を他段
に配筋するためには形鋼により堅固な鉄筋ラック等を製
作し、その鉄筋ラックを使用して配筋作業を行わなけれ
ばならず多大な労力を要した。また、コンクリート打設
においても輻輳する他段鉄筋の間にコンクリートを確実
に行き渡らせるのが難しく、部分的に打設コンクリート
の品質が低下するという問題がある。
【0006】このようなRCCVの有する施工上の問題
点を解決するために鋼板コンクリート原子炉格納容器
(以下、SCCVと略記する)が実験、設計レベルで検
討されている。鋼板コンクリートとは外殻パネルを構成
する2枚の鋼板でコンクリートをサンドイッチした合成
構造からなり、外力に対して鋼板が鉄筋と等価な断面を
有するとし、この鋼板断面で引張力を負担するので、鋼
板とコンクリートとにより一体的な力学的挙動を示すの
が特徴である。また、あらかじめ所定寸法のブロックご
とに製作した外殻パネルを現場に搬入して溶接により組
み立て、型枠として使用してコンクリート打設もでき
る。このため壁体部の施工性が向上し、工程短縮を図る
ことが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この鋼板コ
ンクリートで構築されたSCCVは内側の外殻パネル鋼
板が容器内面に露出する。そこで、この内側鋼板が急激
な温度上昇変化に曝された場合を考慮する必要がある。
すなわち拘束された鋼板が急速に熱せられた際に内部に
発生する温度応力によりコンクリートが悪影響を受けな
いような対策が必要である。このため容器内面に断熱層
を設けて対応する構造が一般的である。この種の断熱層
は容器内面を構成する鋼板表面から所定の距離の隙間を
あけて組み立てられたライナ材と鋼板との隙間に軽量発
泡コンクリート等を後充填して形成されている。しか
し、この断熱層を有するSCCVではRCCVと同様に
型枠を兼用するライナ材を容器内面側に構築し、その後
組立足場等を設置して前述の軽量発泡コンクリートを打
設する必要があり、施工上煩雑となる。また、全体構造
系が複雑になる上、ライナ材の裏面に充填される軽量発
泡コンクリートの発現強度によっては構造部材である鋼
板コンクリート部分がライナ材を一体的に支持できない
こともある。
【0008】そこで、本発明の目的は上述した従来の技
術が有する問題点を解消し、短かい工期で施工できると
ともに、容器内面側の鋼板の急激な温度上昇による温度
応力の発生に対しても内外の鋼板がコンクリートと一体
的に抵抗し、所定の耐力を発揮することのできる鋼板コ
ンクリート原子炉格納容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ずれ止め部材が内面に所定間隔で配設さ
れた鋼板を、該ずれ止め部材を対向させた状態で所定距
離をあけて配置してなる外殻パネルと、該対向した外殻
パネルを型枠として該型枠内に打設され前記ずれ止め部
材を一体的に埋設したコンクリート壁体とから構成され
た構造体により少なくとも円筒壁体を構築し、該円筒壁
体の下端を基礎マットに引張部材を介して固定支持した
ことを特徴とするものである。
【0010】
【作用】本発明よれば、ずれ止め部材が内面に所定間隔
で配設された鋼板を、該ずれ止め部材を対向させた状態
で所定距離をあけて配置して外殻パネルを構成し、この
対向した外殻パネルを型枠として該型枠内にコンクリー
トを打設して前記ずれ止め部材を一体的に埋設した構造
の合成構造体により格納容器の少なくとも円筒壁体部分
を構築し、該円筒壁体の下端に引張部材を設けて基礎マ
ットに固定支持させたので、仮設型枠を構築することな
くコンクリート打設を行えるので、壁体施工工程が著し
く短縮できるとともに、鋼板とコンクリートとの合成構
造によりじん性に富む円筒壁体を構築できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明による鋼板コンクリート原子炉
格納容器(SCCV)の一実施例を添付図面を参照して
説明する。本実施例で説明するSCCVのCV円筒壁の
壁厚及びトップスラブのスラブ厚等の外形寸法は、従来
のRCCVの対応する各部位と同一寸法に設計されてお
り、原子炉格納容器(CV)としての断面形状は、図1
0に示したRCCVの断面図と同様となる。そこで、図
10の断面図において、破線Aで囲んだブロックA部分
に相当するCV円筒壁、基礎マット及びトップスラブを
含む軸対称な構造系を図1及び図2に示し、その全体構
成を説明する。なお、図1ではずれ止め部材としてのス
タッドボルトやダイヤフラム等の構成、配置がわかるよ
うに内部コンクリートを示していない。
【0012】図1及び図2において、符号1は基礎マッ
ト3上に立設されたCV円筒壁を示している。このCV
円筒壁1はその両面が鋼板1A、1Bで被覆され内部に
コンクリート10が打設された鋼板コンクリート構造か
らなる。その脚部1aは所定ピッチで配筋された差筋1
1と、鋼板1A、1Bの下端に一定間隔で溶接接合され
たリブプレート12により基礎マット3に構造上、固定
支持されている。本実施例では差筋11は図7に拡大し
て示したように所定の定着長を確保するように壁体内及
び基礎マット3内に内外に3段ずつ配筋されている。さ
らにリブプレート12を補剛する縦リブ13が脚部1a
のコンクリート内に埋設されている。CV円筒壁1の壁
体内面側にはずれ止め部材たる頭付きスタッドボルト1
4が所定間隔で植設されている。さらに外殻パネル鋼板
1A、1Bの補強部材として複数本のL型リブ15が所
定間隔をあけて水平方向に延設されている。なお、スタ
ッドボルト14及びL型リブ15は鋼板内面の全面にわ
たり設けられているが、図1では図の簡略化のためにス
タッドボルト14及びL型リブ15はその一部が省略さ
れて示されている。同図において、符号16は内外面の
外殻パネル鋼板1A、1Bを連結するダイヤフラムを示
している。
【0013】CV円筒壁1の鋼板1Aの外周部には3層
の鉄筋コンクリート(RC)スラブ4が構築されてい
る。このRCスラブ4は外殻パネル鋼板1Aの所定高さ
に溶接接合により固着された梁ブラケット41に剛結接
合された各鉄骨梁42上に布設されたデッキプレート4
3に公知の方法で施工されたものである。このときこの
RCスラブ4から作用する材端力に抵抗するためにRC
スラブ4と同じ高さのCV円筒壁1位置にはスチフナ4
4が設けられている。このスチフナ44は鉄骨梁42の
フランジ位置に設けられた水平スチフナ44Aと、鉄骨
梁42のウェブ位置に設けられた縦リブ44Bとから構
成されている。
【0014】CV円筒壁1の上部位置には外周面側から
F/Sプール(燃料貯蔵プール)の底版5が剛結接合さ
れており、上端隅角部ではトップスラブ2の外周端2a
が剛結接合されている。図1及び図2から明かなように
トップスラブ2、F/Sプールの底版5、外周壁6はそ
れぞれ内外(あるいは上下)面が外殻パネル鋼板2A、
2B、5A、5B、6A、6Bにより構成され、その壁
体側にはスタッドボルト14と同形のスタッドボルト2
4、54、64が格子状に所定間隔で植設されている。
【0015】トップスラブ2は中央に圧力容器の外径と
ほぼ等しい開口を有する上下に配置された円環状の2枚
の外殻パネル2A、2Bで外形が構成されている。また
ダイヤフラム26が所定間隔で放射状に立設され、上下
の外殻パネル鋼板2A、2Bを接合している。さらに下
面外殻パネル鋼板2Bの上面には補剛材としてT型リブ
25が延設固着されている。F/Sプールの底版5には
作用水圧により大きなせん断力が作用する。そこで、こ
のせん断力を負担するためにせん断補強部材としてダイ
ヤフラム56が所定間隔で上下面の外殻パネル鋼板5
A、5Bを連結するように配置されている。下面外殻パ
ネル鋼板5Bの壁体側にはCT鋼からなるT型リブ55
が隣接するダイヤフラム56、56に挟まれた外殻パネ
ル鋼板5Bを補強するために延設固着されている。また
CV円筒壁1上端及びF/Sプールの隅角接合部2a、
5aでは材端せん断力に抵抗するためにせん断パネルゾ
ーンが形成されている。F/Sプールの底版5の端部か
ら立設されているF/Sプール外周壁6はCV円筒壁1
の断面構造と同等に設計されている。
【0016】図2は図1に示した各部にコンクリートを
打設し、鋼板とコンクリートとを一体化した状態を示し
た断面図である。同図に示したようにコンクリートを打
設するためにCV円筒壁1、トップスラブ2及びダイヤ
フラム16、26の所定位置には複数のコンクリート打
設用開口(図示せず)が形成されている。したがってコ
ンクリート打設に際しては所定の打設計画に基づきコン
クリート供給ホースを各所に設置してコンクリートを打
設すれば、コンクリート打設用開口を介して外殻パネル
鋼板及び各ダイヤフラムで区画された部分にコンクリー
トが確実にいき渡たる。
【0017】図3はCV円筒壁1を例に鋼板コンクリー
トの断面の一部を模式的に示した部分断面図及び鋼板に
固着されたずれ止め部材としてのスタッドボルト及び補
強部材としてのL型リブを示した部分斜視図である。本
発明ではCV内での急激な温度上昇により発生する温度
応力作用時の鋼板存在応力を非線形有限要素法解析によ
り解析し、所定の安全応力が得られる板厚を決定してい
る。本実施例では外殻パネル鋼板1A、1Bの板厚tは
解析による鋼板存在応力からt=25mmに設定されて
いる。また、前述したように鋼板1A、1Bの局部座屈
を防止し、外力が作用した際に鋼板がずれてコンクリー
トとの一体性を失わないように、シアコネクタとして頭
付きスタッドボルト14がスタッド溶接により鋼板内面
に溶植されている。本実施例ではこの頭付きスタッドボ
ルト14としてφ22mm丸鋼が使用されており、鋼板
1A、1Bの内面の全面にわたり200mmピッチで縦
横に格子状にスタッド溶接されている。
【0018】このスタッドボルト14は図3(b)に示
したように拡径された頭部14aを有し、この頭部14
aにより大きな引抜き耐力を確保できるとともに、全体
が細円柱形状のため支圧応力に方向性がないので、鋼板
全面に所定間隔で植設した状態で、コンクリート内に埋
設させることにより、確実にコンクリートに対してずれ
止め効果を発揮し、鋼板に作用する面内せん断力を均等
にコンクリートに伝達することができる。このスタッド
ボルトの寸法及び本数はせん断耐力及び鋼板の座屈制限
値との兼ね合いをクリアするものであれば各種設定可能
である。このスタッドボルトにより確実に鋼板とコンク
リートとが一体化できる。
【0019】また格子状に植設されたスタッドボルト1
4の間にはコンクリート打設時に作用するコンクリート
側圧による短期荷重をクリアするためにL型リブ15が
所定間隔で固着されている。このL型リブ15は前述の
ダイヤフラム16を支点とした連続梁として鋼板1A、
1Bとともにコンクリート側圧に抵抗し、これにより鋼
板1A、1Bに発生する短期応力を許容応力内に抑える
ことができる。したがって鋼板と一体的にコンクリート
側圧に抵抗可能な補強リブであれば、その形状はL型に
限られず、所定の断面性能が確保され、鋼板に溶接等が
容易に行える形状のものであればよい。
【0020】図4はCV円筒壁1及びトップスラブ2を
構成する外殻パネル鋼板の全体形状と、内外(上下)面
の外殻パネル鋼板を連結するダイヤフラムの配置状態を
模式的に示した斜視図である。CV円筒壁1は同図に示
したように内外の外殻パネル鋼板1A、1Bを複数のダ
イヤフラム(補剛鋼板)16で連結して組み立てられた
所定の鋼構造のプレファブ円弧状ブロックを積み上げて
組み立てたものである。その施工は、まずプレファブ円
弧状ブロックが基礎マット3上のCV円筒壁構築位置に
搬入され、溶接により円筒状に組み立てられる。さらに
この円筒はコンクリート打設用の型枠として使用され、
この型枠内にコンクリートを打設することにより外殻パ
ネルを構成する2枚の鋼板とコンクリートとが一体的に
構築される。すなわち、同図には全体構造としてのCV
円筒壁1が示されているが、実際には1段ずつ円筒形部
分を構築し、この鋼板構造を型枠としてその内部にコン
クリートを打設し、次いでその上の段の円筒形外殻パネ
ルを構築し、その部分を型枠としてコンクリートを打ち
継いで施工される。この場合、CV円筒壁1は壁厚が厚
いので、打設コンクリートはマスコンクリートとして所
定の打継ぎ処理を行うことが好ましい。またコンクリー
ト硬化時の温度上昇による鋼板の初期歪みの発生を防止
するために低発熱性コンクリートを使用することが好ま
しい。これにより既製の仮設型枠を現地で組み立てる必
要がないためCV円筒壁1の構築工期を著しく短縮する
ことができる。また型枠に相当する円弧状ブロックは工
場で製作されるため型枠精度もきわめて高いものとする
ことができる。
【0021】一方、トップスラブ2は図示したように中
央開口を有する円盤構造をなし、上下の外殻パネル鋼板
2A、2Bは16枚のダイヤフラム26により連結され
ており、その外周縁はCV円筒壁1の上端に剛結接合さ
れるようになっている。この接合部分にも確実にコンク
リートが行き渡るようにダイヤフラム26に貫通孔が所
定間隔で設けられている。
【0022】図5及び図6はトップスラブ2とCV円筒
壁1の内部が分かるように外殻パネル鋼板の一部を省略
して示した部分斜視図である。図5に示したようにトッ
プスラブ2において、放射状に配置されたダイヤフラム
26の下面外殻パネル鋼板2Bの上面には円周方向に延
設された複数本のT型リブ25が固着されている。この
T型リブ25によりコンクリート打設時の下面外殻パネ
ル鋼板2Bの撓み変形を許容値に抑えるとともに、短期
応力を許容応力内に抑えることができる。
【0023】図6はCV円筒壁1の内面外殻パネル鋼板
1Bの一部を取り除いて示したCV円筒壁1の内部であ
る。同図において、本実施例では内外面の外殻パネル鋼
板1A、1Bを連結するダイヤフラム16はCV円筒壁
1の全周を32等分割するように配置されている。さら
に鋼板内面には複数本のL型リブ15が所定間隔で水平
に延設されるとともに、全面にスタッドボルト14が格
子状に植設されている。このCV円筒壁1は前述のよう
に複数の円弧状ブロックを溶接接合により積み上げて構
築したものであり、各パネル端は突合わせ溶接ができる
ように開先加工がなされている。外殻パネル鋼板及びダ
イヤフラムの材質としては、本実施例では所定降伏点を
有する溶接構造用圧延鋼板(SM材)が使用されている
が、他の鋼板として延性及び溶接性の良い炭素鋼あるい
は低合金鋼板(マンガン−モリブデン鋼、マンガン−モ
リブデン−ニッケル鋼圧延鋼板等)が好適である。
【0024】次に、図7〜図9を参照してCV円筒壁の
固定構造脚部の構成について説明する。図7は本実施例
によるCV円筒壁1の脚部の拡大断面図である。本発明
によるSCCVではCV円筒壁1の脚部は構造上、固定
構造として設計されている。このため脚部1aは、壁体
コンクリート及び外殻パネル鋼板から伝達される軸力
(圧縮、引張)、曲げモーメント及びせん断力が基礎マ
ット3に伝達される構造とする必要がある。この場合、
RCCVでは壁体コンクリート内の主筋をさらに所定の
定着長分だけ基礎マット3内に延設する構造とすれば良
いが、本実施例では外殻パネル鋼板1A、1Bの下端は
基礎マット3天端位置に設定されている。そこで、壁体
コンクリートと基礎マットコンクリートとを一体化さ
せ、壁体脚部1aに発生する引張力を負担するための引
張部材として所定本数の差筋11を埋設し、壁体脚部1
aと基礎マット3との固定構造を確保するようにした。
【0025】差筋11の定着長は使用鉄筋径によって異
なるが、本実施例では異形鉄筋(D51)を3段配筋し
た状態で壁体内の定着長と基礎マット3内の定着長とが
ともにL=440cmになるように設定した。さらに外
殻パネル鋼板1A、1B下端と基礎マット3との剛結度
を高めるために外殻パネル鋼板1A、1Bの下端に縦リ
ブ13を所定間隔で埋設するとともに、外殻パネル鋼板
1A、1Bの両外面にリブプレート12を固着してい
る。本構造によれば、基礎マット3の上側配筋31と差
筋11との干渉を回避できるので、施工性が向上すると
いう利点を有する。なお、本実施例では異形鉄筋を差筋
として用いて脚部の固定構造を形成したが、差筋の代え
て型鋼でアンカフレームを組んで埋設し、このアンカフ
レームの付着力により壁体と基礎との構造の一体化を図
ることも可能である。
【0026】図8は前述の差筋の変形例として外殻パネ
ル鋼板1A、1Bの下端を基礎マット3内まで延設し、
壁体脚部1aと基礎マット3とを固定構造とした例を示
した断面図である。本変形例では外殻パネル鋼板1A、
1Bが基礎マット3内まで延設されるので、上側鉄筋3
1がこの壁体埋設部分で切断される。そこで、外殻パネ
ル鋼板1A、1Bの表面にカップラジョイント等の鉄筋
継手32を鉄筋ピッチに合わせて列設し、この部分で切
断される鉄筋31の端部を定着させるとともに、鉄筋継
手位置の外殻パネル鋼板1A、1Bを連結するように補
剛材としてリブプレート33を固着している。これによ
り上側鉄筋31の連続性が確保され、従来の上側鉄筋3
1と同等の力学的挙動を確保できる。また、埋設された
外殻パネル鋼板1A、1Bの内外表面にはスタッドボル
ト34が密に植設されており、CV円筒壁1から伝達さ
れた作用力を基礎マット3に確実に伝達することができ
る。なお、このスタッドボルト34に代えて鋼板表面に
所定間隔で開口を形成して基礎コンクリートと壁体コン
クリートとの一体性を確保するようにしても良い。この
開口を有する構造の場合には基礎コンクリート打設時に
壁体脚部のコンクリートも同時に打設できるので、施工
性が向上するとともにコンクリートの一体性がきわめて
高く、応力伝達が確実に行われるという利点を有する。
【0027】図9は他の変形例として外殻パネル鋼板1
A、1Bの下端にアンカーフレーム35を構築し、この
アンカーフレーム35にアンカーボルト36の頭部36
aを定着させるようにした例を示している。本変形例で
は壁体脚部1aに発生する引張力をアンカーボルト36
で全負担するのではなく、基礎コンクリートの支圧強度
を期待してアンカーフレーム35を所定深さだけ基礎マ
ット3中に埋設している。このためアンカーフレーム位
置では干渉回避するために上側鉄筋31のかぶり厚さが
他の位置より大きく設定されている。本変形例によるア
ンカーフレーム35は所定厚さのプレートを組み立てて
製作したビルトアップH形鋼からなるが、その形状は所
定支圧強度を有するものであれば各種の形状にすること
ができる。また、アンカーボルトの定着長や太さ及び設
置ピッチについても壁体に発生する引張力により種々に
設計できることは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、鋼板とコンクリートとからなる合成構造によ
り原子炉格納容器に求められている所定の温度荷重によ
る応力を負担できるとともに、施工時には円筒壁及びト
ップスラブを構成する各部位を精度良く迅速に施工でき
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鋼板コンクリート原子炉格納容器
の一実施例を示した部分分解斜視図。
【図2】図1に示した原子炉格納容器の部分断面図。
【図3】CV円筒壁の断面構造の一例を示した断面図及
び部分斜視図。
【図4】CV円筒壁とトップスラブを構成する外殻パネ
ル鋼板の全体構成を模式的に示した分解斜視図。
【図5】トップスラブの内部構造の一例を示した部分分
解斜視図。
【図6】CV円筒壁の内部構造の一例を示した部分分解
斜視図。
【図7】CV円筒壁脚部と基礎マットとの固定構造の一
実施例を示した部分断面図。
【図8】図7に示した固定構造の変形例を示した部分断
面図。
【図9】図7に示した固定構造の他の変形例を示した部
分断面図。
【図10】従来の原子炉格納容器とそれを収容する原子
力建屋を概略的に示した概略断面図。
【符号の説明】
1 CV円筒壁 1A、1B、2A、2B、5A、5B、6A、6B 外
殻パネル鋼板 2 トップスラブ 3 基礎マット 4 スラブ 5 F/Sプール底版 6 F/Sプール外周壁 11 差筋 14、24、54、64 スタッドボルト 15、65 L型リブ 16、26、56、66 ダイヤフラム 25、55 T型リブ
フロントページの続き (72)発明者 青木 晋一郎 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 甲斐 芳郎 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 村上 一夫 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 西川 裕 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ずれ止め部材が内面に所定間隔で配設され
    た鋼板を、該ずれ止め部材を対向させた状態で所定距離
    をあけて配置してなる外殻パネルと、該対向した外殻パ
    ネルを型枠として該型枠内に打設され前記ずれ止め部材
    を一体的に埋設したコンクリート壁体とから構成された
    構造体により少なくとも円筒壁体を構築し、該円筒壁体
    の下端を基礎マットに引張部材を介して固定支持したこ
    とを特徴とする鋼板コンクリート原子炉格納容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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