JP2020203986A - ヒートシール性組成物 - Google Patents

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達也 戸田
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Abstract

【課題】ヒートシール後のシール強度及び耐水性に優れるヒートシール性組成物を提供する。【解決手段】本発明のヒートシール性組成物は、ヒートシール性樹脂を含むヒートシール性組成物であり、前記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を構成単位として含み、前記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、エポキシ基含有性単量体に由来する構成単位の含有割合が5〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が4〜20質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒートシール性組成物に関する。
インスタントコーヒー、クリーミングパウダー、調味料、ふりかけなどの各種食品類、医薬品、化粧品などを内容物とする容器において、開封前に内容物が空気や湿気に触れて変質することを防止するための方法として、蓋材をヒートシールにより容器口部に接着させて容器を密封する技術が知られている。
ヒートシールには、例えば、熱融解性又は熱硬化性を有するヒートシール性樹脂を含むヒートシール性組成物(ヒートシール剤)が用いられる。ヒートシール剤は、蓋材と容器口部の間に介在した状態で加熱されることで、熱融解とその後の冷却による固化、又は熱硬化によって蓋材と容器とが接着し、容器内を密封することができる。このようなヒートシール技術としては、例えば、特許文献1に開示されている。
特開昭58−82805号公報
近年、ガラス製容器の密封にヒートシール剤が用いられることがある。しかしながら、ガラス製容器をヒートシールして密閉された容器は、ヒートシール後のヒートシール性組成物の耐水性が低く、容器の保管中において、水分の影響により蓋材が剥がれることがあった。このため、ヒートシール後において、充分なシール強度を有し、且つ、従来よりも耐水性に優れるヒートシール性組成物が求められている。
従って、本発明の目的は、ヒートシール後のシール強度及び耐水性に優れるヒートシール性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の割合のエポキシ基含有単量体及び特定の割合の酸無水物基含有単量体を重合して得られるヒートシール性樹脂を含むヒートシール性組成物によれば、ヒートシール後のシール強度及び耐水性に優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
本発明は、ヒートシール性樹脂を含むヒートシール性組成物であり、
上記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を構成単位として含み、
上記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、エポキシ基含有性単量体に由来する構成単位の含有割合が5〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が4〜20質量%である、ヒートシール性組成物。
上記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有アクリル系単量体及び無水マレイン酸を構成単位とするアクリル系樹脂であることが好ましい。
上記ヒートシール性樹脂は、さらにアクリルゴムを含んでいてもよい。
上記ヒートシール性樹脂は、上記アクリルゴムを含む場合、上記アクリルゴムにエポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を含む単量体組成物がグラフト重合したグラフト共重合体を含むことが好ましい。
上記アクリルゴムを含む場合、上記ヒートシール性樹脂において、上記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、上記アクリルゴムの含有割合が40〜70質量%、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が5〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が4〜20質量%であることが好ましい。
上記ヒートシール性組成物は、上記ヒートシール性樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
上記ヒートシール性組成物は、さらにシランカップリング剤を含んでいてもよい。
上記シランカップリング剤を含む場合、上記シランカップリング剤の含有割合は、ヒートシール性組成物100質量%に対して1〜10質量%であることが好ましい。
上記シランカップリング剤を含む場合、上記ヒートシール性樹脂において、上記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が10〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が8〜20質量%であることが好ましい。
また、本発明は、蓋材と、上記蓋材上に設けられた上記ヒートシール組成物と、を備えた、蓋を提供する。
上記蓋材はアルミニウム層を有することが好ましい。
また、本発明は、口部を有する容器と、上記容器の口部を覆うように設けられた上記蓋材と、上記容器と上記蓋材の間に存在し、上記容器の口部と上記蓋材とを接着する上記ヒートシール性組成物と、を備えたヒートシール容器を提供する。
本発明のヒートシール性組成物は、ヒートシール後のシール強度及び耐水性に優れる。このため、本発明のヒートシール性組成物を用いた密封容器の保存中において、水分の存在下でも蓋材が剥がれにくく、内容物の品質が長期間に亘って保持される。
実施例9で得られたヒートシール後ヒートシール層のFT−IRスペクトルを示す図である。 実施例9で得られたヒートシール後ヒートシール層の1H−NMRスペクトルを示す図である。
本明細書において、「ヒートシール性組成物」とは、ヒートシール性を有する組成物、及びヒートシール性を有する組成物がヒートシールにより蓋材と容器口部とを接着させた状態における組成物(接着剤)の両方を含むものとする。すなわち、上記ヒートシール性組成物は、ヒートシール前の組成物及びヒートシール後の組成物(ヒートシール後ヒートシール層)の両方を含む。なお、上記ヒートシール前の組成物は、蓋材又は容器口部に塗布する前の段階における組成物、及び塗布し必要に応じて脱溶剤された段階における組成物(ヒートシール前ヒートシール層)の両方を含む。また、本明細書において「ヒートシール性樹脂」とは、同様に、ヒートシール性を有する樹脂(ヒートシール前の樹脂)及びヒートシール後の樹脂の両方を含む。また、「ヒートシール性」とは、熱により接着力を発揮する性質又は接着力が向上する性質をいい、例えば、熱溶融とその後の冷却により接着力を発揮するもの、熱硬化により接着力を発揮するものなどが挙げられる。
(ヒートシール性組成物)
本発明のヒートシール性組成物はヒートシール性樹脂を含む。上記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を構成単位として少なくとも含む。すなわち、上記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位及び酸無水物基含有単量体に由来する構成単位を少なくとも含む。なお、本明細書において、上記ヒートシール性樹脂を「本発明のヒートシール性樹脂」と称する場合がある。上記ヒートシール性樹脂は、一種のみ使用してもよいし、二種以上使用してもよい。
本発明のヒートシール性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニリデンなどが挙げられる。中でも、アクリル系樹脂が好ましい。上記アクリル系樹脂は、樹脂の構成単位として、アクリル系単量体(分子中に(メタ)アクリロイル基を有する単量体)に由来する構成単位を含む樹脂である。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。
上記エポキシ基含有単量体は、分子内にエポキシ基とエポキシ基以外の重合性官能基を有する化合物であり、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−(又は9−)イルメチル(メタ)アクリレート、(エポキシ化ジシクロペンタジエニル)メチル(メタ)アクリレート等)等のエポキシ基含有アクリル系単量体;〔(4−エテニルフェニル)メチル〕オキシラン、4−(グリシジルオキシ)スチレン等のエポキシ基を有するスチレン系単量体;4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ジグリシジルフマレート、ジエポキシシクロヘキシルメチルフマレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、ブタジエンモノオキシド、プロペニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。上記エポキシ基含有単量体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記脂環式エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020203986
上記式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基を示す。
上記エポキシ基含有単量体としては、商品名「サイクロマーM100」(株式会社ダイセル製)などの市販品を使用することもできる。
上記エポキシ基含有単量体としては、中でも、エポキシ基含有アクリル系単量体が好ましく、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートが好ましい。
上記酸無水物基含有単量体は、分子内に酸無水物基と酸無水物基以外の重合性官能基を有する化合物であり、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アリルコハク酸無水物無水マレイン酸、無水イタコン酸などのラジカル重合性炭素−炭素二重結合を有する単量体が挙げられる。上記酸無水物基含有単量体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
本発明のヒートシール性樹脂がアクリル系樹脂である場合、上記アクリル系樹脂は、エポキシ基含有アクリル系単量体及び無水マレイン酸を構成単位として含むことが好ましい。
本発明のヒートシール性樹脂中のエポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、5〜40質量%である。また、本発明のヒートシール性樹脂中の酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、4〜20質量%である。上記含有割合がそれぞれ上記下限値以上であることにより、シール強度が優れる。上記含有割合がそれぞれ上記上限値以下であることにより、ヒートシールによるエポキシ基と酸無水物基の過剰な架橋が抑制され、シール強度及び耐水性が優れる。
本発明のヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体以外の単量体(その他の単量体)を構成単位として含んでいてもよい。上記その他の単量体としては、例えば、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル(ラウリルエステル)、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のシクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなどが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のフェニルエステル、ベンジルエステルが挙げられる。
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルは、炭化水素基上にアルコキシ基を有していてもよい。このような炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の2−メトキシメチルエステル、2−メトキシエチルエステル、2−メトキシブチルエステルなどが挙げられる。
上記その他の単量体としては、さらに、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
また、本発明のヒートシール性組成物をガラス製容器の密閉に用いる場合、ガラスとヒートシール性組成物との接着性がより向上し、蓋とガラス製容器との接着性(シール強度)がより向上する観点から、上記その他の単量体として、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤を少量使用(例えば0.5〜3質量%)していてもよい。
上記その他の単量体としては、中でも、上記エポキシ基含有単量体及び上記酸無水物基含有単量体と重合反応以外の反応性を有しない単量体(非反応性単量体)が好ましく、より好ましくは炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特に好ましくは(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルである。
本発明のヒートシール性樹脂中の非反応性単量体に由来する構成単位の含有割合は、特に限定されないが、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、20〜70質量%が好ましい。
なお、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン等の、上記エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体と重合反応以外の反応性を有する単量体(反応性単量体)は、本発明のヒートシール性組成物の効果が向上する場合は、その使用が可能である。上記反応性単量体の含有量は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、例えば2質量%未満である。
本発明のヒートシール性樹脂がアクリル系樹脂の場合、さらにアクリルゴムを含んでいてもよい。アクリルゴムを含むと、耐水性がより向上する傾向がある。上記アクリルゴムは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記アクリルゴムを構成する単量体としては、上述のアクリル系樹脂を構成する単量体として例示及び説明されたものが挙げられる。特に、上記アクリル系樹脂と上記アクリルゴムの相溶性により優れる観点から、上記アクリルゴムを構成する単量体は、上記アクリル系樹脂を構成する単量体と同種(特に、共通)の単量体含むことが好ましい。また、構成する単量体の共重合配列が似通っていることが好ましい。上記同種又は共通の単量体としては、上記エポキシ基含有単量体及び上記酸無水物基含有単量体と重合反応以外の反応性を有しない単量体(非反応性単量体)が好ましく、より好ましくは炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特に好ましくは(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルである。
上記アクリルゴムを構成する各単量体の割合(上記アクリルゴム中の各単量体に由来する構成単位の含有割合)は、それぞれ、上述のアクリル系樹脂における好ましい含有割合として例示及び説明された範囲内であることが好ましい。さらに、上記アクリルゴムは、相溶性がさらに良好となる観点から、エポキシ基含有単量体及び/若しくは酸無水物基含有単量体、又は、エポキシ基含有単量体及び/若しくは酸無水物基含有単量体と反応性を有する単量体を少量含有(例えば0.5〜3質量%)していてもよい。また、本発明のヒートシール性樹脂とゴム成分の相溶性を判断することで、アクリルゴム以外のゴム成分を用いることができる。
上記アクリルゴムは、ハードセグメントとソフトセグメントを有するブロック共重合体であることが好ましい。また、上記アクリルゴム中に上記ソフトセグメントが占める割合は、5〜35モル%が好ましく、より好ましくは10〜30モル%である。
本発明のヒートシール性樹脂は、アクリルゴムを含む場合、上記アクリルゴムにエポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を含む単量体組成物がグラフト重合したグラフト共重合体を含むことが好ましい。グラフト重合体としてアクリルゴムを含むことで、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体とアクリルゴムとの相溶性が向上し、蓋と容器との密着接着性(シール強度及び耐水性)がより向上する。なお、上記グラフト共重合体を含む場合、上記ヒートシール性樹脂は、通常、グラフト重合において不可避的に生成する上記単量体組成物の重合体(アクリルゴムを含まない重合体)も含む。
本発明のヒートシール性組成物は、本発明のヒートシール性組成物の効果を損なわない範囲内で、本発明のヒートシール性樹脂以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。上記その他の樹脂を含むと、当該樹脂に由来する性質を本発明のヒートシール性組成物に付与することができる。上記その他の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニリデン、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。上記その他の樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。なお、上記その他の樹脂の含有量は、本発明のヒートシール性樹脂100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
本発明のヒートシール性組成物は、シランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤を含むと、耐水性がよりいっそう向上する傾向がある。また、本発明のヒートシール性組成物をガラス製容器の密閉に用いる場合、ガラスとヒートシール性組成物との接着性がより向上し、蓋とガラス製容器との接着性(シール強度)がより向上する。上記シランカップリング剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有系;2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕エチルトリメトキシシラン等のアミノ基含有系;2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有系;2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有系;2−クロロエチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロル基含有系;γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン;ビニルアセトキシシランなどが挙げられる。中でも、ヒートシール性樹脂中の酸無水物基又はエポキシ基との反応性を有することでシール強度がより向上する観点から、エポキシ基含有系シランカップリング剤、アミノ基含有系シランカップリング剤が好ましい。
上記シランカップリング剤の含有割合は、特に限定されないが、上記ヒートシール性組成物100質量%に対して、1〜10質量%が好ましく、より好ましく3〜8質量%である。上記含有割合が1質量%以上であると、シランカップリング剤を用いることによる効果をより充分に得ることができる。上記含有割合が10質量%以下であると、ヒートシール性樹脂中のエポキシ基や酸無水物基との反応を抑え、ヒートシール性樹脂のヒートシール性を損なうことなく充分に確保することができる。
なお、上記エポキシ基含有単量体とは、本発明のヒートシール性組成物中に存在する未反応のエポキシ基含有単量体をいい、上記エポキシ基含有単量体に由来する構成単位とは、エポキシ基含有単量体が重合して本発明のヒートシール性樹脂中に取り込まれた状態における構成単位をいう。上記酸無水物基含有単量体及び上記酸無水物基含有単量体に由来する構成単位についても同様である。
本発明のヒートシール性組成物が上記アクリルゴムを含む場合、上記アクリルゴムの含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、40〜70質量%が好ましく、より好ましくは45〜60質量%である。
また、本発明のヒートシール性組成物が上記アクリルゴムを含む場合、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、5〜40質量%が好ましく、より好ましくは7〜20質量%である。
また、本発明のヒートシール性組成物が上記アクリルゴムを含む場合、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、4〜20質量%が好ましく、より好ましくは4〜15質量%である。
また、本発明のヒートシール性組成物が上記アクリルゴムを含む場合、上記非反応性単量体に由来する構成単位の含有割合は、上記アクリルゴムとの相溶性がより良好となり、耐水性がより優れる観点から、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。特に、耐水性がよりいっそう優れる観点から、炭化水素基含有アクリル酸エステルに由来する構成単位の割合が、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは2.2〜8質量%である。
本発明のヒートシール性組成物が上記シランカップリング剤を含む場合、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、10〜40質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは25〜35質量%である。
本発明のヒートシール性組成物が上記シランカップリング剤を含む場合、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合は、本発明のヒートシール性樹脂100質量%に対し、8〜20質量%が好ましく、より好ましくは9〜15質量%である。
本発明のヒートシール性組成物及び本発明のヒートシール性樹脂の組成(ヒートシール性樹脂の構成単位、その含有割合、及び各成分の含有割合など)は、IR(赤外分光法)装置、1H−NMR、13C−NMR等のNMR(核磁気共鳴)装置、熱分解GS−MASS(熱分解成分のガスクロマトグラフィー質量分析)装置等の機器分析、IPC(誘導結合プラズマ)装置等の組成成分分析、クロマトグラフィー、限外濾過、溶解度差等の精製、分取分析、熱分析等のその他分析装置を適宜、必要に応じて組み合わせることで適正に特定することができる。
本発明のヒートシール性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、上述した各成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、例えば、水、有機溶剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、分散剤、相溶化剤、抗菌剤、防臭剤、充填剤などが挙げられる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
本発明のヒートシール性組成物は、水、有機溶剤などの溶剤を含んでいてもよい。本発明のヒートシール性組成物は、例えば、容器又は蓋材への塗布前の段階(すなわち、ヒートシール層形成前の段階)において溶剤を含む。上記有機溶剤としては、公知乃至慣用の接着剤に使用される有機溶剤が使用できる。本発明のヒートシール性組成物の固形分濃度(不揮発分濃度)は、特に限定されないが、被着体への塗布時の取り扱い性及び脱溶剤してヒートシール層を形成する際の容易性の観点から、15〜40質量%が好ましく、より好ましくは20〜35質量%である。
本発明のヒートシール性樹脂は、ヒートシール前又は後におけるクロロホルム可溶部のエポキシ当量が350〜3000g/eqであることが好ましく、より好ましくは700〜2000g/eqである。また、本発明のヒートシール性樹脂は、ヒートシール前又は後におけるクロロホルム可溶部の酸価が45〜230mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは45〜170mgKOH/gである。上記エポキシ当量が3000g/eq以下であり、且つ上記酸価が45mgKOH/g以上であると、ヒートシール性樹脂中のエポキシ基及び酸無水物基の量が充分に多いため、ヒートシール後において、ヒートシール性樹脂の容器(特にガラス製容器)に対する密着性が充分となる、或いはヒートシール性樹脂同士の分子間の凝集力や水素結合力が高くなるものと推測され、シール強度及び耐水性が優れることとなる。上記エポキシ当量が350g/eq以上であり、且つ上記酸価が30mgKOH/g以下であるヒートシール性樹脂は、エポキシ基と酸無水物基との反応によるゲル化が抑制されているため、容易に製造することができる。なお、本明細書において、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準じて測定される。また、本明細書において、上記酸価は、JIS K2501:2003(電位差滴定法)に準じて測定される。
本発明のヒートシール性組成物は、ヒートシール前後におけるクロロホルム可溶部のエポキシ当量が大きく変化しないことが、本発明のヒートシール性組成物の取り扱いの面で好ましい。これにより、長時間の室温保存安定性に優れ、例えば蓋にヒートシール性組成物を塗布した状態で長期間保管した場合であっても、ヒートシール条件及びヒートシール後の製品性能の変化を抑制することができる。ヒートシール前のクロロホルム可溶部のエポキシ当量に対するヒートシール後のクロロホルム可溶部のエポキシ当量の比[ヒートシール後/ヒートシール前]は、1.0〜1.2が好ましく、より好ましくは1.0〜1.1である。
本発明のヒートシール性組成物は、下記耐水性試験により求められる耐水性が、4時間以上であることが好ましく、より好ましくは1日以上、さらに好ましくは2日以上、さらに好ましくは2週間以上、特に好ましくは1年以上である。
<耐水性試験>
[アルミニウム箔/接着剤/シーラントフィルム]の構成からなるアルミニウム基材のシーラントフィルム面とガラスとの間にヒートシール性組成物を乾燥膜厚が4〜5μmとなるように介在させ、150℃で20秒間加熱してヒートシール層を形成する。次に、上記アルミニウム基材を、作製したヒートシール層面がガラス基材と接触するように貼り合わせ、アルミニウム基材側から、温度220℃、圧力3kg/cm2の条件で2秒間加熱及び加圧し、ヒートシールを行う。ヒートシール後、アルミニウム基材とガラス基材の積層体を水に浸漬し、アルミニウム基材が剥離するまでの期間を測定する。
本発明のヒートシール性組成物は、公知乃至慣用の方法で作製することができる。本発明のヒートシール性組成物は、例えば、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を含む単量体組成物を重合して、ヒートシール性樹脂と溶媒とを含むヒートシール性組成物として得ることができる。また、必要に応じてアクリルゴムやシランカップリング剤、溶媒などを添加してもよい。
上記単量体組成物の重合は、公知乃至慣用の方法で行うことができ、特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などが挙げられる。中でも、重合中の安定性の観点から溶液重合が、環境負荷低減及びグラフト重合を行う際のグラフト率向上の観点から、乳化重合が好ましい。
本発明のヒートシール性樹脂がアクリル系樹脂である場合、上記単量体組成物の重合は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下で行われる。上記ラジカル重合開始剤は、重合方法に応じて適宜選択することができる。乳化重合におけるラジカル重合開始剤としては、ペルオキシジ硫酸ナトリウム、ペルオキシジ硫酸カリウム、ペルオキシジ硫酸アンモニウム、t−ブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。溶液重合及び懸濁重合におけるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ジ炭酸ブチル、過酸化ジ炭酸ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)、過酸化ジ炭酸ビス(2−エチルヘキシル)、過酸化ジ炭酸ジセチル、過酸化ピバル酸t−ブチル、過酸化ジラウリル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸t−ブチル、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ヒドロキシ過酸化t−ブチル、ペルオキシジ炭酸ジシクロヘキシル等の有機過酸化物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;上記過硫酸塩又は上記有機過酸化物と還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤などが挙げられる。上記ラジカル重合開始剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
乳化重合では乳化剤を使用してもよい。上記乳化剤としては、例えば、アルケニルコハク酸ジカリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン鎖を含有する硫酸系塩、ポリオキシエチレン鎖を含有するスルフォン酸系塩などが挙げられる。
上記重合反応の反応条件は、所望の共重合体を得るために適宜設定され、特に限定されないが、例えば、特開2009−91540号公報や、特開平7−196710号公報に記載の条件が挙げられる。
本発明のヒートシール性組成物が、アクリルゴムに上記単量体組成物がグラフト重合したグラフト共重合体を含む場合、上記単量体組成物の重合は、アクリルゴムの存在下行われる。グラフト重合は、グラフト率をより向上させる観点から、複数段階で行うことが好ましい。グラフト重合を複数段階で行う場合の好ましい重合方法は特に限定されない。
本発明のヒートシール性組成物は、シール強度及び耐水性に優れるため、様々な容器の密閉に使用することができる。上記容器としては、プラスチック製、ガラス製などが挙げられる。なお、蓋材は本発明のヒートシール性組成物を介して容器口部と接着することとなるため、特に、容器口部が、プラスチック製、ガラス製であることが挙げられる。
上記蓋材は、プラスチックフィルム、アルミニウム箔等の金属箔などが挙げられる。アルミニウム箔を用いた蓋材は、アルミニウム箔単層であってもよいし、アルミニウム箔とシーラントフィルムを含む積層体(例えば、アルミニウム箔、接着剤層、及びシーラントフィルムをこの順に有する積層体)であってもよい。上記積層体を蓋材として使用する場合、本発明のヒートシール性組成物は、シーラントフィルムと容器との間に介在するように使用される。
一般的にガラス製容器とアルミニウム製蓋材との接着性及び耐水性が劣る傾向にあるが、本発明のヒートシール性組成物は、アルミニウム製蓋材を用いたガラス製容器の密閉、すなわちアルミニウム製蓋材とガラス製容器の接着にも好ましく使用することができる。
上記容器の内容物としては、例えば、酒類、ジュース、ドレッシング、マヨネーズ、ジャム、インスタントコーヒー、クリーミングパウダー(粉末クリーム)、調味料、ふりかけ等の飲食品;医薬品;化粧品などが挙げられる。本発明のヒートシール組成物は、ヒートシール後において耐水性に優れる観点から、特に湿気による影響を受けやすい内容物を封入するための容器(例えば、薬瓶、湿布剤の容器など)に使用されることが好ましい。
本発明のヒートシール性組成物は、プラスチックフィルムやアルミニウム製蓋材など従来のヒートシール密閉用蓋材が使用される用途の他、弁当箱(コンビニエンスストアで市販されている弁当箱等)などに使用されているプラスチック製蓋材の代替、ペットボトルや薬瓶などに使用されているスクリューキャップの代替、ブリスターパック(特に、医薬品用ブリスターパック)の台紙の代替としてヒートシール密閉用蓋材が使用される際のヒートシール性組成物として使用することも可能である。
(ヒートシール容器)
本発明のヒートシール性組成物を用いて蓋材と容器とを接着して容器を密閉することで、ヒートシール容器を作製することができる。上記ヒートシール容器は、口部を有する容器と、上記容器の口部を覆うように設けられた蓋材と、上記容器と上記蓋材の間に存在し、上記容器の口部と上記蓋材とを接着するヒートシール層と、を有する。このようなヒートシール容器を「本発明のヒートシール容器」と称する場合がある。なお、本発明のヒートシール容器における上記ヒートシール層は、本発明のヒートシール性組成物に該当する。
本発明のヒートシール容器における蓋材及び容器は、それぞれ、上述したものが挙げられる。中でも、上記蓋材としては、金属層(金属箔)を有することが好ましく、アルミニウム層(アルミニウム箔)を有することがより好ましい。上記容器としては、ガラス製容器が好ましい。
本発明のヒートシール容器において、ヒートシール層は、ヒートシール前であってもよいし、ヒートシール後であってもよい。例えばヒートシール前のヒートシール層は、容器口部又は蓋材の少なくとも一方の面の接着領域に本発明のヒートシール性組成物を塗布し、必要に応じて加熱及び/又は減圧蒸発により脱溶媒を行って形成することができる。蓋材上に本発明のヒートシール層を形成することで、蓋材と、当該蓋材上に設けられたヒートシール層(本発明のヒートシール組成物に相当)と、を備えた、蓋を得ることができる。脱溶媒は、脱溶媒と同時にヒートシール(エポキシ基と酸無水物基との反応)が進行しない条件の範囲内で適宜設定され、例えば80〜200℃の温度で10〜60秒間行う。容器と蓋の接着、すなわちヒートシール層のヒートシールは、加圧下で加熱することが好ましい。ヒートシールは、例えば2〜5kg/cm2の圧力下、200〜230℃で1〜5秒間行う。
ヒートシール層の厚さは、接着する蓋材及び容器により適宜設定され、例えば1〜10μmであり、好ましくは2〜8μm、より好ましくは4〜5μmである。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量部」で表す。
実施例1
反応容器に、酢酸エチル65質量部及びアクリルゴム(商品名「クラリティ LA3320」、株式会社クラレ製)を15.00質量部仕込み溶解させた後、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、系を酢酸エチルの沸点重合になるよう約77℃に昇温させ、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.10質量部を添加した後、アクリル酸ブチル3.80質量部滴下し、1時間保持した。その後、t−ブチルペルオキシピバレート0.20質量部を添加し、1時間保持して第一段階のグラフト重合を行った。その後、さらに、t−ブチルペルオキシピバレート0.20質量部を添加した後、アクリル酸ブチルメタクリル酸メチル6.40質量部、無水マレイン酸1.35質量部の混合液と、メタクリル酸グリシジル3.46質量部とをそれぞれ連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して第二段階のグラフト重合を行った。このようにして、グラフト共重合体及びグラフト共重合体を含む組成物を作製した。
実施例2〜7及び比較例1〜3
表1に示すように単量体及び重合開始剤の組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして第一段階及び第二段階のグラフト重合を行い、グラフト共重合体及びグラフト共重合体を含む組成物を作製した。なお、表に示す各成分は後述するとおりである。
実施例8
反応容器に、酢酸エチル100質量部を仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、系を酢酸エチルの沸点重合になるよう約77℃に昇温させ、メタクリル酸メチル10.18質量部及び無水マレイン酸3.70質量部の混合液と、アクリル酸エチル8.33質量部及びメタクリル酸グリシジル9.25質量部の混合液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.3質量部及び酢酸エチル20質量部の混合液とをそれぞれ連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して重合を行い、共重合体を作製した。重合完了後、シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を5.00質量%となるように添加した。このようにして樹脂組成物を作製した。
比較例4及び5
表2に示すように単量体及び重合開始剤の組成を変更したこと以外は実施例8と同様にして重合シランカップリング剤の添加を行い、樹脂組成物を作製した。
MMA:メタクリル酸メチル
ST:スチレン
EA:アクリル酸エチル
BA:アクリル酸ブチル
MAH:無水マレイン酸
GMA:メタクリル酸メチル
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
PV:t−ブチルペルオキシピバレート
(評価)
実施例及び比較例で得られたグラフト共重合体を含む組成物について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。なお、表中のGMA割合及びMAH割合は、ヒートシール性樹脂を構成するアクリルゴム及び単量体の合計に対する割合[質量%]である。また、比較例4及び5については耐水性評価を行わなかった。
(1)ヒートシール強度
[アルミニウム箔/接着剤/製シーラントフィルム](幅40mm)の構成からなるアルミニウム基材のシーラントフィルム面に実施例及び比較例で得られた組成物を、乾燥膜厚が4〜5μmとなるように塗布し、150℃で20秒間加熱することにより、ヒートシール層を形成した。次に、上記アルミニウム基材を、作製したヒートシール層面がガラス基材と接触するように貼り合わせ、アルミニウム基材側から、温度220℃、圧力3kg/cm2の条件で2秒間加熱及び加圧し、ヒートシールを行った。ヒートシール後、ガラス基材からアルミニウム基材の剥離を試みた。そして、剥離時のヒートシール強度について、以下の基準で評価を行った。
5:アルミニウム基材とガラス基材は充分に接着しており、ガラス基材を押さえた状態で、指先に力を入れて10秒間に2cmの速度でアルミニウム基材を剥がすことができる。
4:アルミニウム基材とガラス基材は充分に接着しており、ガラス基材を押さえた状態で、指先に力を入れて7.5秒間に2cmの速度でアルミニウム基材を剥がすことができる。
3:アルミニウム基材とガラス基材は充分に接着しており、ガラス基材を押さえた状態で、指先に力を入れて5秒間に2cmの速度でアルミニウム基材を剥がすことができる。
2:アルミニウム基材とガラス基材は充分に接着しており、ガラス基材を押さえた状態で、指先に力を入れて2.5秒間に2cmの速度でアルミニウム基材を剥がすことができる。
1: アルミニウム基材とガラス基材は充分に接着しておらず、ガラス基材を強く押さえつけなくともアルミニウム基材を剥がすことができる。
(2)耐水性
上記ヒートシール強度の評価と同様にしてアルミニウム基材とガラス基材のヒートシールを行った。ヒートシール後、アルミニウム基材とガラス基材の積層体を水に浸漬した。耐水性について、以下の基準で評価を行った。
5:浸漬後60日以上経過しても剥離しなかった。
4:浸漬後30日以上60日未満経過後剥離した。
3:浸漬後4日以上30日未満経過後剥離した。
2:浸漬後2日以上4日未満経過後剥離した。
1:浸漬後2日未満経過後剥離した。
(3)不揮発分濃度
実施例及び比較例で得られた組成物について、真空乾燥機で酢酸エチルの大部分を蒸発させた後、オーブン乾燥機で105℃×3時間加熱し、酢酸エチル蒸発前の組成物の質量に対する加熱後の組成物の質量の割合を算出し、不揮発分濃度とした。
Figure 2020203986
Figure 2020203986
実施例9
実施例8と同様にして作製した共重合体を含む組成物(シランカップリング剤未添加)を用いて、上記ヒートシール強度の評価と同様にしてアルミニウム基材とガラス基材のヒートシールを行い、ヒートシール層を形成した。ヒートシール後のヒートシール層から皮膜サンプルを採取し、IR測定及び1H−NMR測定(重クロロホルム使用)を行った。IR測定の結果を図1に、1H−NMR測定の結果を図2にそれぞれ示した。図1から明らかなように、酸無水物基由来の吸収を1780cm-1付近に、グリシジル基由来の吸収を910cm-1付近にそれぞれ確認できた。また、図2から、単量体組成が妥当であることが確認できた。なお、上記皮膜サンプルは重クロロホルムに溶解し、不溶解物がないことを確認した。

Claims (12)

  1. ヒートシール性樹脂を含むヒートシール性組成物であり、
    前記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を構成単位として含み、
    前記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、エポキシ基含有性単量体に由来する構成単位の含有割合が5〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が4〜20質量%である、ヒートシール性組成物。
  2. 前記ヒートシール性樹脂は、エポキシ基含有アクリル系単量体及び無水マレイン酸を構成単位とするアクリル系樹脂である、請求項1に記載のヒートシール性組成物。
  3. 前記ヒートシール性樹脂は、さらにアクリルゴムを含む、請求項1又は2に記載のヒートシール性組成物。
  4. 前記ヒートシール性樹脂は、前記アクリルゴムにエポキシ基含有単量体及び酸無水物基含有単量体を含む単量体組成物がグラフト重合したグラフト共重合体を含む、請求項3に記載のヒートシール性組成物。
  5. 前記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、前記アクリルゴムの含有割合が40〜70質量%、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が5〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が4〜20質量%である、請求項3又は4に記載のヒートシール性組成物。
  6. 前記ヒートシール性樹脂以外の樹脂を含む、請求項1又は2に記載のヒートシール性組成物。
  7. さらにシランカップリング剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートシール性組成物。
  8. 前記シランカップリング剤の含有割合が、ヒートシール性組成物100質量%に対して1〜10質量%である、請求項7に記載のヒートシール性組成物。
  9. 前記ヒートシール性樹脂100質量%に対し、エポキシ基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が10〜40質量%、酸無水物基含有単量体に由来する構成単位の含有割合が8〜20質量%である、請求項7又は8に記載のヒートシール性組成物。
  10. 蓋材と、前記蓋材上に設けられた請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒートシール組成物と、を備えた、蓋。
  11. 前記蓋材がアルミニウム層を有する請求項10に記載の蓋。
  12. 口部を有する容器と、前記容器の口部を覆うように設けられた蓋材と、前記容器と前記蓋材の間に存在し、前記容器の口部と前記蓋材とを接着する請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒートシール性組成物と、を備えたヒートシール容器。
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