JP5464100B2 - アクリル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル樹脂組成物に関する。特に、塩素化ポリオレフィン、アクリル単量体を含む紫外線照射により硬化する接着剤であって、難接着性素材であるポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを強固に接着する紫外線硬化型接着剤として使用可能なアクリル樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、耐傷つき性が良好で、指紋痕が残らない自己修復性塗料として使用可能なアクリル樹脂組成物に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンは比重が小さく、成形性が良好であり、強度が高く、耐薬品性などの化学的性質が良好であることから、自動車、家電製品などに使用される成形材料、CPP、OPPなどのレトルト食品包装用、お菓子や文房具などの包装用に使用されるフィルム製品として広く使用されている。
しかしながら、ポリオレフィンは無極性であり、表面エネルギーが小さいため、接着剤や塗料がなじまず、密着しづらく、接着や塗装がはなはだ困難であることが知られている。ポリオレフィンの塗装性、接着性を改善、向上するために、プラズマ処理などによるポリオレフィン表面の改質、接着剤や塗料への塩素化ポリオレフィンのブレンド使用など多くの方法が試みられているが、十分なものは見出されていない。
多機能コピー機、RASパソコン、ARAパソコン、大画面を備えた携帯電話、高機能化されたスマートフォン、タブレット型コンピューターなど、高性能、高機能IT機器が広く普及している。特に、今後も急激な伸張が期待されるスマートフォン、タブレット型コンピューターなどでは、操作が簡単で高機能化がはかりやすいため、タッチパネル方式が急激に伸張している。
一般に、タッチパネルの最表層は傷つき防止のためにハードコート層が設けられている。ハードコートは傷が付きがたくなってはいるが、いったん傷がつくと元に戻らず、傷に汚れが付着し、傷を起点にして汚れが広がる傾向が見られた。また、ハードコートは指紋痕が残りやすく、一番汚染を嫌うディスプレイが指紋、皮脂でいっぱいになっていた。
塩素化ポリオレフィンとアクリル共重合体とを混合使用するポリオレフィン基材に付着性が良好な紫外線硬化性のアンダーコート(塗料)が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1で提案されている技術では、使用する塩素化ポリオレフィン、アクリル共重合体が紫外線硬化性を有していないため、紫外線照射後も塩素化ポリオレフィン、アクリル共重合体が非架橋状態のままである。このため、紫外線照射後も、膜の凝集エネルギーが小さく、実用的な接着強度が発揮されない。同時に、耐溶剤性、耐薬品性などが改善されないため、耐久性が不十分である。
塩素化ポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィン系樹脂もしくはアクリル系樹脂とが混合使用される包装材料用のヒートシール剤に関する技術が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2で提案されている技術は、包装用袋などのヒートシール部位を人力でも開封できるようにイージーピール性を改善するものである。したがって、特許文献2に提案されている技術は、恒久的な接着でなく、使用される前までの仮接着に関するものであって、強固な接着力が要求される用途には不適当である。
自己修復性、耐傷つき性に優れた活性エネルギー線硬化性コーティング剤が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3では、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエステル樹脂などの硬く、脆い化合物が多く使用されるため、ハードコート材料としてはそれなりに性能を発揮することが予測されるが、自己修復性、耐傷つき性に関しては疑問である。また、指紋痕に関してはまったく考慮されておらず、塗膜の透明性がよくても実用上は従来のものと何ら変わらない。
表面硬度と自己修復性を高い水準で併せ持つとする電子機器外装用筐体向けの紫外線硬化性の電着塗料が提案されている(特許文献4参照)。特許文献4で提案されている技術は分子側鎖に紫外線硬化性の(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂を多官能アクリル単量体で架橋、硬化させるものである。塗膜は硬く、脆く、自己修復性の発現は不十分である。また、指紋痕に関してはまったく考慮されておらず、十分な機能は期待できない。
特開平6−279706号公報 特開2004−43536号公報 特開2007−284613号公報 特開2010−65168号公報
本発明は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの難接着性有機高分子材料であるポリオレフィン同士、および、ポリオレフィンと鉄、アルミニウム合金などの金属とを強固に接着する紫外線硬化型接着剤として使用可能なアクリル樹脂組成物を得ることを課題とする。
また、本発明は、塗膜が自己修復性に優れるため、耐傷つき性が良好で、指紋痕が残らない自己修復性塗料として使用可能なアクリル樹脂組成物を得ることを課題とする。
本発明は、塩素化ポリオレフィン(A)35〜60重量%、アクリル単量体混合物(B)40〜65重量%を含み(塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量は100重量%である)、さらに、光重合開始剤(C)1〜5重量%を含むアクリル樹脂組成物であって、
アクリル単量体混合物(B)が、分子中に1個のアクリロイル基を有するアクリル単量体(b−1)64〜99重量%と、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)1〜20重量%、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)0〜16重量%を含み((b−1)、(b−2)と(b−3)の合計は100重量%である)からなるアクリル樹脂組成物である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、適度に架橋し、分子中にハードセグメント、ソフトセグメントを含むグラフト構造を形成するため、強度が大きく、適度な粘弾性挙動を示し、衝撃や傷つきに対して自己修復作用があり、衝撃に対して接着層、接着界面が簡単に破壊されることがなく、耐薬品性、耐候性が良好である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、難接着性素材であるポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを強固に接着する。特に、異種材料間の接着性に優れ、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの難接着性有機高分子材料であるポリオレフィンとアルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属を強固に接着する。
本発明のアクリル樹脂組成物を用いた接着剤は、ポリオレフィンが使用される用途、例えば、ポリオレフィンが使用されるフィルム、構造体として、例えば、食品包装材用ラミネートフィルムなどの無延伸のCPPフィルム、例えば、せんべいや文房具の包装用として使用される二軸延伸されたOPPフィルム、自動車部品(バンパー、内装部品(インパネ、コンソールボックスなど)、家電製品などに適用することができる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、好ましくは、色素増感太陽電池セルや太陽電池セルのシール剤、粘着剤、接着剤などに使用され、ラミネート型リチウムイオン2次電池のラミネート層の粘着剤、接着剤などとして使用される。
本発明のアクリル樹脂組成物は、自己修復性がよいため塗膜の耐傷つき性が良好で、たとえ傷が付いたとしても目立たないレベルに回復し(自己修復性)、塗装初期の美観が維持される自己修復性塗料として用いられる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、自己修復性がよいため塗膜に指紋痕、汗、皮脂が付着しがたく、耐汚染性に優れた自己修復性塗料に用いられる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、塗膜の透明性が良好であるため、指紋、汗、皮脂で汚染されることを避けたいタッチパネル用などに使用される。また、携帯型のIT機器筐体用としても使用される。
本発明のアクリル樹脂組成物は、耐傷つき性が良好で、耐皮脂汚染性が良好であること、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンへの付着性が良好であることから、自動車内装用塗料としても使用される。
本発明のアクリル樹脂組成物は、紫外線硬化型接着剤や自己修復性塗料として有用である。
本発明は、塩素化ポリオレフィン(A)35〜60重量%、アクリル単量体混合物(B)40〜65重量%を含み(塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量は100重量%である)、さらに、光重合開始剤(C)1〜5重量%を含むアクリル樹脂組成物である。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンとアクリル単量体混合物を合計量を100重量%としたとき、塩素化ポリオレフィンの含有量が35重量%未満の場合には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに接着しなくなる。塩素化ポリオレフィンの含有量が60重量%を超える場合には、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属への接着性が悪化する。また、自己修復性塗料にした場合、貯蔵安定性が悪化する。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンの含有量は、好ましくは、38〜58重量%、より好ましくは、40〜55重量%であるのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、塩素化ポリオレフィンの含有量が、38〜58重量%であれば、接着剤の貯蔵安定性、機械的強度、接着力にバランスがとれ、よりいっそう優れた粘着性、接着性、自己修復性塗料の基材への付着性を発揮する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンの塩素含有量は、好ましくは、20〜35重量%、より好ましくは、23〜33重量%、さらに好ましくは、25〜33重量%であるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンの塩素含有量が20〜35重量%であれば、紫外線硬化型接着剤組成物の貯蔵安定性が良好になる傾向が見られ、貯蔵経時で粘度上昇を起こしたり、ゲル物を生成することがない。また、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに対する接着パフォーマンスが向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリブタジエン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示される。本発明の粘着剤組成物では、塩素化ポリオレフィンは単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明では、上市されている塩素化ポリオレフィンとして、「ハードレン13−LP」(塩素含有量26重量%)、「ハードレン13−LLP」(塩素含有量26重量%)、「ハードレンDX−523P」(塩素含有量23重量%)、「ハードレンDX−526P」(塩素含有量26重量%)、「ハードレンDX−530P」(塩素含有量30重量%)(以上、東洋紡(株)の製品)などが例示される。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量は100重量%としたとき、アクリル単量体混合物(B)40〜65重量%を含む。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンとアクリル単量体混合物を合計量を100重量%としたとき、アクリル単量体混合物(B)の使用量が40重量%未満の場合には、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属への接着性が悪化し、塗料の自己修復性が悪化して耐傷つき性、耐汚染性が悪化する。アクリル単量体(B)の使用量が65重量%を超える場合には、紫外線硬化性が悪くなり、接着剤の貯蔵安定性が悪化する。
本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル単量体混合物(B)は、好ましくは、42〜62重量%、より好ましくは、45〜60重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル単量体混合物(B)が42〜62重量%使用されれば、接着剤としての貯蔵安定性が良好で、適切な粘度に調節が可能で、塗工作業性が向上し、紫外線硬化性も良好となる。また、塗膜の透明性が向上し、鮮映性、光沢が良化する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル単量体混合物(B)が、分子中に1個のアクリロイル基を有するアクリル単量体(b−1)64〜99重量%と、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)1〜20重量%、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)0〜16重量%を含む((b−1)、(b−2)と(b−3)の合計は100重量%である)。
本発明のアクリル樹脂組成物では、分子中に1個のアクリロイル基を有するアクリル単量体(b−1)として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、などのアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリロイルオキシプロピル−1,3−ジオキソラン、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、テトラメチルピペリジニルアクリレート、ペンタメチルピペリジニルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどのアルキル基以外の置換基を有するアクリル単量体が例示される。本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル単量体(b−1)は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物では、これらのアクリル単量体(b−1)のなかでは、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸イソボルニルが推奨される。本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸イソボルニルが使用されるとき、接着剤の表面タック性が向上し、より強い粘着力、接着力が発揮される傾向が見られる。また、特に、アクリル酸イソボルニルが使用されるとき塗膜表面硬度が大きくなり、耐傷つき性、耐汚染性が一段と優れたものになる傾向が見られる。本発明のアクリル樹脂組成物では、さらに好ましくは、アクリル酸i−ブチルとアクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸イソボルニルの併用がより望ましく、接着剤の機械的強度が大きくなって接着力が向上し、自己修復性塗料の基材への付着性が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、分子中に1個のアクリロイル基を有するアクリル単量体(b−1)の使用量が64重量%未満の場合には、粘着剤組成物が脆くなって粘着性、接着性、自己修復性塗料の付着性が悪化する。本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル単量体(b−1)の使用量が99重量%を超える場合には、接着剤の凝集力が低下し、粘着強度、接着強度が実用レベル以下に低下する。また、塗膜の鮮映性、光沢が悪化する。
本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル単量体(b−1)は、好ましくは、84〜98重量%、より好ましくは、84〜95重量%使用されるのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、アクリル単量体(b−1)が84〜98重量%使用されることで、接着剤の貯蔵安定性、表面タック、粘着性、接着性、自己修復性塗料の付着性、自己修復性に基づく耐傷つき性、耐汚染性などにバランスがとれより良好な性能が発揮される傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートなどが例示される。本発明のアクリル樹脂組成物では、多官能アクリル単量体(b−2)は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートとして、例えば、下記構造式
Figure 0005464100
で示されるエトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートなどが例示される。イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートは上市されているものとして、例えば、「アロニックス M−215」(東亞合成(株)社の製品)などが例示される。
本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)のなかでは、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートが推奨され、接着剤の硬化性がよく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンと、例えば、アルミニウム合金、ステンレス、鉄などの異種材料を接合する際に、安定して強力な接着性を発揮する傾向が見られる。また、塗膜硬度を高め、耐傷つき性、耐汚染性を向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)の使用量が1重量%未満の場合には、接着剤の架橋密度が不足して、十分な粘着力、接着力が発揮されない。また、塗膜の耐候性、耐薬品性が悪化する。
本発明のアクリル樹脂組成物では、多官能アクリル単量体(b−2)の使用量が20重量%を超える場合には、接着剤、自己修復性塗料の貯蔵安定性が悪化する。
本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)は、好ましくは、2〜16重量%、より好ましくは、3〜16重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、多官能アクリル単量体(b−2)の使用量が2〜16重量%であれば、接着剤の貯蔵安定性、紫外線硬化性が良好となり、接着剤強度が向上し、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンと、例えば、アルミニウム合金、ステンレス、鉄などの異種材料を接合する際に、安定してより強力な接着性を発揮する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)100重量%中、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートは、好ましくは、50〜100重量%、より好ましくは、80〜100重量%、さらに好ましくは、100重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)100重量%中、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートの含有量が、50〜100重量%であれば、さらに好ましくは、100重量%であれば、接着剤の熱または紫外線硬化性が改善され、接着剤強度が向上し、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンと、例えば、アルミニウム合金、ステンレス、鉄などの異種材料を接合する際に、安定してより強力な接着性を発揮する傾向が見られる。自己修復性塗料にした場合には、耐候性、耐薬品性が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)として、好ましくは、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアクリルアミド系化合物、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが例示される。本発明のアクリル樹脂組成物では、これらのラジカル重合性不飽和化合物(b−3)は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物では、これらの分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)のなかでは、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどが推奨され、接着剤の凝集エネルギーが大きくなって、特に、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミドはアルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属への粘着性、接着性が向上し、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミドは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンへの粘着性、接着性が向上する傾向が見られる。また、顔料分散性が向上し、より高光沢で鮮やかな塗膜が形成される傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)の使用量が16重量%を超える場合には、接着剤の耐水性、耐湿熱性、耐アルカリ性などの耐薬品性が悪化し、厳しい自然環境下では実用性が失われる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)は、アクリル単量体混合物(B)中、好ましくは、0.2〜16重量%、より好ましくは、1〜12重量%、さらに好ましくは、3〜8重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、ラジカル重合性不飽和化合物(b−3)が0.2〜16重量%使用されることで、接着剤の貯蔵安定性を損なうことなく、紫外線硬化速度を向上し、粘着性、接着性がより向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量を100重量%としたとき、さらに、光重合開始剤(C)1〜5重量%を含む。
本発明のアクリル樹脂組成物では、光重合開始剤(C)として、ベンジルジメチルケタール(BASF(株)社製の「IRGACURE 651」)、α−ヒドロキシアルキルフェノン(BASF(株)社製の「IRGACURE 184」、「IRGACURE 1173」、「IRGACURE 2959」、「IRGACURE 127」など)、α−アミノアルキルフェノン(BASF(株)社製の「IRGACURE 907」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 379」など)、アシルフォスフィンオキサイド系(「DAROCURE TPO」、「IRGACURE 819」(以上、BASF(株)社製の光重合開始剤)などが例示される。本発明のアクリル樹脂組成物では、これらの光重合開始剤(D)は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物では、光重合開始剤(C)のなかでは、好ましくは、アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤、例えば、「DAROCURE TPO」、「IRGACURE 819」(以上、BASF(株)社製の光重合開始剤)が推奨され、自己修復性塗料、粘着剤の表面硬化性、深部硬化性が改善され向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、光重合開始剤(C)は、もっとも好ましくは、下記構造式
Figure 0005464100
の2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが推奨される。本発明のアクリル樹脂組成物では、光重合開始剤(C)として2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが使用されるとき、塗料、接着剤を紫外線硬化する際、表面硬化性、深部硬化性、厚膜硬化性が一段と優れる傾向が見られる。本発明のアクリル樹脂組成物では、2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドは上市されているものとして、「DAROCURE TPO」(BASF(株)社製の光重合開始剤)などが例示される。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量を100重量%としたとき、光重合開始剤(C)の使用量が1重量%未満の場合にも、5重量%を超える場合にも、自己修復性塗料、接着剤としての紫外線硬化性が悪化する。
本発明のアクリル樹脂組成物では、光重合開始剤(C)は、塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量を100重量%としたとき、好ましくは、1.2〜4.5重量%、より好ましくは、1.2〜3.0重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、光重合開始剤(C)が1.2〜4.5重量%使用されれば、自己修復性塗料、接着剤の貯蔵安定性が良好で、良好な紫外線硬化性を示し、塗膜の表面硬度、非汚染性、粘着剤、接着剤の粘着性、接着性が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、好ましくは、ヒンダードアミン化合物(D)が使用される。本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物(D)が使用されることで、自己修復性塗料、粘着剤、接着剤の貯蔵安定性が大きく向上し、紫外線硬化性が良好となる傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物(D)として、好ましくは、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などが例示される。本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物(D)は上市されているもののなかから任意に選択することができる。一例を挙げれば、「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)の製品、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、「サノールLS−770」(三共ライフテック(株)の製品、)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)、「サノール LS−765」(三共ライフテック(株)の製品、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)、「サノール LS−944」(三共ライフテック(株)の製品、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}])などが例示される。
本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物(D)のなかでは、下記構造式
Figure 0005464100
の4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)の製品)が推奨され、自己修復性塗料、接着剤の貯蔵安定性、および、紫外線硬化性が良好で、良好な付着性、粘着性、接着性を発揮する傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物(D)は、塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量を100重量%としたとき、好ましくは、0.02〜5.0重量%、より好ましくは、0.05〜3.0重量%、さらに好ましくは、0.2〜2.5重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル樹脂組成物では、ヒンダードアミン化合物(D)の使用量が0.02〜5.0重量%であれば、自己修復性塗料、接着剤の貯蔵安定性、紫外線硬化性にバランスがとれ良好となって、優れた自己修復性塗料の基材付着性、自己修復性、接着剤の粘着性、接着性が発揮されるようになる傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル樹脂組成物の製造方法は、塩素化ポリオレフィン(A)、アクリル単量体混合物(B)、光重合開始剤(C)、必要に応じ、ヒンダードアミン化合物(D)を、例えば、プラネタリーミキサーなどを使用して、混合することで製造できる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、接着剤組成物の製造において、塩素化ポリオレフィン(A)を、あらかじめアクリル単量体(b−1)などに溶解したもの(以後、塩素化ポリオレフィン溶液とも言う)を使用すれば、より容易に製造することができる。本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィン(A)を、あらかじめアクリル単量体(b−1)などに溶解するとき、ヒンダードアミン化合物(D)を同時に使用することで、製造中にアクリル単量体(b−1)の重合が開始したり、貯蔵中に粘度上昇やゲル化を起こすことがなく望ましい。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィン溶液として、好ましくは、塩素化ポリオレフィン/アクリル酸i−ブチル/「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)の製品)=100/100/2(重量部)、塩素化ポリオレフィン/アクリル酸2−エチルへキシル/「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)の製品)=100/100/2(重量部)などが例示される。本発明のアクリル樹脂組成物では、これらの塩素化ポリオレフィン溶液は、貯蔵安定性が良好で、粘度が適切でハンドリング性が良く、アクリル樹脂組成物の紫外線硬化性が良く、ポリオレフィン、金属など種々基材に良好なヌレ性、浸透性、接着性を示す傾向が見られる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィン(A)、アクリル単量体混合物(B)光重合開始剤(C)、ヒンダードアミン化合物(D)以外にも、好ましくは、アクリル樹脂組成物を希釈し粘度調整をするための、好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンなどの有機溶剤、被着体との接着性を改善するためのシランカップリング剤、タッキファイヤー、ヌレ剤、レベリング剤などの塗料添加剤などを使用することができる。
本発明のアクリル樹脂組成物では、アクリル樹脂組成物の粘度調節を行い、塗工作業性を改善する有機溶剤として、酢酸メチル(沸点57.8℃)、酢酸エチル(沸点77.1℃)、酢酸n−プロピル(沸点101.6℃)、酢酸イソプロピル(沸点89.0℃)、酢酸n−ブチル(沸点126.5℃)などの沸点が低い酢酸エステルが推奨される。本発明のアクリル樹脂組成物では、沸点が低い酢酸エステルが使用されれば、塗工作業性が改善され、アクリル樹脂組成物を塗工、紫外線で硬化するとき、硬化後の接着剤に残存する有機溶剤を最小限に抑制することができ、バラツキなく大きい接着強度が発揮される傾向が見られる。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する
実施例で本発明の詳細を説明するのに先立ち、試験方法、評価方法を説明する。また、特に断りがない限り使用量は部数(g)を表し、組成は重量%を表す。
1.紫外線硬化性の評価
厚さ200μmのポリプロピレンシートに接着剤組成物を3ミルのアプリケーターで塗布し、照度120W/cmの高圧水銀ランプを使用し、ランプ高さ10cm、コンベアスピード2m/min.の照射条件で、照射量840mJ/cmで紫外線照射して接着剤組成物を硬化した。
接着剤表面にタックがない場合、および、適度なタックがある場合は、表面硬化性は、合格とした。接着剤表面に硬化不良によるぬめり、強いべたつきがある場合、表面硬化性は、不合格とした。接着剤が内部まで硬化し、しっかりした膜になっている場合は、深部硬化性は、合格、接着剤に強度がなくぶよぶよしている場合、深部硬化性は、不合格とした。表面硬化性、深部硬化性とも合格の場合、紫外線硬化性は、合格とした。
2.アクリル樹脂組成物の接着剤としての接着力の評価
1)ポリプロピレン−ポリプロピレンの接着
厚さ200μmのポリプロピレンシートに接着剤組成物を膜厚が50μmになるよう塗布した後、照度120W/cmの高圧水銀ランプを使用し、ランプ高さ10cm、コンベアスピード2m/min.の照射条件で、照射量840mJ/cmで紫外線照射してアクリル樹脂組成物を硬化した。
アクリル樹脂組成物が塗布されている面に厚さ50μmのポリプロピレンシートを、JIS Z 0237にしたがって室温で、手動式圧着装置を使用して2往復、圧着した。JIS K 6850:1999にしたがって引張剪断強度(MPa)を測定した。引張剪断強度が10MPa以上で合格とした。
2)異種材料(アルミニウム合金とポリプロピレン)の接着試験
厚さ2mmのポリプロピレン板に、アクリル樹脂組成物を膜厚50μmになるよう塗布し、照度120W/cmの高圧水銀ランプを使用し、ランプ高さ10cm、コンベアスピード2m/min.の照射条件で、照射量840mJ/cmで紫外線照射して接着剤層を硬化した。
アクリル樹脂組成物が塗布されたポリプロピレン板と厚さ2mmのアルミニウム板(JIS A−2017P:1999)を、JIS Z 0237にしたがって室温で、手動式圧着装置を使用して2往復、圧着した。23℃で24時間養生した後、JIS K 6850:1999にしたがって引張剪断強度(MPa)を測定した。引張剪断強度が10MPa以上で合格とした。
3.アクリル樹脂組成物の自己修復性塗料としての耐指紋痕性の評価
ガラス板に、アクリル樹脂組成物を膜厚50μmになるよう塗布し、照度120W/cmの高圧水銀ランプを使用し、ランプ高さ10cm、コンベアスピード2m/min.の照射条件で、照射量840mJ/cmで紫外線照射して自己修復性塗膜層を硬化した。
塗膜の上を、室温で、親指で押しつけ指紋の付き具合、指紋痕の消え具合を目視判定した。指紋がまったく付かないもの、指紋痕が数秒以内になくなるものを耐指紋痕性が良好であり、合格とした。それ以外は不合格とした。
4.アクリル樹脂組成物の自己修復性塗料としての耐傷つき性の評価
ガラス板に、アクリル樹脂組成物を膜厚50μmになるよう塗布し、照度120W/cmの高圧水銀ランプを使用し、ランプ高さ10cm、コンベアスピード2m/min.の照射条件で、照射量840mJ/cmで紫外線照射して自己修復性塗膜層を硬化した。
塗膜の上を、10円玉の円周部で押しつけ、塗膜にへこみ痕を付けた。へこみ痕が30分間以内に消滅し、目視で最初の状態と差異がないと判断されるものを自己修復性が良好とし、合格とした。それ以外は不合格とした。
参考例1
実施例で使用する塩素化ポリオレフィンのアクリル単量体溶液を作製した。
(1)塩素化ポリオレフィン溶液(1)
「ハードレン DX−530P」(東洋紡(株)社製塩素化ポリオレフィン、塩素含有量30重量%)100g、アクリル酸i−ブチル100g、「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)社製ヒンダードアミン化合物)1.67gをステンレス容器に仕込んだ。30℃で8時間撹拌し、塩素化ポリオレフィンをアクリル酸i−ブチルに溶解して塩素化ポリオレフィン溶液(1)を製造した。
(2)塩素化ポリオレフィン溶液(2)
「ハードレン DX−530P」(東洋紡(株)社製塩素化ポリオレフィン、塩素含有量30重量%)100g、アクリル酸2−エチルへキシル100g、「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)社製ヒンダードアミン化合物)1.67gをステンレス容器に仕込んだ。30℃で8時間撹拌し、塩素化ポリオレフィンをアクリル酸2−エチルへキシルに溶解して塩素化ポリオレフィン溶液(2)を製造した。
(3)塩素化ポリオレフィン溶液(3)
「ハードレン DX−526P」(東洋紡(株)社製塩素化ポリオレフィン、塩素含有量26重量%)100g、アクリル酸2−エチルへキシル100g、「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)社製ヒンダードアミン化合物)1.67gをステンレス容器に仕込んだ。30℃で8時間撹拌し、塩素化ポリオレフィンをアクリル酸2−エチルへキシルに溶解して塩素化ポリオレフィン溶液(3)を製造した。
表1に、塩素化ポリオレフィン溶液(1)〜(3)の組成を示した。
Figure 0005464100
実施例1
200mLデスポカップに、塩素化ポリプロピレン溶液(1)58.3g、アクリル酸2−エチルヘキシル32.5g、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート7.8g、N−ビニル−2−ピロリドン2.0g、ヒンダードアミン化合物1.500gを秤とり、良く撹拌、混合して実施例1のアクリル樹脂組成物を製造した。
表2に、実施例1のアクリル樹脂組成物の組成などの詳細を示した。表1において、(1)は、アクリル樹脂組成物の原料組成を表し、(2)〜(7)は実際に使用した各原料の部数を示した。(2)は、塩素化ポリオレフィン溶液(1)の使用量を示し、(3)は、分子中に1個のアクリロイル基を有するアクリル単量体(b−1)の使用量を示し、(4)は、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)の使用量を示し、(5)は、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)の使用量を示し、(6)は、光重合開始剤(C)の使用量を示し、(7)は、ヒンダードアミン化合物(D)の使用量を示した。
実施例2〜5
実施例1のアクリル樹脂組成物と同様にして実施例2〜5のアクリル樹脂組成物を製造した。表2に組成などの詳細を示した。
Figure 0005464100
表2〜4において、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートは、「アロニックス M−215」(東亞合成(株)社の製品)を使用し、光重合開始剤(C)は、「LUCIRIN TPO」(BASF JAPAN(株)社の製品)を使用し、ヒンダードアミン化合物は、「サノール LS−744」(三共ライフテック(株)社の製品)を使用する。
実施例6〜10
実施例1のアクリル樹脂組成物と同様にして、実施例6〜10のアクリル樹脂組成物を製造した。表3に組成などの詳細を示した。
Figure 0005464100
実施例11〜15
実施例1のアクリル樹脂組成物と同様にして実施例11〜15のアクリル樹脂組成物を製造した。表4に組成などの詳細を示した。
Figure 0005464100
実施例のアクリル樹脂組成物を紫外線硬化型接着剤として評価した試験結果
実施例1〜15のアクリル樹脂組成物を使用して紫外線硬化性(表面硬化性、深部硬化性)、ポリプロピレン−ポリプロピレン、ポリプロピレン−アルミニウム合金の接着性試験を行った。
実施例1〜5のアクリル樹脂組成物の試験結果を表5に示し、実施例6〜10のアクリル樹脂組成物の試験結果を表6に示し、実施例11〜15のアクリル樹脂組成物の試験結果を表7に示した。表5〜表7に見られるとおり実施例のアクリル樹脂組成物は、いずれの試験でも良好な結果を示した。また、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(ヒンダードアミン化合物(D))が使用されているため、接着剤の貯蔵安定性が良好で、紫外線硬化性に優れていた。
Figure 0005464100
Figure 0005464100
Figure 0005464100
比較例1〜5
実施例1のアクリル樹脂組成物と同様にして比較例1〜5のアクリル樹脂組成物を製造した。表8に組成などの詳細を示した。比較例2のアクリル樹脂組成物は、塩素化ポリプロピレン(A)の含有量が多いため高粘度で、貯蔵安定性が不良で、貯蔵経時でゲル化傾向が見られた。比較例4、比較例5のアクリル樹脂組成物は、多官能アクリル単量体(b−2)を多く含んでおり、貯蔵安定性が不良で、貯蔵経時で粘度上昇を起こした。
Figure 0005464100
比較例のアクリル樹脂組成物を紫外線硬化型接着剤として評価した試験結果
製造した比較例1〜5のアクリル樹脂組成物を使用して紫外線硬化性(表面硬化性、深部硬化性)、ポリプロピレン−ポリプロピレン、ポリプロピレン−アルミニウム合金の接着性試験を行った。試験結果を表9に示した。
Figure 0005464100
比較例1のアクリル樹脂組成物は、塩素化ポリオレフィン(A)の使用量が少ないため、紫外線硬化性が悪く、ポリプロピレンに接着性を示さなかった。比較例2のアクリル樹脂組成物は、塩素化ポリプロピレン(A)の使用量が多く、多官能アクリル単量体(b−2)が使用されていないため、接着剤に凝集力がなくポリプロピレンにもアルミニウム合金にも接着性を示さなかった。比較例3は、多官能アクリル単量体(b−2)、ラジカル重合性不飽和化合物(b−3)が使用されていないため、接着剤の凝集力が小さく、ポリプロピレン、アルミニウム合金に対するヌレ性、なじみが少なく、接着性を示さなかった。比較例4、5では、アクリル単量体(b−1)の使用量が少なく、多官能アクリル単量体(b−2)の使用量が多いため、硬化後の接着剤層に残留応力が残りやすく、ポリプロピレン、アルミニウム合金になじまず、接着性が発揮されなかった。
以上の通り、本発明のアクリル樹脂組成物は、貯蔵安定性が良好で、ハンドリング性に優れ、難接着性素材であるポリオレフィンに対し良好な接着性を示し、ポリオレフィン−アルミニウム合金の異種材料をも強固に接着する。
実施例11〜15のアクリル樹脂組成物を自己修復性塗料として評価した。試験結果を表10に示した。表10に示したとおり、実施例11〜15のアクリル樹脂組成物は、耐指紋痕性、自己修復性ともに優れていた。
比較例1〜5のアクリル樹脂組成物を自己修復性塗料として評価した。試験結果を表11に示した。表11に示したとおり、比較例1〜5のアクリル樹脂組成物は、耐指紋痕性、自己修復性ともに不合格であった。
Figure 0005464100
Figure 0005464100

Claims (3)

  1. 塩素化ポリオレフィン(A)35〜60重量%、アクリル単量体混合物(B)40〜65重量%を含み(塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量は100重量%である)、さらに、光重合開始剤(C)1〜5重量%を含むアクリル樹脂組成物であって、
    アクリル単量体混合物(B)が、分子中に1個のアクリロイル基を有するアクリル単量体(b−1)64〜99重量%と、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートを含む分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリル単量体(b−2)1〜20重量%、分子中にアミド基、または、ヘテロ原子を含む環状構造を有するラジカル重合性不飽和化合物(b−3)0〜16重量%を含み((b−1)、(b−2)と(b−3)の合計は100重量%である)からなるアクリル樹脂組成物。
  2. 塩素化ポリオレフィン(A)とアクリル単量体混合物(B)の合計量を100重量%としたとき接着剤100重量%に対して、0.02〜5.0重量%のヒンダードアミン化合物(D)を含む請求項1に記載のアクリル樹脂組成物。
  3. 光重合開始剤(C)が、下記構造式の
    Figure 0005464100
    2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドである請求項1または2のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
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