JP2020203825A - SiC焼結部材の製造方法 - Google Patents

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良太 佐藤
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佳孝 市川
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Yoshifumi Tsutai
美史 傳井
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【課題】寸法精度が高い中空構造を有するSiC焼結部材を短時間で得ることが可能なSiC焼結部材の製造方法を提供する。【解決手段】SiC焼結部材の製造方法は、第1のSiC成形体を仮焼して第1のSiC仮焼体を得る工程STEP1と、第2のSiC成形体を仮焼して第2のSiC仮焼体を得る工程STEP2と、第1のSiC仮焼体に第1の平面を形成する工程STEP3と、第2のSiC仮焼体に第2の平面aを形成する工程STEP4と、第1の平面又は第2の平面の少なくとも一方に凹部を形成する工程STEP5と、第1のSiC仮焼体と第2のSiC仮焼体とを、第1の平面と第2の平面とを接触させた状態で積層する工程STEP6と、積層した第1のSiC仮焼体及び第2のSiC仮焼体を、積層方向に圧力を加えながら2000℃以上2200℃以下で焼成する工程STEP7とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、SiC焼結部材の製造方法に関する。
半導体製造装置において、ウエハなどの基板を表面に保持するセラミック製静電チャックなどの載置台としての基台は、静電チャックなどと共に昇温されるので静電チャックなどと熱膨張係数が近似すると共に、高周波電力が印加される場合があるので、体積抵抗率が低い素材からなることが好ましい。このような素材として、SiC焼結体が挙げられる。
しかしながら、SiC焼結体は焼結温度が高く、且つ難加工性であるので、SiC焼結体からなる基台は実用化されていない。
なお、特許文献1には、セラミックス仮焼体同士を通常の焼成温度より高い温度で常圧、荷重下で焼成することにより、一体化する技術が開示されている。ただし、錘を載置した荷重下でアルミナの仮焼体同士及びムライトの仮焼体同士を一体化した実施例しか挙げられておらず、SiC仮焼体を一体化する実施例は挙げられていない。
また、特許文献2には、2つの被焼結体をホットプレス成形することにより厚さの異なるセラミックス焼結体を得る技術が開示されている。被焼結体には、セラミックス粉末、セラミックス成形体、セラミックス脱脂体及びセラミックス焼結体が含まれるとされている。ただし、窒化アルミニウム粉末を用いた実施例のみが挙げられおり、SiC仮焼体を用いた実施例は挙げられていない。
特開平6−298574号公報 特開2000−141336号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載された技術では、実際にはSiC仮焼体同士を焼成しても一体化することはできないという課題があった。なお、SiC焼結体同士を拡散接合して一体化する場合、SiC焼結体は難加工性であるので、接合面の研磨や研削などの作業に多大な時間を要する。また、SiC成形体やSiC脱脂体同士を焼成して一体化した場合、これらに形成した凹部などは焼成時に変形するために、寸法精度が高い中空構造が得られない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、寸法精度が高い中空構造を有するSiC焼結部材を短時間で得ることが可能なSiC焼結部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1のSiC焼結部材の製造方法は、第1のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第1のSiC仮焼体を得る工程と、第2のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第2のSiC仮焼体を得る工程と、前記第1のSiC仮焼体に第1の平面を形成する工程と、前記第2のSiC仮焼体に第2の平面を形成する工程と、前記第1の平面又は前記第2の平面の少なくとも一方に凹部を形成する工程と、前記第1のSiC仮焼体と前記第2のSiC仮焼体とを、前記第1の平面と前記第2の平面とを接触させた状態で積層する工程と、前記積層した前記第1のSiC仮焼体及び前記第2のSiC仮焼体を、積層方向に10kgf/cm2以上の圧力を加えながら2000℃以上2200℃以下で焼成する工程とを備えることを特徴とする製造方法。
本発明の第2のSiC焼結部材の製造方法は、第1のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第1のSiC仮焼体を得る工程と、第2のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第2のSiC仮焼体を得る工程と、前記第1のSiC仮焼体に第1の平面を形成する工程と、前記第2のSiC仮焼体に第2の平面を形成する工程と、前記第1の平面又は前記第2の平面の少なくとも一方に凹部を形成する工程と、前記第1のSiC仮焼体と前記第2のSiC仮焼体とを、前記第1の平面と前記第2の平面とを接合材を介して接触させた状態で積層する工程と、前記積層した前記第1のSiC仮焼体及び前記第2のSiC仮焼体を、積層方向に0.005kgf/cm2以上の圧力を加えながら1900℃以上2200℃以下で焼成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第1及び第2のSiC焼結部材の製造方法によれば、凹部に由来する中空構造を有するSiC焼結部材を得ることが可能となる。第1及び第2のSiC仮焼体に第1及び第2の平面並びに凹部を形成しているが、これらを形成するための研削や研磨などの作業などは、SiC焼結体にこれらを形成する場合と比較して、作業時間の短縮化を図ることが可能となる。また、凹部を形成したSiC成形体同士を焼成して一体化する場合と比較して、凹部に由来するSiC焼結部材の中空構造の寸法精度の向上を図ることが可能となる。
また、本発明の第1のSiC焼結部材の製造方法によれば、錘を用いた小さな荷重を加えた状態で焼成を行う上記特許文献1に開示された技術と比較して、10kgf/cm2(=0.98MPa)以上の加圧を行いながら焼成を行うので、接合強度の向上、及びSiC焼結部材の緻密化を図ることが可能となる。
本発明の第1のSiC焼結部材の製造方法において、前記積層する工程において、前記第1の平面と前記第2の平面との間に、ホウ素を含む焼結助剤が介在していることが好ましい。
この場合、接合面に焼結助剤が介在するので、接合面付近での焼結が促進され、接合強度の向上を図ることが可能となる。
本発明の第2のSiC焼結部材の製造方法において、例えば、前記接合材は、シリコン粉末、SiC粉末、Si溶射膜の何れかである。
また、本発明の第1及び第2のSiC焼結部材の製造方法において、前記凹部を形成する工程の前に、前記第1のSiC仮焼体及び前記第2のSiC仮焼体を保管する工程を備えることが好ましい。
この場合、予め作製した第1及び第2のSiC仮焼体を保管しておくことにより、少なくとも仮焼に要する時間だけ短い時間でSiC焼結部材を得ることが可能となる。また、第1の平面及び第2の平面を形成した第1及び第2のSiC仮焼体を保管しておくことにより、第1の平面及び第2の平面を形成する工程に要する時間の分も短い時間でSiC焼結部材を得ることが可能となる。
また、本発明の第1及び第2のSiC焼結部材の製造方法において、第3のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第3のSiC仮焼体を得る工程をさらに備え、前記積層する工程において、前記第3のSiC仮焼体を前記第1のSiC仮焼体又は前記第2のSiC仮焼体の積層方向外側に剥離材を介して積層し、前記焼成する工程において、積層された前記第1のSiC仮焼体と前記第2のSiC仮焼体と第3のSiC仮焼体とに前記圧力を加えることが好ましい。
この場合、第1又は第2のSiC仮焼体の段差部や凹部などに第3のSiC仮焼体を剥離材を介して配置した状態で圧力を加えることにより、第3のSiC仮焼体は第1及び第2のSiC仮焼体と共に焼成によって同様に収縮するので、焼成中に加わる圧力の均一化、及び接合強度の向上を図ることが可能となる。また、焼成後、第3のSiC仮焼体に相当する焼結体部分を容易に剥離させることが可能であるので、機械加工などによる除去を不要としない。
また、本発明の第1及び第2のSiC焼結部材の製造方法において、乾式の研削加工又は研磨加工により、前記第1の平面、前記第2の平面及び前記凹部のうち少なくとも何れかを形成することが好ましい。
この場合、湿式で研削加工又は研磨加工を行う場合と比較して、研削液又は研磨液が第1又は第2のSiC仮焼体の内部に侵入することにより、SiC焼結部材に不純物が残存するおそれの解消を図ることが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るSiC焼結部材の製造方法を示すフローチャート。 第1及び第2のSiC仮焼体を示す模式断面図。 第1及び第2のSiC仮焼体を積層した状態を示す模式断面図。 SiC焼結部材を示す模式断面図。 本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材の製造方法を示すフローチャート。 第1から第3のSiC仮焼体を示す模式断面図。 第1から第3のSiC仮焼体を積層した状態を示す模式断面図。 SiC焼結部材を示す模式断面図。 実施例8,9,11における第1及び第2のSiC仮焼体を示す模式断面図。 第1及び第2のSiC仮焼体を積層した状態を示す模式断面図。 SiC焼結部材を示す模式断面図。 本発明の第3の実施形態に係るSiC焼結部材の製造方法を示すフローチャート。 第1及び第2のSiC仮焼体並びに接合材を示す模式断面図。 第1及び第2のSiC仮焼体並びに接合材を積層した状態を示す模式断面図。 SiC焼結部材を示す模式断面図。 本発明の第4の実施形態に係るSiC焼結部材の製造方法を示すフローチャート。 第1から第3のSiC仮焼体並びに接合材を示す模式断面図。 第1から第3のSiC仮焼体並びに接合材を積層した状態を示す模式断面図。 SiC焼結部材を示す模式断面図。
本発明の第1の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法について図面を参照して説明する。なお、図面は、SiC焼結部材10及び構成要素などを明確化するためにデフォルメされており、実際の比率を表すものではなく、上下などの方向も単なる例示である。
本発明の第1の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法は、図1に示すように、第1のSiC仮焼体取得工程STEP1、第2のSiC仮焼体取得工程STEP2、第1の平面形成工程STEP3、第2の平面形成工程STEP4、凹部形成工程STEP5、積層工程STEP6及び焼成工程STEP7を備えている。
第1のSiC仮焼体取得工程STEP1においては、図2Aを参照して、第1のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第1のSiC仮焼体1を得る。第2のSiC仮焼体取得工程STEP2においては、第2のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第2のSiC仮焼体2を得る。なお、第1のSiC仮焼体取得工程STEP1及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP2における仮焼温度は同じであっても、相違していてもよい。
第1のSiC仮焼体取得工程STEP1及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP2においては、SiC(炭化珪素)粉末を成形した2個のSiC成形体を仮焼して第1及び第2のSiC仮焼体1,2を形成する。例えば、SiC粉末に、焼結助剤、熱硬化性樹脂バインダなどの添加剤を適宜添加して混合して、成形原料を作製し、この成形材料を用いて加圧成形して2個のSiC成形体を形成する。
SiC粉末は、高純度であることが好ましく、その純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは98%以上である。また、SiC粉末の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.3μm以上0.8μm以下である。
混合方法は、湿式、乾式の何れであってもよく、例えばボールミル、振動ミルなどの混合器を用いることができる。また、SiC粉末に焼結助剤などを添加してSiC顆粒を作製し、このSiC顆粒に熱硬化性樹脂バインダなどの添加剤を添加したものを用いて加圧成形してSiC成形体を形成してもよい。成形方法としては、例えば、一軸加圧成形や冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法などの公知の方法を用いればよい。
なお、SiC成形体を900℃以上1200℃未満の温度で加熱してSiC脱脂体を得たうえで、このSiC脱脂体を1200℃以上1900℃以下の温度で加熱して第1及び第2のSiC仮焼体1,2を得てもよい。また、SiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度まで連続的に昇温させながら加熱して第1及び第2のSiC仮焼体1,2を得てもよい。
第1の平面形成工程STEP3においては、第1のSiC仮焼体1に第1の平面1aを形成する。第2の平面形成工程STEP4においては、第2のSiC仮焼体2に第2の平面2aを形成する。なお、第1の平面1aと第2の平面2aは、積層工程STEP6において接触する面となる。
NC旋盤、MC加工機などの平面研削機やラッピング加工機などを用いて、例えば、表面粗さRaが、好ましくは0.15μm以上0.8μm以下、より好ましくは0.15μm以上0.4μm以下となるように研磨又は研削を行うことにより、第1及び第2の平面1a,2aを形成する。
凹部形成工程STEP5においては、第1の平面1a又は第2の平面2aの少なくとも一方に凹部3を形成する。凹部3は、第1の平面1a、第2の平面2aの何れか一方、又は双方から掘り込むように研削加工などによって形成する。
なお、第1の平面形成工程STEP3又は第2の平面形成工程STEP4において、第1の又は第2の平面1a,2aを研磨加工せずに、あるいは粗く研削加工しただけとしておき、凹部形成工程STEP5において凹部3を形成した後で、第1又は第2の平面1a,2aを研磨加工、あるいは仕上げの研削加工を行ってもよい。
なお、第1及び第2の平面1a,2aの双方から掘り込むように凹部3を形成する場合、これらの凹部3は、第1及び第2の平面1a,2aを積層工程STEP5において接触されたときに、一体化するものであってもよいが、他の平面によって閉じられるものであってもよい。また、第1及び第2の平面1a,2aと凹部3の境界部分及び凹部3の底隅部分には、R面やC面などの面取り加工を施すことが好ましい。
また、第1の平面形成工程STEP3、第2の平面形成工程STEP4又は凹部形成工程STEP5において、乾式の研削加工又は研磨加工により、第1の平面1a、第2の平面2a又は凹部3を形成することが好ましい。これにより、研削液又は研磨液が第1又は第2の仮焼体1,2の内部に侵入し、SiC焼結部材10に不純物が残存するおそれの解消を図ることが可能となる。なお、研削加工及び研磨加工を行う場合、これら加工の双方ともに乾式で行うことが好ましい。
さらに、凹部形成工程STEP5の前に、第1及び第2のSiC仮焼体1,2を保管する保管工程を備えていてもよい。これにより、予め作製した第1及び第2のSiC仮焼体1,2を保管しておくことにより、少なくとも仮焼に要する時間だけ短い時間でSiC焼結部材10を得ることが可能となる。また、第1の平面形成工程STEP3及び第2の平面形成工程STEP4後の第1及び第2のSiC仮焼体1,2を保管しておくことにより、第1の平面1a及び第2の平面2aを形成する工程に要する時間の分も短い時間でSiC焼結部材10を得ることが可能となる。
積層工程STEP6においては、図2Bを参照して、第1のSiC仮焼体1と第2のSiC仮焼体2とを、第1の平面1aと第2の平面2aとを接触させた状態で積層する。
なお、積層工程STEP6において、第1の平面1aと第2の平面2aとの間に、ホウ素を含む焼結助剤を介在させることが好ましい。これにより、焼成工程STEP7にて接合面となる第1及び第2の面1a,2aに焼結助剤が介在するので、接合面1a,2a付近での焼結が促進され、接合強度の向上を図ることが可能となる。例えば、ホウ素を含む焼結助剤としては、ホウ酸水溶液などを用いることができる。
また、積層工程STEP6において、凹部3に図示しない中子を挿入した状態で積層することも好ましい。中子は、例えば、凹部3のなす形状に倣った樹脂体などであるが、凹部3に充填される多数の微小な樹脂体などであってもよい。ただし、中子は、焼成工程STEP7において加えられる圧力に抗して、凹部3に不所望な変形を生じさせるものでないことが好ましい。
焼成工程STEP7においては、積層した第1のSiC仮焼体1及び第2のSiC仮焼体2を、積層方向に10kgf/cm2以上の圧力を加えながら2000℃以上2200℃以下で焼成する。これにより、図2Cを参照して、第1及び第2のSiC仮焼体1,2が焼結して一体化されたSiC焼結部材10が得られる。
焼成工程STEP7においては、少なくとも積層方向に加圧した状態で加熱するホットプレスなどによって、加圧焼結を行う。加熱時間は、好ましくは0.1時間以上10時間以下、より好ましくは1時間以上5時間以下である。そして、焼成雰囲気は、例えば不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。
なお、積層工程STEP6において凹部3に中子を挿入した場合、焼成工程STEP7において又は焼成工程STEP7後に中子を除去すればよい。例えば、凹部3が外部に連通している場合、溶解した中子を外部に排出すればよい。
SiC焼結体同士を拡散接合して一体化する場合、SiC焼結体は難加工性であるので、接合面の研磨に多大な時間を要するが、これと比較して、上述した本発明の第1の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法においては、第1及び第2の仮焼体1,2の第1及び第2の平面1a,2a並びに凹部3を研削加工又は研磨加工する時間の低減を図ることが可能となる。また、凹部3を形成したSiC成形体同士を焼成して一体化する場合と比較して、凹部3に由来するSiC焼結部材10の中空構造などの寸法精度の向上を図ることが可能となる。
さらに、錘を用いた小さな荷重を加えた状態で焼成を行う上記特許文献1に開示された技術と比較して、10kgf/cm2以上の加圧を行いながら焼成を行うので、接合強度の向上、及びSiC焼結部材10の緻密化を図ることが可能となる。なお、10kgf/cm2未満の加圧では、焼成時に第1及び第2の仮焼体1,2の第1及び第2の平面1a,2aの良好な面接触が得られず接合不良を引き起こすため不適である。
次に、本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法について図面を参照して説明する。
本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法は、図3に示すように、第1のSiC仮焼体取得工程STEP11、第2のSiC仮焼体取得工程STEP12、第3のSiC仮焼体取得工程STEP13、第1の平面形成工程STEP14、第2の平面形成工程STEP15、凹部形成工程STEP16、積層工程STEP17及び焼成工程STEP18を備えている。
図3における第1のSiC仮焼体取得工程STEP11においては、図4Aを参照して、第1のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第1のSiC仮焼体11を得る。第2のSiC仮焼体取得工程STEP12においては、第2のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第2のSiC仮焼体12を得る。なお、第1のSiC仮焼体取得工程STEP11及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP12における仮焼温度は同じであっても、相違していてもよい。
第1のSiC仮焼体取得工程STEP11は上述した図1における第1のSiC仮焼体取得工程STEP1と同様であり、第2のSiC仮焼体取得工程STEP12は上述した第2のSiC仮焼体取得工程STEP2と同様であるので、説明は省略する。
第3のSiC仮焼体取得工程STEP13においては、第3のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第3のSiC仮焼体13を得る。第3のSiC仮焼体13は、上述した第1又は第2のSiC仮焼体11,12と同様して得ればよい。なお、第3のSiC仮焼体取得工程13における仮焼温度は、第1又は第2のSiC仮焼体取得工程STEP11,12における仮焼温度と同じであっても、相違していてもよい。
第3のSiC仮焼体13は、積層工程STEP17において、図4Bを参照して、第1のSiC仮焼体11と第2のSiC仮焼体12とを、第1の平面11aと第2の平面21aとを接触させた状態で積層したときに、積層方向外側における段差や凹部を解消するような形状に構成されている。例えば、第2の仮焼体12の積層方向外側の表面の外周部に環状の段差が形成されている場合、第3のSiC仮焼体13は段差の高さとほぼ一致する厚みを有する環状部材として形成される。
次に、第1の平面形成工程STEP14において、第1のSiC仮焼体11に第1の平面11aを形成する。第2の平面形成工程STEP15において、第2のSiC仮焼体12に第2の平面12aを形成する。
第1の平面形成工程STEP14は上述した第1の平面形成工程STEP3と同様であり、第2の平面形成工程STEP15は上述した第2の平面形成工程STEP4と同様であるので、説明は省略する。
次に、凹部形成工程STEP16において、第1の平面11a又は第2の平面12aの少なくとも一方に凹部14を形成する。凹部形成工程STEP16は上述した凹部形成工程STEP5と同様であるので、説明は省略する。
次に、積層工程STEP17においては、図4Bを参照して、第1のSiC仮焼体11と第2のSiC仮焼体12とを、第1の平面11aと第2の平面12aとを接触させた状態で積層する。
さらに、積層工程17において、第3のSiC仮焼体13を第1のSiC仮焼体11又は第2のSiC仮焼体12の積層方向外側に剥離材15を介して積層する。これにより、第1から第3のSiC仮焼体11〜13は、積層方向外側において段差や凹部を解消されて平面状となって積層される。剥離材15としては、例えば、カーボンシート、窒化ホウ素シートなどを用いることができる。また、カーボンや窒化ホウ素を第1のSiC仮焼体11又は第2のSiC仮焼体12に直接コーティングしてもよい。
次に、焼成工程STEP18において、積層した第1から第3のSiC仮焼体11〜13を、積層方向に1MPa以上の圧力を加えながら2000℃以上2200℃以下で焼成する。焼成工程STEP18は上述した焼成工程STEP7と同様であるので、説明は省略する。
焼成工程STEP18の完了により、図4Cを参照して、第1及び第2のSiC仮焼体11,12が焼結して一体化されたSiC焼結部材20が得られる。なお、第3のSiC仮焼体13が焼結してなる図示しないSiC焼結体は、剥離材15を介してSiC焼結部材20と接しているだけであるので、SiC焼結部材20と焼結せず、容易にSiC焼結部材20と分離することができる。
以上説明した本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法においても、前述した本発明の第1の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法と同様の作用効果を奏する。
さらに、本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法においては、第1又は第2のSiC仮焼体11,12の積層方向外側における段差部や凹部などに剥離材15を介して第3のSiC仮焼体13が配置された状態で加圧焼成される。そして、この焼成の際、第3のSiC仮焼体13は第1及び第2のSiC仮焼体11,12と同様に収縮する。これらにより、焼成中に第1及び第2のSiC仮焼体11,12に加わる圧力の均一化、及び接合強度の向上を図ることが可能となる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法について図面を参照して説明する。
本発明の第3の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法は、図6に示すように、第1のSiC仮焼体取得工程STEP1、第2のSiC仮焼体取得工程STEP2、第1の平面形成工程STEP3、第2の平面形成工程STEP4、凹部形成工程STEP5、接合材形成工程STEP5−1、積層工程STEP6及び焼成工程STEP7を備えている。
第1のSiC仮焼体取得工程STEP1、第2のSiC仮焼体取得工程STEP2、第1の平面形成工程STEP3、第2の平面形成工程STEP4、凹部形成工程STEP5及び焼成工程STEP7は、前述した本発明の第1の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法で説明した各工程STEP1〜5,6と同様であるので、説明を省略する。
接合材形成工程STEP5−1において、第1の平面1aと第2の平面2aとの間に介在させた接合材6を形成する。接合材6は、Si(シリコン)またはSiCを含む。このような接合材6を形成する方法として、従来から周知の湿式法による粉末をペーストにして平面に印刷、塗布する方法、乾式な方法としてプラズマ溶射法、アーク溶射法、RFプラズマ溶射法、電磁加速プラズマ溶射法、線爆溶射法、電熱爆破粉体溶射法、溶線式フレーム溶射、粉末式フレーム溶射、溶棒式フレーム溶射などのフレーム溶射、高速フレーム溶射(HVOF、HVAF)、レーザ溶射、レーザ・プラズマ複合溶射、コールドスプレー法などが挙げられる。溶射原料は、例えば、平均粒径が20μm以上60μm以下の顆粒からなるものであっても、平均粒径が0.5μm以上6μm以下の粒子を含むスラリーであってもよい。
これにより、焼成工程STEP7にて接合面となる第1及び第2の面1a,2aの間に接合材6が介在するので、接合面1a,2a付近での焼結が促進され、接合強度の向上を図ることが可能となる。
接合材6を溶射により形成する場合、例えば、体積基準のメジアン径(D50)が0.5〜6μmの金属Siの粉末を、プラズマ溶射装置、高速フレーム(HVOF)溶射装置などを用いて第1の平面1a、第2の平面2aまたはこれら両方の平面1a,2aに溶射し、Si溶射膜を形成すればよい。
接合材6をペーストを用いて形成する場合、例えば、平均粒子径が0.1〜3μmの金属Si粉末又はSiC粉末、バインダ、可塑剤を含む有機ビヒクルを添加してSiペースト又はSiCペーストを調整し、このペーストを第1の平面1a、第2の平面2aまたはこれら両方の平面1a,2aに塗布、印刷、噴霧などした後、大気雰囲気又は窒素雰囲気で200℃以上800℃未満で0.1時間以上5時間以下熱処理して、Si粉末又はSiC粉末などからなる接合材6を形成すればよい。
積層工程STEP6においては、図7Bを参照して、第1のSiC仮焼体1と第2のSiC仮焼体2とを、第1の平面1aと第2の平面2aとを接合材6を介して接触させた状態で積層する。
焼成工程STEP7においては、積層した第1のSiC仮焼体1及び第2のSiC仮焼体2並びに接合材6を、積層方向に0.005kgf/cm2(=490Pa)以上の圧力を加えながら1900℃以上2200℃以下で焼成する。これにより、図7Cを参照して、第1及び第2のSiC仮焼体1,2が焼結して一体化されたSiC焼結部材10が得られる。
焼成工程STEP7においては、少なくとも積層方向に荷重を負荷した状態での常圧焼成や、加圧した状態で加熱するホットプレスなどによって、焼結を行う。加熱時間は、好ましくは0.1時間以上10時間以下、より好ましくは1時間以上5時間以下である。そして、焼成雰囲気は、例えば不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。
SiC焼結体同士を接合して一体化する場合、SiC焼結体は難加工性であるので、接合面の研磨に多大な時間を要するが、これと比較して、上述した本発明の第3の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法においては、第1及び第2の仮焼体1,2の第1及び第2の平面1a,2a並びに凹部3を研削加工又は研磨加工する時間の低減を図ることが可能となる。また、凹部3を形成したSiC成形体同士を焼成して一体化する場合と比較して、凹部3に由来するSiC焼結部材10の中空構造などの寸法精度の向上を図ることが可能となる。
また、第1及び第2の仮焼体1,2を接合材6を介して焼成し一体化できるため、焼成工程STEP7において負荷する圧力は小さくてもよく、設備上の制約が小さくなり低コスト化にも貢献し得る。
なお、0.005kgf/cm2未満の加圧では、焼成時に第1及び第2の仮焼体1,2の第1及び第2の平面1a,2aの良好な面接触が得られず接合不良を引き起こすため不適である。また、ホットプレス機などを用いて1kgf/cm2以上の加圧を行いながら焼成を行うと、接合面はさらに良好に接合されるので、好ましい。
次に、本発明の第4の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法について図面を参照して説明する。
本発明の第4の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法は、図8に示すように、第1のSiC仮焼体取得工程STEP11、第2のSiC仮焼体取得工程STEP12、第3のSiC仮焼体取得工程STEP13、第1の平面形成工程STEP14、第2の平面形成工程STEP15、凹部形成工程STEP16、接合材形成工程STEP16−1、積層工程STEP17及び焼成工程STEP18を備えている。
第1のSiC仮焼体取得工程STEP11、第2のSiC仮焼体取得工程STEP12、第3のSiC仮焼体取得工程STEP13、第1の平面形成工程STEP14、第2の平面形成工程STEP15、凹部形成工程STEP16は、前述した本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法で説明した工程STEP11〜15,16と同様であるので、説明を省略する。また、接合材形成工程STEP16−1及び焼成工程STEP18は、前述した本発明の第3の実施形態に係るSiC焼結部材10の製造方法で説明した工程STEP5−1,7と同様であるので、説明を省略する。
以上説明した本発明の第4の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法においても、前述した本発明の第2の実施形態に係るSiC焼結部材20の製造方法と同様の作用効果を奏する。
なお、本発明は、上述した第1乃至第4の実施形態に具体的に記載したSiC焼結部材10,20の製造方法に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内であれば適宜変更することができる。例えば、SiC焼結部材10,20は2個のSiC仮焼体1,2又は11,12が一体化したものであるが、3個以上のSiC仮焼体が一体化したものであってもよい。
(実施例1〜7)
実施例1〜7においては、第1及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP1,2として、まず、純度98%、平均粒径0.5μmのSiC粉末に、焼結助剤としてB4Cを0.1〜0.5質量%、C(カーボン)、成形助剤としてPVAなどのバインダなどを添加したものを原料粉末とした。次に、この原料粉末をスプレードライヤーで顆粒化して顆粒を得た。
そして、この顆粒を金型に充填し、圧力を20MPaとした一軸加圧成形して2個のSiC成形体を得た。これらのSiC成形体の嵩密度は表1に示す通りであった。次に、これらSiC成形体を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で炉内温度を1200℃〜1900℃として3時間焼成して2個のSiC仮焼体を得た。仮焼後の嵩密度及び仮焼による収縮率は、表1に示す通りであった。
次に、第1及び第2の平面形成工程STEP3,4として、2個のSiC仮焼体を、図2Aを参照して、一辺100mm、高さ10mmの正方形板状の第1及び第2のSiC仮焼体1,2に加工した。第1のSiC仮焼体1の第1の平面1a及び第2のSiC仮焼体2の第2の平面2aは、実施例1〜4,6,7においては、♯170のダイヤモンド砥粒を備えた砥石を用いて研削加工を行った。そして、実施例5においては、♯600のダイヤモンド砥粒を備えた砥石を用いて研削加工を行った。研削加工は、研磨液は用いずに、乾式で行った。第1及び第2の平面1a,2aの算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Rz)の平均は、表1に示す通りであった。
次に、凹部形成工程STEP5として、第2のSiC仮焼体2の第2の平面2aに凹部3を形成した。凹部3は、3本の幅20mm、深さ5mm、長さ70mmの直線状の溝であった。この凹部3は、直径20mmのエンドミルを用いてMC加工により形成した。このMC加工の加工性の評価は表1に示す通りであった。
なお、評価は加工時の主軸の負荷、ビビリ及び仮焼体の破損の発生によって判定した。表1において、評価「◎」は1パスの切り込み量が0.25mm以上、且つ刃送り量が250mm/min以上が可能であって優良を意味する。評価「〇」は1パスの切り込み量が0.2mm以上、且つ刃送り量が200mm/min以上が可能であって良を意味する。評価「△」は1パスの切り込み量が0.15mm以上、且つ刃送り量が150mm/min以上が可能であって可を意味する。評価「×」は1パスの切り込み量が0.15mm未満、又は刃送り量が150mm/min未満となるものであって不良を意味する。評価「××」は加工途中に仮焼体が破損したものであって不良を意味する。
これより、凹部3を形成する際の加工性に関しては、仮焼温度が1200℃以上1900℃であれば凹部3の形成は可能であるが、1250℃以上1785℃以下であると良好であることが分かった。
次に、積層工程STEP6として、図2Bを参照して、第1のSiC仮焼体1と第2のSiC仮焼体2とを、第1の平面1aと第2の平面2aとを接触させた状態で積層させた。
次に、焼成工程STEP7として、このように積層した第1及び第2のSiC仮焼体1,2を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で押圧板としてのカーボン平板で挟み込んで、実施例1〜6では25kgf/cm2(=2.45MPa)の荷重、実施例7では10kgf/cm2(=0.98MPa)の荷重を積層方向にかけながら、炉内温度を2070℃として3時間焼成した。これにより、図2Cを参照して、SiC焼結部材10が得られた。SiC焼結部材10の嵩密度は表1に示す通りであった。
そして、このSiC焼結部材10に対して、接合部を含むように切断し、切断面を研磨加工した後、接合部を拡大鏡などを用いて実験者が目視した。その結果、接合部に接合不不良や破損などは確認されず、凹部3に由来する中空構造にも破損や歪みなどは確認されなかった。
実施例1〜7の結果を表1にまとめた。
(比較例1)
比較例1においては、実施例1〜7と同様に作製したSiC成形体を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で炉内温度を2070℃として3時間焼成して2個のSiC焼結体を得た。すなわち、比較例1においては、SiC仮焼体1,2の代わりにSiC焼結体を用いた。SiC焼結体に凹部3の形成を実施例1〜7において凹部3を形成したMC加工機を用いて加工することを試みたが、非常に困難であり、途中で断念した。
(比較例2)
比較例2においては、実施例1〜7と同様に作製したSiC成形体を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で炉内温度を1100℃として3時間焼成して2個のSiC仮焼体を得た。SiC仮焼体に凹部3の形成を実施例1〜7において凹部3を形成したMC加工機を用いて加工することを試みたが、加工時に仮焼体が破損したため、途中で断念した。
(比較例3)
比較例3においては、焼成工程STEP7において積層した第1及び第2のSiC仮焼体1,2にかける荷重を5kgf/cm2(=0.49MPa)とした点を除いて、実施例7と同じ工程でSiC焼結部材30を作製した。しかしながら、焼結体の密度が小さくなり、SiC焼結部材30の接合部に接合不良が観察された。
比較例1〜3の結果を表2にまとめた。
(実施例8)
実施例8においては、図1における第1及び第2の平面形成工程STEP3,4として、2個のSiC仮焼体を、図5Aを参照して、直径400mm、厚さ10mmの円板状の第1のSiC仮焼体21及び直径400mm、厚さ25mmの円板状の第2のSiC仮焼体22に加工した。第1のSiC仮焼体21の第1の平面21a、第2のSiC仮焼体22の第2の平面22aは、♯170のダイヤモンド砥粒を備えた砥石を用いて研削加工を行った。このとき、研磨液は用いずに、乾式で研削加工を行った。第1及び第2の平面21a,22aの算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Rz)の平均は、表2に示す通りであった。また、図1における凹部形成工程STEP5として、実施例1と同様のMC加工により凹部23,24を形成した。凹部23は、冷媒用流路として用いることができるように第2のSiC仮焼体22の第2の平面22aに幅20mm、深さ5mmの円周形状に形成した。凹部24は、第2のSiC仮焼体22の第2の平面22aとは反対側の表面の外周部に幅25mm深さ15mmを有する環状に形成した。これらのことを除いて実施例1と同様にして、SiC焼結部材30を作製した。
このSiC焼結部材30も、実施例1と同様に、接合部に接合不良や破損などは確認されず、凹部23に由来する中空構造にも破損や歪みなどは確認されなかった。実施例8の結果を表2にまとめた。そして、実施例8で作製したSiC焼結部材30は、静電チャック用の基台として使用することが可能であることを確認した。
(実施例9)
実施例9においては、第1及び第2の平面21a,22aに対する研削加工方法を除いて実施例8と同様にして、第1及び第2のSiC仮焼体21,22を得た。
詳述すると、第1及び第2のSiC仮焼体21,22に対して、♯600のダイヤモンド砥粒を備えた砥石を用いて研削加工を行い、第1及び第2の平面21a,22aの算術平均粗さ(Ra)の平均を0.27μmとした。さらに、算術平均粗さ(Ra)が0.01μmの平面を有する別のSiC焼結体を用い、面方向に垂直に6000Paの荷重をかけながら0.5m/minの速度で摺動させて乾式で研磨を行った。これにより、第1及び第2の平面21a,21bの算術平均粗さ(Ra)の平均は0.18μmとなった。
次に、実施例8と同様にして、図1における積層工程STEP6及び焼成工程STEP7を行った。これにより、SiC焼結部材30を得た。
このSiC焼結部材30も、実施例8と同様に、接合部に接合不良や破損などは確認されず、凹部23に由来する中空構造にも破損や歪みなどは確認されなかった。実施例9の結果を表3にまとめた。そして、実施例9で作製したSiC焼結部材30は、静電チャック用の基台として使用することが可能であることを確認した。
(実施例10)
実施例10においては、図3における第1及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP11,12として、実施例8の第1及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP1,2と同様にして、2個のSiC成形体を得た。次に、これらSiC成形体を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で炉内温度を1500℃として3時間焼成して2個のSiC仮焼体を得た。
また、第3のSiC仮焼体取得工程STEP13として、実施例1の第1及び第2のSiC仮焼体取得工程STEP1,2と同様にして、SiC成形体を得た。次に、このSiC成形体を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で炉内温度を1500℃として3時間焼成して1個のSiC仮焼体を得た。
次に、図3における第1及び第2の平面形成工程STEP14,15として、図4Aを参照して、前記2個のSiC仮焼体を、直径400mm、厚さ10mmの円板形状の第1のSiC仮焼体11及び直径400mm、厚さ25mmの円板形状の第2のSiC仮焼体12に加工した。第1のSiC仮焼体11の第1の平面11a及び第2のSiC仮焼体12の第2の平面12aは、♯170のダイヤモンド砥粒を備えた砥石を用いて研削加工を行った。また、前記1個のSiC仮焼体を、外径400mm、内径350.5mm、厚さ14.5mmの円環形状の第3のSiC仮焼体13に加工した。
次に、凹部形成工程STEP16として、第2のSiC仮焼体12の第2の平面12aに凹部14を形成し、第2のSiC仮焼体12の第2の平面12aとは反対側の表面の外周部に幅25mm、深さ15mm円環状の凹部を形成した。凹部14は、幅10mm、深さ10mmであって冷媒用の流路に相当する円周形状であった。この凹部14は、実施例8と同じようにMC加工により形成した。
次に、積層工程STEP17として、図4Bを参照して、第1のSiC仮焼体11と第2のSiC仮焼体12とを、第1の平面11aと第2の平面12aとを接触させた状態で積層させた。さらに、第2のSiC仮焼体12の外周外側に剥離材15を介して第3のSiC仮焼体13を、剥離材15を介して第1のSiC仮焼体11の第1の平面11aの下方に設置した。なお、剥離材15は共に厚さ0.25mmのカーボンシートを用いた。
次に、焼成工程STEP18として、このように積層した第1から第3のSiC仮焼体11〜13を、実施例1の焼成工程STEP7と同様にして焼成した。その後、第3のSiC仮焼体13が焼成された部分を剥離することにより、図4Cを参照して、SiC焼結部材20が得られた。
そして、このSiC焼結部材20に対して、接合部を含むように切断し、切断面を研磨加工した後、接合部を拡大鏡などを用いて実験者が目視した。その結果、接合部に接合不良や破損などは確認されず、凹部14に由来する中空構造にも破損や歪みなどは確認されなかった。
(実施例11)
実施例11においては、図1における積層工程STEP6において、第1のSiC仮焼体21の第1の表面21a及び第2のSiC仮焼体22の第2の表面22aに、濃度0.3g/Lのホウ酸水溶液用を塗布したうえで、第1及び第2のSiC焼結体21,22を積層したことを除いて、実施例8と同様にして、SiC焼結部材30を作製した。
このSiC焼結部材30も、実施例8と同様に、接合部に接合不良や破損などは確認されず、凹部23に由来する中空構造にも破損や歪みなどは確認されなかった。
実施例8〜11の結果を表3にまとめた。
(実施例12〜15)
実施例12〜15においては、上述した実施例8と同様にして、第1のSiC仮焼体取得工程STEP1、第2のSiC仮焼体取得工程STEP2、第1の平面形成工程STEP3、第2の平面形成工程STEP4及び凹部形成工程STEP5を行った。
次に、接合材形成工程STEP5−1として、実施例12,15においては、溶剤としてIPAを用い、Si粒子の体積基準のメジアン径(D50)が3μmとなるようにSi粒子含有スラリーを調製した。次いで、プラズマ溶射装置を用い、調製したSi粒子含有スラリーをプラズマ装置のノズルに供給して第2の面2aにプラズマ溶射し、Si溶射膜からなる接合材6を形成した。このとき、溶射距離は75mmであった。なお、プラズマ溶射の条件は、供給電力が65kW、Arガスの供給量が100L/min、N2ガスの供給量が70L/min、かつ、H2ガスの供給量が70mL/minに制御された。なお、接合材6の厚さは8μmであった。
そして、実施例13においては、体積基準のメジアン径(D50)が1μmの金属Si粒子を、バインダとしてのPVB、可塑剤としてのDBP、溶剤としての酢酸ブチルカルビトールを含む有機ビヒクルを用いて、Siペーストを調整した。調製したSiペーストを第2の面2aに塗布し、大気雰囲気で200℃で1時間熱処理し、Si粒子などからなる接合材6を形成した。接合材6の厚さは15μmmであった。
一方、実施例14においては、体積基準のメジアン径(D50)が1μmのSiC粒子を、実施例13で用いた有機ビヒクルを用いて、SiCペーストを調整した。調製したSiCペーストを第2の面2aに塗布し、大気雰囲気で200℃で1時間熱処理し、SiC粒子などかたなる接合材6を形成した。接合材6の厚さは15μmmであった。
次に、積層工程STEP6として、図7Bを参照して、第1のSiC仮焼体1と第2のSiC仮焼体2とを、第1の平面1aと第2の平面2aとを接合材6を介して接触させた状態で積層させた。
次に、焼成工程STEP7として、このように積層した第1及び第2のSiC仮焼体1,2並びに接合材6を焼成炉内にてアルゴン雰囲気で押圧板としてのカーボン平板で挟み込んで、実施例1〜6では0.005kgf/cm2(=490Pa)の荷重、実施例7では10kgf/cm2(=0.98MPa)の荷重を積層方向にかけながら、炉内温度を2070℃として3時間焼成した。これにより、図7Cを参照して、SiC焼結部材10が得られた。SiC焼結部材10の嵩密度は表4に示す通りであった。
そして、このSiC焼結部材10に対して、接合部を含むように切断し、切断面を研磨加工した後、接合部を拡大鏡などを用いて実験者が目視した。その結果、接合部に接合不不良や破損などは確認されず、凹部3に由来する中空構造にも破損や歪みなどは確認されなかった。
実施例12〜15の結果を表4にまとめた。
1,11,21…第1のSiC仮焼体、 1a,11a,21a…第1の平面、 2,12,22…第2のSiC仮焼体、 2a,12a,22a…第2の平面、 3、14,23…凹部、 13…第3のSiC仮焼体、 15…剥離材、 6,16…接合材、 10,20,30…セラミックス焼結体。

Claims (7)

  1. 第1のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第1のSiC仮焼体を得る工程と、
    第2のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第2のSiC仮焼体を得る工程と、
    前記第1のSiC仮焼体に第1の平面を形成する工程と、
    前記第2のSiC仮焼体に第2の平面を形成する工程と、
    前記第1の平面又は前記第2の平面の少なくとも一方に凹部を形成する工程と、
    前記第1のSiC仮焼体と前記第2のSiC仮焼体とを、前記第1の平面と前記第2の平面とを接触させた状態で積層する工程と、
    前記積層した前記第1のSiC仮焼体及び前記第2のSiC仮焼体を、積層方向に10kgf/cm2以上の圧力を加えながら2000℃以上2200℃以下で焼成する工程とを備えることを特徴とするSiC焼結部材の製造方法。
  2. 前記積層する工程において、前記第1の平面と前記第2の平面との間に、ホウ素を含む焼結助剤が介在していることを特徴とする請求項1に記載のSiC焼結部材の製造方法。
  3. 第1のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第1のSiC仮焼体を得る工程と、
    第2のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第2のSiC仮焼体を得る工程と、
    前記第1のSiC仮焼体に第1の平面を形成する工程と、
    前記第2のSiC仮焼体に第2の平面を形成する工程と、
    前記第1の平面又は前記第2の平面の少なくとも一方に凹部を形成する工程と、
    前記第1のSiC仮焼体と前記第2のSiC仮焼体とを、前記第1の平面と前記第2の平面とを接合材を介して接触させた状態で積層する工程と、
    前記積層した前記第1のSiC仮焼体及び前記第2のSiC仮焼体を、積層方向に0.005kgf/cm2以上の圧力を加えながら1900℃以上2200℃以下で焼成する工程とを備えることを特徴とするSiC焼結部材の製造方法。
  4. 前記接合材は、シリコン粉末、SiC粉末、Si溶射膜の何れかであることを特徴とする請求項3に記載のSiC焼結部材の製造方法。
  5. 前記凹部を形成する工程の前に、前記第1のSiC仮焼体及び前記第2のSiC仮焼体を保管する工程を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のSiC焼結部材の製造方法。
  6. 第3のSiC成形体を1200℃以上1900℃以下の温度で仮焼して第3のSiC仮焼体を得る工程をさらに備え、
    前記積層する工程において、前記第3のSiC仮焼体を前記第1のSiC仮焼体又は前記第2のSiC仮焼体の積層方向外側に剥離材を介して積層し、
    前記焼成する工程において、積層された前記第1のSiC仮焼体と前記第2のSiC仮焼体と第3のSiC仮焼体とに前記圧力を加えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項のSiC焼結部材の製造方法。
  7. 乾式の研削加工又は研磨加工により、前記第1の平面、前記第2の平面及び前記凹部のうち少なくとも何れかを形成することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のSiC焼結部材の製造方法。
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