JP2020202296A - 半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法 - Google Patents

半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】直径が小さく、高さ方向に均一な直径を有する半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法を提供する。【解決手段】シリコン基板10の表面に形成すべきシリコンピラー12よりも大径の一次ピラーを形成する。一次ピラーの表面を第1熱酸化工程によって酸化し、この後の第1除去工程で、第1酸化膜を除去する。第1酸化膜を除去して得られる二次ピラー17の表面を第2熱酸化工程によって酸化し、この後の第2除去工程で、第2酸化膜18を除去する。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法に関する。
縦型BC(Body Channel)MOSFET等のGAA(Gate-All-Around)−FET等と称される半導体素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体素子は、円柱形状のシリコンピラーと、シリコンピラーの中央部の周囲を囲むように設けられたゲートと、このゲートとシリコンピラーとの間に設けられたゲート絶縁膜とを有する。この半導体素子は、シリコンピラーの中央部にチャネルとなる半導体領域が設けられ、シリコンピラーの両端がドレイン及びソースとなる。
非特許文献1には、電子ビーム(EB)リソグラフィ技術と犠牲酸化とを併用することによって、20nm程度のGAA−FET用のシリコンピラーを作製する手法が記載されている。この非特許文献1の手法では、シリコン基板に対し、電子ビームリソグラフィによってパターンニングされたレジストをマスクにしてプラズマエッチングを行ない、得られるシリコンピラーの径を犠牲酸化によってさらに小さくしている。
また、非特許文献2には、太陽電池用のシリコンピラー(ナノワイヤー)の形成手法が記載されている。この非特許文献2の手法では、シリコンピラーの酸化を2段階に分けて行なうものであり、シリコンピラーの底部にネッキングが生じる前に1回目の酸化を停止し、それによって形成された酸化膜を除去してから、2回目の酸化を行なう。1回目、2回目の酸化は、いずれもシリコン基板を1150℃に加熱し、酸素ガス及び窒素ガスを供給して急速熱酸化し、1回目の酸化については60秒間、2回目の酸化については所望とする直径になるまで行なっている。
国際公開第2011/043402号 国際公開第2011/142458号
Youssouf Guerfi and Guilhem Larrieu, "Vertical Silicon Nanowire Field Effect Transistors with Nanoscale Gate-All-Around", Nanoscale Research letters. doi: org/10.1186/ s11671-016-1396-7 1-7 R. Kurstjens, I. Vos, F. Dross, J. Poortmans, and R. Mertens, "Thermal Oxidation of a Densely Packed Array of Vertical Si Nanowires", J. Electrochem. Soc. 159 2012 3 H300-H306
ところで、上述のGAA−FETを用いた半導体集積回路の集積度の向上には、シリコンピラーの高さ方向(軸心方向)及びシリコンピラー間における直径のバラツキを小さくしながら、細径化されたすなわち直径の小さなシリコンピラーを形成する必要がある。非特許文献1の手法は、細径化されたシリコンピラーを形成することができるが、ピラー間の直径のバラツキを小さくするには犠牲酸化の前の段階で、ピラー間で直径のバラツキを小さくしたシリコンピラー(以下、初期ピラーという)を形成しておく必要がある。このため非特許文献1では、初期ピラーの形成の際に、電子ビームリソグラフィを用いている。この電子ビームリソグラフィは、微細なマスクパターンを形成でき、ピラー間の直径のバラツキを小さくする上で有利であるが、スループットが低く多数のシリコンピラーを形成する半導体集積回路には不向きである。
一方、非特許文献2の手法は、直径の小さな多数のシリコンピラーの形成に有利であるが、高さ方向における直径のバラツキを小さくする点が考慮されていない。太陽電池の場合には、シリコンピラーの直径は、ある程度大きなバラツキでも許容されるが、半導体集積回路では、直径のバラツキは、例えばシリコンピラーを用いて作製されたGAA−FETの特性のバラツキとなってしまうため問題が生じる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、直径が小さく、高さ方向に均一な直径を有する半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法は、シリコン基板の表面に円柱状の一次ピラーを形成する一次ピラー形成ステップと、前記シリコン基板を加熱することにより、前記一次ピラーの表面を酸化して第1酸化膜を形成する第1熱酸化ステップと、前記第1酸化膜を除去し二次ピラーを得る第1除去ステップと、前記シリコン基板を加熱することにより、前記二次ピラーの表面を酸化して第2酸化膜を形成する第2熱酸化ステップとを有するものである。
本発明によれば、所定の条件を満たすように一次ピラーの表面を熱酸化し、これにより形成される第1酸化膜を除去して得られる二次ピラーを熱酸化することで、一次ピラーよりも直径を小さくしたシリコンピラーを形成するので、高さ方向に均一な直径を有する直径の小さいシリコンピラーを作製することができる。
シリコン基板の表面に形成されたシリコンピラーの外観を示す斜視図である。 シリコンピラーの作製手順のうち一次ピラー形成工程から第1熱酸化工程までを模式的に示す説明図である。 シリコンピラーの作製手順のうち第1除去工程から第2除去工程までを模式的に示す説明図である。 一次ピラーの作製手順を示すフローチャートである。 一次ピラーの初期直径を示す説明図である。 一次ピラーの表面に形成される第1酸化膜を示す断面図である。 GAA−MOSFETの一例を示す斜視図である。 一次ピラー形成工程から第2熱酸化工程までの各工程後のピラーの状態を示すTEM写真である。 シリコンピラーの直径の測定位置を示す説明図である。 第2熱酸化工程の処理温度と処理時間との組み合わせを変えて作製したシリコンピラーを示すTEM写真である。 第2熱酸化工程の処理温度と処理時間との組み合わせを変えて作製した別のシリコンピラーを示すTEM写真である。 初期直径を50.9nmとした実施例で作製されたシリコンピラーを示すTEM写真である。 一次ピラーの初期直径と二次ピラーの直径との関係を示すグラフである。 酸化時間と一次ピラーの直径の減少速度との関係を示すグラフである。
図1に示すように、シリコン基板10の表面に複数のシリコンピラー12を起立した状態に形成する。シリコンピラー12は、半導体集積回路用のものである。半導体集積回路は、電子回路の機能を有するようにトランジスターやその他の回路素子をシリコン基板10上に一体的に形成したものである。シリコンピラー12は、シリコン基板10上に形成される半導体集積回路を構成する回路素子(例えばGAA−MOSFET)の一部とされる。半導体集積回路では、シリコンピラー12の高さ方向(軸心方向)における直径及びピラー間における直径のバラツキは、回路素子の特性のバラツキとなって問題になる。このため、半導体集積回路のシリコンピラー12は、シリコンピラーにある程度大きな直径のバラツキでも許容される太陽電池とは異なり、シリコンピラー12の高さ方向における直径及びピラー間における直径の均一性が要求される。
シリコン基板10は、例えば単結晶ウェーハである。各シリコンピラー12は、半導体集積回路の集積度の向上のために、その直径が例えば数nm〜30nm程度である。シリコンピラー12は、半導体集積回路用のものであり、半導体集積回路を構成する例えばGAA−MOSFETの一部とされる。このGAA−MOSFETは、シリコンピラー12の一部がチャネル領域とされ、チャネル領域の両端にドレイン及びソースが設けられ、チャネル領域の周囲にはゲート絶縁膜を挟んでゲートを有する構造である。
図2及び図3に、シリコンピラー12をシリコン基板10に作製する手順を模式的に示す。シリコンピラー12の作製工程は、一次ピラー形成工程、第1熱酸化工程、第1除去工程、第2熱酸化工程及び第2除去工程を有する。一次ピラー形成工程は、シリコン基板10にシリコンピラー12の元となる一次ピラー15を形成する。第1熱酸化工程は、一次ピラー15の表面(周面)を熱酸化する工程であり、この第1熱酸化工程によりピラーの直径を小さくする。第1除去工程は、第1熱酸化工程で形成された第1酸化膜16を除去し、二次ピラー17を得る。第2熱酸化工程は、二次ピラー17の表面を熱酸化してピラーの直径をさらに小さくする。第2除去工程は、第2熱酸化工程で形成された第2酸化膜18を除去し、シリコンピラー12を得る。
一次ピラー形成工程では、図2(A)に示されるように、一次ピラー15を形成すべきシリコン基板10の各領域の表面に、それぞれエッチングマスクとなるシリコンナイトライド(Si)層22を形成する。シリコンナイトライド層22の形成後、このシリコンナイトライド層22をマスクにしてシリコン基板10に異方性エッチングを行なって、図2(B)に示されるように、円柱状の一次ピラー15を形成する。
一次ピラー15の形成では、例えば、図4に手順を示すように、シリコン基板10の表面の全面にシリコンナイトライドの薄膜を形成し、さらにこのシリコンナイトライドの薄膜の表面にフォトリソグラフィにより、所定のパターンのレジストマスクを形成する。すなわち、シリコンナイトライドの薄膜上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストにフォトマスクを介して光源からの光を照射して露光を行う。次に現像を行なってフォトレジストの余分な部分を除去することで、一次ピラー15の断面形状に対応したレジストマスクを形成する。この後に、レジストマスクを用いてシリコンナイトライド膜をドライエッチングして、シリコンナイトライド層22を形成する。この後、シリコンナイトライド層22をマスクにして(エッチングマスクを用いて)異方性エッチングを行なって、一次ピラー15を形成する。なお、一次ピラー15を円柱状に形成するため、シリコン基板10の法線方向から見た各シリコンナイトライド層22、レジストマスクの形状は円形である。
シリコンナイトライド層22は、第1及び第2熱酸化工程において、一次ピラー15及び二次ピラー17の上端面の酸化を防止するキャップ膜としても用いられる。キャップ膜を一次ピラー形成工程後に形成することもできるが、この例のように、一次ピラー形成工程においてシリコンナイトライド層22を形成しておくことで、シリコンピラー12の作製工程を簡単なものとすることができる。この例では、エッチングマスク及びキャップ膜をシリコンナイトライドで形成しているが、これらの材料は、シリコンナイトライドに限定されるものではない。
上記のようなフォトリソグラフィ技術は、スループットが高いという利点を有する。一方で、フォトリソグラフィ技術は、転写可能なパターンの寸法限界すなわち解像度の向上と、LER(line edge roughness)やLWR(line width roughness)等の向上との両立が容易ではない。このため、フォトリソグラフィ技術とエッチングだけにより例えば30nm以下程度に直径が小さいシリコンピラーを作製しようとすると、ピラー間における直径のバラツキが問題になる。しかしながら、この例のシリコンピラー12の作製手法では、後述するように、熱酸化工程において、ピラー間における直径の差が圧縮されてシリコンピラー12の直径の良好な均一性が得られるため、スループットが高いフォトリソグラフィ技術を用いることは極めて有用である。
レジストを露光するときの光(紫外線を含む)の波長域は、特に限定されないが、より波長が短いことが好ましい。例えば、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いてレジストを露光することは好ましい態様である。なお、電子ビームをレジストに照射することで微細なマスクパターンを形成できる電子ビームリソグラフィが知られているが、電子ビームリソグラフィは、スループットが低く多数のシリコンピラーを形成する半導体集積回路には不向きである。
一次ピラー形成工程において、異方性エッチングを用いてシリコン基板10を掘り進む深さ、すなわち一次ピラー15の高さ(軸心方向の長さ、以下、初期高さと称する)Hは、特に限定されず、形成するシリコンピラー12とほぼ同じ高さとすればよい。初期高さHが大きいほど、後述するエッジ効果の影響が相対的に小さい範囲が広く、相対的に後述するセルフリミッティング現象の範囲が広いため、高さ方向における直径が均一なシリコンピラー12を作製しやすい。このため、例えば初期高さHは1000nm程度であってもよい。また、初期高さHは、小さいほど、半導体集積回路全体の高さを小さくできるので、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下、よりさらに好ましくは200nm以下である。上記のようなGAA−MOSFETのチャネル領域、ドレイン及びソースを形成するうえでは、シリコンピラー12の高さは200nmもあれば十分である。
また、上述のように、2回の熱酸化工程によって、ピラーの直径を小さくすることで、直径の小さいシリコンピラー12を得るため、一次ピラー15の直径は、形成するシリコンピラー12の直径より大きく形成する。なお、この一次ピラー形成工程の手順は一例であり、これに限定されるものではない。
一次ピラー15は、図5に示すように、上部ほど直径が小さくなるテーパ状となることがある。このため、特に一次ピラー15の代表する直径を他の直径と区別する場合には、初期直径Dとして説明する。初期直径Dは、一次ピラー15の初期高さHの50%(=0.5H)の位置で測定した直径である。
一次ピラー15の直径を小さくするほど、最終的に得られるシリコンピラー12の直径が小さくなる。したがって、一次ピラー15は、所望とするシリコンピラー12の直径に応じた初期直径Dで形成すればよい。初期直径Dは、特に限定されないが、例えば63nm以下とすることが好ましい。
一次ピラー15の高さ方向における直径のバラツキ(直径の差)は、シリコンピラー12の直径のバラツキとなる。このため、一次ピラー15は、その高さ方向における直径のバラツキを小さくできる初期直径Dを用いて形成することが好ましい。ただし、本実施形態では、一次ピラー15における直径の差は、第1熱酸化工程及び第2熱酸化工程を経ることによって圧縮されて小さなシリコンピラー12の直径の差となる。したがって、一次ピラー15の高さ方向における直径の差は、所要とするシリコンピラー12の直径の差よりも大きくてもよい。
一次ピラー形成工程の後に、第1熱酸化工程を行なう。この第1熱酸化工程では、酸化炉の炉内に一次ピラー15を形成したシリコン基板10を配し、炉内を高温にしてから、酸素ガスを流してシリコン基板10を酸化する。このようにして、シリコン基板10を加熱して酸化を行なう。これにより、図2(C)に示されるように、一次ピラー15の表面(周面)を酸化して第1酸化膜16を形成する。この例の第1熱酸化工程では、高純度の酸素ガスを炉内に流すドライ酸化を用いる。なお、この例における第1熱酸化工程及び第2熱酸化工程は、いずれもドライ酸化であるが、水分を含む酸素ガスを炉内に流すウェット酸化を用いることもできる。また、ドライ酸化は、相対的にウェット酸化よりも酸化速度が遅いため酸化を制御しやすく、セルフリミッティング現象を利用して直径のバラツキを減少させる上で有利である。
第1熱酸化工程によって、一次ピラー15の表面のシリコン原子と酸素原子とが結合、すなわち一次ピラー15の表面が酸化し、第1酸化膜16が形成される。一次ピラー15の酸化は、酸化されていない一次ピラー15の部分(以下、未酸化部と称する)27と第1酸化膜16との界面が一次ピラー15の中心部に向うように進行する。この結果、第1酸化膜16の膜厚が増大し、一方で未酸化部27の直径が縮小する。
一次ピラー15における初期の酸化速度は、相対的に、高さ方向の中央部が速く、端部(上端及び下端)に近づくほど遅い。このため、図6に模式的に示すように、第1熱酸化工程の途中では、第1酸化膜16は、一次ピラー15の高さ方向の中央部の膜厚が大きく、端部に近いほど膜厚が小さくなっている。このように、一次ピラー15の端部に近いほど酸化の進行が遅くなるのは、一次ピラー15の上端がシリコンナイトライド層22と接し、下端がシリコン基板10の表面と角度を持って接していることの影響を受けるためである。なお、このような効果は、エッジ効果として知られている。
一次ピラー15の酸化は、酸化が進むほど酸化の進行が遅くなり、最終的には、その酸化の進行が実質的に停止した状態になる。このような現象は、セルフリミッティング(self-limiting)現象として知られている。
従来、セルフリミッティング現象に関連して、酸素は酸化膜中を拡散して酸化膜界面(Si0/Si界面)に移動するが、酸化膜中の酸素の拡散が酸化膜中の応力によって抑制される(酸素の拡散が律速となる)モデルが提案されている。また、シリコンが酸化されて酸化物(SiO)に変化する際の体積の増加が酸化膜中の応力を増大させるため、その応力の増大をセルフリミッティング現象の主要因とする理論が提案されている。しかしながら、このようなモデルや主要因の理論は、シリコンピラーの酸化が止まった後に、それまでの酸化膜に変化がなくても、例えばシリコンピラーに生じたクラックの部分から酸化が加速的に進むことや、シリコンピラーの側面(周面)と平面の酸化膜のエッチング速度が異なるという実験結果や酸化物が軟化するような温度下での酸化の際にシリコンピラーの下部でクラックが発生するという実験結果を十分に説明できなかった。
単結晶中のSiは、4つのsp3軌道によるSi−Si結合を有する。発明者らは、酸化の際に、1つのSi−Si結合の切断によって残ったSi−Si結合が収縮することで酸化膜界面に垂直かつ未酸化のSiに向けて圧縮応力が発生し、酸化の進行により、圧縮応力が増大することで、Si−Si結合が切断し難くなる、すなわち酸化しづらくなることが、セルフリミッティング現象が生じる主要因であることを見出した。すなわち、酸化膜とシリコンとの界面が平面である場合に比べて、シリコンピラーの側面(周面)のような曲面では、圧縮応力(Si−Si結合の収縮)が解放し難く、そして直径(曲率半径)が小さくなるほど解放空間が少なく解放し難くなり、最終的にSi−Si結合が切断されなくなって酸化が停止する。
発明者らは、酸化が停止した状態での未酸化部27の直径が一次ピラー15の初期直径Dに依存することを確認している。また、一次ピラー15の上端から下端までの全範囲の各位置で、酸化速度の違いはあるが、一次ピラー15の直径が同じであれば、酸化が停止した状態での二次ピラー17となる未酸化部27の直径が同じになることを確認している。さらに、酸化によって、未酸化部27の直径が縮小すると同時に、一次ピラー15の直径の差が二次ピラー17で圧縮されることを確認している。これにより、個々の二次ピラー17の高さ方向における直径の差が小さくなって、直径の均一性が高くなるとともに、複数の二次ピラー17の相互間においても直径の均一性が高くなる。これらのことは、上記のSi−Si結合の収縮に基づくセルフリミッティング現象とエッジ効果とから導き出される結果と合致する。なお、二次ピラー17を酸化する場合においても、セルフリミッティング現象とエッジ効果が発現する。
ここで、セルフリミッティング現象により、一次ピラー15の酸化速度が遅くなっている領域(状態)をセルフリミッティング領域とすると、シリコンピラー12の直径の均一性を向上させる観点から、詳細を後述する一次ピラー15の中央部についての酸化速度比Kが0.5以下(K≦0.5)の条件を満足するように、初期直径Dの一次ピラー15に対して、第1熱酸化工程におけるシリコン基板10の温度すなわち酸化炉内の温度(以下、処理温度という)θ及び熱酸化を行なっている時間(以下、処理時間という)Tとの組み合わせを決めるのがよい。
上記酸化速度比Kは、一次ピラー15の中央部(初期高さHの50%(=0.5H)の位置)における直径D50(図9参照)の減少速度(酸化速度)の比であって、熱酸化の初期減少速度V(nm/h)に対する処理時間Tにおける直径D50の終了時減少速度(酸化速度)V(nm/h)の比(K=V/V)として求められる。直径の減少量が酸化によって消耗(酸化された)シリコンの径方向おける量とみなして、直径D50の減少速度を酸化速度としている。
初期減少速度Vは、上述のように熱酸化の初期の減少速度であって、初期の減少速度は、熱酸化を開始の初期で一次ピラー15の酸化量が酸化時間にほぼ比例する初期酸化期間の減少速度である。換言すれば、熱酸化の開始の初期において一定とみなすことができる減少速度が減少速度Vである。終了時減少速度Vは、第1熱酸化工程における処理時間Tが経過した時点での減少速度として求められるものである。
任意の酸化時間における直径D50の減少速度は、適当な時間間隔で酸化時間を変化させたときに得られる各直径D50とそれら各酸化時間とから近似的に求めることができる。このようにして求められる減少速度から、初期酸化期間、初期減少速度V、任意の処理時間T1に対する終了時減少速度Vをそれぞれ特定することができる。初期直径D、直径D50等は、一次ピラー15、未酸化部27(二次ピラー17)の軸心に平行な断面を、例えば透過電子顕微鏡(TEM)で観察して測定することができる。なお、初期酸化期間が特定されている場合、簡易的には、その初期酸化期間内における酸化時間で酸化したときに得られる直径D50と初期直径Dとの差と、当該酸化時間(T1a)とを用いて、初期減少速度Vを当該酸化時間が経過するまでの間の一次ピラー15の直径D50の平均減少速度(=D50−D)/T1a)として求めることができる。
上記のように酸化速度比Kが0.5以下(K≦0.5)となるように一次ピラー15の熱酸化を行えば、セルフリミッティング現象によって酸化の進行が遅くなった中央部に対して、エッジ効果によって初期の酸化速度が遅い上端、下端とその近傍部分の酸化の進行程度が近づくため、エッジ効果の影響によって生じる未酸化部27の高さ方向における直径の差を小さくできる。
なお、第1熱酸化工程における酸化を開始してから処理時間T1が経過する間の一次ピラー15の直径D50の平均減少速度を終了時減少速度V1a(=(D50―D)/T)とすることもできる。この場合には、酸化速度比Ka(=V1a/V)が0.7以下(Ka≦0.7)の条件を満足するように、処理温度θ及び処理時間Tとの組み合わせを決めるのがよい。
シリコンピラー12の直径の差を少なくし均一性をより向上させる観点からは、処理時間Tは、未酸化部27の高さ方向における直径の差が許容される範囲となるのに必要な時間以上として決めればよい。特に処理時間Tとしては、一次ピラー15の高さ方向の各位置における酸化が停止しているとみなされる状態すなわち処理時間の延長によっても酸化速度比Kが変化しない状態とみなされる時間として決めるのがよい。初期直径Dが63nm以下の一次ピラー15に対して、上述の3.5時間以上5時間以下の範囲内の処理時間Tは、未酸化部27の高さ方向における直径の差が許容される範囲である。これにより、第1熱酸化工程における一次ピラー15の初期の酸化速度の違いの影響をほぼなくすことができる。
直径の均一性を高くするためにピラーの直径が圧縮される比率に着目した場合では、初期直径Dと、処理温度θ及び処理時間Tとの組み合わせは、初期直径Dの減少量(ΔD)に対する二次ピラー17の直径D50の減少量(ΔD50)の比率(以下、圧縮係数と称する)α(=ΔD50/ΔD)が0.5以下(α≦0.5)となる組み合わせが好ましい。これにより、セルフリミッティング現象によって、二次ピラー17ひいてはシリコンピラー12の個々の直径の差を小さくし、また複数のシリコンピラー12の相互間の直径の均一性を高くできる。例えば、上記のように、初期直径Dが63nm以下、処理温度θが900℃、処理時間Tが3.5時間以上5時間以下の範囲内となる組み合わせで圧縮係数を0.5以下となる。
第1熱酸化工程における処理温度θは、840℃以上920℃以下の範囲内(840≦θ≦920)であることが好ましい。処理温度θが840℃以上であれば、熱酸化を行なっている時間(以下、処理時間という)Tを実用的な長さとすることができる。また、処理温度θが920℃以下であれば、第1酸化膜16の流動が抑制され、特に未酸化部27の上部の変形が抑制され、得られる二次ピラー17の変形を確実に防ぐことができる。
第1熱酸化工程後に第1除去工程を行なう。第1除去工程では、未酸化部27の側面及びシリコン基板10の表面に形成されている第1酸化膜16を除去する。これにより、図3(A)に示されるように、未酸化部27を二次ピラー17として露出する。第1酸化膜16の除去には、これまでのシリコンプロセスと同様に行なうことができ、例えばフッ酸(Hf)を用いて除去することができる。
第1除去工程後に、第2熱酸化工程を行なう。第2熱酸化工程では、酸化炉の炉内に二次ピラー17が形成されたシリコン基板10を配し、第1熱酸化工程と同様に、シリコン基板10をドライ酸化する。これにより、図3(B)に示されるように、二次ピラー17の表面(周面)を酸化して第2酸化膜18を形成する。
第2熱酸化工程におけるシリコン基板10の温度すなわち処理温度θ及び熱酸化を行なっている処理時間Tの組み合わせは、例えば第1熱酸化工程で二次ピラー17の直径の均一化が達成できている場合には、特に限定がない。したがって、この場合には、第2熱酸化工程が第1熱酸化工程と同じ酸化速度比Kあるいは圧縮係数αの条件を満足しなくてもよく、例えばそれら条件を満たさない処理温度θを1000℃、処理時間Tを10minとしてもよい。このようにすれば、処理に要する時間を短くできる。一方、第1熱酸化工程で二次ピラー17の直径の均一化が達成できていない場合には、第1熱酸化工程と同じ酸化速度比Kあるいは圧縮係数αの条件を満足するように第2熱酸化工程を行なって、シリコンピラー12の直径の均一化を図ることが好ましい。この場合には、例えば処理温度θを900℃とし処理時間Tを2.5h〜3.5h等とすることができる。なお、処理温度θは、600℃以上1200℃以下の範囲内とするのがよく、800℃以上1000℃以下の範囲内とすることが好ましい。
第2熱酸化工程後には、第2除去工程を行なう。第2除去工程では、未酸化部28の側面及びシリコン基板10の表面に形成されている第2酸化膜18を除去する。第2酸化膜18の除去は、第1除去工程と同様であり、例えばフッ酸を用いることができる。これにより、図3(C)に示されるように、未酸化部28がシリコンピラー12として露出される。
シリコンナイトライド層22は、例えばGAA−MOSFETの形成後に除去される。なお、シリコンナイトライド層22及び第2酸化膜18を除去するタイミングは、適宜に決めることができる。また、第2酸化膜18を除去せずに、ゲート酸化膜などとして利用することもできる。
このようにして得られるシリコンピラー12は、初期直径Dよりも直径が小さく、例えば直径が10nm程度であり、高さ方向における直径の均一性が高い。また、シリコン基板10に形成される各シリコンピラー12同士の直径の均一性が高い。セルフリミッティング領域条件を満たすように第1熱酸化工程における熱酸化を行なうことで、上記の直径の均一性はより良好になる。このため、半導体集積回路用として好適なシリコンピラー12が得られる。なお、発明者らは、初期直径D、処理温度θ、θ、処理時間T、Tを調整することにより、直径D50が10nm以下となるシリコンピラー12が作製できることを確認している。
図7に、上記のように作製されたシリコンピラー12を用いて作製されたGAA−MOSFET30を示す。GAA−MOSFET30は、シリコンピラー12と、シリコンピラー12の中央部の周囲を囲むように設けられたゲート電極32と、このゲート電極32とシリコンピラー12との間に設けられたゲート酸化膜33とを有し、シリコンピラー12の中央部にチャネルとなるp型半導体領域34が設けられ、一端にドレイン領域35が、他端にソース領域36がそれぞれ設けられた構造である。例えば、ドレイン領域35側の端部にはドレイン電極が接続される。ドレイン領域35及びソース領域36は、いずれもn型となるようにシリコンピラー12の端部をドープしたものである。
GAA−MOSFET30は、p型であるが、n型とすることもできる。さらに、1つのシリコンピラー12に対して、その軸心方向に積層するように複数のGAA−MOSFET30を形成することもできる。また、シリコンピラー12の直径の均一性が良い部分を用いて、GAA−MOSFET30等を作製することもできる。例えば、シリコンピラー12の直径の均一性が良い10nmの部分をチャネルとするように、チャネル長が10nmのGAA−MOSFET30を作製することもできる。なお、GAA−MOSFET30は、従来と同様な手法により作製することができる。
上記では、軸心がシリコン基板の表面に対して垂直なシリコンピラーの例について説明したが、本発明は、軸心がシリコン基板の表面に対して平行なシリコンピラー(以下、横ピラーという)を作製する場合についても適用することができる。横ピラーの元となる一次ピラーを形成する場合には、例えば文献「Jiewen Fan et al. , “Two-Dimensional Self-Limiting Wet Oxidation of Silicon Nanowires: Experiments and Modeling”, IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 60, NO. 9, SEPTEMBER 2013」に記載される手法を用いることができる。また、1回だけ酸化を行って細径化されたシリコンピラーを得る場合にも、第1熱酸化工程と同様な条件で行なうことは有用である。
[第1実施例]
上記手順により、一次ピラー15の初期直径Dを62.7nmとして、シリコンピラー12を作製した。ただし、直径の測定等のために第2除去工程を省略した。なお、一次ピラー15,二次ピラー17及びシリコンピラー12の直径の測定では、一次ピラー15、二次ピラー17あるいはシリコンピラー12をSiGe(シリコンゲルマニウム)で埋設し、集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)加工によって、直径部分を含むようにシリコンピラー12の軸心に平行にスライスしたスイラス片を作製し、スライス片を透過電子顕微鏡で観察することで直径を測定した。
一次ピラー形成工程では、シリコン基板10に初期直径Dが62.7nmの多数の一次ピラー15を形成した。この一次ピラー形成工程では、ArFリソグラフィを用いてシリコンナイトライド層22を形成し、そのシリコンナイトライド層22をマスクにしてドライエッチングで一次ピラー15を形成した。シリコン基板10上には、1cmあたり60万本の一次ピラー15を形成した。
第1熱酸化工程では、処理温度θを900℃、処理時間Tを3.5時間として、ドライ酸化を行なった。この処理温度θ、処理時間Tは、セルフリミッティング領域条件を満たすものである。第1除去工程では、濃度が5質量%のフッ酸にシリコン基板10を浸漬し、第1酸化膜16をエッチングして除去した。フッ酸にシリコン基板10を浸漬した時間は、100秒とした。一次ピラー形成工程、第1熱酸化工程、第1除去工程を経ることにより、直径D50が37nmの二次ピラー17を得た。
第2熱酸化工程により、二次ピラー17を形成したシリコン基板10をドライ酸化した。この第2熱酸化工程における処理温度θは、1000℃、処理時間Tは10分とした。
上記のように、第2熱酸化工程までを行なって、シリコンピラー12(未酸化部28)を得た。透過電子顕微鏡でシリコン基板10の表面を観察したところ、1cmの領域でシリコンピラー12の倒れや折れ等は発見できなかた。また、シリコンピラー12の直径D50は、17nmとなった。
図8に、各工程後のTEM写真を示す。図8(A)は、一次ピラー形成工程で形成された一次ピラー15、図8(B)は、一次ピラー15を第1熱酸化工程で熱酸化した状態、図8(C)は、第1熱酸化工程で形成された第1酸化膜16を第1除去工程で除去した状態、図8(D)は、第2熱酸化工程で二次ピラー17を熱酸化した状態をそれぞれ示している。
高さ方向における直径は、一次ピラー15では±6nmのバラツキがあったが、二次ピラー17では±3nm以下のバラツキとなり、シリコンピラー12では±1nm以下のバラツキであった。これにより、直径のバラツキが圧縮され、シリコンピラー12の高さ方向における直径の均一性が高いことが確認できた。
なお、シリコンピラー12の高さ方向における直径のバラツキは、シリコンピラー12の高さ方向に離れた所定の3箇所の直径D20、D50、D80を測定し、直径D50に対する直径D20及び直径D80の差の範囲として求めた。図9に示すように、シリコンピラー12の上端面(シリコンナイトライド層22との境界面)を高さ方向の基準面として、基準面から下方に初期高さHの20%の距離の位置の高さ(=0.2H)の直径をD20とし、50%の距離の位置の高さ(=0.5H)の直径をD50とし、80%の位置の高さ(=0.8H)の直径をD80とした。一次ピラー15、二次ピラー17についても同様とした。
また、一列に並んで形成された16本のシリコンピラー12の左右端及び中央の各4本ずつの直径を測定した。この測定では、ピラー間の平坦とみなせるシリコン基板10の表面(第2酸化膜18との界面)を基準面(高さ「0」)とした高さ90nm、115nm、175nmの各位置の直径を測定した。この結果、いずれの高さにおいても、測定したシリコンピラー12の直径の平均に対して±0.6nm以下のバラツキであった。この結果から、シリコンピラー12の相互間の直径の均一性が良好であることが分かる。
また、一次ピラー形成工程から第1除去工程までを上記と同じ条件としながら、処理温度θ2を900℃とし、処理時間Tを2.5時間と1.1時間とした第2酸化工程をそれぞれ行なってシリコンピラー12を作製した。処理時間Tを2.5時間として得られたシリコンピラー12のTEM写真を図10に、処理時間Tを1.1時間として得られたシリコンピラー12のTEM写真を図11にそれぞれ示す。処理時間Tが2.5時間の場合には、シリコンピラー12の直径D50は、12nm、処理時間Tが1.1時間の場合には、シリコンピラー12の直径D50は、16nmであった。これらにより、第2酸化工程での酸化条件の調整により、シリコンピラー12の直径D50を増減できることが分かる。
[第2実施例]
第2実施例では、一次ピラー形成工程により、初期直径Dが50.9nmの一次ピラー15を形成して、第1酸化工程、第1除去工程及び第2熱酸化工程を行なった。第2熱酸化工程は、処理温度θを1000℃、処理時間Tを10分とした。この他の作製条件は、第1実施例と同じとした。透過電子顕微鏡でシリコン基板10の表面を観察したところ、シリコンピラー12の倒れや折れ等は発見できなかった。得られたシリコンピラー12のTEM写真を図12に示す。シリコンピラー12の直径D50は、12.3nmであった。また、シリコンピラー12の高さ方向の直径のバラツキ及びシリコンピラー12の相互間のバラツキは小さかった。
[第3実施例]
図13は、初期直径Dが50.9nm、62.7nm、78nm、95.8nm、152.7nmの一次ピラー15に対して、第1熱酸化工程における処理温度θを900℃とし、処理時間Tを1.1時間、3.5時間、5時間、10時間とした場合に得られる二次ピラー17の各直径D50を、初期直径Dとともにプロットしたものである。なお、処理時間T1が10時間の第1熱酸化工程は、実際には、シリコン基板10に対して、5時間の熱酸化を行なった後、シリコン基板10を室温に戻してから、再度5時間の熱酸化を行なったものである。
図13のグラフからわかるように、異なる初期直径Dの一次ピラー15を同一の処理時間Tで熱酸化して、それぞれ二次ピラー17とした場合、それらに対応した二次ピラー17の直径D50の差は、一次ピラー15のときの初期直径D(=D50)の差よりも小さくなっている。このことから酸化によってシリコンピラー12の直径の差が小さくなることがわかる。すなわち、一次ピラー15で生じていた直径の差は、第1熱酸化工程を経ることによって圧縮されより小さな差となることがわかる。また、これにより複数のシリコンピラー12の相互間においても直径の差が小さくなることがわかる。そして、グラフに示される例のように、処理温度θが900℃の場合では、特に初期直径Dが63nm以下で、少なくとも処理時間Tが3.5時間以上あれば、直径の差の圧縮が大きくなり(圧縮係数が0.5以下)、直径の均一化に有利であることがわかる。また、処理時間Tが10時間以上あれば、初期直径Dが78nmの一次ピラー15であっても、直径の差の圧縮が大きくなり(圧縮係数が0.5以下)、直径の均一化に有利であることが分かる。
なお、図13から分かるように、例えば、初期直径Dが63nm以下の一次ピラー15を酸化した場合、処理時間Tを3.5時間から5時間に増加させた場合における二次ピラー17の直径D50の減少量は、例えば処理時間Tを1.1時間から3.5時間に増加させた場合における二次ピラー17の直径D50の減少量に比べてかなり小さい。また、処理時間Tを5時間としても10時間としても二次ピラー17の直径D50はほとんど変化していない。これは、一次ピラー15の初期直径Dが63nm以下の場合では、少なくとも処理時間Tが3.5時間の段階でセルフリミッティング現象により酸化速度の抑制が顕著に現われており、3.5時間から5時間までの範囲内の処理時間Tで、セルフリミッティング現象により、一次ピラー15の中央部(0.5Hの位置)における酸化が停止したとみなせる状態になることがわかる。また、実施例1、2で作製されたシリコンピラー12の直径のバラツキが小さかったことから、一次ピラー15のエッジ効果のため酸化の進行が遅い上端と下端においても、酸化が進む速度は遅いが、ピラー中央部と同じ直径で酸化が停止することがわかる。したがって、シリコンピラー12において高さ方向に均一な直径が得られることが分かる。
上記のように第1熱酸化工程を行なった一次ピラー15のうち初期直径Dが50.9nm、62.7nm、78nm、95.8nmのものについて、得られた二次ピラー17の直径D50から減少速度を求めた。このときに、1.1時間の処理時間Tが初期酸化期間であったため、上述のように1.1時間が経過するまでの間の平均減少速度を求め、この平均減少速度を初期減少速度Vとした。3.5時間の処理時間Tに対する終了時減少速度Vは、処理時間Tを1.1時間から3.5時間に増加させた場合における二次ピラー17の直径D50の減少量を、その酸化時間の増加時間(2.4時間)で除することで簡易的に求めた。同様に、5時間の処理時間Tに対する終了時減少速度Vは、処理時間Tを3.5時間から5時間に増加させた場合における二次ピラー17の直径D50の減少量を、その酸化時間の増加時間(1.5時間)で除することで簡易的に求めた。これら求めた減少速度(V、V)と、酸化時間(処理時間T:1.1時間、3.5時間、5時間)との関係を図14に示す。
上記のように求めた初期減少速度Vと、各終了時減少速度Vとを用いて3.5時間及び5時間の処理時間Tについての酸化速度比Kを算出したところ、いずれの初期直径Dについても、3.5時間及び5時間の処理時間Tの各酸化速度比Kが0.5以下であった。これにより、酸化速度比Kを0.5以下とすることで、セルフリミッティング現象によって、エッジ効果の影響によって生じる未酸化部27の高さ方向における直径の差を小さくできることが分かる。
10 シリコン基板
12 シリコンピラー
15 一次ピラー
16 第1酸化膜
17 二次ピラー
18 第2酸化膜
初期直径
初期高さ
,T 処理時間
θ,θ 処理温度

Claims (7)

  1. シリコン基板の表面に円柱状の一次ピラーを形成する一次ピラー形成ステップと、
    前記シリコン基板を加熱することにより、前記一次ピラーの表面を酸化して第1酸化膜を形成する第1熱酸化ステップと、
    前記第1酸化膜を除去し二次ピラーを得る第1除去ステップと、
    前記シリコン基板を加熱することにより、前記二次ピラーの表面を酸化して第2酸化膜を形成する第2熱酸化ステップと
    を有することを特徴とする半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。
  2. 前記一次ピラー形成ステップは、軸心方向の長さが400nm以下の前記一次ピラーを形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。
  3. 前記第1熱酸化ステップは、酸化の初期における前記一次ピラーの直径の減少速度に対する、酸化終了時における前記一次ピラーの直径の減少速度の比が0.5以下となる処理温度及び処理時間の組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。
  4. 前記第2熱酸化ステップは、酸化の初期における前記二次ピラーの直径の減少速度に対する、酸化終了時における前記二次ピラーの直径の減少速度の比が0.5以下となる処理温度及び処理時間の組み合わせであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。
  5. 前記シリコン基板の表面に垂直に起立したシリコンピラーの上端面から前記一次ピラーの高さの20%の距離だけ下方の位置の直径をD20、50%の距離だけ下方の位置の直径をD50、80%の距離だけ下方の距離の位置の直径をD80としたときに、直径D50に対する直径D20及び直径D80の差の範囲が±1nmであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。
  6. 前記第1熱酸化ステップ及び前記第2熱酸化ステップは、前記シリコン基板の表面に垂直に起立した前記一次ピラーの上端面に酸化を防止するキャップ膜を設けた状態で前記シリコン基板を加熱することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。
  7. 前記第2酸化膜を除去する第2除去ステップを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体集積回路用のシリコンピラーの作製方法。

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