JP2020200774A - ガスエンジンの制御装置及びガスエンジンシステム並びにガスエンジンの制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
このようなガスエンジンでは、一般に、吸入行程において、主室には、給気管を介して比較的希薄な混合気が供給され、副室には、副室ガス供給管を介して燃料ガスが供給される。圧縮行程にて、副室内に理論空燃比付近の混合気が形成され、副室に設けられた点火プラグにより、副室内の混合気に着火される。そして、膨張行程において、副室で生成した火炎は、噴口を介して主室内に噴出され、主室内の混合気に火炎が伝播して主室内の燃料ガスが燃焼されるようになっている。
シリンダ及びピストンによって画定される主室と、噴口を有し、該噴口を介して前記主室と連通される副室と、前記副室に供給される燃料ガスの量を調節するための副室ガス調整弁と、を含むガスエンジンの制御装置であって、
少なくともエンジン負荷の増加時において、前記主室に供給される混合気の空気過剰率である主室空気過剰率λ1、点火時における前記副室内のガスの空気過剰率である副室空気過剰率λ2、及び、失火率の相関関係を示す失火率マップに基づいて、前記副室空気過剰率λ2が、前記失火率マップにおける失火領域に入らないように、前記副室ガス調整弁の開度指令値を設定するように構成された指令値設定部を備える。
なお、失火率マップの失火領域とは、失火率が高く失火が生じやすいλ1及びλ2の領域である。
前記制御装置は、
少なくとも、前記主室に供給される前記混合気の圧力P1、前記主室空気過剰率λ1、及び、前記副室に供給される前記燃料ガスの圧力P2と前記圧力P1との差である副室差圧(P2−P1)に基づいて、前記副室空気過剰率λ2を推定するように構成された副室空気過剰率算出部を備える。
前記ガスエンジンは、複数のシリンダ及びピストンによってそれぞれ画定される複数の主室と、前記複数の主室に対応してそれぞれ設けられる複数の副室及び複数の副室ガス調整弁と、を含み、
前記副室空気過剰率算出部は、前記複数のシリンダの各々についての流量係数に基づいて、前記複数のシリンダの各々について前記副室空気過剰率λ2を推定するように構成される。
この点、上記(3)の構成によれば、シリンダごとの流量係数を考慮して、複数のシリンダの各々についての前記副室空気過剰率λ2を算出するようにしたので、このように取得された副室空気過剰率λ2の推定値を用いることで、該副室空気過剰率λ2に対応する失火率をより精度良く把握することができる。よって、複数のシリンダの各々について、得られた副室空気過剰率λ2の推定値が失火率マップの失火領域に入らないように副室ガス調整弁の開度指令値を設定することで、副室内への燃料ガスの供給量をより適切に調節することができる。
前記指令値設定部は、少なくともエンジン負荷の増加時において、前記失火率マップに基づいて、現在の主室空気過剰率λ1に対して失火率が極小となる目標副室空気過剰率λ2*を取得し、前記副室に供給される前記燃料ガスの圧力P2と前記主室に供給される前記混合気の圧力Pとの差である副室差圧(P2−P1)が、前記目標副室空気過剰率λ2*に対応する目標副室差圧となるように、前記副室ガス調整弁の開度指令値を設定するように構成される。
ガスエンジンの制御装置は、
前記ガスエンジンの運転条件に応じた前記失火率マップを取得するマップ取得部を備え、
前記指令値設定部は、前記マップ取得部により取得された前記失火率マップを用いて、前記開度指令値を設定するように構成される。
前記運転条件は、外気温、前記主室に供給される前記混合気の温度、又は前記燃料ガスの性状の少なくとも1つを含む。
シリンダ及びピストンによって画定される主室と、
噴口を有し、該噴口を介して前記主室と連通される副室と、
前記副室に供給される燃料ガスの量を調節するための副室ガス調整弁と、を含むガスエンジンと、
前記ガスエンジンを制御するための上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の制御装置と、
を備える。
シリンダ及びピストンによって画定される主室と、噴口を有し、該噴口を介して前記主室と連通される副室と、前記副室に供給される燃料ガスの量を調節するための副室ガス調整弁と、を含むガスエンジンを制御するためのプログラムであって、
少なくともエンジン負荷の増加時において、前記主室に供給される混合気の空気過剰率である主室空気過剰率λ1、点火時における前記副室内のガスの空気過剰率である副室空気過剰率λ2、及び、失火率の相関関係を示す失火率マップに基づいて、前記副室空気過剰率λ2が、前記失火率マップにおける失火領域に入らないように、前記副室ガス調整弁の開度指令値を設定する手順をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
なお、以下に説明する実施形態では、ガスエンジンシステムのガスエンジンは、発電機を駆動するための過給機付きガスエンジンである。但し、本発明は、以下に説明する実施形態のガスエンジンの具体的構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用可能であり、例えば駆動対象は発電機以外の任意の被駆動装置であってもよい。
副室ガス調整弁75によって副室差圧を調節することで、逆止弁327を介して副室315に供給される燃料ガスの流量が制御可能となっている。なお、詳細は後述するように、副室ガス調整弁75の開度は、制御装置5によって制御されるようになっている。
副室差圧の目標値は、エンジン回転数及びエンジン負荷に対する副室差圧のマップから取得されるようになっている。なお、予め実験等により取得された上述のマップが、制御装置5の記憶装置に格納されており、第1指令値算出部24による演算時に、記憶装置から当該マップが読み出されるようになっていてもよい。
また、実際の副室差圧(P2−P1)は、副室ガス圧力センサ94で取得される圧力P2及び、給気圧力センサ92で取得される圧力P1に基づき算出するようにしてもよい。
主室空気過剰率算出部26で算出された主室空気過剰率λ1は、失火率取得部30及び副室空気過剰率算出部28に出力される。
なお、点火前とは、ピストン303が下死点近傍に位置し、主室の容積が最も大きい時期であり、点火時期とは、ピストン303が上死点近傍に位置し、主室の容積が最も小さい時期である。
ステップS4では、ステップS2で計算された副室315への燃料ガス供給量、及び、副室315の容積等に基づいて、点火前の副室315の空気量及び燃料ガス量を計算する。
ステップS6では、ステップS4で算出された点火前の副室315の空気量及び燃料ガス量、主室空気過剰率算出部26で算出された主室空気過剰率λ1、及び、圧縮比等に基づいて、点火時期における副室315の空気量及び燃料ガス量を計算する。
ステップS8では、ステップS6で算出した点火時期における副室315の空気量及び燃料ガス量に基づいて、点火時における副室315内のガスの空気過剰率λ2を計算する。
失火率R1〜R3の大小関係は、R1<R2<R3である。すなわち、直線L11よりも左側の領域A1(λ2が小さい領域)においては、λ2が小さくなるほど失火率が高くなる。また、直線L21よりも右側の領域A2(λ2が大きい領域)においては、λ2が大きくなるほど失火率が高くなる。
すなわち、失火率マップ200から取得された失火率Rが閾値Rthを超えて失火領域A1,A2に入ろうとしたとき、副室ガス調整弁75の開度指令値Iを規定の値(例えばゼロ)にするようになっている。
したがって、取得された失火率Rが失火領域A1,A2に入っていないとき(すなわち、失火率Rが安定燃焼領域A0にあるとき)には、フィードバック制御による開度調節により、副室315への燃料ガス供給量を細やかに調節して副室差圧を目標値に近づけることができるとともに、取得された失火率Rが失火領域A1,A2に入ったときには、開度指令値Iをゼロとすることで、燃料供給を遮断して副室内失火を確実に回避することができる。これにより、負荷投入時におけるエンジン回転数の大幅な低下を抑制することができ、負荷投入時であっても、安定的にエンジンを運転することができる。
この点、上述の実施形態によれば、シリンダ301ごとの流量係数を考慮して、複数のシリンダ301の各々についての副室空気過剰率λ2を算出するようにしたので、このように取得された副室空気過剰率λ2の推定値を用いることで、該副室空気過剰率λ2に対応する失火率Rをより精度良く把握することができる。よって、複数のシリンダ301の各々について、得られた副室空気過剰率λ2の推定値が失火率マップの失火領域A1,A2に入らないように副室ガス調整弁75の開度指令値を設定することで、副室315内への燃料ガスの供給量をより適切に調節することができる。
なお、第2指令値算出部48は、第1指令値算出部24と同様、PI制御器やPID制御器であってもよい。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
3 ガスエンジン
4 クランクシャフト
5 制御装置
11 過給機
11a コンプレッサ
11b 排気タービン
13 フライホイール
15 発電機
17 エアクリーナ
19 ガスミキサ
20 指令値設定部
22 減算器
24 第1指令値算出部
26 主室空気過剰率算出部
28 副室空気過剰率算出部
30 失火率取得部
34 記憶部
36 比較部
38 メモリ
40 切替器
42 副室空気過剰率取得部
44 副室差圧目標値算出部
46 減算器
48 第2指令値算出部
71 燃料ガス供給量制御部
73 給気制御弁
75 副室ガス調整弁
92 給気圧力センサ
93 負荷センサ
94 副室ガス圧力センサ
95 回転数センサ
101 燃料ガス供給ライン
103 給気ライン
103a 上流側給気ライン
103b 給気マニホールド
105 副室ガス供給ライン
107 燃焼用空気供給ライン
200 失火率マップ
201 失火率マップ
301 シリンダ
303 ピストン
305 シリンダライナ
307 主室
311 吸気ポート
313 吸気弁
315 副室
317 副室口金
319 噴口
321 ノズルホルダー
323 副室ガスライン
325 点火装置
327 逆止弁
A0 安定燃焼領域
A1 失火領域
A2 失火領域
Claims (8)
- シリンダ及びピストンによって画定される主室と、噴口を有し、該噴口を介して前記主室と連通される副室と、前記副室に供給される燃料ガスの量を調節するための副室ガス調整弁と、を含むガスエンジンの制御装置であって、
少なくともエンジン負荷の増加時において、前記主室に供給される混合気の空気過剰率である主室空気過剰率λ1、点火時における前記副室内のガスの空気過剰率である副室空気過剰率λ2、及び、失火率の相関関係を示す失火率マップに基づいて、前記副室空気過剰率λ2が、前記失火率マップにおける失火領域に入らないように、前記副室ガス調整弁の開度指令値を設定するように構成された指令値設定部を備える
ガスエンジンの制御装置。 - 少なくとも、前記主室に供給される前記混合気の圧力P1、前記主室空気過剰率λ1、及び、前記副室に供給される前記燃料ガスの圧力P2と前記圧力P1との差である副室差圧(P2−P1)に基づいて、前記副室空気過剰率λ2を推定するように構成された副室空気過剰率算出部を備える
請求項1に記載のガスエンジンの制御装置。 - 前記ガスエンジンは、複数のシリンダ及びピストンによってそれぞれ画定される複数の主室と、前記複数の主室に対応してそれぞれ設けられる複数の副室及び複数の副室ガス調整弁と、を含み、
前記副室空気過剰率算出部は、前記複数のシリンダの各々についての流量係数に基づいて、前記複数のシリンダの各々について前記副室空気過剰率λ2を推定するように構成された
請求項2に記載のガスエンジンの制御装置。 - 前記指令値設定部は、少なくともエンジン負荷の増加時において、前記失火率マップに基づいて、現在の主室空気過剰率λ1に対して失火率が極小となる目標副室空気過剰率λ2*を取得し、前記副室に供給される前記燃料ガスの圧力P2と前記主室に供給される前記混合気の圧力Pとの差である副室差圧(P2−P1)が、前記目標副室空気過剰率λ2*に対応する目標副室差圧となるように、前記副室ガス調整弁の開度指令値を設定するように構成された
請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスエンジンの制御装置。 - 前記ガスエンジンの運転条件に応じた前記失火率マップを取得するマップ取得部を備え、
前記指令値設定部は、前記マップ取得部により取得された前記失火率マップを用いて、前記開度指令値を設定するように構成された
請求項1乃至4の何れか一項に記載のガスエンジンの制御装置。 - 前記運転条件は、外気温、前記主室に供給される前記混合気の温度、又は前記燃料ガスの性状の少なくとも1つを含む
請求項5に記載のガスエンジンの制御装置。 - シリンダ及びピストンによって画定される主室と、
噴口を有し、該噴口を介して前記主室と連通される副室と、
前記副室に供給される燃料ガスの量を調節するための副室ガス調整弁と、を含むガスエンジンと、
前記ガスエンジンを制御するための請求項1乃至6の何れか一項に記載の制御装置と、
を備えたガスエンジンシステム。 - シリンダ及びピストンによって画定される主室と、噴口を有し、該噴口を介して前記主室と連通される副室と、前記副室に供給される燃料ガスの量を調節するための副室ガス調整弁と、を含むガスエンジンを制御するためのプログラムであって、
少なくともエンジン負荷の増加時において、前記主室に供給される混合気の空気過剰率である主室空気過剰率λ1、点火時における前記副室内のガスの空気過剰率である副室空気過剰率λ2、及び、失火率の相関関係を示す失火率マップに基づいて、前記副室空気過剰率λ2が、前記失火率マップにおける失火領域に入らないように、前記副室ガス調整弁の開度指令値を設定する手順をコンピュータに実行させるためのガスエンジンの制御プログラム。
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