JP2020194681A - 蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】合剤層の厚さを増大させた場合において、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落が抑制された蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、負極基材及び負極合剤層を有する負極を備え、上記負極合剤層の平均厚さが50μm以上であり、上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上である蓄電素子である。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電素子に関する。
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される蓄電素子は、体積エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
従来技術においては、このような蓄電素子の体積エネルギー密度の向上を目的として合剤層の目付量を多くするために、合剤層の厚さを増大させることが進められている(再表2013−062056号公報参照)。
再表2013−062056号公報
上記蓄電素子の電極体の製造においては、例えば負極合剤ペーストの塗工、乾燥等の工程後に負極を適切な長さに裁断するスリット工程が行われる。しかしながら、負極合剤層を厚くすると、上記スリット工程時に負極合剤が脱落するおそれが増大する。この負極合剤の脱落が生じた場合、蓄電素子の容量低下やLi電析を引き起こすおそれがある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、負極合剤層の厚さを増大させた場合において、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落が抑制された蓄電素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、負極基材及び負極合剤層を有する負極を備え、上記負極合剤層の平均厚さが50μm以上であり、上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上である蓄電素子である。
本発明によれば、負極合剤層の厚さを増大させた場合において、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落が抑制された蓄電素子を提供できる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を示す外観斜視図である。 本発明の一実施形態における蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
本発明者らの鋭意検討の結果、負極合剤層の破壊強度及び負極基材と負極合剤層との間の剥離強度の割合を規定することで、負極合剤層の厚さを増大させた場合においても、負極合剤の脱落を抑制できることを知見した。
本発明の一態様は、負極基材及び負極合剤層を有する負極を備え、上記負極合剤層の平均厚さが50μm以上であり、上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上である蓄電素子である。
当該蓄電素子は、上記負極合剤層の平均厚さが50μm以上の場合に、上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上であることで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果が優れる。この理由としては、次のように考えられる。
すなわち、蓄電素子の合剤層の厚さを増大させた場合、負極基材と負極合剤層との間の剥離強度が小さいと、負極のスリット工程時に負極合剤層が負極基材から剥がれやすくなり、負極合剤の脱落量が多くなる。また、負極基材と負極合剤層との間の剥離強度が十分に大きい場合でも、負極合剤層の破壊強度が大きくなり過ぎると、負極合剤層が過度に剛直となり、負極のスリット工程時にスリット領域周辺の負極合剤も巻き込んでスリットされたり、負極合剤層に割れが生じたりする。その結果、負極合剤の脱落量が多くなる。これに対して、当該蓄電素子では上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bを0.025以上に規定することで、蓄電素子の合剤層の厚さを増大させた場合においても、負極のスリット工程時に負極合剤層が負極基材から剥がれたり、負極合剤が巻き込まれてスリットされたりする事象を回避できる。従って、負極合剤の脱落に対する抑制効果が優れると推測される。ただし、この理由のみに限定解釈されるものではない。
ここで、「平均厚さ」とは、任意に選んだ5箇所において測定した厚さの平均値をいう。「負極基材と負極合剤層との間の剥離強度A」は、負極基材の片面に負極合剤層が積層された負極の、負極合剤層を両面テープで測定台に固定した後、負極基材の表面に剥離テープを張り付けて剥離テープを剥離角度180度にて引き剥がしたときの強度をいう。「負極合剤層の破壊強度B」は、負極合剤層のみを両面テープで測定台に固定した後、負極合剤層の固定面と反対側の表面に剥離テープを張り付けて剥離テープを剥離角度180度にて引き剥がしたときの強度をいう。
負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aは、例えば以下の方法により測定される。
負極合剤層が両面に塗工された電極から、片面の負極合剤層を剥離し、長さ4.0cm×幅2.0cmに切り出した後、負極合剤層側を下にして両面テープ(3M社製「ST416−P」)で測定台座に貼り付けて固定する。剥離テープ(3M社製「スコッチメンディングテープ」)を固定面と逆側の面に貼り付け、剥離角度180度、引張速度100mm/minで引き剥がした際の強度を荷重測定器(株式会社イマダ製「フォースゲージZTS−20N」を用いて測定する。
負極合剤層の破壊強度Bは、例えば以下の方法により測定される。
負極合剤層が両面に塗工された電極から、片面の負極合剤層を剥離し、長さ4.0cm×幅4.0cmに切り出した後、負極合剤層側を下にして、両面テープ(3M社製「ST416−P」)で測定台座に貼り付けて固定したあと、負極基材を引き剥がして負極合剤層のみとする。剥離テープ(3M社製「スコッチメンディングテープ」)を固定面と逆側の面に貼り付け、剥離角度180度、引張速度100mm/minで引き剥がした際の強度を荷重測定器(株式会社イマダ製「フォースゲージZTS−20N」を用いて測定する。なお、破壊強度Bの測定においては、上記剥離強度Aの測定で用いたサンプルを用いてもよい。
上記負極合剤層の破壊強度Bが150N/m以下であることが好ましい。上記負極合剤層の破壊強度Bが上記範囲であることで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高めることができる。
負極合剤層が負極活物質として炭素材料を含むことが好ましい。負極合剤層が負極活物質として炭素材料を含む蓄電素子において、上記A/Bを0.025以上に規定することで、本構成の効果がより好適に発揮され得る。また、負極合剤層が負極活物質として炭素材料を含有することで、蓄電素子の体積エネルギー密度を高めることができる。
以下、本発明に係る蓄電素子について図面を参照しつつ詳説する。
<蓄電素子>
本発明の当該蓄電素子は、負極、正極及び非水電解質を有する。以下、当該蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(特にリチウムイオン非水電解質二次電池)について説明するが、本発明の適用対象を限定する意図ではない。上記負極及び正極は、通常、セパレータを介して積層又は巻き付けにより交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケース(電池容器)に収納され、このケース内に非水電解質が充填される。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属製ケース等を用いることができる。
[負極]
負極は、負極基材と、負極合剤層とを有する。
(負極基材)
上記負極基材は、導電性を有する基材である。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。また、負極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が1×10Ω・cm超であることを意味する。
上記負極基材の平均厚さの上限としては、例えば30μmであってもよいが、20μmが好ましく、10μmがより好ましい。負極基材の平均厚さを上記上限以下とすることで、蓄電素子の体積エネルギー密度をより高めることができる。一方、この平均厚さの下限としては、例えば1μmであってよく、5μmであってもよい。
(負極合剤層)
負極合剤層は、負極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。負極合剤層は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。
負極合剤層の平均厚さ(片面厚さ)の下限としては、概ね50μmである。蓄電素子の体積エネルギー密度を高める等の観点から、負極合剤層の平均厚さは、好ましくは52μm以上、より好ましくは56μm以上、さらに好ましくは60μm以上ある。いくつかの態様において、負極合剤層の平均厚さは、例えば65μm以上であってもよく、68μm以上であってもよい。一方、負極合剤層の平均厚さの上限としては特に限定されないが、概ね150μmである。スリット工程時の合剤脱落を抑制する等の観点から、負極合剤層の平均厚さは、120μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。いくつかの態様において、負極合剤層の平均厚さは、例えば75μm以下であってもよく、70μm以下であってもよい。上記負極合剤層の平均厚さが上記範囲であることで、蓄電素子の体積エネルギー密度向上と負極のスリット工程時における合剤脱落抑制効果とをより高いレベルで両立できる。
負極合剤層の破壊強度Bとしては、負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aとの間で上記関係を満たす限りにおいて特に限定されない。破壊強度Bの上限としては、例えば500N/mである。負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高める観点から、負極合剤層の破壊強度Bは、好ましくは400N/m以下、より好ましくは300N/m以下、さらに好ましくは250N/m以下、特に好ましくは200N/m以下である。いくつかの態様において、上記破壊強度Bは、例えば190N/m以下(例えば170N/m以下)であってもよく、150N/m以下(例えば120N/m以下)であってもよい。上記破壊強度Bの下限としては、例えば50N/mである。負極合剤層の耐久性等の観点から、好ましくは60N/m以上、より好ましくは70N/m以上、さらに好ましくは80N/m以上、特に好ましくは90N/m以上である。いくつかの態様において、上記破壊強度Bは、例えば100N/m以下であってもよく、120N/m以上であってもよい。ここに開示される技術は、上記破壊強度Bが50N/m以上500N/m以下(例えば60N/m以上200N/m以下、典型的には90N/m以上150N/m以下)である態様で好ましく実施され得る。上記負極合剤層の破壊強度Bが上記範囲であることで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高めることができる。
負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aとしては、負極合剤層の破壊強度Bとの間で上記関係を満たす限りにおいて特に限定されない。剥離強度Aの上限としては、30N/mである。製造容易性や低抵抗等の観点から、負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aは、20N/m以下が好ましく、15N/m以下がより好ましく、10N/m以下がさらに好ましく、8N/m以下が特に好ましい。一方、剥離強度Aの下限としては、例えば0.5N/mである。負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高める観点から、破壊強度Aは、1N/m以上が好ましく、2N/m以上がより好ましく、3N/m以上がさらに好ましく、4N/m以上が特に好ましい。ここに開示される技術は、上記剥離強度Aが0.5N/m以上30N/m以下(例えば1N/m以上10N/m以下、典型的には3N/m以上8N/m以下)である態様で好ましく実施され得る。上記負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aが上記範囲であることで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高めることができる。
負極合剤層の破壊強度Bに対する負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bの下限としては、0.025である。負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高める等の観点から、上記A/Bは、0.028以上が好ましく、0.030以上がより好ましく、0.032以上がさらに好ましい。いくつかの態様において、上記A/Bは、例えば0.034以上であってもよく、0.040以上(例えば0.045以上)であってもよい。一方、上記A/Bの上限としては、概ね0.60である。上記A/Bとしては、0.30以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.080以下がさらに好ましく、0.060以下が特に好ましい。ここに開示される技術は、上記A/Bが、0.025以上0.60以下(さらには0.030以上0.080以下)である態様で好ましく実施され得る。上記A/Bが上記範囲であることで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高めることができる。
負極合剤層の破壊強度Bに対する負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bは、例えば、負極合剤層に含まれるバインダーおよび増粘剤の種類や含有量を変えたり、後述する負極合剤ペーストの乾燥工程における加熱温度を変えたりすることによって調整することができる。すなわち、バインダーおよび増粘剤の種類や含有量を適切に選択したり、負極合剤ペーストの乾燥工程における加熱温度を適切に選択したりすることによって、上記A/Bの値をここに開示される適切な範囲に調整することができる。その他、上記A/Bの値を適切な範囲に調整する方法としては、負極合剤層の厚さを変える、負極活物質の種類や含有量を変える等の方法を採用することができる。上記A/Bの値を適切な範囲に調整する方法は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
負極合剤層の密度の下限としては、0.50g/cmが好ましく、0.80g/cmがより好ましく、1.0g/cmがさらに好ましい。一方、上記負極合剤層の密度の上限としては、5.0g/cmが好ましく、3.0g/cmがより好ましく、2.0g/cmがさらに好ましく、1.5g/cm(例えば1.2g/cm)が特に好ましい。負極合剤層の密度が上記範囲であることで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果をより高めることができる。
〈負極活物質〉
上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。本実施形態に係る蓄電素子は、負極合剤層が負極活物質として炭素材料を含むことが好ましい。負極合剤層が負極活物質として炭素材料を含有することで、蓄電素子の体積エネルギー密度を高めることができる。また、炭素材料は剛直なため、負極のスリット工程時において負極合剤の脱落が生じやすいが、上記A/Bを0.025以上に規定することで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果がより好適に発揮され得る。
炭素材料としては、例えば非黒鉛質炭素、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛が挙げられる。上記非黒鉛質炭素としては、例えば難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)や、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)や、非晶質炭素(アモルファスカーボン)などが挙げられる。「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。ここで、「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。「難黒鉛化性炭素」とは、充放電前又は上記放電状態においてX線回折法から測定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.36nm以上(例えば0.36nm以上0.42nm以下)の炭素質材料であり、非黒鉛質炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し難い(例えば常圧下で3300K付近の超高温まで加熱しても黒鉛に変換し難い)非黒鉛質炭素をいう。上記難黒鉛化性炭素としては、フェノール樹脂焼成体、フラン樹脂焼成体、フルフリルアルコール樹脂焼成体、コールタール焼成体、コークス焼成体、植物焼成体等を挙げることができる。また、「易黒鉛化性炭素」とは、上記平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.36nm未満の炭素質材料であり、非黒鉛質炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し易い(例えば常圧下で3300K付近の高温処理によって黒鉛に変換し易い)非黒鉛質炭素をいう。上記易黒鉛化性炭素としては、コークス、熱分解炭素等を挙げることができる。炭素材料としては、これらの中でも、充放電時の膨張収縮に対する抑制効果を高める観点から難黒鉛化性炭素が好ましい。また、難黒鉛化性炭素は炭素材料の中でも特に剛直なため、負極のスリット工程時において負極合剤の脱落が生じやすいが、上記A/Bを0.025以上に規定することで、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落に対する抑制効果がより好適に発揮され得る。
(他の負極活物質)
負極合剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記炭素材料以外の他の負極活物質を含有していてもよい。そのような他の負極活物質の例としては、Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素等が挙げられる。
ここに開示される技術は、負極合剤層に含まれる負極活物質の全質量のうち上記炭素材料の割合が50質量%よりも大きい態様で好ましく実施され得る。上記負極活物質の総質量に対する上記炭素材料の含有量の下限としては、60質量%が好ましく、70質量%がより好ましい。例えば、負極活物質の総質量に対する上記炭素材料の含有量は、例えば80質量%以上、典型的には90質量%以上であり得る。炭素材料の含有量を上記下限以上とすることで、充放電効率をより高めることができる。一方、上記負極活物質の総質量に対する上記炭素材料の含有量の上限としては、例えば100質量%であってもよい。
負極合剤層中の負極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
(その他の任意成分)
上記負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記炭素材料も導電性を有するが、負極合剤層は導電剤を含んでもよい。導電剤としては、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電材の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。負極合剤層において導電剤を使用する場合、負極合剤層全体に占める導電剤の割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、負極合剤層が上記導電剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
バインダーとしては、水系ポリマーであって、水に溶解させて1.0質量%水溶液としたときの液温25℃、B型粘度計、回転数60rpmにおける粘度が100mPa・s未満のもの、又は非水系ポリマーが該当する。上記バインダーとしては、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等のエラストマー以外の熱可塑性樹脂;多糖類高分子等が挙げられる。なかでも、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン等の水系バインダーが好ましい。ここでスチレンブタジエンゴムとは、スチレンと1,3‐ブタジエンを含む共重合体のことであり、その共重合様式は特に限定されない。さらに不飽和カルボン酸や不飽和ニトリル化合物を共重合させた変性SBRであってもよい。
負極合剤層においてバインダーを使用する場合、負極合剤層全体に占めるバインダーの割合C1としては、特に制限されないが、負極基材と負極合剤層との間の剥離強度を高める等の観点から、例えば0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.2質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上である。いくつかの態様において、上記バインダーの割合C1は、1.8質量%以上であってもよく、2.0質量%以上(例えば2.2質量%以上)であってもよい。また、負極合剤層を軟らかくする等の観点から、上記バインダーの割合C1は、例えば8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3.5質量%以下、特に好ましくは3.0質量%以下である。いくつかの態様において、上記バインダーの割合C1は、2.8質量%以下であってもよく、2.5質量%以下であってもよい。
増粘剤としては、水系ポリマーであって、水に溶解させて1.0質量%水溶液としたときの液温25℃、B型粘度計、回転数60rpmにおける粘度が100mPa・s以上のものが該当する。上記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)などのセルロース誘導体等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
負極合剤層において増粘剤を使用する場合、負極合剤層全体に占める増粘剤の割合C2としては、特に制限されないが、負極基材と負極合剤層との間の剥離強度を高める等の観点から、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上である。また、負極合剤層を軟らかくする等の観点から、上記増粘剤の割合C2は、例えば3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下である。いくつかの態様において、上記増粘剤の割合C2は、1.0質量%以下(例えば0.8質量%以下)あってもよく、0.6質量%以下(例えば0.4質量%以下)であってもよい。
上記バインダーと上記増粘剤とを併用する場合、負極合剤層全体に占めるバインダーの割合C1と増粘剤の割合C2との比の値(C1/C2)は特に限定されないが、通常は1以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは3.5以上である。いくつかの態様において、上記比の値(C1/C2)は、例えば4以上(例えば4.5以上)であってもよく、5以上(例えば5.5以上)であってもよい。上記比の値(C1/C2)の上限は特に限定されないが、通常は15以下が適当であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。ここに開示される技術は、例えば負極合剤層全体に占めるバインダーの割合C1と増粘剤の割合C2との比の値(C1/C2)が2以上8以下(好ましくは3.5以上6以下)である態様で好ましく実施され得る。上記バインダーと上記増粘剤とを上記比の値(C1/C2)が上記範囲となるように併用することにより、前述した効果がより好適に発揮され得る。
上記フィラーとしては、特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。負極合剤層においてフィラーを使用する場合、負極合剤層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、負極合剤層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。なお、「主成分」とは、最も含有量の多い成分を意味し、例えば総質量に対して50質量%以上含まれる成分をいう。
(中間層)
上記中間層は、負極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで負極基材と負極合剤層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
[正極]
正極は、正極基材と、正極合剤層とを有する。上記正極合剤層は、正極活物質を含有する。上記正極合剤層は、上記正極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H4000(2014)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。
正極合剤層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極合剤層を形成する正極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記正極活物質としては、例えば、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1−x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1−x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1−x−γ−β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1−x−γ−β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2−γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極合剤層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極合剤層中の正極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
上記導電剤としては、導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、上記負極で例示した材料から選択できる。導電剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める導電剤の割合は、およそ1.0質量%〜20質量%とすることができ、通常はおよそ2.0質量%〜15質量%(例えば3.0質量%〜6.0質量%)とすることが好ましい。
上記バインダーとしては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。バインダーを使用する場合、正極合剤層全体に占めるバインダーの割合は、およそ0.50質量%〜15質量%とすることができ、通常はおよそ1.0質量%〜10質量%(例えば1.5質量%〜3.0質量%)とすることが好ましい。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。増粘剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める増粘剤の割合は、およそ8質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極合剤層が上記増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
上記フィラーとしては、上記負極で例示した材料から選択できる。フィラーを使用する場合、正極合剤層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極合剤層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極合剤層との接触抵抗を低減する。負極と同様、中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
[非水電解質]
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質二次電池(蓄電素子)に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。なお、上記非水電解質は、固体電解質等であってもよい。
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば5:95から50:50とすることが好ましい。
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもECが好ましい。
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもEMCが好ましい。
上記電解質塩としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等の水素がフッ素で置換された炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
上記非水電解質における上記電解質塩の濃度の下限としては、0.1mol/Lが好ましく、0.3mol/Lがより好ましく、0.5mol/Lがさらに好ましく、0.7mol/Lが特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/Lが好ましく、2.0mol/Lがより好ましく、1.5mol/Lがさらに好ましい。
上記非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。また、上記非水電解質として、常温溶融塩、イオン液体などを用いることもできる。
[セパレータ]
上記セパレータとしては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が積層されていてもよい。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面又は両面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
[蓄電素子の具体的構成]
次に、本発明の実施形態の蓄電素子の具体的構成例について説明する。図1に、本発明の蓄電素子の一例である矩形状の非水電解質二次電池1の概略図を示す。なお、同図は、ケース内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質二次電池1は、電極体2がケース3に収納されている。電極体2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。上記負極として、本発明の一実施形態に係る負極が用いられている。また、ケース3内には図示しない注入孔から非水電解質(電解液)が注入される。
[蓄電素子の製造方法]
本発明の一実施形態に係る蓄電素子の製造方法は、例えば負極基材と、負極活物質を含有する負極合剤層とを有する負極を作製することを備える。より具体的には、負極活物質と、溶媒とを混合して、負極合剤ペーストを作製すること、上記負極合剤ペーストを負極基材に塗工すること及び上記負極合剤ペーストを乾燥して負極を作製すること(乾燥工程)を備える。上記負極合剤ペーストの固形分比率としては、特に制限されないが、概ね50質量%以上(例えば50質量%以上70質量%以下)が適当であり、好ましくは52質量%以上、より好ましくは55質量%以上(例えば55質量%以上68質量%以下)、さらに好ましくは58質量%以上、特に好ましくは60質量%以上(例えば60質量%以上65質量%以下)である。ここで、「固形分」とは、溶媒以外の成分をいう。
ここで上記負極合剤ペーストの乾燥工程における加熱温度は、負極合剤層の破壊強度Bに対する負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bの値を適切に調整するという観点から一つの重要なファクターである。好ましくは、加熱温度を溶媒の沸点より低温とすることで、上記A/Bの値を満たす好適な負極を製造することができる。例えば、負極合剤層が水系バインダーを含む場合、乾燥炉中において25℃以上50℃以下の範囲内に加熱温度を決定する。これにより、乾燥後の負極合剤層を軟らかく保ちつつ、負極基材と負極合剤層との間の密着性が効果的に高まり、上記A/Bの値(例えば0.025以上、好ましくは0.030以上、さらに好ましくは0.045以上)を満たす好適な負極を製造することができる。好ましくは25℃以上45℃以下、より好ましくは30℃以上40℃以下、さらに好ましくは30℃以上35℃以下の範囲内で加熱処理するとよい。好ましくは、30℃以上45℃以下の温度域において0.5分以上(例えば0.5分〜10分)、好ましくは1分〜6分、さらに好ましくは4分〜5分かけて加熱処理を行うとよい。このような低温で負極合剤ペーストを乾燥することにより、上記A/Bの値を満たす好適な負極を製造することができる。乾燥炉としては、一般的な乾燥炉として常套的に使用されているものから、任意に選択することができる。例えば、熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉等を使用することができる。なかでも熱風乾燥炉の使用が好ましい。熱風乾燥炉を使用することにより、低温でも効率よく負極合剤ペーストを乾燥することができる。
負極合剤ペーストの乾燥後、適当なプレス成形処理を施すことによって、負極合剤層の厚さや密度を調整することができる。プレス成形処理の後、負極を適切な長さに裁断するスリット工程が行われる。スリット工程では規定の幅になるように、刃物を用いて負極基材を負極合剤層とともに切断する。このようにして、上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上である負極を作製することができる。
また、本発明の一実施形態に係る蓄電素子の製造方法は、上記工程以外に、例えば正極活物質を含有する正極を作製すること、セパレータを介して上記負極及び上記正極を積層して電極体を形成すること、上記電極体をケースに収容すること及び上記ケースに上記非水電解質を注入することを備える。上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより蓄電素子を得ることができる。当該製造方法によって得られる蓄電素子を構成する各要素についての詳細は上述したとおりである。
当該蓄電素子によれば、負極合剤層の厚さを増大させた場合においても、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落が抑制された蓄電素子を提供できる。
[その他の実施形態]
本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施の形態においては、蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の蓄電素子であってもよい。その他の蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン非水電解質二次電池が挙げられる。
本発明は、上記の蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。また、本発明の蓄電素子を単数又は複数個用いることにより組電池を構成することができ、さらにこの組電池を用いて蓄電装置を構成することができる。上記蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として用いることができる。さらに、上記蓄電装置は、エンジン始動用電源装置、補機用電源装置、無停電電源装置(UPS)等の種々の電源装置に用いることができる。
図2に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜実施例2及び比較例1〜比較例3の負極の作製]
難黒鉛化炭素からなる負極活物質と、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴムと、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースとを含有し、水を分散媒とする負極合剤ペーストを調製した。負極合剤ペーストの固形分比率は63質量%とした。バインダー及び増粘剤の含有割合は、質量比で表1の通りとし、残部を負極活物質とした。負極合剤ペーストを平均厚さ8μmの銅箔基材の両面に塗工し、熱風乾燥炉を用いて乾燥して、負極合剤層を形成した。各例の乾燥条件としては、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2は、乾燥温度30℃、乾燥時間4分とした。比較例3では、50℃で2分乾燥した後、さらに120℃で2分乾燥した。乾燥後の片面の単位面積当たりの負極合剤(負極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗工量は、7.59mg/cmとなるようにした。
その後、ロールプレス機を用いて負極合剤層の平均厚さ及び負極合剤層の密度が表1に記載の通りとなるように調整して実施例1〜実施例2及び比較例1〜比較例3の負極を得た。負極合剤層の平均厚さ及び負極合剤層の密度は、下記の手順で測定した。
(負極合剤層の平均厚さ)
ミツトヨ社製の高精度デジマチックマイクロメータを用いて、実施例1〜実施例2及び比較例1〜比較例3の負極の平均厚さを測定した。1枚の負極に対して、5箇所の厚さを測定し、その平均値から負極基材の平均厚さ8μmを差し引くことで、1枚の負極の負極合剤層の平均厚さとした。
(負極合剤層の密度)
負極合剤層の密度は、上記負極合剤の塗工量(g/cm)をW、後述する充放電前の負極合剤層の厚さ(cm)をTとしたとき、つぎの式により算出できる。
負極合剤層の密度(g/cm)=W/T
[負極の物性値の測定]
(負極基材と負極合剤層との間の剥離強度A)
負極基材と負極合剤層との間の剥離強度Aは、前述した方法により測定した。
(負極合剤層の破壊強度B)
負極合剤層の破壊強度Bは、前述した方法により測定した。
上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bを表1に示す。
[評価]
(負極合剤層の質量に対する負極合剤の脱落量の割合)
実施例1〜実施例2及び比較例1〜比較例3の負極について、以下の条件にて負極合剤層の質量に対する負極合剤の脱落量の割合を測定した。
負極合剤層が両面に塗工された電極からφ11mmのサンプルを3枚打ち抜き、質量W1を測定する。サンプルをポリプロピレンカップ容器に入れて、振とう機(アズワン製HM−10H)で5分間振とうさせた後、容器からサンプルを取り出し、サンプル質量W2を測定する。負極合剤層の質量に対する負極合剤の脱落量の割合は、つぎの式により算出できる。
負極合剤の脱落量の割合(%)=[(W1−W2)/W1]×100
下記表1に、実施例及び比較例の評価結果を示す。
Figure 2020194681
表1に示されるように、上記負極合剤層の平均厚さが50μm以上であり、上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上である実施例1及び実施例2は、負極合剤の脱落に対する抑制効果が優れていた。一方、上記A/Bが0.025未満である比較例は、実施例と比べて負極合剤の脱落量が多いことがわかる。
また、負極合剤層の平均厚さが50μm未満の参考例は、A/Bの値に係わらず負極合剤の脱落が生じにくいことが示された。
以上のように、当該蓄電素子は、負極のスリット工程時における負極合剤の脱落が抑制されることが示された。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される非水電解質二次電池をはじめとした蓄電素子として好適に用いられる。
1 蓄電素子
2 電極体
3 ケース
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (3)

  1. 負極基材及び負極合剤層を有する負極を備え、
    上記負極合剤層の平均厚さが50μm以上であり、
    上記負極合剤層の破壊強度Bに対する上記負極基材と上記負極合剤層との間の剥離強度Aの割合であるA/Bが0.025以上である蓄電素子。
  2. 上記負極合剤層の破壊強度Bが150N/m以下である請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 上記負極合剤層が負極活物質として炭素材料を含む請求項1又は2に記載の蓄電素子。
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