JP2020192738A - 装飾板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成でありながら、立体感のある模様を有する装飾板及びその製造方法を提供する。【解決手段】裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;前記裏面板が、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物からなるとともに、その一方の表面に凹凸を有し、前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板。【選択図】図1

Description

本発明は、裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板に関する。また本発明は、その製造方法に関する。
樹脂板からなる装飾板は、例えば、車輌のインストルメントパネル、オーディオパネル、エアコンパネル、ドアトリム、ナビゲーションパネル、カバーレンズなどに用いられている。近年、消費者ニーズの多様化に伴って、より審美的な外観を有する装飾板が求められている。
特許文献1には、半透明または不透明の下地層と、二色成形あるいはインサート成形により、前記下地層の表面に密着した状態に形成されている表面層と、を有し、当該表面層は、無色透明樹脂、または、透明樹脂あるいは半透明樹脂に染料を混入した染料混入樹脂により形成されている成形品が記載されている。
ここで、特許文献1に記載の成形品においては、前記下地層における前記表面層が密着している側の面に、凹凸模様を形成しておくことができるとされている。このようにすれば、微細な凹凸模様を表面層によって保護することができ、表面層と下地層との間に空気層を有していないので、微細な凹凸模様が鮮明に見えるとされている。
しかしながら、後述する本願比較例3や4で実証されているように、特許文献1に記載の成形品においては、凹凸模様を確認することができるものの、その凹凸模様は立体感のあるものとは言えなかった。
特開2011−68123号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成でありながら、深みのある立体的な模様を有する装飾板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、
裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;
前記裏面板が、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物からなるとともに、その一方の表面に凹凸を有し、
前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ
前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板を提供することによって解決される。
また、上記課題は、
裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;
前記裏面板が、その一方の表面が金属層で覆われた樹脂組成物からなるとともに、該一方の表面に凹凸を有し、
前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ
前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板を提供することによって解決される。
このとき、前記裏面板の前記表面が、筋模様をさらに有し、該筋模様のピッチが前記凹凸のピッチよりも小さいことが好ましい。
前記裏面板の最大厚み(A)が1〜20mmであり、最小厚み(B)が0.5〜10mmであり、厚さ(A)と厚さ(B)との差が0.5mm以上であることが好ましい。前記凹凸のピッチが0.5〜20mmであることも好ましい。前記裏面板の厚みが緩やかに変化してなることが好ましい。
前記装飾板の厚さが、2〜30mmであることが好ましい。
前記前面板が、全光線透過率が80%/2mm以下の樹脂からなることが好ましい。前記前面板が、ヘイズが90%以下の樹脂からなることも好ましい。
上記装飾板からなる自動車用内装部品が本発明の好適な実施態様である。
上記課題は、上記装飾板の製造方法であって;
共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティにメタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物を射出して充填して前記裏面板を形成する工程1と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記装飾板を取り出す工程4とを有する装飾板の製造方法を提供することによっても解決される。
上記課題は、上記装飾板の製造方法であって;
第1交換型に金属フィルムを配置する工程1と、
共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程2と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程3と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程4と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記装飾板を取り出す工程5とを有する装飾板の製造方法を提供することによっても解決される。
本発明によれば、簡易な構成でありながら、深みのある立体的な模様を有する装飾板を得ることができる。また本発明の製造方法によれば、このような装飾板を簡易に製造することができる。
実施例で作製した装飾板の形状を示した図である。 図1のA−A線断面模式図を示した図である。 図2のA−A線断面模式図において四角で囲んだ箇所(B)を拡大した図である。 実施例1における装飾板の外観写真である。 実施例3における装飾板の外観写真である。 比較例1における装飾板の外観写真である。 比較例3における装飾板の外観写真である。
本発明は、裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板に関するものである。以下、図面を参照しつつ本発明の装飾板について説明する。
本発明は、裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;前記裏面板が、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物からなるとともに、その一方の表面に凹凸を有し、前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板である。
また、本発明は、裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;前記裏面板が、その一方の表面が金属層で覆われた樹脂組成物からなるとともに、該一方の表面に凹凸を有し、前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板である。
本発明者らは、立体的な模様を有する装飾板を得るために、メタリック顔料を含有する樹脂組成物からなるとともに、その一方の表面に凹凸を有する裏面板のみからなる装飾板、及び一方の表面が金属層で覆われた樹脂組成物からなるとともに、該一方の表面に凹凸を有する裏面板のみからなる装飾板を検討した(比較例1、5)。その結果、メタリック顔料を用いなかった、又は金属層で被覆しなかった場合と比べて(比較例2)、凹凸表面での光の反射率が向上したためにより立体的な模様となったが、凹凸表面からの直接反射光が目に入るために、深みのある立体感を得ることができなかった。本発明者らが鋭意検討した結果、このような裏面板に、光を通す前面板を積層することにより、深みのある立体的な模様を有する装飾板を得ることができた(実施例1〜7)。ただし、裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であっても、裏面板にメタリック顔料を配合せず、又は裏面板表面を金属層で覆わなかった場合には、立体感が得られなかった(比較例3、4)。
図1は、本発明の装飾板の一例を示した模式図である。図2は、図1のA−A線断面模式図であり、図3は、図2のA−A線断面模式図において四角で囲んだ箇所(B)を拡大した図である。図で示した距離の単位はmmである。
まず、本発明で用いられる裏面板について説明する。本発明で用いられる裏面板は、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物からなるとともに、その一方の表面に凹凸を有する。この裏面板を第1の裏面板と称すことがある。
本発明で用いられる樹脂組成物は、裏面板となる樹脂に、メタリック顔料又はパール顔料を添加することにより得ることができる。メタリック顔料の種類は特に限定されず、アルミニウム、金、銀、銅等の金属フレークを含むものなどが挙げられる。パール顔料の種類は特に限定されず、マイカなどを含むものが挙げられる。中でも、より明りょうな凹凸を表現するためにはメタリック顔料の方が好適である。また、着色した顔料や染料を併せて含有することもできる。本発明においては、樹脂にこれらのメタリック顔料又はパール顔料を分散させたマスターバッチを用いて、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物を得ることもできる。メタリック顔料又はパール顔料の含有量は特に限定されず、本発明の効果が阻害されない範囲で適宜選択できる。
裏面板となる樹脂は特に限定されず、ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略記することがある)、ABS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。裏面板となる樹脂が、ポリマーブレンドであっても構わない。
本発明で用いられる裏面板は、その一方の表面に凹凸を有する。前記凹凸の形状は特に限定されない。例えば、図2及び3に示したような丸みを帯びた波状の凹凸や、矩形の凹凸や三角山形などが挙げられる。
前記凹凸のピッチが0.5〜20mmであることが好ましい。ここで凹凸のピッチとは、凹部から隣の凹部までの距離、又は凸部から隣の凸部までの距離のことをいう。前記凹凸のピッチが上記範囲から外れると、模様の立体感が不十分となるおそれがある。前記凹凸のピッチは1mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることがさらに好ましい。一方、前記凹凸のピッチは15mm以下であることがより好ましい。なお、全ての凹凸が同じピッチである必要はなく、図3に示すように、例えば、凸部から隣の凸部までの距離(5.32mm、5.89mm、8.15mm)はそれぞれ異なっていても構わない。
前記裏面板の前記表面が、筋模様(図示せず)をさらに有し、該筋模様のピッチが前記凹凸のピッチよりも小さいことが好ましい。筋模様の方向は特に限定されないが、前記凹凸の溝に沿った方向であることが好ましい。筋模様は、一定の間隔で規則正しく形成された筋模様であっても構わないし、ランダムな筋模様であっても構わない。前記筋模様の筋の幅は限定されないが、0.1〜2mmであることが好ましい。前記凹凸のピッチ(P)と前記筋模様の筋の幅(P)との比(P/P)は3以上であることが好ましい。(P/P)は、通常、20以下である。なお、後述する実施例では、ピッチが5〜8mm程度の凹凸において、その凹凸の溝の中には、それぞれ5〜8本程度の筋模様が確認されている。
前記裏面板の最大厚み(A)が1〜20mmであり、最小厚み(B)が0.5〜10mmであることが好ましい。最大厚み(A)及び最小厚み(B)が上記範囲にあることにより、装飾板の重量や製造コストの上昇を抑えつつ、装飾板の強度を保つことができる。最大厚み(A)は2mm以上であることがより好ましい。最大厚み(A)は10mm以下であることがより好ましい。一方、最小厚み(B)は1mm以上であることがより好ましい。最小厚み(B)は5mm以下であることがより好ましい。
厚さ(A)と厚さ(B)との差が0.5mm以上であることが好ましい。厚さ(A)と厚さ(B)との差が0.5mm未満の場合、模様の立体感が不十分となるおそれがある。厚さ(A)と厚さ(B)との差は1mm以上であることがより好ましい。厚さ(A)と厚さ(B)との差は、通常、5mm以下である。
前記裏面板の厚みが緩やかに変化してなることが好ましい。ここで、凹凸の溝に対して垂直な方向に沿って厚みが緩やかに変化してなる例を図2に示す。図2に示すように、装飾板全体を均一な厚みとした場合、裏面板の厚みが薄い箇所では前面板の厚みが厚くなり、裏面板の厚みが厚い箇所では前面板の厚みが薄くなる。そして、前面板の全光線透過率を所定の値以下とすることで、裏面板の厚みの変化に応じて色に濃淡が生じ、しかも観察する位置に応じて模様の立体感に変化が生じ意匠効果が高い装飾板となる。
本発明の他の実施形態に係る裏面板は、その一方の表面が金属層で覆われた樹脂組成物からなるとともに、該一方の表面に凹凸を有する。この裏面板を第2の裏面板と称すことがある。
金属層を構成する金属の種類は特に限定されず、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、インジウム等が挙げられる。金属層の厚みも特に限定されない。蒸着法により金属層を形成した場合、その厚みは、通常、10〜1000nmである。金属箔により金属層を形成した場合、その厚みは、通常、1〜100μmである。本発明の効果が阻害されない範囲で、金属層の上に樹脂層が形成されていても構わない。
このような裏面板を用いることによっても、深みのある立体的な模様を有する装飾板を得ることができる。ここで、第2の裏面板は連続した金属層で覆われた樹脂組成物からなるので、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物からなる第1の裏面板と比べて、その表面における光の反射率が高くなる。そのため、第2の裏面板を用いることにより、模様により強い光沢感を付与することができ、高級感あふれる装飾板を得ることができる。第2の裏面板における他の構成は、上述した第1の裏面板と同じとすることができるのでその説明は省略する。
次に、本発明で用いられる前面板について説明する。図2及び3に示すように、前記前面板の一方の表面は、前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦である。ここで、裏面板の凹凸を視認することができるのであれば、本発明の効果が阻害されない範囲で、前面板の平坦面が、シボやスリを有していても構わない。
前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなる。ここでいう全光線透過率は当該樹脂からなる2mm厚の板の全光線透過率であり、表面反射による減少を含んだ値である(以下同じ)。全光線透過率が5%/2mm未満の場合、模様を視認することができない。全光線透過率は8%/2mm以上であることが好ましい。
ここで、全光線透過率が高いほど、明りょうで立体感のある模様を表現することができる。かかる点を重視する場合には、前記前面板が、全光線透過率が20%/2mm以上の樹脂からなることが好ましく、50%/2mm以上の樹脂からなることがより好ましく、70%/2mm以上の樹脂からなることがさらに好ましい。
一方、装飾板全体を均一な厚みとし、裏面板の厚みを緩やかに変化させたとき、全光線透過率を低くすることで、裏面板の厚みの変化に応じて色に濃淡が生じ、しかも観察する位置に応じて模様の立体感に変化が生じ意匠効果が高い装飾板となる。このような意匠効果を求める場合には、全光線透過率が80%/2mm以下の樹脂からなることが好ましく、40%/2mm以下の樹脂からなることがより好ましく、20%/2mm以下の樹脂からなることがさらに好ましい。
また、前面板において、ヘイズを高くすることで装飾板の模様を艶消し調にすることができる。このような意匠効果を求める場合には、前記前面板が、ヘイズが6%以上の樹脂からなることが好ましい。一方、ヘイズを高くし過ぎると前面板の光沢感が損なわれるおそれがあるので、前記前面板が、ヘイズが90%以下の樹脂からなることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。
全光線透過率及びヘイズは、前面板となる樹脂に、顔料や染料を添加することにより調節することができる。このとき、前面板は着色されていてもよい。
本発明において、前面板となる樹脂は特に限定されず、PC樹脂、ABS樹脂及びアクリル樹脂などが挙げられる。前面板となる樹脂が、ポリマーブレンドであっても構わない。
前記装飾板の厚さが、2〜30mmであることが好ましい。厚さが上記範囲にあることにより、装飾板の重量や製造コストが上昇を抑えつつ、装飾板の強度を保つことができる。前記装飾板の厚さは、3mm以上であることがより好ましい。前記装飾板の厚さは、20mm以下であることがより好ましい。このとき、装飾板全体が均一な厚みであることが好ましい。
本発明の装飾板の製造方法は特に限定されないが、下記の方法(i)又は(ii)が好適である。生産コストや生産効率などを考慮して方法(i)又は(ii)を適宜選択する。
・方法(i)
方法(i)は、共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティにメタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物を射出して充填して前記裏面板を形成する工程1と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記装飾板を取り出す工程4とを有する方法である。
工程1において、共通型と第1交換型の間に形成される裏面用キャビティにメタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物を射出して充填して前記裏面板を形成する。裏面用キャビティに上記樹脂組成物を射出することにより、装飾板における裏面板に相当する一次成形体が成形される。このとき、表面に凹凸模様や筋模様が付された第1交換型を用いることにより、裏面板の一方の表面に凹凸模様や筋模様が転写される。
射出成形時の成形条件は特に限定されるものではないが、シリンダー設定温度を200〜330℃にして成形することが好ましい。共通型や第1交換型は、それぞれ複数の金型から構成されていてもよい。
そして、上記樹脂組成物が裏面用キャビティに充填され型締め圧縮され冷却された後、続く工程2において、第1交換型が第2交換型に交換される。
工程3において、前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する。前面板用キャビティに樹脂を射出することにより装飾板における前面板に相当する二次成形体が一次成形体(裏面板)上に成形される。射出成形時の成形条件は特に限定されるものではないが、シリンダー設定温度を180〜350℃にして成形することが好ましい。
そして、工程4において、共通型及び第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から装飾板を取り出す。
本発明の効果が阻害されない範囲で、工程4の後に、前面板の表面に対して表面処理を行うこともできる。例えば、前面板の表面に対して、塗装やめっきなどを施すことができる。塗装としては、スプレー塗装、刷毛塗り、電着塗装、静電塗装、紫外線硬化塗装などが挙げられる。めっきとしては、電気めっき、無電解めっき、蒸着などが挙げられる。また、前面板の表面にフィルムをラミネートすることもできる。このとき用いられるフィルムとしては、アンチグレアフィルム(反射防止フィルム)やアンチフィンガーフィルム(指紋付着防止フィルム)などが挙げられる。
・方法(ii)
方法(ii)は、第1交換型に金属フィルムを配置する工程1と、
共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程2と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程3と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程4と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記装飾板を取り出す工程5とを有する製造方法である。
方法(ii)では、上述した方法(i)と異なり、前記裏面板を形成する前に、第1交換型に金属フィルムを配置する。具体的には、方法(ii)の工程1において、第1交換型に金属フィルムを配置した後、工程2において、金属フィルムと共通型との間に形成されたキャビティ内に樹脂を射出する。射出された樹脂の圧力で、金属フィルムを第1交換型に押しつけ、当該第1交換型に形成された模様を金属フィルム及び樹脂に転写するとともに、金属フィルムと樹脂とを密着させる。工程2における成形条件は方法(i)の工程1と同じである。次いで、第1交換型及び共通型を冷却して裏面板を形成してから工程3を行う。
ここで金属フィルムとは、金属光沢を有するフィルムであり、樹脂フィルム上に金属が蒸着されたものが好適なものとして挙げられる。金属としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、インジウム等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ABS樹脂フィルム、ポリエステルフィルムなどが挙げられる。本発明の効果が阻害されない範囲で、金属フィルムの表面が着色されていてもかまわない。金属フィルムの厚みは、通常、10〜500μmである。また、樹脂フィルム上に金属が蒸着されてなる場合、その蒸着された金属の厚さは、通常、10〜1000nmである。また、延性のよい金属を薄く打ちのばした金属箔自体を上記金属フィルムとして用いることもできる。このときの金属箔の厚みは、通常、1〜100μmである。また、金属フィルムは、樹脂フィルムに対してメタリック顔料又はパール顔料を含有するインクで印刷又はコーティングされたものであっても構わない。
方法(ii)の工程3〜5は、上述した方法(i)における工程2〜4にそれぞれ相当するものであるので説明は省略する。この方法(ii)によって得られた装飾板の前面板の表面に対して、上述した表面処理を行うこともできる。
こうして得られる本発明の装飾板は深みのある立体的な模様を有する。また、上述したように、裏面板の厚み、全光線透過率、ヘイズなどを変化させることにより、印象の異なる装飾板を得ることができる。このような特徴を活かして、本発明の装飾板は、車両(自家用車、商用車)、建物(住宅、飲食店などの店舗)、民生用機器(映像や音響などの電子機器)などの装飾に用いることができる。中でも、自動車用内装部品が本発明の好適な実施態様である。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
(樹脂の種類(裏面板))
・R−1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「PCユーピロンH3000UR(透明)」
・R−2:帝人株式会社製のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのアロイ「マルチロン T3750(ブラック)」
・R−3:三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「PC/ABSユーピロン MB2218R 8682F(茶)」
(メタリック顔料)
オーケー化成社製のメタリック顔料含有マスターバッチ「MB/PCM-A183967-11 L2850(メタリックオレンジ)」
(樹脂の種類(表面板))
・R−1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「PCユーピロン H3000UR(透明)」
・R−2:三菱ケミカル社製の「デュラビオ H0C2F501(スモーク)」
・R−3:三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「PCユーピロン S3000UR R8MQJ(スモーク)」
・R−4:三菱ケミカル社製の「アクリペット IRD50MC56-15-4202C(オレンジスモーク)」
・R−5:ダイセルポリマー社製の「ABSノバロイ E80FB-4X2768(ブルースモーク)」
・R−6:三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「PCユーピロン S3000 7566H(ブルースモーク)」
・R−7:三菱ケミカル社製の「PMMA アクリペット VH-001(透明)」
(全光線透過率及びヘイズ)
裏面板又は前面板となる樹脂を用い、射出成形機で射出成形して厚さ2mmの試験片を作製した。そして、積分球を取り付けた紫外可視分光光度計(日本分光社製「V−560」)を用いて全光線透過率及びヘイズを測定した。ここで、全光線透過率は表面反射による減少を含んだ値である。結果を表1に示す。
(外観評価)
装飾板を目視にて観察し、立体感、色の濃淡、艶消し感を評価した。立体感、及び色の濃淡については下記の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
・立体感
A:十分な立体感が感じられた。
B:立体感が感じられた。
B’:立体感は感じられたが、凹凸表面での反射によって深みが感じられなかった。
C:立体感が不十分であった。
C’:立体感が不十分であり、凹凸表面での反射によって深みが感じられなかった。
D:立体感がほとんど感じられなかった。
・色の濃淡
A:凹凸の溝に対して垂直な方向に沿って色の濃淡を確認することができた。また、観察する位置に応じて模様の立体感に変化が生じた。
B:凹凸の溝に対して垂直な方向に沿って色の濃淡を少し確認することができた。
C:色の濃淡を確認することができなかった。
実施例1
一色目用の樹脂射出路と二色目用の樹脂射出路を有する共通型と、第1交換型と、第2交換型とを備える二色成形用射出成形機を用いた。第1交換型の表面には凹凸模様が付されているとともに、この凹凸のピッチよりも小さい筋模様が付されている。この第1交換型を用いることにより、裏面板の一方の表面に凹凸模様及び筋模様が転写される。
まず、一色目用の樹脂として上記「R−1」100質量部及び上記マスターバッチ10質量部をブレンドしてホッパー(一色目用)に投入し、次いで二色目用の樹脂として上記「R−1」100質量部をホッパー(二色目用)に投入した。そして、共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに、上記「R−1」とマスターバッチとの混合物を射出することにより、裏面板に相当する一次成形体を成形した(シリンダー設定温度、金型温度、射出速度、及び射出圧力は表2参照)。
次いで、40秒間冷却してから、第1交換型を第2交換型に交換した。次いで、前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに上記「R−1」を射出することにより、前面板に相当する二次成形体を裏面板上に成形した(シリンダー設定温度、金型温度、射出速度、及び射出圧力は表2参照)。次いで、共通型及び第2交換型を冷却して、共通型及び第2交換型から装飾板を取り出した。
得られた装飾板の形状を図1に示す。図2は、図1のA−A線断面模式図であり、図3は、図2のA−A線断面模式図において四角で囲んだ箇所(B)を拡大した図である。図2及び3に示すように、裏面板1は、その一方の表面に丸みを帯びた波状の凹凸を有していた。凹凸のピッチは5〜8mm程度であり、その凹凸の溝の中にはそれぞれ5〜8本程度の筋模様が確認された。一方、前面板2の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面は平滑であった。また、装飾板全体の厚みは均一であった。
表1に、裏面板1の全光線透過率、最大厚さ、最小厚さ、前面板2の全光線透過率、ヘイズ、及び装飾板の厚さを示す。また、装飾板を目視にて観察したときの評価結果を表1に示すとともに、外観写真を図4に示す。
実施例2〜6
樹脂の種類を表1に示すように変更し、シリンダー設定温度、金型温度、射出スピード、射出圧力を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして装飾板得て、それを評価した。
比較例1、2
樹脂の種類を表1に示すように変更するとともに、シリンダー設定温度、金型温度、射出スピード、射出圧力を表2に示すように変更し、二次成形を行わなかった以外は実施例1と同様にして装飾板得て、それを評価した。
比較例3、4
樹脂の種類を表1に示すように変更し、シリンダー設定温度、金型温度、射出スピード、射出圧力を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして装飾板得て、それを評価した。
実施例7
共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに、上記「R−2」を射出する前に、当該第1交換型に金属フィルムを配置した以外は実施例1と同様にして装飾板を得てそれを評価した。
実施例7で用いた金属フィルム(厚み360μm)の層構成は以下の通りである。アクリル樹脂(PMMA)層が第1交換型に接するように金属フィルムを配置した。
・アクリル樹脂(PMMA)層(75μm)
・赤色透明接着剤層
・ヘアライン加工されたPET層(25μm)
・蒸着インジウム層
・接着剤層
・黒色ABS層(250μm)
表1に、裏面板1の全光線透過率、最大厚さ、最小厚さ、前面板2の全光線透過率、ヘイズ、及び装飾板の厚さを示す。また、装飾板を目視にて観察したときの評価結果を表1に示す。
比較例5
樹脂の種類を表1に示すように変更するとともに、シリンダー設定温度、金型温度、射出スピード、射出圧力を表2に示すように変更し、二次成形を行わなかった以外は実施例7と同様にして装飾板得て、それを評価した。
1 裏面板
2 前面板

Claims (12)

  1. 裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;
    前記裏面板が、メタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物からなるとともに、その一方の表面に凹凸を有し、
    前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ
    前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板。
  2. 裏面板と前面板とが積層されてなる装飾板であって;
    前記裏面板が、その一方の表面が金属層で覆われた樹脂組成物からなるとともに、該一方の表面に凹凸を有し、
    前記前面板の一方の表面が前記凹凸と接するとともに、他方の表面が平坦であり、かつ
    前記前面板が、全光線透過率が5%/2mm以上の樹脂からなることを特徴とする装飾板。
  3. 前記裏面板の前記表面が、筋模様をさらに有し、該筋模様のピッチが前記凹凸のピッチよりも小さい、請求項1又は2に記載の装飾板。
  4. 前記裏面板の最大厚み(A)が1〜20mmであり、最小厚み(B)が0.5〜10mmであり、
    厚さ(A)と厚さ(B)との差が0.5mm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の装飾板。
  5. 前記凹凸のピッチが0.5〜20mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の装飾板。
  6. 前記裏面板の厚みが緩やかに変化してなる、請求項1〜5のいずれかに記載の装飾板。
  7. 前記装飾板の厚さが、2〜30mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の装飾板。
  8. 前記前面板が、全光線透過率が80%/2mm以下の樹脂からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の装飾板。
  9. 前記前面板が、ヘイズが90%以下の樹脂からなる、請求項1〜8のいずれかに記載の装飾板。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の装飾板からなる自動車用内装部品。
  11. 請求項1に記載の装飾板の製造方法であって;
    共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティにメタリック顔料又はパール顔料を含有する樹脂組成物を射出して充填して前記裏面板を形成する工程1と、
    第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
    前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程3と、
    前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記装飾板を取り出す工程4とを有する装飾板の製造方法。
  12. 請求項2に記載の装飾板の製造方法であって;
    第1交換型に金属フィルムを配置する工程1と、
    共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程2と、
    第1交換型を第2交換型に交換する工程3と、
    前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程4と、
    前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記装飾板を取り出す工程5とを有する装飾板の製造方法。
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