JP2020191854A - 浸潤性腺癌罹患判定方法、分析方法、並びにそれに使用するマーカー糖タンパク質およびその断片 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して正確に識別するためのマーカー糖タンパク質マーカー糖タンパク質、その断片、浸潤性腺癌罹患判定方法及び分析方法を提供することである。【解決手段】 実施形態に従うマーカー糖タンパク質は、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質である。マーカー糖タンパク質は、タンパク質及び当該タンパク質に結合している糖鎖を含む。タンパク質はPLOD3又はCPであり、糖鎖はHHLに対して結合能を有する。【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、浸潤性腺癌罹患判定方法、分析方法、並びにそれに使用するマーカー糖タンパク質およびその断片に関する。
日本国内における肺癌の罹患数は癌の中で2番目に多く、毎年10万人以上が罹患している。また、肺癌による死亡者数は癌の中で最も多く、毎年7万人である。
肺癌の中で、肺腺癌の罹患者数は約半分の割合を占め、5年生存率は40%に満たない。したがって、肺腺癌をできるだけ早期に発見し、治療する方法が求められている。
肺腺癌は、非小細胞肺癌の1つであり、前浸潤性病変、微小浸潤性腺癌、浸潤性腺癌等の複数のタイプに分けられる。
今日、肺の病変は、X線CT画像により発見されることが多い。しかしながら、早期の病変の場合、CT画像上に見られる異常陰影も小さく、それが癌など治療を必要とする病変であるのか、又はその他の良性疾患であるのかを見分けるのが難しい。また、気管支鏡を用いた組織生検でも、診断を下すのに必要十分な病変細胞・組織が採取できるとは限らない。血液検査で腫瘍マーカーを測定する診断法もあるが、病変が小さい場合、健常人と有意な差が現れにくい。このように、治療を必要とする早期の肺腺癌を、他の良性疾患と識別して検出することは、今日極めて困難である。早期の肺腺癌を検出することができずに放置した場合、それがLPAなどの浸潤性の高い癌であれば、患者が死に至る可能性もある。
本発明が解決しようとする課題は、対象が罹患している肺腺癌の分類が、すぐに治療が必要な浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して正確に識別するための浸潤性腺癌罹患判定方法、当該識別のための情報を得るための分析方法、並びにそれに使用するマーカー糖タンパク質およびその断片を提供することである。
実施形態に従うマーカー糖タンパク質は、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質である。マーカー糖タンパク質は、タンパク質及び当該タンパク質に結合している糖鎖を含む。タンパク質はプロコラーゲン・リジン−2−オキソグルタール酸−5−ジオキシゲナーゼ(PLOD3)又はセルロプラスミン(CP)であり、糖鎖はHippeastrum Hybrid Lectin(HHL)に対して結合能を有する糖鎖である。HHLは、アマリリスレクチン(Amaryllis lectin:AL)とも称されるレクチンである。このような糖鎖は、例えば、Lectin Frontier DatabaseでHHLとの結合性が確認されている糖鎖構造を有する。
実施形態によれば、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質又はその断片が提供される。マーカー糖タンパク質は、タンパク質及び当該タンパク質に結合している糖鎖を含む。タンパク質はプロコラーゲン・リジン−2−オキソグルタール酸−5−ジオキシゲナーゼ(PLOD3)又はセルロプラスミン(CP)であり、糖鎖はHippeastrum Hybrid Lectin(HHL)に対して結合能を有する糖鎖(以下、「HHL結合性糖鎖」と称する)である。HHLは、アマリリスレクチン(Amaryllis lectin:AL)とも称されるレクチンである。このような糖鎖は、例えば、Lectin Frontier Database(https://acgg.asia/lfdb2/index.action?request_locale=en)でHHLとの結合性が確認されている糖鎖構造を有する。また、他の実施形態によれば、試料中の前記マーカー糖タンパク質又はその断片を検出又は定量することを含む浸潤性腺癌罹患判定方法及び分析方法が提供される。
以下、実施形態のマーカー糖タンパク質、浸潤性腺癌罹患判定方法及び分析方法について説明する。
・マーカー糖タンパク質
実施形態に従うマーカー糖タンパク質は、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質である。
実施形態に従うマーカー糖タンパク質は、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質である。
対象は、分析に供される動物、即ち、後述する試料を提供する動物である。対象は、何らかの疾患を有する動物であってもよいし、健常な動物であってもよい。例えば、対象は、肺癌に罹患している可能性がある動物又は肺癌に罹患した動物である。動物は、例えば、哺乳類である。哺乳類は、例えば、サル及びヒト等の霊長類、マウス、ラット及びモルモット等の齧歯類、イヌ、ネコ及びウサギ等の伴侶動物、ウマ、ウシ及びブタ等の家畜動物、或いは展示動物などに属する動物である。
肺腺癌は、非小細胞肺癌のうち、浸潤性腺癌、前浸潤性病変、微小浸潤性腺癌に分けられる肺癌の1つである。
浸潤性腺癌(Invasive adenocarcinoma)とは、IASLC/ATS/ERS分類に従うものであり、例えば、Lepidic predominant adenocarcinoma(LPA)、papillary predominant adenocarcinoma(PPA)、acinar predominant adenocarcinoma(APA)、又はsolid predominant(with mucin production)adenocarcinoma(SPA)、Micropapillary-predominant adenocarcinoma(MPA)などである。
前浸潤性病変とは、IASLC/ATS/ERS分類に従うものであり、例えば、異型腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia:AHH)又は上皮内腺癌(adenocarcinoma in situ:AIS)などである。前浸潤性病変は、Nonmucinous、Mucinous、Mixed mucinous/nonmucinousを含む。
微小浸潤性癌とは、IASLC/ATS/ERS分類に従うものであり、例えば、微少浸潤性腺癌(minimally invasive adenocarcinoma:MIA)である。微少浸潤性腺癌は、Nonmucinous、Mucinous、Mixed mucinous/nonmucinousを含む。
実施形態に従うマーカー糖タンパク質は、タンパク質及び当該タンパク質に結合している糖鎖を含む。
タンパク質はプロコラーゲン・リジン−2−オキソグルタール酸−5−ジオキシゲナーゼ(Procollagen-lysine, 2-oxoglutarate 5-dioxygenase:以下、「PLOD3」と称する)であり、国立生物工学情報センター(NCBI)のGene ID:8985の遺伝子にコードされるタンパク質である。PLOD3は、リシルヒドロキシラーゼ3(LH3)とも称される。
或いは、タンパク質は、セルロプラスミン(ceruloplasmin、cearuloplasmin:以下、「CP」と称する)であってもよい。CPは、国立生物工学情報センター(NCBI)のGene ID:1356の遺伝子にコードされるタンパク質である。CPは、CP2、フェロキシダーゼ(ferroxydase)、鉄(II):酸素−オキシドリダクターゼ(Fe(II):oxygen oxidoreductase)とも称される。
なお、上記のタンパク質と45%以上のアミノ酸配列相同性を持つタンパク質アイソフォームを実施形態のタンパク質とみなしてもよい。80%以上の相同性を持てばより好ましい。90%以上の相同性を持てば更に好ましい。
糖鎖は、Hippeastrum Hybrid Lectin(HHL)に対して結合能を有する糖鎖である。例えば、HHLは、アマリリスレクチン(AL)とも称されるレクチンである。糖鎖は、例えば、Lectin Frontier DatabaseでHHLとの結合性が確認されている糖鎖である。
糖鎖は、PLOD3又はCPに含まれるアスパラギンに結合している。本発明の発明者らは、浸潤性腺癌の臨床試料におけるPLOD3又はCPは、前浸潤性病変及び微小浸潤性腺癌の場合と比較して、以下の表1に示す特定の位置のアスパラギンに上記糖鎖が結合していることを見出した。表中、「糖鎖付加位置周辺のペプチド配列」の下線は、「糖鎖付加位置」のN(アスパラギン)を示す。
糖鎖は、例えば、PLOD3又はCPに含まれる表1に記載の「糖鎖付加位置周辺のペプチド配列」に相当するアミノ酸配列のNXT又はNXSのN(アスパラギン)に結合している(NXT又はNXSはアスパラギン結合型糖鎖付加位置のコンセンサス配列である)。ここで、Xは任意のアミノ酸である。上述したPLOD3又はCPのアイソフォームにおいては、糖鎖は、例えば、該アイソフォームの、表1の「糖鎖付加位置周辺のペプチド配列」に相当する配列のアスパラギンに結合していてもよい。
例えば、PLOD3の主要なトランスクリプト(NCBI Gene ID:8985の遺伝子にコードされるタンパク質)では、糖鎖は、63位及び/又は548位のアスパラギンに結合している。例えば、CPの主要なトランスクリプト(NCBI Gene ID:1356の遺伝子にコードされるタンパク質)では、糖鎖は、138位、397位、及び762位のアスパラギンに結合している。
・マーカー糖タンパク質の断片
マーカー糖タンパク質に含まれるタンパク質は、タンパク質の断片であってもよい。以下、タンパク質が断片であるマーカー糖タンパク質をマーカー糖タンパク質(の)断片とも称する。マーカー糖タンパク質の断片は、糖鎖付加位置のアスパラギン残基を少なくとも1つ含む。このような断片の前記アスパラギン残基には、HHL結合性糖鎖が結合している。
マーカー糖タンパク質に含まれるタンパク質は、タンパク質の断片であってもよい。以下、タンパク質が断片であるマーカー糖タンパク質をマーカー糖タンパク質(の)断片とも称する。マーカー糖タンパク質の断片は、糖鎖付加位置のアスパラギン残基を少なくとも1つ含む。このような断片の前記アスパラギン残基には、HHL結合性糖鎖が結合している。
タンパク質の断片は、PLOD3又はCPの一部からなるオリゴペプチド又はポリペプチドの断片である。例えば、断片は、そのアミノ酸配列中に63位及び/又は548位のアスパラギン残基を含むPLOD3断片である。或いは、断片は、そのアミノ酸配列中に138位、397位、及び762位のアスパラギン残基を含むCP断片である。上記アスパラギン残基には、上述した糖鎖が結合している。
断片は、例えば、これらのタンパク質をトリプシン消化した際に得られる断片であってもよい。断片のアミノ酸の長さは、限定されるものではないが、好ましくは、5〜100アミノ酸、8〜80アミノ酸又は8〜50アミノ酸である。
断片は、上述したPLOD3又はCPのアイソフォームの断片であってもよい。アイソフォーム断片は、例えば、表1の「糖鎖付加位置周辺のペプチド配列」に対応する配列のアスパラギンを少なくとも1つ含み、そこに糖鎖が結合したものであってもよい。
実施形態のタンパク質は、上記PLOD3又はCPの断片と、更なるペプチドとを含むものであってもよい。
本発明の発明者らは、以上に説明した実施形態のマーカー糖タンパク質が浸潤性腺癌の病変からは発現、又はより多く発現し、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌では発現しない、又は発現量がより少ないことを見出した。
例えば、肺腺癌の前浸潤性病変又は微小浸潤性癌であるAHH、AIS又はMIAは、5年生存率が100%に近く、直ちに手術は必要なく、経過観察を行えばよいとされている。しかしながら、浸潤性腺癌である場合には、ステージ1及び2で5年生存率は70〜80%であり、手術が必須である。実施形態のマーカー糖タンパク質又はその断片を用いることによって、浸潤性腺癌を前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と正確に区別することができるため、浸潤性腺癌の偽陰性及び偽陽性の検出を防止することができる。その結果、偽陰性の検出結果によって治療が遅れ、対象の肺腺癌が進行することを防止できる。また、偽陽性の検出結果によって不要な治療を行うことによる対象又は医療従事者の負担を防止できる。
・浸潤性腺癌罹患判定方法
実施形態の浸潤性腺癌罹患判定方法は、対象由来の試料から、マーカー糖タンパク質、即ち、HHL結合性糖鎖を備えるPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量することによって、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定することを含む。
実施形態の浸潤性腺癌罹患判定方法は、対象由来の試料から、マーカー糖タンパク質、即ち、HHL結合性糖鎖を備えるPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量することによって、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定することを含む。
例えば、前記検出又は定量は、HHLを用いて行われる。
図1は、HHLを用いる浸潤性腺癌罹患判定方法の一例を示す概略フローチャートである。浸潤性腺癌罹患判定方法の一例は、以下の工程を含む:(S1)対象由来の試料を用意すること、(S2)試料中のHHL結合性糖鎖を備える糖タンパク質又はその断片を、HHLを用いて分離し、前記糖タンパク質又はその断片を含むHHL(+)画分を得ること、(S3)HHL(+)画分からPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量すること、及び(S4)前記検出又は定量の結果に従って、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定すること。以下、各工程について詳細に説明する。
工程(S1)において、対象由来の試料を用意する。試料は、例えば、対象の体液、細胞、組織又は肺洗浄液であることが好ましい。体液は、例えば、血液、血清、血球、血漿、間質液、尿、便、汗、唾液、口腔内粘膜、喀痰、リンパ液、髄液、涙液、母乳、羊水、精液、細胞の抽出液又は胸水などである。体液は、血液、血清、血漿、間質液、リンパ液、細胞の抽出液、痰又は胸水であることが好ましい。細胞は、対象から採取され、培養された細胞又はその上清であってもよい。また、細胞株化した培養細胞でもよい。試料は、手術などの治療時や内視鏡などによる検査時の洗浄液も含む。
試料は、対象から採取したものを必要に応じて希釈若しくは濃縮、ヘパリンのような血液凝固阻止剤の添加又は抽出等の処理したものであってもよい。或いは、そのような前処理を行なうことなく、そのまま使用してもよい。試料の採取は、当該分野の公知の方法に基づいて行なえばよい。試料は、採取後直ちに利用してもよいし、培養したものであってもよいし、冷凍又は冷蔵により一定期間保存した後、解凍等の処理を行なったものであってもよい。
工程(S2)において、HHLを用いてHHL結合性糖鎖を備える糖タンパク質又はその断片を分離する。分離する方法としては、例えばHHL固定化−アガロースやビオチン化したHHLを介して、結合能を有する糖タンパク質と複合体を形成する。この複合体を遠心分離やストレプトアビジンマグネットビーズなどの磁気ビーズやストレプトアビジンセファロースビーズなど適切な手法による回収を行う。
HHLに結合した糖タンパク質又はその断片の分離は、例えば、クロマトグラフィー、緩衝液による洗浄及び/又は遠心等の公知の方法により行うことができる。それよって、HHLに結合しなかった不要物質が除去される。その結果、HHL結合性糖鎖を備える糖タンパク質及び/又はその断片を含むHHL(+)画分が得られる。
工程(S3)において、HHL(+)画分からPLOD3若しくはCPを検出又は定量する。工程(S3)は、特定のタンパク質を検出又は定量する公知の何れかの方法を用いて行うことができる。例えば、検出又は定量は、マーカー糖タンパク質と結合するレクチン、抗体、ペプチド及びアプタマーからなる群から選択されるプローブを用いて行われる。また例えば、質量分析等の分析対象タンパク質を直接検出する方法、或いは分析対象タンパク質を抗体などの分子プローブに結合させて得られた複合体を検出する方法により行われる。そのような方法は、例えば、凝固時間法;希釈ラッセル蛇毒法;Bethesda法;フローサイトメトリー法;プロテアーゼ法、免疫阻害法、G3−CNP法、DGGR基質法、TMP基質法、発色性合成基質法などの酵素法(UV法);ビウレット法、BCG法、BCP改良法、笠原法、カラーレート法、合成基質比色法などの比色法;RIA固相法、EIA法、ELISA法、CLIA法、CLEIA法などの抗体標識法;免疫比濁法(TIA法)、Latex近赤外比濁法(LPIA)、ネフェロメトリー法(NIA法)などの沈着法;ラテックス凝集法(LA法)、固定血小板凝集法などの凝集法;SDS-PAGE法、キャピラリー電気泳動法、二次元電気泳動法などの電気泳動法;HPLC法、ウエスタンブロット法、ドットブロット法などの分析系;試験紙法;ピロガロールレッド法;スルホサリチル酸法などを含む。
検出又は定量は、抗体を使用したサンドイッチELISA検出を用いて、HHL−マーカー分子−抗体などの複合体の検出により行うことが好ましい。
工程(S4)において、工程(S3)の結果に従って、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定する。例えば、決定は次のように行うことができる。工程(S3)において、例えば、HHL(+)画分からPLOD3若しくはCP及び/又はその断片が検出された場合に、対象が前浸潤性病変又は微小浸潤性癌ではなく、浸潤性腺癌に罹患していると決定する。或いは、HHL(+)画分からのPLOD3若しくはCP及び/又はその断片の検出量が予め設定された閾値よりも多い場合に、対象が前浸潤性病変又は微小浸潤性癌ではなく、浸潤性腺癌に罹患していると決定する。閾値は、例えば、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌ではなく浸潤性腺癌であることが知られている対象からの標準試料において、HHL結合性糖鎖を備えるPLOD3若しくはCPを定量することによって決定することができる。
例えば、工程(S4)は、工程(S3)でウエスタンブロット法を用いる場合、得られたバンドの濃さを数値化し、予め定められた閾値よりもバンドが濃いか薄いかを決定することにより行われる。
以上の浸潤性腺癌罹患判定方法により、対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と正確に区別して識別することができる。そのため、浸潤性腺癌の偽陰性及び偽陽性の検出を防止することができる。
・分析方法
実施形態の分析方法は、対象に由来する試料から、HHL結合性糖鎖を備えるPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量することによって、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定するための情報を得る方法である。例えば、前記検出又は定量は、HHLを用いて行われる。「対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定するための情報」を以下単に「情報」とも記す。
実施形態の分析方法は、対象に由来する試料から、HHL結合性糖鎖を備えるPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量することによって、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定するための情報を得る方法である。例えば、前記検出又は定量は、HHLを用いて行われる。「対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定するための情報」を以下単に「情報」とも記す。
図2は、HHLを用いて行われる分析方法の一例を示す概略フローチャートである。分析方法の一例は、以下の工程を含む:(S11)対象由来の試料を用意すること、(S12)試料中のHHL結合性糖鎖を備える糖タンパク質又はその断片を、HHLを用いて分離し、前記糖タンパク質又はその断片を含むHHL(+)画分を得ること、(S13)HHL(+)画分からPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量すること。(S11)〜(S13)は、それぞれ上記工程(S1)〜(S3)と同様の方法で行うことができる。
この例の場合、試料は、上記の何れかの試料であってもよいし、株化された細胞又は市販の細胞、或いはその上清、抽出物若しくは洗浄液等であってもよい。例えば、試料は、細胞又は組織を含むか、或いは細胞又は組織の上清、抽出物若しくは洗浄液を含む。
情報とは、例えば、工程(S13)の検出又は定量の結果に従って得られる、HHL結合性糖鎖を有するPLOD3若しくはCP及び/又はその断片が試料に存在するか否かの情報、或いは試料中におけるその存在量の情報である。例えば、このような情報から、試料の由来となる対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定することができる。或いは、上記情報から、試料に含まれる又は試料の由来となる細胞又は組織が浸潤性腺癌の病変であるかどうかなどを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定することができる。
[例]
以下に、実施形態のマーカー糖タンパク質を同定した実験について説明する。
以下に、実施形態のマーカー糖タンパク質を同定した実験について説明する。
1.レクチンアレイ
肺腺癌患者のFFPEブロックを用いてレクチンアレイ解析を実施した。
肺腺癌患者のFFPEブロックを用いてレクチンアレイ解析を実施した。
下記2種類のサンプル(1)及び(2)について、45種のレクチンのうち、シグナルが検出された25種のレクチン(PSA, LCA, AOL, AAL, SNA, SSA, TJAI, RCA120, PHAE, DSA, NPA, ConA, GNA, HHL, ACG, TJAII, ABA, LEL, STL, UDA, Jacalin, ACA, HPA, Calsepa, WGA)との結合反応シグナルの違いを分析した。
(1)サンプル採取時点で野口分類A型と診断され、かつ、5年後も生存していた症例(N=10)(前浸潤性病変)
(2)サンプル採取時点で野口分類C型と診断され、かつ、5年後死亡していた症例(N=28)(浸潤性腺癌)
(1)サンプル採取時点で野口分類A型と診断され、かつ、5年後も生存していた症例(N=10)(前浸潤性病変)
(2)サンプル採取時点で野口分類C型と診断され、かつ、5年後死亡していた症例(N=28)(浸潤性腺癌)
LecChipのスキャンは5つの条件で実施し、シグナルの最大値が5万を超えない条件を選択し、データの規格化に用いた。規格化には、Mean normalize法(Tateno H et al Methods in Enzymol 478, 181-195 (2010))を用いた。
結果を図3に示す。25種のレクチンのうち、HHLとの結合シグナルが、サンプル(2)では、サンプル(1)より有意に高いことが分かった。
浸潤性腺癌の患者のサンプルでは、前浸潤性病変のサンプル(1)と比較して、HHL結合性糖鎖を有するタンパク質が多いことを示している。
2.HHL結合性糖タンパク質の同定
次に、HHL結合性糖タンパク質(HHL(+)キャリア・糖タンパク質)を同定するために、培養細胞株及び表3に記載の3症例の患者由来腫瘍部組織、及び間質部においてグライコプロテオミクス解析(IGOT−LC/MS解析)を行った。この解析は以下のように行った。
次に、HHL結合性糖タンパク質(HHL(+)キャリア・糖タンパク質)を同定するために、培養細胞株及び表3に記載の3症例の患者由来腫瘍部組織、及び間質部においてグライコプロテオミクス解析(IGOT−LC/MS解析)を行った。この解析は以下のように行った。
(1)糖鎖切除と糖鎖付加位置安定同位体標識
試料の腫瘍部組織からプローブで捕集された糖タンパク質群をプロテアーゼで消化して得られたペプチド群を、同じプローブで再捕集した。あるいは、試料の腫瘍部組織の粗タンパク質混合物を分離することなくプロテアーゼ消化して得られた粗ペプチド群より、直接プローブで捕集した。得られた糖ペプチド群を、同位体酸素でラベルされた水の中でグリコペプチダーゼ等の酵素で処理して糖鎖を解離した。それにより、糖鎖結合部位のアスパラギンをアスパラギン酸に変換した。このときに水中の同位体酸素(18O)がペプチドに取り込まれる(この方法は「IGOT」と称される)。
試料の腫瘍部組織からプローブで捕集された糖タンパク質群をプロテアーゼで消化して得られたペプチド群を、同じプローブで再捕集した。あるいは、試料の腫瘍部組織の粗タンパク質混合物を分離することなくプロテアーゼ消化して得られた粗ペプチド群より、直接プローブで捕集した。得られた糖ペプチド群を、同位体酸素でラベルされた水の中でグリコペプチダーゼ等の酵素で処理して糖鎖を解離した。それにより、糖鎖結合部位のアスパラギンをアスパラギン酸に変換した。このときに水中の同位体酸素(18O)がペプチドに取り込まれる(この方法は「IGOT」と称される)。
(2)標識ペプチドのLC/MSショットガン分析
IGOTで標識されたペプチドをLCで分離し、MSに導入し、タンデム質量分析法により、ペプチドの配列を網羅的に同定した。
IGOTで標識されたペプチドをLCで分離し、MSに導入し、タンデム質量分析法により、ペプチドの配列を網羅的に同定した。
(3)ペプチドの同定
例えば、標準技術集(特許庁編)、質量分析の3−6−2−2 アミノ酸配列解析に示されるMS/MSイオンサーチ法により、得られたペプチド混合物のMS/MS ペプチド測定結果を、データベースに登録されたMS/MSスペクトルと比較してすることによりペプチドの配列を検索することができる。検索においては、以下のアミノ酸の修飾を勘案した:メチオニン残基側鎖の酸化、アミノ末端グルタミンのピロ化(脱アミド化、環化)、アミノ末端の脱アミノ化(カルバミドメチルシステイン)、アスパラギン残基側鎖の脱アミド化(ただし、安定同位体酸素の取り込みが生じたもの)。
例えば、標準技術集(特許庁編)、質量分析の3−6−2−2 アミノ酸配列解析に示されるMS/MSイオンサーチ法により、得られたペプチド混合物のMS/MS ペプチド測定結果を、データベースに登録されたMS/MSスペクトルと比較してすることによりペプチドの配列を検索することができる。検索においては、以下のアミノ酸の修飾を勘案した:メチオニン残基側鎖の酸化、アミノ末端グルタミンのピロ化(脱アミド化、環化)、アミノ末端の脱アミノ化(カルバミドメチルシステイン)、アスパラギン残基側鎖の脱アミド化(ただし、安定同位体酸素の取り込みが生じたもの)。
(4)糖鎖結合位置の同定
MS/MSイオンサーチ法によって同定されたペプチドのうち、アスパラギン残基側鎖に脱アミド化(安定同位体取り込み)が生じ、かつN結合型糖鎖付加のコンセンサス配列(Asn-Xaa-[Ser/Thr]、ただしXaaはProでない)を含むペプチドを候補糖ペプチドとした。但し、XaaがLys/Argであり、同定されたペプチド配列がこの位置で切断されている場合、タンパク質全体のアミノ酸配列を参照し、Xaaの次の残基が[Ser/Thr]であることが確認できた場合はこのペプチドも含めた。また、該糖ペプチドのコンセンサス配列アスパラギン残基を糖鎖結合部位とした。
MS/MSイオンサーチ法によって同定されたペプチドのうち、アスパラギン残基側鎖に脱アミド化(安定同位体取り込み)が生じ、かつN結合型糖鎖付加のコンセンサス配列(Asn-Xaa-[Ser/Thr]、ただしXaaはProでない)を含むペプチドを候補糖ペプチドとした。但し、XaaがLys/Argであり、同定されたペプチド配列がこの位置で切断されている場合、タンパク質全体のアミノ酸配列を参照し、Xaaの次の残基が[Ser/Thr]であることが確認できた場合はこのペプチドも含めた。また、該糖ペプチドのコンセンサス配列アスパラギン残基を糖鎖結合部位とした。
(5)候補タンパク質の更なる絞込み
その後、以下のステップにより、候補タンパク質を更に絞込んだ。
その後、以下のステップにより、候補タンパク質を更に絞込んだ。
ステップ2:ステップ1で同定された糖タンパク質から、患者由来組織間質部、及び前癌病変モデル培養細胞株PL16Tで同定された糖タンパク質を排除する。
上記の手順でリストアップされた候補タンパク質について、生化学的実験結果から、PLOD3、CPが見出された。
3.組織におけるマーカー糖タンパク質の発現解析
次に、表4に示す癌組織を用いたウエスタンブロットで、PLOD3、CPの発現量を評価した。AM−01〜05は、前浸潤性病変(AIS)又は微小浸潤性癌(MIA)の検体の病変からの組織である。L−01〜05は、浸潤性腺癌(LPA)の検体の病変からの組織である。
次に、表4に示す癌組織を用いたウエスタンブロットで、PLOD3、CPの発現量を評価した。AM−01〜05は、前浸潤性病変(AIS)又は微小浸潤性癌(MIA)の検体の病変からの組織である。L−01〜05は、浸潤性腺癌(LPA)の検体の病変からの組織である。
解析の手順を以下に示す。ウエスタンブロット解析に供するタンパク質溶液を調製するために、CelLytic MEM Protein Extraction kit (SIGMA)を用いて上記組織それぞれからタンパク質抽出を行った。疎水性画分(膜タンパク質:細胞ライセートに相当)及び親水性画分(細胞質・分泌タンパク質:培養上清に相当)の2つの画分が得られた。各画分の分離抽出されたタンパク質の濃度を定量した。6検体由来のサンプル(AM−01〜03、L−01〜03)又は10検体から得られたサンプル(AM−01〜05、L−01〜05)の各々の一部を用いてSDS−PAGEを行い、銀染色法により染色した。その結果、両画分がほぼ同程度タンパク質が含まれていることが確認された(図4(a)、(b))。
次に、HHL結合性糖鎖を持つタンパク質を分離するために、各サンプルでHHL−アガロースビーズを用いてレクチンキャッチを行い、HHL(+)画分を調製した。レクチンキャッチの工程を図5に示す。
得られた各HHL(+)画分をアガロースゲル電気泳動(SDS−PAGE)にて分離し、HHLにより染色した(図6、図7)。HHL(+)画分を意味する「Bound1」のレーンにスメアなバンドが認められ、図5の手順により、HHL(+)画分が得られたことを確認できた。
4.浸潤性腺癌及び前浸潤性病変又は微小浸潤性癌の候補タンパク質の濃度の比較
次に、HHL(+)画分の全ての組織サンプルを用いて、上記候補のタンパク質に特異的な抗体(抗CP抗体:Bethyl社 カタログ番号A80-124、抗PLOD3抗体:Protein tech社 カタログ番号11027-1-AP)を用いたウエスタンブロット解析により、CP、PLOD3の検出を行った。CPの疎水性画分(図8)、PLOD3の疎水性画分(図9)においては、AMとLとの間でタンパク質量に差があった。
次に、HHL(+)画分の全ての組織サンプルを用いて、上記候補のタンパク質に特異的な抗体(抗CP抗体:Bethyl社 カタログ番号A80-124、抗PLOD3抗体:Protein tech社 カタログ番号11027-1-AP)を用いたウエスタンブロット解析により、CP、PLOD3の検出を行った。CPの疎水性画分(図8)、PLOD3の疎水性画分(図9)においては、AMとLとの間でタンパク質量に差があった。
特に、図9に示すPLOD3の疎水性画分においては、AM−01〜05におけるバンドは極めて薄く、L−01〜05では明確な濃いバンドが観察された。図8に示すCPにおいては、得られた結果画像から、ImageJソフトウェア(NIH製)によってバンド強度を数値化したところ、表5に示すように、AMとLとで、有意な差が認められた。
以上の結果から、実施形態のマーカー糖タンパク質によれば、対象の肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別できることが明らかとなった。
Claims (17)
- 対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質であって、タンパク質及び当該タンパク質に結合している糖鎖を含み、前記タンパク質はプロコラーゲン・リジン−2−オキソグルタール酸−5−ジオキシゲナーゼ(PLOD3)又はセルロプラスミン(CP)であり、前記糖鎖はHippeastrum Hybrid Lectin(HHL)に対して結合能を有する糖鎖であるマーカー糖タンパク質。
- 前記タンパク質がPLOD3であり、前記糖鎖は前記PLOD3中のSAEFFNYTVR(配列番号1)及び/又はQYIHENYSR(配列番号2)に含まれるNXT又はNXSのN(アスパラギン)に結合しており、ここで、Xは任意のアミノ酸である請求項1に記載のマーカー糖タンパク質。
- 前記タンパク質がCPであり、前記糖鎖は前記CP中のENLTAPGSDSAVFFEQGTTR(配列番号3)、ELHHLQEQNVSNAFLDK(配列番号4)及び/又はEHEGAIYPDNTTDFQR(配列番号5)に含まれるNXT又はNXSのN(アスパラギン)に結合しており、ここで、Xは任意のアミノ酸である請求項1に記載のマーカー糖タンパク質。
- 前記タンパク質がNCBI Gene ID:8985の遺伝子にコードされるタンパク質であるPLOD3であり、前記糖鎖は、当該PLOD3の63位及び/又は548位のアスパラギンに結合している請求項1又は2に記載のマーカー糖タンパク質。
- 前記タンパク質がNCBI Gene ID:1356の遺伝子にコードされるタンパク質であるCPであり、前記糖鎖は、当該CPの138位、397位及び/又は762位のアスパラギンに結合している請求項1又は3に記載のマーカー糖タンパク質。
- 前記浸潤性腺癌は、Lepidic predominant adenocarcinoma(LPA)、papillary predominant adenocarcinoma(PPA)、acinar predominant adenocarcinoma(APA)、solid predominant(with mucin production)adenocarcinoma(SPA)又はMicropapillary-predominant adenocarcinoma(MPA)であり、前記前浸潤性病変はatypical adenomatous hyperplasia(AHH)又はadenocarcinoma in situ(AIS)であり、前記微小浸潤性癌はminimally invasive adenocarcinoma(MIA)である請求項1〜5の何れか1項に記載のマーカー糖タンパク質。
- 対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して識別するためのマーカー糖タンパク質断片であって、
アスパラギン残基を少なくとも1つ含むPLOD3又はCPの断片と、前記アスパラギン残基に結合している、Hippeastrum Hybrid Lectin(HHL)に対して結合能を有する糖鎖とを含むマーカー糖タンパク質断片。 - 対象由来の試料から、HHLに対して結合能を有する糖鎖を備えるPLOD3若しくはCPであるマーカー糖タンパク質及び/又はその断片を検出又は定量することによって、対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定することを含む浸潤性腺癌罹患判定方法。
- 前記検出又は定量は、前記マーカー糖タンパク質と結合するレクチン、抗体、ペプチド及びアプタマーからなる群から選択されるプローブを用いて行われる請求項8に記載の方法。
- 前記検出又は定量は、HHLを用いて行われる請求項9に記載の方法。
- (S1)対象由来の試料を用意すること、
(S2)前記試料中のHHLに対して結合能を有する糖鎖を備えるPLOD3若しくはCPであるマーカー糖タンパク質又はその断片を、前記HHLを用いて分離し、前記糖タンパク質又はその断片を含むHHL(+)画分を得ること、
(S3)前記HHL(+)画分からPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量すること、及び
(S4)前記検出又は定量の結果に従って、前記対象が浸潤性腺癌に罹患しているか否かを前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定すること
を含む請求項10に記載の方法。 - 前記浸潤性腺癌は、Lepidic predominant adenocarcinoma(LPA)、papillary predominant adenocarcinoma(PPA)、acinar predominant adenocarcinoma(APA)、solid predominant(with mucin production)adenocarcinoma(SPA)又はMicropapillary-predominant adenocarcinoma(MPA)であり、前記前浸潤性病変はatypical adenomatous hyperplasia(AHH)又はadenocarcinoma in situ(AIS)であり、前記微小浸潤性癌はminimally invasive adenocarcinoma(MIA)である請求項8〜11の何れか1項に記載の方法。
- 対象由来の試料から、HHLに対して結合能を有する糖鎖を備えるPLOD3若しくはCPであるマーカー糖タンパク質及び/又はその断片を検出又は定量することによって、前記対象が罹患している肺腺癌の分類が浸潤性腺癌であるか否かを、前浸潤性病変又は微小浸潤性癌と区別して決定するための情報を得ることを含む分析方法。
- 前記検出又は定量は、前記マーカー糖タンパク質と結合するレクチン、抗体、ペプチド及びアプタマーからなる群から選択されるプローブを用いて行われる請求項13に記載の方法。
- 前記検出又は定量は、HHLを用いて行われる請求項13に記載の方法。
- (S11)前記試料を用意すること、
(S12)前記試料中のHHLに対して結合能を有する糖鎖を備える糖タンパク質又はその断片を、前記HHLを用いて分離し、前記糖タンパク質又はその断片を含むHHL(+)画分を得ること、
(S13)HHL(+)画分からPLOD3若しくはCP及び/又はその断片を検出又は定量すること
を含む請求項15に記載の方法。 - 前記浸潤性腺癌は、Lepidic predominant adenocarcinoma(LPA)、papillary predominant adenocarcinoma(PPA)、acinar predominant adenocarcinoma(APA)又はsolid predominant(with mucin production)adenocarcinoma(SPA)であり、前記前浸潤性病変はatypical adenomatous hyperplasia(AHH)又はadenocarcinoma in situ(AIS)であり、微小浸潤性癌はminimally invasive adenocarcinoma(MIA)である請求項13〜16の何れか1項に記載の方法。
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KR101559101B1 (ko) * | 2013-11-28 | 2015-10-12 | 한국기초과학지원연구원 | 혈액유래 암 진단용 펩티드 마커 및 이를 이용한 암 진단방법 |
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