以下、図面を用いて実施形態が説明される。以下では、信号等の情報が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用し、電圧線には電圧名と同じ符号を使用し、電源線には電源名と同じ符号を使用する。”/”を付した信号線は、複数ビットであることを示す。なお、”/”を付していない信号線が複数ビットであってもよい。
図1は、一実施形態における半導体記憶装置の一例を示す。図1に示す半導体記憶装置100は、n個のメモリセル1、動作制御部2、書き込み制御部3、読み出し制御部4および判定部5を有する。例えば、メモリセル1は、1T1Cタイプであり、1つの転送トランジスタTと1つの強誘電体キャパシタCとを有する。すなわち、半導体記憶装置100は、強誘電体メモリである。なお、メモリセル1は、2つの転送トランジスタTと2つの強誘電体キャパシタCとを有する2T2Cタイプでもよい。メモリセル1は、第1のメモリセルの一例である。
転送トランジスタTのゲートは、ワード線WLに接続される。転送トランジスタTのソース・ドレインの一方は、ビット線BL(BL1、BL2、...、BLn)に接続され、転送トランジスタTのソース・ドレインの他方は、強誘電体キャパシタCの一端に接続される。強誘電体キャパシタCの他端は、プレート線PLに接続される。ビット線BLは、書き込み制御部3および読み出し制御部4に接続される。
動作制御部2は、メモリセル1にアクセスするアクセスコマンド(読み出しコマンド、書き込みコマンド)等の制御信号CTLを受信したことに基づいて動作する。動作制御部2は、メモリセル1からデータを読み出す読み出し動作およびメモリセル1にデータを書き込む書き込み動作において、読み出し制御部4および書き込み制御部3を制御するとともに、ワード線WLおよびプレート線PLを駆動する。例えば、読み出し動作は、読み出しコマンドに基づいて実行され、書き込み動作は、書き込みコマンドに基づいて実行される。
後述するように、強誘電体キャパシタCを有するメモリセル1に保持されたデータは、読み出し動作により破壊される。すなわち、強誘電体キャパシタCを有するメモリセル1に保持されたデータは、破壊読み出しされる。例えば、この実施形態では、動作制御部2は、読み出し動作により破壊読み出しされたデータが正しいか否かを判定し、正しいデータを再書き込みする。例えば、メモリセル1に論理1/論理0の一方を書き込む動作を、読み出し動作の前半に実行される読み出しサイクル中に含ませ、メモリセル1に論理1/論理0の他方を書き込む動作を、読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクル中に含ませる。
動作制御部2は、読み出しサイクルにおいて、メモリセル1からデータを読み出した後に、例えば、論理0のデータをメモリセル1に書き込む。なお、メモリセル1には、予めデータが書き込まれているとする。例えば、データは、半導体記憶装置100の出荷前のテスト工程でメモリセル1に予め書き込まれてもよい。
動作制御部2は、メモリセル1に保持させる正しい論理が論理1である場合、読み出し動作における読み出しサイクル後の書き込みサイクルで、メモリセル1に論理1を書き込む。動作制御部2は、メモリセル1に保持させる正しい論理が論理0である場合、読み出し動作における読み出しサイクル後の書き込みサイクルで、メモリセル1への書き込みを実行しない。論理0は、第1論理の一例であり、論理1は、第2論理の一例である。
書き込み制御部3は、書き込みサイクルにおいて、動作制御部2から出力される書き込みデータWDTに基づいて、ビット線BLの論理を設定する。読み出し制御部4は、読み出しサイクルにおいて、各ビット線BLの電圧と参照電圧VREFとを比較し、各メモリセル1が保持するデータの論理を読み出しデータRDTとして判定部5に出力する。例えば、参照電圧VREFは、2つの分極状態の強誘電体キャパシタCに応じてそれぞれ設定される読み出しビット線の2つの電圧の中間電圧に設定される。半導体記憶装置100は、参照電圧VREFを生成するための参照専用の強誘電体キャパシタを有してもよい。
判定部5は、例えば、読み出し制御部4から出力される複数ビットの読み出しデータRDTが正しいか否かを判定し、読み出しデータRDTに誤りがある場合、誤りを訂正した正しいデータCDTを出力する。誤りがない場合、読み出しデータRDTが正しいデータCDTとして出力される。例えば、データの信頼性を向上するために複数のメモリセル1に同じ論理のデータを冗長に保持する場合、判定部5は、奇数個の読み出しデータRDTの論理のうち、数が多い論理を正しいデータCDTとする多数決処理を実行する多数決回路でもよい。
また、データと、データを訂正する誤り検出訂正符号とが複数のメモリセル1に保持される場合、判定部5は、メモリセル1に保持されたデータの誤りを検出して訂正し、正しいデータCDT(データ+誤り検出訂正符号)を生成する誤り検出訂正回路でもよい。動作制御部2は、判定部5から出力される正しいデータCDTに論理1が含まれる場合、書き込みサイクルにおいて、対応するメモリセル1に論理1のデータを書き込む制御を実行する。
図2は、図1の半導体記憶装置100の読み出し動作の一例を示す。すなわち、図2は、半導体記憶装置100のデータ読み出し方法の一例を示す。ワード線WL、プレート線PLおよびビット線BLの電圧は、動作制御部2による制御により設定される。図2に示す読み出し動作は、読み出しサイクル、判定処理および書き込みサイクルを含む。例えば、図2に示す読み出し動作は、半導体記憶装置100の電源の起動時に、半導体記憶装置100内のレジスタ等に初期設定するパラメータ等をメモリセル1から読み出すために実行されてもよい。なお、図2に示す読み出し動作は、半導体記憶装置100の電源の起動後の通常のアクセス動作において、メモリセル1からデータを読み出すために実行されてもよい。
まず、メモリセル1からデータを読み出す読み出しサイクルでは、ビット線BLがフローティング状態のロウレベルに設定された後、ワード線WLとプレート線PLとが順次ハイレベルに設定される(図2(a)、(b))。図2において、ロウレベルは、第1レベルの一例であり、ハイレベルは、第2レベルの一例である。フローティング状態のビット線BLは、強誘電体キャパシタCの分極状態に応じた電圧に設定される(図2(c)、(d))。
ビット線BLが分極状態に応じた電圧に設定された後、例えば、転送トランジスタTのソース、ドレイン間抵抗を下げるため、ワード線WLの電圧はさらに高いハイレベル電圧に設定される(図2(e)、(f))。ワード線WLのハイレベル電圧は、半導体記憶装置100に含まれる図示しない電圧生成回路により生成されてもよく、半導体記憶装置100の外部から供給されてもよい。
次に、読み出し制御部4は、ビット線BLと参照電圧VREFとの電圧差を差動増幅する。強誘電体キャパシタCが論理1(例えばハイレベル)を保持する場合、差動増幅によりビット線BLはハイレベルに上昇する(図2(g))。強誘電体キャパシタCが論理0(例えばロウレベル)を保持する場合、差動増幅によりビット線BLはロウレベルに下降する(図2(h))。読み出し制御部4は、ビット線BLのレベルに対応する論理の読み出しデータRDTを出力する。
アクセス時間は、半導体記憶装置100が読み出しコマンド(読み出しアクセス要求)を受信して読み出しサイクルを開始してから、読み出し制御部4が読み出しデータRDTを出力するまでの時間である。アクセス時間は、メモリセル11からデータを読み出す読み出し期間の一例である。
読み出しサイクルでは、この後、ワード線WLおよびプレート線PLをハイレベルに維持した状態で、ビット線BLがロウレベルに設定される(図2(i)、(j))。これにより、メモリセル1から読み出したデータの論理にかかわりなく、メモリセル1(すなわち、強誘電体キャパシタC)に論理0が書き込まれる(”0”書き込み期間)。すなわち、破壊読み出しとなる読み出しサイクルにおいて、論理1が読み出された場合に、論理1の再書き込みを実行しない。このため、本実施形態では、破壊読み出しされるメモリセル1の読み出し動作において、読み出しサイクルが論理0の再書き込み期間と論理1の再書き込み期間との両方を含む場合に比べて、読み出しサイクル時間を短縮することができる。
判定部5は、例えば、読み出し制御部4から出力される複数ビットの読み出しデータRDTに基づいて、データが正しいか否かの判定処理を実行し、正しいデータCDTを動作制御部2に出力する(図2(k))。なお、半導体記憶装置100は、読み出しデータRDTを受信してから判定部5による判定が実行されるまでの期間、読み出しデータRDTを保持するデータ保持部を有してもよい。
次に、動作制御部2は、複数ビットの正しいデータCDTのうち、論理1のデータCDTを保持させるメモリセル1の強誘電体キャパシタCに論理1を書き込むための書き込みサイクルを実行する。また、動作制御部2は、書き込みサイクルおいて、複数ビットの正しいデータCDTのうち、論理0のデータCDTを保持させるメモリセル1の強誘電体キャパシタCに対して、強誘電体キャパシタCが既に保持している論理0を維持する制御を実行する。
例えば、書き込みサイクルでのワード線WLの波形は、読み出しサイクルでのワード線WLの波形と同じである。書き込みサイクルでは、プレート線PLは、ロウレベル”0”に設定される(図2(l)、(m))。
強誘電体キャパシタCに論理1を書き込む場合、ビット線BLがハイレベルに設定される(図2(n))。これにより、プレート線PLの電圧に対するビット線BLの電圧の差が強誘電体キャパシタCに印加され、強誘電体キャパシタCの分極状態が論理1を示す状態に変化する。そして、ビット線BLがロウレベルに戻された後、ワード線WLがロウレベルに戻されることで、強誘電体キャパシタCに論理1が書き込まれる。
一方、強誘電体キャパシタCが保持する論理0を維持する場合、ビット線BLは、ロウレベルに設定される(図2(o))。この場合、強誘電体キャパシタCの電極間の電圧差は0Vに維持されるため、強誘電体キャパシタCの分極状態は変化せず、読み出しサイクルで論理0が書き込まれた強誘電体キャパシタCは、論理0を保持し続ける。
本実施形態の読み出し動作における書き込みサイクルでは、論理1の書き込みのみを実行し、論理0の書き込みを実行しない。このため、書き込みサイクルが論理1の書き込み期間と論理0の書き込み期間との両方を含む場合に比べて、書き込みサイクル時間を短縮することができる。また、書き込みサイクルでプレート線PLが駆動されないため、プレート線PLを駆動する場合に比べて、書き込みサイクルの消費電力を削減することができる。
図3は、図1に示した強誘電体キャパシタCのヒステリシスループの一例を示す。図3の横軸は、強誘電体キャパシタCに印加される印加電圧V[V]を示し、図3の縦軸は、強誘電体キャパシタCの誘電分極値(残留分極値)Q[μC/μm2]を示す。例えば、ヒステリシスループにおいて、データの書き込みと読み出しとを繰り返す場合、分極状態は、反時計回りで変化する。以下の説明では、ワード線WLはハイレベルに設定されているものとする。このため、プレート線PLおよびビット線BLの電圧が、強誘電体キャパシタCに印加される電圧になる。
例えば、印加電圧Vは、ビット線BLの電圧VBLに対するプレート線PLの電圧VPLの差(VPL−VBL)である。プレート線PLとビット線BLとがともにロウレベル(例えば、0V)の場合、強誘電体キャパシタCの分極状態(残留分極状態)は、論理1の保持状態に対応する黒丸(”A”)、または論理0の保持状態に対応する白丸(”B”)に位置する。
ビット線BLがロウレベルのフローティング状態に設定され、プレート線PLがハイレベル(例えば、電源電圧)に設定された場合、強誘電体キャパシタCの分極状態は”C”になる。”A”の分極状態(VBL=0V)においてプレート線PLがハイレベルに変化した場合、破線の矢印AR1に沿って分極状態が”C”まで変化する。”B”の分極状態(VBL=0V)においてプレート線PLがハイレベルに変化した場合、破線の矢印AR2に沿って分極状態が”C”まで変化する。分極状態”C”は、メモリセル1からデータを読み出す読み出し状態であり、あるいは、メモリセル1に論理0を書き込む書き込み状態である。
例えば、読み出しサイクルにおいて、メモリセル1から論理1が読み出される場合、ビット線BLには、分極状態”C”の誘電分極値と分極状態”A”の誘電分極値との差に対応する電荷量(Pタームとも称する)が現れる。一方、メモリセル1から論理0が読み出される場合、ビット線BLには、分極状態”C”の誘電分極値と分極状態”B”の誘電分極値との差に対応する電荷量(Uタームとも称する)が現れる。そして、図1に示した読み出し制御部4は、ビット線BLに現れた電荷量に対応して変化するビット線BLの電圧を参照電圧VREFと比較することで、メモリセル1に保持されている論理を判定する。
その後、プレート線PLがロウレベルに変化すると、分極状態は、矢印AR2の逆向きに沿って移動し、”B”になる。すなわち、Pタームの読み出しでは、分極状態が反転するため、メモリセル11からの”1”読み出しは、破壊読み出しとなる。
一方、プレート線PLがロウレベルに設定され、ビット線BLがハイレベルに設定された場合、強誘電体キャパシタCの分極状態は”D”になる。”A”の分極状態(VPL=0V)においてビット線BLがハイレベルに変化した場合、破線の矢印AR3に沿って分極状態が”D”まで変化する。”B”の分極状態(VBL=0V)においてビット線BLがハイレベルに変化した場合、破線の矢印AR4に沿って分極状態が”D”まで変化する。
分極状態”D”は、メモリセル1に論理1を書き込む書き込み状態である。この後、ビット線BLがロウレベルに戻されると、分極状態は、矢印AR3の逆向きに沿って移動し、”A”になり、メモリセル1に論理1が書き込まれる。
以上、図1から図3に示す実施形態では、読み出し動作の前半に実行される読み出しサイクルにおいて強誘電体キャパシタCに論理0のみを書き込む。このため、論理0の再書き込み期間と論理1の再書き込み期間との両方を含む場合に比べて、読み出しサイクル時間を短縮することができる。また、読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクルにおいて、強誘電体キャパシタCに論理1のみを書き込む。このため、論理1の書き込み期間と論理0の書き込み期間との両方を含む場合に比べて、書き込みサイクル時間を短縮することができる。したがって、破壊読み出しされるメモリセル1を含む半導体記憶装置100の読み出し動作において、正しいデータを判定して再書き込みする場合に、読み出し動作時間を短縮することできる。換言すれば、メモリセル1からのデータの読み出した後、データの誤りを訂正して同じメモリセル1に訂正したデータを書き込む場合、データの読み書きに掛かる時間を短縮することができる。
また、読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクルではプレート線PLを駆動しないため、書き込みサイクルでプレート線PLを駆動する場合に比べて消費電力を削減できる。さらに、プレート線PLを駆動しないため、例えば、プレート線PLの駆動により発生する電源ドロップの発生を抑止することができ、書き込みサイクルにおいて、強誘電体キャパシタCの誘電分極値を所定の値に設定することができる。この結果、メモリセル1に保持されるデータの信頼性を向上することができる。
図4は、別の実施形態における半導体記憶装置の一例を示す。図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。例えば、図4に示す半導体記憶装置100Aは、強誘電体メモリである。図4の白丸は、半導体記憶装置100Aの外部端子を示す。
半導体記憶装置100Aは、マトリックス状に配置された複数のメモリセル11を含むメモリセルアレイ10、動作制御部12、ローデコーダ14、ワード線ドライバ16、プレート線ドライバ18、アドレス入力部20およびデータ入出力部22を有する。また、半導体記憶装置100Aは、電源検出部24、コラムスイッチ26、コラムデコーダ28、センスアンプ30、ライトアンプ32、データ保持部34および多数決部36を有する。
動作制御部12、ローデコーダ14、ワード線ドライバ16、プレート線ドライバ18およびセンスアンプ30は、読み出し制御部の一例である。動作制御部12、ローデコーダ14、ワード線ドライバ16、プレート線ドライバ18およびライトアンプ32は、書き込み制御部の一例である。多数決部36は、判定部の一例である。
この実施形態のメモリセル11は、2T2Cタイプであり、2つの転送トランジスタT1、T2と2つの強誘電体キャパシタC1、C2とを有する。そして、各メモリセル11において、強誘電体キャパシタC1、C2の一方の残留分極値は、図3の分極状態”A”に設定され、強誘電体キャパシタC1、C2の他方の残留分極値は、図3の分極状態”B”に設定される。これにより、各メモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2は、相補の論理を保持する。なお、メモリセル11は、1T1Cタイプでもよい。この場合、センスアンプ30は、ビット線BL、/BLの一方の電圧を参照電圧と比較することで、メモリセル11からデータを読み出す。
図4の横方向に並ぶメモリセル11は、共通のn本のワード線WL(WL1−WLn)のいずれか、または共通の3本のワード線iWL(iWL1−iWL3)のいずれかに接続される。また、図4の横方向に並ぶメモリセル11は、共通のn本のプレート線PL(PL−PLn)のいずれか、または共通の3本のプレート線iPL(iPL1−iPL3)のいずれかに接続される。図4の縦方向に並ぶメモリセル11は、共通のm組の相補のビット線対BL、/BL(BL1−BLm、/BL1−/BLm)のいずれかに接続される。
n本のワード線WLおよびn本のプレート線PLに接続されるメモリセル11は、第2のメモリセルの一例であり、例えば、半導体記憶装置100Aを搭載するユーザシステム等によりアクセスされる。3本のワード線iWLおよび3本のプレート線iPLに接続されるメモリセル11は、第1のメモリセルの一例であり、例えば、半導体記憶装置100Aの初期設定等に使用するデータを保持し、ユーザによるアクセスは許可されていない。
例えば、ワード線iWLおよびプレート線iPLに接続されるメモリセル11には、半導体記憶装置100Aの製造工程(テスト工程)で所定のデータが書き込まれる。例えば、所定のデータは、半導体記憶装置100A内で生成する各種電圧や信号タイミング等を調整する調整データ(トリミングデータ)、またはアクセスできない不良のメモリセル11を示す不良アドレスを示すデータである。不良アドレスを示すデータは、不良のメモリセル11に代えて、図示しない冗長メモリセルにアクセスするための切り替えに使用される。不良アドレスは、メモリセル11のアドレスに限定されず、例えば、ワード線WLに割り当てられたアドレスまたはビット線対BL、/BLに割り当てられたアドレスでもよい。
各メモリセル11において、転送トランジスタT1、T2のゲートは、ワード線WLまたはワード線iWLに接続される。転送トランジスタT1のソース・ドレインの一方は、ビット線BLに接続され、転送トランジスタT1のソース・ドレインの他方は、強誘電体キャパシタC1の一端に接続される。強誘電体キャパシタC1の他端は、プレート線PLまたはプレート線iPLに接続される。転送トランジスタT2のソース・ドレインの一方は、ビット線/BLに接続され、転送トランジスタT2のソース・ドレインの他方は、強誘電体キャパシタC2の一端に接続される。強誘電体キャパシタC2の他端は、プレート線PLまたはプレート線iPLに接続される。
ワード線WL、iWLは、ワード線ドライバ16に接続され、プレート線PL、iPLは、プレート線ドライバ18に接続される。ビット線対BL、/BLは、コラムスイッチ26を介してセンスアンプ30およびライトアンプ32に接続される。
動作制御部12は、制御端子CTLで受ける制御信号CTLに基づいて、読み出し動作および書き込み動作等を制御する。例えば、制御信号CTLは、メモリセル11からデータを読み出す読み出しコマンドまたはメモリセル11にデータを書き込む書き込みコマンド等を示す。以下では、読み出しコマンドおよび書き込みコマンドは、アクセスコマンドとも称される。
動作制御部12は、アクセスコマンドの受信に基づいて、ローデコーダ14、アドレス入力部20、データ入出力部22、センスアンプ30、ライトアンプ32およびコラムデコーダ28の動作を制御する制御信号(タイミング信号)を生成する。半導体記憶装置100Aがユーザシステム等に搭載される場合、半導体記憶装置100Aは、例えば、ユーザシステム上のCPU(Central Processing Unit)等が実行するユーザプログラムのロード命令およびストア命令に基づいてアクセスされる。
また、動作制御部12は、パワーオンリセット信号PORに基づいて、ローデコーダ14、データ入出力部22、センスアンプ30、ライトアンプ32、コラムデコーダ28、データ保持部34および多数決部36の動作を制御する制御信号を生成する。この実施形態では、動作制御部12は、パワーオンリセット信号PORの生成に基づいて、制御信号CTLを受けることなく、ワード線iWLに接続されるメモリセル11の読み出し動作を実行する。
なお、ワード線iWLに接続されるメモリセル11へのデータの書き込み動作は、例えば、半導体記憶装置100Aの動作モードをテストモードに設定した状態で実行される。例えば、テストモードは、半導体記憶装置100Aの図示しない空き端NC(Not Connect)に所定の電圧を印加した状態で電源を起動することで設定されてもよく、テストコマンドに基づいて設定されてもよい。例えば、テストモードでの書き込み動作は、制御端子CTLに制御信号CTL(書き込みコマンド)を供給することで実行される。
ローデコーダ14は、アクセスコマンドに基づいて動作制御部12から出力される制御信号とアドレス入力部20から出力されるアドレスとに基づいて、ワード線WLのいずれかをワード線ドライバ16に駆動させる制御信号を出力する。また、ローデコーダ14は、アクセスコマンドに応答して動作制御部12から出力される制御信号とアドレス入力部20から出力されるアドレスとに基づいて、プレート線PLのいずれかをプレート線ドライバ18に駆動させる制御信号を出力する。
さらに、ローデコーダ14は、パワーオンリセット信号PORの生成に基づいて動作制御部12から複数回に分けて出力される制御信号に基づいて、ワード線iWL1−iWL3を順次選択する制御信号を出力する。また、ローデコーダ14は、パワーオンリセット信号PORの生成に基づいて動作制御部12から複数回に分けて出力される制御信号に受け、プレート線iPL1−iPL3を順次選択する制御信号を出力する。
なお、ローデコーダ14は、テストモードでは、例えば、アドレス入力部20を介してアドレス端子ADから受けるアドレス信号ADに応じて、ワード線iWLおよびプレート線iPLを選択するためのデコード動作を実行してもよい。また、ローデコーダ14がワード線とプレート線のペアWL/PL、iWL/iPLのいずれに対するデコード動作を実行するかは、テストモード中に動作制御部12が受信する図示しない選択切り替え信号により決定されてもよい。
ワード線ドライバ16は、ワード線WL、iWLの各々を駆動する複数のドライバ回路を有する。ワード線ドライバ16は、ローデコーダ14からの制御信号に基づいて、ワード線WL、iWLのいずれかを駆動する。
プレート線ドライバ18は、プレート線PL、iPLの各々を駆動する複数のドライバ回路を有する。プレート線ドライバ18は、ローデコーダ14からの制御信号に基づいて、プレート線PL、iPLのいずれかを駆動する。
アドレス入力部20は、アクセスコマンドとともにアドレス端子ADに供給されるアドレス信号ADを受信する。アドレス入力部20は、受信したアドレス信号ADのうちのローアドレス信号をローデコーダ14に出力し、受信したアドレス信号ADのうちのコラムアドレス信号をコラムデコーダ28に出力する。
データ入出力部22は、書き込みコマンドとともにデータ入出力端子I/Oに供給されるデータ信号I/Oを受信し、受信したデータ信号I/Oをライトアンプ32に出力する。データ入出力部22は、読み出しコマンドに基づいてワード線WLのいずれかに接続されたメモリセル11から読み出されたデータをデータ入出力端子I/Oに出力する。さらに、データ入出力部22は、パワーオンリセット信号PORの生成に基づいてワード線iWLのいずれかに接続されたメモリセル11から読み出されたデータをデータ入出力端子I/Oに出力する。
電源検出部24は、電源電圧VDDと接地電圧VSSとに基づいて、半導体記憶装置100Aの電源の起動を検出する。電源検出部24は、電源電圧VDDが所定値まで上昇した場合、パワーオンリセット信号PORを出力する。パワーオンリセット信号PORについては、図11でも説明する。なお、電源電圧VDDおよび接地電圧VSSは、半導体記憶装置100Aの他の回路ブロックにも供給される。なお、半導体記憶装置100Aは、ワード線WL、iWLに供給する昇圧電圧を生成する電圧生成部を有してもよく、昇圧電圧は、半導体記憶装置100Aの外部から供給されてもよい。
センスアンプ30は、読み出し動作時に強誘電体キャパシタC1、C2からビット線対BL、/BLにそれぞれ転送される電荷に応じて生成される電圧の差を差動増幅して、読み出しアクセスされるメモリセル11に保持されたデータの論理を判定する。センスアンプ30は、判定した論理を示すデータをデータ入出力部22に出力する。
ライトアンプ32は、読み出しコマンドに基づく読み出し動作により破壊読み出しされたデータをメモリセル11に再書き込みするために、読み出しサイクルの後半に、ビット線対BL、/BLに相補のデータ(ロウレベルとハイレベル)を出力する。相補のデータの電圧は、例えば、電源電圧VDDと接地電圧VSSである。また、ライトアンプ32は、書き込みコマンドに基づく書き込み動作において、メモリセル11にデータを書き込むために、ビット線対BL、/BLに相補のデータを出力する。
さらに、ライトアンプ32は、パワーオンリセット信号PORに基づく読み出し動作における読み出しサイクルの後半に、ビット線対BL、/BLにロウレベルとハイレベルとをそれぞれ出力する。これにより、データを読み出したメモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2に、読み出したデータの論理にかかわりなく、論理0が書き込まれる。
また、ライトアンプ32は、パワーオンリセット信号PORに基づく読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクルにおいて、アクセス対象のメモリセル11の強誘電体キャパシタC1に論理1を書き込む場合、ビット線BLにハイレベルを出力する。ライトアンプ32は、パワーオンリセット信号PORに基づく読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクルにおいて、アクセス対象のメモリセル11の強誘電体キャパシタC2に論理1を書き込む場合、ビット線/BLにハイレベルを出力する。なお、ライトアンプ32がビット線対BL、/BLに出力するレベルは、多数決部36による多数決の結果に基づいて決定される。
コラムデコーダ28は、読み出しコマンドおよび書き込みコマンドに基づいてアドレス入力部20から受けるコラムアドレス信号により示されるアクセス対象のビット線対BL、/BLを選択するコラム選択信号を出力する。コラムスイッチ26は、コラム選択信号に対応するビット線対BL、/BLとセンスアンプ30とを接続し、または、コラム選択信号に対応するビット線対BL、/BLとライトアンプ32とを接続する。
データ保持部34は、パワーオンリセット信号PORに基づく読み出し動作でメモリセル11から読み出されたデータを保持し、保持したデータを多数決部36に出力する。例えば、データ保持部34は、ワード線iWL1−iWL3に接続された3×m個のメモリセル11から読み出されるデータを保持する記憶容量を有する。
多数決部36は、データ保持部34に保持されたデータのうち、共通のビット線対BL、/BLを介して読み出された3つのデータの多数決を取り、多数決により正しいデータの論理を決定する。すなわち、多数決部36は、ワード線iWL1−iWL3に接続された3つのメモリセル11に保持されたデータの誤りを検出する。多数決部36は、決定した正しいデータの論理を、メモリセル11に書き込むためにライトアンプ32に出力する。多数決処理については、図9で説明する。
図5は、図4の半導体記憶装置100Aの起動時に実行される読み出し動作の一例を示す。図5に示す動作は、電源検出部24によりパワーオンリセット信号PORが生成されたことに基づいて開始される。
起動時の読み出し動作では、所定回数の読み出しサイクルによりデータが読み出された後、多数決処理により正しいデータの論理が判定され、判定された正しいデータが所定回数の書き込みサイクルによりメモリセル11に書き込まれる。すなわち、メモリセル11に保持されたデータの誤りが訂正される。図5の上側の波形は、半導体記憶装置100Aの読み出し動作の例を示す。図5の下側の波形は、他の半導体記憶装置(強誘電体メモリ)の読み出し動作の例を示す。例えば、他の半導体記憶装置は、図4のメモリセルアレイ10と同じメモリセルアレイを有する。すなわち、他の半導体記憶装置のメモリセル11は、2T2Cタイプである。
上側の波形における読み出しサイクルは、図2の読み出しサイクルのワード線WLおよびプレート線PLを、ワード線iWLおよびプレート線iPLとし、図2の読み出しサイクルのビット線BLをビット線BL1またはビット線/BL1としたものである。上側の波形における書き込みサイクルは、図2の書き込みサイクルのワード線WLおよびプレート線PLを、ワード線iWLおよびプレート線iPLとし、図2の書き込みサイクルのビット線BLをビット線BL1またはビット線/BL1としたものである。
図5において、符号1Rは、強誘電体キャパシタC1(またはC2)から論理1が読み出されることを示し、符号0Rは、強誘電体キャパシタC1(またはC2)から論理0が読み出されることを示す。符号1Wは、強誘電体キャパシタC1(またはC2)に論理1が書き込まれることを示し、符号0Wは、強誘電体キャパシタC1(またはC2)に論理0が書き込まれることを示す。図5では、説明を分かりやすくするために、プレート線iPLの波形を破線で示している。
例えば、半導体記憶装置100Aは、各ビット線対BL、/BLとワード線iWL1−iWL3とに接続される3つのメモリセル11に共通のデータを冗長に保持し、3つのメモリセル11から読み出されたデータの多数決を取ることで、データの信頼性を向上する。したがって、半導体記憶装置100Aは、3つのワード線iWL1−iWL3に接続された3×m個のメモリセル11に、起動時の設定処理に使用するmビットのデータを保持可能である。
複数のワード線iWL1−iWL3に接続されたメモリセル11にデータを冗長に保持することで、例えば、ワード線iWL1−iWL3のいずれかにショート不良等が発生した場合にも、メモリセル11からデータを読み出すことができる。例えば、ショート不良が発生したワード線iWL1に接続されたメモリセル11から誤ったデータが読み出され、ショート不良等が発生してないワード線iWL2−iWL3に接続されたメモリセル11から正しいデータが読み出される。多数決部36は、1つの誤ったデータと2つの正しいデータとの多数決を取ることで、正しいデータを判定することができる。
これに対して、1つのワード線iWLに接続されたメモリセル11にデータを冗長に保持する場合、ワード線iWLにショート不良がある場合、データの読み出し不良が発生する。したがって、この実施形態では、1つのワード線iWLに接続されたメモリセル11にデータを冗長に保持する場合に比べて、半導体記憶装置100Aの信頼性を向上することができる。
図5は、ワード線iWL1−iWL3に接続されるメモリセル11のうち、ビット線対BL1、/BL1に接続される3つのメモリセル11からデータを読み出す例を示す。なお、実際には、ワード線iWL1−iWL3に接続される全てのメモリセル11に対して、図5に示す動作が実行される。例えば、ワード線iWL1−iWL3とビット線対BL1、/BL1とに接続される3つのメモリセル11は、論理1、論理1、論理0をそれぞれ記憶しているとする。
各メモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2は、相補のデータに対応する残留分極値をそれぞれ保持する。このため、ワード線iWL1−iWL3とビット線対BL1、/BL1とに接続される3つのメモリセル11の強誘電体キャパシタC1は、論理1、論理1、論理0に対応する残留分極値に設定されている。ワード線iWL1−iWL3とビット線対BL1、/BL1とに接続される3つのメモリセル11の強誘電体キャパシタC2は、論理0、論理0、論理1に対応する残留分極値に設定されている。
まず、3つの読み出しサイクルにより、ワード線iWL1、iWL2、iWL3に接続された3つのメモリセル11からデータ(論理1、論理1、論理0)が順次読み出され、データ保持部34に順次保持される。この実施形態では、メモリセル11毎に、強誘電体キャパシタC1、C2から相補のデータ(”0R”と”1R”)が読み出される。
この後、プレート線iPL1をハイレベルに維持した状態でビット線BL1、/BL1の両方をロウレベルに設定することで、強誘電体キャパシタC1、C2の両方に論理0が書き込まれる(”0W”)。したがって、データを読み出した各メモリセル11は、論理0、論理1のいずれでもない無効な論理を保持する。強誘電体キャパシタC1、C2に書き込まれる論理0は、第1論理の一例である。図5の上側の読み出しサイクルは、図2の読み出しサイクルに対応し、強誘電体キャパシタC1、C2に書き込む期間は、”0”書き込み期間である。
各メモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2の両方に論理0が書き込まれるため、各読み出しサイクルは、論理0の書き込み期間”0W”のみを含み、論理1の書き込み期間”1W”を含まない。これにより、論理0の書き込み期間”0W”と論理1の書き込み期間”1W”との両方を読み出しサイクルに含む後述する他の半導体記憶装置の読み出しサイクルに比べて、読み出しサイクル時間を短縮することができる。
次に、多数決部36は、データ保持部34に保持された3つのデータの多数決処理を行い、論理1が正しいと判定する。多数決部36が実行する多数決処理は、図2の判定処理に対応する。例えば、多数決部36は、データ保持部34に保持された誤った論理を正しい論理に置き換える。多数決部36によるデータの誤り検出は、例えば、誤り検出訂正符号を用いたデータの誤り検出に比べて簡易な回路で実行することができる。これにより、半導体記憶装置100Aの回路規模の増大を抑制することができる。また、多数決部36が判定に使用するデータをデータ保持部34に保持することで、複数のリードサイクルを使用して判定に使用するデータがメモリセル11から読み出される場合にも、データを失うことなく保持することができる。
なお、多数決処理は、3以上の奇数個のデータを用いて実行されてもよい。例えば、5つのデータの多数決処理を実行する場合、読み出し動作において、5つの読み出しサイクルと5つの書き込みサイクルとが実行される。この場合、5つのデータを保持するメモリセル11は、5つのワード線iWLにそれぞれ接続されてもよく、3つまたは4つのワード線iWLに分散して接続されてもよい。
多数決処理の後、3つの書き込みサイクルにより、ワード線iWL1、iWL2、iWL3に接続された3つのメモリセル11に、多数決部36が正しいと判定した論理(この例では、論理1)を書き込む書き込みサイクルが実行される。図5の上側の書き込みサイクルは、図2の書き込みサイクルに対応しており、プレート線iPLをロウレベルに維持した状態で、論理1を書き込む強誘電体キャパシタC1(またはC2)に接続されたビット線BL(または/BL)がハイレベルに設定される。図5の上側の波形において、ロウレベルは、第1レベルの一例であり、ハイレベルは第2レベルの一例である。
多数決処理を実行する前の読み出しサイクルにより、論理0(図3の分極状態”B”)が3つのメモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2の両方に書き込まれている。このため、半導体記憶装置100Aは、3つの書き込みサイクルの各々において、強誘電体キャパシタC1のみに論理1を書き込み、強誘電体キャパシタC2の論理0の分極状態を維持することで、メモリセル11に正しい論理(論理1)を書き込むことができる。
このように、各書き込みサイクルは、論理1の書き込み期間”1W”のみを含み、論理0の書き込み期間”0W”を含まない。したがって、論理0の書き込み期間”0W”と論理1の書き込み期間”1W”との両方を書き込みサイクルに含む他の半導体記憶装置の書き込みサイクルに比べて、書き込みサイクル時間を短縮することができる。
一方、図5の下側に示す他の半導体記憶装置の各読み出しサイクルでは、強誘電体キャパシタC1、C2からそれぞれ読み出した論理0または論理1が、強誘電体キャパシタC1、C2に再書き込みされる。強誘電体キャパシタC1、C2に相補の論理を記憶する場合、各読み出しサイクルの後半で、メモリセルに保持されていたデータの論理に応じて、強誘電体キャパシタC1、C2に論理0、論理1のいずれかが書き戻される。このため、読み出しサイクルは、論理0の書き込み期間”0W”と論理1の書き込み期間”1W”との両方を含む。多数決処理は、半導体記憶装置100Aの多数決処理と同様である。書き込み期間”0W”は、第1の期間の一例であり、書き込み期間”1W”は、第2の期間の一例である。
また、他の半導体記憶装置の各書き込みサイクルでは、多数決処理の結果に基づいて、強誘電体キャパシタC1、C2が保持している論理を反転(すなわち、分極反転)させる場合がある。このため、書き込みサイクルは、論理0の書き込み期間”0W”と論理1の書き込み期間”1W”との両方を含む。
なお、図4のワード線WLに接続されたメモリセル11の読み出し動作の波形は、図5の下側の読み出しサイクルの各々の波形と同様である。すなわち、最初の読み出しサイクルのワード線iWL1、プレート線iPL1およびビット線BL1、/BL1を、ワード線WL、プレート線PLおよびビット線BL、/BLに置き換えたものと同様である。また、図4のワード線WLに接続されたメモリセル11の書き込み動作の波形は、図5の下側の書き込みサイクルの各々の波形と同様である。すなわち、最初の書き込みサイクルのワード線iWL、プレート線iPLおよびビット線BL1、/BL1を、ワード線WL、プレート線PLおよびビット線BL、/BLに置き換えたものと同様である。
図4のワード線WLに接続されたメモリセル11の読み出しアクセスは、冗長データを使用しない通常の信頼性を有するデータアクセスである。一方、図4のワード線iWLに接続されたメモリセル11の読み出しアクセスは、冗長データを使用した通常より高い信頼性を有するデータアクセスである。このように、動作制御部12は、アクセスするメモリセル11に応じて、通常の信頼性を有するデータアクセスと、通常より高い信頼性を有するメモリアクセスとを実行することができる。
図6および図7は、図4の半導体記憶装置100Aの起動時に実行される読み出しサイクルでの分極状態の変化の一例を示す。図6および図7において、左側の欄が強誘電体キャパシタC1およびビット線BLを示す場合、右側の欄は、強誘電体キャパシタC2およびビット線/BLを示す。左側の欄が、強誘電体キャパシタC2およびビット線/BLを示す場合、右側の欄は、強誘電体キャパシタC1およびビット線BLを示す。以下では、強誘電体キャパシタC1、C2を単に強誘電体キャパシタとも称し、ビット線BL、/BLを単にビット線とも称する。
図6(A)は、ワード線iWLがロウレベルLまたはハイレベルHの状態で、プレート線iPLおよびビット線BLがロウレベルLの状態の場合の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。強誘電体キャパシタが論理1を保持する場合、分極状態は、図3の”A”であり、強誘電体キャパシタが論理0を保持する場合、分極状態は、図3の”B”である。
図6(B)は、図6(A)の状態の後、ワード線iWLがハイレベルH、ビット線BLがロウレベルLのフローティング状態FLTで、プレート線iPLがハイレベルHに設定された場合の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。強誘電体キャパシタの分極状態は、残留分極値にかからわらず、図3の”C”に変化する。論理1を保持する強誘電体キャパシタでは、Pタームの電荷量がビット線に転送され、ビット線の電圧が上昇する。論理0を保持する強誘電体キャパシタでは、Uタームの電荷量がビット線に転送され、ビット線の電圧が上昇する。
Pタームの電荷量が転送されるビット線の電圧は、Uタームの電荷量が転送されるビット線の電圧よりも上昇する。各メモリセル11の一対の強誘電体キャパシタC1、C2は、Pタームに対応する分極状態とUタームに対応する分極状態とにそれぞれ設定されている。このため、一対の強誘電体キャパシタC1、C2に接続されたビット線対BL、/BLの電圧差をセンスアンプ30で増幅することで、メモリセル11に保持されたデータが読み出される。
なお、論理1を保持するメモリセル11では、強誘電体キャパシタC1は、Pタームに対応する分極状態に設定され、強誘電体キャパシタC2は、Uタームに対応する分極状態に設定される。一方、論理0を保持するメモリセル11では、強誘電体キャパシタC1は、Uタームに対応する分極状態に設定され、強誘電体キャパシタC2は、Pタームに対応する分極状態に設定される。
図6(C)は、図6(B)の状態の後、センスアンプ30の動作により、ビット線BLの電圧がそれぞれ増幅された後の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。論理1を保持する強誘電体キャパシタに対応するビット線は、センスアンプ30の動作によりハイレベルHに変化する。このため、プレート線iPLとビット線との電圧差がなくなり、強誘電体キャパシタCは分極反転し、分極状態は”B”になる。一方、論理0を保持する強誘電体キャパシタに対応するビット線は、センスアンプ30の動作によりロウレベルLに変化する。このため、プレート線iPLとビット線の電圧差は、図6(B)と同じであり、強誘電体キャパシタCの分極状態は”C”に維持される。
図7(A)は、図6(C)の状態の後、ビット線がロウレベルLに設定された場合の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。ビット線がロウレベルLに設定された場合、プレート線iPLとビット線の電圧差は、図6(B)と同じになるため、強誘電体キャパシタの分極状態は”C”になる。このとき、強誘電体キャパシタC(C1、C2の両方)に論理0(Uターム状態)が書き込まれる。
図7(B)は、図7(A)の状態の後、プレート線iPLがロウレベルLに設定された場合の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。プレート線iPLがロウレベルLに設定された場合、プレート線iPLとビット線の電圧差がなくなるため、強誘電体キャパシタC1、C2の分極状態は、ともに”B”になる。
図7(C)は、図7(B)の状態の後、ワード線iWLがロウレベルLに設定された場合の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。ワード線iWLがロウレベルLに設定されることで、読み出しサイクルが完了し、強誘電体キャパシタC1、C2の分極状態は、論理0の書き込み状態である”B”に維持される。
図8は、図4の半導体記憶装置100Aの起動時に実行される書き込みサイクルでの分極状態の変化の一例を示す。図8においても、左側の欄が強誘電体キャパシタC1およびビット線BLを示す場合、右側の欄は、強誘電体キャパシタC2およびビット線/BLを示す。左側の欄が、強誘電体キャパシタC2およびビット線/BLを示す場合、右側の欄は、強誘電体キャパシタC1およびビット線BLを示す。また、強誘電体キャパシタC1、C2を単に強誘電体キャパシタとも称し、ビット線BL、/BLを単にビット線とも称する。
図8(A)は、ワード線iWLがロウレベルLまたはハイレベルHの状態で、プレート線iPLおよびビット線がロウレベルLの状態の場合の強誘電体キャパシタC1、C2の分極状態を示す。強誘電体キャパシタC1、C2の分極状態は、図7に示した読み出しサイクルにおいて、論理0の書き込み状態である”B”に維持されている。
図8(B)は、多数決部36による判定結果に基づいて、3つのメモリセル11が保持する論理を正しい値に設定する場合の強誘電体キャパシタの分極状態を示す。例えば、メモリセル11に保持する正しい値が論理1の場合、強誘電体キャパシタC1に論理1が書き込まれ、強誘電体キャパシタC2は、論理0の保持状態に維持される。メモリセル11に保持する正しい値が論理0の場合、強誘電体キャパシタC2に論理1が書き込まれ、強誘電体キャパシタC1は、論理0の保持状態に維持される。
論理1を書き込む強誘電体キャパシタに対応するビット線は、ハイレベルHに設定される。これにより、プレート線iPLとビット線の電圧差(VPL−VBL)は、負電圧になり、強誘電体キャパシタの分極状態は、図3の”D”に変化する。
論理0を維持する強誘電体キャパシタに対応するビット線は、ロウレベルLに維持される。この場合、プレート線iPLとビット線とに電圧差が生じないため、強誘電体キャパシタCの分極状態は、”B”に維持される。
図8(C)は、図8(B)で分極状態を”D”に設定した強誘電体キャパシタに論理1を書き込む場合の分極状態を示す。ビット線をロウレベルLに設定することで、プレート線iPLとビット線との電圧差がなくなり、強誘電体キャパシタの分極状態は”D”から”A”に変化し、論理1が書き込まれる。論理0を維持する強誘電体キャパシタCの分極状態は、図8(B)と同じである。
図8(C)は、ワード線iWLがロウレベルLに設定された場合の強誘電体キャパシタCの分極状態も示している。ワード線iWLがロウレベルLに設定されることで、書き込みサイクルが完了し、各メモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2の分極状態は、一方が”A”に維持され、他方が”B”に維持され、メモリセル11への論理1または論理0の書き込みが完了する。
図9は、図4の多数決部36による多数決処理の一例を示す。図9(A)は、図5と同様に、3つのメモリセル11が論理1、論理1、論理0を保持する例を示す。図9(B)は、3つのメモリセル11が論理0、論理1、論理0を保持する例を示す。
図9(A)において、読み出しサイクルによりワード線iWL1、iWL2、iWL3に接続された3つのメモリセル11から読み出される読み出しデータは、論理1、論理1、論理0である。図9(B)において、読み出しサイクルによりワード線iWL1、iWL2、iWL3に接続された3つのメモリセル11から読み出される読み出しデータは、論理0、論理1、論理0である。
論理1を保持するメモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2は、論理1、論理0をそれぞれ保持している。論理0を保持するメモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2は、論理0、論理1をそれぞれ保持している。
強誘電体キャパシタC1、C2の分極状態に応じてメモリセル11から読み出されたデータは、データ保持部34に保持される。読み出しサイクルにおいてメモリセル11からデータが読み出された後、3つのメモリセル11に保持された論理にかかわりなく、強誘電体キャパシタC1、C2に論理0が書き込まれる。
図9(A)では、多数決部36は、多数決にしたがって、正しいデータが論理1であると判定する。図9(B)では、多数決部36は、多数決にしたがって、正しいデータが論理0であると判定する。
図9(A)では、読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクルにおいて、多数決処理の結果にしたがって強誘電体キャパシタC1に論理1が書き込まれ、論理0を既に書き込み済みの強誘電体キャパシタC2に対する書き込み動作は実行されない。図9(B)では、読み出し動作の後半に実行される書き込みサイクルにおいて、多数決処理の結果にしたがって強誘電体キャパシタC2に論理1が書き込まれ、論理0を既に書き込み済みの強誘電体キャパシタC1に対する書き込み動作は実行されない。
図10は、図4の半導体記憶装置100Aの起動時に実行される読み出し動作の一例を示す。すなわち、図10は、半導体記憶装置100Aのデータ読み出し方法の一例を示す。図10に示す処理は、電源検出部24がパワーオンリセット信号PORを出力したことに基づいて開始される。すなわち、図10に示す処理は、半導体記憶装置100Aに供給される電源電圧VDDが、半導体記憶装置100Aが動作可能な所定値まで上昇したことに基づいて開始される。
まず、ステップS10において、半導体記憶装置100Aは、ワード線iWLのいずれかを選択し、アクセス対象のメモリセル11に保持されたデータを読み出す。次に、ステップS12において、半導体記憶装置100Aは、読み出したデータをデータ保持部34に保持する。
次に、ステップS14において、半導体記憶装置100Aは、データを読み出したメモリセル11の強誘電体キャパシタC1、C2に論理0を書き込む。次に、ステップS16において、半導体記憶装置100Aは、多数決処理するデータが揃った場合、動作をステップS18に移行する。半導体記憶装置100Aは、多数決処理するデータが揃っていない場合、他のワード線iWLに接続されたメモリセル11からデータを読み出すために、動作をステップS10に戻す。
ステップS18において、半導体記憶装置100Aは、多数決部36による多数決処理を実行し、データを読み出したメモリセル11に保持する正しい論理を決定する。次に、ステップS20において、半導体記憶装置100Aは、ステップS18で決定した論理をメモリセル11に書き込むため、ワード線iWLのいずれかを選択し、強誘電体キャパシタC1、C2の一方に論理1を書き込む。次に、ステップS22において、半導体記憶装置100Aは、アクセス対象の全てのメモリセルに正しい論理を書き込んだ場合、動作を終了し、正しい論理を書き込んでいないメモリセルがある場合、動作をステップS20に戻す。
図11は、図4の半導体記憶装置100Aの電源起動時の電源電圧VDDの変化の一例を示す。例えば、半導体記憶装置100Aを動作させるための電源電圧VDDの最小値(仕様)は1.8Vであり、電源電圧VDDは、立ち上げ時に50μs/Vで上昇し、立ち下げ時に100μs/Vで下降する。メモリセル11に対してデータを読み書き可能な保証電圧は、例えば、1.65Vである。なお、保証電圧は、半導体記憶装置100Aの実力値であり、半導体記憶装置100Aを使用するユーザには公開されない。
また、図4の電源検出部24は、例えば、電源電圧VDDが上昇して1.75Vに到達したときに、パワーオンリセット信号PORを出力する。例えば、パワーオンリセット信号PORの電圧は、電源電圧VDDの上昇とともに上昇し、電源電圧VDDが1.75Vに到達したときに、ロウレベルに変化する。パワーオンリセット信号PORの生成タイミング(出力タイミング)は、パワーオンリセット信号PORのロウレベルへの変化タイミングである。
図11に太い実線で示す波形は、電源の起動により電源電圧VDDが1.75Vまで上昇してパワーオンリセット信号PORが生成された後、電源がオフされて電源電圧VDDが下降する例を示す。電源電圧VDDは、100μs/Vで下降するため、パワーオンリセット信号PORが生成されてから保証電圧(1.65V)まで低下する時間Tinitは、10μs程度である。図11に太い破線で示す波形は、電源の起動後、電源電圧VDDが1.8Vまで正常に上昇する例を示す。
半導体記憶装置100Aは、パワーオンリセット信号PORに基づいて、上述した調整データ(トリミングデータ)や不良アドレスをメモリセル11から読み出してレジスタ等に設定する起動処理(初期化処理)を実行する。半導体記憶装置100Aは、起動時の起動処理において、ワード線iWLに接続されたアクセス対象のメモリセル11からデータを読み出して多数決の判定を行い、強誘電体キャパシタC1、C2の一方に論理1を書き込む動作を実行する。
このため、パワーオンリセット信号PORに応答して読み出し動作を開始した後、書き込みサイクルが完了しない場合、メモリセル11に保持しているデータが保証されない。さらに、書き込みサイクルの実行時の電源電圧VDDが1.65Vより低い場合、強誘電体キャパシタC1、C2の論理1の残留分極値(図3の”A”)の絶対値が、規定の値より小さくなるおそれがあり、データの信頼性が低下するおそれがある。
この実施形態では、図5に示したように、読み出し動作時間を短縮することで、時間Tinitの間に読み出し動作を完了できるようにする。これにより、パワーオンリセット信号PORが生成された後、すぐに電源が遮断される場合にも、強誘電体キャパシタC1、C2に論理1を書き込む書き込みサイクルを実行することができ、読み出し動作を完了させることができる。したがって、電源の起動時の読み出し動作により、メモリセル11に保持されているデータが破壊することを抑止できる。
また、電源電圧VDDが1.65V以上のときに書き込みサイクルを実行することで、強誘電体キャパシタC1、C2の残留分極値を規定の値に設定することができる。これにより、メモリセル11からのデータの読み出しマージンの低下を抑制することができ、データが破壊する可能性を低減することができる。さらに、図5の上側の読み出し動作では、図5の下側の読み出し動作に比べて、時間Tinitの間に読み出せるデータ量を増加することができる。
以上、図4から図11に示す実施形態においても、図1から図3に示す実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、破壊読み出しされるメモリセル11からデータを読み出し後、強誘電体キャパシタCに論理0のみを書き込み、読み出し動作の書き込みサイクルで強誘電体キャパシタCに論理1のみを書き込むことで、読み出し動作時間を短縮することできる。
さらに、図4から図11に示す実施形態では、電源の起動時の読み出し動作時間を短縮できるため、余裕を持って初期設定を実行することができ、電源の起動時の読み出し動作により、メモリセル11に保持されているデータが破壊することを抑止できる。この結果、他の半導体記憶装置に比べて初期設定の信頼性を向上することができる。初期設定に掛かる時間を他の半導体記憶装置と同じにする場合、メモリセル11から読み出し可能なデータのビット数を増加することができる。
多数決部36を利用することで、データの誤り検出を、誤り検出訂正符号を用いる場合に比べて簡易な回路で実行することができ、半導体記憶装置100Aの回路規模の増大を抑制することができる。また、多数決部36が判定に使用するデータをデータ保持部34に保持することで、複数のリードサイクルを使用して判定に使用するデータがメモリセル11から読み出される場合にも、データを失うことなく保持することができる。
読み出し動作の後半の書き込みサイクルでプレート線PLが駆動されないため、電源起動時に読み出し動作を実行する場合にも、書き込みサイクルでの電源ドロップを小さくすることができる。これにより、書き込みサイクル後の強誘電体キャパシタC1、C2の残留分極値を所望の値にすることができ、ワード線iWLに接続されたメモリセル11に保持されるデータの信頼性を向上することできる。さらに、半導体記憶装置100Aは、アクセスするメモリセル11に応じて、通常の信頼性を有するデータアクセスと、通常より高い信頼性を有するメモリアクセスとを実行することができる。
図12は、別の実施形態における半導体記憶装置の一例を示す。図1および図4と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。例えば、図12に示す半導体記憶装置100Bは、強誘電体メモリである。
半導体記憶装置100Bは、図4の半導体記憶装置100Aから、ワード線iWLと、プレート線iPLと、ワード線iWLおよびプレート線iPLに接続されたメモリセル11とを削除している。また、半導体記憶装置100Bは、図4の半導体記憶装置100Aから、ワード線iWLおよびプレート線iPLを制御する回路を削除し、電源検出部24を削除している。ワード線WL(WL1−WLn)に接続されるメモリセル11は、第1のメモリセルの一例である。
また、半導体記憶装置100Bは、3の倍数の数のワード線WLおよび3の倍数の数のプレート線PLを有し、多数決部36は、3つのワード線WLに接続されたメモリセル11から読み出されるデータの多数決を取る。すなわち、半導体記憶装置100Bは、電源を起動後の通常動作モードにおいて、半導体記憶装置100Bを搭載するユーザシステム等が生成する制御信号CTLに基づく読み出し動作において、多数決処理を実行する。多数決処理を含む読み出し動作は、図5の上側の波形と同様に実行される。書き込み動作は、図5の下側のライトサイクルの1つの波形と同様に実行される。
さらに、半導体記憶装置100Bは、半導体記憶装置100B内で生成する各種電圧や信号タイミング等を調整する調整データ(トリミングデータ)や、不良のメモリセル11の救済用の不良アドレスがプログラムされるプログラム部38を有する。例えば、プログラム部38は、調整データや不良アドレス等を不揮発に記憶するヒューズ等を有し、半導体記憶装置100Bの製造工程(テスト工程)でプログラムされる。なお、プログラム部38は、図4に示したように、ワード線iWLおよびプレート線iPLに接続される専用のメモリセル11を使用して設けられてもよい。専用のメモリセル11の読み出し動作においても多数決処理が実行される。
以上、図12に示す実施形態においても、図1から図11に示した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、図12に示す実施形態では、ユーザシステム等がアクセスするメモリセル11から読み出されるデータの多数決処理を実行することで、メモリセル11に保持されるデータの信頼性を、多数決処理しない他の半導体記憶装置に比べて向上することができる。
なお、例えば、RFID(Radio Frequency IDdentification)タグ等では、RFIDタグを読み出し機にかざしている間、電源が供給され、電源の供給中に内部メモリの読み書きが実行される。例えば、RFIDに含まれる内部メモリが強誘電体メモリの場合、図5に示した読み出し動作を実行することで、内部メモリに保持されたデータの読み出し時にデータが破壊する可能性を低減することができる。あるいは、電源が供給されている間に、より多くのデータを読み出すことができる。
以上の図1から図12に示す実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
データを記憶する強誘電体キャパシタを含み、データが破壊読み出しされる第1のメモリセルを有する半導体記憶装置のデータ読み出し方法であって、
前記第1のメモリセルからデータを破壊読み出しした後、前記強誘電体キャパシタに第1論理を書き込み、
前記第1のメモリセルから読み出したデータが正しいか否かを判定する判定処理を実行し、
正しいデータに対応して前記強誘電体キャパシタに保持させる論理が前記第1論理と異なる第2論理である場合、前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込むこと、を特徴とする半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記2)
前記半導体記憶装置は、複数の前記第1のメモリセルを有し、
前記判定処理において、複数の前記第1のメモリセルから読み出したデータの多数決を取り、前記正しいデータを判定すること、を特徴とする付記1に記載の半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記3)
前記半導体記憶装置は、複数の前記第1のメモリセルにそれぞれ接続される複数のワード線を有し、
前記複数のワード線を順次選択し、複数の前記第1のメモリセルからデータを順次読み出すこと、を特徴とする付記2に記載の半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記4)
前記第1のメモリセルからのデータの読み出し、前記強誘電体キャパシタへの前記第1論理の書き込み、前記判定処理、および前記強誘電体キャパシタへの前記第2論理の書き込みを、前記半導体記憶装置の電源の起動時の起動処理において実行すること、を特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記5)
前記半導体記憶装置は、前記強誘電体キャパシタの一端に接続されるプレート線と、前記強誘電体キャパシタの他端に接続されるビット線とを有し、
前記第1のメモリセルからデータを読み出す読み出しサイクルは、
前記ビット線を第1レベルのフローティング状態に設定した状態で、前記プレート線を前記第1レベルから第2レベルに設定したときの前記ビット線の電圧の変化に応じて、前記第1のメモリセルからデータを読み出す読み出し期間と、
前記第1のメモリセルから読み出したデータの論理にかかわらず、前記プレート線を前記第2レベルに設定し、前記ビット線を前記第1レベルに設定することで、前記強誘電体キャパシタに前記第1論理を書き込む書き込み期間と、を含むことを特徴とする付記1ないし付記4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記6)
前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込む書き込みサイクルにおいて、
前記プレート線を前記第1レベルに設定し、
前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込む場合、前記ビット線を前記第2レベルに設定し、前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込まない場合、前記ビット線を前記第1レベルに設定すること、を特徴とする付記5に記載の半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記7)
前記半導体記憶装置は、第2のメモリセルを有し、
前記第2のメモリセルからデータを読み出す読み出しサイクルは、
前記第2のメモリセルから読み出したデータが論理0の場合に前記第2のメモリセルに論理0を再書き込みする第1の期間と、
前記第2のメモリセルから読み出したデータが論理1の場合に前記第2のメモリセルに論理1を再書き込みする第2の期間と、を含むことを特徴とする付記1ないし付記6のいずれか1項に記載の半導体記憶装置のデータ読み出し方法。
(付記8)
データを記憶する強誘電体キャパシタを含み、データが破壊読み出しされる第1のメモリセルと、
前記第1のメモリセルからデータを読み出す読み出し制御部と、
前記読み出し制御部が読み出したデータが正しいか否かを判定する判定処理を実行する判定部と、
前記読み出し制御部が前記第1のメモリセルからデータを読み出した後、前記強誘電体キャパシタに第1論理を書き込むとともに、前記判定部が判定した正しいデータに対応して前記強誘電体キャパシタに保持させる論理が前記第1論理と異なる第2論理である場合、前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込む書き込み制御部と、を有することを特徴とする半導体記憶装置。
(付記9)
複数の前記第1のメモリセルをさらに有し、
前記判定部は、複数の前記第1のメモリセルから読み出したデータの多数決を取り、前記正しいデータを判定すること、を特徴とする付記8に記載の半導体記憶装置。
(付記10)
複数の前記第1のメモリセルにそれぞれ接続される複数のワード線をさらに有し、
前記読み出し制御部は、前記複数のワード線を順次選択し、複数の前記第1のメモリセルからデータを順次読み出すこと、を特徴とする付記9に記載の半導体記憶装置。
(付記11)
複数の前記第1のメモリセルから読み出されるデータを保持するデータ保持部をさらに有し、
前記判定部は、前記データ保持部に保持されたデータを用いて判定処理を実行すること、を特徴とする付記10に記載の半導体記憶装置。
(付記12)
電源の起動を検出する電源検出部をさらに有し、
前記第1のメモリセルからのデータの読み出し、前記強誘電体キャパシタへの前記第1論理の書き込み、前記判定処理、および前記強誘電体キャパシタへの前記第2論理の書き込みを、前記電源検出部が前記電源の起動を検出したことに基づいて実行すること、を特徴とする付記8ないし付記11のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記13)
前記半導体記憶装置は、前記強誘電体キャパシタの一端に接続されるプレート線と、前記強誘電体キャパシタの他端に接続されるビット線とを有し、
前記第1のメモリセルからデータを読み出す読み出しサイクルは、
前記ビット線を第1レベルのフローティング状態に設定した状態で、前記プレート線を前記第1レベルから第2レベルに設定したときの前記ビット線の電圧の変化に応じて、前記第1のメモリセルからデータを読み出す読み出し期間と、
前記第1のメモリセルから読み出したデータの論理にかかわらず、前記プレート線を前記第2レベルに設定し、前記ビット線を前記第1レベルに設定することで、前記強誘電体キャパシタに前記第1論理を書き込む書き込み期間と、を含むことを特徴とする付記8ないし付記12のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記14)
前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込む書き込みサイクルにおいて、
前記プレート線を前記第1レベルに固定し、
前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込む場合、前記ビット線を前記第2レベルに設定し、前記強誘電体キャパシタに前記第2論理を書き込まない場合、前記ビット線を前記第1レベルに設定すること、を特徴とする付記13に記載の半導体記憶装置。
(付記15)
第2のメモリセルと、
前記第1のメモリセルのアクセスと、前記第2のメモリセルのアクセスとを制御する動作制御部と、をさらに有し、
前記第2のメモリセルからデータを読み出す読み出しサイクルは、
前記第2のメモリセルから読み出したデータが論理0の場合に前記第2のメモリセルに論理0を再書き込みする第1の期間と、
前記第2のメモリセルから読み出したデータが論理1の場合に前記第2のメモリセルに論理1を再書き込みする第2の期間と、を含むことを特徴とする付記8ないし付記14のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。