JP2020186169A - 窓用積層板、および窓用積層板の製造方法 - Google Patents

窓用積層板、および窓用積層板の製造方法 Download PDF

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芳男 小坂
Yoshio Kosaka
芳男 小坂
正行 佐瀬
Masayuki Sase
正行 佐瀬
孝司 島田
Koji Shimada
孝司 島田
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Abstract

【課題】導電層の形成が容易な窓用積層板の提供。【解決手段】第1透明板、前記第1透明板に対向する第2透明板、ならびに前記第1透明板および前記第2透明板を接合する中間膜を有する車両用合わせ板と、少なくとも一部が前記第1透明板と前記第2透明板との間に配設される導電層と、前記導電層を保持する絶縁シートと含む積層シートと、を有し、前記導電層は、導電線と、前記導電線に給電する給電電極とを有し、且つ一体に形成され、前記積層シートの一部が、前記給電電極と共に、前記車両用合わせ板の内部から外部に取り出され、前記積層シートは、前記車両用合わせ板の上中央部に前記導電線を有し、前記積層シートは、前記車両用合わせ板を加熱する発熱シートである、窓用積層板。【選択図】図7

Description

本発明は、窓用積層板、および窓用積層板の製造方法に関する。
窓用積層板の代表例である車両用の窓ガラスにおいて、合わせガラスと、合わせガラスの内部に配設される導電層とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。導電層は、例えば発熱回路を有し、窓ガラスに付いた氷や雪の融解、結露による窓ガラスの曇りの除去などに用いられる。
特開2012−140086号公報
従来、導電層は、ガラス板の表面の一部に導電ペーストを塗布し、焼成することで形成していた。その場合、導電ペーストとガラス板との熱膨張差に起因する応力がガラス板に生じやすく、強度が低下するおそれがあった。
ところで、このような課題は、窓ガラスの場合のみならず、窓用樹脂板においても同様に生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、強度が低下しにくい窓用積層板の提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
第1透明板、前記第1透明板に対向する第2透明板、ならびに前記第1透明板および前記第2透明板を接合する中間膜を有する車両用合わせ板と、
少なくとも一部が前記第1透明板と前記第2透明板との間に配設される導電層と、前記導電層を保持する絶縁シートと含む積層シートと、
を有し、
前記導電層は、導電線と、前記導電線に給電する給電電極とを有し、且つ一体に形成され、
前記積層シートの一部が、前記給電電極と共に、前記車両用合わせ板の内部から外部に取り出され、
前記積層シートは、前記車両用合わせ板の上中央部に前記導電線を有し、
前記積層シートは、前記車両用合わせ板を加熱する発熱シートである、窓用積層板が提供される。
本発明の一態様によれば、強度が低下しにくい窓用積層板が提供される。
一実施形態による窓ガラスの正面図であって、積層シートの構造を透視して示す図である。 一実施形態による窓ガラスの下部の断面図である。 一実施形態による積層シートの断面図である。 一実施形態による窓ガラスの製造方法を示すフローチャートである。 第1変形例による積層シートの正面図である。 第2変形例による積層シートの正面図である。 第3変形例による積層シートの正面図である。 第4変形例による積層シートの正面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
尚、以下の実施形態において、窓用積層板の一例として、窓ガラスの場合について述べる。
図1は、一実施形態による窓ガラスの正面図であって、積層シートの構造を透視して示す図である。図2は、一実施形態による窓ガラスの下部の断面図である。図3は、一実施形態による積層シートの断面図である。
窓ガラスは、窓に取り付けられる。窓は、建物の窓、乗り物の窓のいずれでもよいが、例えば車両の窓である。窓ガラスは、車両のフロントウィンドガラスであってよい。窓ガラスは、合わせ板としての合わせガラス10と、積層シート20とを有する。
合わせガラス10は、図2に示すように、第1透明板としての第1ガラス板11、第2透明板としての第2ガラス板12、および中間膜13を有する。合わせガラス10は、車両のボディに沿って湾曲している。尚、合わせガラス10は、用途に応じた形状であればよく、平らでもよい。
第1ガラス板11は、第2ガラス板12よりも車外側に配設される。第1ガラス板11および第2ガラス板12は、例えばフロート法などにより板状に成形された後、重力成形またはプレス成形などにより高温で曲げ成形される。第1ガラス板11および第2ガラス板12は、未強化ガラス、強化ガラスのいずれでもよい。強化ガラスは、熱強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよい。
中間膜13は、第1ガラス板11と第2ガラス板12とを接合する。中間膜13は、一般的な樹脂、例えばポリビニルブチラール樹脂(PVB)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などにより形成される。中間膜13は、単層構造、複数層構造のいずれでもよい。
尚、合わせガラス10を構成するガラス板の枚数は、2枚に限定されず、3枚以上でもよい。中間膜13は、3枚以上のガラス板を接合するため、2枚以上用いられてもよい。
積層シート20は、第1ガラス板11と第2ガラス板との間に挿入され、中間膜13によって固定される。積層シート20は、例えば合わせガラス10を加熱する発熱シートであってよい。発熱シートは、窓ガラスに付いた氷や雪の融解に用いられる。氷や雪は窓ガラスの車外側の表面に付くため、第1ガラス板11と中間膜13との間に発熱シートが配設されていると、氷や雪が効率的に融解できる。
尚、本実施形態の発熱シートは、窓ガラスに付いた氷や雪を溶解させるデアイサーとして用いられるが、結露による窓ガラスの曇りを除去するデフォッガーとして用いられてもよい。結露は窓ガラスの車内側の表面に付くため、第2ガラス板12と中間膜13との間に発熱シートが配設されていると、曇りが効率的に除去できる。発熱シートの位置は、目的に応じて変更されてよい。中間膜13が複数層構造の場合、中間膜13の内部に発熱シートが配設されてもよい。
積層シート20は、図1および図3に示すように、複数の導電線21、複数の給電電極22、および複数の絶縁シート23を有してよい。
導電線21は、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配設され、図1に示すように合わせガラス10の内部に配設される。導電線21は、給電によって発熱する発熱回路を形成する。導電線21は、窓ガラスの下縁部と、窓ガラスの側縁部との両方に配設されてよい。
窓ガラスには、ワイパーが取付けられる。ワイパーは、窓ガラスの下縁部の待機位置と、窓ガラスの側縁部の反転位置との間を揺動し、窓ガラスの車外側の表面に付いた雨などの汚れを拭き取る。
導電線21は、窓ガラスの下縁部と、窓ガラスの側縁部との両方に配設されているので、ワイパーの待機位置と反転位置の両方を加熱できる。尚、導電線21は、1つでもよく、例えば窓ガラスの下縁部のみに配設されてもよい。
導電線21は、互いに隣り合う複数の線状部21a、21bと、複数の線状部21a、21bを接続する折返し部21cとを有してよい。導電線21の途中に折返し部21cが形成されることで、複数の給電電極22を合わせガラス10の一箇所にまとめて配置できる。よって、合わせガラス10の一箇所から、複数の給電電極22をまとめて取り出すことができる。
導電線21は、その両端が、隣り合う複数の給電電極22に接続されるループ形状であってよい。導電線21の一端は正の給電電極22に接続され、導電線21の他端は負の給電電極22に接続され、正の給電電極22と負の給電電極22とが隣り合う。
給電電極22は、導電線21に給電する。導電線21の両端部に、それぞれ、給電電極22が形成される。導電線21が複数形成される場合、複数の導電線21が同じ給電電極22を利用してもよい。給電電極22の数を削減できる。
給電電極22は、発熱を抑制するため、導電線21よりも高い導電率を有し、例えば導電線21よりも広い幅を有する。尚、給電電極22は、導電線21よりも高い導電率を有していればよく、例えば導電線21よりも厚い厚さを有してもよい。
複数の導電線21および複数の給電電極22によって導電層が構成される。尚、上述の如く、導電線21の数は1つでもよく、1つの導電線21および複数の給電電極22によって導電層が構成されてもよい。
導電層は、導電性材料で形成され、例えば金属で形成される。金属としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、錫、コバルト、またはこれらの元素のうちの少なくとも1つの元素を含む合金などが用いられる。
導電層は、例えば金属箔をパターン加工して、一体に形成されてよい。この場合、導電層は、図3に示すように接合層24によって絶縁シート23に接合されてよい。接合層24は、例えば接着剤などにより形成される。
尚、導電層は、絶縁シート23の表面に金属膜を成膜することで形成されてもよい。金属膜は、蒸着、スパッタリング、金属ペーストなどの導電ペーストの焼成などにより成膜される。金属膜は、成膜後に所望のパターンに加工されてもよいし、成膜時に所望のパターンに形成されてもよい。前者のパターン加工にはフォトリソグラフィ法やエッチング法などが用いられ、後者のパタ−ン形成にはマスキングテープまたはスクリーン印刷などが用いられる。
絶縁シート23は、絶縁性材料で形成され、例えば樹脂で形成される。樹脂はフレキシブル性に優れる。樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどが用いられる。尚、絶縁シート23は、紙で形成されてもよい。複数の絶縁シート23が用いられる場合、一の絶縁シート23と他の絶縁シート23とは同じ材料で形成されてもよいし異なる材料で形成されてもよい。
絶縁シート23は、導電層を保持する。導電層の形状が維持でき、導電層の損傷が抑制できる。運搬や保管などの取り扱いが容易である。
絶縁シート23は、図1に示すように導電層よりも大きく形成されてよい。つまり、絶縁シート23は、導電層の全体を保持してよい。
絶縁シート23には、図1および図3に示すように貫通穴23aが形成されてもよい。貫通穴23aには中間膜13が入り込み、中間膜13が貫通穴23aを通じて第1ガラス板11と第2ガラス板12とを接合する。貫通穴23aは、図1に示すように隣り合う複数の給電電極22の間に形成されてよい。また、貫通穴23aは、図1に示すように隣り合う複数の線状部21a、21bの間に形成されてよい。また、貫通穴23aは、ループ形状の導電線21の内側に形成されてよい。ここで、導電線21の内側とは、導電線21およびその両端を結ぶ直線からなる境界線の内側を意味する。さらに、貫通穴23aは、不図示の隣り合う複数の導電線21の間に形成されてもよい。例えば、貫通穴23aは、窓ガラスの下縁部において上下方向に並ぶ複数の導電線21の間に配設されてもよい。
絶縁シート23は、複数の給電電極22と共に、合わせガラス10の内部から外部に取り出されてよい。合わせガラス10の外部において、複数の給電電極22の形状を維持でき、複数の給電電極22の損傷を抑制できる。
絶縁シート23は、導電層の片側(例えば車外側または車内側)のみに配設されてもよいが、図3に示すように両側(例えば車外側および車内側)にそれぞれ配設されてもよく、導電層を挟み込んでよい。両側から導電層を保護できる。
複数の絶縁シート23は、シート接合層25により接合されてよい。シート接合層25は、粘着剤などにより形成される。シート接合層25は、導電層に対して剥離可能とされてもよい。絶縁シート23の除去が可能である。シート接合層25には貫通穴25aが形成されてもよい。シート接合層25の貫通穴25aは、絶縁シート23の貫通穴23aとつながっており、中間膜13が入り込む。
一方の絶縁シート23における他方の絶縁シート23との対向面には、剥離剤層26が形成されてもよい。剥離剤層26は、接合層24およびシート接合層25と、一方の絶縁シート23との間に配設され、これらの間での剥離を可能とする。絶縁シート23の除去が可能である。剥離剤層26には貫通穴26aが形成されてもよい。剥離剤層26の貫通穴26aは、絶縁シート23の貫通穴23aとつながっており、中間膜13が入り込む。
尚、本実施形態では、絶縁シート23を除去することなくそのまま窓ガラスに使用するので、接合層24およびシート接合層25に対し一方の絶縁シート23は剥離不能とされてもよく、これらの間に剥離剤層26が形成されなくてもよい。同じ理由で、シート接合層25は導電層に対して剥離不能とされてもよい。絶縁シート23の一部を除去し絶縁シート23の残部を窓ガラスに使用する技術については後述する。
絶縁シート23は、黒色などの暗色に着色されてもよく、不透明であってもよい。導電層を片側または両側から隠すことができる。尚、絶縁シート23が透明である場合、黒色などの暗色の遮蔽層が積層シート20に備えられてもよい。遮蔽層は、導電層の片側または両側に形成されてよい。遮蔽層は、顔料またはメッキなどで形成される。
図4は、一実施形態による窓ガラスの製造方法を示すフローチャートである。窓ガラスの製造方法は、積層工程S11と、接合工程S12とを有する。
積層工程S11では、第1ガラス板11と第2ガラス板12とを中間膜13を介して重ね合せる。このとき、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に、積層シート20が配設される。積層シート20は、第1ガラス板11と中間膜13との間に配設されるが、第2ガラス板12と中間膜13との間に配設されてもよい。また、中間膜13が複数層構造の場合、中間膜13の内部に積層シート20が配設されてもよい。導電線21は第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配設され、給電電極22および絶縁シート23は第1ガラス板11と第2ガラス板12との間から外部に取り出されてよい。
接合工程S12では、熱圧着などにより、第1ガラス板11と第2ガラス板12とを中間膜13により接合させる。このとき、絶縁シート23が、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間において、中間膜13に接合される。これにより、図1および図2に示す窓ガラスが得られる。窓ガラスは、合わせガラス10および積層シート20を有する。
以上説明したように、本実施形態によれば、絶縁シート23は、導電層を保持しており、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間において中間膜13に接合される。よって、従来のように第1ガラス板11の車内側の表面に導電ペーストを塗布し焼成することで導電層を形成する場合とは異なり、導電層の形成に第1ガラス板11よりも大きいスペースが不要であり、導電層の形成が容易である。また、従来の導電層の形成とは異なり、導電ペーストとガラス板との熱膨張差に起因する応力がガラス板に生じない。よって、ガラス板の割れが抑制できる。これらの効果は、導電層が合わせガラス10の内部から外部に取り出されていなくても得られる。
また、本実施形態によれば、絶縁シート23の一部が、導電層と共に、合わせガラス10の内部から外部に取り出される。よって、下記(1)〜(3)の効果が得られる。(1)従来のように第1ガラス板11の車内側の表面に導電ペーストを塗布し焼成することで導電層を形成する場合とは異なり、導電層を車内側に露出させる切欠きが第2ガラス板12に不要になる。切欠きは、従来、導電層に対し端子または導線を半田付けするために必要とされていた。一方、本実施形態によれば、切欠きが不要になるため、合わせガラス10の車内側の表面に段差がなくなり、合わせガラス10と車両のボディとの間のシールが容易になる。(2)導電層が合わせガラス10の外部に取り出されているため、合わせガラス10の外部において導電層に対する端子または導線の半田付けが可能である。半田付けに、半田とガラスとの熱膨張差に対する配慮が不要になる。図2では、合わせガラス10の外部において給電電極22に対しワイヤハーネス31の電線を半田32で接続してある。(3)合わせガラス10の外部において、絶縁シート23が導電層の形状を維持でき、導電層の損傷が抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、絶縁シート23の一部が、給電電極22と共に、合わせガラス10の内部から外部に取り出される。よって、合わせガラス10の内部のみに導電線21が配設でき、外力による導電線21の位置ずれが抑制でき、また、合わせガラス10の外部での発熱が防止できる。
また、第1ガラス板11および第2ガラス板12は、湾曲形状である場合、上述の如く高温で曲げ成形される。本実施形態によれば、第1ガラス板11および第2ガラス板12の曲げ成形後に、導電層を含む積層シート20が中間膜13によって固定される。よって、従来のようにガラス板を高温で曲げ成形すると共にガラス板の表面に塗布された導電ペーストを焼成する場合と異なり、焼成により、導電ペーストとガラス板との熱膨張差に起因する応力がガラス板に生じない。よって、第1ガラス板11および第2ガラス板12の割れが抑制でき、かつ導電層の形成が容易となる。
特に、導電線21がガラス板の外周縁に沿って外周縁の内側に配置される場合には、従来のように、ガラス板を高温で曲げ成形すると共にガラス板の表面に塗布された導電ペーストを焼成する場合に生じうる以下の課題を解消できる。すなわち、従来、ガラス板の厚さ方向の投影視で、導電ペーストとの熱膨張差によってガラス板に応力が発生する領域と、曲げ成形後の冷却によってガラス板に内部引張応力(いわゆるインナーテンション)が発生する領域とが重複し、導電ペーストの周囲でガラス板の強度が低下するという課題があった。本実施形態によれば、ガラス板上で導電ペーストを焼成しないので、この課題を解消できる。
なお、インナーテンションとは、当業者であれば容易に理解できるように、軟化点付近まで加熱したガラス板を冷却した際に、ガラス板の外周縁の内側に形成されるものである。ガラス板は、外周縁から冷却され、ガラス板の外周縁にエッジコンプレッションが形成される。エッジコンプレッションの対としてガラス板の外周縁の内側にインナーテンションが形成される。
さらに、本実施形態によれば、絶縁シート23には貫通穴23aが形成され、貫通穴23aには中間膜13が入り込み、中間膜13は貫通穴23aなどを通じて第1ガラス板11と第2ガラス板12とを接合する。よって、絶縁シート23を強固に保持できる。また第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
貫通穴23aは、隣り合う複数の給電電極22の間に形成されてよい。給電電極22の付近において、絶縁シート23を強固に保持できる。また第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。また、給電電極22が絶縁シート23と共に合わせガラス10の内部から外部に取り出される場合、合わせガラス10に対する絶縁シート23の取出位置のぐらつきが抑制できる。
貫通穴23aの少なくとも一部は、合わせガラス10の周縁領域に位置してもよい。周縁領域とは、合わせガラスの外周縁から面内側に一定の幅を占める領域を指す。その幅は、例えば50mm程度である。これにより、給電電極22が絶縁シート23と共に合わせガラス10の内部から外部に取り出される場合、合わせガラス10に対する絶縁シート23の取出位置のぐらつきが抑制できる。
貫通穴23aは、特に、導電線21がデアイサーやデフォッガーとして用いられる場合に好適に用いられる。その理由は、以下による。すなわち、導電線21がデアイサーやデフォッガーとして用いられる場合、導電線21がアンテナ線として用いられる場合と比較して、給電電極22の厚みは厚いことが求められる。給電電極22の厚みが厚いと、給電電極22の周囲において、中間膜13が第1ガラス板11と第2ガラス板12とを充分に接合できず、積層シート20は合わせガラスから引き抜かれやすい又はぐらつきやすいという懸念がある。貫通穴23aにより、この懸念を低減できる。
貫通穴23aは、導電線21を構成する隣り合う複数の線状部21a、21bの間に形成されてよい。導電線21の付近において、絶縁シート23を強固に保持できる。また第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
貫通穴23aは、ループ形状の導電線21の内側に形成されてよい。ループ形状の導電線21の内側において、絶縁シート23を強固に保持できる。また第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
貫通穴23aは、不図示の隣り合う複数の導電線21の間に形成されてもよい。例えば、貫通穴23aは、窓ガラスの下縁部において上下方向に並ぶ複数の導電線21の間に配設されてもよい。隣り合う複数の導電線21の間において、絶縁シート23を強固に保持できる。また第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
以上、窓ガラスの実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
図5は、第1変形例による積層シートの正面図である。図5において、合わせガラスの位置を二点鎖線で示す。図5に示す積層シート20Aは、図1に示す積層シート20から、複数の絶縁シート23のそれぞれの一部を除去することで得られる。複数の絶縁シート23のそれぞれの残部が窓ガラスに使用される。絶縁シート23を強固に保持できる。また第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
図5に示す積層シート20Aは、例えば下記(A)〜(C)の工程により得られる。下記(A)〜(C)の工程は、この順で実施される。(A)図1に示す積層シート20から、図3に示す一方の絶縁シート23の一部および剥離剤層26の一部を除去して接合層24を露出させる。(B)接合層24を第1ガラス板11に付着させ、第1ガラス板11に対し導電層を固定する。(C)他方の絶縁シート23の一部をシート接合層25の一部と共に除去する。これにより、積層シート20A付きの第1ガラス板11が得られる。積層シート20A付きの第1ガラス板11は、積層工程S11に供される。(C)の工程の前に導電層が第1ガラス板11に対し固定されるので、(C)の工程により他方の絶縁シートの一部が除去された後も、導電層の形状崩れが抑制できる。尚、接合層24は、第1ガラス板11に付着されるが、第2ガラス板12または中間膜13に付着されてもよい。この場合、積層シート20A付きの第2ガラス板12、または積層シート20A付の中間膜13が積層工程S11に供される。また、接合層24は、上述の如く、導電層としての金属箔を絶縁シート23に接合させる役割も有するが、この役割を有しなくてもよい。上述の如く導電層が一方の絶縁シート23の表面に成膜される場合、接合層24は(C)の工程の前に導電層を第1ガラス板11などに対し固定する目的で使用される。
図5に示す積層シート20Aにおける絶縁シート23は、導電線21のうちの給電電極22の近傍部分、および給電電極22の全体を保持する。尚、積層シート20Aにおける絶縁シート23は、導電線21を保持するが、導電線21を保持しなくてもよい。また、積層シート20Aにおける絶縁シート23は、給電電極22の全体を保持するが、給電電極22の一部のみを保持してもよい。
図6は、第2変形例による積層シートの正面図である。図6において、合わせガラスの位置を二点鎖線で示す。図6に示す積層シート20Bは、図1に示す積層シート20とは、窓ガラスの下縁部や窓ガラスの側縁部だけではなく、窓ガラスの上中央部にも導電線21を有する点で相違する。車載カメラが窓ガラスの上中央部を介して車外を撮像する場合に有効である。窓ガラスの上中央部に配設される導電線21と、窓ガラスの側縁部に配設される導電線21とは、接続線27により電気的に接続されてよい。接続線27は、発熱を抑制するため、給電電極22と同様に、導電線21よりも高い導電率を有し、例えば導電線21よりも広い幅を有する。接続線27は、導電層に含まれ、絶縁シート23に保持される。尚、図6に示す積層シート20Bから絶縁シート23の一部が除去され、絶縁シート23の残部が窓ガラスに使用されてもよい。第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
図7は、第3変形例による積層シートの正面図である。図7において、合わせガラスの位置を二点鎖線で示す。図7に示す積層シート20Cは、図1に示す積層シート20とは、窓ガラスの上中央部のみに導電線21を有する点で異なる。図7に示す積層シート20Cは、図1に示す積層シート20または図5に示す積層シート20Aと共に用いられてもよい。尚、図7に示す積層シート20Cから絶縁シート23の一部が除去され、絶縁シート23の残部が窓ガラスに使用されてもよい。第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
図8は、第4変形例による積層シートの正面図であって、図8(a)は積層シートと第1ガラス板上の導電線との接合前の状態を示し、図8(b)は積層シートと第1ガラス板上の導電線との接合後の状態を示す。図8に示す積層シート20Dは、図1に示す積層シート20とは、導電層として給電電極22のみを含む点で相違する。すなわち、導電線21は、第1ガラス板11の表面に金属ペーストの焼成などにより形成されていてよく、積層シート20Dとは独立している。この場合、給電電極22をガラス板上での導電ペーストの焼成よって形成する場合に比べ、導電ペーストとの熱膨張差に起因するガラス板の応力を低減できる。
第1ガラス板11の表面に、導電線21が形成される。また積層シート20Dは、絶縁シート23と給電電極22とを備える。積層シート20Dは、第1ガラス板11と第2ガラス板12の間に配置される。その際、導電線21と給電電極22とは電気的に接続される。また、絶縁シート23は、貫通穴23aを備え、貫通穴23aには中間膜13が入り込み、中間膜13は貫通穴23aなどを通じて第1ガラス板11と第2ガラス板12とを接合する。これにより、絶縁シート23を強固に保持でき、絶縁シート23が合わせガラス10の内部から外部に引き抜かれることを防止できる。
貫通穴23aは、特に、導電線21がデアイサーやデフォッガーとして用いられる場合に好適に用いられる。その理由は、以下による。すなわち、導電線21がデアイサーやデフォッガーとして用いられる場合、導電線21がアンテナ線として用いられる場合と比較して、給電電極22の厚みは厚いことが求められる。給電電極22の厚みが厚いと、給電電極22の周囲において、中間膜13が第1ガラス板11と第2ガラス板12とを充分に接合できず、積層シート20は合わせガラスから引き抜かれやすい又はぐらつきやすいという懸念がある。貫通穴23aにより、この懸念を低減できる。
また、特に貫通穴23aは、隣り合う複数の給電電極22の間に形成されてよい。給電電極22の付近において、第1ガラス板11と第2ガラス板12との接合強度が向上できる。
また、貫通穴23aの少なくとも一部は、合わせガラス10の周縁領域に位置してもよい。これにより、給電電極22が絶縁シート23と共に合わせガラス10の内部から外部に取り出される場合、合わせガラス10に対する絶縁シート23の取出位置のぐらつきが抑制できる。
図8に示す合わせガラスは、例えば下記(D)〜(F)の工程により得られる。下記(D)〜(F)の工程は、この順で実施される。(D)第1ガラス板11の表面に、金属ペーストの焼成などによって導電線21を形成する。(E)図8に示す積層シート20Dから、図3に示す一方の絶縁シート23の一部および剥離剤層26の一部を除去して導電性の接合層24を露出させる。(F)導電性の接合層24を介して導電線21の給電部と給電電極22とを接合する。これにより、積層シート20D付きの第1ガラス板11が得られる。積層シート20D付きの第1ガラス板11は、積層工程S11に供される。
尚、導電線21は、第1ガラス板11の表面に形成されるが、第2ガラス板12の表面に形成されてもよい。この場合、第2ガラス板12上の導電線21は、接合層24を介して給電電極22と接合される。この場合、積層シート20D付きの第2ガラス板12が積層工程S11に供される。
なお、導電線21は、接合層24を介さずに給電電極22と接触してもよい。例えば、導電線21と給電電極22とは直接接触してもよく、はんだなどの導電層を介して接触してもよい。
また、上記実施形態の積層シート20およびその変形例の積層シート20A、20B、20Cは、合わせガラス10を加熱する発熱シートであるが、外部からの電波を受信するアンテナシートであってもよい。アンテナシートの場合、導電線21の片側の端部のみに給電電極22が形成されてよい。
また、上記実施形態およびその変形例の絶縁シート23の一部は、給電電極22と共に合わせガラス10の内部から外部に取り出されるが、導電線21と共に合わせガラス10の内部から外部に取り出されてもよい。
また、上記実施形態およびその変形例の導電層は、導電線21と給電電極22の両方を有するが、導電線21のみを有してもよい。導電線21は、外部電極から給電されてよい。
また、上記実施形態およびその変形例では、特許請求の範囲に記載の合わせ板として、ガラス板同士を中間膜で接合したものが用いられるが、樹脂板同士を中間膜で接合したものが用いられてもよいし、ガラス板と樹脂板とを中間膜で接合したものが用いられてもよい。つまり、特許請求の範囲に記載の第1透明板は、ガラス板、樹脂板のいずれでもよい。また、特許請求の範囲に記載の第2透明板は、ガラス板、樹脂板のいずれでもよい。
10 合わせガラス
11 第1ガラス板
12 第2ガラス板
13 中間膜
20 積層シート
21 導電線
21a、21b 線状部
21c 折返し部
22 給電電極
23 絶縁シート
23a 貫通穴

Claims (12)

  1. 第1透明板、前記第1透明板に対向する第2透明板、ならびに前記第1透明板および前記第2透明板を接合する中間膜を有する車両用合わせ板と、
    少なくとも一部が前記第1透明板と前記第2透明板との間に配設される導電層と、前記導電層を保持する絶縁シートと含む積層シートと、
    を有し、
    前記導電層は、導電線と、前記導電線に給電する給電電極とを有し、且つ一体に形成され、
    前記積層シートの一部が、前記給電電極と共に、前記車両用合わせ板の内部から外部に取り出され、
    前記積層シートは、前記車両用合わせ板の上中央部に前記導電線を有し、
    前記積層シートは、前記車両用合わせ板を加熱する発熱シートである、窓用積層板。
  2. 前記積層シートは、前記車両用合わせ板の上中央部にのみ前記導電線を有する、請求項1に記載の窓用積層板。
  3. 車載カメラが前記車両用合わせ板の前記上中央部を介して車外を撮像するよう配置されている、請求項1または2に記載の窓用積層板。
  4. 前記給電電極は、前記導電線よりも高い導電率を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  5. 前記絶縁シートは、前記導電層の両側に配設されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  6. 前記導電層は、複数の前記給電電極を有し、
    前記導電線は、その両端が複数の前記給電電極に接続されるループ形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  7. 前記窓用積層板は、湾曲形状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  8. 前記第1透明板は、前記第2透明板よりも車外側に配設され、
    前記積層シートは、前記第1透明板と前記中間膜との間に配設され、且つ前記第1透明板と前記第2透明板の間において前記中間膜に接合される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  9. 前記第1透明板は、前記第2透明板よりも車外側に配設され、
    前記積層シートは、前記第2透明板と前記中間膜との間に配設され、且つ前記第1透明板と前記第2透明板の間において前記中間膜に接合される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  10. 前記中間膜は複数層構造であり、
    前記積層シートは、前記中間膜の内部に配設されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窓用積層板。
  11. 第1透明板、前記第1透明板に対向する第2透明板、ならびに前記第1透明板および前記第2透明板を接合する中間膜を有する車両用合わせ板と、少なくとも一部が前記第1透明板と前記第2透明板との間に配設される導電層とを有する窓用積層板の製造方法であって、
    前記第2透明板よりも車外側に配設される前記第1透明板と前記第2透明板とを前記中間膜により接合する接合工程を有し、
    前記接合工程において、前記導電層と前記導電層を保持する絶縁シートとを含む積層シートを、前記第1透明板と前記第2透明板との間において前記中間膜に接合させ、
    前記導電層は、導電線と、前記導電線に給電する給電電極とを有し、且つ一体に形成され、
    前記絶縁シートの一部が、前記給電電極と共に、前記車両用合わせ板の内部から外部に取り出され、
    前記積層シートは、前記車両用合わせ板の上中央部に前記導電線を有するように配置され、
    前記積層シートは、前記車両用合わせ板を加熱する発熱シートである、窓用積層板の製造方法。
  12. 前記積層シートは、前記車両用合わせ板の上中央部にのみ前記導電線を有する、請求項11に記載の窓用積層板の製造方法。
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