JP2020185795A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤を介さずに樹脂フィルムと金属箔とを強固に接着した積層体の提供。【解決手段】本発明による積層体は、樹脂フィルムと金属箔とを接着したものであって、前記樹脂フィルムと前記金属箔との間の接着層にシロキサン結合が存在しており、JIS K 6854−2に準拠して測定した前記樹脂フィルムと前記金属箔の間の層間接着強度が、10N/cm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、異種材料の積層体に関し、より詳細には、樹脂フィルムと金属箔とを接着した積層体に関するものである。
従来、樹脂フィルムと金属箔とを接着した積層体は、強度、遮光性、ガスバリア性等の様々な性能に優れるため、電子材料部品、医薬品包装材、飲食品包装材等の各種材料に好適に用いられてきた。このような積層体において、樹脂フィルムと金属箔の異種材料の接着には接着剤を用いることが一般的であった。例えば、特許文献1では、ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤を用いて、耐熱性樹脂フィルムと金属箔とを接着することが提案されている。
特に、プリント配線基板用には、低誘電率素材の基材上に金属箔を積層した積層体、例えば、ポリイミドフィルム上に接着剤を介して銅箔を積層した積層体が使用されている。しかし、近年では、接着剤に含まれる各種の樹脂材料が、更なる低誘電率化の妨げになることが判明している。そのため、接着剤を用いずに、樹脂フィルムと金属箔の異種材料を強固に接着する手段が求められている。
特開2014−117901号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、接着剤を介さずに、樹脂フィルムと金属箔を強固に接着した積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂フィルムと金属箔とを、接着界面におけるシロキサン結合によって接着させることで、接着剤を用いないで層間接着強度に優れた積層体を得られることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
樹脂フィルムと金属箔とを接着した積層体であって、
前記樹脂フィルムと前記金属箔との間の接着層にシロキサン結合が存在しており、
JIS K 6854−2に準拠して測定した前記樹脂フィルムと前記金属箔の間の層間接着強度が、10N/cm以上である、積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記接着層が、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記接着層の厚みが、10nm以上200nm以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム、およびポリイミド樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。
本発明の態様においては、前記金属箔が、銅箔またはアルミニウム箔であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記積層体が、プリント配線基板に用いられることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、
接着剤を用いずに、樹脂フィルムと金属箔とを接着する積層体の製造方法であって、
樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成し、前記樹脂フィルムの蒸着膜の表面に、酸素供給ガスを用いた酸素プラズマ処理によってプラズマ処理面を形成する工程と、
金属箔の少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成し、前記金属箔の蒸着膜の表面に、酸素供給ガスを用いた酸素プラズマ処理によってプラズマ処理面を形成する工程と、
前記樹脂フィルムのプラズマ処理面と前記金属箔のプラズマ処理面とを接着する工程と、
を含む、積層体の製造方法が提供される。
本発明の別の態様においては、前記樹脂フィルムの蒸着膜の表面の酸素プラズマ処理、及び前記金属箔の蒸着膜の表面の酸素プラズマ処理で用いられる酸素供給ガスが、酸素ガスであることが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記樹脂フィルムのプラズマ処理面の水接触角が1°以上35°以下であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記金属箔のプラズマ処理面の水接触角が1°以上35°以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム、およびポリイミド樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。
本発明の態様においては、前記金属箔が、銅箔またはアルミニウム箔であることが好ましい。
本発明によれば、接着剤を介さずに樹脂フィルムと金属箔とを接着した積層体を提供することができる。このような積層体は、層間接着強度に優れるものである。さらに、本発明によれば、当該積層体の製造方法を提供することもできる。
本発明の積層体の一実施形態を示した断面概略図である。 本発明の積層体の一実施形態を示した断面概略図である。 本発明の積層体の一実施形態を示した断面概略図である。 本発明の積層体の製造におけるプラズマ処理を行うプラズマ処理装置を示す概略構成図である。 プリント配線基板の一実施形態を示した断面概略図である。 プリント配線基板の一実施形態を示した断面概略図である。 プリント配線基板の一実施形態を示した断面概略図である。 プリント配線基板の一実施形態を示した断面概略図である。 プリント配線基板の製造方法の一実施形態を示した断面概略図である。 層間接着強度の測定方法の一例を示す図である。 層間接着強度の測定方法の一例を示す図である。 層間接着強度を測定するために樹脂フィルムと金属箔とを引っ張る一対のつかみ具の間の間隔に対する引張応力の変化を示す図である。
<積層体>
本発明による積層体は、接着剤を介さずに、樹脂フィルムと金属箔とを接着したものであり、樹脂フィルムと金属箔の層間接着強度に優れるものである。
本発明による積層体の層構成を、図面を参照しながら説明する。図1に示す積層体10は、樹脂フィルム11と、金属箔12とが、接着層13を介して接着されている。
積層体10は、図2に示すように、樹脂フィルム11の、金属箔12aが設けられている側とは反対側に、さらに金属箔12bが設けられ、樹脂フィルム11と、金属箔12bとは、接着層13bを介して接着されていてもよい。
積層体10は、図3に示すように、金属箔12の、樹脂フィルム11aが設けられている側とは反対側に、さらに樹脂フィルム11bが設けられ、金属箔12と、樹脂フィルム11bは、接着層13bを介して接着されていてもよい。
なお、接着層13には、エポキシ樹脂やポリエステルウレタン樹脂等の樹脂材料を含む接着剤は該当しない。
以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
(樹脂フィルム)
本発明による積層体を構成する樹脂フィルムは、特に限定されず、公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、およびポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド樹脂、液晶ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。特に、樹脂フィルムは、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム、およびポリイミド樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。これらの樹脂フィルムは、単層であっても、二種以上の樹脂フィルムからなる積層体であってもよい。
本発明の積層体が、プリント配線基板用である場合、樹脂フィルムとしては、低誘電率化の観点から、フッ素系樹脂フィルムを用いることが特に好ましい。
5G通信の普及に伴い、プリント配線基板は、使用電波の高周波対応が求められているが、このように電波の周波数が高くなると、プリント配線基板の回路中において、電波が熱に変換される作用が大きくなるため、信号の伝送損失が大きくなる。信号の伝送損失は、誘電率が小さい材料であるほど小さくすること、即ち、誘電率が小さい材料であるほど信号を効率良く伝送することができる。従って、誘電率が極めて低いフッ素系樹脂フィルムを積層体に用いることにより、信号の伝送損失を特に軽減することができるプリント配線基板用積層体とすることができる。
樹脂フィルムは、下記の蒸着膜との接着性を改良するために、その表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
樹脂フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上300μmであり、より好ましくは20μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。樹脂フィルムの厚みが上記範囲内であれば、積層体を製造する際の取り扱いが容易となる。
本発明による積層体は、樹脂フィルムを二層以上備えてもよい。積層体が樹脂フィルムを二層以上備える場合、各樹脂フィルムは、同一の構成であっても、異なる構成であってもよい。
なお、積層体が樹脂フィルムを二層以上備える場合、それぞれの樹脂フィルムを、「第1樹脂フィルム」、「第2樹脂フィルム」のように称してもよい。
(金属箔)
本発明による積層体を構成する金属箔は、特に限定されず、公知の種々の金属箔を用いることができる。例えば、金属箔の金属材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ステンレス、チタン、ニッケル等が挙げられる。これらの中でも製造工程の簡便さやコストの観点から、銅箔またはアルミニウム箔が好ましい。
なお、本発明による積層体において、金属箔は、接着層を介して、樹脂フィルムの全面に積層されていても、部分的に積層されていてもよい。
金属箔の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上200μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上50μm以下である。金属箔の厚みが上記範囲内であれば、積層体を製造する際の取り扱いが容易となる。
本発明による積層体は、金属箔を二層以上備えてもよい。積層体が金属箔を二層以上備える場合、各金属箔は、同一の構成であっても、異なる構成であってもよい。
なお、積層体が金属箔を二層以上備える場合、それぞれの金属箔を、「第1金属箔」、「第2金属箔」のように称してもよい。
(接着層)
本発明による積層体の接着層は、上記樹脂フィルムと上記金属箔の層間に位置し、珪素と酸素からなるシロキサン結合(−Si−O−Si−)によって、樹脂フィルムと金属箔を接着する役割を果たすものである。このような接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物(以下、「原料ガス」とも記載する)を用いたプラズマ気相化学蒸着法(プラズマCVD法)により形成された蒸着膜を含むものである。
また、本発明の積層体による接着層は、エポキシ樹脂やポリエステルウレタン樹脂等の樹脂材料を含む接着剤を含まないため、接着剤に含まれる各種の樹脂材料による低誘電率化の更なる妨げを防止できる。従って、本発明の積層体は、このような接着層を介して、樹脂フィルムと、金属箔とが接着されているため、プリント配線基板用として好適である。
本発明においては、このような接着層を形成することで、樹脂フィルムと金属箔とを強固に接着することができる。JIS K 6854−2に準拠して測定した樹脂フィルムと金属箔の層間接着強度は、10N/cm以上であり、好ましくは12N/cm以上であり、より好ましくは15N/cm以上である。
なお、詳細には、層間接着強度は、JIS K 6854−2に準拠して、積層体から10mm幅に切り出した試験片を用いて、23℃、30%RHの条件下で、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、型番:STB−1225S)を用いて、引張速度50mm/分、剥離角180°で引張って測定した値である。具体的には、実施例に示すような方法で測定することができる。
上記した通り、近年では、5G通信の普及に伴い、プリント配線基板は、使用電波の高周波対応が求められており、信号の伝送損失を低減することが望まれている。ここで、導体(金属箔)を伝達される信号がより高周波になると、電流分布は導体表面に集中することが知られている(表皮効果)。また、一般的にプリント配線基板の導体として用いられる金属箔は、他の層との密着性を向上するために、表面に粗化処理を施して、表面を粗している。
しかしながら、表皮効果により電流分布が金属箔表面に集中すると、金属箔表面の粗化部分で信号が散乱し、伝送損失が生じる(散乱損失)。さらに、金属箔表面の凹凸により伝送距離が長くなるため、伝送損失はさらに大きくなる。
上記接着層を介して、樹脂フィルムと、金属箔とが接着された本発明の積層体は、層間接着強度に優れると共に、金属箔表面を低粗化することができる。これにより、本発明の積層体は、信号の伝送損失を軽減することができるため、プリント配線基板用として好適である。
接着層の厚みは、好ましくは10nm以上200nmであり、より好ましくは15nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは20nm以上60nm以下であり、最も好ましくは30nm以上50nm以下である。接着層の厚みが上記範囲内であれば、接着層の柔軟性が保たれて、層間接着強度を維持し易い。なお、接着層の厚みは、例えば、(株)リガク社製蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて測定することができる。
本発明による積層体は、接着層を二層以上備えてもよい。積層体が接着層を二層以上備える場合、各接着層は、同一の構成であっても、異なる構成であってもよい。
なお、積層体が接着層を二層以上備える場合、それぞれの接着層を、「第1接着層」、「第2接着層」のように称してもよい。
<積層体の製造方法>
本発明による積層体の製造方法は、樹脂フィルムの一方の面上に接着面を形成する工程と、金属箔の一方の面上に接着面を形成する工程と、樹脂フィルムの接着面と、金属箔の接着面とを接着する工程とを含むものである。以下、積層体の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
樹脂フィルムおよび金属箔への接着面の形成は、まず、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成し、続いて、前記蒸着膜の表面に、酸素供給ガスを用いた酸素プラズマ処理によってプラズマ処理面を形成することで行うことができる。以下、接着面の形成方法について、より詳細に説明する。
まず、蒸着膜は、プラズマ化した蒸着用ガス組成物の化学反応物を薄膜状に形成してなるものであり、主に炭素、珪素、および酸素を含む緻密で可撓性に富む連続蒸着薄膜である。このような蒸着膜は、蒸着材料としてSi原子に直接結合したメチル基を含む有機珪素化合物モノマーを使用し、これよりなる蒸着用モノマーガス、および場合により酸素供給ガス、を含む蒸着用ガス組成物を用いて、CVD法により成膜することができる。また、CVD法には、熱CVD法や光CVD等のいくつかの方法があるが、低温成膜が可能で、樹脂フィルムの着色を生じにくいプラズマCVD法を採用することが好ましい。プラズマCVD法による蒸着によれば、接着層を効率よく短時間で形成することができるため、本発明の積層体は生産性に優れるという利点も有する。プラズマCVD法における成膜条件については後述する。
接着面の表面に存在するCH基およびC基の量は、成膜時の蒸着用ガス組成物中の蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとの比を変化させることにより調製することができる。
樹脂フィルムおよび金属箔上に形成する蒸着膜の厚みは、好ましくは5nm以上100nmであり、より好ましくは10nm以上50nm以下である。蒸着膜の厚みが上記範囲内であれば、接着層が連続膜として存在し易く、また、接着層の柔軟性が保たれて、接着層にクラック等が発生し難くなる。なお、蒸着膜の厚みは、例えば、(株)リガク社製蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて測定することができる。
本発明の接着層となる蒸着膜を成膜するためには、例えば、被蒸着体(樹脂フィルムおよび金属箔)を真空槽内に導入する。そして、真空槽内に、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガスと、場合により酸素供給ガスとを含む蒸着用ガス組成物を一定割合で導入し、プラズマCVD法により表面上に接着層を形成する。
蒸着膜の形成に用いられる有機珪素化合物としては、シリコン(Si)原子に直接結合したCHを含む有機珪素化合物、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、オクタメチリシクロテトラシロキサン、メチルシラン、ジメチルシラン、トエリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン等が好ましく用いられる。
他の有機珪素化合物としては、有機化合物であって常温で適当な蒸気圧を持ち、プラズマCVD法を実施することが可能な材料であればどのような材料でもよい。したがって、例えばC基等の炭素数が3以上の官能基をもつ材料を用いてCH基およびCのいずれかを少なくとも含む有機珪素膜(蒸着膜)をプラズマCVD法により製造することも理論的には可能と考えられる。
蒸着膜を形成する際、有機珪素化合物のうちでも特に、HMDSO、TMDSO、オクタメチルシクロテトラシロキサンを用いることが好ましい。これらのシロキサン材料は、接着性を発現するCH基が、結合が切れやすいSi−O結合やO−C結合を介してではなく、直接Si原子と結合しているため、蒸着膜中に安定して取り込まれやすくなるからである。
本発明において、酸素供給ガスは、主成分として、例えば、酸素ガスを含むガスが用いられる。酸素供給ガスは、酸素ガスの代わりに、オゾンガスや笑気ガス(NOガス)等を使用することも可能であるが、成膜効率やコストの面から、酸素ガスを用いるのが最も好ましい。
「主成分」とは、酸素供給ガス中の全ガス成分に対して、含有量が50体積%超のガス意味し、該割合は80体積%以上であることが好ましい。酸素供給ガスは、酸素ガスであることが特に好ましい。
一実施形態において、酸素供給ガスは、希ガスを含んでもよい。希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、クリプトンおよびキセノン等が挙げられるが、発生するプラズマの安定性の観点からアルゴンであることが好ましい。希ガスと酸素ガスとの混合比率、即ち、希ガス:酸素ガスは、体積比率で、1:5〜20であることが好ましく、1:8〜10であることがより好ましい。
また、蒸着用ガス組成物中に、蒸着用モノマーガスを効率よく真空槽中に導入するためのガス(キャリアガス)や、プラズマを発生させたりプラズマを増強させたりする目的のガスを増強して導入することも、必要に応じて行ってもよい。
プラズマCVD法として最も一般的な方法は、平行平板電極間に13.56MHzの電界を印加する方式である。すなわち、真空槽内に蒸着用ガス組成物を導入することで一定圧力に維持し、真空槽内に設置した平板電極と該平板電極と平行に対向して設置したアース電極との間に13.56MHzのRF交流電圧を印加する。
例えば、300Wの電力を投入することで、グロー放電プラズマを発生させ、そのプラズマ流を利用することで蒸着用ガス組成物を化学的に反応させることにより、有機珪素膜からなる蒸着膜が形成可能である。蒸着膜を形成させるための被蒸着フィルム(樹脂フィルム)は、通常、アース電極の表面に設置するが、RF電圧を印加する平板電極側に設置してもよい。
本実施形態においては、13.56MHzのRF交流電圧を印加する代わりに、より低い周波数(40kHzや50kHz等)を印加したり、より高い周波数(2.45GHz等)を印加したりすることも可能である。また、直流電圧を印加してもよい。平板電極の代わりに、ガスの吹き出しによりプラズマ流を発生させるようなホローカソード電極を利用したり、外部コイルから誘導プラズマを発生させたりすることも可能である。磁界を用いたり、ECR共鳴現象(電場と磁場とを適切に調節することで、プラズマ中の電子をサイクロトロン共鳴させる現象)を用いたりして、プラズマ密度を高めたりすることも可能である。
プラズマCVD法の成膜条件には、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離、成膜時間等の様々なパラメータがあり、所望の接触角を示す蒸着膜が得られるように、これらのパラメータを適宜に調製することができる。
本発明においては、20〜1000W、より好適には50〜800Wの投入電力で、成膜を行うことが好ましい。投入電力が上記範囲内であれば、樹脂フィルムとの反応が起こりやすくなるため、表面改質の効果が大きくなり、樹脂フィルムと金属箔との接着性をより向上させることができる。
本発明において、蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとの流量比を一定範囲に制御しながら、樹脂フィルムの表面上に接着層をプラズマCVD法により形成する。
なお、本発明の製造方法で使用するプラズマCVD法による成膜装置は、上述のバッチ式の平行平板型プラズマCVD装置に限定されるものではなく、図4に示されたような、チャンバー内で樹脂フィルムの原反をコーティングドラム上に搬送させながら蒸着膜を形成するロール成膜機等であることが好ましい。
接着層のプラズマ処理としては、電子ビームによる処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理等があげられる。生産性の観点からコロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理等が好ましく、特に、プラズマ雰囲気の制御のしやすさから、低圧下での酸素プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理は、上記の酸素供給ガスを用いて行うことができる。プラズマ処理において、酸素供給ガスは、酸素ガスであることが好ましい。
低圧プラズマ処理としては、ICP型のプラズマ処理装置、並行平板型のプラズマ処理装置、ロールツーロール型のプラズマ処理装置等を用いることができる。低圧プラズマ処理条件には、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離、処理時間等の様々なパラメータがあり、所望の接触角を示す蒸着膜が得られるように、これらのパラメータを適宜に調製することができる。
プラズマ処理面の形成は、蒸着膜の形成と連続して、外気に曝さずに行うことが好ましい。具体的には、図4に示すプラズマ処理装置において、樹脂フィルムが、フィルム収納ロールa1から搬送されて、蒸着膜が形成されて、フィルム収納ロールa2に収納される。その後、ガス種を切り替えて、搬送を逆回転して、蒸着膜形成済みの樹脂フィルムが、フィルム収納ロールa2から搬送されて、プラズマ処理面が形成されて、フィルム収納ロールa1に収納されるようにする方法が挙げられる。
また、蒸着膜の形成とプラズマ処理面の形成とを、外気に曝されることなく、個別の処理ラインで実施してもよい。例えば、同一槽内で個別の処理ラインを設置したり、別個の槽内に各処理ラインを設置して、外気に触れないように連結して処理可能なようにすることも挙げられる。
蒸着膜の表層部を低圧プラズマ処理等により活性化すると、表層部に存在するCH基およびC基から、水素原子が離脱して、炭素ラジカルが生成するようになる。また、有機珪素化合物由来のメチル基およびエチル基のメチル基あるいはエチル基が離脱して、珪素ラジカルが生成するようになる。その後、これらのラジカルを基に雰囲気中の酸素と結合し、さらに雰囲気中や樹脂フィルム等から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の酸素含有官能基が形成されている。
もしくは、低圧酸素プラズマ処理により雰囲気中に発生した酸素ラジカルにより、蒸着接着層の蒸着膜のCH基およびC基から水素原子の引き抜きや、酸素の付加反応が起こり、さらに樹脂フィルムから供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の酸素含有官能基が形成される。これらの官能基が存在するようになった接着面同士を接着することで、接着性を向上させることができる。
これらの官能基が存在することで、接着性の向上が発現するものと考えられる。これらの官能基の存在量の大小による接着性は、該接着層表層の、水の接触角によって表現が可能である。例えば、樹脂フィルムおよび金属箔のプラズマ処理面の水の接触角はそれぞれ、好ましくは1°以上35°以下であり、より好ましくは1°以上30°以下であり、さらに好ましくは1°以上25°以下であり、さらにより好ましくは1°以上20°以下である。水の接触角が上記の範囲であれば、樹脂フィルムと金属箔との接着性を向上させることができる。なお、樹脂フィルムおよび金属箔のプラズマ処理面水の接触角は、接触角試験機を用いて20℃、50%RHの条件下で測定した値である。
本発明による積層体は、樹脂フィルムの接着面(プラズマ処理面)と金属箔の接着面(プラズマ処理面)とを対向するように重ね合わせ、加熱圧着や加熱成形することにより、樹脂フィルムと金属箔との極めて強固な接着が達成される。
本発明において、樹脂フィルムと金属箔との加熱圧着および加熱成形は、従来公知の方法によって行うことができる。また、その際の諸条件は、使用する樹脂フィルムの融点、厚み、金属箔の種類等に応じて、当業者が適宜に設定することができる。例えば、樹脂フィルムと金属箔とを、温度150〜250℃、圧力0.1〜20Pa、時間10〜600秒で加熱成形または加熱圧着することが好ましい。
<積層体の用途>
本発明による積層体は、電子材料部品、医薬品包装材、および飲食品包装材等の各種材料に用いることができる。特に、樹脂フィルムとしてフッ素系樹脂フィルムを用いた積層体は、フッ素系樹脂フィルムの誘電率が低く、また、低誘電化の妨げになる接着剤を用いていないため、プリント配線基板用として好適である。さらに、樹脂フィルムとしてフッ素系樹脂フィルムを用いた積層体は、フッ素系樹脂フィルムが柔軟性を有するため、フレキシブルプリント配線基板用として特に好適である。
<プリント配線基板>
本発明の積層体を用いたプリント配線基板を、図面を参照しながら説明する。
一実施形態において、プリント配線基板20は、図5に示すように、基材21と、導体22とが、接着層23を介して接着されている。
プリント配線基板20は、図6に示すように、基材21の、導体22aが設けられている側とは反対側に、さらに導体22bが設けられ、基材21と、導体22bとは、接着層23bを介して接着されていてもよい。
プリント配線基板20は、図7に示すように、基材21とは反対側にさらに保護層24を備えてもよい。また、プリント配線基板20は、図8に示すように、保護層24と、導体22および接着層23との間に接着剤層25を備えてもよい。
以下、プリント配線基板が備え得る、保護層および接着剤層について説明する。なお、基材、導体および接着層は、それぞれ、上記した樹脂フィルム、金属箔および接着層から形成されたものであるため、ここでは説明を省略する。
(保護層)
保護層は、プリント配線基板の導体を保護するための層である。保護層を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、およびポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド樹脂、液晶ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
保護層としては、上記樹脂フィルムを用いることができる。
(接着剤層)
接着剤層は、保護層と、導体および接着層との間の接着性を向上するために用いられる層である。接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂およびポリアミド樹脂等を含む接着剤を用いることができる。
<プリント配線基板の製造方法>
本発明の積層体を用いたプリント配線基板の製造方法を、図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明の積層体を用いたプリント配線基板の製造方法の一実施形態を示した断面概略図である。
図9に示すように、プリント配線基板20の製造方法は、まず、本発明の積層体10を準備し(工程(A))、次いで、積層体10の金属箔12表面にレジストを構成する材料を塗布、露光および現像することによって、所定のパターン状にレジスト26を形成し(工程(B))、次いで、レジスト26が形成されていない部分(不要部)の金属箔12をエッチングによって除去し、導体22を形成し(工程(C))、次いで、導体22上のレジスト26を除去する(工程(D))。これにより、基材21(樹脂フィルム11)と、接着層23(接着層13)と、導体22とを備えるプリント配線基板20を得ることができる。
プリント配線基板の製造方法は、工程(D)の後に、保護層24を形成する工程をさらに含んでもよい。また、プリント配線基板の製造方法は、工程(D)の後に、保護層24および接着剤層25を形成する工程をさらに含んでもよい。
なお、プリント配線基板の製造方法における各種条件は、特に限定されず、当該技術分野において公知の条件に準じて行うことができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<積層体の製造>
[実施例1]
(樹脂フィルムへの蒸着膜の形成)
厚みが40μmのフッ素系樹脂フィルム(ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、コードー社製、アクラー)を使用し、これをロールツーロール型CVD装置(図4)のチャンバーb内のフィルム収納ロールa1に収納し、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム収納ロールa2へと接続した。次に、プラズマ処理装置のチャンバー内を排気ポンプjによって0.001Paに減圧した。次いで、有機珪素化合物としてHMDSOを準備し、これを流量制御しながら40℃に加熱した気化器eによって気化して蒸着用モノマーガスとし、100sccm(気体状態)の流量で材料ノズルhによってチャンバーに供給した。また、酸素ガスfを1500sccmの流量で同じく材料ノズルhでチャンバーに供給した。次に、メインドラムdとマグネット電極(マグネットを備えた電極)g間の距離は50mmで、放電電源iによって700W、13.56MHzの電力をメインドラムdとマグネット電極gの間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を3Paに保って、フィルム搬送速度2.0m/分で搬送しながら約20nmの厚みの蒸着膜を成膜して、フィルム収納ロールa2に収納した。尚、処理時の樹脂フィルムは水冷して室温に保持した。
(樹脂フィルムの蒸着膜へのプラズマ処理面の形成)
続いて、プラズマ処理装置のチャンバー内を排気ポンプjによって0.001Paに減圧し、蒸着用モノマーガスは供給せずに0sccmとし、次いで、酸素ガスfを1500sccmの流量で材料ノズルhからチャンバーに供給した。そして、メインドラムdとマグネット電極g間の距離は50mmで、放電電源iによって700W、13.56MHzの電力をメインドラムとマグネット電極の間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を8Paに保った。そして、フィルム収納ロールa2に収納されている蒸着膜形成済の樹脂フィルムを、フィルム収納ロールa1に向けて、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム搬送速度4.2m/分で搬送しながらプラズマ処理し、プラズマ処理面を形成した。
(金属箔への蒸着膜の形成)
厚みが20μmの銅箔を用いた以外は、上述の樹脂フィルムへの蒸着膜の形成と同様にして、銅箔上に蒸着膜を形成した。
(金属箔の蒸着膜へのプラズマ処理面の形成)
続いて、上述の樹脂フィルムの蒸着膜へのプラズマ処理面の形成と同様にして、銅箔の蒸着膜にプラズマ処理を施し、プラズマ処理面を形成した。
(樹脂フィルムと金属箔の接着)
上記で得られた樹脂フィルムのプラズマ処理面と、上記で得られた金属箔のプラズマ処理面とを対向するように重ね合わせ、熱プレス機(テスター産業(株)製)でプレス圧2000kgf、温度190℃、プレス時間10分の条件で加熱圧着することで、積層体を製造した。
[実施例2]
樹脂フィルムおよび金属箔の蒸着膜へのプラズマ処理面の形成の際に、酸素ガスの流量を1000sccmに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を製造した。
[比較例1]
樹脂フィルムおよび金属箔の蒸着膜へのプラズマ処理面の形成の際に、酸素ガスの流量を500sccmに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を製造した。
[比較例2]
樹脂フィルムおよび金属箔の蒸着膜へのプラズマ処理面の形成の際に、酸素ガスの流量を200sccmに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を製造した。
[比較例3]
樹脂フィルムおよび金属箔の蒸着膜へのプラズマ処理面の形成の際に、酸素ガスの流量を50sccmに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を製造した。
[実施例3]
金属箔として銅箔の代わりにアルミニウム箔を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を製造した。
[実施例4]
金属箔として銅箔の代わりにアルミニウム箔を用いた以外は、実施例2と同様にして、積層体を製造した。
[比較例4]
金属箔として銅箔の代わりにアルミニウム箔を用いた以外は、比較例1と同様にして、積層体を製造した。
[比較例5]
金属箔として銅箔の代わりにアルミニウム箔を用いた以外は、比較例2と同様にして、積層体を製造した。
[比較例6]
金属箔として銅箔の代わりにアルミニウム箔を用いた以外は、比較例3と同様にして、積層体を製造した。
[測定]
(接触角の測定)
実施例および比較例で製造した樹脂フィルムおよび金属箔のプラズマ処理面の水の接触角を、接触角試験機(協和界面科学(株)全自動接触角計Drop Master700)を用いて、20℃、50%RHの条件下で測定した。測定結果を表1に示した。
(接着層の厚みの測定)
実施例および比較例で製造した積層体の接着層の厚みを(株)リガク社製蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて測定した。測定結果を表1に示した。
(層間接着強度の測定)
実施例および比較例で製造した積層体について、JIS K 6854−2に準拠して、剥離試験を行って、樹脂フィルムと金属箔の接着性を評価した。引張試験機としては、株式会社エー・アンド・デイ製、型番:STB−1225Sを使用し、測定時の環境は、温度23℃、30%RHとした。
具体的には、まず、積層体10を、幅15mm、長さ100mmで切り出した試験片30を準備した。試験片30は、図10に示すように、樹脂フィルム31と金属箔32とが、接着層33の接着部34によって、80mm接着されており、残りの20mmが、樹脂フィルム31側と、金属箔32側とで分かれている。次いで、図11に示すように、樹脂フィルム31側及び金属箔32側の分かれている部分を、測定器のつかみ具35a,35bでそれぞれ把持した。続いて、つかみ具35a,35bをそれぞれ、接着部34の面方向に対して直交する方向において(剥離角180°)互いに逆向きに、50mm/分の速度で引っ張り、安定領域(図12参照)における引張応力の平均値を測定した。引っ張りを開始する際の、間隔Sは40mmであり、引っ張りを終了する際の、間隔Sは190mmとした。図12は、つかみ具35a,35b間の間隔Sに対する引張応力の変化を示す図である。図12に示すように、間隔Sに対する引張応力の変化は、第1領域を経て、第1領域よりも変化率の小さい第2領域(安定領域)に入る。
安定領域における3点(間隔S:100mm、140mm、180mm)の引張応力の測定値の平均値を算出し、その平均値を樹脂フィルムと金属箔との層間接着強度とした。接着性の評価基準は下記の通りである。測定および評価結果を表1に示した。
○:層間接着強度が10N/cm以上であった。
△:層間接着強度が5N/cm以上10N/cm未満であった。
×:層間接着強度が5N/cm未満であった。
10:積層体
11:樹脂フィルム
12:金属箔
13:接着層
20:プリント配線基板
21:基材
22:導体
23:接着層
24:保護層
25:接着剤層
26:レジスト
30:試験片
31:樹脂フィルム
32:金属片
33:接着層
34:接着部
35:つかみ具
a1、a2 フィルム収納ロール
b チャンバー
c 搬送ロール
d メインロール
e 気化器
f 酸素ガス
g マグネット電極
h 材料ガスノズル
i 放電電源
j 排気ポンプ
S 間隔

Claims (12)

  1. 樹脂フィルムと金属箔とを接着した積層体であって、
    前記樹脂フィルムと前記金属箔との間の接着層にシロキサン結合が存在しており、
    JIS K 6854−2に準拠して測定した前記樹脂フィルムと前記金属箔の間の層間接着強度が、10N/cm以上である、積層体。
  2. 前記接着層が、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記接着層の厚みが、10nm以上200nm以下である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム、およびポリイミド樹脂フィルムからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記金属箔が、銅箔またはアルミニウム箔である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. プリント配線基板に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 接着剤を用いずに、樹脂フィルムと金属箔とを接着する積層体の製造方法であって、
    樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成し、前記樹脂フィルムの蒸着膜の表面に、酸素供給ガスを用いた酸素プラズマ処理によってプラズマ処理面を形成する工程と、
    金属箔の少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成し、前記金属箔の蒸着膜の表面に、酸素供給ガスを用いた酸素プラズマ処理によってプラズマ処理面を形成する工程と、
    前記金属箔のプラズマ処理面と、前記樹脂フィルムのプラズマ処理面とを接着する工程と、
    を含む、積層体の製造方法。
  8. 前記樹脂フィルムの蒸着膜の表面の酸素プラズマ処理、及び前記金属箔の蒸着膜の表面の酸素プラズマ処理で用いられる酸素供給ガスが、酸素ガスである、請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記樹脂フィルムのプラズマ処理面の水接触角が1°以上35°以下である、請求項7または8に記載の積層体の製造方法。
  10. 前記金属箔のプラズマ処理面の水接触角が1°以上35°以下である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  11. 前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム、およびポリイミド樹脂フィルムからなる群から選択される、請求項7〜10のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  12. 前記金属箔が、銅箔またはアルミニウム箔である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
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