JP2020185773A - 積層体、自動車部品、及び自動車用ホイール、並びに積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、発泡性樹脂を含む芯材と、該芯材の両面に配される、強化繊維に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂が含浸された繊維強化樹脂を含む表皮材とから構成される繊維強化樹脂製サンドイッチパネルが開示されている。
また、特許文献3には、熱可塑性樹脂を含むビーズ発泡成形体を含む芯材と、該芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された繊維強化複合材が開示されている。
また、本発明者らは、連続繊維強化熱可塑性樹脂と不連続繊維強化熱可塑性樹脂とを含む自動車部品とすることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明の自動車部品を完成させた。
[1]
繊維強化熱可塑性樹脂(A)を含む(A)層と、熱可塑性発泡樹脂(B)を含む(B)層と、繊維強化熱可塑性樹脂(C)を含む(C)層とをこの順に含む積層部分を含み、
前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTBとの差が50℃以下であり、
前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCと、前記TBとの差が50℃以下であり、
前記積層部分が、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含み、
前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5以上であり、
前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%である
ことを特徴とする、積層体。
[2]
前記(A)層と前記(B)層との間に、前記(C)層が更に積層されている、[1]に記載の積層体。
[3]
前記TA及び前記TCが、前記TBと同じであるか又はそれより低い、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]
前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)が連続繊維強化熱可塑性樹脂であり、前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)が不連続繊維強化熱可塑性樹脂である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]
前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる強化繊維がガラス繊維又は炭素繊維であり、前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる強化繊維がガラス繊維又は炭素繊維である、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]
ISO22007−6に準拠して測定した熱伝導率が、前記低密度部分で0.02〜0.15W/m・Kである、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]
JIS A1405−2に準拠して20℃で測定した周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が、前記低密度部分で10%以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体を含むことを特徴とする、自動車部品。
[9]
[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体を含むスポークを備えることを特徴とする、自動車用ホイール。
[10]
一方向繊維強化熱可塑性樹脂を含む層を有するリムを備え、前記一方向繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる強化繊維は、前記リムの周方向に対して一定の角度で配向している、[9]に記載の自動車用ホイール。
[11]
連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)と不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)とを含むことを特徴とする、自動車部品。
[12]
前記連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)を含む表層と、前記不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を含む基層とを有する積層部分を含む、[11]に記載の自動車部品。
[13]
前記連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)に含まれる強化繊維がガラス繊維であり、前記不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)に含まれる強化繊維が炭素繊維である、[11]又は[12]に記載の自動車部品。
[14]
前記積層部分を含むスポークを備える自動車用ホイールである、[12]又は[13]に記載の自動車部品。
[15]
更に、一方向繊維強化熱可塑性樹脂を含む層を有するリムを備える自動車用ホイールであり、前記一方向繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる強化繊維は、前記リムの周方向に対して一定の角度で配向している、[14]に記載の自動車部品。
[16]
繊維強化熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性発泡樹脂(B)、及び繊維強化熱可塑性樹脂(C)をこの順に積層し、互いに溶着させて積層体前駆体を形成し、
前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCとのうち、高い方の温度であるTH以上且つTHプラス50℃以下の温度に加熱した金型に前記積層体前駆体を投入し、型締めすることにより、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含む積層部分を形成し、
前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5超であり、
前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%である
ことを特徴とする、積層体の製造方法。
[17]
前記積層体前駆体の形成において、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性発泡樹脂(B)との間に、更に繊維強化熱可塑性樹脂(C)を積層することを含む、[16]に記載の積層体の製造方法。
[18]
繊維強化熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性発泡樹脂(B)、及び繊維強化熱可塑性樹脂(C)を、この順に積層し、互いに溶着させて積層体前駆体を形成し、
前記積層体前駆体を、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCとのうち、高い方の温度であるTH以上の温度に加熱し、
加熱した前記積層体前駆体を、前記TAと前記TCとのうち低い方の温度であるTL以下の温度に加熱した金型に投入して型締めすることにより、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含む積層部分を形成し、
前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5超であり、
前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%である
ことを特徴とする、積層体の製造方法。
[19]
前記積層体前駆体の形成において、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性発泡樹脂(B)との間に、更に繊維強化熱可塑性樹脂(C)を積層することを含む、[18]に記載の積層体の製造方法。
本発明の第一の態様として、本実施形態の積層体は、繊維強化熱可塑性樹脂(A)を含む(A)層と、熱可塑性発泡樹脂(B)を含む(B)層と、繊維強化熱可塑性樹脂(C)を含む(C)層とをこの順に含む積層部分を含み、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTBとの差が50℃以下であり、前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCと、前記TBとの差が50℃以下であり、前記積層部分が、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含み、前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5以上であり、前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%であることを特徴とする。
本実施形態の積層体は、上記の積層部分を含むことにより、軽量で、且つ耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、及び設計自由度の高いものとなる。
本実施形態の積層体において、上記の積層部分以外の部分は、単層構造であっても積層構造であってもよい。
また、(C)層は、(A)層と(B)層との間に更に積層されていてもよい。
本実施形態の積層体に含まれる積層部分では、繊維強化熱可塑性樹脂(A)を含む(A)層と、熱可塑性発泡樹脂(B)を含む(B)層と、繊維強化熱可塑性樹脂(C)を含む(C)層とをこの順に含む。
本実施形態の積層部分は、(A)層、(B)層、及び(C)層をこの順に含むことにより、軽量で、且つ耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、形状自由度に優れる。
本実施形態の積層部分に含まれる(A)層は、繊維強化熱可塑性樹脂(A)を含む。
また、(A)層の積層部分における割合は、後述する高密度部分においては、高密度部分の厚みを100%として、5〜80%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%、更に好ましくは45〜80%である。高密度部分における(A)層の割合が上記範囲であることにより、耐衝撃性、剛性、及び成形性に優れる。
本実施形態の(A)層に含まれる繊維強化熱可塑性樹脂(A)は、強化繊維を含有させることにより強度を高めた熱可塑性樹脂である。
使用する強化繊維の種類、配合量、太さ、及び方向性等、並びに熱可塑性樹脂の種類及び配合量等を目的に応じて選択することにより、(A)層の強度及び弾性等を調整することができる。
繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる強化繊維としては、通常の繊維強化複合材料として使用されるものを用いることができ、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。耐衝撃性を向上させる観点からはガラス繊維が特に好ましく、剛性を向上させる観点からは炭素繊維が特に好ましい。
上記強化繊維は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
ガラス繊維及びガラス繊維に用いる集束剤の種類については、特に制限はなく公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、特開2015−101794号公報に記載のものを用いることができる。
炭素繊維に用いる集束剤の種類については、特に制限はなく公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、特開2015−101794号公報に記載のものを用いることができる。
また、上記強化繊維は、糸のままであってもよいし、紐状、組紐状、シート状(織物、編物、一方向配列シート、多軸織物、不織布等)等にしたものであってもよい。中でも、取扱性及び設計自由度の観点から、シート状であることが好ましい。
不連続繊維である場合、強化繊維の平均繊維長は、3〜200mmであることが好ましく、より好ましくは10〜150mmである。
なお、強化繊維の平均繊維長は、積層体又は積層体を含む自動車部品等を焼却したのちに残存する強化繊維の長さの平均値である。
また、上記強化繊維の繊度は、取扱い性の観点から、1,000〜30,000dtexであることが好ましい。
上記強化繊維の平均断面径は、長期特性の観点から、3〜25μmであることが好ましい。
なお、強化繊維の平均断面径は、光学顕微鏡、デジタルマイクロスコープや走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定することができる。
繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂であっても非晶性樹脂であってもよい。
なお、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物を用いる場合、熱可塑性樹脂に含まれる結晶性樹脂の融点及び非晶性樹脂のガラス転移点のうち、最も高い温度が要件を満たすことが好ましい。
使用する熱可塑性樹脂の種類及び配合量等を目的に応じて選択することにより、(A)層の強度、剛性等を調整することができる。
上記熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その他の上記のラクタム、ジアミン(単量体)、ジカルボン酸(単量体)の詳細に関しては、適宜特開2015−101794号公報に記載のものを用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、チーグラー触媒又はメタロセン触媒等を用いて重合されたポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体等のポリプロピレン系樹脂や、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリエチレン系樹脂が挙げられる。
また、繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂が非晶性樹脂である場合、ガラス転移点が0〜200℃であることが好ましい。
また、繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂は、TAがTBと同じであるか又はそれより低いことが好ましい。これにより、積層体を製造する際に、TA以上且つTB以下に成形温度を設定することで、繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂は溶融し易く、熱可塑性発泡樹脂(B)に含まれる熱可塑性樹脂は溶融し難い状態とすることができる。
本実施形態の積層部分に含まれる(B)層は、熱可塑性発泡樹脂(B)を含む。
本実施形態の(B)層に含まれる熱可塑性発泡樹脂(B)は、結晶性樹脂であっても非晶性樹脂であってもよい。
なお、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物を用いる場合、熱可塑性樹脂に含まれる結晶性樹脂の融点及び非晶性樹脂のガラス転移点のうち、最も高い温度が要件を満たすことが好ましい。
使用する熱可塑性樹脂の種類及び配合量等を目的に応じて選択することにより、(B)層の強度、剛性、断熱性、及び吸音性等を調整することができる。
熱可塑性発泡樹脂(B)に含まれる熱可塑性樹脂としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂と同様の樹脂が挙げられ、耐熱性、強度、及び剛性に優れることから、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。
上記熱可塑性発泡樹脂は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の積層部分に含まれる(C)層は、繊維強化熱可塑性樹脂(C)を含む。
本実施形態の(C)層に含まれる繊維強化熱可塑性樹脂(C)は、強化繊維を含有させることにより強度を高めた熱可塑性樹脂である。
本実施形態の(C)層に含まれる繊維強化熱可塑性樹脂(C)は、結晶性樹脂であっても非晶性樹脂であってもよい。
なお、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物を用いる場合、熱可塑性樹脂に含まれる結晶性樹脂の融点及び非晶性樹脂のガラス転移点のうち、最も高い温度が要件を満たすことが好ましい。
使用する強化繊維の種類、配合量、太さ、及び方向性等、並びに熱可塑性樹脂の種類及び配合量等を目的に応じて選択することにより、(C)層の強度及び弾性等を調整することができる。
繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる強化繊維としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる強化繊維と同様の繊維が挙げられ、繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる強化繊維と同じであっても異なっていてもよく、耐衝撃性を向上させる観点からはガラス繊維が特に好ましく、剛性を向上させる観点からは炭素繊維が特に好ましい。
上記強化繊維は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性発泡樹脂(C)に含まれる熱可塑性樹脂としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂と同様の樹脂が挙げられ、繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂と同じであっても異なっていてもよく、耐熱性、強度、及び剛性に優れることから、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。
上記熱可塑性発泡樹脂は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
このように、本実施形態の積層体は、(A)層、(B)層、及び(C)層が全て樹脂として熱可塑性樹脂のみを含む層であることにより、熱硬化性発泡樹脂を含む積層体とは異なり、積層部分を溶融して樹脂を回収・再利用することができるため、リサイクル性に優れている。また特に、(A)層、(B)層、及び(C)層が全て同じ系統の熱可塑性樹脂を含む場合(例えば、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド610をそれぞれ含む場合等)、回収効率が上がり、更にリサイクル性が向上する。
また、繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる熱可塑性樹脂は、TCと上記TAとの差が、50℃以下であることが好ましい。上記差が50℃以下であると、繊維強化熱可塑性樹脂(A)と繊維強化熱可塑性樹脂(C)とを容易に溶着することができる。
また、繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる熱可塑性樹脂は、TCがTBと同じであるか又はそれより低いことが好ましい。これにより、例えば、後述する本実施形態の積層体を含む自動車用ホイールを圧縮成形する際に、TC以上且つTB以下に成形温度を設定することで、繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる熱可塑性樹脂は溶融し易く、熱可塑性発泡樹脂(B)に含まれる熱可塑性樹脂は溶融し難い状態とすることができるため、繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる熱可塑性樹脂が優先的に自動車用ホイールのリムに相当する金型に流れ込み、リムを形成することが可能となる。
本実施形態の積層部分は、上記(A)層、(B)層、及び(C)層の他に、その他の層を有していてもよい。
その他の層としては、特に限定されることなく、上記以外のその他の熱可塑性樹脂を含む層、アルミニウム板や一般鋼板、高張力鋼板等が挙げられる。非鉄金属や鉄を含む場合、熱可塑性樹脂との接合強度を向上させるために、非鉄金属や鉄の表面に化学処理もしくはレーザー処理しておくことが好ましい。
本実施形態の積層体には、必要に応じて添加剤を含有させてもよい。本実施形態の積層体は、例えば、老化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等を配合することができる。
上記添加剤の含有量は、特に限定されることなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定することができる。
本実施形態の積層部分は、低密度部分と高密度部分とを含むことにより、部品点数や加工工数を増やすことなく、低密度部分は断熱性能と吸音性能に優れ、高密度部分は強度や剛性に優れボルト締結や接着、薄肉化が可能な積層体を得ることができる。
本実施形態の積層部分は、熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分を含む。低密度部分は、吸音性及び断熱性に優れるため、ルーフ、フード、サイドドア、バックドア、フロアパネル部分等の自動車部品等に好適である。
なお、見かけの密度(ρ1)は、低密度部分からシート状の測定試料を切り出し、その質量W1(g)及び体積V1(cm3)から、体積V1に対する質量W1の割合(W1/V1)として求められる値である。より具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる
本実施形態の積層部分は、熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分を含む。高密度部分は、強度に優れるため、自動車部品等のボルト締結部分や接着部分等に好適である。
なお、見かけの密度(ρ2)は、高密度部分からシート状の測定試料を切り出し、その質量W2(g)及び体積V2(cm3)から、体積V2に対する質量W2の割合(W2/V2)として求められる値である。より具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる
本発明の第五の態様として、本実施形態の積層体の製造方法は、繊維強化熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性発泡樹脂(B)、及び繊維強化熱可塑性樹脂(C)をこの順に積層し、互いに溶着させて積層体前駆体を形成し、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCとのうち、高い方の温度であるTH以上且つTHプラス50℃以下の温度に加熱した金型に前記積層体前駆体を投入し、型締めすることにより、上述の本実施形態の積層体の積層部分を形成することを特徴とする。
上記積層体の製造方法によれば、1つの積層体において求められる性能が異なる部分を両立することが可能な形状自由度が高い積層体を製造することができるため、積層体の設計自由度を向上させることができる。
上記積層体の製造方法は、積層体の構成材料として、後述する(A)層用の繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグ、(B)層用の熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体、及び(C)層用の繊維強化熱可塑性樹脂(C)プリプレグを用いることが好ましい。
(溶着):成形機、及び上記TH以上THプラス50℃以下に加熱したインロー構造の平板用金型を準備する。繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグ、熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体、及び繊維強化熱可塑性樹脂(C)プリプレグを準備し、この順に金型内に積層する。構成材料にかかる圧力が0.1〜10MPaとなるように型締めし、1〜30分間保持した後、金型をTHマイナス200℃以上THマイナス10℃以下まで冷却し、離型することで、各構成材料間が溶着した積層体前駆体を得る。
(賦形):積層体用金型を準備し、TH以上且つTHプラス50℃以下の温度に加熱する。積層体前駆体を金型に投入し、熱可塑性発泡樹脂(B)が潰れないように積層体前駆体にかかる圧力を0.1〜10MPaとして1〜10分間型締めすることにより、積層体前駆体を加熱・軟化させる。次いで、熱可塑性発泡樹脂(B)を潰すことで薄肉部分が形成されるように、成形機の圧力を1〜10MPaと変更し、1〜10分間型締めすることにより、積層体前駆体を金型形状に賦形させる。
(冷却):金型をTHマイナス200℃以上THマイナス10℃以下まで冷却し、冷却固化を行う。
(離型):金型を開放し、積層体を取り出す。
図1及び図2は上記金型の一例であり、それぞれ(A)は金型の厚み方向の概略断面図であり、(B)は(A)における下側の金型(下型)の概略上面図である。図1の金型によれば、低密度部分に相当する厚肉部分(縦500mm×横400mm×厚み10mm)とその横方向両端に2つの高密度部分に相当する薄肉部分(縦500mm×横50mm×厚み3mm)とを有する積層体を得ることができる。また、同様に、図2の金型によれば、厚肉部分(縦500mm×横400mm×厚み5.7mm)とその横方向両端に2つの薄肉部分(縦500mm×横50mm×厚み4.7mm)とを有する積層体を得ることができる。
なお、金型の凹部側面のテーパー角度θは、1〜45°とすることが好ましい。また、金型の凹部のテーパー状の側面により形成される積層体の側面は、低密度部分を形成する側面(低密度部分に含まれる部分)とする。
上記積層体の製造方法によれば、1つの積層体において求められる性能が異なる部分を両立することが可能な形状自由度が高い積層体を製造することができるため、積層体の設計自由度を向上させることができる。
上記積層体の製造方法は、積層体の構成材料として、後述する(A)層用の繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグ、(B)層用の熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体、及び(C)層用の繊維強化熱可塑性樹脂(C)プリプレグを用いることが好ましい。
(溶着):上述の本発明の第五の態様としての積層体の製造方法における(溶着)工程と同様にして、積層体前駆体を得る。
(賦形):積層体用金型を準備する。短波長赤外線ヒーターを用いて積層体前駆体をTH以上の温度に予め加熱する。金型をTL以下の温度に加熱し、予め加熱しておいた積層体前駆体を金型に投入し、圧力を1〜10.0MPaとして1〜30分間型締めすることにより、積層体前駆体を金型形状に賦形させる。
(冷却)・(離型):上述の本発明の第五の態様としての積層体の製造方法における(冷却)・(離型)工程と同様にして冷却固化を行い、積層体を取り出す。
また、上記の(賦形)工程における金型温度は、より好ましくはTLマイナス50℃以上TL以下である。
(賦形):積層体用金型を準備し、TH以上THプラス50℃以下に加熱する。繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグ、熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体をこの順に金型内に設置する。繊維強化熱可塑性樹脂(C)プリプレグを短波長赤外線ヒーターを用いてTH以上THプラス50℃以下に加熱後、すぐに金型内の熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体の上に積層し、1〜10MPaで型締めして1〜30分間保持することにより、金型形状に賦形させる。
(冷却):金型をTHマイナス200℃以上THマイナス10℃以下まで冷却し、冷却固化を行う。
(離型):金型を開放し、ホイールを取り出す。
具体的には、金型の上型と下型のうちどちらか一方をTH以上THプラス50℃以下に昇温し、もう一方をTHマイナス10℃以下に昇温し、積層体前駆体を挟み込みプレスすることで、熱可塑性発泡樹脂(B)の厚み方向の見かけの密度が異なり、厚み方向に強度・剛性・熱伝導率・吸音率の異なる積層体を得ることが出来る。
また、金型温度を上型と下型とで一定として、短波長赤外線ヒーターを使用して積層体前駆体の片方のみを加熱し、金型で挟みプレスすることで、同様の厚み方向に見かけの密度が異なる積層体を得ることもできる。
繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグは、例えば、フィルム状の熱可塑性樹脂とシート状(織物、編物、一方向配列シート、多軸織物、不織布等)の強化繊維との積層体を加熱・加圧処理する方法、繊維状の熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂繊維)と強化繊維とからなるシート(織物、編物、一方向配列シート、多軸織物、不織布等)を加熱・加圧処理する方法等により、製造することができる。熱可塑性樹脂繊維と強化繊維とからなるシートは、熱可塑性樹脂繊維と強化繊維との混繊糸、コーティング糸、又は含浸糸等を用いて作製してもよい。
加熱・加圧処理としては、例えば、材料を金型に設置し、金型を加熱して金型温度をTA以上TAプラス50℃以下としたのち、型締め力1〜100MPaで型締めして圧縮成形を行う。成形時間は、TAに達してから1〜30分とし、金型をTAマイナス200℃〜TAマイナス10℃まで冷却したのち開放して、繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグを得る。
熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体の製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。中でも、成形性、経済性の観点から、発泡性を備える樹脂粒子を型内に充填し、水蒸気等で加熱し、樹脂粒子を発泡させると同時に樹脂粒子同士を熱融着させることによって、発泡体を製造する方法(型内発泡成形法)が好ましい。
なお、本明細書において、予備発泡粒子とは、最終段階の発泡を行っていない発泡性を備えた樹脂粒子(ビーズ等)を指す。
ここで、上記予備発泡粒子を製造する際に使用される発泡剤としては、特に限定されないが、樹脂への溶解性、取り扱いの容易性の観点から、空気や二酸化炭素ガス(炭酸ガス)等が特に好ましい。
発泡剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
予備発泡粒子の気泡に一定のガス圧力を付与して、粒子内部の気泡の大きさ(セルサイズ)を均一にする観点から、予備発泡粒子を成形用金型のキャビティ内に充填する前に、予備発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理に用いるガスとしては、特には限定されないが、取り扱い容易性及び経済性の観点から、空気や炭酸ガスが好ましい。加圧処理の方法としては、特には限定されないが、予備発泡粒子を加圧タンク内に充填し、該タンク内にガスを供給する手法等が挙げられる。
なお、本明細書において、熱融着温度とは、予備発泡粒子を飽和水蒸気内において加熱し、予備発泡粒子同士が融着する温度を指す。
また、熱可塑性発泡樹脂(B)発泡体のサイズ及び形状は、所望される積層体のサイズ及び形状に依存して種々のサイズとすることができる。
繊維強化熱可塑性樹脂(C)プリプレグは、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグと同様の方法により製造することができる。
本実施形態の積層体は、低密度部分における熱伝導率が、0.02〜0.15W/m・Kであることが好ましく、より好ましい上限は0.1W/m・K以下である。低密度部分における熱伝導率が上記範囲であることにより、積層体を断熱材料として使用することができる。
なお、熱伝導率は、ISO22007−6に準拠して測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の積層体は、低密度部分において、周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上である。低密度部分において、周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が上記範囲であることにより、積層体を吸音材料として好適に使用することができる。
なお、垂直入射吸音率は、JIS A1405−2に準拠して20℃で測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の積層体は、低密度部分における曲げ剛性が、1GPa以上であることが好ましい。低密度部分における曲げ剛性が上記範囲であることにより、薄肉化により軽量化することができる。
また、本実施形態の積層体は、高密度部分における曲げ剛性が、8GPa以上であることが好ましい。高密度部分における曲げ剛性が上記範囲であることにより、薄肉化により軽量化することができる。
なお、曲げ剛性は、ISO178に準拠して23℃で測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の第二の態様として、本実施形態の自動車部品は、上述の積層体を含むことを特徴とする。本実施形態の自動車部品は、上述の積層体を含むことにより、従来の鉄、アルミ等の金属を含む自動車部品と比較して、軽量でありながら耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、及び設計自由度の高いものとなる。
本発明の第三の態様として、本実施形態の自動車用ホイールは、上述の積層体を含むスポーク及び/又はハブを備えることを特徴とする。
本実施形態の自動車用ホイールは、上述の積層体を含むスポーク及び/又はハブを備えることにより、従来の鉄、アルミ等の金属を含む自動車用ホイールと比較して、軽量でありながら耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、及び設計自由度の高いものとなる。
一方向繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる熱可塑性樹脂の種類としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられ、耐熱性、強度、及び剛性に優れることから、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。
上記強化繊維のリムの周方向に対する角度は、0〜45度であることが好ましい。強化繊維のリムの周方向に対する角度が上記範囲であることにより、衝撃や荷重によるリムの撓みを効果的に抑制することができる。
上記自動車用ホイールの製造方法としては、上述の積層体の製造方法と同様に、プレス成形する方法が挙げられる。プレス成形することにより、自動車用ホイールの設計自由度が向上し、部品点数を低減させることができる。
プレス成形では、ホイール用金型において、スポーク及び/又はハブを形成するためのキャビティ部分に上記積層体の構成材料を設置することにより、積層体を含むスポーク及び/又はハブを備えた自動車用ホイールを得ることができる。このとき、溶融した繊維強化熱可塑性樹脂(A)及び/又は(C)がリムを形成するためのキャビティ部分に流れ込むことにより、繊維強化熱可塑性樹脂(A)及び/又は(C)を含むリムを形成することができる。
一方向繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグは、例えば、以下の方法により製造することができる。
<<一方向繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの製造方法>>
一方向繊維強化熱可塑性樹脂をテープ状に裁断し、テープ状に裁断した一方向繊維強化熱可塑性樹脂の一方の端部と他方の端部とを重ねて、一方向繊維強化熱可塑性樹脂の融点以上、加圧力0.1〜100MPaで熱溶着することにより、中空円柱状の一方向繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを製造する。
一方向繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの厚みは、テープ状に裁断したものを重ねて熱溶着することにより、調整することができる。
また、一方向繊維強化熱可塑性樹脂をテープ状に裁断する際に、強化繊維のテープの長さ方向に対する角度を調整することで、成形後のホイールにおける強化繊維のリムの周方向に対する角度を調整することができる。
更に、連続強化繊維に熱可塑性樹脂が含侵しているフィラメントを使用する熱可塑性樹脂用3Dプリンターでも一方向繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを製造することが出来る。
本発明の第四の態様として、本実施形態の自動車部品は、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)と不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)とを含むことを特徴とする。
本実施形態の自動車部品は、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)と不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)とを含むことにより、従来の鉄、アルミ等の金属を含む自動車部品と比較して、軽量でありながら耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、及び設計自由度の高いものとなる。
また、本実施形態の自動車部品は、樹脂として熱可塑性樹脂を用いることにより、自動車部品を溶融して樹脂を回収・再利用することを可能にし、熱硬化性樹脂を含む自動車部品と比較してリサイクル性に優れている。特に、本実施形態の自動車部品に含まれる熱可塑性樹脂が全てが同じ系統のものである場合(例えば、ポリアミド6とポリアミド12とをそれぞれ含む場合等)、回収効率が上がり、リサイクル性が更に向上する。
本実施形態の自動車部品に含まれる連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)は、連続強化繊維を含有させることにより強度を高めた熱可塑性樹脂である。
使用する連続強化繊維の種類、配合量、太さ、及び方向性等、並びに熱可塑性樹脂の種類及び配合量等を目的に応じて選択することにより、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)の強度及び弾性等を調整することができる。
連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)に含まれる連続強化繊維の種類としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる強化繊維と同様のものが挙げられ、耐衝撃性を向上させる観点からはガラス繊維が特に好ましく、剛性を向上させる観点からは炭素繊維が特に好ましい。
上記連続強化繊維は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)に含まれる熱可塑性樹脂の種類としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられ、耐熱性、強度、及び剛性に優れることから、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の自動車部品に含まれる不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)は、不連続強化繊維を含有させることにより強度を高めた熱可塑性樹脂である。
使用する不連続強化繊維の種類、配合量、太さ、及び方向性等、並びに熱可塑性樹脂の種類及び配合量等を目的に応じて選択することにより、不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)の強度及び弾性等を調整することができる。
不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)に含まれる不連続強化繊維は、熱可塑性樹脂中にランダムに分散されていてもよいし、ランダムに配向された不連続繊維を有するランダム配向材(不織布等)として構成されていてもよい。
なお、不連続強化繊維の平均繊維長は、積層体又は積層体を含む自動車部品等を焼却したのちに残存する強化繊維の長さの平均値である。
上記不連続強化繊維は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)に含まれる熱可塑性樹脂の種類としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられ、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)に含まれる熱可塑性樹脂と同じであっても異なっていてもよく、耐熱性、強度、及び剛性に優れることから、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の自動車部品には、必要に応じて添加剤を含有させてもよい。本実施形態の自動車部品は、例えば、老化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等を配合することができる。
上記添加剤の含有量は、特に限定されることなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定することができる。
本実施形態の自動車部品は、上述の連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)を含む表層と、上述の不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を含む基層とを有する積層部分を含むことが好ましい。
本実施形態の自動車部品は、上記積層部分を含むことにより、従来の鉄、アルミ等の金属を含む自動車部品と比較して、軽量でありながら耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、及び設計自由度の高いものとなる。
上記積層部分の表層は、上述の連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)を含む。
上記表層は、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)を含むことにより、強度、剛性、耐衝撃性に優れたものとなっている。特に、表層が連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)としてガラス繊維強化熱可塑性樹脂を含む場合、積層部分の耐衝撃性が向上する。
上記積層部分の基層は、上述の不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を含む。
上記基層は、不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を含み、成形時に不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を金型内で流動させることで形状自由度に優れたものとなる。特に、基層が不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)として炭素繊維強化熱可塑性樹脂を含む場合、積層部分の剛性が向上する。
上記積層部分は、上記表層及び基層の他に、その他の層を有していてもよい。
その他の層としては、特に限定されることなく、上記以外のその他の熱可塑性樹脂を含む層、アルミニウム板や一般鋼板、高張力鋼板層等が挙げられる。非鉄金属や鉄を含む場合、熱可塑性樹脂との接合強度を向上させるために、非鉄金属や鉄の表面に化学処理もしくはレーザー処理しておくことが好ましい。
本実施形態の自動車部品は、上述の積層部分を含むスポーク及び/又はハブを備える自動車用ホイールであることが好ましい。
本実施形態の自動車用ホイールは、スポーク及び/又はハブに上述の積層部分を含むことにより、従来の鉄、アルミ等の金属を含む自動車用ホイールと比較して、軽量でありながら耐衝撃性及び剛性に優れ、断熱性、吸音性、及び設計自由度の高いものとなる。特に、積層部分の表層が連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)としてガラス繊維強化熱可塑性樹脂を含む場合、耐衝撃性が向上し、積層部分の基層が不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)として炭素繊維強化熱可塑性樹脂を含む場合、剛性が向上する。
一方向繊維強化熱可塑性樹脂としては、上述の本発明の第三の態様としての自動車用ホイールに用いられる一方向繊維強化熱可塑性樹脂と同様のものとすることができる。
本発明の第四の態様としての自動車部品は、プレス成形により製造することが好ましい。自動車部品の構成材料としては、上述の繊維強化熱可塑性樹脂(A)プリプレグと同様の方法により製造することが可能な、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)プリプレグ及び不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)プリプレグを用いることが好ましい。
(賦形):ホイール用金型を準備し、連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTDと不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTEとのうち、高い方の温度であるTH’以上且つTH’プラス50℃以下に加熱する。連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)プリプレグを、スポーク及びハブを形成するためのキャビティ部分に設置する。不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)プリプレグを短波長赤外線ヒーターを用いてTE以上TEプラス50℃以下に加熱後、すぐに金型内の連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)プリプレグの上に積層し、1〜100MPaで型締めして1〜30分間保持することにより、金型形状に賦形させる。
(冷却):金型を0〜100℃まで冷却し、冷却固化を行う。
(離型):金型を開放し、ホイールを取り出す。
上記製造方法、溶融した不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)がリムを形成するためのキャビティ部分に流れ込むことにより、不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を含むリムを形成することができる。
実施例及び比較例において使用した測定方法は、以下のとおりである。
実施例及び比較例で得られた積層体からシート状の測定試料を切り出し、質量W(g)及び体積V(cm3)を求めた。体積Vは、ノギスにてシート状の測定試料の3辺を測定して算出した。体積Vに対する質量Wの割合(W/V)を見かけの密度(g/cm3)とした。なお、低密度部分及び高密度部分が形成されている積層体については、各部分から測定試料を切り出して測定した。
実施例及び比較例で得られた積層体から試験片(30mm×30mm×各実施例及び比較例の厚み)を準備し、ISO22007−6に基づき、熱伝導率測定装置(アイフェイズ社製「Mobile−10」)を用いて、試験片の厚み方向の熱伝導率(W/m・K)を測定した。なお、低密度部分及び高密度部分が形成されている積層体については、各部分の試験片を準備して測定した。
実施例及び比較例で得られた積層体について、JIS A1405−2に基づき、周波数160〜5000Hzにおける垂直入射吸音率(%)を20℃において測定した。各積層体から試験片(直径41.5mmの円盤状)を準備し、垂直入射吸音率測定システム(日本音響エンジニアリング社製「WinZacMTX型」)を用いて測定した。試験片は、表層1側から音が入射されるように配置した。測定結果として、1/3オクターブ帯の平均垂直入射吸音率(%)を示す。なお、低密度部分及び高密度部分が形成されている積層体については、各部分の試験片を準備して測定した。
実施例及び比較例で得られた積層体について、ISO178に基づき、曲げ剛性(GPa)を以下の条件にて測定した。3箇所の測定値の平均値を測定結果とした。なお、低密度部分及び高密度部分が形成されている積層体については、各部分の試験片を準備して測定した。また、積層構成が表と裏で異なる積層体については表を向けて設置した場合と裏を向けて設置した場合のそれぞれで曲げ試験を実施し、より剛性の高い値を表中に記入した。
・曲げ弾性率:接線法
・試験環境:23℃、50RH%
・試験片:長さ200mm×幅10mm×各実施例及び比較例の厚みの短冊状
・試験速度:歪速度が1%/min.となるように各厚みで変更
・スパン間:試験片の厚み×16mm
・使用機器:インストロン50kN(インストロン社製)
実施例及び比較例で使用した原材料は以下のとおりである。
・ポリアミド12樹脂(宇部興産(株)製「UBESTA3014U」、融点175℃)
・ポリアミド12短繊維(単繊維繊度:1.7dtex、捲縮数:12山/25mm、捲縮度:13%、カット長:51mm、融点175℃)
・ポリアミド6樹脂(融点225℃)
・ポリアミド66樹脂(旭化成(株)製「1300S」、融点265℃)
・ガラス繊維(繊度:11500dtex、単糸数:2000本)
・炭素繊維(東レ(株)製「T−300」、エポキシ樹脂系サイジング剤の付着量:1.0〜1.2質量%)
・ガラス繊維集束剤
脱イオン水で調製することにより、ガラス繊維集束剤として、以下の組成を有する水溶液を作製した。
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBE−903」)0.5質量%
・潤滑剤:ワックス((株)加藤洋行製「カルナウバワックス」)1質量%
・ポリウレタン樹脂((株)ADEKA製「Y65−55」):2質量%
・結束剤:無水マレイン酸(40質量%)、アクリル酸メチル(50質量%)、及びメタクリル酸メチル(10質量%)の共重合体(重量平均分子量:20000)を3質量%
・5000系アルミニウム(白銅(株)製「A5052」)
・ポリアミド12樹脂フィルム:ポリアミド12樹脂を用いて、Tダイ押出成形機((株)創研製)により、樹脂フィルム(厚み150μm、目付170g/m2)を作製した。
・ポリアミド66樹脂フィルム:ポリアミド66樹脂を用いて、Tダイ押出成形機((株)創研製)により、樹脂フィルム(厚み150μm、目付170g/m2)を作製した。
ガラス繊維集束剤0.45質量%を付着させたガラス繊維を作製した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は17μmとした。得られたガラス繊維を経糸及び緯糸として用い、レピア織機(織幅2m)により製織することでガラスクロス(平織、織密度6.5本/25mm、目付600g/m2)を作製した。
炭素繊維のチョップド繊維(平均繊維長50mm)50質量%とポリアミド12短繊維50質量%との混綿を、オプナー、ローラーカード、クロスレイアー、ローラーカード、及びニードルパンチングの各工程に通し、不連続炭素繊維とポリアミド12短繊維との不織布(目付400g/m2)を作製した。
ポリアミド6が一方向ガラス繊維に含侵した一方向ガラス繊維強化ポリアミド樹脂(TENCATE社製「CETEX TC910」、ガラス含有量40質量%、密度1.46g/cm3、幅166mm、厚み0.25mm)
積層体の製造に使用するための連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1、不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC1、及びポリアミド発泡体B1を以下の方法で製造した。
〈連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1の製造〉
成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)及びインロー構造の平板(縦500mm×横500mm×厚み0.4mm)用金型を準備した。
ポリアミド12樹脂フィルム及びガラスクロスを金型形状に合わせて切断し、ポリアミド12樹脂フィルム1枚、ガラスクロス1枚、ポリアミド12樹脂フィルム1枚の順で積層し、金型内に設置した。
金型を加熱して金型温度を200℃とし、次いで型締め力5MPaで型締めして、圧縮成形を行った。成形時間は、ポリアミド12の融点である175℃に達してから15分とし、金型を100℃まで冷却したのちに開放して、連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1(縦500mm×横500mm×厚み0.4mm、体積分率(樹脂/強化繊維)58/42、密度1.73g/cm3)を得た。
成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)及びインロー構造の平板(縦500mm×横500mm×厚み0.3mm)用金型を準備した。
不織布を金型形状に合わせて切断し、1枚を金型内に設置した。
金型を加熱して金型温度を200℃とし、次いで型締め力5MPaで型締めして、圧縮成形を行った。成形時間は、ポリアミド12の融点である175℃に達してから15分とし、金型を100℃まで冷却したのちに開放して、不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC1(縦500mm×横500mm×厚み0.3mm、体積分率(樹脂/強化繊維)40/60、密度1.4g/cm3)を得た。
ポリアミド6樹脂を単軸押出機にて加熱条件下で溶融混練し、その後ストランド状に押出し、冷水槽で水冷し、カッティングを行い、ペレット形状の基材樹脂を得た。
これに、特開2011−105879号公報の実施例に記載の方法に準じて、基材樹脂に発泡剤としての炭酸ガスを含有させ、炭酸ガスを含有した基材樹脂を加熱することにより発泡を生じさせて、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.5MPaとなるまで、圧縮空気を導入し、その後、当該圧力を24時間保持することによって、予備発泡粒子に加圧処理を施した。
型内発泡成形機に取り付けた金型を型締めした後、加圧処理した予備発泡粒子を充填し、その後、キャビティ内に135℃の飽和水蒸気を10秒間供給し(一段階目の加熱)、更に、キャビティ内に144℃の飽和水蒸気を30秒間供給して(二段階目の加熱)、予備発泡粒子を発泡させ、且つ熱融着させることによって、ポリアミド発泡体B1(厚み10mm、密度:228kg/m3、発泡倍率:5倍)を得た。
〈積層体の製造〉
(溶着):成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)、及び220℃に加熱したインロー構造の平板用金型(縦500mm×横500mm)を準備した。連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1を1枚と、ポリアミド発泡体B1を1枚と、不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC1を1枚とを準備し、この順に金型内に積層した。構成材料にかかる圧力が0.1MPaとなるように型締めし、1分間保持した後、金型を100℃まで冷却し、離型することで、各構成材料間が溶着した積層体前駆体を得た。
(賦形):図1に示すような、厚肉部分(縦500mm×横400mm×厚み10mm)とその横方向両端に2つの薄肉部分(縦500mm×横50mm×厚み3mm)とを有する積層体を得るための金型(凹部側面のテーパー角度θは10°)を準備し、220℃に加熱した。積層体前駆体を金型に投入し、圧力を0.1MPaとして2分間型締めすることにより、積層体前駆体を加熱・軟化させた。次いで、圧力を1.0MPaとして1分間型締めすることにより、積層体前駆体を金型形状に賦形させた。
(冷却):金型を100℃まで冷却し、冷却固化を行った。
(離型):金型を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体の高密度部分に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、積層体が破損したり、高密度部分の厚みが変化したりすることは無かった。
連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1とポリアミド発泡体B1との間に更に不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC1を積層させることにより、中層を作製したこと以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
得られた積層体の構成及び物性を表1に示す。
得られた積層体の高密度部分に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、積層体が破損したり、高密度部分の厚みが変化したりすることは無かった。
賦形工程において積層体前駆体を予め加熱したこと以外は、実施例2と同様にして積層体を製造した。
〈積層体の製造〉
(賦形):短波長赤外線ヒーター(へレウス社製)を用いて、積層体前駆体の表層1及び表層2が200℃になるまで積層体前駆体を予め加熱した。150℃に加熱した金型に、予め加熱した積層体前駆体を投入し、圧力を1.0MPaとして1分間型締めし、薄肉部分のポリアミド発泡体B1を潰すことにより、金型形状に賦形させた。
得られた積層体の構成及び物性を表1に示す。
得られた積層体の高密度部分に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、積層体が破損したり、高密度部分の厚みが変化したりすることは無かった。
厚み2.0mmの不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC2を表層2用に使用し、賦形工程で使用する金型を変更したこと以外は、実施例3と同様にして積層体を製造した。
〈不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC2の製造〉
成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)及びインロー構造の平板(縦500mm×横500mm×厚み2.0mm)用金型を準備した。
不織布を金型形状に合わせて切断し、7枚を金型内に設置した。
金型を加熱して金型温度を200℃とし、次いで型締め力15MPaで型締めして、圧縮成形を行った。成形時間は、ポリアミド12の融点である175℃に達してから15分とし、金型を100℃まで冷却したのちに開放して、不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC2(縦500mm×横500mm×厚み2.0mm、体積分率(樹脂/強化繊維)37/63、密度1.38g/cm3)を得た。
〈積層体の製造〉
(賦形):短波長赤外線ヒーター(へレウス社製)を用いて、積層体前駆体の表層1及び表層2が200℃になるまで積層体前駆体を予め加熱した。図2に示すような、厚肉部分(縦500mm×横400mm×深さ5.7mm)とその横方向両端に2つの薄肉キャビティ(縦500mm×横50mm×深さ4.7mm)とを有する積層体を得るための金型(凹部側面のテーパー角度θは10°)を準備し、150℃に加熱した。金型に予め加熱しておいた積層体前駆体を投入し、圧力を1.0MPaとして1分間型締めし、積層体前駆体を金型形状に賦形させた。
得られた積層体の構成及び物性を表1に示す。
得られた積層体の高密度部分に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、積層体が破損したり、高密度部分の厚みが変化したりすることは無かった。
ホイールの製造に使用するための連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2及び不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC3を以下の方法で製造した。
〈連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2の製造〉
上述のとおり製造した連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1を直径415mmの円板状に切り出し、連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2を得た。
成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)及びインロー構造の平板(縦500mm×横500mm×厚み5.1mm)用金型を準備した。
不織布を金型形状に合わせて切断し、17枚を金型内に設置した。
金型を加熱して金型温度を200℃とし、次いで型締め力15MPaで型締めして、圧縮成形を行った。成形時間は、ポリアミド12の融点である175℃に達してから15分とし、金型を100℃まで冷却したのちに開放して、平板状の不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグ(縦500mm×横500mm×厚み5.1mm、体積分率(樹脂/強化繊維)40/60、密度1.4g/cm3)を得た。
次いで、得られた平板状の不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグを直径415mmの円板状に切り出し、不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC3を得た。
〈ホイールの製造〉
(賦形):15インチのホイール(スポーク5本、4穴)を成形可能な金型を準備し、180℃に加熱した。1枚の連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2を、スポーク及びハブを形成するためのキャビティ部分に設置した。次いで、5枚の不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC3を短波長赤外線ヒーター(へレウス製)で表層が200℃になるまで加熱後、すぐに金型内の連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2の上に積層し、10MPaで型締めして1分間保持することにより、金型形状に賦形させた。
(冷却):金型を100℃まで冷却し、冷却固化を行った。
(離型):金型を開放し、ホイールを取り出した。
連続ガラス繊維強化ポリアミドの表層と、不連続炭素繊維強化ポリアミドの本体とで構成されたスポーク及びハブと、不連続炭素繊維強化ポリアミドが金型内で流動することにより形成されたリムとを有するホイールが得られた。なお、720gの不連続炭素繊維強化ポリアミドが、バリとして金型外に流出した。得られたホイールの構成及び物性を表1に示す。
基層としてポリアミド発泡体B2を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてホイールを製造した。
〈ポリアミド発泡体B2の製造〉
上述のポリアミド発泡体B1と同様にして製造したポリアミド発泡体(厚み15mm、密度:228kg/m3、発泡倍率:5倍)を直径415mmの円板状に切り出し、ポリアミド発泡体B2を得た。
(賦形):15インチのホイール(スポーク5本、4穴)を成形可能な金型を準備し、180℃に加熱した。1枚の連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2及び1枚のポリアミド発泡体B2を、この順にスポーク及びハブを形成するためのキャビティ部分に設置して積層した。次いで、3枚の不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC3を短波長赤外線ヒーター(へレウス製)で表層が200℃になるまで加熱後、すぐに金型内のポリアミド発泡体B2の上に積層し、10MPaで型締めして1分間保持することにより、金型形状に賦形させた。
(冷却)・(離型):実施例5と同様に行った。
低密度部分と高密度部分とを有する積層体(表面から順に、連続ガラス繊維強化ポリアミド、ポリアミド発泡体、不連続炭素繊維強化ポリアミドが積層)で構成されたスポーク及びハブと、不連続炭素繊維強化ポリアミドが金型内で流動することにより形成されたリムとを有するホイールが得られた。得られたホイールの構成及び物性を表1に示す。
一方向ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグを製造し、リムの表面に一方向ガラス繊維強化ポリアミドの層を含むホイールとしたこと以外は、実施例6と同様にしてホイールを製造した。
〈一方向ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグの製造〉
一方向ガラス繊維強化ポリアミド樹脂を裁断し、長さ1310mm×幅15mm×厚み0.25mmの大きさの一方向ガラス繊維強化ポリアミド樹脂(ガラス繊維の方向は長さ方向)を2枚準備した。2枚の一方向ガラス繊維強化ポリアミド樹脂を重ね、温度250℃、加圧力5MPaで熱溶着し、長さ1310mm×幅15mm×厚み0.5mmの大きさの一方向ガラス繊維強化ポリアミド樹脂を得た。更に、この一方向ガラス繊維強化ポリアミド樹脂の一方の端部(長さ3.5mm)と他方の端部(長さ3.5mm)とを重ねて温度250℃、加圧力5MPaで熱溶着することにより、中空円柱状(直径415mm、幅15mm、厚み0.5mm)の一方向ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグを得た。
(賦形):15インチのホイール(スポーク5本、4穴)を成形可能な金型を準備し、180℃に加熱した。1枚の連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA2及び1枚のポリアミド発泡体B2を、この順にスポーク及びハブを形成するためのキャビティ部分に設置して積層し、リムを形成するためのキャビティ部分に中空円柱状の一方向繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを設置した。次いで、3枚の不連続炭素繊維強化ポリアミドプリプレグC3を短波長赤外線ヒーター(へレウス製)で表層が200℃になるまで加熱後、すぐに金型内のポリアミド発泡体B2の上に積層し、10MPaで型締めして1分間保持することにより、金型形状に賦形させた。
(冷却)・(離型):実施例6と同様に行った。
低密度部分と高密度部分とを有する積層体(表面から順に、連続ガラス繊維強化ポリアミド、ポリアミド発泡体、不連続炭素繊維強化ポリアミドが積層)で構成されたスポーク及びハブと、一方向ガラス繊維強化ポリアミドのリム表層及び不連続炭素繊維強化ポリアミドが金型内で流動することにより形成されたリム本体で構成されたリムとを有するホイールが得られた。得られたホイールの構成及び物性を表1に示す。
ポリアミド発泡体B1を製造し、単層体とした。得られた単層体の構成及び物性を表2に示す。
得られた単層体に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、単層体の厚み方向の強度及び剛性が不足してボルトが厚み方向に沈み込み、締結できなかった。
ポリアミド発泡体B1を製造し、次いで、成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)、及びインロー構造の平板(縦500mm×横500mm×厚み2mm)用金型を準備し、ポリアミド発泡体B1を金型内に設置した。
金型を加熱して金型温度を250℃とし、次いで型締め力15MPaで型締めして、圧縮成形を行った。成形時間は、ポリアミド6の融点である225℃に達してから15分とし、金型を100℃まで冷却したのちに開放して、単層体(厚み2mm、見かけの密度1.14g/cm3)を得た。得られた単層体の構成及び物性を表2に示す。
得られた単層体に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、単層体が破損したり、厚みが変化したりすることは無かった。
下記のように連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA3を製造し、単層体とした。
〈連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA3の製造〉
ポリアミド12樹脂フィルム1枚、ガラスクロス1枚、及びポリアミド12樹脂フィルム1枚を1セットとして13セット分を積層し、金型内に設置した以外は、連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA1の製造と同様にして連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA3(縦500mm×横500mm×厚み5.2mm、体積分率(樹脂/強化繊維)58/42、密度1.73g/cm3)を製造し、単層体を得た。得られた単層体の構成及び物性を表2に示す。
得られた単層体に直径8mmのキリ穴を設け、M6のボルトを通してナットを取り付け、9.2N・mのトルクで締め付けたところ、単層体が破損したり、厚みが変化したりすることは無かった。
縦500mm×横500mm×厚み10mmのアルミニウムを用い、単層体とした。得られた単層体の構成及び物性を表2に示す。
連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA4を表層1及び表層2用に使用したこと以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
〈連続繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグA4の製造〉
成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)及びインロー構造の平板(縦500mm×横500mm×厚み0.4mm)用金型を準備した。
ポリアミド66樹脂フィルム及びガラスクロスを金型形状に合わせて切断し、ポリアミド66樹脂フィルム1枚、ガラスクロス1枚、ポリアミド66樹脂フィルム1枚の順で積層し、金型内に設置した。
金型を加熱して金型温度を300℃とし、次いで型締め力5MPaで型締めして、圧縮成形を行った。成形時間は、ポリアミド66の融点である265℃に達してから15分とし、金型を150℃まで冷却したのちに開放して、連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA4(縦500mm×横500mm×厚み0.4mm、体積分率(樹脂/強化繊維)58/42、密度1.73g/cm3)を得た。
〈積層体の製造〉
(溶着):成形機(最大型締め力300トンの東芝機械(株)製「S100V−8A」)、及び300℃に加熱したインロー構造の平板用金型(縦500mm×横500mm)を準備した。連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA4を1枚と、ポリアミド発泡体B1を1枚と、連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA4を1枚とを準備し、この順に金型内に積層した。構成材料にかかる圧力が0.1MPaとなるように型締めし、1分間保持した後、金型を100℃まで冷却し、離型することで、各構成材料間が溶着した積層体前駆体を得た。
(賦形):金型を300℃に加熱したこと以外は実施例1と同様にして、積層体前駆体を金型形状に賦形させた。
(冷却)・(離型):実施例1と同様に行った。
賦形時にポリアミド発泡体が全体的に潰れてしまい、金型形状に沿った良好な積層体は得られなかった。得られた積層体の構成及び物性を表2に示す。
実施例5で製造したホイールと同じ形状のアルミニウム製15インチホイール(スポーク5本、4穴、質量8.4kg)を用いた。ホイールの構成及び物性を表2に示す。
連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA5のみを用いてホイールを製造した。
〈連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA5の製造〉
連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA3を直径415mmの円板状に切り出し、連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA5を得た。
〈ホイールの製造〉
(賦形):15インチのホイール(スポーク5本、4穴)を成形可能な金型を準備し、180℃に加熱した。5枚の連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA5を短波長赤外線ヒーター(へレウス製)で表層が200℃になるまで加熱後、すぐに金型内に積層し、10MPaで型締めして1分間保持することにより、金型形状に賦形させた。
(冷却)・(離型):実施例5と同様に行った。
連続ガラス繊維強化ポリアミドプリプレグA5は流動性に乏しく、金型形状に沿った良好なホイールは得られなかった。得られたホイールの構成及び物性を表2に示す。
Claims (19)
- 繊維強化熱可塑性樹脂(A)を含む(A)層と、熱可塑性発泡樹脂(B)を含む(B)層と、繊維強化熱可塑性樹脂(C)を含む(C)層とをこの順に含む積層部分を含み、
前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTBとの差が50℃以下であり、
前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCと、前記TBとの差が50℃以下であり、
前記積層部分が、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含み、
前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5以上であり、
前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%である
ことを特徴とする、積層体。 - 前記(A)層と前記(B)層との間に、前記(C)層が更に積層されている、請求項1に記載の積層体。
- 前記TA及び前記TCが、前記TBと同じであるか又はそれより低い、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)が連続繊維強化熱可塑性樹脂であり、前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)が不連続繊維強化熱可塑性樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)に含まれる強化繊維がガラス繊維又は炭素繊維であり、前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)に含まれる強化繊維がガラス繊維又は炭素繊維である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- ISO22007−6に準拠して測定した熱伝導率が、前記低密度部分で0.02〜0.15W/m・Kである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
- JIS A1405−2に準拠して20℃で測定した周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が、前記低密度部分で10%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体を含むことを特徴とする、自動車部品。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体を含むスポークを備えることを特徴とする、自動車用ホイール。
- 一方向繊維強化熱可塑性樹脂を含む層を有するリムを備え、前記一方向繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる強化繊維は、前記リムの周方向に対して一定の角度で配向している、請求項9に記載の自動車用ホイール。
- 連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)と不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)とを含むことを特徴とする、自動車部品。
- 前記連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)を含む表層と、前記不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)を含む基層とを有する積層部分を含む、請求項11に記載の自動車部品。
- 前記連続繊維強化熱可塑性樹脂(D)に含まれる強化繊維がガラス繊維であり、前記不連続繊維強化熱可塑性樹脂(E)に含まれる強化繊維が炭素繊維である、請求項11又は12に記載の自動車部品。
- 前記積層部分を含むスポークを備える自動車用ホイールである、請求項12又は13に記載の自動車部品。
- 更に、一方向繊維強化熱可塑性樹脂を含む層を有するリムを備える自動車用ホイールであり、前記一方向繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる強化繊維は、前記リムの周方向に対して一定の角度で配向している、請求項14に記載の自動車部品。
- 繊維強化熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性発泡樹脂(B)、及び繊維強化熱可塑性樹脂(C)をこの順に積層し、互いに溶着させて積層体前駆体を形成し、
前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCとのうち、高い方の温度であるTH以上且つTHプラス50℃以下の温度に加熱した金型に前記積層体前駆体を投入し、型締めすることにより、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含む積層部分を形成し、
前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5超であり、
前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%である
ことを特徴とする、積層体の製造方法。 - 前記積層体前駆体の形成において、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性発泡樹脂(B)との間に、更に繊維強化熱可塑性樹脂(C)を積層することを含む、請求項16に記載の積層体の製造方法。
- 繊維強化熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性発泡樹脂(B)、及び繊維強化熱可塑性樹脂(C)を、この順に積層し、互いに溶着させて積層体前駆体を形成し、
前記積層体前駆体を、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTAと前記繊維強化熱可塑性樹脂(C)の融点又は融点を有しない場合はガラス転移点であるTCとのうち、高い方の温度であるTH以上の温度に加熱し、
加熱した前記積層体前駆体を、前記TAと前記TCとのうち低い方の温度であるTL以下の温度に加熱した金型に投入して型締めすることにより、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が低い低密度部分と、前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度が高い高密度部分とを含む積層部分を形成し、
前記低密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ1)に対する、前記高密度部分における前記熱可塑性発泡樹脂(B)の見かけの密度(ρ2)の割合(ρ2/ρ1)が1.5超であり、
前記積層部分の積層方向からみたときの平面視において、前記積層部分の総面積を100%としたときに、前記低密度部分の面積が50〜90%であり、前記高密度部分の面積が10〜50%である
ことを特徴とする、積層体の製造方法。 - 前記積層体前駆体の形成において、前記繊維強化熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性発泡樹脂(B)との間に、更に繊維強化熱可塑性樹脂(C)を積層することを含む、請求項18に記載の積層体の製造方法。
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