JP6085798B2 - 3次元形状成形用複合材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3次元形状の成形品を得るのに好適な成形用複合材及びその製造方法に関する。
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維といった強化繊維と熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を組み合せた繊維強化複合材の開発が進められており、軽量で剛性が高く多様な機能設計が可能なため、航空宇宙分野、土木建築分野等の幅広い分野において成形品が用いられている。繊維強化複合材は、強化繊維を一方向に引き揃えた薄い繊維シートを多方向に積層して用いることで強度を高めることができるため、積層方法に関して様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1では、芯材の両面にマトリックス樹脂が含浸した強化繊維からなる繊維強化樹脂を含む表皮材を接着した繊維強化樹脂製サンドイッチパネルが記載されている。また、特許文献2では、強化繊維の一方向に引き揃えられた一方向強化繊維基材が2層重ねられ、その層間に介在された熱可塑性樹脂からなる結着材で互いに結着された強化繊維積層体が記載されている。また、特許文献3では、熱可塑性プラスチックの2つの層のあいだに強化繊維が配置された中間製品が記載されている。
特開2005−313613号公報 特開2008−132650号公報 特開2011−073436号公報
上述した特許文献では、マトリックス樹脂及び強化繊維を組み合せた複合材を成形する場合、マトリックス樹脂及び強化繊維を組み合せた積層体を加熱加圧するようにしている。しかしながら、こうした積層体を3次元形状に成形する場合、曲面形状に成形される部分では割れや皺が生じることがあり、特に、金型を用いたプレス成形では角部等の曲率が大きい部分において割れや皺の発生を回避するための対策が必要となる。
そのため、割れや皺が発生しやすい部分に対応して、積層体に予め切り込みや切り欠きを形成しておき、割れや皺の発生を防止することが考えられるが、積層体に切り込みや切り欠きを形成すると強化繊維を切断することになり、成形品の強度低下が避けられない。
そこで、本発明は、割れや皺のない3次元形状を成形することができる成形用複合材及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る3次元形状成形用複合材は、強化繊維となる長繊維を面状に引き揃えてマトリックス樹脂となるMFRが0.1g/10min〜40g/10minの熱可塑性樹脂材料により一体形成されたスキン層と、面状に分布する短繊維をマトリックス樹脂となるMFRが1g/10min〜60g/10minで前記スキン層の熱可塑性樹脂材料より大きい熱可塑性樹脂材料により一体形成されたコア層とを積層一体化して構成されており、前記スキン層は、前記長繊維を所定方向に引き揃えたシート材を多軸に積層している。さらに、前記スキン層は、前記熱可塑性樹脂材料が前記長繊維に含浸状態又は半含浸状態で一体形成されている。さらに、 前記コア層は、繊維長が0.5mm〜8.0mmの短繊維が3%〜50%の体積含有率で全体に分布している。さらに、 前記スキン層の厚さは0.04mm〜0.32mmであり、前記コア層の厚さは0.1mm〜1.0mmである。
本発明に係る3次元形状成形用複合材の製造方法は、マトリックス樹脂となるMFRが1g/10min〜60g/10minの熱可塑性樹脂材料及び短繊維を混合してシート状に押出成形し、強化繊維となる長繊維を面状に引き揃えて多軸に積層しマトリックス樹脂となるMFRが0.1g/10min〜40g/10minで押出成形したシート材の熱可塑性樹脂材料より小さい熱可塑性樹脂材料により一体形成されたシート材を押出成形したシート材に重ね合わせて熱融着させて積層一体化する。
本発明は、上記のような構成を有することで、金型を用いたプレス成形等により3次元形状に成形加工する場合に割れや皺のない形状に成形することができる。
本発明に係る成形用複合材に関する概略断面図である。 別の成形用複合材に関する概略断面図である。 別の成形用複合材に関する概略断面図である。 別の成形用複合材に関する概略断面図である。 成形用複合材の製造装置に関する概略構成図である。 成形用複合材を用いて3次元形状の成形品を成形する成形工程に関する説明図である。 成形用複合材の切断面を拡大して撮影した写真である。 実施例である容器状成形品の側面の外表面を撮影した写真である。 比較例である容器状成形品の側面の外表面を撮影した写真である。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る成形用複合材に関する概略断面図である。成形用複合材は、強化繊維となる長繊維を面状に引き揃えてマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂材料により一体形成されたスキン層1と、面状に分布する短繊維をマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂材料により一体形成されたコア層2とを積層一体化して構成されている。
スキン層1に用いる長繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維等の無機繊維、麻や木質ファイバ等の天然繊維、金属繊維、アラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維等のFRPに用いられる高強度・高弾性率の無機繊維や有機繊維などが挙げられる。また、これらの長繊維が集束した繊維束を複数組み合せてもよい。なお、長繊維の繊度、繊維本数、強度、弾性率といった物性については特に限定されない。長繊維のスキン層における体積含有率は、30%〜80%に設定するとよい。30%より小さいとプレス加工時にスキン層内の長繊維が過剰に流動するため、皺が発生する原因となり、80%を超えると含浸状態が著しく低下するため好ましくない。
スキン層1に用いる熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド61、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミド系、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル・スチレン樹脂といったものが挙げられ、これら樹脂材料を複数種類混合してポリマーアロイとして用いることもできる。なお、熱可塑性樹脂材料の粘度に起因する分子量については、マトリックス樹脂として適当な繊維強化性能を発揮するものであればよく、特に制限はない。
スキン層1に含まれる熱可塑性樹脂材料は、層全体に満遍なく含浸した状態又は層全体に満遍なく含浸せずに一部空隙を残した半含浸状態となって一体形成されている。特に、熱可塑性樹脂材料を半含浸状態にすることで、成形用複合材としてのドレープ性を確保することができ、剥離しにくくドレープ性の良好な高品質の複合材を得ることができる。
使用する熱可塑性樹脂材料のMFR(Melt Flow rate)は、0.1g/10min〜40g/10minに設定するとよい。0.1g/10minより小さいと含浸状態が著しく低下する原因となり、40g/10minを超えるとプレス加工時に熱可塑性樹脂材料が流れ出てしまうため好ましくない。
また、スキン層1の厚みは、成形用複合材の良好な賦形性を得るためには、厚みを0.04mm〜0.32mmに設定するとよく、好ましくは0.08mm〜0.24mmとするとよい。厚みが0.04mmより薄くなると複合材の機械強度の目標値が得られなくなり、0.32mmより厚くなるとドレープ性が低下し、割れや皺が発生する原因となって好ましくない。
コア層2に用いる短繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維等の無機繊維、麻や木質ファイバ等の天然繊維、金属繊維、アラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維等のFRPに用いられる高強度・高弾性率の無機繊維や有機繊維などが挙げられ、これらの短繊維を複数組み合わせてもよい。短繊維の長さは、0.5mm〜8.0mmに設定するとよく、好ましくは1.0mm〜5.0mmとするとよい。また、短繊維のコア層2における体積含有率は、3%〜50%に設定するとよく、好ましくは5%〜40%とするとよい。3%より小さいとプレス加工時にスキン層内の長繊維が過剰に流動するため、皺が発生する原因となり、50%を超えるとドレープ性が低下し、割れや皺の発生する原因となって好ましくない。
コア層2に用いる熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド61、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミド系、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル・スチレン樹脂といったものが挙げられ、これら樹脂材料を複数種類混合してポリマーアロイとして用いることもできる。なお、熱可塑性樹脂材料の粘度に起因する分子量については、マトリックス樹脂として適当な繊維強化性能を発揮するものであればよく、特に制限はない。
なお、コア層2に用いる熱可塑性樹脂材料は、スキン層1に用いる熱可塑性樹脂材料と通常同じものを使用するが、MFRが異なる材料を用いてもよい。この場合、成形圧力を制御することで、任意の積層体を得ることができる。
さらには、コア層2に用いる熱可塑性樹脂材料のMFRをスキン層1に用いる熱可塑性樹脂材料のMFRより大きくなるように設定することで、プレス加工時に成型品の肉厚をより安定させることができる。コア層2に用いる熱可塑性樹脂材料の具体的なMFRは、1g/10min〜60g/10minに設定するとよい。1g/10minより小さいと、プレス加工時に金型に追従しなくなり、60g/10minを超えるとプレス加工時に熱可塑性樹脂材料が流れ出し、目的の厚みより薄くなるため好ましくない。
また、コア層2に用いる熱可塑性樹脂材料は、スキン層1に用いる熱可塑性樹脂材料と異なるものを使用することもできる。異なる樹脂材料を用いることで、スキン層1とコア層2との境界部分で異なる樹脂材料が入り込んだ状態となって層間のアンカー効果を得ることができる。また、複合材の厚み方向に異なる熱可塑性樹脂材料からなる複数の樹脂領域を形成しているので、特性の異なる熱可塑性樹脂材料を用いれば、各熱可塑性樹脂材料が有する特性を併せ持つ優れた特性を備えた複合材を得ることができる。例えば、表層に靱性の高い熱可塑性樹脂材料を用い、内層に所定温度状態で流動性の高い熱可塑性樹脂材料を用いて複合材を構成すれば、複合材を複数枚積層して成形加工する場合、流動性の高い熱可塑性樹脂材料がスキン層1全体に満遍なく含浸してボイドのない成形品を得ることができ、また、層間には靱性の高い樹脂層が形成されるため層間剥離が生じにくい成形品とすることができる。
また、コア層2の厚みは、成形用複合材の良好な賦形性を得るためには、厚みを0.1mm〜1.0mmに設定するとよく、好ましくは0.5mm〜0.8mmとするとよい。厚みが0.1mmより薄くなると複合材の機械強度の目標値が得られなくなり、1.0mmより厚くなるとドレープ性が低下し、割れや皺が発生する原因となって好ましくない。
図1に示す例では、スキン層1及びコア層2が1層ずつ積層一体化したシート状の複合材であるが、図2に示すように、コア層2の両面に1層ずつスキン層1を積層してサンドイッチ状に一体化して複合材を構成することもできる。また、図3に示すように、スキン層1及びコア層2を交互に積層して一体化することもできる。図4では、スキン層1において長繊維を引き揃えた方向が多軸となるように配列されている。この例では、スキン層1は、長繊維を引き揃えた方向が4つの異なる方向に設定された4枚のシート1a〜1dが積層されて構成されている。例えば、4枚のシートの長繊維の引き揃えた方向を45度ずつずらして積層することで、複合材が面方向において強度的に等方性を備えるようにすることができる。
スキン層1となるシート材を成形する場合には、長繊維からなる繊維束を公知の開繊処理により所定幅に開繊した後、開繊したシート材の表面に、フィルム状、パウダ状、織物状又は不織布状に形成された熱可塑性樹脂材料を層状に重ね合わせて加熱及び加圧することで、製造することができる。加熱及び加圧により熱可塑性樹脂材料が溶融してシート状に引き揃えられた長繊維の間に含浸又は半含浸の状態で入り込むようになる。加熱処理の後に冷却処理を組み合せることで、長繊維及び熱可塑性樹脂材料を最適の状態で一体形成することができる。一体形成されたシート材は、柔軟性を備えており、一旦ロール状に巻き取られる。
ここで、長繊維のシート材への熱可塑性樹脂材料の含浸とは、長繊維のシート材を構成する各繊維間の空間に樹脂が入り込み、各繊維と樹脂が一体化されることである。長繊維のシート材の空間のほぼ全体に樹脂が入り込んだ状態を含浸と称することが一般的であるが、本発明では、空間に隙間が残った状態の半含浸である状態においても含浸として取り扱うようにしている。
図5は、成形用複合材の製造装置に関する概略構成図である。この例では、コア層2の両面にスキン層1を積層一体化した複合材を製造するようになっている。押出機10には、コア層2を構成する短繊維及び熱可塑性樹脂材料を所定の割合で配合した原料が投入されて樹脂材料が溶融されて短繊維が均一に分布するように混合される。そして、Tダイ11から溶融状態の混合物が吐出されて所定幅のシート状に押出成形されるようになる。Tダイ11から混合物が吐出される際に、押出成形されるシートの面方向に沿うように短繊維が吐出されて短繊維の長手方向が面方向に揃うように成形される。
押出成形により連続成形されたコア層2となるシート材Cの両側には、スキン層となるシート材S1がロール状に巻き取られた状態で配置されている。巻取りロールから連続して繰り出されたシート材S1は、シート材Cの両面に重ね合わされて一対の加熱ロール12により圧接されて搬送されていく。加熱ロール12の間を通過する際に加熱加圧されてシート材Cの両面にシート材S1がラミネート加工されて熱融着するようになる。そして、加熱ロール12の搬送方向下流側に設置された一対の冷却ロール13の間をシート材C及びシート材S1が通過する際に冷却加圧されてシート材Cの両面にシート材S1が積層一体化されて複合材が成形される。積層一体化されたシート状の複合材は、引取機14により搬送されていき、巻取り機15により巻き取られる。なお、加熱ロールは、必ずしも加熱する必要はなく、コア層となるシート材の成形は、押出成形に限定されず、プレス成形、射出成形といった公知の成形方法を用いることもできる。さらに、複合材の積層加工も、上述した例以外に、プレス加工等の公知の加工方法を用いて複合材を積層一体化することもできる。
図6は、成形用複合材を用いて3次元形状の成形品を成形する成形工程に関する説明図である。図5に示す製造装置により得られた複合材Fを所要の大きさ、所要の角度にて切断し、切断した複合材L1及びL2を加熱プレス成形装置16に設置されている予備成形用下型である平板用下金型17Dに積層した後、予備成形用上型である平板用上金型17Uを下降させて、加熱加圧を行い、複合材を複数枚積層した予備成形積層材18を得る。なお、予備成形用型が平板状であるため、予備成形積層材18は平板状の積層材となる。
次に、予備成形積層材18を遠赤外線方式等の加熱方式を採用した加熱装置19により母材(マトリックス)である熱可塑性樹脂材料が軟化さらには溶融するまで加熱し、その後、その状態の予備成形積層材18を冷却プレス成形装置20に設置されている成形用下金型21Dに設置する。そして、直ちに、成形用上金型21Uを下降させ、加圧成形を行い、予備成形積層材18を3次元形状に成形し、成形品22を得る。
プレス加工により3次元形状に成形する場合、角部等の曲面形状では、溶融した熱可塑性樹脂材料の過度の流動によりスキン層内の長繊維にバラツキが生じて割れや皺が発生しやすくなるが、本発明の複合材では、コア層2に含まれる短繊維が熱可塑性樹脂材料の過度の流動を抑えるアンカー効果を発揮するとともに長繊維層に隣接して短繊維層が形成されるため長繊維のバラツキも抑えるようになり、角部等の曲面形状部分における割れや皺の発生を抑えて良好な賦形性が得られるようになる。また、曲面形状に対応する部分の長繊維を切断することなく成形することができるので、強度を維持した状態で3次元形状に成形することが可能となる。また、複合材のスキン層を薄層化することで、ドレープ性が向上して様々な曲面形状に対応することが可能となって、従来成形困難な成形品についても適用範囲を拡げることができる。
なお、上述した例ではプレス加工により複合材を3次元形状に成形しているが、ロール加工、ロールプレス加工、真空成形加工、圧空成形加工といった公知の成形加工を用いて複合材を成形することもできる。また、上述した例では複数枚の複合材を積層して形成しているが、複合材1枚のみで成形することも可能である。1枚の複合材を成形する場合には、加熱装置19により予備加熱して冷却プレス成形装置20により成形加工を行えばよい。
以下の材料を用いて、複合材を製造した。
<スキン層となるシートの構成>
長繊維:炭素繊維束(繊維数15000本、繊維径7μm、開繊糸)
熱可塑性樹脂材料:ポリアミド6(MFR=30)
体積含有率:60.8%
炭素繊維束を開繊し、開繊糸にポリアミド6を含浸させた一方向のシートを、45°/0°/−45°/90°の配向角度で多軸に積層させた多層シートである。
<コア層の使用材料>
(材料1)
短繊維ペレット
短繊維:炭素短繊維(繊維長6mm、繊維径7μm、比重1.45)
熱可塑性樹脂材料:ポリアミド6(MFR=30)
ポリアミド6に炭素短繊維を混合し、ペレットを作成した。当該ペレットに占める炭素短繊維の体積含有率は23%である。
(材料2)
短繊維ペレット
短繊維:炭素短繊維(繊維長7mm、繊維径7μm、比重1.39)
熱可塑性樹脂材料:ポリアミド6(MFR=40)
ポリアミド6に炭素短繊維を混合し、ペレットを作成した。当該ペレットに占める炭素短繊維の体積含有率は15%である。
<製造方法>
図5に示す製造装置により作成した。コア層の材料を押出機10で混合し、Tダイ11から厚さ500μm、幅300mmで成形した。押出されたシート材C(コア層に対応)が溶融状態の間に、その両面にシート材S1(スキン層に対応)を重ね合わせ、一対の加熱ロール12により圧接積層し複合材を製造した。コア層の材料1を使用した複合材を複合材1とし、材料2を複合材2とする。
<成形用複合材の評価>
得られた成形用複合材は、厚さが844μmで、コア層の厚さが500μm、コア層の両面に形成されたスキン層の厚さがそれぞれ172μmであった。スキン層には、厚さ43μmの長繊維のシート材が4枚積層されており、各シート材は、45°/0°/−45°/90°の配向角度で多軸に積層されていた。複合材の繊維の体積含有率は、複合材1では38.4%、複合材2では33.4%であった。図7は、成形用複合材の切断面を拡大して撮影した写真である。
引張試験機(島津製作所製AUTOGRAPH)を使用し、炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験JIS K7164(2005)に準拠し、試験片タイプ3、試験速度2mm/minの試験条件で引張試験を行った。試験結果は、複合材1では引張強度314MPa及び引張弾性率は18GPa、複合材2では引張強度307MPa及び引張弾性率17GPaであった。また、曲げ試験機(島津製作所製AUTOGRAPH)を使用し、炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験JIS K7074(1988)に準拠し、試験速度2mm/minの試験条件で3点曲げ測定を行った。測定した結果、複合材1では曲げ強度は562MPaで、曲げ弾性率は34.5GPa、複合材2では曲げ強度は550MPaで、曲げ弾性率は32.2GPaであった。
<成形品の評価>
図8は、容器状に成形された成形品の側面の外表面を撮影した写真である。成形品の側面は、曲面状に形成されているが、割れや皺は確認されなかった。また、底面と側面との境界部分は角部に形成されているが、角部にも割れや皺は確認されなかった。また、側面及び角部では、長繊維がほとんどばらつくことなく引き揃えられた状態が維持されていることが確認できた。
比較例として、コア層の代わりにスキン層となるシート材を4枚用い、全体で6枚のシート材を積層一体化した複合材を実施例と同様に容器状の成形品に成形した。図9は、比較例の成形品の側面の外表面を撮影した写真である。曲面状に形成された側面には、割れや皺が多数生じており、実施例の成形品のようにきれいに成形できなかった。
実施例の成形品の角部を含む部分を切断して複合材と同様に強度を測定したところ、複合材とほぼ同程度の強度を備えており、強度が維持されていることが確認できた。
1・・・スキン層、2・・・コア層、10・・・押出機、11・・・Tダイ、12・・・加熱ロール、13・・・冷却ロール、14・・・引取機、15・・・巻取り機、16・・・加熱プレス成形装置、19・・・加熱装置、20・・・冷却プレス成形装置

Claims (7)

  1. 強化繊維となる長繊維を面状に引き揃えてマトリックス樹脂となるMFRが0.1g/10min〜40g/10minの熱可塑性樹脂材料により一体形成されたスキン層と、面状に分布する短繊維をマトリックス樹脂となるMFRが1g/10min〜60g/10minで前記スキン層の熱可塑性樹脂材料より大きい熱可塑性樹脂材料により一体形成されたコア層とを積層一体化して構成されており、前記スキン層は、前記長繊維を所定方向に引き揃えたシート材を多軸に積層している3次元形状成形用複合材。
  2. 前記スキン層は、前記熱可塑性樹脂材料が前記長繊維に含浸状態又は半含浸状態で一体形成されている請求項1に記載の3次元形状成形用複合材。
  3. 前記コア層は、繊維長が0.5mm〜8.0mmの短繊維が3%〜50%の体積含有率で全体に分布している請求項1又は2に記載の3次元形状成形用複合材。
  4. 前記スキン層の厚さは0.04mm〜0.32mmであり、前記コア層の厚さは0.1mm〜1.0mmである請求項1から3のいずれかに記載の3次元形状成形用複合材。
  5. マトリックス樹脂となるMFRが1g/10min〜60g/10minの熱可塑性樹脂材料及び短繊維を混合してシート状に押出成形し、強化繊維となる長繊維を面状に引き揃えて多軸に積層しマトリックス樹脂となるMFRが0.1g/10min〜40g/10minで押出成形したシート材の熱可塑性樹脂材料より小さい熱可塑性樹脂材料により一体形成されたシート材を押出成形したシート材に重ね合わせて熱融着させて積層一体化する3次元形状成形用複合材の製造方法。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の成形用複合材を3次元形状に成形した成形品。
  7. 前記成形用複合材を複数枚積層して3次元形状に成形した請求項6に記載の成形品。
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