JP2020184434A - スパークプラグ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、副室を形成するカバー部を備えるスパークプラグにおいて、プレイグニッション及び失火の発生を抑制することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
前記中心電極の先端部に対向する対向部を有し、前記対向部と前記中心電極の前記先端部との間に放電ギャップを形成する接地電極と、
前記中心電極の前記先端部が自身の先端よりも露出した状態で前記中心電極を内部に収容する筒状の絶縁体と、
前記絶縁体を内部に収容する筒状の主体金具と、
前記中心電極の前記先端部と、前記接地電極の前記対向部と、を先端側から覆って、副室を形成するとともに、前記主体金具の先端側に接合され、貫通孔たる噴孔が形成されたカバー部と、
を備えたスパークプラグであって、
前記主体金具において、前記副室の後端よりも先端側の金具体積A(mm3)と、前記主体金具の常温での熱伝導率B(W/mK)とは、式(1)を満たし、
3.6<A/B<98.0 …式(1)
前記金具体積A(mm3)と、前記副室の副室体積C(mm3)とは、式(2)を満たすスパークプラグ。
0.18<C/A<1.20 …式(2)
また、スパークプラグにおいて、副室の副室体積C(mm3)は、値が大きくなるほど副室から外部へ熱を逃がし易くする。そのため、副室の後端よりも先端側の金具体積A(mm3)と、副室の副室体積C(mm3)と、の関係を上記式(2)で規定することで、副室に熱を蓄え易くする要素と、副室から外部へ熱が逃げ易くする要素とのバランスを良好にし、副室内の温度を適切に保つことができ、プレイグニッション及び失火を防ぐことができる。
0.36<C/A<0.58 …式(3)
9.8<A/B<42.5 …式(4)
以下、スパークプラグ100の第1実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明では、図1の下方側をスパークプラグ100の先端側(前方側)と呼び、図1の上方側を後端側とする。
図1は、第1実施形態におけるスパークプラグ100の概略構成を示す断面図である。図1では、スパークプラグ100の中心軸線CX(スパークプラグの軸線)が一点鎖線で図示されている。
3.6<A/B<98.0 …(1)
716≦A≦2191 …(5)
13≦B≦372 …(6)
また、主体金具40において、プレチャンバー空間63の後端65よりも先端側の金具体積A(mm3)と、プレチャンバー空間63の空間体積(副室体積)C(mm3)とが、下記(2)式を満たす。なお、プレチャンバー空間63の空間体積Cは、噴孔61が形成されていない状態のカバー部50(噴孔61が埋められて内面がなだらかに連なっている状態のカバー部50)と、主体金具40と、中心電極10と、接地電極13と、絶縁体20と、によって囲まれた空間である。
0.18<C/A<1.20 …(2)
259≦C≦887 …(7)
このスパークプラグ100において、プレチャンバー空間63の後端65よりも先端側の金具体積A(mm3)は、値が大きくなるほどプレチャンバー空間63に熱を蓄え易くする。また、主体金具40の常温での熱伝導率B(W/mK)は、値が大きくなるほどプレチャンバー空間63から外部へ熱を逃がし易くする。そのため、3.6<A/B<98.0となる構成を採用することで、プレチャンバー空間63に熱を蓄え易くする要素と、プレチャンバー空間63から外部へ熱が逃げ易くする要素とのバランスを良好にし、プレチャンバー空間63内の温度を適切に保つことができ、プレイグニッション及び失火を防ぐことができる。
また、スパークプラグ100において、プレチャンバー空間63の副室体積C(mm3)は、値が大きくなるほどプレチャンバー空間63から外部へ熱を逃がし易くする。そのため、0.18<C/A<1.20となる構成を採用することで、プレチャンバー空間63に熱を蓄え易くする要素と、プレチャンバー空間63から外部へ熱が逃げ易くする要素とのバランスを良好にし、プレチャンバー空間63内の温度を適切に保つことができ、プレイグニッション及び失火を防ぐことができる。
0.36<C/A<0.58 …(3)
このスパークプラグ100は、0.36<C/A<0.58となる構成を採用することで、プレチャンバー空間63に熱を蓄え易くする要素と、プレチャンバー空間63から外部へ熱が逃げ易くする要素とのバランスをより一層良好にし、プレチャンバー空間63内の温度をより一層適切に保つことができ、プレイグニッション及び失火をより一層防ぐことができる。
9.8<A/B<42.5 …(4)
このスパークプラグ100は、9.8<A/B<42.5となる構成を採用することで、プレチャンバー空間63に熱を蓄え易くする要素と、プレチャンバー空間63から外部へ熱が逃げ易くする要素とのバランスをより一層良好にし、プレチャンバー空間63内の温度をより一層適切に保つことができ、プレイグニッション及び失火をより一層防ぐことができる。
(1)実験方法
(1.1)実験例1(実施例)
図1、2に示されるスパークプラグ100のサンプルを用いた。詳細な条件は、下記の表1に記載した。このスパークプラグ100は、第1実施形態の要件を満たしている。表1において、実験例を「No.」を用いて示す。表1のNo.1,4,7,13,14,16〜21,23〜26,28〜33,35,36,42,45,48は実施例である。
(1.2)実験例2(比較例)
図1、2に示されるスパークプラグ100とは異なる構成のスパークプラグのサンプルを用いた。詳細な条件は、下記の表1に記載した。このスパークプラグは、第1実施形態の要件を満たしていない。表1において「1*」のように、「*」が付されている場合には、比較例であることを示している。すなわち、表1のNo.2,3,5,6,8〜12,15,22,27,34,37〜41,43,44,46,47は比較例である。
(2.1)金具体積A(mm3)、空間体積C(mm3)の測定
X線CTスキャナーを用いて、管電圧200kV、管電流120μAの条件で、各サンプルをスキャンした。スキャン結果から3D像を作製して、主体金具において、プレチャンバー空間の後端よりも先端側の金具体積A(mm3)と、プレチャンバー空間の空間体積C(mm3)と、を測定した。
(2.2)耐プレイグニッション評価試験
各サンプルについて、耐プレイグニッション評価試験を行った。耐プレイグニッション評価試験の概要は次の通りである。各サンプルを、直列4気筒、排気量1.3Lの自然吸気エンジンに取り付け、点火角度(クランク角度)を所定の初期値として、全開状態(6000rpm)にてエンジンの一連の工程を1000サイクル動作させた。エンジン動作時にプレイグニッションが発生したか否かを確認し、プレイグニッションが発生した場合には、そのときの点火角度をプレイグニッション発生角度として特定した。プレイグニッションが発生しなかった場合には、点火角度を1度進角させた上で、再度エンジンを全開状態にて動作させ、プレイグニッションの発生の有無を確認した。これを、プレイグニッションが発生するまで繰り返し行い、各サンプルのプレイグニッション発生角度を特定した。また、基準となるスパークプラグ(試験エンジンに搭載された純正スパークプラグ)についても、同様にしてプレイグニッション発生角度を特定した。そして、基準となるスパークプラグのプレイグニッション発生角度と各サンプルのプレイグニッション発生角度の差分値を算出した。この基準となるスパークプラグに対してプレイグニッション発生角度が進角側であるほど、耐プレイグニッション性能が良好なスパークプラグとして評価される。基準となるスパークプラグに対する各サンプルのプレイグニッション発生角度を以下の基準で評価して、各実験例の評価スコアを付けた。その結果を、表1の「耐プレイグニッション」の欄に示した。
<耐プレイグニッションの評価>
評価は以下のような3段階で行った。評価スコアは、点数が高いほど、耐プレイグニッション性能が良好であることを示す。
評価スコア 3:基準となるスパークプラグに対して5°CA以上進角
1:基準となるスパークプラグに対して2°CA以上5°CA未満進角
0:基準となるスパークプラグに対して2°CA未満進角又は遅角
(2.3)耐失火の試験
各サンプルについて、耐失火評価試験を行った。耐失火評価試験の概要は次の通りである。サンプルを、直列4気筒、排気量1.6L、直噴ターボチャージャエンジンに取り付け、2000rpm、吸気圧1000kPaの条件で、1000サイクル運転した際の失火率を測定した。失火率が低いほど、耐失火性能(着火性能)が良好なスパークプラグとして評価される。各サンプルの失火率を以下の基準で評価して、各実験例の評価スコアを付けた。その結果を、表1の「耐失火」の欄に示した。
<耐失火の評価>
評価は以下のような3段階で行った。評価スコアは、点数が高いほど、耐失火性能が良好であることを示す。
評価スコア 3:失火率が1%未満
1:失火率が1%以上3%未満
0:失火率が3%以上
(2.4)総合評価
耐プレイグニッションの評価スコアと、耐失火の評価スコアの合計スコアをもとに、各サンプルを総合評価した。合計スコアが高いほど、耐プレイグニッション性能と、耐失火性能の双方が良好であるとして評価される。合計スコアが6のサンプルの総合評価を「◎」とし、4と2のサンプルの総合評価を「〇」とし、3と1と0のサンプルの総合評価を「×」とした。その結果を、表1の「総合評価」の欄に示した。
(3.1)耐プレイグニッションについて
実験例2,3,5,6,8,9,11,12,37,38,40,41,43,44,46,47(比較例)では、主体金具40の常温での熱伝導率B(W/mK)に対する、主体金具40においてプレチャンバー空間63の後端65よりも先端側の金具体積A(mm3)の割合A/Bが上記(1)式(3.6<A/B<98.0)を満たしておらず、「耐プレイグニッション」の評価スコアが0であった。一方で、実験例1,4,7,10,13〜36,39,42,45,48(実施例)では、A/Bが上記(1)式(3.6<A/B<98.0)であり、「耐プレイグニッション」の評価スコアが1又は3であった。このように、実施例は、上記(1)式(3.6<A/B<98.0)を満たすことで、比較例と比較して、プレイグニッションが抑制されていた。
実験例3,10,15,22,27,34,39,46(比較例)では、プレチャンバー空間63の空間体積C(mm3)に対する、主体金具40においてプレチャンバー空間63の後端65よりも先端側の金具体積A(mm3)の割合C/Aが上記(2)式(0.18<C/A<1.20)を満たしておらず、「耐失火」の評価スコアが0であった。一方で、実験例1,2,4〜9,11〜14,16〜21,23〜26,28〜33,35〜38,40〜45,47,48(実施例)では、C/Aが上記(2)式(0.18<C/A<1.20)であり、「耐失火」の評価スコアが1又は3であった。このように、実施例は、上記(2)式(0.18<C/A<1.20)を満たすことで、失火が抑制されていた。
実験例1,4,7,13,14,16〜21,23〜26,28〜33,35,36,42,45,48(実施例)では、「耐プレイグニッション」の評価スコア及び「耐失火」の評価スコアがともに1以上であり、プレイグニッションと失火の双方が抑制されていた。特に、実験例13,20,24,32,36(実施例)では、合計スコアが6であり、プレイグニッションと失火の双方が良好に抑制されていた。
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
(2)上記実施形態では、特定数の噴孔を備えたスパークプラグを例示したが、噴孔の数は、特に限定されず、適宜変更できる。また、噴孔の配置、貫通方向も適宜変更可能である。
11…先端部
13…接地電極
13A…対向部
20…絶縁体
21…軸孔
22…後端開口部
30…端子電極
31…後端部
35…抵抗体
40…主体金具
40A…先端側開口部
41…筒孔
43…パッキン
50,250…カバー部
50A,250A…先端側の部分
50B,250B…後端側の部分
51A,251A…頂部
61,261…噴孔
63,263…プレチャンバー空間(副室)
65…プレチャンバー空間の後端
100,200…スパークプラグ
AX…中心軸線
CX…中心軸線
SG…放電ギャップ
Claims (3)
- 中心電極と、
前記中心電極の先端部に対向する対向部を有し、前記対向部と前記中心電極の前記先端部との間に放電ギャップを形成する接地電極と、
前記中心電極の前記先端部が自身の先端よりも露出した状態で前記中心電極を内部に収容する筒状の絶縁体と、
前記絶縁体を内部に収容する筒状の主体金具と、
前記中心電極の前記先端部と、前記接地電極の前記対向部と、を先端側から覆って、副室を形成するとともに、前記主体金具の先端側に接合され、貫通孔たる噴孔が形成されたカバー部と、
を備えたスパークプラグであって、
前記主体金具において、前記副室の後端よりも先端側の金具体積A(mm3)と、前記主体金具の常温での熱伝導率B(W/mK)とは、式(1)を満たし、
3.6<A/B<98.0 …式(1)
前記金具体積A(mm3)と、前記副室の副室体積C(mm3)とは、式(2)を満たすスパークプラグ。
0.18<C/A<1.20 …式(2) - 前記金具体積A(mm3)と、前記副室体積C(mm3)とは、式(3)を満たす請求項1に記載のスパークプラグ。
0.36<C/A<0.58 …式(3) - 前記金具体積A(mm3)と、前記熱伝導率B(W/mK)とは、式(4)を満たす請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
9.8<A/B<42.5 …式(4)
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