JP2020183783A - 車輪用軸受装置及び軌道輪の製造方法 - Google Patents

車輪用軸受装置及び軌道輪の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構成部材の一部に樹脂部材を用いることで、車輪用軸受装置の軽量化を図ると共に、材質が異なる二部材間でのクリープの発生を抑制する。【解決手段】車輪用軸受装置10は、外輪12と、内軸部材11と、外輪12と内軸部材11との間に設けられている複数の玉13とを備える。外輪12は、玉13が転がり接触する外軌道面12a,12bが形成されている第一周面41と、第一周面41と反対側の第二周面42とを有する鋼製の軌道部材40と、第二周面42を覆う樹脂部材50とを有する。第二周面42の内の樹脂部材50が覆う部分の少なくとも一部に、ブラスト面43が形成されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、車輪用軸受装置、及び車輪用軸受装置が備える軌道輪の製造方法に関する。
自動車の車体に車輪及びブレーキディスクを取り付けるために、ハブユニットと呼ばれる車輪用軸受装置が用いられる。車輪用軸受装置の軽量化のため、従来、強度的に十分である部分を薄肉化する等の取り組みが行われている。
しかし、薄肉による軽量化には限界がある。そこで、特許文献1に開示されているように、車輪用軸受装置が備える外輪を、鋼製である部材と、鋼より比重の小さい材質(樹脂)による部材とで構成することが提案されている。
特開2016−145584号公報
車輪用軸受装置の外輪が、鋼製である部材と、比重の小さい材質(樹脂)による部材とによって構成される場合、車輪用軸受装置に大きな荷重が負荷されると、両部材の間でクリープ(滑り)が発生する可能性がある。クリープが発生してしまうと、両部材の間に隙間が生じ、寿命を低下させてしまう。
そこで、本開示は、構成部材の一部として樹脂部材を用いることで、車輪用軸受装置の軽量化を図ると共に、材質が異なる二部材間でのクリープの発生を抑制することを目的とする。
本開示は、外方部材と、内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に設けられている複数の転動体と、を備える車輪用軸受装置であって、前記外方部材と前記内方部材との内の少なくとも一方は、前記転動体が転がり接触する軌道面が形成されている第一周面と、当該第一周面と反対側の第二周面とを有する鋼製の軌道部材と、前記第二周面を覆う樹脂部材と、を有し、前記第二周面の内の前記樹脂部材が覆う部分の少なくとも一部に、ブラスト面が形成されている。
前記車輪用軸受装置が備える外方部材と内方部材との内の少なくとも一方は、鋼製の軌道部材の他に、樹脂部材を含む。このため、車輪用軸受装置の軽量化が可能となる。樹脂部材が軌道部材の第二周面を覆っていて、この覆っている部分の少なくとも一部に、ブラスト面が形成されている。このため、第二周面の摩擦抵抗が高くなっていて、樹脂部材と軌道部材とのクリープ(滑り)が抑制される。
また、好ましくは、前記軌道部材の内の前記ブラスト面を含む範囲には、圧縮応力層が形成されている。
前記圧縮応力層は、第二周面の前記一部にショットブラストを施すことで形成される。圧縮応力層により軌道部材の疲労強度が向上する。特に、軽量化のために軌道部材の他に樹脂部材が採用されているため、軌道部材は薄くなり、全体が鋼製である場合と比較して、強度的に劣る。そこで、前記圧縮応力層によって軌道部材の強度が補われる。つまり、ブラスト面によれば、前記クリープの抑制と共に、軌道部材の強度を補うことが可能となる。
また、好ましくは、前記軌道部材の内の、前記軌道面を含む範囲には、表面硬化層が形成されている。
前記表面硬化層は、軌道部材に焼入れ処理を施すことで形成される。軌道部材に焼入れ処理を施してから、例えば射出成形(インサート成形)により、その軌道部材に樹脂部材が一体成形される。樹脂の射出成形によって、軌道部材の温度が上昇したとしても、その温度は低く、表面硬化層が軟化する(焼き鈍しされる)のを防ぐことができる。
また、本開示は、車輪用軸受装置が備える外方部材と内方部材との内の少なくとも一方の軌道輪を製造する方法であって、前記軌道輪の一部を構成する鋼製の軌道部材の第一周面に、車輪用軸受装置が備える転動体が転がり接触する軌道面を形成し、前記軌道部材の前記第一周面と反対側の第二周面に、ショットブラストを施し、前記第二周面の前記ショットブラストを施した面を含む領域に、樹脂を被覆させて、当該樹脂によって前記軌道部材と一体となる樹脂部材を形成する。
この軌道輪の製造方法により、前記車輪用軸受装置の軌道輪(外方部材と内方部材との内の少なくとも一方)が形成される。
本発明によれば、車輪用軸受装置(軌道輪)の軽量化が可能となると共に、材質が異なる二部材間でのクリープを抑制することが可能となる。
車輪用軸受装置の一例を示す断面図である。 外輪の一部を示す断面図である。 製造方法を示す説明図である。 車輪用軸受装置の他の形態を示す断面図である。
図1は、車輪用軸受装置の一例を示す断面図である。図1に示される車輪用軸受装置10(以下、「軸受装置10」と称する。)は、いわゆるハブユニットと呼ばれ、自動車の車体に設けられている懸架装置(ナックル)に取り付けられ、車輪を回転可能に支持する。軸受装置10には、図示していないが車輪の他にブレーキディスクが取り付けられる。軸受装置10は、内軸部材(内方部材)11と、筒状の外輪(外方部材)12と、転動体である玉13と、保持器14とを備える。軸受装置10において、軸方向とは、軸受装置10の中心線C0に沿った方向であり、また、中心線C0に平行な方向も軸方向と称する。また、径方向とは中心線C0に直交する方向であり、周方向とは中心線C0を中心とする回転方向である。
外輪12は、円筒形状である外輪本体部21と、この外輪本体部21から径方向外方に延びて設けられている固定用フランジ部22とを有する。外輪12は、鋼と樹脂との複合部材により構成されている。つまり、外輪12は、鋼製の軌道部材40と、樹脂製の部材50(以下、「樹脂部材50」という。)とを有して構成されている。鋼製の軌道部材40と、樹脂部材50の円筒状の部分(第一樹脂部51、第二樹脂部52、及び第三樹脂部53:図2参照)とによって、外輪本体部21が構成される。後にも説明するが、固定用フランジ部22は、前記円筒状の部分から径方向に突出している部分によって構成されている。なお、固定用フランジ部22には、鋼製の部材(例えば鋼製のスリーブ)が含まれていてもよい。
外輪本体部21の内周側に外軌道面12a,12bが形成されている。外輪12はフランジ部22によって車体側部材であるナックル(図示せず)に取り付けられ、これにより外輪12を含む軸受装置10が車体に固定される。軸受装置10が車体に固定された状態で、内軸部材11が有する車輪取り付け用のフランジ部27側が車両の外側となる。つまり、フランジ部27が設けられている軸方向一方側が車両アウタ側となり、その反対である軸方向他方側が車両インナ側となる。
内軸部材11は、内軸(ハブ軸)23と、この内軸23の軸方向他方側に取り付けられた内輪24とを有する。本開示では、内軸23及び内輪24は鋼製である。内軸23は、外輪12の径方向内方に設けられている軸状の本体部26と、本体部26の軸方向一方側に設けられているフランジ部27とを有する。フランジ部27は、本体部26の軸方向一方側から径方向外方に延びて設けられている。内軸23は、更に、内輪24が軸方向他方側へ脱落するのを防止するためのかしめ部25を有する。かしめ部25は、円筒状であった部分25aが塑性変形により拡径されて構成される。図1において、塑性変形前の前記円筒状であった部分25aは二点鎖線により示されている。
本体部26の外周面は段付き形状を有する。つまり、本体部26は、内軌道面11aが形成されている第一軸部29と、第一軸部29よりも外周面が小径である第二軸部30とを有する。第二軸部30に内輪24を外嵌させた状態で、前記円筒状であった部分25aを、塑性変形させて拡径させ、かしめ部25とする。これにより、第一軸部29とかしめ部25との間に内輪24が挟まれた状態となる。
内輪24は、環状の部材であり、第二軸部30に外嵌し固定される。第一軸部29の外周面に第一の内軌道面11aが形成され、内輪24の外周面に第二の内軌道面11bが形成されている。軸方向一方側における外軌道面12aと内軌道面11aとの間に玉13が複数配置される。軸方向他方側における外軌道面12bと内軌道面11bとの間に玉13が複数配置される。玉13は鋼製である。
外輪12について説明する。図2は、外輪12の一部を示す断面図である。外輪12は、筒状であり鋼製の軌道部材40と、その外周側に設けられている筒状の樹脂部材50とを有する。軌道部材40は、軸受鋼等の炭素鋼により製造される。軌道部材40の内周面が第一周面41であり、この第一周面41の軸方向両側に外軌道面12a,12bが形成されている。軌道部材40の外周面が第二周面42であり、この第二周面42を樹脂部材50が覆っている。第二周面42は、第一周面41と径方向について反対側の面である。樹脂部材50の材質は、熱可塑性樹脂である。なお、樹脂部材50は熱硬化性樹脂によって製造されてもよい。
本開示の樹脂部材50は、第二周面42の径方向外方に位置し第二周面42を覆っている筒状の第一樹脂部51の他に、第二樹脂部52及び第三樹脂部53を有する。第二樹脂部52は、第一樹脂部51の軸方向一方側に設けられていて第一樹脂部51よりも内径が小さい筒状の部分である。第三樹脂部53は、第一樹脂部51の軸方向他方側に設けられていて第一樹脂部51よりも内径が小さい筒状の部分である。第一樹脂部51と第二樹脂部52と第三樹脂部53とは連続していて、それぞれは一体の樹脂成形品の一部として構成されている。第二樹脂部52は、軌道部材40の軸方向一方側の側面46(の一部)を覆っている。第三樹脂部53は、軌道部材40の軸方向他方側の側面47(の一部)を覆っている。
第二周面42の内の樹脂部材50が覆う部分に、ブラスト面43が形成されている。ブラスト面43は、第二周面42の内の樹脂部材50が覆う部分の少なくとも一部に形成されていればよい。本開示では、ブラスト面43は、第二周面42の内の樹脂部材50(第一樹脂部51)が覆う部分の全体に形成されている。また、軌道部材40の軸方向一方側の側面46にも、第二のブラスト面44が形成されている。更に、軌道部材40の軸方向他方側の側面47にも、第三のブラスト面45が形成されている。第二のブラスト面44及び第三のブラスト面45それぞれは、少なくとも樹脂部材50(第二樹脂部52、第三樹脂部53)が覆う部分に形成されている。
なお、側面46,47においてはブラスト面44,45が省略されてもよい。つまり、軌道部材40の外周面となる第二周面42の内の樹脂部材50が覆う部分の少なくとも一部に、ブラスト面43が形成されていればよい。ブラスト面43(44,45)は、粗面であり、梨地状の凹凸面である。
ブラスト面43,44,45は、ショットブラストの処理を施すことによって軌道部材40に形成される。この処理により、軌道部材40においてブラスト面43,44,45を含む範囲には、圧縮応力層48が形成される。つまり、軌道部材40の表面に対して、多数の小さな鋼鉄等の投射材を高速で衝突させ、これにより、その表面を含む範囲において塑性変形による加工硬化を生じさせる。加工硬化した範囲が、圧縮応力層48となる。
軌道部材40の第一周面41には、前記のとおり外軌道面12a,12bが形成されている。車両の走行により、内軸部材11(図1参照)が回転すると、玉13は外軌道面12a,12bに対して転がり接触する。そこで、外軌道面12a,12bが所望の硬さを有するように、軌道部材40の内の、外軌道面12a,12bを含む範囲には、表面硬化層49(図2参照)が形成されている。表面硬化層49は、軌道部材40に対して熱処理として焼入れ処理を施すことで形成される。焼入れ処理は、第一周面41に対する部分焼入れであってもよく、全体焼入れであってもよい。表面硬化層49は、焼入れ硬化層とも呼ばれる。
以上のように、本開示の車輪用軸受装置10が備える外輪12は、鋼製の軌道部材40と、樹脂部材50とを有する。軌道部材40は、玉13が転がり接触する外軌道面12a,12bが形成されている第一周面41と、第一周面41と径方向について反対側の第二周面42とを有する。樹脂部材50は、第二周面42を覆う。第二周面42の内の樹脂部材50が覆う部分に、ブラスト面43が形成されている。
この車輪用軸受装置10によれば、外輪12が、軌道部材40の他に、樹脂部材50を含む。このため、外輪12の全体が鋼製である場合と比較して、車輪用軸受装置10の軽量化が可能となる。そして、樹脂部材50が軌道部材40の第二周面42を覆っていて、この覆っている部分に、ブラスト面43が形成されている。このため、第二周面42の摩擦抵抗が高くなっていて、樹脂部材50と軌道部材40とのクリープ(滑り)が抑制される。
本開示では、軌道部材40の側面46,47にも第二のブラスト面44,45が形成されていて、側面46,47を樹脂部材50(第二樹脂部52及び第三樹脂部53)が覆っている。このため、樹脂部材50と軌道部材40との間の周方向についての摩擦抵抗をより一層高めることが可能となる。
更に、樹脂部材50は、軌道部材40の第二周面42を覆っている筒状の第一樹脂部51の他に、第二樹脂部52及び第三樹脂部53を有する。第二樹脂部52は、軌道部材40の軸方向一方側の側面46を覆っている。第三樹脂部53は、軌道部材40の軸方向他方側の側面47を覆っている。このため、車輪用軸受装置10に軸方向の成分を有する荷重が作用した場合であっても、軌道部材40と樹脂部材50との軸方向の滑りが、第二樹脂部52又は第三樹脂部53によって抑制される。
前記のとおり、軌道部材40の内のブラスト面43(及びブラスト面44,45)を含む範囲には、圧縮応力層48が形成されている。圧縮応力層48は、第二周面42(側面46,47)にショットブラストを施すことで形成される。圧縮応力層48により軌道部材40の疲労強度が向上する。特に、軽量化のために軌道部材40の他に樹脂部材50が採用されているため、軌道部材40は薄くなり、全体が鋼製である場合と比較して、強度的に劣る。そこで、本開示の構成によれば、圧縮応力層48によって軌道部材40の強度が補われる。つまり、ブラスト面43(及びブラスト面44,45)によれば、樹脂部材50と軌道部材40とのクリープの抑制と共に、軌道部材40の強度を補うことが可能となる。
前記構成を備える外輪12の製造方法について説明する。図3は、その製造方法を示す説明図である。外輪12の製造方法には、第一工程S1、第二工程S2、及び第三工程S3が含まれる。
第一工程S1は、軌道部材40を所定形状に成形する工程である。素材を鍛造し、軌道部材40の中間品が得られる。この中間品に対して、旋削及び研磨加工等の機械加工が行われ、所定形状を有する軌道部材40の二次中間品が製造される。前記機械加工により、外軌道面12a,12bが形成される。なお、前記ブラスト面43(44,45)については、未だ形成されない。本開示の第一工程S1では、前記機械加工の前に、熱処理が行われる。軌道部材40の中間品の少なくとも内周側に対して熱処理が行われる。前記熱処理は焼入れ処理であり、これにより、軌道部材40の中間品の内周側に表面硬化層49が形成される。
第二工程S2は、第一工程S1において所定形状とされた軌道部材40の二次中間品に対して、ブラスト面43(44,45)を設ける工程である。前記二次中間品の外周面(第二周面42)及び軸方向両側の側面(46,47)に対して、多数の小さな投射材を高速で衝突させる。これにより、ブラスト面43(44,45)を有する軌道部材40が得られる。
第三工程S3は、ブラスト面43(44,45)及び表面硬化層49を有する軌道部材40に、樹脂部材50を固定する工程である。樹脂部材50の成形は、射出成形により行われる。樹脂部材50の材質は、熱可塑性樹脂であり、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)である。図示しないが、射出成形金型の一部に軌道部材40を設置し、この軌道部材40の第二周面42及び側面46,47(の一部)を金型内部(キャビティ)に露出させる。このように構成された金型に溶融樹脂を射出することで、軌道部材40と樹脂部材50とは一体化される。以上より、外輪12が製造される。
このように、本開示の外輪12の製造方法は、次に説明する第一工程S1、第二工程S2、及び第三工程S3を含む。
第一工程S1:外輪12の一部を構成する軌道部材40(中間品)の第一周面41に、外軌道面12a,12bを形成する。
第二工程S2:軌道部材40(中間品)の第一周面41と反対側の第二周面42に、ショットブラストを施す。
第三工程S3:第二周面42の前記ショットブラストを施した面を含む領域に、樹脂を被覆させて、当該樹脂によって軌道部材40と一体となる樹脂部材50を形成する。
前記製造方法により、外輪12は、軌道部材40の他に、樹脂部材50を含む構成となる。この外輪12が車輪用軸受装置10に用いられることで、車輪用軸受装置10の軽量化が可能となる。前記製造方法によれば、軌道部材40の外周面となる第二周面42を、樹脂部材50が覆っていて、この覆っている部分の少なくとも一部に、ブラスト面43が形成されている。ブラスト面43により、第二周面42の摩擦抵抗が高くなり、樹脂部材50と軌道部材40とのクリープ(滑り)が抑制される。特に、周方向のクリープが抑制される。これにより、軸受装置10の製品寿命を長くすることが可能となる。
ブラスト面43(44,45)が形成された第二周面42(側面46,47)を覆うようにして樹脂部材50が形成される。射出成形によれば、ブラスト面43(44,45)に対して隙間なく樹脂部材50の樹脂が充当された状態となる。よって、完成後、軌道部材40と樹脂部材50との界面にその面方向の荷重が作用しても、ブラスト面43が抵抗となり、クリープが抑制される。
本開示の第一工程S1では、軌道部材40の中間品の少なくとも内周面に対して焼入れ処理が施されている。これにより、軌道部材40の内の、外軌道面12a,12bを含む範囲には、表面硬化層49が形成される。この焼入れ処理を施してから、第二工程S2において、射出成形(インサート成形)により、その軌道部材40に樹脂部材50が一体成形される。樹脂の射出成形によって、軌道部材40の温度が上昇したとしても、その温度は低く、表面硬化層49が軟化する(焼き鈍しされる)のを防ぐことができる。
ここで、参考例として、樹脂部材50の代わりに、例えばアルミ合金等の軽金属(軽合金)が用いられる場合について説明する。この場合、図1を参考に説明すると、外輪12は、鋼製の軌道部材40と、その外周側に設けられる軽金属部材とにより構成される。この参考例の場合、次のような問題点がある。
軽金属部材は、鋳込みによって製造される。この鋳込みでは、前記射出成形の場合と同様、軌道部材40と一体化するために、軌道部材40が金型の一部として用いられる。この場合、軽金属の鋳込みの際に、軌道部材40が高温となる。例えば、アルミ合金の場合、鋳込みの温度が700℃程度となる。このため、金型の一部として用いられる軌道部材40も、700℃よりは低いが高い温度に熱せられる。前記第一工程S1で説明したように、軌道部材40には、外軌道面12a,12bにおける硬さの確保のために焼入れ処理が施されている。しかし、前記のように、軽金属の鋳込みの際に、軌道部材40が700℃近い温度にまで熱せられると、焼入れ処理した軌道部材40の表面硬化層49が、焼き戻ってしまう(軟化してしまう)可能性がある。このため、樹脂部材50の代わりに、例えばアルミ合金等の軽金属(軽合金)を用いることは、実際上、不可能である。
また、樹脂部材50の代わりに、例えばアルミ合金等の軽金属が用いられる場合の、別の製造方法として、軌道部材40を金型の一部として用いて、先に軽金属の鋳込みを行い、その後、軌道部材40に焼入れ処理を行う方法が考えられる。しかし、この場合、焼入れ処理における熱(例えば1000℃の高熱)が、軌道部材40と軽金属部材との界面に伝わる。すると、軽金属が溶融したり膨張したりする。この場合、冷却後、軽金属部分が収縮し、軌道部材40との間に隙間が発生してしまう。隙間が発生すると、耐クリープ性が損なわれ、寿命低下につながる。なお、焼入れ処理における熱が、前記界面に伝わり難くするためには、軌道部材40を厚くすればよいが、この場合、本来の目的である、軽量化の効果が消失してしまう。このため、軽量化のため、樹脂部材50の代わりに、例えばアルミ合金等の軽金属(軽合金)を用いる場合には、多くの課題が存在する。
図4は、車輪用軸受装置10の他の形態を示す断面図である。車輪用軸受装置10の基本的構成は、図1に示す形態(第一の形態)と同じである。図4に示す車輪用軸受装置10(第二の形態)では、内軸部材11が有する内軸23が、鋼と樹脂との複合部材により構成されている。つまり、内軸23が、鋼製の軌道部材60と樹脂部材70とを有する。軌道部材60は、玉13が転がり接触する内軌道面11aが形成されている第一周面61と、第一周面61と径方向について反対側の第二周面62とを有する。第一周面61は、内軸23の外周面の一部である。樹脂部材70は、第二周面62の一部を覆っている。第二周面62は、軌道部材60の内周面の一部である。そして、第二周面62の内の樹脂部材70が覆う部分の少なくとも一部に、ブラスト面63が形成されている。
このため、内軸23を含む内軸部材(内方部材)11が、軌道部材60の他に、樹脂部材70を含み、車輪用軸受装置10が軽量化される。樹脂部材70が軌道部材60の第二周面62の一部を覆っていて、この覆っている部分の少なくとも一部に、ブラスト面63が形成されている。このため、第二周面62の摩擦抵抗が高くなっていて、樹脂部材70と軌道部材60とのクリープ(滑り)が抑制される。なお、本開示では、第二周面62の内の樹脂部材70が覆う部分の全体に、ブラスト面63が形成されている。
第二の形態においても、軌道部材60の内のブラスト面63を含む範囲には、圧縮応力層68が形成されている。圧縮応力層68は、第二周面62にショットブラストを施すことで形成される。圧縮応力層68により軌道部材60の疲労強度が向上する。
第二の形態における内軸部材11の製造方法は、次のとおりである。
内軸23の一部を構成する軌道部材60(中間品)の外周側となる第一周面61に、外軌道面12aを形成する。軌道部材60(中間品)の第一周面61と反対側の第二周面62に、ショットブラストを施す。第二周面62の前記ショットブラストを施した面を含む領域に、樹脂を被覆させて、当該樹脂によって軌道部材60と一体となる樹脂部材70を形成する。そして、内軸23に内輪24を固定する。
この製造方法により得られる内軸部材11は、鋼製である軌道部材60及び内輪24の他に、樹脂部材70を含む。この内軸部材11が用いられることで、車輪用軸受装置10の軽量化が可能となる。前記製造方法によれば、軌道部材60の内周面となる第二周面62を、樹脂部材70が覆っていて、この覆っている部分の少なくとも一部に、ブラスト面63が形成されている。ブラスト面63によって第二周面62の摩擦抵抗が高くなり、樹脂部材70と軌道部材60とのクリープ(滑り)が抑制される。これにより、製品寿命を長くすることが可能となる。
また、第二の形態においても、軌道部材60の内の、内軌道面11aを含む範囲には、表面硬化層69が形成されている。表面硬化層69は、軌道部材60に焼入れ処理を施すことで形成される。第一の形態の場合と同様、軌道部材60に焼入れ処理を施してから、例えば射出成形(インサート成形)により、その軌道部材60に樹脂部材70が一体成形される。樹脂の射出成形によって、軌道部材60の温度が上昇したとしても、その温度は低く、表面硬化層69が軟化する(焼き鈍しされる)のを防ぐことができる。
前記の各形態では、内軸部材11と外輪12との内の一方が、軌道部材と樹脂部材との複合部材により構成されているが、内軸部材11と外輪12との双方が、軌道部材と樹脂部材との複合部材により構成されていてもよい。
また、図示しないが、鋼製である軌道部材の第二周面に、凸条及び凹溝の少なくとも一方が形成され、これを樹脂部材が覆うように構成されていてもよい。この場合、クリープ抑制の効果がより一層高まる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば、転動体を玉13として説明したが、転動体はころ(円すいころ)であってもよい。
10:車輪用軸受装置 11:内軸部材(内方部材) 11a:内軌道面
12:外輪(外方部材) 12a,12b:外軌道面 13:玉(転動体)
40:鋼製の軌道部材 41:第一周面 42:第二周面
43:ブラスト面 48:圧縮応力層 49:表面硬化層
50:樹脂部材 60:鋼製の軌道部材 61:第一周面
62:第二周面 63:ブラスト面 68:圧縮応力層
69:表面硬化層 70:樹脂部材

Claims (4)

  1. 外方部材と、内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に設けられている複数の転動体と、を備える車輪用軸受装置であって、
    前記外方部材と前記内方部材との内の少なくとも一方は、前記転動体が転がり接触する軌道面が形成されている第一周面と、当該第一周面と反対側の第二周面とを有する鋼製の軌道部材と、前記第二周面を覆う樹脂部材と、を有し、
    前記第二周面の内の前記樹脂部材が覆う部分の少なくとも一部に、ブラスト面が形成されている、車輪用軸受装置。
  2. 前記軌道部材の内の前記ブラスト面を含む範囲には、圧縮応力層が形成されている、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記軌道部材の内の、前記軌道面を含む範囲には、表面硬化層が形成されている、請求項1又は2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 車輪用軸受装置が備える外方部材と内方部材との内の少なくとも一方の軌道輪を製造する方法であって、
    前記軌道輪の一部を構成する鋼製の軌道部材の第一周面に、車輪用軸受装置が備える転動体が転がり接触する軌道面を形成し、
    前記軌道部材の前記第一周面と反対側の第二周面に、ショットブラストを施し、
    前記第二周面の前記ショットブラストを施した面を含む領域に、樹脂を被覆させて、当該樹脂によって前記軌道部材と一体となる樹脂部材を形成する、軌道輪の製造方法。
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