(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の電子部品圧着装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
上記特許文献1の電子部品圧着装置のように、液晶パネルまたは有機EL(electro-luminescence)パネルなどのパネルへの部品の圧着には、バックアップステージと、圧着ツールとが用いられる。バックアップステージは、パネルの端部を下側から支持する。圧着ツールは、バックアップステージに支持されているパネルの端部に、ACFを介して部品を圧着する。
ここで、バックアップステージには、各部材のパーティクルなどが異物として付着することがある。異物には、例えば、液晶パネルのガラス破片またはACFの断片などがあげられる。このような異物の付着は、部品をパネルに圧着することによって生産される製品の品質に大きく影響する。
上記特許文献1の電子部品圧着装置では、バックアップステージを回転ブラシによって清掃することによって、そのバックアップステージに付着された異物を除去する。これにより、製品の品質の低下を抑えることができる。
しかしながら、その異物は、バックアップステージだけでなく圧着ツールにも付着することがある。したがって、上記特許文献1の電子部品圧着装置では、その圧着ツールに付着した異物を除去することができず、製品の品質を十分に高めることが難しい。つまり、歩留りを向上させることが難しい。その結果、生産性が低下する可能性がある。
このような課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る部品圧着装置は、基板における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する下受け部と、前記下受け部によって支持されている前記圧着対象部位に部品を圧着する圧着ツールと、前記圧着ツールおよび前記下受け部を清掃するための清掃ツールと、前記清掃ツールを移動させるツール移動機構とを備え、前記ツール移動機構は、互いに対向する前記圧着ツールと前記下受け部との間にある第1領域と、前記圧着ツールと前記下受け部との間にはない第2領域との間で、前記清掃ツールを移動させ、前記清掃ツールは、前記ツール移動機構によって前記第1領域に配置されているときには、前記圧着ツールと前記下受け部とに同時に擦れることによって、前記圧着ツールおよび前記下受け部を清掃する。
これにより、バックアップステージである下受け部だけでなく圧着ツールも清掃ツールによって清掃される。したがって、下受け部および圧着ツールに付着するパーティクルなどの異物は、その清掃ツールによって除去される。その結果、液晶パネルなどの基板に部品を圧着することによって生産される製品の品質の低下を十分に抑えることができる。つまり、歩留まりを向上することができ、生産性を向上することができる。例えば、部品圧着装置の稼働をわざわざ停止させて、下受け部および圧着ツールを手作業で清掃する手間を省くことができる。つまり、生産中に清掃を行うことができ、部品圧着装置の連続稼働を可能にすることができる。また、清掃ツールが圧着ツールと下受け部とに同時に擦れることによって清掃が行われるため、清掃にかかる時間を短くすることができる。これにより、生産性をさらに向上することができる。
また、本開示の第2の態様に係る部品圧着装置は、基板における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する下受け部と、前記下受け部によって支持されている前記圧着対象部位に部品を圧着する圧着ツールと、前記圧着ツールおよび前記下受け部を清掃するための清掃ツールと、前記清掃ツールを移動させるツール移動機構とを備え、前記ツール移動機構は、互に対向する前記圧着ツールと前記下受け部との間にある第1領域と、前記圧着ツールと前記下受け部との間にはない第2領域との間で、前記清掃ツールを移動させ、前記清掃ツールは、前記第1領域と前記第2領域との間を移動しながら、前記圧着ツールと前記下受け部とに擦れることによって、前記圧着ツールおよび前記下受け部を清掃する。
これにより、第1の態様に係る部品圧着装置と同様、バックアップステージである下受け部だけでなく圧着ツールも清掃ツールによって清掃されるため、歩留まりを向上することができ、生産性を向上することができる。また、清掃ツールは、移動しながら圧着ツールおよび下受け部に擦れることによって清掃を行うため、清掃ツールが圧着ツールおよび下受け部に擦れるタイミングが完全に同じではなく異なっていても、短時間に清掃を行うことができる。
また、前記清掃ツールは、前記圧着ツールの一面であって、前記部品を圧着対象部位側に加圧する加圧面と、前記下受け部の一面であって、前記基板に当接する下受け面とに擦れるブラシであってもよい。
これにより、加圧面と下受け面との間にブラシが挿入されて移動されることによって、そのブラシが加圧面と下受け面とに擦れる。したがって、加圧面と下受け面との間の間隔を調整することによって、ブラシを加圧面と下受け面とに強く擦り付けたり、弱く擦り付けたりすることができる。さらに、ブラシの移動速度を速くすれば、加圧面および下受け面の清掃を短時間に行うことができる。
また、前記清掃ツールは、互いに異なる第1ブラシと第2ブラシとを備え、前記第1ブラシは、前記圧着ツールの前記加圧面に擦れ、前記第2ブラシは、前記下受け部の前記下受け面に擦れてもよい。
これにより、圧着ツールの加圧面と、下受け部の下受け面とのそれぞれに適したブラシでそれらの面を清掃することができる。つまり、圧着ツールの加圧面に適したブラシを第1ブラシとしてその加圧面の清掃に用いることができ、下受け部の下受け面に適したブラシを第2ブラシとしてその下受け面の清掃に用いることができる。これにより、圧着ツールおよび下受け部に対して個別に適切な清掃を行うことができ、清掃の効率化を図ることができる。
また、前記清掃ツールは、さらに、前記第1ブラシと前記第2ブラシとの間に配置される遮蔽板を備え、互に対向する前記圧着ツールおよび前記下受け部の配列方向における前記圧着ツール側から、前記第1ブラシおよび前記遮蔽板を見た場合、前記遮蔽板は前記第1ブラシよりも広く、前記遮蔽板の周縁は前記第1ブラシを囲っていてもよい。
これにより、清掃ツールが第1領域に配置されているときには、圧着ツールの加圧面と下受け部の下受け面との間には、例えば上述の配列方向と垂直な方向に沿って第1ブラシから張り出している遮蔽板が存在する。したがって、第1ブラシによる圧着ツールの加圧面に対する清掃によって、その加圧面に付着していた異物が落下しても、その異物は遮蔽板上に落下するため、下受け部の下受け面への異物の落下を抑えることができる。その結果、下受け面の清掃効率の低下を抑制することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態)
[部品実装ラインの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
本実施の形態における部品実装ライン1は、液晶パネルなどの基板3に部品5を実装することによって液晶ディスプレイなどの製品を生産するシステムである。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的には、部品実装ライン1は、図1に示すように、基板搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40、基板搬出部50とを有する。基板搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および基板搬出部50は、この順で連結されている。
基板搬入部10は、作業者または上流側の他の装置から搬入される矩形の基板3を受け取る。そして、その基板3は下流側の貼着部20に搬出される。
貼着部20は、基板搬入部10から搬出された基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれに接着部材を貼着する。そして、その接着部材が貼着された基板3は仮圧着部30に搬出される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3の接着部材が貼着されている部位に部品5を搭載して仮圧着する。そして、その部品5が仮圧着された基板3は本圧着部40に搬出される。
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着(熱圧着ともいう)を行う。そして、その本圧着が行われた基板3は基板搬出部50に搬出される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬出された基板3を受け取る。基板搬出部50に受け取られた基板3は下流側に搬出される。
このように、部品実装ライン1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3を基板搬出部50から搬出する。
[部品実装ラインの詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図1は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板の搬送方向をX軸方向と称し、鉛直方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
基板搬入部10は、搬入される基板3を載置するための基台1aを備える。基板搬入部10の基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACFを貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22とを備える。
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、それぞれACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の複数の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、部品移送部35aと、クリーニング部70とを備える。
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ(基板保持部ともいう)37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージである下受け部36の上方に位置させる。
部品供給部33は、部品搭載機構32の奥側(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33は、TCP(Tape carrier package)などの帯状部品収納体が巻き付けられた供給リール33aと、打ち抜き部33bと、可動ステージ33cと、レール33dとを備える。このような部品供給部33は、それらの構成要素の動きによって帯状部品収納体から部品5を順次供給する。
部品移送部35aは、部品供給部33から供給される部品5を、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、圧着ツール34と下受け部36とを備える。
下受け部36は、基板保持部であるステージ37に保持されている基板3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、基板3においてACFが貼着されている部位である。
圧着ツール34は、部品5を保持し、下受け部36によって支持されている圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、部品移送部35aによって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごと下受け部36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。なお、仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持されている基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
クリーニング部70は、部品搭載機構32を清掃する。つまり、クリーニング部70は、清掃ツール71を備え、その清掃ツール71を用いて、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34と下受け部36とを清掃する。
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の圧着支持部の上方に位置させる。
圧着機構42は、加熱されたヘッドで基板3の部品5を圧着支持部側に押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬送された基板3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、ステージ51は、本圧着部40から移送された基板3をその上面で真空吸着して保持する。
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入部10に搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、基板搬出部50へこの順に受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置されている。
搬送部60は、基台1a、基台1b、および、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、および、基板搬送機構62Dを備えている。
基板搬送機構62A〜62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A〜62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。
基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。
基板搬送機構62A〜62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51から基板3の受け取り又は受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入部10のステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30のステージ37から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出部50のステージ51に受け渡す。
図3は、部品実装ライン1に備えらえている、コンピュータと、そのコンピュータによって制御される各構成要素とを示す図である。
部品実装ライン1は、図3に示すようにコンピュータ2を備える。このコンピュータ2は、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および搬送部60などと例えば制御線によって通信可能に接続され、これらの各部を制御する。コンピュータ2は、制御部2aと、記憶部2bとを備える。
記憶部2bは、基板3のサイズ、基板3に実装される部品5の種類、実装位置、実装方向、および、基板3を移送するタイミング等の部品実装作業に必要な各種データと、制御部2aが実行する制御プログラム等とを記憶する。記憶部2bは、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。
制御部2aは、貼着部20の基板移動機構21、仮圧着部30の基板移動機構31、本圧着部40の基板移動機構41、および搬送部60を制御して、基板3を各部間で次の工程へ移送する基板移送作業を実行する。基板移送作業における上流側から下流側への基板3の移送は、各部間で同期して行われる。
例えば、制御部2aは、貼着部20を制御することで、基板移動機構21によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、ヘッド移動モータによって複数の貼着ヘッドの間隔を変更し、貼着機構22によって基板3にACFを貼着する貼着作業を貼着部20に実行させる。
また、例えば、制御部2aは、仮圧着部30を制御することで、基板移動機構31によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、部品5の基板3への仮圧着を部品搭載機構32に実行させる。また、制御部2aは、部品供給部33および部品移送部35aを制御することによって、基板3に仮圧着される部品5を部品搭載機構32側に移動させる。さらに、制御部2aは、クリーニング部70を制御することによって、そのクリーニング部70の清掃ツール71を移動させて、部品搭載機構32を清掃する。
また、例えば、制御部2aは、本圧着部40を制御することで、基板移動機構41によって保持する基板3の向きおよび位置を変更し、基板3に仮圧着された部品5を圧着機構42に本圧着させる。
このような制御部2aは、例えば、部品実装ライン1が有する各部および各機構を制御するための、記憶部2bに記憶されている制御プログラムと、その制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサとにより実現される。
[部品圧着装置の構成]
図4は、本実施の形態における部品圧着装置100の機能構成を示すブロック図である。
部品圧着装置100は、部品実装ライン1における仮圧着部30と、コンピュータ2の制御部2aとからなる。
具体的には、部品圧着装置100は、制御部2aと、部品供給部33と、部品移送部35aと、クリーニング部70と、圧着ツール34と、下受け部36と、ステージである基板保持部37と、カメラ39とを備える。
制御部2aは、部品供給部33と、部品移送部35aと、クリーニング部70と、圧着ツール34と、基板保持部37と、カメラ39とを制御する。
カメラ39は、例えば制御部2aによる制御に基づいて、圧着ツール34に保持されている部品5を下側(すなわちZ軸方向負側)から撮影する。制御部2aは、このように撮影された部品5の画像に基づいて、その部品5が不良品か否かを判定する。
クリーニング部70は、例えば制御部2aによる制御に基づいて、部品搭載機構32、すなわち圧着ツール34および下受け部36を清掃する。例えば、制御部2aは、クリーニング部70による清掃を定期的に実行させる。具体的には、制御部2aは、基板3が仮圧着部30に搬入されるごとに、その基板3が下受け部36に支持される前に、その下受け部36と圧着ツール34の清掃をクリーニング部70に実行させる。または、制御部2aは、N枚(Nは2以上の整数)の基板3に対する部品5の仮圧着が完了するたびに、その清掃をクリーニング部70に実行させてもよい。これにより、例えば、部品圧着装置100の稼働をわざわざ停止させて、下受け部36および圧着ツール34を手作業で清掃する手間を省くことができる。つまり、生産中に清掃を行うことができ、部品圧着装置100の連続稼働を可能にすることができる。
[クリーニング部]
図5は、クリーニング部70による部品搭載機構32の清掃の一例を時系列に沿って示す図である。なお、図5は、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示すとともに、クリーニング部70を上方から見た状態も示す。
クリーニング部70は、図5の(a)に示すように、清掃ツール71と、軸駆動部72と、可動軸73とを備える。
清掃ツール71は、圧着ツール34および下受け部36を清掃するためのツールであって、例えばブラシである。つまり、清掃ツール71は、圧着ツール34の一面であって、部品5を基板3の圧着対象部位側に加圧する加圧面34aと、下受け部36の一面であって、基板3に当接する下受け面36aとに擦れるブラシである。また、本実施の形態における清掃ツール71は、互いに異なる第1ブラシ71aと第2ブラシ71bとを備える。
可動軸73は、例えば長尺状に形成されている。そして、可動軸73の基端は、軸駆動部72に保持され、可動軸73の先端には、清掃ツール71が取り付けられている。ここで、清掃ツール71の第1ブラシ71aは、毛先が上方に向けられた状態で可動軸73に固定されている。さらに、清掃ツール71の第2ブラシ71bは、毛先が下方に向けられた状態で可動軸73に固定されている。したがって、後述のように、第1ブラシ71aは、圧着ツール34の加圧面34aに擦れ、第2ブラシ71bは、下受け部36の下受け面36aに擦れる。
軸駆動部72は、その可動軸73をX軸方向に往復運動させる。また、上述のように、清掃ツール71は、可動軸73の先端に取り付けられている。したがって、本実施の形態では、軸駆動部72および可動軸73は、清掃ツール71を移動させるツール移動機構として構成されている。また、軸駆動部72および可動軸73は、第1領域と第2領域との間で清掃ツール71を移動させる。第1領域は、互に対向する圧着ツール34と下受け部36との間にある領域であり、第2領域は、互に対向する圧着ツール34と下受け部36との間にはない領域である。
このようなクリーニング部70は、まず、図5の(a)に示すように、可動軸73の基端側が軸駆動部72の内部に収められた状態にある。このとき、可動軸73の先端に取り付けられている清掃ツール71は原点位置にある。この原点位置は、上述の第2領域にある。
次に、圧着ツール34は、図5の(b)に示すように、Z軸方向に沿って降下する。つまり、制御部2aは、圧着ツール34と下受け部36との間隔を調整する。具体的には、調整後の間隔は、第1ブラシ71aの毛先と第2ブラシ71bの毛先との間のZ軸方向の距離よりも短く、かつ、圧着ツール34と下受け部36との間に清掃ツール71が挿入可能な間隔である。
そして、クリーニング部70の軸駆動部72は、図5の(c)に示すように、可動軸73の基端側を引き出し、清掃ツール71をX軸方向正側に移動させる。これにより、清掃ツール71は、圧着ツール34と下受け部36との間の空間、すなわち上述の第1領域に進入する。ここで、清掃ツール71は、ツール移動機構によって第1領域に配置されているときには、圧着ツール34と下受け部36とに同時に擦れる。具体的には、清掃ツール71は、X軸方向に沿って移動しながら、圧着ツール34と下受け部36とに同時に擦れる。これによって、清掃ツール71は、下受け部36および圧着ツール34を清掃する。つまり、清掃ツール71は、軸駆動部72および可動軸73からなるツール移動機構によって、第1領域内でX軸方向に移動する。このとき、清掃ツール71の第1ブラシ71aの毛先は、圧着ツール34の加圧面34aに擦れながら移動する。一方、清掃ツール71の第2ブラシ71bの毛先は、下受け部36の下受け面36aに擦れながら移動する。このように、清掃ツール71は、下受け部36と圧着ツール34とに同時に擦れるため、下受け部36と圧着ツール34とを同時に清掃することができる。
清掃ツール71は、上述のようなX軸方向正側の移動によって、下受け部36の下受け面36aおよび圧着ツール34の加圧面34aのそれぞれのX軸方向正側の端まで擦れる。その後、軸駆動部72は可動軸73を引き込む。これにより、清掃ツール71は、上述とは逆に、X軸方向負側に移動する。このとき、清掃ツール71は、圧着ツール34の加圧面34aおよび下受け部36の下受け面36aに再び擦れながらX軸方向負側に移動する。したがって、このときにも、清掃ツール71は、圧着ツール34および下受け部36を清掃する。そして、清掃ツール71は、圧着ツール34と下受け部36との間の領域である第1領域から抜け出して、再び第2領域に入り、上述の原点位置に戻る。
このように、本実施の形態では、バックアップステージである下受け部36だけでなく圧着ツール34も清掃ツール71によって清掃される。したがって、下受け部36および圧着ツール34に付着するパーティクルなどの異物は、その清掃ツール71によって除去される。その結果、液晶パネルなどの基板3に部品5を圧着することによって生産される製品の品質の低下を十分に抑えることができる。つまり、歩留まりを向上することができ、生産性を向上することができる。また、清掃ツール71が圧着ツール34と下受け部36とに同時に擦れることによって清掃が行われるため、清掃にかかる時間を短くすることができる。これにより、生産性をさらに向上することができる。
また、本実施の形態における清掃ツール71は、圧着ツール34の加圧面34aと、下受け部36の下受け面36aとに擦れるブラシである。つまり、加圧面34aと下受け面36aとの間に清掃ツール71が挿入されて移動されることによって、その清掃ツール71であるブラシは加圧面34aと下受け面36aとに擦れる。したがって、加圧面34aと下受け面36aとの間の間隔を調整することによって、ブラシを加圧面34aと下受け面36aとに強く擦り付けたり、弱く擦り付けたりすることができる。さらに、ブラシの移動速度を速くすれば、加圧面34aおよび下受け面36aの清掃を短時間に行うことができる。
また、本実施の形態における清掃ツール71は、互に異なる第1ブラシ71aと第2ブラシ71bとを備える。これにより、圧着ツール34の加圧面34aと、下受け部36の下受け面36aとのそれぞれに適したブラシでそれらの面を清掃することができる。つまり、圧着ツール34の加圧面34aに適したブラシを第1ブラシ71aとしてその加圧面34aの清掃に用いることができ、下受け部36の下受け面36aに適したブラシを第2ブラシ71bとしてその下受け面36aの清掃に用いることができる。これにより、圧着ツール34および下受け部36に対して個別に適切な清掃を行うことができ、清掃の効率化を図ることができる。
なお、図5に示す例では、清掃ツール71は、下受け部36と圧着ツール34とに同時に擦れるが、同時に擦れなくてもよい。清掃ツール71は、X軸方向に移動しながら、互に異なるタイミングで下受け部36と圧着ツール34とに擦れてもよい。
例えば、清掃ツール71における第1ブラシ71aと第2ブラシ71bは、図5に示す例では、Z軸方向に沿って配列されている。つまり、第1ブラシ71aと第2ブラシ71bは、X軸における同じ位置に配置されている。したがって、清掃ツール71は、下受け部36と圧着ツール34とに同時に擦れる。そこで、第1ブラシ71aと第2ブラシ71bは、X軸方向において互いに異なる位置に配置されていてもよい。これにより、第1ブラシ71aが圧着ツール34の加圧面34aに擦れるタイミングと、第2ブラシ71bが下受け部36の下受け面36aに擦れるタイミングとを異ならせることができる。
このように、清掃ツール71は、X軸方向に移動しながら、すなわち第1領域と第2領域との間を移動しながら、圧着ツール34と下受け部36とに擦れることによって、その圧着ツール34および下受け部36を清掃する。これにより、清掃ツール71の一方向の移動だけで、下受け部36と圧着ツール34とを簡単に清掃することができる。また、清掃ツール71は、移動しながら圧着ツール34および下受け部36に擦れることによって清掃を行うため、清掃ツール71が圧着ツール34および下受け部36に擦れるタイミングが完全に同じではなく異なっていても、短時間に清掃を行うことができる。
また、本実施の形態では、予め定められたタイミングで部品搭載機構32の清掃が行われるが、カメラ39による撮影結果に応じて、その清掃が行われてもよい。例えば、制御部2aは、カメラ39による撮影によって得られる画像に基づいて、圧着ツール34の加圧面34aと、下受け部36の下受け面36aとの少なくとも一方の汚れ度合いを判定してもよい。例えば、汚れ度合いは、加圧面34aおよび下受け面36aの少なくとも一方に付着している異物の数または大きさであってもよく、その数または大きさを正規化した数値であってもよい。制御部2aは、その汚れ度合いが閾値を超える場合には、クリーニング部70に対して部品搭載機構32の清掃を実施させ、その汚れ度合いが閾値以下の場合には、クリーニング部70による部品搭載機構32の清掃を停止させる。これにより、部品搭載機構32の清掃を適切なタイミングで実施することができる。また、その清掃が必要以上に実施されることを抑えることができ、不必要な処理を省いて、消費電力を抑制することができる。なお、上述の例では、汚れ度合いの導出にカメラ39を用いたが、他のセンサを用いてもよい。
ここで、図5に示す例では、第1ブラシ71aによる加圧面34aの清掃によって、その加圧面34aに付着していた異物が下受け面36aに落下する可能性がある。このような異物の下受け面36aへの落下は、下受け面36aの清掃効率の低下を招く可能性がある。そこで、クリーニング部70は、このような異物の落下を抑えるための構成を備えていてもよい。
図6は、クリーニング部70による部品搭載機構32の清掃の他の例を時系列に沿って示す図である。なお、図6は、図5と同様、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示すとともに、クリーニング部70を上方から見た状態も示す。
クリーニング部70は、図5に示す例と同様に、清掃ツール71と、軸駆動部72と、可動軸73とを備える。さらに、図6に示す例では、クリーニング部70は、遮蔽板74を備える。
この遮蔽板74は、図6の(a)に示すように、第1ブラシ71aと第2ブラシ71bとの間に配置される。そして、互に対向する圧着ツール34および下受け部36の配列方向における圧着ツール34側(すなわちZ軸方向正側)から、第1ブラシ71aおよび遮蔽板74を見た場合、その遮蔽板74は第1ブラシ71aよりも広く、遮蔽板74の周縁は第1ブラシ71aを囲っている。
このようなクリーニング部70は、図5に示す例と同様、まず、図6の(a)に示すように、可動軸73の基端側が軸駆動部72の内部に収められた状態にある。このとき、可動軸73の先端に取り付けられている清掃ツール71は原点位置にある。この原点位置は、上述の第2領域にある。
次に、圧着ツール34は、図6の(b)に示すように、Z軸方向に沿って降下する。つまり、制御部2aは、圧着ツール34と下受け部36との間隔を調整する。
そして、クリーニング部70の軸駆動部72は、図6の(c)に示すように、可動軸73の基端側を引き出し、清掃ツール71をX軸方向正側に移動させる。これにより、清掃ツール71および遮蔽板74は、圧着ツール34と下受け部36との間の空間、すなわち上述の第1領域に進入する。清掃ツール71は、ツール移動機構によって第1領域に配置されているときには、下受け部36と圧着ツール34とに同時に擦れる。このとき、清掃ツール71の第1ブラシ71aの毛先は、圧着ツール34の加圧面34aに擦れながら移動する。ここで、加圧面34aに異物が付着している場合、その異物は、第1ブラシ71aによってその加圧面34aから掻き出されて落下する。図5に示す例では、その加圧面34aから掻き出された異物は、下受け部36の下受け面36aに落下する可能性がある。しかし、図6に示す例では、遮蔽板74が第1ブラシ71aと第2ブラシ71bとの間に配置されているため、その加圧面34aから掻き出された異物は、遮蔽板74の上面に落下する。したがって、異物の下受け面36aへの落下を抑えることができる。その結果、下受け面36aの清掃効率の低下を抑制することができる。
ここで、本実施の形態におけるクリーニング部70は、不良の部品5を回収するための廃棄ボックスを有していてもよい。
図7は、廃棄ボックスを有するクリーニング部70による部品搭載機構32の清掃の一例を時系列に沿って示す図である。なお、図7は、図5と同様、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示すとともに、クリーニング部70を上方から見た状態も示す。
クリーニング部70は、図5に示す例と同様に、清掃ツール71と、軸駆動部72と、可動軸73とを備える。さらに、図7に示す例では、クリーニング部70は、廃棄ボックス76と、ボックス支持体77と、フレーム75とを備える。
廃棄ボックス76は、圧着ツール34に保持されている部品5が不良と判定されときに、その不良の部品5を収容するための開口を有するボックスである。
ボックス支持体77は、廃棄ボックス76の開口が上方に向けられた状態でその廃棄ボックス76を支持する。
フレーム75は、XY平面において廃棄ボックス76を囲むように略コ字状に形成されている。また、フレーム75のX軸方向正側の端には、清掃ツール71が取り付けられ、フレーム75のX軸方向負側の端には、ボックス支持体77が取り付けられている。
このようなクリーニング部70は、図5に示す例と同様、まず、図7の(a)に示すように、可動軸73が軸駆動部72の内部に収められた状態にある。このとき、フレーム75に取り付けられている清掃ツール71は原点位置にある。この原点位置は、上述の第2領域にある。
次に、圧着ツール34は、図7の(b)に示すように、Z軸方向に沿って降下する。つまり、制御部2aは、圧着ツール34と下受け部36との間隔を調整する。
そして、クリーニング部70の軸駆動部72は、図7の(c)に示すように、可動軸73を引き出す。その結果、その可動軸73の先端に連結されているフレーム75およびボックス支持体77は、X軸方向正側に移動する。したがって、清掃ツール71および廃棄ボックス76もX軸方向正側に移動させる。これにより、清掃ツール71は、圧着ツール34と下受け部36との間の空間、すなわち上述の第1領域に進入する。清掃ツール71は、第1領域に配置されているときには、圧着ツール34と下受け部36とに同時に擦れる。これによって、図5に示す例と同様、清掃ツール71は、圧着ツール34および下受け部36を清掃する。
さらに、クリーニング部70の軸駆動部72は、その可動軸73を引き込む。これにより、清掃ツール71および廃棄ボックス76は、上述とは逆に、X軸方向負側に移動する。このとき、清掃ツール71は、圧着ツール34の加圧面34aおよび下受け部36の下受け面36aに再び擦れながらX軸方向負側に移動する。したがって、このときにも、清掃ツール71は、圧着ツール34および下受け部36を清掃する。そして、清掃ツール71は、圧着ツール34と下受け部36との間の領域である第1領域から抜け出して、再び第2領域に入り、上述の原点位置に戻る。
また、クリーニング部70の軸駆動部72は、不良の部品5を廃棄するときにも、図7の(a)〜(c)に示すように、可動軸73をX軸方向に往復運動させる。例えば、制御部2aは、圧着ツール34の加圧面34aに保持されている部品5をカメラ39に撮影させる。そして、制御部2aは、その撮影によって得られた画像に基づいて、部品5が不良であると判定する。このとき、制御部2aは、クリーニング部70にその部品5の回収を実行させる。具体的には、クリーニング部70の軸駆動部72は、可動軸73を引き出して、廃棄ボックス76をX軸方向正側に移動させる。これにより、廃棄ボックス76は、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に配置される。そして、圧着ツール34は、下降し、保持している部品5をその廃棄ボックス76内に載置する。これにより、不良の部品5は、廃棄ボックス76に収納される。その後、圧着ツール34は上昇する。そして、クリーニング部70の軸駆動部72は、可動軸73を引き込むことによって、その廃棄ボックス76をX軸方向負側に移動させる。これにより、不良の部品5が回収される。
このように、クリーニング部70は、圧着ツール34に保持されている部品5を回収する機能も兼ね備えている。したがって、部品搭載機構32の清掃のための機構と、不良の部品5の回収のための機構とを、共通化させることができ、部品圧着装置100の構成の複雑化を抑えることができる。
図8は、廃棄ボックスを有するクリーニング部70による部品搭載機構32の清掃の他の例を時系列に沿って示す図である。なお、図8は、図7と同様、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示すとともに、クリーニング部70を上方から見た状態も示す。
クリーニング部70は、図7に示す例と同様に、清掃ツール71と、軸駆動部72と、可動軸73と、廃棄ボックス76と、ボックス支持体77と、フレーム75とを備える。ここで、図8に示す例では、クリーニング部70は、清掃ツール71および廃棄ボックス76を昇降する機能を有する。
このようなクリーニング部70は、図7に示す例と同様、まず、図8の(a)に示すように、可動軸73が軸駆動部72の内部に収められた状態にある。このとき、フレーム75に取り付けられている清掃ツール71は原点位置にある。この原点位置は、上述の第2領域にある。
ここで、図8の(a)に示すように、圧着ツール34は、既に下降されている。つまり、圧着ツール34と下受け部36との間隔は、既に調整されている。しかし、清掃ツール71の高さ、すなわち清掃ツール71のZ軸方向の位置は、その下受け部36と圧着ツール34との間の空間から上方にずれている。
したがって、クリーニング部70の軸駆動部72は、制御部2aの制御によって、図8の(b)に示すように、フレーム75およびボックス支持体77を下降させる。これにより、フレーム75およびボックス支持体77に取り付けられている清掃ツール71および廃棄ボックス76も下降する。その結果、清掃ツール71は、その圧着ツール34と下受け部36との間の空間に対して適切な高さに配置される。
そして、クリーニング部70の軸駆動部72は、図8の(c)に示すように、可動軸73を引き出し、清掃ツール71をX軸方向正側に移動させる。これにより、清掃ツール71は、圧着ツール34と下受け部36との間の空間、すなわち上述の第1領域に進入する。清掃ツール71は、第1領域に配置されているときには、圧着ツール34と下受け部36とに同時に擦れる。これによって、図7に示す例と同様、清掃ツール71は、圧着ツール34および下受け部36を清掃する。
さらに、クリーニング部70の軸駆動部72は、可動軸73を引き込むことによって、清掃ツール71および廃棄ボックス76をX軸方向負側に移動させる。これにより、清掃ツール71は、上述の第1領域から第2領域に移動する。その後、軸駆動部72は、フレーム75およびボックス支持体77を上昇させてもよい。これにより、フレーム75およびボックス支持体77に取り付けられている清掃ツール71および廃棄ボックス76も上昇し、原点位置に戻る。
このように、図8に示す例では、クリーニング部70は、清掃ツール71および廃棄ボックス76を昇降する機能を有するため、清掃対象の圧着ツール34および下受け部36のZ軸方向の位置の自由度を高めることができる。
なお、図8に示す例では、清掃ツール71と廃棄ボックス76とは、フレーム75およびボックス支持体77によって固定されているが、固定されていなくてもよい。つまり、フレーム75とボックス支持体77とは、接続されておらず、それぞれ独立して可動に構成されていてもよい。これにより、軸駆動部72は、ボックス支持体77および廃棄ボックス76の高さを変更することなく、フレーム75および清掃ツール71の高さのみを変更してもよい。または、その逆であってもよい。つまり、軸駆動部72は、フレーム75および清掃ツール71の高さを変更することなく、ボックス支持体77および廃棄ボックス76の高さのみを変更してもよい。また、軸駆動部72は、フレーム75を回動自在に保持してもよい。例えば、軸駆動部72は、Y軸方向に沿う回転軸を中心にフレーム75を回動させることによって、そのフレーム75に取り付けられている清掃ツール71の高さを変更してもよい。
(変形例)
上記実施の形態では、仮圧着部30の部品供給部33は、TCPなどの帯状部品収納体から部品5を打ち抜いて供給するが、トレイに載置されている部品5を供給してもよい。
図9は、本変形例に係る部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図9は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。
本変形例に係る部品実装ライン1は、上記実施の形態と同様、基板搬入部10、貼着部20、本圧着部40、基板搬出部50、および搬送部60を備え、さらに、仮圧着部30の代わりに仮圧着部30Aを備える。つまり、本変形例に係る部品圧着装置100は、仮圧着部30Aと、コンピュータ2の制御部2aとから構成される。
仮圧着部30Aは、上記実施の形態の部品供給部33の代わりに、部品供給部33Hを備える。
部品供給部33Hには、2つのトレイセットがX軸方向に沿って配置される。トレイセットは、複数のトレイ7からなり、これらのトレイ7はZ軸方向に沿って段積みされている。また、これらのトレイ7には、複数の部品5が例えばマトリクス状に載置されている。部品供給部33Hは、トレイ7ごと複数の部品5を供給する。
本変形例における部品移送部35aは、部品供給部33Hから供給される、複数の部品5が載置されているトレイ7をY軸方向負側に移動させる。
また、本変形例における部品搭載機構32は、圧着ツール34と、部品移動機構35と、下受け部36とを備える。部品移動機構35は、圧着ツール34をX軸方向およびY軸方向に移動させる。したがって、圧着ツール34は、部品移動機構35によってX軸方向およびY軸方向に移動し、トレイ7に載置されている圧着対象の部品5の上で停止する。その後、圧着ツール34は、降下してその圧着対象の部品5を吸着して保持しながら上昇する。そして、圧着ツール34は、部品移動機構35によってX軸方向およびY軸方向に移動し、下受け部36の上で停止する。圧着ツール34は、降下して、下受け部36に支持されている基板3の圧着対象部位にその部品5を圧着する。
このような本変形例に係る部品圧着装置100でも、上記実施の形態と同様のクリーニング部70を備える。クリーニング部70は、圧着ツール34が下受け部36の上方に配置されたときに、つまり、圧着ツール34と下受け部36とがZ軸方向に対向するときに、清掃ツール71をその圧着ツール34と下受け部36との間に移動させる。その結果、清掃ツール71は、その圧着ツール34と下受け部36とに同時に、または互いに異なるタイミングで擦れることによって、圧着ツール34と下受け部36とを清掃する。
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係る部品圧着装置について、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態およびその変形例に施したものや、上記実施の形態およびその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、基板3は液晶パネルであって、その液晶パネルに部品5が仮圧着および本圧着されるが、基板3は液晶パネル以外の基板であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、クリーニング部70の清掃ツール71の移動方向はX軸方向であるが、他の方向であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、クリーニング部70の清掃ツール71はブラシであるが、布であってもよい。また、清掃ツール71は、回転ブラシであってもよい。すなわち、上記実施の形態およびその変形例では、清掃ツール71は、一方向に沿う移動によって圧着ツール34および下受け部36を清掃するが、圧着ツール34と下受け部36とに挟まれた状態で移動することなく回転してもよい。例えば、清掃ツール71は、X軸方向に沿う回転軸を中心に回転する。清掃ツール71は、この回転によって圧着ツール34の加圧面34aと下受け部36の下受け面36aとに擦れて、それらの面を清掃する。また、上記実施の形態およびその変形例では、清掃ツール71は、一往復によって圧着ツール34および下受け部36を清掃するが、2回以上往復することによって、圧着ツール34および下受け部36を清掃してもよい。また、圧着ツール34および下受け部36の汚れ度合いなどに応じて、その往復の回数を可変にしてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、第1ブラシ71aと第2ブラシ71bとは同一のサイズ、形状および性質を有するが、それらのブラシのサイズ、形状および性質のうちの少なくとも1つは互いに異なっていてもよい。例えば、第1ブラシ71aよりも第2ブラシ71bの方が大きくてもよく、小さくてもよい。また、第1ブラシ71aと第2ブラシ71bとのそれぞれでは、複数の毛を束ねて保持する板の形状が互いに異なっていてもよい。また、第1ブラシ71aの複数の毛は、第2ブラシ71bの複数の毛よりも硬くてもよく、柔らかくてもよい。なお、第1ブラシ71aおよび第2ブラシ71bのそれぞれで保持される毛は、樹脂成形品であっても、繊維であっても、針金であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、コンピュータ2の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。例えば、プログラム実行部は、図5〜図8に示す各ステップを仮圧着部30に実行させる。
また、コンピュータ2の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。