JP2020176243A - 熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形時の流動方向の熱伝導率を維持しつつも、厚み方向の熱伝導率にも十分に優れた樹脂組成物、およびそれより得られる成形品を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)とを含有し、(A)と(B)の質量比率(A/B)が25/75〜80/20であって、(C)の含有量が、(A)〜(C)の合計に対して1質量%以上である熱伝導性樹脂組成物、および、さらに、ロジン(D)を、熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)の合計100質量部に対して0.5〜5質量部含有する前記熱伝導性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂と黒鉛系熱伝導性充填材と表面処理されたアルミニウム粉を含有する熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
近年、部品、製品の高性能化により発熱量が大きくなっているが、部品、製品の小型化および軽量化に伴い放熱スペースは減少している。そのため、発生する熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっており、その構成材料である樹脂成形材料の放熱性改良が求められている。従来、樹脂成形材料の放熱性を改良する手段としては、熱伝導率の高い充填材料(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、黒鉛等)を配合する方法が知られている。しかしながら、黒鉛のような板状のフィラーを用いた場合、成形時の流動方向には熱伝導率は向上するが、厚み方向には熱伝導率は向上しないという問題があった。
成形品の厚み方向に熱伝導率を向上させた樹脂組成物としては、特許文献1に、ガラス繊維とタルクとポリアミド46、6、66の特定の組成にした樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1の樹脂組成物では、厚み方向に0.2W/(m・K)程度しか向上しておらず、不十分であった。
国際公開2015/150140号パンフレット
本発明は、成形時の流動方向の熱伝導率を維持しつつも、厚み方向の熱伝導率にも十分に優れた樹脂組成物、およびそれより得られる成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂と黒鉛系熱伝導性充填材と表面処理されたアルミニウム粉とを特定の割合で配合することによって前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)とを含有し、
(A)と(B)の質量比率(A/B)が25/75〜80/20であって、
(C)の含有量が、(A)〜(C)の合計に対して1質量%以上である熱伝導性樹脂組成物。
(2)さらに、ロジン(D)を、熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)の合計100質量部に対して0.5〜5質量部含有する(1)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(3)熱伝導性充填材(B)が、黒鉛であることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(4)熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂である(1)〜(3)いずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物からなる成形品。
本発明によれば、成形時の流動方向の熱伝導率を維持しつつも、厚み方向の熱伝導率にも十分に優れた樹脂組成物、およびそれより得られる成形品を提供することができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)とを含有する。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリ乳酸;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;ポリフェニレンエーテル(PPE);変性PPE;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;液晶ポリマーが挙げられる。中でも、成形加工性に優れ、黒鉛系熱伝導性充填材(B)を配合した場合に熱伝導性が発現しやすいことから、ポリアミドが好ましい。
ポリアミドとしては、例えば、ラクタムや、アミノカルボン酸や、ジアミンとカルボン酸の重縮合によって得られるホモポリアミド、コポリアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。ポリアミドの具体例としては、例えば、ポリカプラミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリウンデカミド(ポリアミド11)、ポリカプラミド/ポリウンデカミドコポリマー(ポリアミド6/11)、ポリドデカミド(ポリアミド12)、ポリカプラミド/ポリドデカミドコポリマー(ポリアミド6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)およびこれらの混合物や共重合体が挙げられる。中でも、成形品としたときに、耐熱性、加工性が高いものが得られることから、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましい。ポリアミドは、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は特に限定されないが、溶媒として96質量%濃硫酸を用いて温度が25℃で濃度が1g/dLの条件で測定した相対粘度が、1.6〜2.8の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.6より小さいと、成形品としたときに、機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。一方、相対粘度が2.8より大きいと、高粘度のため成形加工性が低下する場合がある。
本発明に用いる黒鉛系熱伝導性充填材(B)としては、熱伝導性を向上させることができれば特に限定されないが、熱伝導率が5W/(m・K)以上のものが好ましく、例えば(括弧内に熱伝導率の代表値(単位:W/(m・K))を記す。)カーボン(10〜数百)、黒鉛(10〜数百)、炭素繊維(10〜数百)、黒鉛化炭素繊維(10〜数百)が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂(A)に配合したときに、熱伝導率を高くすることができることから、黒鉛が好ましい。黒鉛系熱伝導性充填材(B)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
黒鉛系熱伝導性充填材(B)の形態としては、例えば、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカ状、マイクロコイル状、ナノチューブ状が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂(A)に配合したときに熱伝導率を高くできることから、鱗片状が好ましい。
黒鉛系熱伝導性充填材(B)の平均粒径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。平均粒径が1μm未満では分散不良により凝集塊が生じやすくなり、均一な成形品が得られず、機械的物性が低下したり、熱伝導性にバラツキが生じたりする場合がある。一方、平均粒径が200μmを超えると、樹脂組成物中に高濃度に充填することが困難になり、成形品としたときに、表面が粗くなる場合がある。
黒鉛系熱伝導性充填材(B)は、熱可塑性樹脂(A)との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施されていてもよい。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリリシドキシプロピルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系が挙げられる。チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。カップリング剤は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)の質量比率(A/B)は、35/65〜80/20とすることが必要であり、40/60〜70/30とすることが好ましい。(A)と(B)の合計に対する(B)の割合を35質量%未満とすると、成形品としたときに、十分な熱伝導性を得ることができないので好ましくない。一方、前記割合を80質量%を超えるものとすると、流動性が低下するため成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下するので好ましくない。
本発明に用いる表面処理されたアルミニウム粉(C)とは、カップリング剤などの表面処理剤や、溶剤や樹脂などのバインダーで処理された表面酸化を抑制されたアルミニウム粉である。表面処理されていないアルミニウム粉を用いた場合、アルミニウム粉表面が空気と触れてしまい表面が酸化アルミニウムとなり、配合した際に十分な熱伝導率が得られなくなるため好ましくない。
表面処理されたアルミニウム粉(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)との合計に対して、1質量%以上とすることが必要であり、1.5〜10質量%とすることが好ましく、2〜7質量%とすることがより好ましい。表面処理されたアルミニウム粉(C)の含有量を1質量%未満とすると、成形品としたときに、厚み方向の熱伝導率が向上しないので好ましくない。
表面処理されたアルミニウム粉(C)の平均粒子径は、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましい。表面処理されたアルミニウム粉(C)の平均粒子径が5μm未満であると、成形品としたときに、厚み方向の熱伝導率が向上しない場合がある。
本発明の樹脂組成物には、さらにロジン(D)を含有させてもよい。黒鉛系熱伝導性フィラー(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)の含有量が大きくなると、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、成形加工性が低下する傾向があるが、ロジン(D)を含有させることにより、流動性を向上させることができる。
ロジン(D)とは、樹脂酸(ロジン酸)といわれるジテルペン酸系化合物である。ロジン(D)としては、例えば、天然ロジン、変性ロジン、重合ロジンが挙げられる。天然ロジンとは、マツ科植物から採取される樹脂酸の混合物であり、生産方法によりガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等に分けられる。該樹脂酸の主成分はアビエチン酸であり、さらに、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、レボピマール酸等が含まれる。変性ロジンとは、天然ロジンを変性したものであり、例えば、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等の水素化ロジン、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸等の不均化ロジン、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等により天然ロジンを変性した酸変性ロジン、これらのエステル体が挙げられる。そして、重合ロジンとは、天然ロジンまたは変性ロジン同士を反応させたものであり、それらの2量化物、3量化物が挙げられる。
ロジン(D)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)との合計100質量部に対して、0.5〜5質量部とすることが好ましく、2〜4質量部とすることがより好ましい。ロジン(D)を0.5〜5質量部含有させることにより、成形加工時の流動性を向上させることができる。
ロジン(D)の酸価は、60mgKOH/g以上であることが好ましく、100mgKOH/g以上であることがより好ましく、130mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。
ロジン(D)の軟化温度は、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。110℃以上の軟化温度を有するロジンを用いることで、ロジンそのものの成形加工時の分解や、成形品からロジンがブリードアウトすることを抑制することができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を大きく損なわない限り、機械的特性、耐熱性等の諸特性をさらに向上させるため、繊維状充填材を含有させてもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ケナフに代表される天然繊維が挙げられる。中でも、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。ガラス繊維は、機械的特性、耐熱性、コスト面が優れている。アラミド繊維は、耐衝撃性に優れている。繊維状充填材は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限り、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核材、高分子化合物等を添加してもよい。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が好ましく、環境面から、非ハロゲン系難燃剤がより好ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属化合物、メラミン系、グアニジン系等の窒素含有化合物、硼酸塩、モリブデン化合物等の無機系化合物が挙げられる。
充填材は、無機充填材、有機充填材いずれもでもよい。無機充填材としては、例えば、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられる。有機充填材としては、例えば、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
結晶核材は、無機結晶核材、有機結晶核剤いずれでもよい。無機結晶核材としては、例えば、カオリンが挙げられる。有機結晶核材としては、例えば、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、およびそれらの共重合体が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)とを、さらには必要に応じてロジン(D)や各種添加物を、一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混錬機、ブラベンダー等を用いて溶融混練することにより製造することができる。このとき、混練状態を良好とするため、二軸押出機を用いることが好ましい。また、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも好ましい。原料は、ぞれぞれ、ホッパーから、または、サイドフィーダーから添加してもよい。また、熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)、熱可塑性樹脂(A)と表面処理されたアルミニウム粉(C)、熱可塑性樹脂(A)とロジン(D)等からそれぞれマスターバッチを作製し、それらを成形加工時に熱可塑性樹脂(A)で希釈して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出成形、トランスファー成形、シート成形等の通常公知の溶融成形法を用いて所望の形状に成形して成形品とすることができる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品の具体例としては、例えば、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;放熱シートやヒートシンク、ファン等の電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材;ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク(登録商標)、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器部品、分離爪、ヒータホルダー等の複写機;印刷機関連部品、インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品、自動車用機構部品;エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;航空機;宇宙機;宇宙機器用部品;センサー類部品が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
A.評価方法
(1)相対粘度
96%硫酸に溶解し、濃度1g/dLの試料溶液を作製した。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度で試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いて相対粘度を求めた。
相対粘度=(試料溶液の落下時間)/(溶媒のみの落下時間)
(2)ポリ乳酸の重量平均分子量
示差屈折率計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、分子量はポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として換算した。
(3)密度
電子比重計(京都電子工業社製)を用いて、温度20℃で測定した。
(4)ロジンの酸価
JIS K 5902に準拠して、測定した。
(5)ロジンの軟化温度
JIS K 7206:1999に準拠して、測定した。
(6)バーフロー流動長
十分に乾燥した樹脂組成物を、幅20mm、厚さ1mmのバーフロー試験金型(スパイラル状)を取り付けた射出成形機(日精樹脂工業社製:NEX110−12E)を用いて10回射出成形して、その平均値を求めた。シリンダー温度、金型温度は、表1のバーフロー流動長の欄に記載の温度とし、射出圧力は150MPaとした。
(7)曲げ強さ、曲げ弾性率
十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製:NEX110−12E)を用いて10回射出成形して、成形片を作製した。シリンダー温度、金型温度は、表1の成形条件の欄に記載の温度とし、射出圧力は220MPaとした。
得られた成形片を用いて、ISO規格178に準拠して測定した。
(8)熱伝導率
熱伝導率λは、熱拡散率α、密度ρおよび比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/m・K)
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(g/m
Cp:比熱(J/g・K)
熱拡散率αは(7)で作製した曲げ試験片の樹脂流れ方向について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工社製)を用いて、レーザーフラッシュ法にて測定した。
密度ρは電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて測定した。
比熱Cpは示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
B.原料
本発明の実施例と比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)熱可塑性樹脂(A)
・PA6:ポリアミド6(相対粘度2.6、密度1.13g/cm
・PA66:ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合によって得られるポリアミド66樹脂(相対粘度2.8、密度1.14g/cm
・PLA:ポリ乳酸、重量平均分子量190,000、密度1.25g/cm
・PP:ポリプロピレン、日本ポリプロ社製MA1B、密度0.9g/cm
(2)黒鉛系熱伝導性充填材(B)
・GrA:鱗片状黒鉛(日本黒鉛工業社製F#2、平均粒径130μm、熱伝導率100W/m・K、密度2.25g/cm
・GrB:鱗片状黒鉛(日本黒鉛工業社製CB150、平均粒径40μm、熱伝導率100W/m・K、密度2.25g/cm
(3)表面処理されたアルミニウム粉(C)
・C−1:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM100−BP」(平均粒子径10μm、平均厚み0.2μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−2:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM050−AP」(平均粒子径5μm、平均厚み0.1μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−3:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM350−BP」(平均粒子径35μm、平均厚み0.4μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
(4)ロジン(D)
・D1:マレイン化ロジン(荒川化学工業社製、マルキードNo.31、酸価188mgKOH/g、軟化温度141℃)
・D2:マレイン化ロジン(荒川化学工業社製、マルキードNo.32、酸価138mgKOH/g、軟化温度134℃)
・D3:マレイン化ロジン(荒川化学工業社製、マルキードNo.8、酸価38mgKOH/g、軟化温度133℃)
(5)その他充填材
・GF:ガラス繊維(オーウェンスコーニング社製JAFT692、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm)
・CB:カーボンブラック(三菱ケミカル社製MA600)
・TiO:酸化チタン(石原産業社製PC−3)
・AL:表面処理されていないアルミニウム粉(東洋アルミニウム社製TFH−A10P)
実施例1
ポリアミド6樹脂(PA6)55質量部と黒鉛(GrA)40質量部を軸押出機(東芝機械製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに供給し、260℃で溶融した。途中サイドフィーダーより、表面処理されたアルミニウム粉(C)5質量部を供給し、十分に溶融混練しストランド状に押出して冷却固化した後、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
実施例2〜18、比較例1〜13
樹脂組成、混錬条件を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂組成物のペレットを得た。なお、表面処理されたアルミニウム粉(C)、表面処理されていないアルミニウム粉およびガラス繊維は、途中サイドフィーダーにより供給し、それ以外の原料はドライブレンドして主ホッパーより供給した。
比較例14
樹脂組成、混錬条件を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂組成物のペレットを得ようとしたが、流動性が高すぎて、樹脂組成物のペレットを得ることができなかった。
実施例1〜18の樹脂組成物は、本発明の要件を満たしていたため、成形時の流動方向の熱伝導率を維持しつつも、厚み方向の熱伝導率にも優れていた。
ポリアミド樹脂(A)/黒鉛系熱伝導性充填材(B)の質量比率が同一である実施例1〜11の樹脂組成物と比較例1の樹脂組成物を対比すると、表面処理されたアルミニウム粉(C)を含有する実施例1〜5の樹脂組成物の方が、(C)を含有していない比較例1の樹脂組成物よりも、成形時の流動方向の熱伝導率を維持しつつ、厚み方向の熱伝導率が高くなっていることがわかる。
同様に、ポリアミド樹脂(A)/黒鉛系熱伝導性充填材(B)の質量比率が同一である実施例12と比較例6、実施例13と比較例7、実施例14と比較例8、実施例15と比較例9、実施例16と比較例10、実施例17と比較例11、実施例18と比較例12を対比すると、表面処理されたアルミニウム粉(C)を含有する実施例の樹脂組成物の方が、(C)を含有していない比較例の樹脂組成物よりも、成形時の流動方向の熱伝導率を維持しつつ、厚み方向の熱伝導率が高くなっていることがわかる。
実施例6〜11の樹脂組成物は、ロジンを配合していたため、実施例1の樹脂組成物よりもバーフロー流動長が長かった。
比較例2、3の樹脂組成物は、一般的な着色剤であるカーボンブラックや酸化チタンを配合したため、比較例1と対比して、厚み方向の熱伝導率が向上しなかった。
比較例4の樹脂組成物は、表面処理されていないアルミニウム粉を配合したため、比較例1と対比して、厚み方向の熱伝導率が向上しなかった。
比較例5の樹脂組成物は、表面処理したアルミニウム粉を配合したものの、配合量が少なかったため、比較例1と対比して、厚み方向の熱伝導率が向上しなかった。
比較例13の樹脂組成物は、(A)と(B)の合計に対する(B)の割合が35質量%未満であったため、成形品の熱伝導性が低かった。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)とを含有し、
    (A)と(B)の質量比率(A/B)が25/75〜80/20であって、
    (C)の含有量が、(A)〜(C)の合計に対して1質量%以上である熱伝導性樹脂組成物。
  2. さらに、ロジン(D)を、熱可塑性樹脂(A)と黒鉛系熱伝導性充填材(B)と表面処理されたアルミニウム粉(C)の合計100質量部に対して0.5〜5質量部含有する請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 熱伝導性充填材(B)が、黒鉛であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂である請求項1〜3いずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物からなる成形品。
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WO2022158600A1 (ja) * 2021-01-25 2022-07-28 積水テクノ成型株式会社 樹脂組成物及び樹脂成形体

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