JP2020176237A - カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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拓 竹内
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Atsuya Komori
篤也 小森
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Nobuaki Suzuki
宣暁 鈴木
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Abstract

【課題】追加積層の際の接着性を高めることができるカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を提供すること。【解決手段】カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、(A)水添ビスフェノールA骨格ジグリシジルエーテルと、(B)シランカップリング剤と、(C)カチオン重合開始剤と、(D)コアシェル型有機微粒子と、を含む。前記(B)成分は、(b1)エポキシ基を有するシランカップリング剤、及び/又は、(b2)イソシアヌレート環を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい。前記(C)成分は、(c1)光カチオン重合開始剤、及び(c2)熱カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本開示はカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物に関する。
近年、繊維強化複合材料は、自動車・鉄道等の車両分野、航空宇宙分野、船舶マリン分野、スポーツ・レジャー分野等で広く利用されている。繊維強化複合材料は、繊維材料と、マトリックス樹脂とから成る。特許文献1、2に、マトリックス樹脂が開示されている。
特開2015−193830号公報 特開2017−155067号公報
特許文献1、2に記載のマトリックス樹脂を用いた場合、追加積層の際の接着性が低かった。追加積層の際の接着性とは、硬化した第1の繊維強化複合材料の上に、未硬化の第2の繊維強化複合材料を積層したときの、第1の繊維強化複合材料と第2の繊維強化複合材料との接着性を意味する。
本開示の1つの局面は、追加積層の際の接着性を高めることができるカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本開示の1つの局面は、(A)水添ビスフェノールA骨格ジグリシジルエーテルと、(B)シランカップリング剤と、(C)カチオン重合開始剤と、(D)コアシェル型有機微粒子と、を含むカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物である。
本開示の1つの局面であるカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を用いれば、追加積層の際の接着性を高めることができる。
本開示の例示的な実施形態について説明する。
1.(A)水添ビスフェノールA骨格ジグリシジルエーテル
本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、(A)水添ビスフェノールA骨格ジグリシジルエーテル(以下、(A)成分とする)を含む。
(A)成分は、ビスフェノールA骨格のジグリシジルエーテルに水素添加したものである。(A)成分は、光カチオン重合開始剤によって開環し、架橋構造となるエポキシ基を1分子中に2つ有している。(A)成分は、芳香環に水素添加していることにより耐候性に優れる。また、(A)成分は、低粘度で透明性が高い。
(A)成分は、例えば、本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の主要構成樹脂である。(A)成分は、水素添加されていないビスフェノールA骨格のジグリシジルエーテルに比べて、硬化性が優れている。(A)成分は、その他の脂環式エポキシに比べて、炭素繊維との接着性が優れている。
(A)成分の主骨格部分は変性されていてもよい。変性の態様として、例えば、(ポリ)エチレンオキサイド変性、脂肪鎖変性等が挙げられる。(A)成分は、単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。(A)成分として、無変性の水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。無変性の水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルは、硬化性や強度の点で優れる。
(A)成分の市販品として、例えば、リカレジンHBE−100(商品名:新日本理化社製)、エポライト4000(商品名:共栄社化学社製)、YX−8000(商品名:三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
(A)成分の配合量は、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物における全固形分(以下では単に全固形分ともいう)の50質量%以上、85質量%以下が好ましく、60質量%以上、83質量%以下がさらに好ましい。(A)成分の配合量が50質量%以上である場合、光照射したときのカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化性が一層高くなる。(A)成分の配合量が85質量%以下である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の流動性及び含浸性が一層高くなる。
2.(B)シランカップリング剤
本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、(B)シランカップリング剤(以下、(B)成分とする)を含む。
(B)成分は、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物と強化繊維との接着力を向上させる。本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を用いて、例えば、FRP硬化物を製造することができる。(B)成分は、FRP硬化物の強度を向上させる。
(B)成分として、例えば、(b1)エポキシ基を有するシランカップリング剤(以下、(b1)成分とする)、(b2)イソシアヌレート環を有するシランカップリング剤(以下、(b2)成分とする)等が挙げられる。(b1)成分、及び/又は、(b2)成分を使用する場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の接着力が顕著に向上する。
(b1)成分として、エポキシ基が単官能である(b1)成分がある。エポキシ基が単官能である(b1)成分として、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
(b1)成分として、エポキシ基が多官能である(b1)成分がある。エポキシ基が多官能である(b1)成分は、例えば、エポキシ基が単官能である(b1)成分をシロキサン結合で連結した構造を有する。(b1)成分は、単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(b1)成分として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシ基が多官能である(b1)成分が好ましい。3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用した場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物が低粘度になる。エポキシ基が多官能である(b1)成分を使用した場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化後の架橋密度が上がり、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物のガラス転移点が高くなる。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの市販品として、例えば、KBM−403(商品名:信越化学工業社製)が挙げられる。エポキシ基が多官能である(b1)成分の市販品として、例えば、CoatSil MP200(商品名:モメンティブ社製)等が挙げられる。
(b2)成分は、高温下での安定性が高い。また、(b2)成分は、1分子中に3つのアルコキシル基をもつため、基材に対するカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の接着力を一層高くする。
(b2)成分として、例えば、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。(b2)成分は、単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(b2)成分として、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが好ましい。トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを使用した場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化性が一層高くなる。トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートの市販品として、例えば、KBM−9659(商品名:信越化学工業社製)、SILQUEST Y−19020(商品名:モメンティブ社製)等が挙げられる。
(B)成分の配合量は、全固形分の1質量%以上、15質量%以下が好ましく、3質量%以上、10質量%以下がさらに好ましい。(B)成分の配合量が上記の範囲内である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物と強化繊維との接着力が一層高くなる。
3.(C)カチオン重合開始剤
本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、(C)カチオン重合開始剤(以下、(C)成分とする)を含む。
(C)成分として、例えば、(c1)光カチオン重合開始剤(以下、(c1)成分とする)、及び(c2)熱カチオン重合開始剤(以下、(c2)成分とする)が挙げられる。本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、(c1)成分及び(c2)成分を含むことが好ましい。(c1)成分及び(c2)成分を含む場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化性が一層高くなる。
(c1)成分は、可視光線、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射によってカチオンイオンを発生する開始剤である。(c1)成分は、例えば、アンチモン、リン、イオウ、窒素、ヨウ素の芳香族有機原子陽イオンと陰イオンの付加物である。(c1)成分として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩等が挙げられる。(c1)成分は、単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(c1)成分として、芳香族スルホニウム塩が好ましい。芳香族スルホニウム塩を使用した場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化速度が向上する。芳香族スルホニウム塩の市販品として、例えば、CPI−110P(商品名:サンアプロ社製)等が挙げられる。
(c1)成分の配合量は、全固形分の0.1質量%以上、5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、3質量%以下であることがより好ましい。(c1)成分の配合量が0.1質量%以上である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化性が一層高くなる。(c1)成分の配合量が5質量%以下である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の保存安定性が一層高くなる。
(c2)成分は、加熱によってカチオンイオンを発生する開始剤である。(c2)成分として、例えば、窒素のオニウム塩、イオウのオニウム塩、リンのオニウム塩、ヨードのオニウム塩等が挙げられる。窒素のオニウム塩、イオウのオニウム塩、リンのオニウム塩、ヨードのオニウム塩等の陰イオン成分として、例えば、SbF 、SbF 、AsF 、PF 等が挙げられる。窒素のオニウム塩、イオウのオニウム塩、リンのオニウム塩、ヨードのオニウム塩等は、(c1)成分としても用いることができる。
(c2)成分として、例えば、4級アンモニウム塩型化合物、スルホニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化合物、ヨードニウム塩型化合物等がある。(c2)成分は、単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(c2)成分として、ヘキサフルオロアンチモン酸の4級アンモニウム塩型化合物が好ましい。ヘキサフルオロアンチモン酸の4級アンモニウム塩型化合物を使用した場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の低温硬化性が一層向上する。ヘキサフルオロアンチモン酸の4級アンモニウム塩型化合物の市販品として、例えば、CXC−1612(商品名:KING INDUSTRIES社製)等が挙げられる。
(A)成分に対する(c2)成分の溶解性が低い場合は、(c2)成分を一旦溶剤に溶かしてから配合することが好ましい。溶剤として、例えば、γブチロラクトン等が挙げられる。なお、溶剤は、(c2)成分の良溶媒であり、(A)成分を含む他の成分との相溶性が良好であれば特に限定されず、γブチロラクトン以外の溶媒であってもよい。
(c2)成分の配合量は、(C)成分100質量部に対し、0.5質量部以上、8質量部以下が好ましく、1質量部以上、5質量部以下がより好ましい。(c2)成分の配合量が0.5質量部以上である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化性が一層高くなる。(c2)成分の配合量が8質量部以下である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の保存安定性が一層高くなる。
(c1)成分と(c2)成分との合計配合量は、全固形分の1質量%以上、10質量%以下が好ましく、3質量%以上、8質量%以下がさらに好ましい。(c1)成分と(c2)成分との合計配合量が1質量%以上である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化性が一層高くなる。(c1)成分と(c2)成分との合計配合量が8質量%以下である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の保存安定性が一層高くなる。
(c1)成分の配合量よりも(c2)成分の配合量が多いことが好ましい。(c1)成分の配合量よりも(c2)成分の配合量が多い場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の低温硬化性が高くなる。また、(c1)成分の配合量よりも(c2)成分の配合量が多い場合、未反応物残留が減少する。
4.(D)コアシェル型有機微粒子
本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、(D)コアシェル型有機微粒子(以下、(D)成分とする)を含む。
(D)成分は、硬化物の硬化収縮を低減する効果と、硬化物の残存応力を緩和させる効果とを奏する。本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、例えば、立体成形物の製造に使用できる。(D)成分は、立体成形物の造形精度を向上させる効果を奏する。本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、例えば、FRPの製造に使用できる。(D)成分は、FRPの強度を向上させる効果を奏する。
(D)成分は、例えば、軟質の弾性コアと硬質の熱可塑性シェルとから構成される。(D)成分は、例えば、グラフト共重合により製造することができる。(D)成分として、例えば、スチレン/ブタジエン系、アクリル系、シリコーン系等が挙げられる。(D)成分は、単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(D)成分として、アクリル系が好ましい。アクリル系の(D)成分を使用する場合、(D)成分の相溶性が高い。アクリル系の(D)成分を使用する場合、コアシェル構造ではないアクリル粒子を使用する場合に比べて、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化物上に未硬化物を追加積層するときの硬化物の強度が高くなる。
(D)成分の平均粒子径は、100nm以上、1000nm以下が好ましく、200nm以上、800nm以下がさらに好ましい。(D)成分の平均粒子径が100nm以上である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化物の強度が一層高くなる。
(D)成分の平均粒子径が1000nm以下である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化物の表面が、凹凸感のないフラットな表面となる。なお、(D)成分の平均粒子径は、大塚電子製の濃厚系粒粒径アナライザ−FPAR−1000を用い、動的光散乱法により測定した値である。
(D)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計配合量の10質量%以上、40質量%以下が好ましく、12質量%以上、30質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上、25質量%以下が特に好ましい。
(D)成分の配合量が10質量%以上である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化物における硬化収縮を低減することができ、硬化物の残存応力を緩和させることができる。(D)成分の配合量が40質量%以下である場合、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化物の強度が一層高くなる。
5.他の成分
本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、例えば、(A)〜(D)成分に加えて、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の性能を大きく損なわない範囲で、必要により、光増感剤、重合性モノマー、粘着付与剤、充填剤、レベリング剤、消泡剤、硬化促進剤、酸化防止剤、着色剤、増粘剤、難燃剤、安定剤等を含んでいてもよい。
光増感剤として、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体等が挙げられる。アントラセン誘導体及びピレン誘導体は、光の吸収波長域を広げ、重合反応を促進させる。
光増感剤の配合量は、(c1)成分の配合量の20質量%以下とすることが好ましい。市販の光増感剤として、例えば、UVS−581、UVS−1331(商品名:川崎化成工業社製)等が挙げられる。
6.カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の用途
本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、例えば、強化繊維の含浸用樹脂として使用することができる。本開示のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、例えば、以下のように使用できる。
カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を、炭素繊維等の強化繊維に含浸する。次に、活性エネルギー線の照射により、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を一旦仮硬化させる。次に、加熱により、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を本硬化させる。その結果、繊維強化複合材料が得られる。
カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物のうち、活性エネルギー線の照射を受けない部分は、光カチオン重合による反応熱によって活性化されることで、熱カチオン重合を開始する。仮硬化の後、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を加熱することで、より確実に重合反応を進めることができる。
活性エネルギー線として、例えば、可視光線、紫外線、電子線等が挙げられる。活性エネルギー線として、紫外線が好ましい。活性エネルギー線の光源として、例えば、紫外線レーザー、水銀ランプ、キセノンランプ、アルカリ金属ランプ等が挙げられる。活性エネルギー線の光源として、レーザーが好ましい。レーザーは、集光性が良好である。
仮硬化後の加熱の条件は特に限定されない。仮硬化後の加熱の条件は、樹脂の含浸比率等に応じて適宜設定できる。仮硬化後の加熱の温度は低いことが好ましい。仮硬化後の加熱の時間は短いことが好ましい。
仮硬化後の加熱の温度は、例えば、80℃以上、180℃以下であり、130℃以上、150℃以下が好ましい。仮硬化後の加熱の時間は、例えば、0.5時間以上、5時間以下であり、1時間以下が好ましい。
強化繊維として、例えば、無機繊維、有機繊維が挙げられる。無機繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、ボロン繊維等が挙げられる。有機繊維として、例えば、アラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)繊維、ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエステル繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、変性ポリフェニレンエーテル繊維等が挙げられる。これらの繊維を単独で、又は、複数種を混入したハイブリッドの形態で使用することができる。強化繊維として、炭素繊維が好ましい。炭素繊維は、入手及び取り扱いが容易である。
炭素繊維は、アクリル繊維又はピッチから成る原料を炭化した繊維である。ピッチは、石油、石炭、コールタール等の副生成物である。炭素繊維は、軽量で高強度という特徴を持つ。炭素繊維は、例えば、サイジング剤で収束された千本以上もの単繊維で構成されている。
アクリル繊維から成る原料を炭化した炭素繊維を、アクリル系炭素繊維とする。ピッチから成る原料を炭化した炭素繊維を、ピッチ系炭素繊維とする。アクリル系炭素繊維を構成する単繊維の太さは、例えば、5μm以上、7μm以下である。ピッチ系炭素繊維を構成する単繊維の太さは、例えば、7μm以上、10μm以下である。
強化繊維は、連続繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。短繊維として、例えば、チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。強化繊維が連続繊維である場合、例えば、織布や、複数の繊維を一方向に引き揃えた繊維束等の形態を有する強化繊維に、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を含浸することができる。強化繊維が短繊維である場合、例えば、不織布の形態を有する強化繊維にカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を含浸することができる。また、強化繊維が短繊維である場合、例えば、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物に強化繊維を配合することができる。
繊維強化複合材料における繊維体積含有率(以下、Vfとする)は、30%以上、70%以下が好ましく、40%以上、60%以下がさらに好ましい。繊維体積含有率が上記範囲内である場合、繊維強化複合材料の硬化性、強度、寸法精度が優れている。
7.実施例
(7−1)カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の製造
表1に示す成分を表1に示す配合量だけ、遮光ビンに入れた。次に、撹拌脱泡器を用いて均一になるまで撹拌することで、実施例1〜7及び比較例1〜5のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を製造した。
Figure 2020176237
表1において「A」の行に記載されている成分は(A)成分である。表1において「B」の行に記載されている成分は(B)成分である。表1において「C」の行に記載されている成分は(C)成分である。表1において「D」の行に記載されている成分は(D)成分である。表1における配合量の単位は質量部である。
表1に記載されている成分の内容は以下のとおりである。
YX−8000(商品名:三菱ケミカル社製)は、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
KBM−403(商品名:信越化学工業社製)は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
KBM−9659(商品名:信越化学工業社製)は、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。
MP200(商品名:モメンティブ社製)は、多官能エポキシシランオリゴマーである。
CPI−110P(商品名:サンアプロ社製)は、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファートである。CPI−110Pは(c1)成分に対応する。
CXC−1612(商品名:KING INDUSTRIES社製)は、ヘキサフルオロアンチモン酸の4級アンモニウムである。CXC−1612は(c2)成分に対応する。
F351(商品名:アイカ工業社製)は、コアシェル型アクリル樹脂である。F351の平均粒子径は300nmである。
AC−3355(商品名:アイカ工業社製)は、コアシェル型アクリル樹脂である。AC−3355の平均粒子径は500nmである。
DBA(ジブトキシアントラセン)は増感剤である。
γブチロラクトンは、(c2)成分の溶剤である。
JER−828(商品名:三菱ケミカル社製)は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。JER−828は、(A)成分に該当しないエポキシ樹脂に対応する。
Cel2021P(商品名:ダイセル社製)は、3‘、4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。Cel2021Pは、(A)成分に該当しないエポキシ樹脂に対応する。
GB50S(商品名:アイカ工業社製)は、非コアシェル型のアクリル系微粒子である。GB50Sの平均粒子径は5μmである。
各実施例及び各比較例における全固形分の質量は、表1における「合計配合量」から、γブチロラクトンの質量を差し引いた値である。
(7−2)カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の評価
各実施例及び各比較例のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物について、以下の評価を行った。
<試験片の作成>
幅20mmの炭素繊維束に、Vfが50%となるようにカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を含浸させ、第1の試験片を作成した。炭素繊維束は、トウシートC1−30(商品名:日鉄ケミカル&マテリアル社製)であった。
<仮硬化性の評価>
パナソニック製UV LED照射機AicureUD40を用い、第1の試験片に対し、波長が365nmの紫外光を照射した。紫外光の照度は1500mW/cmであった。紫外光の照射時間は5秒間であった。紫外光の照射後、評価者が第1の試験片の表面を指で触った。タックが無ければ、仮硬化性の評価結果を「○」とした。タックがあれば、仮硬化性の評価結果を「×」とした。評価結果を表2に示す。
Figure 2020176237
<剥離試験>
紫外線の照射後、第1の試験片の上に未硬化の第2の試験片を重ね置いた。第2の試験片は、樹脂が未硬化である点を除き、第1の試験片と同様である。次に、150℃のオーブンで1時間加熱した。次に、ミネベア製の引っ張り試験機TGI−1kNを用い、クロスヘッドスピード10mm/minの条件で、第1の試験片及び第2の試験片に対しT字剥離を行った。次に、破断モードを目視で評価した。基材破壊した場合、剥離試験の評価結果を「○」とした。界面剥離した場合、剥離試験の評価結果を「×」とした。評価結果を上記表2に示す。剥離試験は、追加積層の際の接着性を評価するための試験である。
<評価結果>
各実施例では、各評価結果はいずれも良好であった。一方、(D)成分を配合していない比較例1、(B)成分を配合していない比較例2、(D)成分の代わりに非コアシェル型微粒子を配合した比較例3、及び(A)成分の代わりに脂環式エポキシを配合した比較例5では、剥離試験の結果が「×」であった。
また、(A)成分の代わりにビスフェノールA型エポキシを配合した比較例4では、仮硬化性の評価結果が「×」であった。比較例4では、第1の試験片及び第2の試験片が未硬化であったため、剥離試験を行えなかった。
8.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
(2)上述したカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の他、当該カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を構成要素とする製品、カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の製造方法、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。

Claims (6)

  1. (A)水添ビスフェノールA骨格ジグリシジルエーテルと、(B)シランカップリング剤と、(C)カチオン重合開始剤と、(D)コアシェル型有機微粒子と、を含むカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物であって、
    前記(B)成分は、(b1)エポキシ基を有するシランカップリング剤、及び/又は、(b2)イソシアヌレート環を有するシランカップリング剤を含むカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物であって、
    前記(C)成分は、(c1)光カチオン重合開始剤、及び(c2)熱カチオン重合開始剤を含むカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物であって、
    前記(D)成分の配合量は、前記カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物における全固形分の10質量%以上、40質量%以下であるカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物であって、
    強化繊維の含浸用樹脂であるカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載のカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物であって、
    前記強化繊維は炭素繊維であるカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物。
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JP7442992B2 (ja) 2019-07-25 2024-03-05 株式会社カネカ 積層体および積層体の製造方法

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