JP6913399B2 - 熱硬化性樹脂組成物、繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、材料の耐着火性の判定基準を定めた国土交通省令第151号第5節車両の火災対策等第83条(本明細書では、「省令第83条」という)に準拠した鉄道車両用材料燃焼試験(以下、単に「鉄道車両用材料燃焼試験」という)において、評価が「不燃性」または「極難燃性」である繊維強化樹脂複合材料に好適に用いることができる熱硬化性樹脂組成物及び繊維強化樹脂複合材料、並びに、該繊維強化樹脂複合材料の製造方法に関する。
軽量性と耐炎性が要求される航空機用や鉄道車両用の部材としては、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とした炭素繊維系複合材料が一般に広く使用されている。これまで、上記の「省令第83条」による燃焼試験の区分で「不燃性」となる材料としては、炭素繊維基材あるいはガラス繊維基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化樹脂複合材料が知られている(例えば、特許文献1〜5)。
特許文献1〜3では、高熱伝導性ピッチ系炭素繊維基材に、エポキシ樹脂あるいは難燃性ビニルエステル樹脂を含浸させた、炭素繊維強化プラスチック(CFRP);特許文献4では、ガラスロービングに、不飽和ポリエステル樹脂(樹脂100重量部(以下、「部」と省略する)に対し170〜300部の水酸化アルミニウムを配合)を含浸させ、加熱硬化させた引抜成形品;特許文献5では、引揃えた炭素繊維に、エポキシ樹脂組成物(樹脂100部に対し10〜30部の金属酸化物と3〜30部のガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂を配合)から作製したフィルムを圧着させたプリプレグ;が報告されている。
熱硬化性樹脂として、ベンゾオキサジン環を有する化合物(以下、ベンゾオキサジン樹脂という)を配合して「不燃性」材料にすることも報告されている(例えば、特許文献6〜11)。このベンゾオキサジン樹脂は、フェノール類とアミン類から合成され、硬化後の構造が難燃性の高いフェノール樹脂と類似した構造であるため、難燃性が期待されている樹脂である。
しかしながら、ベンゾオキサジン樹脂は一般に硬化性が低く、炭素繊維と組み合わせてプリプレグとした際に粘度が高いため粘着性(タック性)が劣る欠点がある。ベンゾオキサジン樹脂にエポキシ樹脂を配合することにより取扱性は向上するが、反面、組成物の難燃性が低下する課題がある。
特許文献6は、ビスフェノールA−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂70部に、ビスフェノールF−グリシジルエーテル型エポキシ樹脂30部を配合した樹脂組成物は、鉄道車両用材料燃焼試験による評価が「極難燃性」であるが、さらにリン酸エステルを配合することで評価が「不燃性」になることを開示している。
樹脂組成物の難燃性を向上させるためベンゾオキサジン樹脂を主剤として用いた、タック性良好な組成物も知られている(例えば、特許文献7〜11)。
特許文献7では、ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂100部に、液状エポキシ樹脂10部と固形エポキシ樹脂20部を配合すること;特許文献8では、ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂100部に、ガラス転移温度が25℃以下のマトリックス樹脂(エポキシ樹脂)100部とビニルホルマール樹脂等の熱可塑性樹脂5部を配合すること;特許文献9では、ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂100部に、オキセタン化合物5〜11部を配合すること;特許文献10では、ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂100部に、液状エポキシ樹脂18部と、アクリル系微粒子等の靭性向上剤12部を配合すること;が提案されている。
さらに、ベンゾオキサジン樹脂組成物を含む樹脂組成物の熱膨張係数及び吸水率を低下させ熱伝導率を向上させるために無機充填材を配合する例も知られている。例えば、特許文献11では、シクロペンタジエン型ベンゾオキサジン樹脂100部に、エポキシ樹脂23部、リン系難燃剤18部、球状シリカ粉末67部を配合することが提案されている。
特開平8−118527号公報 特開2005−014449号公報 特開2014−205932号公報 特開2019−006852号公報 特開平11−147965号公報 特開2003−020410号公報 特開2008−094961号公報 特開2008−214547号公報 特開2009−120780号公報 WO2010/092723号公報 特表2016−536403号公報
しかしながら、上記の特許文献1、2、5には、水酸化アルミニウムを配合することに関する記載がない。特許文献3、6、7、9、11には、ベンゾオキサジン樹脂組成物に、難燃剤として水酸化アルミニウムを配合しても良いことが記載されているが配合量は記載されていない。
一方、特許文献4には、不飽和ポリエステル樹脂(常温で粘稠体)に多量の水酸化アルミニウムを配合することで不燃性になることが記載されているが、成形品の厚みが3.5mm以上と厚く、軽量化できていない。
また、特許文献8(実施例5)には、タック性が良好で、UL94規格でV−0評価を示す繊維強化樹脂複合材料が記載されているが、液状エポキシ樹脂とベンゾオキサジン樹脂を84/16(重量比)で配合した混合物に水酸化アルミニウムを約10重部配合しており、ベンゾオキサジン樹脂を主剤とする組成物にはなっていない。
特許文献10(実施例3)には、ベンゾオキサジン樹脂(主剤)と液状エポキシ樹脂を含む組成物が、タック性の良いことが記載されているだけであり、難燃性のレベルは不明である。
したがって、鉄道車両用材料燃焼試験による評価で「不燃性」であり、かつ軽量化可能な繊維強化樹脂複合材料は報告されていない。
本発明の課題は、優れた難燃性を発現し、かつ、タック性及び取扱性に優れたベンゾオキサジン樹脂組成物、該組成物を用いた繊維強化樹脂複合材料、並びに、該繊維強化樹脂複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ベンゾオキサジン樹脂を主剤とする硬化性樹脂とそれを超える量の吸熱フィラーとを含むベンゾオキサジン樹脂組成物が、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(A)ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、(B)ヒドロキシメチル基を有する微粒子状フェノール樹脂、(C)液状エポキシ樹脂及び(D)吸熱フィラーを含むベンゾオキサジン樹脂組成物であって、
前記(A)、(B)及び(C)の合計重量に対して、(A)を50〜85重量%、(B)を5〜20重量%、(C)を10〜45重量%含み、
前記(D)を、(A)、(B)及び(C)の合計重量の1.1〜3.0倍重量含む、
ことを特徴とするベンゾオキサジン樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、(A)ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、(C)液状エポキシ樹脂及び(D)吸熱フィラーを含むベンゾオキサジン樹脂組成物であって、
前記(C)液状エポキシ樹脂が、常温(25℃)において粘度が300cp未満のエポキシ系反応性希釈剤と、グリシジル基を複数個有する多官能エポキシ樹脂とからなり、
前記(A)及び(C)の合計重量に対して、(A)を55〜90重量%、(C)を10〜45重量%含み、
前記(D)を、(A)及び(C)の合計重量の1.1〜3.0倍重量含む、
ことを特徴とするベンゾオキサジン樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記ベンゾオキサジン樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグを提供する。
また、本発明は、前記ベンゾオキサジン樹脂組成物の硬化物と繊維基材からなる繊維強化樹脂複合材料を提供する。この繊維強化樹脂複合材料は、鉄道車両用材料燃焼試験における燃焼性規格の区分「不燃性」または「極難燃性」の判定基準を満たすものとなり得る。
また、本発明は、繊維基材の少なくとも片面に、前記のベンゾオキサジン樹脂組成物からなるフィルムを配置し、加熱及び加圧してプリプレグを作製した後、前記プリプレグを複数枚積層し、積層体を加熱及び加圧することを特徴とする繊維強化樹脂複合材料の製造方法を提供する。
本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物は、硬化性樹脂の主成分がベンゾオキサジン樹脂であるため、該組成物と繊維基材との複合材料に対して、難燃性、低吸水性、高弾性率の優れた特性を与えることができる。また吸熱フィラーを硬化性樹脂よりも多く含むため、複合材料の温度上昇を抑制できる。その結果、ベンゾオキサジン樹脂組成物と繊維基材とを複合化することで、薄型かつ鉄道車両用材料燃焼試験における評価が「不燃性」または「極難燃性」である繊維強化樹脂複合材料を提供できる。
さらに、本発明によれば、難燃剤としてのハロゲンやリンを含有しないため、火災発生時に有毒ガス発生の危険性がなく、軽量で、表面平滑で、剛性が高く、航空機用部材あるいは車両用部材等として好適な繊維強化樹脂複合材料を提供できる。
鉄道車両用材料燃焼試験における燃焼性規格の試験方法を説明する図である。 3点曲げ試験前後の試験片の外観写真である。 3点曲げ試験結果を示す曲げ応力−曲げひずみ線図である。
本発明(第1発明)のベンゾオキサジン樹脂組成物は、(A)ベンゾオキサジン樹脂、(B)微粒子状フェノール樹脂、(C)液状エポキシ樹脂及び(D)吸熱フィラーを必須成分として含む組成物である。
本発明(第2発明)のベンゾオキサジン樹脂組成物は、(A)ベンゾオキサジン樹脂、(C)液状エポキシ樹脂及び(D)吸熱フィラーを必須成分として含む組成物である。当該組成物は、微粒子状フェノール樹脂等のフェノール樹脂を含まない組成物である。
[ベンゾオキサジン樹脂]
本発明(第1発明及び第2発明)において、好ましく用いることができる(A)成分のベンゾオキサジン樹脂は、構造式(I)で表わされる構造単位を分子内に1個以上有する化合物である。
Figure 0006913399
(式中、Rはハロゲン、または、炭素数1〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、フェニル基あるいは炭素数1〜12の鎖状アルキル基で置換されたフェニル基を示す。また、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している。)
上記一般式で表される構造式(I)において、Rは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、o−t−ブチルフェニル基、m−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、o−クロロフェニル基、及びo−ブロモフェニル基が挙げられる。これらの基の中で、良好な取扱性を与える観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、o−メチルフェニル基が好ましい。
本発明において、ベンゾオキサジン樹脂としては、取扱性及び硬化性が良好である点より、構造式(II)で表わされるモノマー、該モノマーが数分子重合したオリゴマー、該モノマーとは異なる構造を有するベンゾオキサジン環を有する化合物と該モノマーとの反応物が好ましく用いられる。あるいは、異なる構造を有するベンゾオキサジン樹脂を一緒に用いても良い。
ベンゾオキサジン樹脂は、開環重合の結果、フェノール樹脂と同様の骨格が生成されることにより優れた難燃性を有する。またその密な構造により、優れた動的特性及び高弾性に関わる優れた機械的特性、低吸水性が得られる。
Figure 0006913399
ベンゾオキサジン樹脂は、四国化成工業(株)、小西化学工業(株)、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社等より入手可能である。
第1発明のベンゾオキサジン樹脂組成物では、(A)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量に対して、50〜85重量%であり、より好ましくは60〜85重量%、さらに好ましくは65〜85重量%である。(A)成分を50重量%以上含有することにより、ベンゾオキサジン樹脂組成物を繊維基材に含浸させた際に、鉄道車両用材料燃焼試験による評価で「難燃性」の繊維強化樹脂複合材料を得ることができ、70重量%以上含有することにより、「極難燃性」あるいは「不燃性」の繊維強化樹脂複合材料を容易に得ることができる。また、(A)成分を85重量%以下で含有することにより、フェノール樹脂と併用することが可能となる。良好な硬化性と不燃性材料を得るための、(A)成分の特に好ましい含有量は70〜85重量%である。
第2発明のベンゾオキサジン樹脂組成物では、(A)成分の含有量は、(A)成分及び(C)成分の合計重量に対して、55〜90重量%であり、より好ましくは65〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。(A)成分を55重量%以上含有することにより、鉄道車両用材料燃焼試験による評価で「難燃性」の繊維強化樹脂複合材料を得ることができ、75重量%以上含有することにより「極難燃性」あるいは「不燃性」の繊維強化樹脂複合材料を容易に得ることができる。また、(A)成分を90重量%以下で含有することにより、エポキシ樹脂との併用で樹脂組成物の接着性や靭性を向上させることができる。良好な硬化性と不燃性材料を得るための、(A)成分の特に好ましい含有量は75〜90重量%である。
[フェノール樹脂]
一般的なフェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が挙げられるが、本発明においては、(B)成分としては、微粒子状フェノール樹脂を用いる。微粒子状フェノール樹脂は、高分子量で反応基が少ないためそのものの有害性が低い、反応時にガスの発生が少なく衛生面や環境面での問題が少ない、耐熱性及び難燃性が良好である、溶剤に溶解し易い等の利点がある。また、ベンゾオキサジン樹脂と併用することで、ベンゾオキサジン樹脂の硬化性を高めることができる。
本発明(第1発明)においては、(B)成分の微粒子状フェノール樹脂としては、ベルパール(エア・ウォーター・ベルパール(株)製、商品名)等を用いることができる。ここで、ベルパール(商品名)とは、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物からなる微粒子状のフェノール樹脂であって、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量が3000以上、また、特開平6−298888号公報に記載の1H−NMRによる測定に基づくフェノール核当量が110〜130、ベンゼン環1個当たりのメチレン結合の数が0.9〜1.2個、ベンゼン環1個当たりのヒドロキシメチル基の数が0.05〜0.20個のものである。このような、ヒドロキシメチル基を有する微粒子状フェノール樹脂は、特公昭62−30210号公報及び特公昭62−30211号公報にて開示されているように、反応系内の温度を所定温度以下に保った状態において、フェノール類を、塩酸と過剰のホルムアルデヒドとを含む塩酸−ホルムアルデヒド浴に接触させることにより製造される。
ヒドロキシメチル基を有する微粒子状フェノール樹脂は、平均粒径が1μm〜500μmのものが好ましい。平均粒径が1μm未満のものは入手困難であり、500μmを超えると、溶媒への溶解性が不良になることで樹脂組成物をフィルムにした際にフィルムに破れやピンホールが発生し、均質なプリプレグが得られなくなる恐れがある。ヒドロキシメチル基を有する微粒子状フェノール樹脂は、ヒドロキシメチル基がベンゾオキサジン樹脂と反応する。
ヒドロキシメチル基を有する微粒子状フェノール樹脂は、重量平均分子量が1500〜15000であることが好ましい。重量平均分子量は、1500以上であると硬化物の機械的特性が著しく低下することがなく、15000以下であると繊維基材に対する含浸性が著しく悪化することがない。
本発明においては、重量平均分子量が5000以上で、かつ煮沸メタノールへの溶解度が70重量%以上の微粒子状フェノール樹脂、具体的には、ベルパールS870、ベルパールS890、ベルパールS899(何れも商品名)が、特に有利に用いられる。
(B)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量に対して、5〜20重量%である。前記の範囲内で配合することにより、発煙が少ない繊維強化樹脂複合材料を得ることができる。(B)成分の含有量は、より好ましくは5〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。
[液状エポキシ樹脂]
本発明(第1発明及び第2発明)に用いる(C)成分の液状エポキシ樹脂は、常温(25℃)液状のエポキシ樹脂をいう。液状エポキシ樹脂は、(D)成分の吸熱フィラーを多量に配合した場合において、ベンゾオキサジン樹脂組成物の樹脂ワニスに所望の粘度と、工程紙にコーティング可能となるのに十分な流動性(ハンドリング性)を与える。また、樹脂フィルム、プリプレグにタック性を付与するためには、常温での粘着性が必要であり、接着性や靭性の向上にはエポキシ樹脂は多い方が好ましい。一方、硬化した組成物の発煙を少なくして、耐熱性、難燃性を損なわないために、できるだけ少量で使用される。
液状エポキシ樹脂としては、1官能性または多官能性のエポキシ系反応性希釈剤を用いることが好ましい。このエポキシ系反応性希釈剤は、硬化させるベンゾオキサジン樹脂組成物の粘度、濡れ性、含浸性等を変えるために使用される低粘度の液状エポキシ樹脂である。エポキシ系反応性希釈剤は、通常、室温(25℃)において粘度が約300cp未満のものが好ましく用いられる。
1官能性希釈剤としては、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、p−t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8−C10アルキルグリシジルエーテル、C12−C14アルキルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o−クレシルグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジエポキシド等;
2官能性希釈剤としては、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等;
3官能性希釈剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルパラアミノフェノール等;
が挙げられる。
エポキシ系反応性希釈剤は、1官能性希釈剤、2官能性希釈剤及び3官能性希釈剤から選択される1種または2種以上の混合物を用いることができる。1官能性反応性希釈剤と多官能性反応性希釈剤とを併用する場合、併用比は任意であるが、重量基準で4:1〜1:4の範囲で用いることが好ましい。エポキシ系反応希釈剤の中でも、2官能性もしくは3官能性の化合物が好ましく、2官能性の化合物が特に好ましい。
より好ましいエポキシ系反応性希釈剤は、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8〜C10−アルキルモノグリシジルエーテル、C12〜C14−アルキルモノグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビスグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル及びジシクロペンタジエンジエポキシドからなる群から選択される。
また、エポキシ系反応性希釈剤以外の常温液状のエポキシ樹脂を用いることができ、この常温液状のエポキシ樹脂としては、グリシジル基を複数個有する多官能エポキシ樹脂が好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いても良い。エポキシ系反応性希釈剤以外の常温液状のエポキシ樹脂は、室温(25℃)において粘度が約5000cp以下のものが好ましく用いられ、粘度が約3000cp以下のものがより好ましく用いられ、粘度が約1500cp以下のものが特に好ましく用いられる。上記液状エポキシ樹脂の中でも、比較的低粘度でベンゾオキサジン樹脂の分散性に優れている点で、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。該エポキシ樹脂と上記エポキシ系反応性希釈剤とを併用する場合、併用比は任意であるが、重量基準で1:1〜1:4の範囲で用いることが好ましい。
(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量に対して、10〜45重量%である。前記の範囲内で配合することにより、吸熱フィラーを多く配合した場合でもハンドリング性の良い樹脂ワニスを得ることができる。(C)成分の含有量は、より好ましくは10〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。
[吸熱フィラー]
本発明(第1発明及び第2発明)のベンゾオキサジン樹脂組成物は、(D)成分である吸熱フィラーを、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量の1.1〜3.0倍重量の範囲で含有する。(D)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量の1.1倍未満の場合は、硬化物に不燃性を付与することが困難になり、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量の3.0倍を超える場合は、吸熱フィラーを組成物中に分散させることが困難になる。(D)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量に対し、より好ましくは1.2〜2.5倍重量、さらに好ましくは1.4〜2.0倍重量、特に好ましくは1.6〜1.9倍重量である。
吸熱フィラーは、加熱により水が生成されるものであれば良いが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等から選ばれる1種または2種以上を好ましく用いることができ、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物には、耐熱性、機械的特性、外観等を向上させるために、充填材を添加しても良い。充填材としては通常無機質充填材が用いられ、例えば、カーボンブラック、黒鉛粉末、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、シリカ、焼成クレー、アルミナ等が挙げられる。とりわけ、後述する炭素繊維基材を用いた繊維強化樹脂複合材料の外観及び耐熱性を重視する場合には、質感及び高級感を付与するために、黒鉛粉末、カーボンブラック等の炭素系粉体を用いることができる。充填材は、ベンゾオキサジン樹脂組成物100重量部に対して、1〜10重量部程度用いるのが良い。
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明による効果を阻害しない範囲で、上記成分以外に硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着性向上剤、シランカップリング剤等を添加することができる。
硬化剤としては、アミン化合物、多官能フェノール化合物、酸無水物等のエポキシ樹脂の硬化剤を用いることができ、1種または、2種以上を組合せて用いることができる。
硬化促進剤としては、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩等のエポキシ樹脂の硬化促進剤を用いることができ、1種または2種以上を組合せて用いることができる。
硬化剤及び硬化促進剤は、ベンゾオキサジン樹脂組成物100重量部に対して0〜5重量部以下含まれていることが、繊維強化樹脂複合材料を形成する際にタック性等に有利である。
繊維基材としては、不燃性の繊維強化樹脂複合材料を目的としていることから、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の不燃性強化繊維を用いるのが良い。これらの強化繊維は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良いが、併用する場合は通常プリプレグの形態で積層体を構成することになる。強化繊維の中でも、加工性及び経済性の点からは、炭素繊維及びガラス繊維が好ましい。炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系の炭素繊維を用途に合わせて適宜選択して用いることができる。
炭素繊維としては、通常、フィラメント数が繊維束あたり2500〜50000の範囲にあり、引張強度が4.4〜7.5GPa、引張弾性率が400GPa以下、引張歪みが1.7〜2.3%程度のものを用いる。
繊維基材の形態としては、長繊維フィラメント糸を製織または製編した織物を好ましく用いることができる。織物としては、不燃性繊維を一方向に配列させたいわゆるトウシート、二方向織物、三軸織物等の多軸織物等が挙げられる。編物としては、丸編機等のよこ編機、トリコット編機、ラッセル編機、ミラニーズ編機等のたて編機で製編したものが挙げられる。トウシートにおいては、繊維基材への樹脂含浸性を向上させるためにストランド間に適度の隙間を確保するように不燃性繊維を配列すると良い。各種織編物の形態の中でも、織物は、ベンゾオキサジン樹脂組成物を含浸させた際の形態保持性が優れている点で好ましい。
織編物の目付は、50〜500g/mが好ましく、より好ましくは50〜450g/m、さらに好ましくは75〜400g/mの範囲内である。目付が大きすぎると、ベンゾオキサジン樹脂組成物を短時間で含浸させることが困難となる。一方、目付が小さすぎると、繊維強化樹脂複合材料の機械的特性が不十分になるおそれがある。織編物の使用枚数に制限はないが、軽量化の観点からは4枚以下が望ましい。
本発明のプリプレグは、ベンゾオキサジン樹脂組成物を用いて形成したフィルムと、繊維基材とをラミネートし、次いで、加熱及び加圧して繊維基材の中に未硬化あるいは半硬化のベンゾオキサジン樹脂組成物を含浸させることにより得られる。加熱及び加圧の方法としては、プレス成形、ロール成形、オートクレーブ成形等が挙げられる。半硬化は、通常、1分〜30分程度、加熱(50〜100℃)及び加圧(1〜10MPa)することにより行うことができる。
ベンゾオキサジン樹脂組成物を用いて形成したフィルムは、1枚あるいは複数枚(2〜5枚)を重ねたものを、繊維基材の片面もしくは両面にラミネートする。真空ラミネート及びロールラミネートは、市販の真空ラミネーター、ロールラミネーターを使用して行うことができる。ラミネート時の温度は、一般には60〜130℃で行う。
プリプレグにおける繊維基材の体積含有率は、低すぎる場合は繊維強化複合材料の利点が失われ、一方、高すぎる場合はベンゾオキサジン樹脂組成物の含浸が不十分となり、繊維強化樹脂複合材料に機械的強度を発現させることが困難となる。繊維基材の乾燥後の体積含有率(Vf)は、10〜80%であることが好ましい。繊維基材の含有率が10%以上であると、低熱膨張及び高弾性の繊維強化樹脂複合材料が得られ、繊維基材の含有率が80%以下であると、プリプレグの加工性及びハンドリング性が良好となる。繊維基材の体積含有率(Vf)は、より好ましくは15〜75%、さらに好ましくは20〜70%、特に好ましくは30〜60%である。
上記のフィルムの製造例としては、ベンゾオキサジン樹脂組成物を有機溶媒に分散させてワニスを調製し、次いで、このワニスを工程紙(離型紙等)に塗布し、加熱あるいは熱風吹きつけ等によって有機溶媒を乾燥させる方法がある。フィルムにおいてベンゾオキサジン樹脂組成物は半硬化させておいても良い。ワニスの塗工装置としては、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等、当業者に公知の塗工装置を用いることができ、作製するフィルムの膜厚によって、適宜選択することが好ましい。
ワニスを調製する際に用いられる有機溶媒としては、液状エポキシ樹脂を溶解し、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、吸熱フィラー及び無機充填材を分散できるものであれば、特に制限はない。例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のアルコール系やエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
本発明の繊維強化樹脂複合材料は、上記の方法で作製した所定形状のプリプレグを複数積層した後、積層体を加圧及び加熱してベンゾオキサジン樹脂組成物を硬化させる方法等により得ることができる。一方向プリプレグは、強化繊維の方向が揃っており、強化繊維の曲がりが少ないため繊維方向の強度利用率が高い。また、一方向プリプレグは、複数のプリプレグを適切な積層構成で積層した後に成形すると、繊維強化樹脂複合材料の各方向の弾性率と強度を制御することができる。
本発明の繊維強化樹脂複合材料は、プリプレグを経由しない方法により得ることもできる。例えば、本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物に、所望により有機溶媒を添加してワニスを調製し、該ワニスを繊維基材に含浸させた後、加熱及び加圧して硬化させる方法、具体的には、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法等が挙げられる。
本発明の繊維強化樹脂複合材料は、厚みが2mm以下で、厚みが1mm前後の薄型の複合材料にした場合でも、難燃性、とりわけ鉄道車両用材料燃焼試験による評価で「不燃性」になり得る。そのため、鉄道車両、航空機、建築部材、自動車部材、パソコンの筐体、コンピューター部品、その他一般産業用途に好適なものとなる。繊維基材として炭素繊維を用いると導電性にも優れる材料となる。繊維基材としてガラス繊維を用いると経済性に優れる材料となり、絶縁性があるため電気絶縁部品等として使用できる可能性がある。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例に用いたベンゾオキサジン樹脂組成物の原料及び織編物は、次の通りである。
(1)使用原料
(a)フェノール樹脂:ベルパールS899(微粒子状フェノール樹脂熱溶融・自硬化タイプ、エア・ウォーター・ベルパール(株)製)
(b)ベンゾオキサジン樹脂:F−a(ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ガラス転移温度37℃、分子量:435、AC:66重量%、四国化成工業(株)製)
(c−1)液状エポキシ樹脂1:反応性希釈剤アルキルジグリシジルエーテル(YED216M、三菱ケミカル(株)製)
(c−2)液状エポキシ樹脂2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂jER−806(三菱化学(株)製、粘度15〜25P/25℃)
(d)吸熱フィラー:水酸化アルミニウム(B−325、巴工業(株)製)
(e)黒鉛粉末:土状黒鉛 P#1(日本黒鉛工業(株)製)
(f)硬化剤:イミダゾール系硬化剤(2MZ−A、四国化成工業(株)製)
(2)炭素繊維クロス:EC3C(目付200g/m、FORMOSA JAPAN(株)製)
(実施例1〜
ベンゾオキサジン樹脂と微粒子状フェノール樹脂を溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した後 液状エポキシ樹脂と混合する。これに水酸化アルミニウムと黒鉛粉末、硬化剤を添加し撹拌分散させベンゾオキサジン樹脂組成物を得た。この時の溶媒濃度は約15重量%であった。各原料の配合量を表2に示す。
(実施例7)
微粒子状フェノール樹脂を用いずに、実施例1〜6と同様にして、ベンゾオキサジン樹脂組成物を得た。各原料の配合量を表2に示す。
(樹脂フィルムの作製)
上記の組成物を工程紙に塗布し、乾燥して溶媒(メチルエチルケトン)を除去することにより樹脂フィルムを作製した。
(プリプレグの作製)
炭素繊維クロスを2枚の樹脂フィルムで挟み、60℃に加熱した平金型で1分間プレスし(圧力1MPa)、炭素繊維クロスに樹脂フィルムをラミネートすることにより、プリプレグを得た。
(積層とプレス成形)
プリプレグの所定枚数(表2にply数として記載)を金型にセットし、200℃で1時間プレス成形することにより、表2に記載した厚みの繊維強化樹脂複合材料を得た。この複合材料をB5サイズ(182mm×257mm)の長方形に切断し、これを供試材とした。
(タック性)
作製したプリプレグのタックを感触法で判定した。プリプレグを表面から工程紙を剥がした直後に、指でプリプレグを押さえタックの程良いものを○、やや強すぎるもしくは弱いものを△、タクが強すぎて指から剥がれないものや全くタックが無く指につかないものを×とした。
(比較例1〜2)
微粒子状フェノール樹脂を溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した後、水酸化アルミニウムを添加し撹拌分散させて得たワニスを炭素繊維織物に塗布したものを、所定枚数(表2にply数として記載)積層した後、乾燥により溶媒を除去しプリプレグを得た。その後、200℃で1時間熱処理し硬化させた。
(燃焼性試験)
得られた供試材について、鉄道車両用材料の燃焼性規格(鉄運第81号 鉄道監督局長から陸運局長あて通達「鉄道車両用材料の燃焼性規格」)試験に準じた燃焼性試験を行った。図1に示すように、供試材を45°傾斜させて保持し、燃料容器の底の中心が、供試材の下面中心の垂直下方25.4mmに位置するように、コルク等の熱伝導率の低い材質の台に載せ、燃料容器に純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置した。アルコールの燃焼中は供試材への着火の有無、発煙状態、炎の状態等を観察し、アルコールの燃焼後は、残炎の有無、残塵、炭化、変形状態を調べ、燃焼性規格を判定した。試験室内の条件は、温度:15〜30℃、湿度:60〜75%で空気の流動はない状態とした。
このような燃焼性試験の結果に基づく鉄道車両用材料の燃焼性規格は、表1に示すように規定されている。
Figure 0006913399
(3点曲げ試験)
ASTM D7264に準拠し、万能試験機(AG−IS 150kN、(株)島津製作所)を使用して実施した(温度22℃)。試験片長さは120mm、幅は13mm、厚みは1mmである。支点間距離は32mmであり、支点及び圧子には直径10mmの丸棒を使用した。試験速度は1.0mm/sである。測定は5回実施し平均値を求めた。
実施例及び比較例で得られた供試材について試験結果を表2に示す。
Figure 0006913399
表2の結果から、繊維基材に、本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物を含浸し、熱硬化して作製した厚さ1mmの繊維強化樹脂複合材料は、鉄道車両用燃焼試験において極難燃性〜不燃性の評価であった。
本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物は、微粒子状フェノール樹脂に比べアルコール燃焼中の発煙が少なく、液状エポキシ樹脂を配合することによりプリプレグのタック性が良好になった。また、水酸化アルミニウム(吸熱フィラー)の配合量を増やすことにより、炭素繊維基材における燃焼試験時の着火及び着炎を遅延させる傾向が見られた。
実施例4で作製した繊維強化樹脂複合材料について3点曲げ試験結果を実施した結果、図2に示すように曲げ試験後における試験片の反りや歪みは僅少であり寸法変化も認められなかった。また、図3に曲げ応力−曲げひずみ線図を示す。曲げ試験結果による最大荷重は165.8N、曲げ強度は606.5MPa、曲げ弾性率は47.47GPaであった。
本発明の繊維強化樹脂複合材料は、薄型、軽量、鉄道車両用燃焼試験結果による評価が「不燃性」ないし「極難燃性」であることより、鉄道車両や航空機の内装材等に好適に使用できる。

Claims (10)

  1. (A)ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、(B)ヒドロキシメチル基を有する微粒子状フェノール樹脂、(C)液状エポキシ樹脂及び(D)吸熱フィラーを含むベンゾオキサジン樹脂組成物であって、
    前記(A)、(B)及び(C)の合計量に対して、(A)を50〜85重量%、(B)を5〜20重量%、(C)を10〜45重量%含み、
    前記(D)を、(A)、(B)及び(C)の合計重量の1.1〜3.0倍重量含む、
    ことを特徴とするベンゾオキサジン樹脂組成物。
  2. (A)ビスフェノールF−アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、(C)液状エポキシ樹脂及び(D)吸熱フィラーを含むベンゾオキサジン樹脂組成物であって、
    前記(C)液状エポキシ樹脂が、常温(25℃)において粘度が300cp未満のエポキシ系反応性希釈剤と、グリシジル基を複数個有する多官能エポキシ樹脂とからなり、
    前記(A)及び(C)の合計量に対して、(A)を55〜90重量%、(C)を10〜45重量%含み、
    前記(D)を、(A)及び(C)の合計重量の1.1〜3.0倍重量含む、
    ことを特徴とするベンゾオキサジン樹脂組成物。
  3. (C)液状エポキシ樹脂が、グリシジル基を複数個有する多官能エポキシ樹脂である請求項に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物。
  4. (C)液状エポキシ樹脂が、常温(25℃)において粘度が300cp未満のエポキシ系反応性希釈剤である請求項1または3に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物。
  5. (D)吸熱フィラーが、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムから選択される1種または2種である請求項1〜のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグ。
  7. 繊維基材が、織物または一方向性シートである請求項に記載のプリプレグ。
  8. 繊維基材が、炭素繊維及びガラス繊維から選択される1種または2種以上である請求項またはに記載のプリプレグ。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物の硬化物と繊維基材からなる繊維強化樹脂複合材料。
  10. 繊維基材の少なくとも片面に、請求項1〜のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂組成物からなるフィルムを配置し、加熱及び加圧してプリプレグを作製した後、前記プリプレグを複数枚積層し、積層体を加熱及び加圧することを特徴とする繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
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