JP2020176167A - ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ポリエステル樹脂は、従来の汎用樹脂に比べて容易に加水分解される性質を有していることから、耐加水分解性を向上させることを目的として、カルボジイミド化合物を添加する手法が検討されている。
しかし、このような特定の脂肪族又は芳香族カルボジイミド化合物を添加したポリエステル樹脂組成物は、耐加水分解性は向上するものの、溶融混練及び成形加工時の加熱により、カルボジイミド化合物が分解し、イソシアネートガスが発生し、作業環境を悪化させる問題があった。
[1] ポリエステル系樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物(B)とを含有するポリエステル系樹脂組成物であって、
前記カルボジイミド化合物(B)の含有量が、前記ポリエステル系樹脂(A)及び前記カルボジイミド化合物(B)の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部である、ポリエステル系樹脂組成物。
(一般式(1)中、R1、R4はイソシアネート基と反応し得る官能基を1つ有する有機化合物の前記官能基を除いた残基を表し、R1、R4は同一でも異なっていてもよい。R2は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基を表し、前記ジイソシアネート化合物は、前記イソシアネート基と直接結合するベンゼン系芳香環を有し、該ベンゼン系芳香環の前記イソシアネート基と結合する位置の両オルト位には、置換基を持たない又は1つのみ置換基を有する構造である。R3は、ジオール化合物から2つの水酸基を除いた2価の残基を表す。X1、X2は前記有機化合物の前記官能基と前記ジイソシアネート化合物の前記イソシアネート基との反応により形成される基を表し、X1、X2は同一でも異なっていてもよい。n、mは1〜20の数を表す。)
[2] 前記ジイソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びパラフェニレンジイソシアネートから選ばれる1種以上を含む、上記[1]に記載のポリエステル系樹脂組成物。
[3] 前記ジイソシアネート化合物が、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を含み、
前記ジイソシアネート化合物の全体を100モル%としたときに、前記2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が30〜70モル%であり、前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が30〜70モル%である、上記[2]に記載のポリエステル系樹脂組成物。
[4] 前記ジイソシアネート化合物の全体を100モル%としたときに、前記2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が50〜60モル%であり、前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が40〜50モル%である、上記[3]に記載のポリエステル系樹脂組成物。
[5] 前記イソシアネート基と反応し得る官能基を1つ有する有機化合物が、モノイソシアネート、モノアルコール、モノアミン、モノカルボン酸及び酸無水物から選ばれる1種以上である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
[6] 前記ジオール化合物が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びアルカンジオールから選ばれる1種以上である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
[7] 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、及びポリヒドロキシアルカン酸から選ばれる1種以上である、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、特定の芳香族カルボジイミドであるカルボジイミド化合物(B)を用いることにより、従来の脂肪族カルボジイミドより反応性が高く、低いカルボジイミド基濃度でも、優れた耐加水分解性を発揮することができると考えられる。
特に、カルボジイミド化合物(B)は、イソシアネート基と直接結合するベンゼン系芳香環を有し、且つ該ベンゼン系芳香環のイソシアネート基と結合する位置の両オルト位には、置換基を持たない又は1つのみ置換基を有するジイソシアネート化合物に由来する2価の残基R2を有するため、溶融混練及び成形加工時の加熱過程においてカルボジイミド化合物(B)が分解しても、分解生成したイソシアネートの反応性が高いため、ポリエステル系樹脂(A)中に取り込まれ易く、イソシアネートガスとして環境中に放出され難いものと考えられる。
ポリエステル系樹脂(A)としては、エステル基を有する樹脂であれば特に制限することなく使用することができる。
ポリエステル系樹脂(A)は、例えば二塩基酸若しくはその酸無水物又は二塩基酸エステルと、二価アルコールとの重縮合反応、ヒドロキシカルボン酸又はその環状誘導体の重縮合反応又は開環重合によって得られ、主鎖にエステル結合を持つ樹脂である。
上記二塩基酸エステルとしては、例えばテレフタル酸ジメチル、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。
他にも、両末端にOH基を有する脂肪族ポリエーテルである、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリプロピレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコール等のポリアルキレンオキシドグリコールを用いることもできる。
また、ヒドロキシカルボン酸の環状誘導体としては、例えばラクチドやラクトンが挙げられ、ラクチドとしては、例えば乳酸の環状二量体等が挙げられ、ラクトンとしてはβ-プロピオラクトンやδ-バレロラクトン等が挙げられる。
これらの中でも、経済性、加工性の観点から、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、及びポリヒドロキシアルカン酸から選ばれる1種以上、より好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選ばれる1種以上である。
本発明に用いるカルボジイミド化合物(B)は、下記一般式(1)で表される。
上記一般式(1)中、R1、R4はイソシアネート基と反応し得る官能基を1つ有する有機化合物の前記官能基を除いた残基を表し、R1、R4は同一でも異なっていてもよい。
モノイソシアネートとしては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、n−、sec−或いはter−ブチルイソシアネート等の低級アルキルイソシアネート;シクロヘキシルイソシアネート等の脂環式イソシアネート;フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート等が挙げられる。中でも、反応性の観点から、フェニルイソシアネート及びトリルイソシアネートが好ましく、フェニルイソシアネートがより好ましい。一方で、フェニルイソシアネートは特に反応性が高く、自身同士でカルボジイミド化し、モノカルボジイミドとなる傾向があるため、モノカルボジイミドの生成を抑制する観点では、フェニルイソシアネートを除くモノイソシアネートが好ましい。
モノアルコールとしては、例えば、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、ポリエーテルモノオール等が挙げられる。このようなモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデシルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。中でも、得られるカルボジイミド化合物(B)の取り扱い性に優れ、ポリエステル系樹脂(A)との加工性が良好となる観点からは、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキサノール、オクタノール及びドデシルアルコールが好ましく、イソプロピルアルコールがより好ましい。
モノアミンとしては、例えば、1級又は2級のアルキルアミン等が挙げられる。このようなモノアミンとしては、例えば、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミンが挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂(A)との加工性を良好とする観点から、ブチルアミン及びシクロヘキシルアミンが好ましい。
モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂(A)との加工性を良好とする観点から、酢酸、プロピオン酸及びオクタン酸が好ましい。
酸無水物としては、無水フタル酸、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂(A)との加工性を良好とする観点から、無水フタル酸、無水酢酸及び無水コハク酸が好ましい。
上記一般式(1)中、R2は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基を表し、前記ジイソシアネート化合物は、前記イソシアネート基と直接結合するベンゼン系芳香環を有し、該ベンゼン系芳香環の前記イソシアネート基と結合する位置の両オルト位には、置換基を持たない又は1つのみ置換基を有する構造である。上記ジイソシアネート化合物は、1つ又は2つ以上のベンゼン系芳香環を有しており、上記2つイソシアネート基は、それぞれ、同一の又は異なるベンゼン系芳香環に直接結合している。各イソシアネート基が結合しているベンゼン系芳香環は、該イソシアネート基の結合位置に対するオルト位の両方ともが、置換基を持つことはない。すなわち、各イソシアネート基が結合しているベンゼン系芳香環は、該イソシアネート基の結合位置に対するオルト位の一方のみに置換基を持つか、又は、両方ともに置換基を持たない。
また、特にR2の部分の分子量が比較的大きなカルボジイミド化合物(B)の場合には、分解生成するイソシアネートの分子量も比較的大きくなるため、低分量のものに比べてポリエステル系樹脂(A)中にさらに残り易くなるものと推察される。
また、ナフタレンジイソシアネートとしては、一般的には、1,5−ナフタレンジイソシアネートである。
なお、上記ジイソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネートであり、上記有機化合物が、フェニルイソシアネートである場合、nは4〜20の数であることが好ましい。
上記一般式(1)中、R3は、ジオール化合物から2つの水酸基を除いた2価の残基を表す。なお、本明細書中、ジオール化合物とは、分子中に水酸基を2個有する化合物を意味する。
上記分子中に水酸基を2個有する高分子化合物としては、ポリエーテルポリオール(ポリアルキレンオキシドグリコール)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、シリコーンジオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオール、アルカン(炭素数21〜)ジオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂組成物の溶融粘度、及び溶液粘度の観点から、好ましくはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びアルカンジオールから選ばれる1種以上、より好ましくはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選ばれる1種以上である。更に、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性の観点から、好ましくはポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオール、特に好ましくポリエーテルポリオールである。
また、上記ジオール化合物の数平均分子量としては、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性、溶融粘度、及び溶液粘度の観点から、好ましくは100〜40,000、より好ましくは150〜10,000、更に好ましくは200〜1,000である。なお、数平均分子量は、ゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。ただし、低分子化合物についてはこの限りではない。
上記一般式(1)中、X1、X2は前記有機化合物のイソシアネート基と反応し得る官能基と前記ジイソシアネート化合物の前記イソシアネート基との反応により形成される基を表し、X1、X2は同一でも異なっていてもよい。例えば、上記有機化合物がモノイソシアネートの場合、X1、X2は下記式(I)で表される基であり、上記有機化合物がモノアルコールの場合、X1、X2は下記式(II)で表される基であり、上記有機化合物がモノアミンの場合、X1、X2は下記式(III)で表される基であり、上記有機化合物がモノカルボン酸の場合、X1、X2は下記式(IV)で表される基であり、上記有機化合物が酸無水物の場合、X1、X2は下記式(V)で表される基である。
上記一般式(1)中、n、mは1〜20の数を表す。
特に上記一般式(1)中、nは、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性、溶融粘度上昇抑制及びイソシアネートガス発生の抑制の観点から、好ましくは1〜15、より好ましくは2〜10である。なお、上記ジイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートであり、上記有機化合物が、フェニルイソシアネートである場合、nは、特に4〜20の数であることが好ましい。
また、上記一般式(1)中、mは、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性及び溶融粘度上昇抑制の観点から、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜3、より更に好ましくは1である。
なお、上記一般式(1)中、nとmとの関係は、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性の観点から、好ましくはn≧mであり、より好ましくはn>mである。
すなわち、上記一般式(1)中、n及びmは、カルボジイミド化合物(B)中に含まれる構成単位(N)及び構成単位(M)の数を示しているだけであり、上記一般式(1)に表されるような、構成単位(N)及び構成単位(M)がブロック結合したカルボジイミド化合物に限定されるものではない。
カルボジイミド化合物(B)のカルボジイミド当量(カルボジイミド基1mol当たりの化学式量)は、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性及びイソシアネートガス発生の抑制の観点から、好ましくは200〜1,500、より好ましくは200〜1,250、更に好ましくは200〜1,000であり、より更に好ましくは200〜700である。
上記カルボジイミド化合物(B)の含有量は、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性及びイソシアネートガス発生の抑制の観点から、ポリエステル系樹脂(A)及びカルボジイミド化合物(B)の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.2〜7質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
本発明のカルボジイミド化合物(B)は、公知の方法によって製造することができる。
例えば、
(i)ジイソシアネート化合物(a)とジオール化合物(b)とを反応させてウレタン結合を含む両末端イソシアネートの化合物(以下、「(d)成分」ともいう)を生成し、その後、(a)成分、(d)成分、末端封止剤(c)及び触媒の存在下でカルボジイミド化及び末端封止を行う方法、
(ii)ジイソシアネート化合物(a)を触媒の存在下でカルボジイミド化してポリカルボジイミド(以下、「(e)成分」ともいう)を得て、次いで、(e)成分にジオール化合物(b)、及び末端封止剤(c)を添加して、共重合反応及び末端封止反応する方法、
(iii)ジイソシアネート化合物(a)、ジオール化合物(b)、及び末端封止剤(c)を触媒の存在下でウレタン化反応、カルボジイミド化反応、及び末端封止反応を同時に行う方法等が挙げられる。
これらの中でも、生産性の観点から、上記(i)の方法によって製造することが好ましい。
具体的には、ジイソシアネート化合物(a)とジオール化合物(b)とを、ジオール化合物(b)の水酸基に対して、ジイソシアネートのイソシアネート基が過剰量となるように混合してウレタン化反応を行い、次いで、末端封止剤(c)、及びカルボジイミド化触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物等を添加して、無溶媒又は不活性溶媒中で、カルボジイミド化反応を行うことが好ましい。
また、上記末端封止剤(c)は、前述のイソシアネート基と反応し得る官能基を1つ有する有機化合物であり、具体例は前述のとおりである。なお、上記有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記有機化合物の配合量は、上記一般式(1)中のn、mが上記範囲内となるように適宜調整すればよい。
ポリエステル系樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、充填剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物中のポリエステル系樹脂(A)及びカルボジイミド化合物(B)の合計含有量は、ポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性、機械特性、溶融粘度上昇抑制、加工性及びイソシアネートガス発生の抑制の観点から、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは92〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、例えば、ポリエステル系樹脂(A)に対して、カルボジイミド化合物(B)、及び必要に応じて加えるその他の成分を配合し、溶融混練することにより製造することができる。このような本発明のポリエステル系樹脂組成物は、上記カルボジイミド化合物(B)を用いることにより、溶融混練時にもイソシアネートガスが発生し難いため、作業環境を悪化させることがない。また、上記カルボジイミド化合物(B)を用いることにより、溶融粘度の大幅な上昇を抑えることができ、溶融混練時の作業性を高めることができるため、ポリエステル系樹脂組成物の生産性に優れていると考えられる。
<ジイソシアネート化合物>
・2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート54質量%と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート46質量%の混合物(2,4’−MDI(54%)と4,4’−MDI(46%)の混合物):東ソー株式会社製、製品名「モノメリックMDI;ミリオネートNM」
・4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI):東ソー株式会社製、製品名「ミリオネートMT」
・2,4−トリレンジイソシアネート80質量%と2,6−トリレンジイソシアネート20質量%の混合物(2,4−TDI(80%)と2,6−TDI(20%)の混合物):三井化学SKCポリウレタン株式会社製、製品名「コスモネートT−80」
・4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI):住化コベストロウレタン株式会社製、製品名「デスモジュールW」
・2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート:シンセシア社製、製品名「TRIDI」
・ポリカーボネートポリオール1:宇部興産株式会社製、製品名「エタナコールUH−50」、分子量504
・ポリカーボネートポリオール2:旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名「デュラノールT−5650E」、分子量523
・ポリエステルポリオール1:川崎化成工業株式会社製、製品名「マキシモールRFK−505」、分子量442
・ポリエステルポリオール2:川崎化成工業株式会社製、製品名「マキシモールRFK−509」、分子量573
・ポリエステルポリオール3:株式会社クラレ製、製品名「クラレポリオールP−1020」、分子量1000
・ポリエステルポリオール4:株式会社クラレ製、製品名「クラレポリオールP−520」、分子量500
・ポリエーテルポリオール1:日本油脂株式会社製、製品名「ユニオールPB−500」、分子量500
・ポリエーテルポリオール2:三洋化成工業株式会社製、製品名「サンニックスPP−400」、分子量405
・フェニルイソシアネート:ランクセス株式会社製
・イソプロピルアルコール:関東化学株式会社製
・1−オクタノール:東京化成工業株式会社製
・ドデシルアルコール:関東化学株式会社製
・シクロヘキシルアミン:東京化成工業株式会社製
・オクタン酸:東京化成工業株式会社製
・無水フタル酸:東京化成工業株式会社製
<カルボジイミド化触媒>
・3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド:四国化成工業株式会社製、製品名「MPO」
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、製品名「ノバデュラン5010L」
・ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂:帝人化成株式会社製、製品名「TRN−8500FF」
・ポリ乳酸(PLA)樹脂:Natureworks社製、製品名「Ingeo Biopolymer4032D」
表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤とを、表1の割合で、還流管および攪拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下60℃で1時間撹拌した後、カルボジイミド化触媒を表1の割合で添加し、100℃で3時間撹拌した。
その後、赤外吸収(IR)スペクトル測定によって、波長2270cm−1前後のイソシアネート基による吸収ピークがほぼ消失したことを確認して、m=1、n=2のカルボジイミド化合物P1を得た。
合成例2では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=3のカルボジイミド化合物P2を得た。
合成例3では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=3のカルボジイミド化合物P3を得た。なお、表1に示されるように、末端封止剤は、フェニルイソシアネートとイソプロピルアルコールとを併用しているが、これらが混ざり合うとそれぞれの末端封止剤としての機能が消失する場合があるため、先にイソプロピルアルコールを配合後に、十分な時間差を設けてフェニルイソシアネートを配合した。
合成例4では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=5のカルボジイミド化合物P4を得た。
表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物を、還流管および攪拌機付き反応容器に入れ、撹拌しながら表1に示す末端封止剤を添加し、窒素気流下100℃で2時間撹拌した後、カルボジイミド化触媒を添加して100℃で3時間撹拌した。なお、各成分の配合割合は表1に示すとおりとした。
その後、赤外吸収(IR)スペクトル測定によって、波長2270cm−1前後のイソシアネート基による吸収ピークがほぼ消失したことを確認して、m=1、n=5のカルボジイミド化合物P5を得た。
合成例6では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=5のカルボジイミド化合物P6を得た。
合成例7では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合すると共に、窒素気流下での攪拌を60℃で1時間から160℃で2時間に変更した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=5のカルボジイミド化合物P7を得た。
合成例8では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=8のカルボジイミド化合物P8を得た。
合成例9では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合すると共に、カルボジイミド化触媒添加後の100℃での攪拌を3時間から4時間に変更した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=4のカルボジイミド化合物P9を得た。
合成例10では、表1に示すジイソシアネート化合物とカルボジイミド化触媒とを、表1の割合で還流管および攪拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下180℃で4時間撹拌した後、温度を150℃まで下げた。その後ジオール化合物と、末端封止剤とを表1の割合で添加し、150℃で1時間撹拌した。
その後、赤外吸収(IR)スペクトル測定によって、波長2270cm−1前後のイソシアネート基による吸収ピークがほぼ消失したことを確認して、m=1、n=6のカルボジイミド化合物P10を得た。
合成例11では、表1に示すジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、末端封止剤と、カルボジイミド化触媒とを、表1の割合で配合した以外は、合成例1と同様の方法で、m=1、n=6のカルボジイミド化合物P11を得た。
ポリエステル系樹脂(A)としてPBT樹脂:98質量部を、ラボミキサーを用いて250℃の条件下で溶融させた後、カルボジイミド化合物(B)として合成例1で得られたカルボジイミド化合物P1:2質量部を加え、3分間混合して、ポリエステル系樹脂組成物を得た。
実施例2では、PBT樹脂の配合量を98質量部から95質量部に、カルボジイミド化合物P1の配合量を2質量部から5質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル系樹脂組成物を得た。
実施例3〜10では、合成例1で得られたカルボジイミド化合物P1に替えて、合成例2〜9で得られたカルボジイミド化合物P2〜9をそれぞれ用いると共に、PBT樹脂及び各カルボジイミド化合物の各配合量を表2に示す割合とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル系樹脂組成物を得た。
比較例1及び2では、合成例1で得られたカルボジイミド化合物P1に替えて、合成例10及び11で得られたカルボジイミド化合物P10及び11をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル系樹脂組成物を得た。
比較例3では、PBT樹脂の配合量を98質量部から85質量部に、カルボジイミド化合物P1の配合量を2質量部から15質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル系樹脂組成物を得た。
実施例11〜20及び比較例4〜6では、PBT樹脂に替えてPET樹脂を用いると共に、溶融温度を250℃から280℃に変更した以外は、それぞれ実施例1〜10及び比較例1〜3と同様の方法でポリエステル系樹脂組成物を得た。
実施例21〜30及び比較例7〜9では、PBT樹脂に替えてPLA樹脂を用いると共に、溶融温度を250℃から200℃に変更した以外は、それぞれ実施例1〜10及び比較例1〜3と同様の方法でポリエステル系樹脂組成物を得た。
上記実施例及び比較例に係るポリエステル系樹脂組成物について、下記に示す特性評価を行った。結果を表2〜4に示す。
(実施例1〜20、並びに比較例1〜6)
溶融混練したポリエステル系樹脂組成物を300℃で20分間加熱し、GC−MSにて発生するガスを分析した。
GC−MSは、株式会社島津製作所製、製品名「6890GCシステム」を用いた。
イソシアネートガスの検出量(発生量)は少ないほど好ましく、検出量に応じて、以下の検出レベルで評価した。
<検出レベルとその基準値>
A:イソシアネートガスの検出量が500ppm未満である場合
B:イソシアネートガスの検出量が500ppm以上1000ppm未満である場合
C:イソシアネートガスの検出量が1000ppm以上である場合
実施例21〜30及び比較例7〜9では、加熱温度を300℃から200℃に変更した以外は、実施例1等と同様の方法で、ガス分析を行い、イソシアネートガスの検出量の評価を行った。
(実施例1〜10並びに比較例1〜3)
耐加水分解性の評価指標として、以下の方法により、高度加速寿命試験後の強度保持率(%)を求めた。
<高度加速寿命試験>
溶融混練したポリエステル系樹脂組成物を、軟化点以上の温度で平板プレスし、厚み約300μmのシートを作製し、該シートから幅10mm長さ70mmの短冊シートを作製した。
短冊シートを、高度加速寿命試験装置(ESPEC社製 HAST CHAMBER EHS−210M)に入れ、121℃、100%RHの条件下で、72時間及び120時間保持して、高度加速寿命試験を行った。
<引張強度の測定>
上記試験前のサンプルと、上記試験72時間経過後のサンプルと、上記試験120時間経過後のサンプルのそれぞれについて、下記の条件で引張強度の測定を行った。
引張強度の測定は、引張試験機(INSTRON社製、製品名「INSTRON3365」)を用いて、室温(20℃±5℃)にて行った。測定は、各サンプル5点(短冊シート5枚)ずつ行い、その測定値(N=5)の平均値を、そのサンプルの引張強度とした。
<強度保持率の算出>
強度保持率(%)は、上記試験前のサンプルに対する、上記試験72時間経過後又は120時間経過後のサンプルの引張強度の比率として、下記式(I)により算出した。
強度保持率=[試験後の引張強度]/[試験前の引張強度]×100(%)・・・(I)
強度保持率は、値が大きいほど、高度加速寿命試験の前後において引張強度が維持されていることを意味し、ポリエステル系樹脂組成物としての耐加水分解性に優れることを意味している。
実施例11〜20及び比較例4〜6では、高度加速寿命試験における保持時間を72時間及び120時間から、24時間及び40時間に変更した以外は、実施例1等と同様の方法で、強度保持率を求めた。
実施例21〜30及び比較例7〜9では、高度加速寿命試験において、高度加速寿命試験装置に替えて、恒温恒湿器(ESPEC社製PH−2KT−E)を用いると共に、保持条件を85℃、85%RHの条件下で、24時間及び48時間保持に変更した以外は、実施例1等と同様の方法で、強度保持率を求めた。
また、カルボジイミド化合物の含有量が多すぎる場合は、組み合わせるポリエステル系樹脂(A)の種類によらず、得られるポリエステル系樹脂組成物の耐加水分解性が悪化することが確認された。
Claims (7)
- ポリエステル系樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物(B)とを含有するポリエステル系樹脂組成物であって、
前記カルボジイミド化合物(B)の含有量が、前記ポリエステル系樹脂(A)及び前記カルボジイミド化合物(B)の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部である、ポリエステル系樹脂組成物。
(一般式(1)中、R1、R4はイソシアネート基と反応し得る官能基を1つ有する有機化合物の前記官能基を除いた残基を表し、R1、R4は同一でも異なっていてもよい。R2は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基を表し、前記ジイソシアネート化合物は、前記イソシアネート基と直接結合するベンゼン系芳香環を有し、該ベンゼン系芳香環の前記イソシアネート基と結合する位置の両オルト位には、置換基を持たない又は1つのみ置換基を有する構造である。R3は、ジオール化合物から2つの水酸基を除いた2価の残基を表す。X1、X2は前記有機化合物の前記官能基と前記ジイソシアネート化合物の前記イソシアネート基との反応により形成される基を表し、X1、X2は同一でも異なっていてもよい。n、mは1〜20の数を表す。) - 前記ジイソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びパラフェニレンジイソシアネートから選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物が、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を含み、
前記ジイソシアネート化合物の全体を100モル%としたときに、前記2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が30〜70モル%であり、前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が30〜70モル%である、請求項2に記載のポリエステル系樹脂組成物。 - 前記ジイソシアネート化合物の全体を100モル%としたときに、前記2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が50〜60モル%であり、前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの割合が40〜50モル%である、請求項3に記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 前記イソシアネート基と反応し得る官能基を1つ有する有機化合物が、モノイソシアネート、モノアルコール、モノアミン、モノカルボン酸及び酸無水物から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 前記ジオール化合物が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びアルカンジオールから選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、及びポリヒドロキシアルカン酸から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル系樹脂組成物。
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