JP2020175768A - 車両構造及び車両の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用衝撃吸収部材の補強リブを後加工せずに衝突時の車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる車両構造及び車両の製造方法を得る。【解決手段】車両構造は、サイドメンバ10と車両用衝撃吸収部材12と取付部材30とを備える。取付部材30は、車両用衝撃吸収部材12の中空部20に配置されて第1締結部材42によりサイドメンバ10及び車両用衝撃吸収部材12と共に締結される第1筒状部32と、車両用衝撃吸収部材12の中空部24に配置されて第2締結部材46によりサイドメンバ10及び車両用衝撃吸収部材12と共に締結される第2筒状部34と、第1筒状部32と第2筒状部34とを車両上下方向に接続すると共に車両用衝撃吸収部材12の端面12Hよりも挿入方向P側に突出されて補強リブ12E、12Fの端部12E1、12F1に対向又は当接する板状の縦壁部36Aを含む接続部36と、を有する。【選択図】図2

Description

本開示は、車両構造及び車両の製造方法に関する。
特許文献1には、車両用衝撃吸収部材としてのクラッシュボックスを左右のサイドメンバの前端部又は後端部に取り付ける取付構造が開示されている。特許文献1に開示された取付構造では、クラッシュボックスのサイドメンバ側の端部に設けられた対向する折返し重合部間に跨って筒状部材が上下二箇所に配置されている。この筒状部材内を挿通するボルトがナットに締結されることでクラッシュボックスがサイドメンバに固定される。これにより、クラッシュボックスに加えられた圧縮荷重が筒状部材にも伝達されるため、クラッシュボックスの固定部位への応力集中が緩和される。その結果、クラッシュボックスが固定部位で破断することが抑制され、クラッシュボックス自体の衝突エネルギー吸収性能を向上させることができるというものである。
特開2012−116254号公報(図4)
ところで、内部に水平方向に延在する補強リブを有するクラッシュボックスを押出成形により一体成形することが行われている。この場合、補強リブはクラッシュボックスの端部まで一様に延在されている。仮に、この構成のクラッシュボックスを上記特許文献1に開示された取付構造によってフロントサイドメンバに取り付けようとする場合、補強リブの設定高さを筒状部材の設定高さに一致させるのが荷重伝達効率の観点から望ましい。しかし、そうするためには、補強リブの後端部を切削加工により削る後加工を追加しなければならず、製造工程が増加し、コストアップに繋がる。
また、仮に補強リブの設定高さを筒状部材の設定高さに一致させたとしても、筒状部材は上下二箇所に各々独立して設定されているため、上下の筒状部材への入力荷重にバラツキが生じ易い。つまり、実際に補強リブの後端が筒状部材に当接したときに、補強リブの後端の中心線(後端の板厚を二等分する方の中心線)が筒状部材の軸線から上下にずれていれば、補強リブの後端は筒状部材の外周面上を当該ずれた側へ滑ろうとする。逆に見れば、補強リブの後端に対して筒状部材が軸線回りに回転しようとする。その場合、クラッシュボックスから筒状部材への衝突荷重の伝達にロスが生じ、クラッシュボックスの潰れ残りを誘発するだけでなく、クラッシュボックスから筒状部材を介してフロントサイドメンバに伝達される衝突荷重も低下し荷重伝達性能(ひいては荷重分散効果)が低下する。
本開示は上記事実を考慮し、車両用衝撃吸収部材の補強リブを後加工せずに衝突時の車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる車両構造及び車両の製造方法を得ることを目的とする。
第1態様に係る車両構造は、車両前部及び後部の車両幅方向の両サイドにそれぞれ配置され、各々車両前後方向に沿って延在する中空筒状とされた左右一対のサイドメンバと、車両前後方向に沿って全長に亘って一様に延在された閉断面構造とされて、当該閉断面を車両上下方向に複数の中空部に仕切る補強リブを備えると共に、前記サイドメンバの先端部の内部に端部が挿入された左右一対の車両用衝撃吸収部材と、前記車両用衝撃吸収部材の車両上側の前記中空部に車両幅方向を長手方向として配置されると共に内部に挿通された第1締結部材により前記サイドメンバ及び前記車両用衝撃吸収部材と共に締結される第1筒状部と、前記第1筒状部と略平行に設けられて前記車両用衝撃吸収部材の車両下側の前記中空部に車両幅方向を長手方向として配置されると共に内部に挿通された第2締結部材により前記サイドメンバ及び前記車両用衝撃吸収部材と共に締結される第2筒状部と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とを車両上下方向に接続すると共に前記車両用衝撃吸収部材の挿入方向側の端面よりも当該挿入方向側に突出されて前記補強リブの端部に対向又は当接する板状の縦壁部を含む接続部と、を備える取付部材と、を有する。
第1態様に係る車両構造では、中空筒状とされた左右一対のサイドメンバが、車両前部及び後部の車両幅方向の両サイドにそれぞれ配置され、各々車両前後方向に沿って延在されている。また、左右一対の車両用衝撃吸収部材の端部が、対応するサイドメンバの先端部の内部へ挿入されている。この車両用衝撃吸収部材は、車両前後方向に沿って全長に亘って一様に延在された閉断面構造とされて、当該閉断面が複数の補強リブによって、車両上下方向に複数の中空部に仕切られている。
また、取付部材は、第1筒状部と、第2筒状部と、第1筒状部と第2筒状部とを車両上下方向に接続する接続部と、を含んで構成されている。第1筒状部は、車両用衝撃吸収部材の車両上側の中空部に車両幅方向を長手方向として配置される。第1筒状部は、第1筒状部の内部に挿通された第1締結部材によって、サイドメンバ及び車両用衝撃吸収部材と共に締結される。第2筒状部は、第1筒状部と略平行に設けられて車両用衝撃吸収部材の車両下側の中空部に車両幅方向を長手方向として配置される。第2筒状部は、第2筒状部の内部に挿通された第2締結部材によって、サイドメンバ及び車両用衝撃吸収部材と共に締結される。
さらに、車両用衝撃吸収部材の補強リブの端部が、車両用衝撃吸収部材の端面よりも挿入方向側に突出された取付部材の接続部の縦壁部に対向又は当接するので、例えば、車両用衝撃吸収部材が車両前部のサイドメンバに設けられている場合において、仮に車両前方から車両用衝撃吸収部材に衝突荷重が入力されると、補強リブの後端部が取付部材の接続部により支持される。取付部材の第1筒状部と第2筒状部とが接続部により接続されていて独立していないため、仮に上記特許文献1に記載された上下二箇所に独立して設定された筒状部材に補強リブの後端部を支持させた場合に生じる筒状部材の回転が抑制又は防止される。このため、車両用衝撃吸収部材から取付部材へ伝達される衝突荷重のロスが抑えられ、車両用衝撃吸収部材から取付部材を介してサイドメンバに伝達される衝突荷重の低下が抑制される。結果として、車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能(ひいては荷重分散効果)が向上する。また、補強リブを支持する取付部材の接続部の縦壁部は、車両用衝撃吸収部材の挿入方向側の端面よりも当該挿入方向側に突出されているため、補強リブの挿入方向側の端部を切削加工により削る後加工を追加する必要がない。これにより、補強リブを後加工せずに衝突時の車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる。
第2態様に係る車両構造は、第1態様において、前記第1筒状部及び前記第2筒状部は、前記車両用衝撃吸収部材の前記端面よりも奥側に配置され、前記接続部は、前記縦壁部と、前記縦壁部から前記車両用衝撃吸収部材の前記閉断面内に向かって突出され、当該縦壁部と前記第1筒状部及び前記第2筒状部とをそれぞれ連結する第1連結部及び第2連結部と、前記縦壁部の補強リブ側の面に一体に形成され車両幅方向に延在された突起部と、を有している。
第2態様に係る車両構造では、第1筒状部及び第2筒状部が車両用衝撃吸収部材の挿入方向側の端面よりも奥側に配置される。したがって、縦壁部と第1筒状部とを連結する第1連結部と、縦壁部と第2筒状部とを連結する第2連結部とが、縦壁部から閉断面内に向かって突出されている。また、突起部が縦壁部の補強リブ側の面に縦壁部と一体に形成され、かつ車両幅方向に延在されている。突起部が縦壁部の補強リブ側の面に設けられていることにより、仮に車両前方から車両用衝撃吸収部材に衝突荷重が入力されたときに、縦壁部に当接した補強リブの端部が縦壁部に沿って車両上下方向に滑りながら変形し、突起部に係止される。これにより、突起部が設けられていない構成と比べて、補強リブの大きな変形を抑制して補強リブから取付部材へ伝達される衝突荷重のロスを抑制することができる。結果として、衝突時の車両用衝撃吸収部材からフロントサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる。
第3態様に係る車両構造は、第2態様において、前記補強リブは、前記突起部と前記第1連結部及び前記第2連結部の少なくとも一方とにより挟持される。
第3態様に係る車両構造では、補強リブが突起部と第1連結部及び第2連結部の少なくとも一方とにより挟持されることにより、仮に車両前方から車両用衝撃吸収部材に衝突荷重が入力されたときに補強リブの端部が取付部材の縦壁部に沿って滑りながら変形することが抑制され、補強リブから取付部材へ伝達される衝突荷重のロスを抑制することができる。結果として、衝突時の車両用衝撃吸収部材からフロントサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる。また、取付部材を車両用衝撃吸収部材及びサイドメンバと共に第1締結部材及び第2締結部材により締結する前に、補強リブを突起部と第1連結部及び第2連結部の少なくとも一方とで挟持させることにより、取付部材を車両用衝撃吸収部材に仮留めすることが可能となる。突起部は縦壁部と一体に成形されているので、別途仮留めのための構造を形成する工程を追加する必要がなく、製造工程を減らすことができる。
第4態様に係る車両の製造方法は、閉断面構造とされて当該閉断面を高さ方向に複数の中空部に仕切る補強リブを備えた車両用衝撃吸収部材を押出成形により形成する工程と、前記車両用衝撃吸収部材の対向する一対の側壁に、当該車両用衝撃吸収部材の高さ方向上側の前記中空部に連通する一対の第1貫通孔と、当該車両用衝撃吸収部材の高さ方向下側の前記中空部に連通する一対の第2貫通孔と、を形成する工程と、第1筒状部と、前記第1筒状部と略平行に設けられた第2筒状部と、板状の縦壁部を有して前記第1筒状部と前記第2筒状部とを接続する接続部と、を備える取付部材を、前記第1筒状部が前記一対の第1貫通孔の間に架け渡されると共に前記第2筒状部が前記一対の第2貫通孔の間に架け渡されかつ前記縦壁部が前記補強リブの端部に対向又は当接すると共に前記車両用衝撃吸収部材の端面よりも外側に突出されて配置されるように位置決めして前記車両用衝撃吸収部材の端部に仮留めする工程と、前記取付部材が仮留めされた前記車両用衝撃吸収部材の前記端部を中空筒状とされたサイドメンバの内部へ挿入する工程と、前記サイドメンバに設けられた一対の第1挿通孔と、前記一対の第1貫通孔と、前記第1筒状部の内部とに第1締結部材を挿通させて締結し、かつ前記サイドメンバに設けられた一対の第2挿通孔と、前記一対の第2貫通孔と、前記第2筒状部の内部とに第2締結部材を挿通させて締結することにより、前記サイドメンバに前記車両用衝撃吸収部材を取り付ける工程と、を有している。
第4態様に係る車両の製造方法では、まず、車両用衝撃吸収部材が押出成形により形成される。車両用衝撃吸収部材は、閉断面構造とされて、閉断面を高さ方向に複数の中空部に仕切られている。次に、押出成形された車両用衝撃吸収部材の対向する一対の側壁に一対の第1貫通孔及び一対の第2貫通孔が形成される。ここで、一対の第1貫通孔は、車両用衝撃吸収部材の上側の中空部に連通され、一対の第2貫通孔は下側の中空部に連通されている。
次に、取付部材が車両用衝撃吸収部材の端部に仮留めされる。取付部材は、第1筒状部と、第2筒状部と、板状の縦壁部を有して第1筒状部と第2筒状部とを接続する接続部とを備えている。この工程では、第1筒状部が車両用衝撃吸収部材の一対の第1貫通孔の間に架け渡され、かつ第2筒状部が一対の第2貫通孔の間に架け渡されるように取付部材が位置決めされる。また、接続部の縦壁部が補強リブの端部に対向又は当接して車両用衝撃吸収部材の端面よりも外側に突出されて配置されるように、取付部材が位置決めされて、車両用衝撃吸収部材の端部に仮留めされる。
次に、取付部材が仮留めされた車両用衝撃吸収部材の端部が中空筒状とされたサイドメンバの内部へ挿入される。また、第1締結部材が、サイドメンバに設けられた一対の第1挿通孔と、車両用衝撃吸収部材の一対の第1貫通孔と、第1筒状部の内部とに挿通されて締結され、第2締結部材が、サイドメンバに設けられた一対の第2挿通孔と、車両用衝撃吸収部材の一対の第2貫通孔と、第2筒状部の内部とに挿通されて締結される。これにより、サイドメンバに車両用衝撃吸収部材が取り付けられる。
上記車両の製造方法では、取付部材の接続部の縦壁部が補強リブの端部に対向又は当接した状態で車両用衝撃吸収部材がサイドメンバに取り付けられるので、例えば、車両用衝撃吸収部材が車両前部のサイドメンバに取り付けられる場合において、仮にこの製造方法により製造された車両Vに前方から衝突荷重が入力されると、車両用衝撃吸収部材の補強リブの後端部が取付部材の接続部により支持される。取付部材の第1筒状部と第2筒状部とが接続部により接続されていて独立していないため、仮に上記特許文献1に記載された上下二箇所に独立して設定された筒状部材に補強リブの後端部を支持させた場合に生じる筒状部材の回転が抑制又は防止される。このため、車両用衝撃吸収部材から取付部材へ伝達される衝突荷重のロスが抑えられ、車両用衝撃吸収部材から取付部材を介してサイドメンバに伝達される衝突荷重の低下が抑制される。結果として、車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能(ひいては荷重分散効果)が向上する。
また、補強リブを支持する取付部材の接続部の縦壁部は、車両用衝撃吸収部材の挿入方向側の端面よりも当該挿入方向側に突出して配置されるので、補強リブの端部を切削加工により削る後加工の工程を追加する必要がない。これにより、補強リブを後加工せずに衝突時の車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる。
さらに、取付部材が車両用衝撃吸収部材の端部に位置決めされた状態で仮留めされるので、車両用衝撃吸収部材をサイドメンバの内部へ挿入する際に取付部材の位置がずれたり落下したりすることを防止できる。
第5態様に係る車両の製造方法は、第4態様において、前記仮留めする工程は、前記縦壁部における前記補強リブ側の面に一体に形成され車両幅方向に延在された突起部と、前記縦壁部と前記第1筒状部及び第2筒状部とをそれぞれ連結する第1連結部及び第2連結部の少なくとも一方とで前記補強リブを挟持することを含む。
第5態様に係る車両の製造方法では、車両用衝撃吸収部材の補強リブを、取付部材の縦壁部の補強リブ側の面に一体に形成された突起部と、第1連結部及び第2連結部の少なくとも一方とで挟持することにより、取付部材が車両用衝撃吸収部材の端部に仮留めされる。仮留めに利用される突起部は、取付部材の縦壁部と一体に形成されるので、仮留めのための構造を形成する別工程を必要としない。これにより、製造工程を減らして製造コストを減少させることができる。
以上説明したように、本開示に係る車両構造及び車両の製造方法では、車両用衝撃吸収部材の補強リブを後加工せずに衝突時の車両用衝撃吸収部材からサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる。
本実施形態の車両前部構造の概略構成を示す斜視図である。 図1に示される本実施形態の車両前部構造の2−2線断面図である。 図2に示される車両前部構造の3−3線断面図である。 図2及び図3に示される本実施形態のクラッシュボックス及び取付部材を示す斜視図である。 本実施形態の変形例に係る車両前部構造の要部を示す縦断面図である。 (A)は比較例に係る車両前部構造の要部を示す縦断面図であり、(B)は(A)に示される車両前部構造に衝突荷重が入力された状態を示す図である。 図6(A)及び図6(B)に示される比較例に係るクラッシュボックス及び取付部材を示す斜視図である。
以下、図1〜図7を用いて、本発明に係る車両前部構造及び車両Vの製造方法の一実施形態について説明する。なお、これらの図に適宜示される矢印FR、矢印UP、及び矢印OUTは、車両前方側、車両上方側、及び車両幅方向外側をそれぞれ示している。また、以下の説明で特記なく前後、左右、上下の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両幅方向の左右、車両上下方向の上下を示す。
(車両前部構造の構成)
図1には、本実施形態に係る「車両構造」としての車両前部構造の車両幅方向右側の一部が斜視図で示されている。この図に示されるように、本実施形態の車両前部構造は、車両Vの前部において車両幅方向の両サイドに配置された左右一対の「サイドメンバ」としてのフロントサイドメンバ10と、フロントサイドメンバ10の前端に取り付けられた「車両用衝撃吸収部材」としてのクラッシュボックス12とを備えている。なお、車両前部構造の車両幅方向左側の構成は、右側と左右対称とされているため、説明を省略し、以下では車両前部構造の車両幅方向右側の構成のみを説明する。
一対のクラッシュボックス12の前端には、車両幅方向に延在されたバンパリインフォースメント14が連結されている。すなわち、フロントサイドメンバ10は、クラッシュボックス12を介してバンパリインフォースメント14に結合されている。バンパリインフォースメント14は、金属材料又はCFRP等の繊維強化樹脂で構成された車両骨格部材である。
(フロントサイドメンバ)
図2には、本実施形態の車両前部構造の要部の縦断面図が示され、図3には、車両前部構造の要部の横断面図が示されている。これらの図に示されるように、フロントサイドメンバ10は、中空筒状に構成された車両骨格部材である。フロントサイドメンバ10は、車両幅方向内側及び車両幅方向外側に互いに離間されて配置された内側壁10A及び外側壁10Bと、内側壁10A及び外側壁10Bの上端部同士及び下端部同士を車両幅方向にそれぞれ連結する上壁10C及び下壁10Dと、を含んで構成されている。フロントサイドメンバ10の「先端部」としての前端部10Eにおける内側壁10A及び外側壁10Bには、一対の第1挿通孔16が互いに対向して設けられ(図3参照)、一対の第1挿通孔16の車両下方側には、図示しない一対の第2挿通孔が互いに対向して設けられている。
(クラッシュボックス)
図4に示されるように、本実施形態のクラッシュボックス12は、車両前後方向に沿って全長に亘って一様に延在された閉断面構造とされている。クラッシュボックス12は、アルミニウム等を押出成形することにより一体に形成されている。具体的には、車両幅方向内側及び車両幅方向外側に互いに離間されて配置された対向する一対の「側壁」としての第1側壁12A及び第2側壁12Bと、第1側壁12A及び第2側壁12Bの上端部同士及び下端部同士を車両幅方向にそれぞれ連結する第1横壁12C及び第2横壁12Dと、第1側壁12A及び第2側壁12Bを車両幅方向に連結する「補強リブ」としての第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fと、を含んで構成されている。そして、水平方向に延在する第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fによってクラッシュボックス12の閉断面が車両上下方向(クラッシュボックス12の高さ方向)に三つの「中空部」としての上側中空部20、中央中空部22、及び下側中空部24に仕切られている。
クラッシュボックス12の後端部12Gにおける第1側壁12A及び第2側壁12Bには、一対の第1貫通孔26と一対の第2貫通孔28とが設けられている。一対の第1貫通孔26は、上側中空部20に連通され、一対の第2貫通孔28は、下側中空部24に連通されている。
また、図2に示されるように、クラッシュボックス12の後端部12Gは、フロントサイドメンバ10の前端部10Eの内部へ挿入されている。図3に示されるように、クラッシュボックス12の一対の第1貫通孔26は、フロントサイドメンバ10の一対の第1挿通孔16と同心となるように配置されている。同様に、一対の第2貫通孔28(図4参照)は、フロントサイドメンバ10の図示しない一対の第2挿通孔と同心となるように配置されている。
(取付部材)
図2及び図4に示されるように、本実施形態の取付部材30は、第1筒状部32と、第2筒状部34と、接続部36と、を含んで構成されている。取付部材30は、例えばアルミニウム等を押出成形することにより一体に形成されている。
取付部材30の第1筒状部32は、接続部36に連結された部位を除いた本体部分が断面略八角形の筒状とされ、内部には第1中空部38を有している。また、第1筒状部32は、クラッシュボックス12の上側中空部20に車両幅方向を長手方向として配置され、第1中空部38が、クラッシュボックス12の一対の第1貫通孔26及びフロントサイドメンバ10の一対の第1挿通孔16と同心となるように配置されている(図3参照)。
取付部材30の第2筒状部34は、第1筒状部32と同様に、接続部36に連結された部位を除いた本体部分が断面略八角形の筒状とされ、内部には第2中空部40を有している。また、第2筒状部34は、クラッシュボックス12の下側中空部24に車両幅方向を長手方向として第1筒状部32と略平行に配置され、第2中空部40が、クラッシュボックス12の一対の第2貫通孔28及びフロントサイドメンバ10の図示しない一対の第2挿通孔と同心となるように配置されている。
第1筒状部32及び第2筒状部34は、クラッシュボックス12がフロントサイドメンバ10へ挿入されるときの挿入方向P側(車両後方側)におけるクラッシュボックス12の端面12Hよりもクラッシュボックス12の奥側(車両前方側)に配置されている。また、第1筒状部32及び第2筒状部34は、クラッシュボックス12の第1側壁12Aから第2側壁12Bまで延在されている。すなわち、第1筒状部32及び第2筒状部34は、クラッシュボックス12とフロントサイドメンバ10との連結部位における座屈を抑制又は防止するスペーサとしての機能を有するカラー部材である。なお、図3では、第1筒状部32及び第2筒状部34の車両幅方向両端部がそれぞれクラッシュボックス12の第1側壁12A及び第2側壁12Bに当接している例を示しているが、スペーサとしての機能を果たすことができれば、当接しない構成としてもよい。例えば、寸法誤差等を考慮して第1筒状部32及び第2筒状部34とクラッシュボックス12の第1側壁12A及び第2側壁12Bとの間に隙間を設けてもよい。
取付部材30の接続部36は、第1筒状部32と第2筒状部34とを車両上下方向に接続している。接続部36は、縦壁部36Aと、第1連結部36Bと、第2連結部36Cと、「突起部」としての第1突起部36D及び第2突起部36Eと、を備えている。
接続部36の縦壁部36Aは、クラッシュボックス12がフロントサイドメンバ10へ挿入されるときの挿入方向P側(車両後方側)におけるクラッシュボックス12の端面12Hよりも挿入方向P側に突出して配置された略平板状の部材である。縦壁部36Aの「補強リブ側の面」としての前面36A1は、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1に当接している。なお、縦壁部36Aの前面36A1は、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1に必ずしも当接していなくともよい。例えば、寸法誤差等を考慮して、縦壁部36Aの前面36A1と第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1との間に隙間を設けて、互いに対向させてもよい。
接続部36の第1連結部36B及び第2連結部36Cは、縦壁部36Aの車両上下方向端部からクラッシュボックス12の閉断面内に向かって車両前方側にそれぞれ突出されている。第1連結部36Bは縦壁部36Aと第1筒状部32とを連結し、第2連結部36Cは縦壁部36Aと第2筒状部34とを連結している。また、第1連結部36B及び第2連結部36Cは、車両幅方向から見て、車両上下方向の寸法が車両前方側に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
第1突起部36D及び第2突起部36Eは、縦壁部36Aの前面36A1から車両前方側に突出されている。また、第1突起部36D及び第2突起部36Eは、車両幅方向に延在されている。第1突起部36Dは、第1連結部36Bと第1突起部36Dとで第1補強リブ12Eを上下から挟持するように配置されている。同様に、第2突起部36Eは、第2連結部36Cと第2突起部36Eとで第2補強リブ12Fを上下から挟持するように配置されている。なお、本実施形態では取付部材30の接続部36に2つの「突起部」としての第1突起部36D及び第2突起部36Eが設けられている例を示したが、突起部が1つだけ設けられている構成としてもよい。この場合、突起部と第1連結部36Bとで第1補強リブ12Eを挟持するように突起部を配置してもよいし、突起部と第2連結部36Cとで第2補強リブ12Fを挟持するように突起部を配置してもよい。
図3に示されるように、第1筒状部32は、フロントサイドメンバ10及びクラッシュボックス12と共に「第1締結部材」としての第1ボルト42及び第1ナット44によって締結されている。より詳しく説明すると、フロントサイドメンバ10の外側壁10Bに設けられた第1挿通孔16から挿入された第1ボルト42が、一対の第1貫通孔26と取付部材30の第1筒状部32内の第1中空部38とに挿通されて、更に内側壁10Aに設けられた第1挿通孔16を貫通して、内側壁10Aの車両幅方向内側で第1ナット44と螺合されている。同様に、フロントサイドメンバ10の外側壁10Bに設けられた図示しない第2挿通孔から挿入された「第2締結部材」としての第2ボルト46が、一対の第2貫通孔28と取付部材30の第2筒状部34内の第2中空部40とに挿通されて内側壁10Aの車両幅方向内側で図示しない第2ナットと螺合されている。これにより、クラッシュボックス12がフロントサイドメンバ10に取り付けられている。
(車両の製造方法)
次に、本実施形態の車両Vの製造方法について説明する。
まず、図4に示されるように、車両Vの一部を構成するクラッシュボックス12が押出成形により形成される。クラッシュボックス12は、例えばアルミニウム等を押出成形することにより形成される。クラッシュボックス12の押出方向に略垂直な面で切断した閉断面は、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fによって高さ方向に複数の中空部(上側中空部20、中央中空部22及び下側中空部24)に仕切られている。
次に、押出成形により得られたクラッシュボックス12の対向する第1側壁12A及び第2側壁12Bに、クラッシュボックス12の上側中空部20に連通する一対の第1貫通孔26と、下側中空部24に連通する一対の第2貫通孔28とが形成される。
次に、取付部材30が、クラッシュボックス12の後端部12Gに仮留めされる。このとき、取付部材30は次のように位置決めされる。第1筒状部32が一対の第1貫通孔26の間に架け渡されると共に第2筒状部34が一対の第2貫通孔28の間に架け渡される。また、図2に示されるように、縦壁部36Aが第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1に当接すると共にクラッシュボックス12の端面12Hよりも外側に突出されて配置される。
取付部材30をクラッシュボックス12に仮留めする上記工程では、クラッシュボックス12の第1補強リブ12Eが第1連結部36Bと第1突起部36Dとによって挟持され、第2補強リブ12Fが第2連結部36Cと第2突起部36Eとによって挟持される。これにより上述した位置決め及び仮留めがなされるように、第1突起部36D及び第2突起部36Eの縦壁部36Aにおける高さ方向の位置が設定されている。
次に、取付部材30が仮留めされたクラッシュボックス12の後端部12Gが車両Vの骨格部材であるフロントサイドメンバ10の内部へ挿入される。
次に、クラッシュボックス12がフロントサイドメンバ10に取り付けられる。具体的には、まず、フロントサイドメンバ10の外側壁10Bに設けられた第1挿通孔16から第1ボルト42が挿入される。この第1ボルト42は、クラッシュボックス12の一対の第1貫通孔26と取付部材30の第1筒状部32内の第1中空部38とに挿通されて内側壁10Aの車両幅方向内側で第1ナット44と螺合される。同様に、フロントサイドメンバ10の外側壁10Bに設けられた図示しない第2挿通孔から第2ボルト46が挿入され、第2ボルト46がクラッシュボックス12の一対の第2貫通孔28と取付部材30の第2筒状部34内の第2中空部40とに挿通されて内側壁10Aの車両幅方向内側で第2ナット48(図1参照)と螺合される。なお、第1ボルト42及び第2ボルト46をフロントサイドメンバ10の内側壁10Aに設けられた第1挿通孔16から挿入して、外側壁10Bの車両幅方向外側で第1ナット44及び第2ナット48とそれぞれ螺合してもよい。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用効果について、図6(A)〜図7に示す比較例と対比しつつ説明する。
図6(A)〜図7に示される比較例に係る車両前部構造は、フロントサイドメンバ100と、クラッシュボックス102と、第1取付部材104と、第2取付部材106と、を含んで構成されている。第1取付部材104及び第2取付部材106は、それぞれ筒状に形成され、互いに接続されずに独立している。言い換えると、第1取付部材104及び第2取付部材106は、それぞれ別々にクラッシュボックス102の中空部108に配置される(図7参照)。第1取付部材104は複数の凹部104Aを備え、車両前方側に向かって開放された凹部104Aのうちの車両下方側の1つに、クラッシュボックス102の第1補強リブ102Aが当接している。第2取付部材106は、複数の凹部106Aを備え、車両前方側に向かって開放された凹部106Aのうちの車両上方側の1つに、クラッシュボックス102の第2補強リブ102Bが当接している。
比較例に係る車両前部構造では、クラッシュボックス102の中空部108に配置された第1取付部材104及び第2取付部材106に第1補強リブ102A及び第2補強リブ102Bをそれぞれ当接させるため、押出成形により得られたクラッシュボックス102の第1補強リブ102Aの後端部102A1及び第2補強リブ102Bの後端部102B1(図6(A)参照)を切削加工により削る後加工の工程が必要である。
また、比較例に係る車両前部構造では、第1取付部材104及び第2取付部材106が接続されずに独立していると共に、第1取付部材104がクラッシュボックス102の第1補強リブ102Aを支持する位置は第1取付部材104の軸線から車両下方側にずれており、第2取付部材106がクラッシュボックス102の第2補強リブ102Bを支持する位置は第2取付部材106の軸線から車両上方側にずれている。このため、図6(B)に示されるように、車両前方から衝突荷重Fが入力された場合には、第1取付部材104及び第2取付部材106がそれぞれ軸線回りに回転してしまう。これにより、第1取付部材104及び第2取付部材106が回転しない場合と比べて、クラッシュボックス102から第1取付部材104及び第2取付部材106への衝突荷重の伝達にロスが生じ、クラッシュボックス102の潰れ残りを誘発するだけでなく、クラッシュボックス102から第1取付部材104及び第2取付部材106を介してフロントサイドメンバ100に伝達される衝突荷重も低下し荷重伝達性能(ひいては荷重分散効果)が低下する。
これに対し、本実施形態に係る車両前部構造では、図2に示されるように、取付部材30は、第1筒状部32と、第2筒状部34と、第1筒状部32と第2筒状部34とを車両上下方向に接続する接続部36と、を含んで構成されている。第1筒状部32は、クラッシュボックス12の上側中空部20に車両幅方向を長手方向として配置される。第1筒状部32は、第1筒状部32の内部に挿通された第1ボルト42によって、フロントサイドメンバ10及びクラッシュボックス12と共に締結される。第2筒状部34は、第1筒状部32と略平行に設けられてクラッシュボックス12の下側中空部24に車両幅方向を長手方向として配置される。第2筒状部34は、第2筒状部34の内部に挿通された第2ボルト46によって、フロントサイドメンバ10及びクラッシュボックス12と共に締結される。
また、クラッシュボックス12の第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1が、クラッシュボックス12の端面12Hよりも挿入方向P側に突出された取付部材30の接続部36の縦壁部36Aに対向又は当接するので、車両前方からクラッシュボックス12に衝突荷重が入力された場合には、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1が取付部材30の接続部36により支持される。取付部材30の第1筒状部32と第2筒状部34とが接続部36により接続されていて独立していないため、上述の比較例で生じる第1取付部材104及び第2取付部材106の回転(図6(B)参照)が抑制又は防止される。このため、クラッシュボックス12から取付部材30へ伝達される衝突荷重のロスが抑えられ、クラッシュボックス12から取付部材30を介してフロントサイドメンバ10に伝達される衝突荷重の低下が抑制される。結果として、クラッシュボックス12からフロントサイドメンバ10への荷重伝達性能(ひいては荷重分散効果)が向上する。また、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fを支持する取付部材30の接続部36の縦壁部36Aは、クラッシュボックス12の挿入方向Pにおける端面12Hよりも挿入方向P側に突出されているため、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1を切削加工により削る後加工の工程を必要とせず、上述の比較例に係る車両前部構造(図6(A)参照)に比べて、製造工程を減らして製造コストを減少させることができる。
また、本実施形態に係る車両前部構造では、取付部材30の第1筒状部32及び第2筒状部34がクラッシュボックス12の端面12Hよりもクラッシュボックス12の奥側、すなわち車両前方側に配置されている。したがって、取付部材30において接続部36の縦壁部36Aと第1筒状部32とを連結する第1連結部36Bと、縦壁部36Aと第2筒状部34とを連結する第2連結部36Cとが、縦壁部36Aの車両上下方向端部から閉断面内に向かって突出されている。また、接続部36の第1突起部36D及び第2突起部36Eが縦壁部36Aの前面36A1に縦壁部36Aと一体に形成され、かつ車両幅方向に延在されている。第1突起部36D及び第2突起部36Eが縦壁部36Aの前面36A1に設けられていることにより、仮に車両前方から車両用衝撃吸収部材に衝突荷重が入力されたときに、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1が縦壁部36Aの前面36A1に沿って車両上下方向に滑りながら変形し、第1突起部36D及び第2突起部36Eに係止される。これにより、第1突起部36D及び第2突起部36Eが設けられていない構成と比べて、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fの大きな変形を抑制して取付部材30へ伝達される衝突荷重のロスを抑制することができる。結果として、衝突時のクラッシュボックス12からフロントサイドメンバ10への荷重伝達性能を向上させることができる。
また、本実施形態に係る車両前部構造では、第1補強リブ12Eが第1突起部36Dと第1連結部36Bとにより挟持され、第2補強リブ12Fが第2突起部36Eと第2連結部36Cとにより挟持される。このため、仮に車両前方からクラッシュボックス12に衝突荷重が入力されたときに第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1が取付部材30の縦壁部36Aに沿って滑りながら変形することが抑制され、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fから取付部材30へ伝達される衝突荷重のロスを抑制することができる。結果として、衝突時のクラッシュボックス12からフロントサイドメンバ10への荷重伝達性能を向上させることができる。また、取付部材30をクラッシュボックス12の第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fに仮留めすることが可能となる。第1突起部36D及び第2突起部36Eが縦壁部36Aと一体に形成されているので、別途仮留めのための構造を形成する工程を追加する必要がなく、製造工程を減らして製造コストを減少させることができる。
本実施形態に係る車両Vの製造方法では、まず、図4に示されるように、クラッシュボックス12が押出成形により形成される。クラッシュボックス12は、閉断面構造とされて、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fによって閉断面を高さ方向に複数の中空部(上側中空部20、中央中空部22及び下側中空部24)に仕切られている。次に、押出成形されたクラッシュボックス12の対向する一対の第1側壁12A及び第2側壁12Bに一対の第1貫通孔26及び一対の第2貫通孔28が形成される。ここで、一対の第1貫通孔26は、クラッシュボックス12の上側中空部20に連通され、一対の第2貫通孔28は下側中空部24に連通されている。
次に、取付部材30がクラッシュボックス12の後端部12Gに仮留めされる。取付部材30は、第1筒状部32と、第2筒状部34と、板状の縦壁部36Aを有すると共に第1筒状部32と第2筒状部34とを接続する接続部36と、を備えている。この工程では、第1筒状部32がクラッシュボックス12の一対の第1貫通孔26の間に架け渡され、第2筒状部34が一対の第2貫通孔28の間に架け渡されるように取付部材30が位置決めされる。また、接続部36の縦壁部36Aが第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1に対向又は当接してクラッシュボックス12の端面12Hよりも外側に突出されて配置されるように、取付部材30が位置決めされて、クラッシュボックス12の後端部12Gに仮留めされる。
次に、図2に示されるように、取付部材30が仮留めされたクラッシュボックス12の後端部12Gが中空筒状のフロントサイドメンバ10の内部へ挿入される。また、第1ボルト42が、フロントサイドメンバ10に設けられた一対の第1挿通孔16と、クラッシュボックス12の一対の第1貫通孔26と、第1筒状部32の内部(第1中空部38)とに挿通されて締結される。さらに、第2ボルト46が、フロントサイドメンバ10に設けられた図示しない一対の第2挿通孔と、クラッシュボックス12の一対の第2貫通孔28と、第2筒状部34の内部(第2中空部40)とに挿通されて締結される。これにより、フロントサイドメンバ10にクラッシュボックス12が取り付けられる。
取付部材30の接続部36の縦壁部36Aが第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1に対向又は当接した状態でクラッシュボックス12がフロントサイドメンバ10に取り付けられるので、仮にこの製造方法により製造された車両Vに前方から衝突荷重が入力されると、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1が取付部材30の接続部36により支持される。取付部材30の第1筒状部32と第2筒状部34とが接続部36により接続されていて独立していないため、上述の比較例で生じる第1取付部材104及び第2取付部材106の回転(図6(B)参照)が抑制又は防止される。このため、クラッシュボックス12から取付部材30へ伝達される衝突荷重のロスが抑えられ、クラッシュボックス12から取付部材30を介してフロントサイドメンバ10に伝達される衝突荷重の低下が抑制される。結果として、クラッシュボックス12からフロントサイドメンバ10への荷重伝達性能(ひいては荷重分散効果)が向上する。
また、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fを支持する取付部材30における接続部36の縦壁部36Aがクラッシュボックス12の挿入方向P側の端面12Hよりも外側(挿入方向P側)に突出されて配置されるので、第1補強リブ12Eの後端部12E1及び第2補強リブ12Fの後端部12F1を切削加工により削る後加工の工程を追加する必要がない。これにより、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fを後加工せずに衝突時のクラッシュボックス12からフロントサイドメンバ10への荷重伝達性能を向上させることができる。
さらに、取付部材30がクラッシュボックス12の後端部12Gに位置決めされた状態で仮留めされているので、クラッシュボックス12をフロントサイドメンバ10の内部へ挿入する際に取付部材30の位置がずれたり落下したりすることを防止できる。
また、本実施形態に係る車両Vの製造方法では、取付部材30を仮留めする工程において、クラッシュボックス12の第1補強リブ12Eが、取付部材30の縦壁部36Aの前面36A1に一体に形成された第1突起部36Dと、第1連結部36Bとで挟持される。同様に、第2補強リブ12Fが、第2突起部36Eと、第2連結部36Cとで挟持される。第1突起部36D及び第2突起部36Eが縦壁部36Aと一体に形成されているので、別途仮留めのための構造を形成する工程を追加する必要がなく、製造工程を減らして製造コストを減少させることができる。
(変形例)
上記実施形態では、図2に示されるように、クラッシュボックス12の第1補強リブ12Eが取付部材30の第1連結部36Bと第1突起部36Dとによって挟持され、第2補強リブ12Fが第2連結部36Cと第2突起部36Eとによって挟持される例を示したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
例えば、図5に示されるように、第1補強リブ12Eは、取付部材300の接続部306の第1連結部306Bと「突起部」としての第1突起部306Dとの間に配置されるが、これらに挟持されていなくてもよい。同様に、第2補強リブ12Fは、第2連結部306Cと「突起部」としての第2突起部306Eとの間に配置されるが、これらに挟持されていなくてもよい。
本変形例においては、第1筒状部302及び第2筒状部304にそれぞれ複数の凹部302A、304Aが車両幅方向に沿って設けられている。また、クラッシュボックス12の第1側壁12A及び第2側壁12Bには、クラッシュボックス12の内部の上側中空部20に向かって凸状に形成されて互いに対向する三対の上側エンボス部308が形成されている。同様に、第1側壁12A及び第2側壁12Bには、クラッシュボックス12の内部の下側中空部24に向かって凸状に形成されて互いに対向する三対の下側エンボス部310が形成されている。なお、第1側壁12Aに形成された上側エンボス部308及び下側エンボス部310は図示されていない。
この変形例では、第1筒状部302の車両幅方向両端部において凹部302Aが上側エンボス部308に嵌合され、第2筒状部304の車両幅方向両端部において凹部304Aが下側エンボス部310に嵌合されている。すなわち、本変形例の車両前部構造が適用された車両Vの製造方法では、第1筒状部302の凹部302A及び第2筒状部304の凹部304Aを上側エンボス部308及び下側エンボス部310にそれぞれ嵌合させることにより、取付部材300を位置決めしてクラッシュボックス12の後端部12Gに仮留めする。
本変形例の構成であっても、上記実施形態と同様に第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fを後加工せずにクラッシュボックス12からフロントサイドメンバ10への荷重伝達性能を向上させることができる。
また、本変形例では、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fが縦壁部306Aの「補強リブ側の面」としての前面306A1に沿って車両上下方向に滑るように変位して大きく変形することを第1突起部306D及び第2突起部306Eが抑制するので、第1突起部306D及び第2突起部306Eが設けられていない構成と比べて、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fの大きな変形を抑制して取付部材300への荷重伝達性能を向上させることができる。
なお、上記変形例においては、上側エンボス部308及び下側エンボス部310がそれぞれ三対ずつ設けられている例を示したが、位置決め及び仮留めができればよいので、上側エンボス部308及び下側エンボス部310の数は三対でなくともよい。例えば、上側エンボス部308及び下側エンボス部310は一対ずつ、又は二対ずつ設けられてもよい。同様に、凹部302A及び凹部304Aの数も三対に限定されず、例えば一対又は二対であってもよい。
また、上記変形例においては、2つの「突起部」としての第1突起部306D及び第2突起部306Eが設けられている例を示したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、突起部が縦壁部306Aの前面306A1に1つだけ設けられている構成としてもよい。この場合でも、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fが縦壁部306Aに沿って車両上下方向に滑りながら変形すると突起部に係止されるので、突起部を備えない構成と比較して、第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fの大きな変形を抑制して取付部材300への荷重伝達性能を向上させることができる。
(その他の変形例)
上記実施形態では、クラッシュボックス12の補強リブは第1補強リブ12E及び第2補強リブ12Fの2つとされている例を示したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、補強リブは1つであってもよい。この場合、第1突起部と第2突起部とで補強リブを挟持してもよいし、突起部を1つだけ設けて、第1連結部36B又は第2連結部36Cと突起部とで補強リブを挟持してもよい。別の例として、補強リブを取付部材の一部で挟持せずに、上述の変形例に示したエンボス部によって取付部材をクラッシュボックスに仮留めしてもよい。
また、上記実施形態では、車両前部構造について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、車両後部構造も本発明の一実施形態である。この場合には、「サイドメンバ」は車両後部の両サイドに配置されるリアサイドメンバであり、クラッシュボックスの「端部」としての前端部が、リアサイドメンバの「先端部」としての後端部の内部へ挿入される。したがって、クラッシュボックスのリアサイドメンバへの挿入方向は車両前方側である。取付部材の接続部は、クラッシュボックスの前端側の端面よりも車両前方側に突出される。この構成においても、クラッシュボックスの後方から衝突荷重が入力された場合のリアサイドメンバへの荷重伝達性能を向上させることができる。さらに、車両前部構造及び車両後部構造の双方に本開示を適用してもよい。
また、上記実施形態では、取付部材30の第1筒状部32及び第2筒状部34は、接続部36に連結された部位を除いて断面略八角形の筒状とされているが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第1筒状部32及び第2筒状部34の断面形状は、例えば円筒状、矩形筒状、六角形の筒状等の他の形状であってもよい。
10 フロントサイドメンバ(サイドメンバ)
10E 前端部(先端部)
12 クラッシュボックス(車両用衝撃吸収部材)
12A 第1側壁(側壁)
12B 第2側壁(側壁)
12E 第1補強リブ(補強リブ)
12E1 後端部(補強リブの端部)
12F 第2補強リブ(補強リブ)
12F1 後端部(補強リブの端部)
12G 後端部(車両用衝撃吸収部材の端部)
12H 端面(車両用衝撃吸収部材の挿入方向側の端面)
16 第1挿通孔
20 上側中空部(中空部)
22 中央中空部(中空部)
24 下側中空部(中空部)
26 第1貫通孔
28 第2貫通孔
30 取付部材
32 第1筒状部
34 第2筒状部
36 接続部
36A 縦壁部
36A1 前面(縦壁部の補強リブ側の面)
36B 第1連結部
36C 第2連結部
36D 第1突起部(突起部)
36E 第2突起部(突起部)
42 第1ボルト(第1締結部材)
44 第1ナット(第1締結部材)
46 第2ボルト(第2締結部材)
48 第2ナット(第2締結部材)
300 取付部材
302 第1筒状部
304 第2筒状部
306 接続部
306A 縦壁部
306A1 前面(縦壁部の補強リブ側の面)
306B 第1連結部
306C 第2連結部
306D 第1突起部(突起部)
306E 第2突起部(突起部)
P 挿入方向
V 車両

Claims (5)

  1. 車両前部及び後部の車両幅方向の両サイドにそれぞれ配置され、各々車両前後方向に沿って延在する中空筒状とされた左右一対のサイドメンバと、
    車両前後方向に沿って全長に亘って一様に延在された閉断面構造とされて、当該閉断面を車両上下方向に複数の中空部に仕切る補強リブを備えると共に、前記サイドメンバの先端部の内部に端部が挿入された左右一対の車両用衝撃吸収部材と、
    前記車両用衝撃吸収部材の車両上側の前記中空部に車両幅方向を長手方向として配置されると共に内部に挿通された第1締結部材により前記サイドメンバ及び前記車両用衝撃吸収部材と共に締結される第1筒状部と、前記第1筒状部と略平行に設けられて前記車両用衝撃吸収部材の車両下側の前記中空部に車両幅方向を長手方向として配置されると共に内部に挿通された第2締結部材により前記サイドメンバ及び前記車両用衝撃吸収部材と共に締結される第2筒状部と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とを車両上下方向に接続すると共に前記車両用衝撃吸収部材の挿入方向側の端面よりも当該挿入方向側に突出されて前記補強リブの端部に対向又は当接する板状の縦壁部を含む接続部と、を備える取付部材と、
    を有する車両構造。
  2. 前記第1筒状部及び前記第2筒状部は、前記車両用衝撃吸収部材の前記端面よりも奥側に配置され、
    前記接続部は、
    前記縦壁部と、
    前記縦壁部から前記車両用衝撃吸収部材の前記閉断面内に向かって突出され、当該縦壁部と前記第1筒状部及び前記第2筒状部とをそれぞれ連結する第1連結部及び第2連結部と、
    前記縦壁部の補強リブ側の面に一体に形成され車両幅方向に延在された突起部と、
    を有する請求項1に記載の車両構造。
  3. 前記補強リブは、前記突起部と前記第1連結部及び前記第2連結部の少なくとも一方とにより挟持される、請求項2に記載の車両構造。
  4. 閉断面構造とされて当該閉断面を高さ方向に複数の中空部に仕切る補強リブを備えた車両用衝撃吸収部材を押出成形により形成する工程と、
    前記車両用衝撃吸収部材の対向する一対の側壁に、当該車両用衝撃吸収部材の高さ方向上側の前記中空部に連通する一対の第1貫通孔と、当該車両用衝撃吸収部材の高さ方向下側の前記中空部に連通する一対の第2貫通孔と、を形成する工程と、
    第1筒状部と、前記第1筒状部と略平行に設けられた第2筒状部と、板状の縦壁部を有して前記第1筒状部と前記第2筒状部とを接続する接続部と、を備える取付部材を、前記第1筒状部が前記一対の第1貫通孔の間に架け渡されると共に前記第2筒状部が前記一対の第2貫通孔の間に架け渡されかつ前記縦壁部が前記補強リブの端部に対向又は当接すると共に前記車両用衝撃吸収部材の端面よりも外側に突出されて配置されるように位置決めして前記車両用衝撃吸収部材の端部に仮留めする工程と、
    前記取付部材が仮留めされた前記車両用衝撃吸収部材の前記端部を中空筒状とされたサイドメンバの内部へ挿入する工程と、
    前記サイドメンバに設けられた一対の第1挿通孔と、前記一対の第1貫通孔と、前記第1筒状部の内部とに第1締結部材を挿通させて締結し、かつ前記サイドメンバに設けられた一対の第2挿通孔と、前記一対の第2貫通孔と、前記第2筒状部の内部とに第2締結部材を挿通させて締結することにより、前記サイドメンバに前記車両用衝撃吸収部材を取り付ける工程と、
    を有する車両の製造方法。
  5. 前記仮留めする工程は、前記縦壁部における前記補強リブ側の面に一体に形成され車両幅方向に延在された突起部と、前記縦壁部と前記第1筒状部及び第2筒状部とをそれぞれ連結する第1連結部及び第2連結部の少なくとも一方とで前記補強リブを挟持することを含む、請求項4に記載の車両の製造方法。
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