以下、図面を参照しながら、本発明に係るカッティングヘッド付きプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
図1は、本実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタ100の正面図である。以下、カッティングヘッド付きプリンタ100のことを単にプリンタ100という。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ100を正面から見たとき(ここでは、印刷時に媒体5が搬送される側からプリンタ100を見たとき)の前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を示している。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。ただし、上記方向は便宜的に定めた方向に過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
図1に示すように、プリンタ100はカッティングヘッド付きのインクジェット式のプリンタである。プリンタ100は、カット機能を有しており、媒体5に対して印刷およびカットをすることが可能なものである。例えば媒体5は、図示は省略するが、台紙と、台紙上に積層され、かつ、粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材である。ただし、媒体5は印刷およびカットが可能な媒体であればよく、その種類は特に限定されない。
本明細書において、「カッティング」、「カット」とは、媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えばシール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えばシール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。
図1に示すように、プリンタ100は、本体10と、脚11とを備えている。本体10は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。脚11は、本体10を支持するものであり、本体10の下面に設けられている。
プリンタ100は、プラテン16と、ガイドレール17とを備えている。プラテン16は支持台の一例である。プラテン16は、媒体5への印刷およびカットを行う際、媒体5を支持するものである。媒体5への印刷およびカットは、プラテン16上で行われる。プラテン16は主走査方向Yに延びている。ガイドレール17は、プラテン16の上方に配置されている。ガイドレール17は、主走査方向Yに延びている。
図2Aおよび図2Bは、インクジェットヘッド20およびカッティングヘッド30の正面図である。図2Aに示すように、プリンタ100は、インクジェットヘッド20と、カッティングヘッド30とを備えている。インクジェットヘッド20は、プラテン16に支持された媒体5に印刷を行う。インクジェットヘッド20は、主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクジェットヘッド20は、キャリッジ21と、インクを吐出する複数のインクヘッド22とを備えている。なお、インクヘッド22については後述する。キャリッジ21は、ガイドレール17に支持されている。キャリッジ21は、ガイドレール17に対して主走査方向Yに移動自在に係合している。ここでは、キャリッジ21には、5つのインクヘッド22が支持されている。
カッティングヘッド30は、プラテン16に支持された媒体5をカットする。カッティングヘッド30は、主走査方向Yに移動可能に構成されている。カッティングヘッド30は、キャリッジ31と、ソレノイド32と、カッター33とを有している。キャリッジ31には、ソレノイド32を介してカッター33が取り付けられている。ソレノイド32がON/OFFされると、カッター33は上下方向に移動して媒体5に向かって移動し、または媒体5から離反する。キャリッジ31は、ガイドレール17に支持されている。キャリッジ31は、ガイドレール17に対して主走査方向Yに移動自在に係合している。
図1に示すように、プリンタ100は、ヘッド移動機構40を備えている。ヘッド移動機構40は、インクヘッド22(図2A参照)およびカッティングヘッド30を主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構40は、インクジェットヘッド20のキャリッジ21、および、カッティングヘッド30のキャリッジ31を主走査方向Yに移動させるように構成されている。本実施形態では、ヘッド移動機構40は、プーリ41と、プーリ42と、ベルト43と、キャリッジモータ44とを備えている。プーリ41は、ガイドレール17の左端側に設けられている。プーリ42は、ガイドレール17の右端側に設けられている。ベルト43は無端状であり、プーリ41とプーリ42とに巻き掛けられている。ベルト43は、キャリッジ31の背面上部に固定されている。右側のプーリ42には、キャリッジモータ44が接続されている。キャリッジモータ44が駆動して、プーリ42が回転することで、プーリ41とプーリ42との間においてベルト43が走行する。このことによって、キャリッジ31は主走査方向Yに移動する。
図2Aに示すように、キャリッジ21の左側部分には、磁石によって構成される連結部材24が設けられている。キャリッジ31の右側部分には、磁石によって構成される連結部材34が設けられている。連結部材24は、カッティングヘッド30の連結部材34に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、連結部材24および連結部材34は、磁力を利用するものである。ただし、連結部材24および連結部材34は、磁力を利用するものに限定されず、係合部材などの他の構成を備えたものであってもよい。キャリッジ21の右側には、L字状に形成された受け金具25が設けられている。
プラテン16の左端部および右端部は、それぞれ左サイドフレーム7Lおよび右サイドフレーム7Rに支持されている。ガイドレール17は、左サイドフレーム7Lおよび右サイドフレーム7Rに支持されている。右サイドフレーム7Rには、インクジェットヘッド20を待機位置HP(図2B参照)にロックするためのロック装置35が設けられている。ロック装置35は、受け金具25に引っ掛けられる受け金具36と、受け金具36をロック位置(図2B参照)と非ロック位置(図2A参照)との間で移動させるロック用ソレノイド37(図7参照)とを備えている。
インクジェットヘッド20による印刷を行う際には、受け金具36が図2Aに示すような非ロック位置に設定される。カッティングヘッド30のキャリッジ31が右方に移動し、連結部材34と連結部材24とが接触すると、キャリッジ31とキャリッジ21とが連結される。その結果、インクジェットヘッド20は、カッティングヘッド30と共に主走査方向Yに移動可能となる。一方、カッティングヘッド30による媒体5のカットの際には、図2Bに示すように、インクジェットヘッド20が待機位置HPに位置付けられ、ロック装置35の受け金具36がロック位置に設定される。このことによって、インクジェットヘッド20の移動が規制される。キャリッジ31が左方に移動すると、連結部材34と連結部材24とが離反し、キャリッジ31とキャリッジ21との連結が解除される。その結果、インクジェットヘッド20が待機位置HPに待機した状態で、カッティングヘッド30が主走査方向Yに移動可能となる。
図1に示すように、プリンタ100は媒体移動機構45を備えている。媒体移動機構45は、プラテン16に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させるものである。媒体移動機構45は、グリットローラ46と、ピンチローラ47と、フィードモータ48(図7参照)とを有している。グリットローラ46は、プラテン16に設けられている。図示は省略するが、グリットローラ46は、グリットローラ46の上部が外部に露出するようにプラテン16に埋設されている。
ピンチローラ47は、媒体5を上から押さえつけるものであり、グリットローラ46の上に配置されている。ピンチローラ47は、グリットローラ46と共に媒体5を挟むものであり、グリットローラ46と対向している。また、ピンチローラ47は、上下方向に移動可能に構成されている。なお、グリットローラ46およびピンチローラ47の数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、グリットローラ46およびピンチローラ47は、それぞれ8つずつ設けられている。複数のグリットローラ46は主走査方向Yに並んで配置され、複数のピンチローラ47は主走査方向Yに並んで配置されている。
図7に示すように、フィードモータ48は、グリットローラ46に接続されている。グリットローラ46とピンチローラ47との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ48が駆動してグリットローラ46が回転すると、媒体5は副走査方向Xに搬送される。
図3は、インク供給システム50を示す模式図である。図4は、インクヘッド22のノズル面26を示す底面図である。プリンタ100は、複数のインク供給システム50(図3参照)を備えている。インク供給システム50は、後述のインクタンク51からインクヘッド22に向かってインクを供給するシステムである。インク供給システム50は、後述するノズル列27a(図4参照)毎に設けられている。図4に示すように、本実施形態では、ノズル列27aの数は5つであるため、インク供給システム50の数は5つである。ただし、インク供給システム50の数は限定されない。ここでは、複数のインク供給システム50は、何れも同じ構成を有している。図3では、複数のインク供給システム50のうちの1つのインク供給システム50が示されおり、他のインク供給システム50の図示は省略されている。なお、複数のインク供給システム50のうち、一部のインク供給システム50の構成は、他のインク供給システム50の構成と異なっていてもよい。以下、図3に示した1つのインク供給システム50の構成について説明する。
図3に示すように、インク供給システム50は、インクタンク51と、インクヘッド22と、ダンパー55と、インク流路56と、開閉バルブ58と、送液ポンプ59とを備えている。
インクタンク51は、インクを貯留するものである。インクタンク51とは、例えばインクカートリッジのことである。なお、インクタンク51の形状は特に限定されず、例えばパウチ状である。なお、本実施形態では、インクタンク51の数は、インク供給システム50の数と同じ5つである。ただし、インクタンク51の数は特に限定されない。1つのインクタンク51に貯留されるインクは、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、および、ブラックインクなどのプロセスカラーインクと、ホワイトインク、メタリックインク、オレンジインク、および、クリアインクなどの特色インクのうちの何れかのインクである。
なお、本実施形態では、プリンタ100は、残量センサ52を備えている。残量センサ52は、インク量検出装置の一例である。残量センサ52は、インクタンク51に設けられており、インクタンク51に貯留されたインクのインク量(言い換えると、貯留量)を検出するものである。本実施形態では、残量センサ52は、インクタンク51に貯留されたインク量が所定の判定量以下であることを検出するセンサである。この判定量は、インクタンク51内のインクが空になっていること、または、少量になっていることを示す値であり、インク量が判定量以下の場合、インクタンク51を新しいインクタンク51に交換する時期であると判定される。なお、残量センサ52の種類は特に限定されず、例えばフォトインタラプタである。
インクヘッド22は、プラテン16(図1参照)に支持された媒体5(図1参照)に向かってインクを吐出する。図2Aに示すように、インクヘッド22は、キャリッジ21に設けられており、キャリッジ21と共にガイドレール17に沿って主走査方向Yに移動可能である。図4に示すように、インクヘッド22は、インクを吐出する複数のノズル27が形成されたノズル面26を有している。1つのインクヘッド22において、複数のノズル27は副走査方向Xに並んで配置されている。ここでは、副走査方向Xに並んだ複数のノズル27の列のことをノズル列27aという。ノズル面26は、インクヘッド22の下面を形成しており、プラテン16と対向している。
なお、インクヘッド22の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド22の数は、インク供給システム50の数と同じ5つである。5つのインクヘッド22は、主走査方向Yに並んで配置されている。ただし、インクヘッド22の数は、インク供給システム50の数と同じでなくてもよい。例えば、1つのインクヘッド22のノズル面26に2つのノズル列27aが形成されていてもよい。この場合、1つのインクヘッド22のそれぞれのノズル列27aは、異なるインク供給システム50を構成していてもよい。この場合、インクヘッド22の数は、インク供給システム50の数の半分となる。
図3に示すように、ダンパー55は、インクの圧力変動を緩和して、インクヘッド22のインクの吐出動作を安定させるものである。ダンパー55は、例えばダンパー55に流入するインクの流量(言い換えると、ダンパー55内の圧力)を検出する。そして、インクの流量の検出結果に基づいて、送液ポンプ59が制御される。ダンパー55はインクヘッド22に接続されている。ここでは、ダンパー55は、インクヘッド22の上部に配置されている。
インク流路56は、インクタンク51に貯留されたインクをインクヘッド22に供給する流路である。インク流路56の一端はインクタンク51に接続されている。インク流路56の他端は、ダンパー55を介してインクヘッド22に接続されている。本実施形態では、インク流路56の途中部分に、開閉バルブ58および送液ポンプ59が設けられている。インク流路56は、第1流路56aと、第2流路56bと、第3流路56cとを有している。
第1流路56aは、インクタンク51に貯留されたインクを開閉バルブ58に向かって流す流路である。第1流路56aの一端はインクタンク51に着脱可能に接続されている。第1流路56aの他端は開閉バルブ58に接続されている。第2流路56bは、開閉バルブ58から送液ポンプ59に向かってインクを流す流路である。第2流路56bの一端は開閉バルブ58に接続されている。第2流路56bの他端は送液ポンプ59に接続されている。第3流路56cは、送液ポンプ59からインクヘッド22に向かってインクを流す流路である。第3流路56cの一端は送液ポンプ59に接続されている。第3流路56cの他端はダンパー55に接続されており、ダンパー55を介してインクヘッド22に接続されている。
開閉バルブ58は、開閉自在であり、インク流路56を開閉するバルブである。開閉バルブ58が開放されることで、インクタンク51に貯留されたインクをインクヘッド22に供給することが可能になる。開閉バルブ58は、第1流路56aと第2流路56bとの間に設けられている。なお、開閉バルブ58の種類は特に限定されない。ここでは、開閉バルブ58は、電気的に制御されるバルブであり、例えばチョークバルブである。
送液ポンプ59は、インクタンク51内のインクをインクヘッド22に供給すると共に、インクヘッド22からインクを吐出させることを促進させるためのポンプである。送液ポンプ59の種類は特に限定されないが、例えば開閉可能なチューブポンプである。送液ポンプ59は、第2流路56bと第3流路56cとの間に設けられている。
図3に示すように、プリンタ100は、キャップユニット60を備えている。キャップユニット60は、キャップ61と、キャッピング機構62と、吸引ポンプ63とを備えている。キャップ61は、ガイドレール17の右端部に位置する待機位置HP(図2B参照)に配置されている。ここで、待機位置HPとは、印刷が行われていないとき、インクヘッド22が待機する位置のことである。キャップ61は、インクヘッド22のノズル27に付着したインクが硬化して、ノズル27が詰まるなどの吐出不良が発生することを抑制するものである。キャップ61は、インクヘッド22のノズル面26に装着される。キャップ61は、非印刷時において、インクヘッド22のノズル27を覆うようにインクヘッド22に装着されることが可能である。
キャッピング機構62は、キャップ61を支持し、図3の矢印Aのようにキャップ61を移動させる。キャッピング機構62は、ノズル面26に対してキャップ61を装着させたり、離間させたりする機構である。キャッピング機構62は、キャップ61に接続されている。キャッピング機構62は、待機位置HP(図2B参照)においてインクヘッド22のノズル面26に向かってキャップ61を移動させる機構である。このキャッピング機構62の構成は特に限定されない。例えばキャッピング機構62は、駆動モータと、駆動モータとキャップ61とを繋ぐリンク機構とを備えている。この駆動モータが駆動することで、リンク機構を介してキャップ61は、ノズル面26に向かって移動したり、ノズル面26から離間したりする。
吸引ポンプ63は、ノズル面26にキャップ61が装着されている状態において、インクヘッド22内のインクを吸引するものである。また、吸引ポンプ63は、キャップ61内のインクを吸引する。吸引ポンプ63は、キャップ61に接続されている。ここでは、キャップ61は、チューブを一例とする排出流路64を介して廃液タンク65に接続されている。吸引ポンプ63は、排出流路64の途中部分に設けられている。吸引ポンプ63によって吸引されたインクは、廃液タンク65に排出される。
図5は、ワイパーユニット70の正面図である。図5に示すように、プリンタ100は、ワイパーユニット70を備えている。ワイパーユニット70は、ガイドレール17の右端部分であって、上記待機位置HP(図2B参照)の近傍(例えば待機位置HPの左方)に配置されている。ワイパーユニット70は、インクヘッド22のノズル面26を拭ってワイピングする機構である。図5に示すように、ワイパーユニット70は、ワイパー71と、ワイピング機構72とを備えている。ワイパー71は、インクヘッド22のノズル面26を拭う部材であり、ノズル面26と接触可能である。ワイパー71は、前後方向と上下方向に延びる平板状の部材である。ワイパー71の前後方向の長さは、インクヘッド22の前後方向の長さよりも長く構成されている。ワイパー71は、例えばゴムで形成されている。
ワイピング機構72は、ワイパー71を支持し、ワイパー71をインクヘッド22のノズル面26に接触させたり、ノズル面26から離間させたりするものである。ワイピング機構72は、回転軸73と、洗浄液槽74と、回転モータ75とを備えている。回転軸73は、ワイパー71の一端を支持しており、ワイパー71の一端に接続されている。ワイパー71は回転軸73を中心に回転可能である。回転軸73は、前後方向に延びている。ワイパー71が、回転軸73から遠い方の端部を上にするような回転位置に配置されるとき、当該端部は、インクヘッド22のノズル面26よりもわずかに高い位置に位置する。そこで、ワイパー71をこのような回転位置に配置しつつ、キャリッジ21を走行させると、ワイパー71によりノズル面26をワイピングすることができる。一方、ワイパー71は、回転軸73から遠い方の端部を下にするよう回転位置に配置されるとき、回転軸73お下方に設置された洗浄液槽74内の洗浄液に浸漬される。ワイパー71は、回転モータ75によって回転される。
なお、本実施形態では、ヘッド移動機構40(図1参照)によってインクヘッド22を主走査方向Yに移動させることで、ワイパー71に対してインクヘッド22を相対的に主走査方向Yに移動させている。
図1に示すように、プリンタ100は、操作パネル80を備えている。操作パネル80は、利用者が印刷およびカットに関することを操作するものである。例えば操作パネル80は、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する各種設定や、カットに関する各種設定を行うことができ、かつ、印刷およびカットの各種設定を表示することができる。操作パネル80の設置位置は特に限定されない。本実施形態では、操作パネル80は、本体10の右側の前面に配置されている。また、操作パネル80の構成も特に限定されない。
図6は、操作パネル80を示す模式図である。図6に示すように、操作パネル80は、表示画面81と、操作部82とを有している。表示画面81は、印刷およびカットに関する情報が表示される画面である。表示画面81の構成は特に限定されない。例えば表示画面81は、文字のみが表示されるものであってもよいし、文字の他に画像が表示されるものであってもよい。表示画面81は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。
操作部82は、印刷およびカットに関する設定をする際に、利用者が各種のパラメータなどを入力するためのものであり、利用者によって操作されるものである。操作部82の構成は特に限定されない。ここでは、操作部82は、複数のボタンを有している。具体的には操作部82は、電源ボタン83と、ファンクションボタン84と、メニューボタン85と、エンターボタン86と、カーソルボタン87と、ポーズボタン88、モードボタン89とを有している。
電源ボタン83は、プリンタ100の待機状態のONまたはOFFを設定するボタンである。ファンクションボタン84は、ファンクションメニュー画面を表示画面81に表示するボタンである。ここで、ファンクションメニュー画面とは、例えば印刷、カット、クリーニングなどの項目の設定などが表示される画面である。メニューボタン85は、メインメニュー画面を表示画面81に表示するボタンである。ここで、メインメニュー画面とは、例えばプリンタ100の型番、ファームウェアのバージョン、ネットワークに関する情報、各種のパラメータの設定などが表示される画面である。エンターボタン86は、表示画面81に表示された複数の項目の中から、利用者が設定したい項目などを決定するボタンである。
カーソルボタン87とは、表示画面81に表示された複数の項目から、利用者が設定したい項目を選択するボタンである。例えばカーソルボタン87は、上ボタン87Uと、下ボタン87Dと、左ボタン87Lと、右ボタン87Rとを有している。利用者は、上ボタン87U、下ボタン87D、左ボタン87L、右ボタン87Rを適宜操作することで、表示画面81に表示された項目を選択することができる。ポーズボタン88は、印刷中またはカット中、一時的に印刷またはカットを停止するボタンである。モードボタン89の詳細な説明は後述する。
図1に示すように、プリンタ100は、制御装置90を備えている。制御装置90は、媒体5への印刷および媒体5のカットに関する制御をする装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、I/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。制御装置90は、本体10の内部に設けられている。ただし、制御装置90は本体10の内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置90は、本体10の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置90は、有線または無線を介して本体10と通信可能に接続されている。
図7は、プリンタ100のブロック図である。図7に示すように、制御装置90は、操作パネル80、媒体移動機構45のフィードモータ48、ヘッド移動機構40のキャリッジモータ44、インクヘッド22、および、カッティングヘッド30のソレノイド32に電気的かつ通信可能に接続されており、操作パネル80、フィードモータ48、キャリッジモータ44、インクヘッド22、および、ソレノイド32を制御する。また、制御装置90は、残量センサ52、開閉バルブ58、送液ポンプ59、キャップユニット60のキャッピング機構62および吸引ポンプ63、ワイパーユニット70のワイピング機構72の回転モータ75に電気的かつ通信可能に接続されており、残量センサ52、開閉バルブ58、送液ポンプ59、キャッピング機構62、吸引ポンプ63、および、回転モータ75を制御する。
本実施形態では、制御装置90は、記憶部91と、印刷制御部92と、カッティング制御部93と、吸引制御部95と、ワイピング制御部96と、キャッピング制御部97と、モード取得部98と、通常クリーニング制御部101と、クリーニング制御部102と、非クリーニング制御部103とを備えている。制御装置90は、さらに回数取得部105と、回数判定部106と、ワイパー交換通知制御部107と、ワイパー交換非通知制御部108と、インク量判定部111と、空インク通知制御部112と、空インク非通知制御部113と、クリーニング日時取得部115と、クリーニング判定部116と、マニュアルクリーニング通知制御部117と、マニュアルクリーニング非通知制御部118とを備えている。制御装置90の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、制御装置90の各部は、プロセッサによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。また、制御装置90の各部がプロセッサによって実現されている場合、1つのプロセッサによって実現されてもよいし、複数のプロセッサによって実現されてもよい。なお、制御装置90の各部の機能に関する詳しい説明は後述する。
ところで、本実施形態に係るプリンタ100は、上述のようにカッティングヘッド付きのプリンタであり、媒体5に対して印刷およびカットが可能である。図8は、設定モードM1の種類を示す図である。図8において、処理1とは、該当するモードにおいて最初に行われる処理を示しており、処理2とは、該当するモードにおいて2番目に行われる処理を示している。
以下の説明において、プラテン16に支持された媒体5に対して、インクヘッド22によって印刷を行う処理を印刷処理P1(図8参照)という。印刷処理P1は、印刷対象となる印刷データに基づいて、インクヘッド22から媒体5にインクを吐出することで画像を印刷する処理である。本実施形態では、印刷処理P1は、印刷制御部92(図7参照)によって実行される。印刷制御部92は、印刷を行う際、キャリッジモータ44を駆動することによりインクヘッド22を主走査方向Yに移動させつつ、印刷データに基づいた位置でインクヘッド22からインクを吐出させる。これにより、一走査ラインにおける画像の印刷が行われる。インクヘッド22の主走査方向Yの移動が済むと、印刷制御部92は、フィードモータ48を駆動させることにより、次の走査ラインの位置まで媒体5を前方に搬送する。媒体5の前方への搬送が済むと、印刷制御部92は、再びキャリッジモータ44を駆動すると共にインクヘッド22を駆動し、次の走査ラインの画像の印刷を行う。以下、画像の終了まで同様の動作を繰り返すことで、媒体5への印刷処理P1が終了する。
本実施形態では、プラテン16に支持された媒体5に対して、カッティングヘッド30によってカットする処理をカット処理P2(図8参照)という。カット処理P2は、カットデータに基づいて、カッティングヘッド30のカッター33を媒体5に接触させることで、媒体5をカットする処理である。本実施形態では、カット処理P2は、カッティング制御部93(図7参照)によって実行される。カッティング制御部93は、媒体5のカットを行う際、カットデータに予め設定されたカット線に沿って媒体5をカットする。カッティング制御部93は、キャリッジモータ44を駆動すると共に、フィードモータ48を駆動することによって、媒体5に対してカッティングヘッド30を2次元的に相対移動させる。そして、カッティング制御部93がソレノイド32をONすると、カッター33を媒体5に押し当てることができる。カッター33を媒体5に押し当てた状態で、カッティングヘッド30を媒体5に対して相対移動させることによって、媒体5をカット線に沿ってカットすることができる。
本実施形態に係るプリンタ100には、図8に示すように、複数の設定モードM1が予め設定されている。利用者は複数の設定モードM1から1つのモードを設定することが可能である。プリンタ100は、利用者によって選択された設定モードM1に基づいて、印刷やカットなどの処理を実行する。本実施形態では、設定モードM1は、印刷モードM11と、カットモードM12と、印刷カットモードM13と、カット印刷モードM14とを有している。印刷モードM11は、印刷処理P1が行われ、かつ、カット処理P2が行われないモードである。カットモードM12は、カット処理P2が行われ、印刷処理P1が行われないモードである。印刷カットモードM13は、印刷処理P1の後にカット処理P2が行われるモードである。カット印刷モードM14は、カット処理P2の後に印刷処理P1が行われるモードである。
なお、設定モードM1は、上記のモード以外の他のモードを有していてもよい。例えば設定モードM1は、非処理モードM15を有していてもよい。非処理モードM15は、印刷およびカットなどの処理が行われないモードであり、印刷モードM11、カットモードM12、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14の何れも設定されていないモードである。この非処理モードM15は、後述のモードボタン89(図6参照)によってモードが設定されないときに、制御装置90側で自動的に設定されるモードである。非処理モードM15は、例えば印刷およびカットに関するジョブが存在していない状態で、プリンタ100の電源がONされたときに設定されるモードである。
本実施形態では、操作パネル80の操作部82のモードボタン89(図6参照)を利用者が操作することで、利用者によって設定モードM1から1つのモードが設定される。モードボタン89は、モード設定装置の一例である。例えばモードボタン89を押す毎に、利用者が選択する設定モードM1が切り替わる。例えばモードボタン89を押す毎に、印刷モードM11、カットモードM12、印刷カットモードM13、カット印刷モードM14の順に設定モードM1が切り替わる。例えばモードボタン89を押すことで選択された設定モードM1は、表示画面81に表示されてもよい。表示画面81に表示された設定モードM1が現在設定されている設定モードM1となる。例えば表示画面81に印刷カットモードM13が表示されている場合、設定モードM1として印刷カットモードM13が選択されていることとなる。ただし、利用者によって設定された設定モードM1を、操作パネル80に設けられたLED(図示せず)を点灯させることで表示してもよい。例えば各モードM11〜M14に対して、LEDの異なる色が設定されており、モードボタン89を押す毎に、設定された設定モードM1に対応した色でLEDを点灯してもよい。現在選択されている設定モードM1は、記憶部91に記憶される。なお、例えば設定モードM1としてモードM11〜M14の何れも設定されていない状態で、モードボタン89が一切操作されない場合には、設定モードM1として非処理モードM15が設定される。
なお、このモードボタン89は省略されてもよい。この場合、例えば設定モードM1を選択する項目が上記ファンクションメニュー画面に示されてもよい。この場合、図6に示すように、利用者がファンクションボタン84を押すことで、表示画面81に上記ファンクションメニュー画面を表示する。利用者は、カーソルボタン87およびエンターボタン86を適宜操作することで、設定モードM1を設定する項目を選択する。そして、利用者は、カーソルボタン87およびエンターボタン86を適宜操作することで、設定モードM1の中から1つのモードを選択する。この場合、本発明のモード設定装置は、ファンクションボタン84、カーソルボタン87およびエンターボタン86によって構成されている。
図9は、クリーニング処理P3の一例を示すフローチャートである。プリンタ100では、インクヘッド22のノズルの詰まりや吐出不良が発生することを抑制するために、インクヘッド22に対するクリーニング処理P3(図9参照)が行われる。このクリーニング処理P3は、例えば吸引処理P41と、ワイピング処理P42と、キャッピング処理P43とから構成されており、吸引処理P41、ワイピング処理P42およびキャッピング処理P43の順に行われる。ここで、吸引処理P41とは、キャップ61(図3参照)をインクヘッド22のノズル面26に装着させ、かつ、インクヘッド22のノズル27からインクを吸引する処理である。言い換えると、吸引処理P41では、インクヘッド22のノズル27内のインクをキャップ61に排出する。本実施形態では、吸引処理P41は、吸引制御部95(図7参照)によって行われる。吸引制御部95は、キャップ61をインクヘッド22のノズル面26に装着させるようにキャップユニット60のキャッピング機構62を制御する。このとき、ノズル面26とキャップ61との間には、密閉空間が形成されている。ノズル面26にキャップ61が装着された後、吸引制御部95は、吸引ポンプ63を駆動させて、上記密閉空間内を減圧させる。このことで、ノズル27内のインクが吸引される。
ワイピング処理P42では、インクヘッド22のノズル面26をワイパー71(図5参照)でワイピングするようにワイピング機構72を制御する処理である。本実施形態では、ワイピング処理P42は、ワイピング制御部96(図7参照)によって行われる。ワイピング制御部96は、ワイパーユニット70の上方にインクヘッド22が移動するようにヘッド移動機構40を制御する。そして、インクヘッド22がワイパーユニット70の上方を通過するとき、ワイピング制御部96は、ワイピング機構72を制御することでワイパー71を回転させ、ワイパー71でインクヘッド22のノズル面26をワイピングする。ここでは、全てのインクヘッド22のノズル面26に対して、同時にワイピングが行われずに、1つずつインクヘッド22のノズル面26に対するワイピングが行われる。
キャッピング処理P43は、ワイピング処理P42の後、インクヘッド22のノズル面26にキャップ61を装着した状態にする処理である。ここでは、キャッピング処理P43は、キャッピング制御部97(図7参照)によって行われる。キャッピング制御部97は、キャップ61をインクヘッド22のノズル面26に装着させるようにキャッピング機構62を制御する。このように、ノズル面26にキャップ61を装着した状態にすることで、ノズル27内のインクを固まり難くすることができる。
クリーニング処理P3は、例えばプリンタ100の待機中に行われる処理である。ここで、「待機中」とは、プリンタ100が印刷処理P1およびカット処理P2の両方の処理を実行していないときであり、インクヘッド22およびカッティングヘッド30が、上述の待機位置HP(図2B参照)に待機しているときのことをいう。本実施形態では、図9に示すように、クリーニング処理P3には、定期クリーニング処理P31と、通常クリーニング処理P32とが存在する。定期クリーニング処理P31および通常クリーニング処理P32は、制御装置90によって自動で行われる処理であり、少なくとも吸引処理P41、ワイピング処理P42、および、キャッピング処理P43が順に行われる処理である。なお、定期クリーニング処理P31および通常クリーニング処理P32では、インクヘッド22のノズル面26にキャップ61が装着されている状態で、キャップ61内に所定の量のインクをインクヘッド22から吐出させるフラッシング処理(図示せず)が実行されていてもよい。
定期クリーニング処理P31とは、プリンタ100の待機中、所定の時間毎に行われるクリーニング処理P3である。所定の時間とは、特に限定されておらずプリンタ100によって適宜設定されるものである。所定の時間は、例えば8時間である。本実施形態では、定期クリーニング処理P31では、プリンタ100が待機中のとき、8時間毎にクリーニング処理P3が行われる。定期クリーニング処理P31は、クリーニング制御部102(図7参照)によって行われる。通常クリーニング処理P32とは、例えば印刷処理P1が行われる前に実行される処理である。また、後述するマニュアルクリーニング処理の後に、通常クリーニング処理P32は実行される。通常クリーニング処理P32は、通常クリーニング制御部101によって行われる。
なお、本実施形態では、定期クリーニング処理P31と通常クリーニング処理P32とでは、吸引処理P41のときのインクの吸引量が異なる。ここでは、通常クリーニング処理P32の吸引処理P41のときのインクの吸引量は、定期クリーニング処理P31の吸引処理P41のときのインクの吸引量よりも多い。例えば定期クリーニング処理P31の吸引処理P41のときのインクの吸引量は、第1の量である。通常クリーニング処理P32の吸引処理P41のときのインクの吸引量は、第1の量よりも多い第2の量である。
本実施形態では、制御装置90が自動で行う定期クリーニング処理P31および通常クリーニング処理P32以外に、マニュアルクリーニング処理(図示せず)を行うことが可能である。ここで、マニュアルクリーニング処理とは、利用者が手動でインクヘッド22のノズル面26をクリーニングする処理のことをいう。マニュアルクリーニング処理の具体的な内容は特に限定されない。例えばマニュアルクリーニング処理では、利用者は、図示しない綿棒などのクリーニングツールを使用して、当該クリーニングツールでノズル面26を拭う。このことによって、ノズル面26に付着したインクを拭き取ることができる。
なお、本実施形態では、プリンタ100は、マニュアルクリーニング処理を行ったことを記録する機能を有している。例えば操作パネル80の表示画面81に表示されるファンクションメニュー画面であって、ファンクションボタン84(図6参照)を押すことで表示されるファンクションメニュー画面には、マニュアルクリーニング実施項目が含まれている。利用者は、カーソルボタン87およびエンターボタン86を操作して、上記マニュアルクリーニング実施項目を選択して決定することで、マニュアルクリーニング処理が行われた日時であるマニュアルクリーニング日時が記憶部91に記憶される。本実施形態では、上記ファンクションメニュー画面の上記マニュアルクリーニング実施項目、カーソルボタン87、および、エンターボタン86がクリーニング入力装置として機能している。
また、本実施形態では、上記マニュアルクリーニング実施項目が選択および決定されて、マニュアルクリーニング処理が行われたことが入力されたタイミングで、通常クリーニング制御部101は、通常クリーニング処理P32(図9参照)を行う。このことによって、ノズル27から吐出されるインクを安定させることができる。
ところで、本実施形態のようなカッティングヘッド付きのプリンタ100の場合、カット処理P2を行わずに、印刷処理P1のみを主としてプリンタ100を利用する利用者や、印刷処理P1を行わずに、カット処理P2のみ(言い換えると、カットモードM12のみ)を主としてプリンタ100を利用する利用者がいる。例えばカット処理P2のみを主としてプリンタ100を利用する場合、カッティングヘッド30が使用される状態ではあるが、インクヘッド22は使用される状態ではなく、印刷を目的としてインクヘッド22のノズル27からインクは吐出されない。
図9に示す定期クリーニング処理P31は、従来においては、プリンタ100の待機中、所定の時間毎に行われる処理であり、カット処理P2のみが主として行われているプリンタ100に対しても行われる処理である。この定期クリーニング処理P31では、吸引処理P41が行われるためインクタンク51内のインクが消費される。そのため、カット処理P2のみが主として行われているプリンタ100であっても、定期クリーニング処理P31が行われるため、インクタンク51内のインクは消費される。定期クリーニング処理P31によって消費されるインクは、無駄なインクであり、特にカット処理P2のみが主として行われているプリンタ100に対して、定期クリーニング処理P31によって発生するインクの消費は、より少ないほうが好ましい。
そこで、本実施形態では、設定モードM1に基づいて定期クリーニング処理P31の有無を切り替えることとした。例えば設定モードM1としてカットモードM12が設定されている場合には、定期クリーニング処理P31は行われず、印刷モードM11、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14の何れかが設定されている場合には、定期クリーニング処理P31を行われることとした。また、設定モードM1として、非処理モードM15が設定されている場合には、定期クリーニング処理P31が行われることとした。このことによって、カット処理P2のみが行われる設定モードM1のときには、定期クリーニング処理P31は行われず、無駄なインクを消費することを抑制することができる。
以下、設定モードM1に基づいて定期クリーニング処理P31の有無を切り替える具体的な手順について図10のフローチャートに沿って説明する。ここでは、プリンタ100の待機中に、図10のフローチャートの各ステップが実行されるものとする。
まず、図10のステップS101では、モード取得部98は、設定モードM1を取得する。ここでは、利用者が操作パネル80の操作部82(図6参照)を操作することで設定された設定モードM1の種類が記憶部91に記憶されている。そのため、モード取得部98は、記憶部91に記憶された設定モードM1であって、利用者が操作パネル80の操作部82を操作して設定した設定モードM1を取得する。
次にステップS103では、モード取得部98によって取得された設定モードM1がカットモードM12であるか否かを判定する。設定モードM1がカットモードM12である場合には、ステップS105に進む。
ステップS105では、非クリーニング制御部103は、定期クリーニング処理P31(図9参照)を行わない。すなわち、ステップS105では、プリンタ100の待機中でカットモードM12のとき、ノズル27内のインクは排出されないため、インクタンク51のインクは消費されない。
一方、ステップS103において、モード取得部98によって取得された設定モードM1がカットモードM12ではない場合、すなわち、設定モードM1が印刷モードM11、印刷カットモードM13、カット印刷モードM14および非処理モードM15の何れかである場合、ステップS107に進む。ステップS107では、クリーニング制御部102は、定期クリーニング処理P31を行う。すなわち、ステップS107では、プリンタ100の待機中、所定の時間毎に、定期クリーニング処理P31が行われるため、インクタンク51内のインクが消費される。
このように本実施形態では、プリンタ100に設定されている設定モードM1に基づいて、定期クリーニング処理P31が行われるか否かが決定されていた。しかしながら、プリンタ100に設定されている設定モードM1に基づいて、定期クリーニング処理P31以外の後述の各通知処理P51、P52、P53が行われるか否かが決定されてもよい。
図11は、ワイパー交換通知処理P51の手順を示したフローチャートである。図12は、空インク通知処理P52の手順を示したフローチャートである。図13は、マニュアルクリーニング通知処理P53の手順を示したフローチャートである。上記の各通知処理として、例えばワイパー交換通知処理P51(図11参照)、空インク通知処理P52(図12参照)、マニュアルクリーニング通知処理P53(図13)などが挙げられる。
ワイパー交換通知処理P51とは、ワイパー71(図5参照)を交換する旨を利用者に通知する処理である。本実施形態では、ワイパー71は消耗品であり、クリーニング処理P3のワイピング処理P42(図9参照)が行われる度に、ワイパー71は消耗されていくものである。そのため、ワイパー71によるワイピングの回数であるワイピング回数がある程度の回数になったときには、ワイパー71を交換した方が適切にワイピング処理P42を行うことができる。以上のことから、ワイパー交換通知処理P51では、ワイパー71によるワイピング回数が所定の判定回数よりも多くなったときに通知を行う。
本実施形態では、ワイパー交換通知処理P51は、回数取得部105、回数判定部106、および、ワイパー交換通知制御部107によって実行され、図11のフローチャートに沿って行われる。具体的には、まず図11のステップS201では、回数取得部105は、ワイパー71がノズル面26をワイピングしたワイピング回数を取得する。ここでは、ワイピング回数は、ワイピング処理P42が行われる毎に制御装置90がカウントし、記憶部91に記憶されている。そのため、回数取得部105は、記憶部91に記憶されたワイピング回数を取得する。ここで、ワイピング回数が1回とは、例えばワイパー71がノズル面26を所定の方向(例えば主走査方向Y)に1回移動することをいう。
次に、ステップS203では、回数判定部106は、回数取得部105によって取得されたワイピング回数が所定の判定回数よりも多いか否かを判定する。ここで、判定回数とは、記憶部91に予め記憶されたものであり、ワイパー71の材質などによって適宜に設定されるものである。ステップS203において、ワイピング回数が所定の判定回数よりも多いと判定された場合、次にステップS205に進む。ステップS205では、ワイパー交換通知制御部107は、利用者にワイパー71を交換する通知を行う。
空インク通知処理P52とは、インクタンク51内のインクが少量になり、利用者にインクタンク51を交換する旨を通知する処理である。インクタンク51内のインクは、インクヘッド22のノズル27からインクが吐出されることで消費される。例えば印刷を行うときや、吸引処理P41、フラッシング処理(図示せず)を行うときになどに、インクタンク51内のインクが消費される。本実施形態では、空インク通知処理P52は、残量センサ52(図3参照)を利用して、インク量判定部111、および、空インク通知制御部112によって実行され、図12のフローチャートに沿って行われる。
具体的には、まず図12のステップS301では、インク量判定部111は、インクタンク51に貯留されているインク量が所定の判定量以下であるか否かを判定する。ここでは、残量センサ52によって、インクタンク51内のインク量が所定の判定量以下であるか否かが判定される。そのため、インク量判定部111は、残量センサ52から送信される信号に基づいて、インクタンク51内のインク量が所定の判定量以下であるか否かを判定することができる。ここで、所定の判定量は、記憶部91に予め記憶されているものであり、インクタンク51の容量などによって適宜に設定されるものである。
ステップS301において、インクタンク51内のインク量が所定の判定量以下であると判定された場合、次にステップS303に進む。ステップS303では、空インク通知制御部112は、インクタンク51内のインクが少量であることを利用者に通知する。
マニュアルクリーニング通知処理P53は、利用者が手動でマニュアルクリーニング処理を行った方がよい旨を通知する処理である。本実施形態では、プリンタ100が待機中でカットモードM12のとき、定期クリーニング処理P31は行われない。このとき、ノズル面26の最低限のクリーニング処理を行うために、定期的にマニュアルクリーニング処理が行われるとよい。そこで、マニュアルクリーニング通知処理P53では、所定の経過期間の間、利用者によってマニュアルクリーニング処理が行われなかった場合、マニュアルクリーニング処理を行う旨の通知を利用者に行う。本実施形態では、マニュアルクリーニング通知処理P53は、クリーニング日時取得部115と、クリーニング判定部116と、マニュアルクリーニング通知制御部117によって実行され、図13のフローチャートに沿って行われる。
具体的には、図13のステップS401では、クリーニング日時取得部115は、操作パネル80を利用者が操作することで入力されたマニュアルクリーニング日時を取得する。本実施形態では、利用者が操作パネル80を操作することで入力されたマニュアルクリーニング日時は記憶部91に記憶される。そのため、クリーニング日時取得部115は、記憶部91からマニュアルクリーニング日時を取得する。
次に、ステップS403では、クリーニング判定部116は、クリーニング日時取得部115によって取得された最新のマニュアルクリーニング日時から所定の経過時間が経過したか否かを判定する。ステップS403において、最新のマニュアルクリーニング日時から所定の経過時間が経過していると判定されたとき、次にステップS405に進む。
ステップS405では、マニュアルクリーニング通知制御部117は、クリーニング判定部116によって、最新のマニュアルクリーニング日時から経過時間が経過したと判定されたときに、マニュアルクリーニング処理を行うことを利用者に通知する。
次に、上述の通知処理P51、P52、P53が行われるか否かの制御について、図14のフローチャートに沿って説明する。なお、図14のステップS505およびステップS507において「YES」は、処理を行うことを示し、「NO」は処理を行わないことを示している。ここでは、プリンタ100の待機中に、図14のフローチャートの各ステップが実行されるものとする。
まず、ステップS501では、モード取得部98は、設定モードM1を取得する。なお、ステップS501は、図10のステップS101と同様のステップであるため、ここでの説明は省略する。
次にステップS503では、モード取得部98によって取得された設定モードM1がカットモードM12であるか否かを判定する。設定モードM1がカットモードM12である場合には、ステップS505に進む。
ステップS505では、ワイパー交換通知処理P51、および、空インク通知処理P52は行われず、マニュアルクリーニング通知処理P53が行われる。ステップS505では、ワイパー交換非通知制御部108がワイパー交換通知処理P51を行わないように構成されており、空インク非通知制御部113が空インク通知処理P52を行わないように構成されている。また、ステップS505では、マニュアルクリーニング通知制御部117がマニュアルクリーニング通知処理P53を行うように構成されている。そのため、ステップS505では、プリンタ100の待機中において、最新のマニュアルクリーニング日時から所定の経過時間が経過したとき、マニュアルクリーニング処理を行うことが利用者に通知される。
一方、ステップS503において、モード取得部98によって取得された設定モードM1がカットモードM12ではない場合、すなわち、設定モードM1が印刷モードM11、印刷カットモードM13、カット印刷モードM14および非処理モードM15の何れかである場合、ステップS507に進む。ステップS507では、ワイパー交換通知処理P51、および、空インク通知処理P52は行われ、マニュアルクリーニング通知処理P53が行われない。ステップS507では、ワイパー交換通知制御部107がワイパー交換通知処理P51を行うように構成されており、空インク通知制御部112が空インク通知処理P52を行うように構成されている。また、ステップS507では、マニュアルクリーニング非通知制御部118がマニュアルクリーニング通知処理P53を行わないように構成されている。
そのため、ステップS507では、プリンタ100の待機中、回数判定部106によってワイピング回数が判定回数よりも多いと判定されたときに、利用者にワイパー71を交換する通知を行う処理が行われる。また、ステップS507では、プリンタ100の待機中、インク量判定部111によってインクタンク51内のインク量が判定量以下と判定されたときに、インクタンク51内のインクが少量であることを通知する処理が行われる。
なお、本実施形態において、上述の通知処理P51、P52、P53の通知に関して、具体的な通知方法は特に限定されない。例えば、通知方法として操作パネル80の表示画面81(図6参照)に、該当する通知メッセージを表示するものであってもよいし、本体10に設けられたLED(図示せず)を点灯することで、利用者に通知するものであってもよい。また、通知方法として、プリンタ100に設けられたブザー(図示せず)を鳴らすことで、利用者に通知するものであってもよい。
以上のように、本実施形態では、モード取得部98によって取得された設定モードM1に応じて、定期クリーニング処理P31(図9参照)の実行の有無が制御されている。図10に示すように、設定モードM1が印刷モードM11、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14の何れかのときには、インクヘッド22を利用した印刷処理P1が行われる可能性が高い。そのため、印刷モードM11、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14の何れかのときの待機中では、ノズル27の詰まりなどの吐出不良の発生を抑制するために、定期クリーニング処理P31は行われる。一方、設定モードM1がカットモードM12のときには、インクヘッド22を利用した印刷処理P1が行われる可能性が低い。そのため、カットモードM12での待機中では、定期クリーニング処理P31を行わずに、インクの消費を抑える。したがって、設定モードM1に応じて定期クリーニング処理P31が行われないことがあるため、定期クリーニング処理P31に伴うインクの消費を低減することができる。
本実施形態では、クリーニング制御部102は、モード取得部98によって取得された設定モードM1が非処理モードM15のとき、定期クリーニング処理P31を行う。非処理モードM15の場合、その前後において、印刷処理P1が行われているか否かが明確ではない。そのため、非処理モードM15の待機中のときには、インクヘッド21を利用した印刷処理P1が行われる可能性があるため、ノズル27の詰まりなどの吐出不良の発生を抑制するために、定期クリーニング処理P31を行う。このことによって、非処理モードM15の後に印刷モードM11、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14の何れかが設定されて印刷処理P1が行われた場合であっても、インクの吐出不良が発生し難くすることができる。
本実施形態では、図14に示すように、設定モードM1がカットモードM12のときの待機中、ワイパー交換通知処理P51が行われない。一方、設定モードM1がカットモードM12以外のモードのときの待機中、ワイパー交換通知処理P51が行われる。カットモードM12のときの待機中には、定期クリーニング処理P31が行われないため、ワイピング処理P42は行われない。そのため、ワイパー71は消耗され難い。よって、カットモードM12のときには、ワイパー交換通知処理P51を省略しても、クリーニング処理P3の精度は低くなり難い。よって、カットモードM12の待機中において、処理を簡略化することができる。
本実施形態では、設定モードM1がカットモードM12のときの待機中、空インク通知処理P52が行われない。一方、設定モードM1がカットモードM12以外のモードのときの待機中、空インク通知処理P52が行われる。カットモードM12のときの待機中には、定期クリーニング処理P31が行われないため、インクタンク51内のインクは消費され難い。そのため、カットモードM12のときの待機中では、空インク通知処理P52を省略してもよい。よって、カットモードM12の待機中において、処理を簡略化することができる。
本実施形態では、設定モードM1がカットモードM12のときの待機中、マニュアルクリーニング通知処理P53が行われる。一方、設定モードM1がカットモードM12以外のモードのときの待機中、マニュアルクリーニング通知処理P53は行われない。カットモードM12の待機中では、定期クリーニング処理P31が行われないため、定期的にマニュアルクリーニング処理が利用者によって行われるとよい。そのため、カットモードM12の待機中に、マニュアルクリーニング通知処理P53が行われることで、利用者は、マニュアルクリーニング処理を忘れることなく行い易い。
本実施形態では、カットモードM12以外のモード、すなわち印刷モードM11、印刷カットモードM13、カット印刷モードM14および非処理モードM15の何れかのときの待機中には、定期クリーニング処理P31が行われるため、マニュアルクリーニング処理は行われなくてもよい。そのため、カットモードM12以外の印刷モードM11、印刷カットモードM13、カット印刷モードM14および非処理モードM15のときには、マニュアルクリーニング通知処理P53を省略してもよい。よって、カットモードM12以外のモードの待機中において、処理を簡略化することができる。
本実施形態では、図9に示すように、クリーニング処理P3には、定期クリーニング処理P31と、通常クリーニング処理P32とが存在する。定期クリーニング処理P31と通常クリーニング処理P32とでは、吸引処理P41のときのインクの吸引量が異なる。例えば、定期クリーニング処理P31の吸引処理P41では、インクの吸引量が第1の量である。通常クリーニング処理P32の吸引処理P41では、インクの吸引量が第1の量よりも多い第2の量である。通常クリーニング処理P32は、例えば印刷開始前に行われるものであり、印刷の品質に影響を受け易い処理である。そのため、通常クリーニング処理P32では、インクの吸引量を多くすることで、ノズル27の吐出不良をより発生し難くすることができる。
上記実施形態では、モード設定装置は、操作パネル80の操作部82のモードボタン89であり、利用者がモードボタン89を押すことで、設定モードM1が切り替えられていた。例えば制御装置90の一部がパーソナルコンピュータ上で実行されるソフトウェアによって構成されている場合、モード設定装置は、上記ソフトウェアによって実行されるものであってもよい。この場合、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイなどの表示画面には、図15に示すような設定モード画面SC1であって、上記ソフトウェアによって実現された設定モード画面SC1が表示される。この設定モード画面SC1には、例えばプルダウンメニュー189およびエンターボタン190が配置されている。このプルダウンメニュー189の項目として、印刷モードM11、カットモードM12、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14が設定されている。利用者は、マウスなどの操作部を用いて、プルダウンメニュー189から、印刷モードM11、カットモードM12、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14のうち1つの設定モードM1を選択する。そして、エンターボタン190を押すことで、プリンタ100の設定モードM1の種類が決定される。エンターボタン190を押すことで決定された設定モードM1の情報は、プリンタ100に送信され、記憶部91に記憶される。
なお、上記の設定モード画面SC1には、プルダウンメニュー189が配置されており、プルダウンメニュー189によって設定モードM1を選択することが可能であったが、設定モードM1を選択するために、プルダウンメニュー189以外のものが用いられてもよい。例えばプルダウンメニュー189に替わって、印刷モードM11、カットモードM12、印刷カットモードM13およびカット印刷モードM14が設定されたラジオボタンが用いられてもよい。
なお、上記実施形態では、図2Aに示すように、インクジェットヘッド20およびカッティングヘッド30は、磁石によって構成される連結部材24、34によって連結されるものであった。例えばカット時には、連結部材24、34によるインクジェットヘッド20とカッティングヘッド30との連結が解除された状態で、カッティングヘッド30のみが主走査方向Yに移動していた。例えば印刷時には、インクジェットヘッド20とカッティングヘッド30とが連結された状態で、カッティングヘッド30と共にインクジェットヘッド20が主走査方向Yに移動していた。しかしながら、インクジェットヘッド20およびカッティングヘッド30を主走査方向Yに移動させる構成は特に限定されない。例えば、インクジェットヘッド20とカッティングヘッド30との間には、ガイドレール17に係合した連結キャリッジが設けられていてもよい。この連結キャリッジは、ガイドレール17に沿って主走査方向Yに移動可能に構成され、かつ、インクジェットヘッド20およびカッティングヘッド30を選択的に連結可能に構成されている。この場合、例えばカット時には、連結キャリッジにカッティングヘッド30が連結した状態で、連結キャリッジと共にカッティングヘッド30が主走査方向Yに移動する。例えば印刷時には、連結キャリッジにインクジェットヘッド20が連結した状態で、連結キャリッジと共にインクジェットヘッド20が主走査方向Yに移動する。