JP2020173925A - コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】スペーサによる端子の保持性能を向上可能なコネクタを提供すること。【解決手段】コネクタ1は、端子が収容される端子収容室11を有するハウジング10と、ハウジング10に取り付けられて端子を端子収容室11内に保持するスペーサ20と、を備える。スペーサ20は、ハウジング10が有する取付孔13に挿入されたとき、スペーサ20が有する支点部Zを中心に挿入方向における前方側に回転移動することにより、スペーサ20が有する係止部27をハウジング10が有する被係止部19に押し付けながら被係止部19を乗り越えさせるとともに、係止部27を被係止部19に係合させる、ように構成される。スペーサ20は、支点部Zよりも前方側において、取付孔13の内壁面とスペーサ20との間に回転移動を許容する隙間Sが存在するように、スペーサ20が内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する。【選択図】図4
Description
本発明は、端子が収容される端子収容室を有するハウジングと、端子を端子収容室内に保持するスペーサと、を備えるコネクタに関する。
従来から、ハウジングが有する端子収容室に端子を収容した後、その端子収容室に向けて開口した取付孔にスペーサ(リテーナと呼ばれる場合もある。)を挿入して端子に接触させることで、端子収容室内の所定位置に端子を保持するように構成されたコネクタが、提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
上述したように構成されるコネクタでは、一般に、スペーサが端子に接触した状態でハウジングに固定されるように、スペーサに設けた係止部をハウジングに設けた被係止部に係合させるようになっている。このような係合にあたり、スペーサによる端子の保持性能を高めるべく係止部と被係止部との係止代を不用意に大きくすると、係合過程での係止部および被係止部の変形量が大きくなり、係止部および被係止部の少なくとも一方が座屈する(例えば、潰れるように変形する)場合がある。このような座屈が生じると、スペーサによる端子の保持性能を高め難くなることに加え、スペーサが意図せずハウジングから分離する可能性もある。このように、従来のコネクタでは、スペーサによる端子の保持性能を高めることは容易ではなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペーサによる端子の保持性能を向上可能なコネクタ、を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記[1]〜[3]を特徴としている。
[1]
端子が収容される端子収容室を有するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられて前記端子を前記端子収容室内に保持するスペーサと、を備える、コネクタであって、
前記スペーサは、
前記ハウジングが有する取付孔に挿入されたとき、当該スペーサが有する支点部を中心に挿入方向における前方側に回転移動することにより、当該スペーサが有する係止部を前記ハウジングが有する被係止部に押し付けながら前記被係止部を乗り越えさせるとともに、前記係止部を前記被係止部に係合させる、ように構成され、且つ、
前記支点部よりも前記前方側において、前記取付孔の内壁面と前記スペーサとの間に前記回転移動を許容する隙間が存在するように、当該スペーサが前記内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する、
コネクタであること。
[2]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記スペーサは、
前記支点部よりも前記前方側において、前記支点部から離れるにつれて前記取付孔の前記内壁面と前記スペーサとの間の距離が大きくなるように、当該スペーサが面取りされた形状を有する、
コネクタであること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタにおいて、
前記支点部は、
前記取付孔の前記内壁面に当接するように前記スペーサの一の側面に設けられ、
前記係止部は、
前記一の前記側面とは反対側の前記スペーサの他の側面に設けられ、
前記支点部及び前記係止部は、
前記挿入方向における前記スペーサの中央近傍に配置される、
コネクタであること。
[1]
端子が収容される端子収容室を有するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられて前記端子を前記端子収容室内に保持するスペーサと、を備える、コネクタであって、
前記スペーサは、
前記ハウジングが有する取付孔に挿入されたとき、当該スペーサが有する支点部を中心に挿入方向における前方側に回転移動することにより、当該スペーサが有する係止部を前記ハウジングが有する被係止部に押し付けながら前記被係止部を乗り越えさせるとともに、前記係止部を前記被係止部に係合させる、ように構成され、且つ、
前記支点部よりも前記前方側において、前記取付孔の内壁面と前記スペーサとの間に前記回転移動を許容する隙間が存在するように、当該スペーサが前記内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する、
コネクタであること。
[2]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記スペーサは、
前記支点部よりも前記前方側において、前記支点部から離れるにつれて前記取付孔の前記内壁面と前記スペーサとの間の距離が大きくなるように、当該スペーサが面取りされた形状を有する、
コネクタであること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタにおいて、
前記支点部は、
前記取付孔の前記内壁面に当接するように前記スペーサの一の側面に設けられ、
前記係止部は、
前記一の前記側面とは反対側の前記スペーサの他の側面に設けられ、
前記支点部及び前記係止部は、
前記挿入方向における前記スペーサの中央近傍に配置される、
コネクタであること。
上記[1]の構成のコネクタによれば、ハウジングの取付孔にスペーサを挿入してハウジングにスペーサを組み付けるとき、スペーサの係止部がハウジングの被係止部に押し付けられた状態で、スペーサの支点部を中心にスペーサ自体が回転移動することで、係止部が被係止部を乗り越えるとともに、係止部と被係止部とが係合する。このとき、支点部よりも挿入方向における前方側において、取付孔の内壁面とスペーサとの間に回転移動を許容する隙間が存在する。具体的には、このような隙間を画成するように、スペーサが内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する。
このような隙間が無い場合にスペーサを回転移動させようとすると、通常、スペーサの挿入方向の前方側の最端部を支点として、スペーサが回転移動することになる。本構成のコネクタでは、上述した隙間を有することで、そのような最端部よりも支点部の位置が挿入方向の後方側に位置することになる。その結果、隙間が無いに比べ、係止部が被係止部を乗り越えるときの係止部の回転半径(即ち、係止部と支点部との間の距離)が短くなり、係止部および被係止部に生じる変形量が小さくなる。よって、スペーサによる端子の保持性能を高めるべく係止部と被係止部との係止代を大きくしても、係止部が被係止部を乗り越え易くなり、係止部および被係止部の座屈を抑制できる。
したがって、本構成のコネクタは、スペーサによる端子の保持性能を向上可能である。
上記[2]の構成のコネクタによれば、支点部よりも前方側において、支点部から離れるにつれて取付孔の内壁面とスペーサとの間の距離が大きくなるように、スペーサが面取りされることで、上述した隙間が形成される。これにより、これまで用いられているスペーサに過度な設計変更を施すことなく、本発明に係るコネクタを実現できる。
上記[3]の構成のコネクタによれば、スペーサを挟む2つの側面に支点部と係止部がそれぞれ配置される。更に、支点部および係止部が、挿入方向におけるスペーサの中央近傍に配置される。これにより、支点部と係止部との間の距離(即ち、係止部が被係止部を乗り越えるときの係止部の回転半径)が過度に大きくならず、係止部および被係止部の座屈を抑制しながら、スペーサによる端子の保持性能を向上可能である。
なお、なお、上記「中央近傍」とは、例えば、挿入方向におけるスペーサの中央部から、スペーサの厚さの30%に相当する長さだけ挿入方向の前方側に離れた位置と、その長さだけ挿入方向の後方側に離れた位置と、に挟まれる範囲を表す。
このように、本発明によれば、スペーサによる端子の保持性能を向上可能なコネクタを提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコネクタ1について説明する。以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、端子30(図1(a)参照)の端子収容室11(図3(b)参照)への挿入方向、及び、コネクタ1と相手側コネクタ(図示省略)との嵌合方向、と一致しており、相手側コネクタが嵌合する嵌合方向正面側(図1において左下側)が前側とされ、その反対の嵌合方向背面側(図1において右上側)が後側とされている。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコネクタ1について説明する。以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、端子30(図1(a)参照)の端子収容室11(図3(b)参照)への挿入方向、及び、コネクタ1と相手側コネクタ(図示省略)との嵌合方向、と一致しており、相手側コネクタが嵌合する嵌合方向正面側(図1において左下側)が前側とされ、その反対の嵌合方向背面側(図1において右上側)が後側とされている。
図1に示すように、コネクタ1は、ハウジング10と、ハウジング10に上側から組み付けられるスペーサ20と、を備える。スペーサ20は、ハウジング10に収容された端子30の抜けを防止する機能、及び、端子30の中途挿入状態を検知する機能を発揮する。以下、ハウジング10及びスペーサ20について順に説明する。
まず、ハウジング10について説明する。図1及び図3に示すように、樹脂製のハウジング10は、前後方向に延びる直方体状の端子収容部10aと、端子収容部10aの前側に位置する嵌合部10bと、を一体に備える。嵌合部10bは、前方に開口する矩形のフード状の形状を有しており、嵌合部10bの内部空間に、相手側コネクタの相手側ハウジング(図示省略)が前方から挿入され嵌合されるようになっている。
端子収容部10aの内部には、後方に開口し前後方向に延びる複数(本例では、3つ)の端子収容室11(図3(b)参照)が、幅方向に並ぶように形成されている。各端子収容室11と嵌合部10bの内部空間とは、幅方向且つ上下方向に延びる平板状の隔壁12(図3(b)参照)によって区画されている。各端子収容室11と嵌合部10bの内部空間とは、各端子収容室11に対応して隔壁12に形成された前後方向に貫通する挿通孔(図示省略)によって、前後方向に連通している。
各端子収容室11には、端子30が後側から挿入されるようになっている。図1(a)に示すように、金属製の端子30は、前後方向に延びる矩形箱状の箱部31と、箱部31の後側に位置すると共に電線40の端末を加締め固定する電線加締め部32と、を一体に備えるメス端子である。箱部31の上面には、幅方向両端部から上方へ突出する一対のスタビライザ33が一体に形成されている。箱部31の下面には、ランス係合孔(図示省略)が形成されている。端子30は、その先端面(具体的には、箱部31の先端面)が隔壁12に当接する位置(以下、「完全挿入位置」と呼ぶ)まで挿入され得るようになっている。
各端子30が完全挿入位置にそれぞれ収容された状態において、ハウジング10の嵌合部10bに相手側コネクタの相手側ハウジングを嵌合させることで、相手側ハウジングに収容されている複数のオス端子(図示省略)が、隔壁12の挿通孔を介して端子30の箱部31にそれぞれ挿入される。この結果、複数のオス端子と複数の端子30とがそれぞれ電気的に接続されるようになっている。
各端子収容室11には、端子収容室11内に下側から臨むように、片持ち梁状のランス(図示省略)が、端子収容室11の前後方向所定位置から前方へ延びるように設けられている。ランスは、端子30を端子収容室11内に係止するための係止片である。端子収容室11内にて、端子30が完全挿入位置にあるときは、ランスの先端部が端子30のランス係合孔に進入してランス係合孔の前側縁部と係合する。これにより、ランスは、弾性変形していない正規の姿勢に維持されると共に、端子30の後側への抜け止め機能を発揮する。一方、端子収容室11内にて、端子30が中途挿入位置(完全挿入位置より後側の位置)にあるときには、ランスの先端部が、ランス係合孔に進入できずに箱部31の下側面により下向きに弾性変形された状態に維持される。この場合、ランスは、端子30の抜け止め機能を発揮し得ない。
図3に示すように、ハウジング10の端子収容部10aの上面には、スペーサ20を挿入するための取付孔13が形成されている。取付孔13は、上下方向(即ち、スペーサ20の挿入方向)に延びており、複数の端子収容室11とそれぞれ連通している(図3(b)参照)。
取付孔13は、図3(a)に示すように、上方から見て、スペーサ20の輪郭形状に対応する輪郭形状を有している。具体的には、取付孔13の前端縁の幅方向両端部には、前方へ窪む矩形状の第1凹部14がそれぞれ形成され、一対の第1凹部14の間の取付孔13の前端縁には、幅方向一側から順に、前方へ窪む矩形状の第2凹部15、及び、前方へ窪む矩形状の第3凹部16が形成されている。取付孔13の後端縁の幅方向一側端部には、後方へ窪む矩形状の第4凹部17が形成されている。
取付孔13における第3凹部16の底部(前側端部)には、後方に突出し且つ幅方向に延びる舌状の被係止部18が形成されている。取付孔13における後端縁には、前方に突出し且つ幅方向に延びる舌状の2つの被係止部19が、幅方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、ハウジング10について説明した。
次いで、スペーサ20について説明する。図2に示すように、樹脂製のスペーサ20は、幅方向に延びる矩形平板状の本体部21を有する。本体部21の前端部の幅方向両端部には、ハウジング10の一対の第1凹部14に対応して、前方へ突出する矩形状の第1凸部22がそれぞれ形成されている。一対の第1凸部22の間の本体部21の前端部には、ハウジング10の第2凹部15及び第3凹部16にそれぞれ対応して、幅方向一側から順に、前方へ突出する矩形状の第2凸部23、及び、前方へ突出する矩形状の第3凸部24が形成されている。本体部21の後端部の幅方向一側端部には、ハウジング10の第4凹部17に対応して、後方へ突出する矩形状の第4凸部25が形成されている。
第1〜第4凸部22〜25の上面(平面)は、本体部21の上面(平面)と面一に繋がっている。第1〜第4凸部22〜25の厚さ(上下方向寸法)は、本体部21の厚さ(上下方向寸法)より大きい。第1凸部22及び第4凸部25の厚さは等しく、第2凸部23及び第3凸部24の厚さは等しく、第1凸部22及び第4凸部25の厚さは、第2凸部23及び第3凸部24の厚さより大きい。本体部21の前端面のうち第1〜第4凸部22〜25が形成されていない3箇所はそれぞれ、端子30の抜け防止のために端子30のスタビライザ33と当接する当接面21a(図2参照)として機能する。
スペーサ20における第3凸部24の先端面(前側端面)には、ハウジング10の被係止部18に対応して、前方に突出し且つ幅方向に延びる舌状の係止片26が形成されている。スペーサ20における後端面には、ハウジング10の2つの被係止部19に対応して、後方に突出し且つ幅方向に延びる舌状の2つの係止突起27が、幅方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。係止片26及び係止突起27は、スペーサ20の第2、第3凸部23,24の下面より上側(スペーサ20の挿入方向における後方側)に位置している。
スペーサ20の第2凸部23の先端部における下側角部には、面取りされるように切欠き部28が形成されている。切欠き部28は、下側に向かうにつれて後側に位置するように傾斜する傾斜面(平面)を構成している。切欠き部28を形成したことによる作用・効果については後述される。以上、スペーサ20について説明した。
次いで、コネクタ1の組み付け手順について説明する。まず、図3及び図4に示すように、スペーサ20をハウジング10において仮係止位置に装着する。このため、スペーサ20を、水平に維持しながら、上側からハウジング10の取付孔13に挿入する。スペーサ20が取付孔13内を下側に移動(スライド)していく際、スペーサ20の第1〜第4凸部22〜25がそれぞれ、ハウジング10の第1〜第4凹部14〜17の内部に進入していく。
スペーサ20の取付孔13への挿入が進行すると、スペーサ20の係止片26、及び、2つの係止突起27が、ハウジング10の被係止部18、及び、2つの被係止部19に、それぞれ接触して前後方向に所定の係止代を有して係止される。これにより、スペーサ20の仮係止位置への装着が完了する。スペーサ20が仮係止位置にあるとき、図3(b)及び図4(a)から理解できるように、スペーサ20の上面がハウジング10の上面から上側に僅かに突出した状態になる。
スペーサ20が仮係止位置にある状態では、第1凹部14の幅方向両側内面と、第1凹部14内に位置している第1凸部22の幅方向両側外面との間、第2凹部15の幅方向両側内面と、第2凹部15内に位置している第2凸部23の幅方向両側外面との間、及び、第3凹部16の幅方向両側内面と、第3凹部16内に位置している第3凸部24の幅方向両側外面との間にて、それぞれ、端子30のスタビライザ33を挿入するための前後方向に延びるスタビライザ挿入隙間が形成されている。
次いで、スペーサ20が仮係止位置に保持された状態から、電線40が接続された端子30(図1(a)参照)を各端子収容室11にそれぞれ挿入する。端子30が端子収容室11内にて完全挿入位置まで挿入されると、端子30のスタビライザ33が対応するスタビライザ挿入隙間に挿入された状態になる。また、端子30が完全挿入位置まで挿入されると、上述したように、ランスが端子30のランス係合孔に進入することで、端子30の後側への抜け止め機能が発揮される。
次いで、各端子30が完全挿入位置まで挿入された状態から、図5に示すように、仮係止位置にあるスペーサ20を本係止位置に移動させる。このため、まず、スペーサ20をハウジング10に対して前側に押し付けて(スライドさせて)、スペーサ20の第2凸部23の先端面(前側端面)を、ハウジング10の第2凹部15の底面(前側端面)に当接(面接触)させる(図4(a)参照)。このとき、第1凹部14の底面と第1凸部22の先端面との間、及び、第3凹部16の底面と第3凸部24の先端面との間には、前後方向に隙間が存在している。
次いで、第2凸部23の先端面及び第2凹部15の底面が当接(面接触)した状態(図4(a)参照)から、スペーサ20の上面における後側領域(具体的には、本体部21の上面)を下向きに押圧する。これにより、スペーサ20の2つの係止突起27がハウジング10の2つの被係止部19に押し当てられる。その後、スペーサ20における第2凸部23の先端面と切欠き部28の傾斜面との境界線部分(幅方向に延びる線状部分)を支点部Z(図4(a)参照)として、支点部Zを中心に、スペーサ20全体が、図4(b)の矢印に示すように、スペーサ20の後側が前側に対して下方に移動する向き(図4(a)において時計回り)に回転移動しながら、2つの係止突起27が、2つの被係止部19を、互いに弾性変形を伴いながら乗り越える。
別の見方をすると、図4(a)及び図4(b)に示すように、少なくとも係止突起27が被係止部19を乗り越えて被係止部19に係止する回転角度分だけはスペーサ20が支点部Zを中心に回転移動できるように、切欠き部28の傾斜面と取付孔13の内壁面との間に隙間Sが設けられている。このような隙間Sはスペーサ20の回転移動を「許容する」隙間Sとも称呼される。この点で、スペーサ20と取付孔13との間に一般的に設けられるクリアランス(ハウジング10やスペーサ20の製造バラツキ等を考慮して設定される隙間)は、スペーサ20の回転移動を「許容する」隙間Sには該当しない。
支点部Zは、スペーサ20の第2凸部23の下面より上側(スペーサ20の挿入方向における後方側)に配置され、且つ、支点部Zよりも下側(挿入方向における前方側)には、第2凹部15の底面(取付孔13の内壁面)とスペーサ20の切欠き部28の傾斜面との間に上述した回転移動を許容する隙間S(図4(a)参照)が設けられている。そのため、このような隙間Sが無い場合に比べ、係止突起27が被係止部19を乗り越えるときの係止突起27の回転半径が小さくなる。その結果、係止突起27の回転半径が大きい場合(即ち、切欠き部28が形成されていない場合)に比べ、係止突起27及び被係止部19に生じる変形量が小さくなる。換言すると、係止突起27と被係止部19との係止代を大きくする場合であっても、係止突起27が被係止部19を乗り越え易くなる。
このように、2つの係止突起27が2つの被係止部19を乗り越えると、2つの係止突起27が、2つの被係止部19の下側に位置する状態で、2つの被係止部19に、前後方向に所定の係止代を有して係止される。この状態では、スペーサ20全体が、スペーサ20の後側が前側に対して下方に位置する向きに傾斜している。
次いで、スペーサ20の全体が傾斜した状態から、スペーサ20の上面における前側領域(具体的には、第3凸部24の先端部の上面)を下向きに押圧する。これにより、スペーサ20の係止片26がハウジング10の被係止部18に押し当てられる。その後、スペーサ20全体が、スペーサ20の前側が後側に対して下方に移動する向き(図4(a)において反時計回り)に回転移動しながら、係止片26が、被係止部18を、互いに弾性変形を伴いながら乗り越える。
このように、係止片26が被係止部18を乗り越えると、係止片26が、被係止部18の下側に位置する状態で、被係止部18に、前後方向に所定の係止代を有して係止される。この結果、図5に示すように、スペーサ20の全体が水平に復帰し、スペーサ20の本係止位置への装着が完了する。スペーサ20が本係止位置にあるとき、図5(a)から理解できるように、スペーサ20の上面がハウジング10の上面より下側に僅かに窪んだ状態になる。
スペーサ20が本係止位置にある状態では、端子30のスタビライザ33の後端面が、スペーサ20の本体部21の当接面21a(図2参照)と係合することで、端子30の後側への抜け止め機能が発揮される。即ち、完全挿入位置にある端子30について、ランスによる端子30の後側への抜け止め機能との協働により、2重の抜け止め機能が発揮されることになる。
このように、各端子30が完全挿入位置まで挿入された状態では、スペーサ20の仮係止位置から本係止位置への移動が可能となる。一方、複数(具体的には3本)の端子30のうち少なくとも1つが中途挿入位置にあると、スペーサ20の本体部21の下面が中途挿入位置にある端子30のスタビライザ33の上面と干渉して、スペーサ20を仮係止位置から本係止位置へ移動させることができない。このため、スペーサ20の上面がハウジング10の上面から上側に突出した状態が維持される。このように、スペーサ20が仮係止位置から本係止位置に移動不能であることで、端子30の中途挿入を容易に検知することができる。
<作用・効果>
以上、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、ハウジング10の取付孔13にスペーサ20を挿入してハウジング10にスペーサ20を組み付けるとき、スペーサ20の係止突起27がハウジング10の被係止部19に押し当てられた後、スペーサ20の支点部Zを中心にスペーサ20全体が回転移動しながら係止突起27が被係止部19を乗り越える。このとき、支点部Zは、スペーサ20の第2凸部23の下面よりも上側(スペーサ20の挿入方向における後方側)に配置され、且つ、支点部Zよりも下側(挿入方向における前方側)には、第2凹部15の底面(取付孔13の内壁面)とスペーサ20の切欠き部28の傾斜面との間にその回転移動を許容する隙間Sが設けられている。そのため、このような隙間Sが無い場合に比べ、係止突起27が被係止部19を乗り越えるときの係止突起27の回転半径が小さくなる。その結果、係止突起27の回転半径が大きい場合に比べ、係止突起27および被係止部19に生じる変形量が小さくなる。換言すると、係止突起27と被係止部19との係止代を大きくする場合であっても、係止突起27が被係止部19を乗り越え易くなる。したがって、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、スペーサ20とハウジング10との固定性能と、係止突起27などの潰れの抑制と、を両立可能である。
以上、本発明の実施形態に係るコネクタ1によれば、ハウジング10の取付孔13にスペーサ20を挿入してハウジング10にスペーサ20を組み付けるとき、スペーサ20の係止突起27がハウジング10の被係止部19に押し当てられた後、スペーサ20の支点部Zを中心にスペーサ20全体が回転移動しながら係止突起27が被係止部19を乗り越える。このとき、支点部Zは、スペーサ20の第2凸部23の下面よりも上側(スペーサ20の挿入方向における後方側)に配置され、且つ、支点部Zよりも下側(挿入方向における前方側)には、第2凹部15の底面(取付孔13の内壁面)とスペーサ20の切欠き部28の傾斜面との間にその回転移動を許容する隙間Sが設けられている。そのため、このような隙間Sが無い場合に比べ、係止突起27が被係止部19を乗り越えるときの係止突起27の回転半径が小さくなる。その結果、係止突起27の回転半径が大きい場合に比べ、係止突起27および被係止部19に生じる変形量が小さくなる。換言すると、係止突起27と被係止部19との係止代を大きくする場合であっても、係止突起27が被係止部19を乗り越え易くなる。したがって、本発明の実施形態に係るコネクタ1は、スペーサ20とハウジング10との固定性能と、係止突起27などの潰れの抑制と、を両立可能である。
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
上記実施形態では、スペーサ20の2つの係止突起27と、ハウジング10の2つの被係止部19とが互いに係合するように構成されている。これに対し、スペーサ20の単一の係止突起27と、ハウジング10の単一の被係止部19とが互いに係合するように構成されていてもよいし、スペーサ20の3つ以上の係止突起27と、ハウジング10の3つ以上の被係止部19とが互いに係合するように構成されていてもよい。
更に、上記実施形態では、ハウジング10に収容される端子30がメス端子であり、相手側ハウジングに収容される端子がオス端子となっている。これに対し、ハウジング10に収容される端子30がオス端子であり、相手側ハウジングに収容される端子がメス端子となっていてもよい。
ここで、上述した本発明に係るコネクタ1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
端子(30)が収容される端子収容室(11)を有するハウジング(10)と、前記ハウジング(10)に取り付けられて前記端子(30)を前記端子収容室(11)内に保持するスペーサ(20)と、を備える、コネクタ(1)であって、
前記スペーサ(20)は、
前記ハウジング(10)が有する取付孔(13)に挿入されたとき、当該スペーサ(20)が有する支点部(Z)を中心に挿入方向における前方側に回転移動することにより、当該スペーサ(20)が有する係止部(27)を前記ハウジング(10)が有する被係止部(19)に押し付けながら前記被係止部(19)を乗り越えさせるとともに、前記係止部(27)を前記被係止部(19)に係合させる、ように構成され、且つ、
前記支点部(Z)よりも前記前方側において、前記取付孔(13)の内壁面と前記スペーサ(20)との間に前記回転移動を許容する隙間(S)が存在するように、当該スペーサ(20)が前記内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する、
コネクタ(1)。
[2]
上記[1]に記載のコネクタ(1)において、
前記スペーサ(20)は、
前記支点部(Z)よりも前記前方側において、前記支点部(Z)から離れるにつれて前記取付孔(13)の前記内壁面と前記スペーサ(20)との間の距離が大きくなるように、当該スペーサ(20)が面取りされた形状を有する、
コネクタ(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタ(1)において、
前記支点部(Z)は、
前記取付孔(13)の前記内壁面に当接するように前記スペーサ(20)の一の側面に設けられ、
前記係止部(27)は、
前記一の前記側面とは反対側の前記スペーサ(20)の他の側面に設けられ、
前記支点部(Z)及び前記係止部(27)は、
前記挿入方向における前記スペーサ(20)の中央近傍に配置される、
コネクタ(1)。
[1]
端子(30)が収容される端子収容室(11)を有するハウジング(10)と、前記ハウジング(10)に取り付けられて前記端子(30)を前記端子収容室(11)内に保持するスペーサ(20)と、を備える、コネクタ(1)であって、
前記スペーサ(20)は、
前記ハウジング(10)が有する取付孔(13)に挿入されたとき、当該スペーサ(20)が有する支点部(Z)を中心に挿入方向における前方側に回転移動することにより、当該スペーサ(20)が有する係止部(27)を前記ハウジング(10)が有する被係止部(19)に押し付けながら前記被係止部(19)を乗り越えさせるとともに、前記係止部(27)を前記被係止部(19)に係合させる、ように構成され、且つ、
前記支点部(Z)よりも前記前方側において、前記取付孔(13)の内壁面と前記スペーサ(20)との間に前記回転移動を許容する隙間(S)が存在するように、当該スペーサ(20)が前記内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する、
コネクタ(1)。
[2]
上記[1]に記載のコネクタ(1)において、
前記スペーサ(20)は、
前記支点部(Z)よりも前記前方側において、前記支点部(Z)から離れるにつれて前記取付孔(13)の前記内壁面と前記スペーサ(20)との間の距離が大きくなるように、当該スペーサ(20)が面取りされた形状を有する、
コネクタ(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタ(1)において、
前記支点部(Z)は、
前記取付孔(13)の前記内壁面に当接するように前記スペーサ(20)の一の側面に設けられ、
前記係止部(27)は、
前記一の前記側面とは反対側の前記スペーサ(20)の他の側面に設けられ、
前記支点部(Z)及び前記係止部(27)は、
前記挿入方向における前記スペーサ(20)の中央近傍に配置される、
コネクタ(1)。
1 コネクタ
10 ハウジング
11 端子収容室
13 取付孔
19 被係止部
20 スペーサ
27 係止突起(係止部)
28 切欠き部
30 端子
S 隙間
Z 支点部
10 ハウジング
11 端子収容室
13 取付孔
19 被係止部
20 スペーサ
27 係止突起(係止部)
28 切欠き部
30 端子
S 隙間
Z 支点部
Claims (3)
- 端子が収容される端子収容室を有するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられて前記端子を前記端子収容室内に保持するスペーサと、を備える、コネクタであって、
前記スペーサは、
前記ハウジングが有する取付孔に挿入されたとき、当該スペーサが有する支点部を中心に挿入方向における前方側に回転移動することにより、当該スペーサが有する係止部を前記ハウジングが有する被係止部に押し付けながら前記被係止部を乗り越えさせるとともに、前記係止部を前記被係止部に係合させる、ように構成され、且つ、
前記支点部よりも前記前方側において、前記取付孔の内壁面と前記スペーサとの間に前記回転移動を許容する隙間が存在するように、当該スペーサが前記内壁面から離れる向きに窪んだ形状を有する、
コネクタ。 - 請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記スペーサは、
前記支点部よりも前記前方側において、前記支点部から離れるにつれて前記取付孔の前記内壁面と前記スペーサとの間の距離が大きくなるように、当該スペーサが面取りされた形状を有する、
コネクタ。 - 請求項1又は請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記支点部は、
前記取付孔の前記内壁面に当接するように前記スペーサの一の側面に設けられ、
前記係止部は、
前記一の前記側面とは反対側の前記スペーサの他の側面に設けられ、
前記支点部及び前記係止部は、
前記挿入方向における前記スペーサの中央近傍に配置される、
コネクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019074189A JP2020173925A (ja) | 2019-04-09 | 2019-04-09 | コネクタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019074189A JP2020173925A (ja) | 2019-04-09 | 2019-04-09 | コネクタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020173925A true JP2020173925A (ja) | 2020-10-22 |
Family
ID=72831540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019074189A Pending JP2020173925A (ja) | 2019-04-09 | 2019-04-09 | コネクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020173925A (ja) |
-
2019
- 2019-04-09 JP JP2019074189A patent/JP2020173925A/ja active Pending
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