以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
まず、図1〜図6を参照して、本実施形態に係る温度センサユニットの構成について説明する。図1及び図2は、第1実施形態に係る温度センサユニットを示す概略斜視図である。
図1及び図2に示されているように、温度センサユニット1は、測定対象物2に取り付けられ、測定対象物2の温度を測定する。測定対象物2は、断面矩形である。断面矩形には、角が面取りされている形状、及び、角が丸められている形状が含まれる。測定対象物2は、たとえば、他の電気回路(不図示)の一構成要素として機能する導電性部材である。測定対象物2は、たとえば、コイル導体である。温度センサユニット1は、温度センサ3と、温度センサ3が収容されているセンサケース4と、測定対象物2に対してセンサケース4を位置決めする位置決め部材5とを備えている。図3及び図4は、温度センサ3を収容したセンサケース4の斜視図である。図5は、温度センサ3の構成を説明するための図である。
図3及び図4に示されているように、センサケース4は、本体部41及び一対の鍔部42,43を有する。温度センサ3は、センサケース4の本体部41に収容されている。図5に示されているように、温度センサ3は、検知部31、検知部31の2つの電極(図示省略)にそれぞれ接続されている導線32,33、及び導線32,33にそれぞれ電気的に接続されているリード線34,35を有している。検知部31には、たとえば、温度が高くなると抵抗が低くなる特性を有する、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ素子が用いられる。
センサケース4の本体部41は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。本体部41は、長手方向の一端に底部41aを有し、他端に開口部41bを有する有底筒状である。本体部41には、開口部41bから温度センサ3が挿入された状態で、樹脂45が充填されている。温度センサ3の検知部31は、硬化した樹脂45によって、本体部41の底部41a付近で位置決めされている。検知部31と電気的に接続されているリード線34,35は、開口部41bから本体部41の外部に延在している。センサケース4は、たとえば、熱可塑性樹脂から構成される。樹脂45は、たとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂である。
センサケース4の本体部41は、底部41aに接続された4つの側面46a,46b,46c,46dを有している。側面46aと側面46bとは、互いに対向している。側面46cと側面46dとは、互いに対向している。側面46b,46c,46dは、平坦である。
図3に示されているように、本体部41の側面46aには溝部47が設けられており、溝部47の縁に段差47aが形成されている。溝部47は、底部41aと開口部41bとの間に設けられており、センサケース4の長手方向において側面46aの中央に設けられている。溝部47は、本体部41の側面46c,46dに直交する方向において延在している。溝部47の底面は、平面視で矩形状を呈している。溝部47の底面は、側面46c,46dに接続されている。溝部47は、後述する付勢部51の板厚と同程度の深さを有する。
第1実施形態では、溝部47の底面には、平面視で矩形状の窪み部48が設けられており、窪み部48の縁に段差48aが形成されている。窪み部48は、センサケース4の長手方向において、溝部47の底面の中央に設けられている。窪み部48は、側面46dに接続され、側面46cには接続されていない。
図3及び図4に示されているように、センサケース4の一対の鍔部42,43は、本体部41の側面46c,46dに直交する方向において互いに対向する。一対の鍔部42,43は、互いに離間している。一対の鍔部42,43は、本体部41から延在している。各鍔部42,43は、矩形板状である。鍔部42は、互いに対向する平面42a,42bを有する。鍔部43は、互いに対向する平面43a,43bを有する。一対の鍔部42,43は、本体部41の側面46bに交差する方向に延在している。
鍔部42の平面42a、及び、鍔部43の平面43aは、それぞれ本体部41の側面46bに接続されている。温度センサユニット1が測定対象物2に取り付けられた状態では、本体部41の側面46bと、鍔部42の平面42aと、鍔部43の平面43aとによって形成された領域に測定対象物2が位置する。鍔部42と鍔部43との間隔は、測定対象物2に温度センサユニット1を取り付けた状態における、本体部41の側面46c,46dに直交する方向の測定対象物2の厚さ以上である。当該測定対象物2の厚さに鍔部42と鍔部43との間隔が近いほど、温度センサユニット1のガタつきが低減される。
鍔部42の平面42bは本体部41の側面46cに接続されており、鍔部43の平面43bは本体部41の側面46dに接続されている。鍔部42の平面42bは、本体部41の側面46dと面一で構成されている。鍔部43の平面43bは、本体部41の側面46cと面一で構成されている。
位置決め部材5は、測定対象物2及びセンサケース4に接した状態で、測定対象物2に対してセンサケース4を位置決めする。位置決め部材5は、金属からなる。位置決め部材5の材料である金属には、ばね用リン青銅、又は、ばね用ステンレス鋼などが用いられる。
図6に示されているように、位置決め部材5は、一対の付勢部51,52を含む挟持部53と、一対の付勢部51,52を連結する連結部54とを有する。図6は、位置決め部材5を示す斜視図である。挟持部53は、一対の鍔部42,43の間に測定対象物2が配置された状態で、測定対象物2とセンサケース4の本体部41とを挟む。この際、付勢部51がセンサケース4の本体部41に当接し、付勢部52が測定対象物2に当接する。
一対の付勢部51,52及び連結部54は、それぞれ矩形板状を呈している。一対の付勢部51,52は、互いに対向する。一対の付勢部51,52は、互いに離間しており,連結部54のみによって連結されている。一対の付勢部51,52及び連結部54に囲われた領域に、測定対象物2及びセンサケース4が位置する。一対の付勢部51,52と連結部54とは、一対の付勢部51,52及び連結部54の各々に平行な方向において、同一の幅を有している。
挟持部53によって測定対象物2と本体部41を挟む前の状態では、一対の付勢部51,52の対向方向における付勢部51と付勢部52との最短間隔は、挟む対象の厚さよりも小さい。具体的には、付勢部51,52の上記最短間隔は、測定対象物2に本体部41が接した状態における、本体部61の側面66aに直交する方向の測定対象物2の厚さと本体部61の厚さとの合計よりも小さい。このため、挟持部53によって測定対象物2と本体部41を挟んだ状態では、付勢部51,52から測定対象物2及び本体部41に付勢力が加わる。なお、第1実施形態では、付勢部71,72の上記最短間隔は、後述する摺動部57と摺動部58との最短間隔である。
第1実施形態では、付勢部51は、爪部55を有する。爪部55は、付勢部51の中央に設けられている。爪部55は、付勢部51の中央に設けられたU字形状の欠落部56によって画定されている。爪部55は、矩形板状であり、付勢部51の先端側から連結部54側に延在している。爪部55は、測定対象物2に温度センサユニット1が取り付けられた状態において、一対の鍔部42,43の対向方向に延在する。
挟持部53の先端は、先端において外側に屈曲している。換言すれば、付勢部51は、先端付近において先端に近づくにつれて付勢部52から離れる形状を呈している。付勢部52は、先端付近において先端に近づくにつれて付勢部51から離れる形状を呈している。このように、第1実施形態では、付勢部51に摺動部57が形成され、付勢部52に摺動部58が形成されている。
摺動部57は、測定対象物2及び本体部41に対する挟持部53の着脱において、センサケース4の本体部41に対して摺動する。摺動部58は、測定対象物2及び本体部41に対する挟持部53の着脱において、測定対象物2に対して摺動する。この構成によって、測定対象物2及び本体部41に対する挟持部53の着脱において、挟持部53の先端が測定対象物2及び本体部41に当接することが防止されている。
次に、図1及び図7を参照して、測定対象物2に対して温度センサユニット1を取り付けた状態について説明する。図7は、測定対象物2に取り付けられた温度センサユニットの断面図である。
センサケース4は、測定対象物2に接している。測定対象物2は、センサケース4の本体部41の側面46bに接している。測定対象物2及びセンサケース4の本体部41は、挟持部53によって挟まれている。具体的には、付勢部51はセンサケース4の本体部41の側面46aに当接し、付勢部52は測定対象物2に当接している。この構成によれば、本体部41は、付勢部51から受ける力によって、測定対象物2に押しつけられる。この結果、本体部41の側面46a,46bに直交する方向において、本体部41が測定対象物2に対して位置決めされている。
測定対象物2は、一対の鍔部42,43の間に位置している。この結果、本体部41の側面46c,46dに直交する方向において、本体部41の測定対象物2に対する移動が規制される。換言すれば、本体部41の側面46c,46dに直交する方向において、本体部41が測定対象物2に対して位置決めされている。位置決め部材5の連結部54は、本体部41の側面46c及び鍔部43の平面43bに接している。
各鍔部42,43における本体部41の側面46bから先端までの長さL1は、各鍔部42,43の延在方向における測定対象物2の幅L2よりも小さい。長さL1は、本体部41の側面46bに直交する方向において、本体部41と測定対象物2とが接する位置から各鍔部42,43の先端までの長さである。換言すれば、本体部41の側面46bに直交する方向において、各鍔部42,43の先端は、挟持部53と測定対象物2とが接する位置よりも側面46b側に位置する。各鍔部42,43の先端と、挟持部53とは離間している。
第1実施形態では、付勢部52の爪部55は、一対の鍔部42,43の対向方向において、本体部41と係合している。爪部55の先端が、本体部41の窪み部48の縁に形成された段差48aに当接することによって、位置決め部材5が、本体部41の側面46c側に移動することが規制される。この結果、位置決め部材5が、測定対象物2及びセンサケース4から離脱することが抑制されている。測定対象物2に温度センサユニット1が取り付けられた状態において、爪部55の先端と段差48aとの間に隙間が設けられていてもよい。当該隙間が小さいほど、位置決め部材5の位置ズレが抑制される。
図1に示されているように、挟持部53の縁は、本体部41の溝部47の縁において形成された段差47aに係合している。具体的には、一対の鍔部42,43の対向方向及び一対の鍔部42,43の延在方向に交差する方向において、付勢部52の縁が、段差47aに当接することによって、センサケース4の長手方向において、挟持部53に対するセンサケース4の相対移動が規制される。測定対象物2に温度センサユニット1が取り付けられた状態において、付勢部52の縁と段差47aとの間に隙間が設けられていてもよい。当該隙間が小さいほど、センサケース4の位置ズレが抑制される。
以上説明したように、センサケース4は、測定対象物2に接する本体部41から延在していると共に互いに対向する一対の鍔部42,43を有する。位置決め部材5は、一対の鍔部42,43の間に測定対象物2が配置された状態で本体部41と測定対象物2とを挟む挟持部53を有する。この場合、温度センサユニット1は、一対の鍔部42,43と挟持部53とによってそれぞれ異なる方向から測定対象物2を挟む。この構成であれば、本体部41と測定対象物2とが接した状態が確保され、正確な温度測定が実現され得る。
各鍔部42,43の長さL1は、測定対象物2の幅L2よりも小さい。このため、各鍔部42,43の先端が挟持部53に当接することが防止される。したがって、この温度センサユニット1は、本体部41と測定対象物2とが接した状態を挟持部53によってより確実に確保できる。
挟持部53は、一対の鍔部42,43の対向方向において、センサケース4の本体部41と係合する爪部55を有する。このため、測定対象物2を傷つけることなく、測定対象物2及びセンサケース4からの位置決め部材5の離脱がさらに抑制される。
センサケース4の本体部41は、一対の鍔部42,43の対向方向及び一対の鍔部42,43の延在方向に交差する方向において、挟持部53の縁と係合する段差47aを有する。このため、測定対象物2を傷つけることなく、測定対象物2及び位置決め部材5に対するセンサケース4の位置ズレがさらに抑制される。
挟持部53は、測定対象物2及び本体部41に対する着脱において測定対象物2に対して摺動する摺動部57を有する。このため、挟持部53が比較的強い挟持力を有していても、挟持部53を測定対象物2に対して摺動させて取り付けることによって、測定対象物2に傷がつくことが抑制される。したがって、測定対象物2を傷つけることなく、測定対象物2に対するセンサケース4の位置ズレがさらに抑制され得る。
[第2実施形態]
まず、図8〜図12を参照して、本実施形態に係る温度センサユニットの構成について説明する。図8及び図9は、第2実施形態に係る温度センサユニットを示す概略斜視図である。
図8及び図9に示されているように、温度センサユニット1Aは、測定対象物2に取り付けられ、測定対象物2の温度を測定する。測定対象物2は、断面矩形である。温度センサユニット1Aは、温度センサ3と、温度センサ3が収容されているセンサケース4Aと、測定対象物2に対してセンサケース4Aを位置決めする位置決め部材5Aとを備えている。図10及び図11は、温度センサ3を収容したセンサケース4Aの斜視図である。
図10及び図11に示されているように、センサケース4Aは、本体部61及び一対の鍔部62,63とを有する。温度センサ3は、センサケース4Aの本体部61に収容されている。
センサケース4Aの本体部61は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。本体部61は、長手方向の一端に底部61aを有し、他端に開口部61bを有する有底筒状である。本体部61には、開口部61bから温度センサ3が挿入された状態で、樹脂65が充填されている。温度センサ3の検知部31は、硬化した樹脂65によって、本体部61の底部61a付近で位置決めされている。検知部31と電気的に接続されているリード線34,35は、開口部61bから本体部61の外部に延在している。センサケース4Aは、たとえば、熱可塑性樹脂から構成される。樹脂65は、たとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂である。
センサケース4Aの本体部61は、底部61aに接続された4つの側面66a,66b,66c,66dを有している。側面66aと側面66bとは、互いに対向している。側面66cと側面66dとは、互いに対向している。側面66b,66c,66dは、平坦である。
図10に示されているように、本体部61の側面66aには溝部67が設けられており、溝部67の縁に段差67aが形成されている。溝部67は、底部61aと開口部61bとの間に設けられており、センサケース4Aの長手方向において側面66aの中央に設けられている。溝部67は、本体部61の側面66c,66dに直交する方向において延在している。溝部67の底面は、平面視で矩形状を呈している。溝部67の底面は、側面66c,66dに接続されている。溝部67は、後述する付勢部71の板厚と同程度の深さを有する。第2実施形態では、溝部67の底面には、平面視で円形の窪み部68が設けられている。窪み部68は、溝部67の底面の中央に設けられている。
図10及び図11に示されているように、センサケース4Aの一対の鍔部62,63は、本体部61の側面66c,66dに直交する方向において互いに対向する。一対の鍔部62,63は、互いに離間している。一対の鍔部62,63は、本体部61から延在している。各鍔部62,63は、矩形板状である。鍔部62は、互いに対向する平面62a,62bを有する。鍔部63は、互いに対向する平面63a,63bを有する。一対の鍔部62,63は、本体部61の側面66bに交差する方向に延在している。
鍔部62の平面62a、及び、鍔部63の平面63aは、それぞれ本体部61の側面66bに接続されている。温度センサユニット1が測定対象物2に取り付けられた状態では、本体部61の側面66bと、鍔部62の平面62aと、鍔部63の平面63aとによって形成された領域に測定対象物2が位置する。鍔部62と鍔部63との間隔は、測定対象物2に温度センサユニット1を取り付けた状態における、本体部61の側面66c,66dに直交する方向の測定対象物2の厚さ以上である。当該測定対象物2の厚さに鍔部62と鍔部63との間隔が近いほど、温度センサユニット1のガタつきが低減される。
鍔部62の平面62bは本体部61の側面66cに接続されており、鍔部63の平面63bは本体部61の側面66dに接続されている。鍔部62の平面62bは、本体部61の側面66dと面一で構成されている。鍔部63の平面63bは、本体部61の側面66cと面一で構成されている。
位置決め部材5Aは、測定対象物2及びセンサケース4Aに接した状態で、測定対象物2に対してセンサケース4Aを位置決めする。位置決め部材5Aは、金属からなる。位置決め部材5Aの材料である金属には、ばね用リン青銅、又は、ばね用ステンレス鋼などが用いられる。
図12に示されているように、位置決め部材5は、一対の付勢部71,72を含む挟持部73と、一対の付勢部71,72を連結する連結部74とを有する。図12は、位置決め部材5Aを示す斜視図である。挟持部73は、一対の鍔部62,63の間に測定対象物2が配置された状態で、測定対象物2とセンサケース4Aの本体部61とを挟む。この際、付勢部71がセンサケース4の本体部61に当接し、付勢部72が測定対象物2に当接する。
一対の付勢部71,72及び連結部74は、それぞれ矩形板状を呈している。一対の付勢部71,72は、互いに対向する。一対の付勢部71,72は、互いに離間しており,連結部74のみによって連結されている。一対の付勢部71,72及び連結部74に囲われた領域に、測定対象物2及びセンサケース4が位置する。一対の付勢部71,72と連結部74とは、一対の付勢部71,72及び連結部74の各々に平行な方向において、同一の幅を有している。
第2実施形態では、付勢部71は突出部75を有し、付勢部72は突出部76を有する。突出部75,76は、それぞれ付勢部71,72の中央に設けられている。突出部75,76は、平面視で円形状を呈している。突出部75、76は、内側に突出している。換言すれば、突出部75は付勢部72に向かって突出しており、突出部76は付勢部71に向かって突出している。
第2実施形態では、一対の付勢部71,72及び連結部74は、平板上であり、突出部75,76を除いて平坦である。第2実施形態では、突出部75,76は、金属板をプレスすることで形成されている。したがって、付勢部71において突出部75が位置する面の反対側に位置する面、及び、付勢部72において突出部76が位置する面の反対側に位置する面は、窪んでいる。
挟持部73によって測定対象物2と本体部61を挟む前の状態では、一対の付勢部71,72の対向方向における付勢部71と付勢部72との最短間隔は、挟む対象の厚さよりも小さい。具体的には、付勢部71,72の上記最短間隔は、測定対象物2に本体部61が接した状態における、本体部61の側面66aに直交する方向の測定対象物2の厚さと本体部61の厚さとの合計よりも小さい。このため、挟持部73によって測定対象物2と本体部61を挟んだ状態では、付勢部71,72から測定対象物2及び本体部61に付勢力が加わる。なお、第2実施形態では、付勢部71,72の上記最短間隔は、突出部75の先端と突出部76の先端との間隔である。
突出部75,76は、摺動部としても機能する。突出部75は、測定対象物2及び本体部61に対する挟持部73の着脱において、センサケース4Aの本体部61に対して摺動する。突出部76は、測定対象物2及び本体部61に対する挟持部73の着脱において、測定対象物2に対して摺動する。突出部75,76を除いた位置における付勢部71と付勢部72との間隔は、測定対象物2に温度センサユニット1Aを取り付けた状態における、本体部61の側面66aに直交する方向の測定対象物2の厚さと本体部61の厚さとの合計よりも大きい。したがって、測定対象物2及び本体部61に対する挟持部73の着脱において、挟持部73の先端が測定対象物2及び本体部61に当接することが防止されている。
次に、図8及び図13を参照して、測定対象物2に対して温度センサユニット1Aを取り付けた状態について説明する。図13は、測定対象物2に取り付けられた温度センサユニットの断面図である。
センサケース4Aは、測定対象物2に接している。測定対象物2は、センサケース4Aの本体部61の側面66bに接している。測定対象物2及びセンサケース4Aの本体部61は、挟持部73によって挟まれている。具体的には、付勢部71はセンサケース4Aの本体部61の側面66aに当接し、付勢部72は測定対象物2に当接している。この構成によれば、本体部61は、付勢部71から受ける力によって、測定対象物2に押しつけられる。この結果、本体部61の側面66a,66bに直交する方向において、本体部61が測定対象物2に対して位置決めされている。
測定対象物2は、一対の鍔部62,63の間に位置している。この結果、本体部61の側面66c,66dに直交する方向において、本体部61の測定対象物2に対する移動が規制される。換言すれば、本体部61の側面66c,66dに直交する方向において、本体部61が測定対象物2に対して位置決めされている。位置決め部材5Aの連結部74は、本体部61の側面66c及び鍔部63の平面63bに接している。
各鍔部62,63における本体部61の側面66bから先端までの長さL3は、各鍔部62,63の延在方向における測定対象物2の幅L4よりも小さい。長さL3は、本体部61の側面66bに直交する方向において、本体部61と測定対象物2とが接する位置から各鍔部62,63の先端までの長さである。換言すれば、本体部61の側面66bに直交する方向において、各鍔部62,63の先端は、挟持部73と測定対象物2とが接する位置よりも側面66b側に位置する。各鍔部62,63の先端と、挟持部73とは離間している。
第2実施形態では、測定対象物2が本体部41に接する状態において、付勢部51の突出部75が、本体部61の窪み部68に嵌合する。これによって、位置決め部材5Aが、本体部61の側面66c側に移動することが規制されている。この結果、位置決め部材5Aが、測定対象物2及びセンサケース4Aから離脱することが抑制されている。
図8に示されているように、挟持部73の縁は、本体部61の溝部67の縁において形成された段差67aに係合している。具体的には、一対の鍔部62,63の対向方向及び一対の鍔部62,63の延在方向に交差する方向において、付勢部72の縁が、段差67aに当接することによって、センサケース4Aの長手方向において、挟持部73に対するセンサケース4Aの相対移動が規制される。測定対象物2に温度センサユニット1が取り付けられた状態において、付勢部72の縁と段差67aとの間に隙間が設けられていてもよい。当該隙間が小さいほど、センサケース4Aの位置ズレが抑制される。
以上説明したように、センサケース4Aは、測定対象物2に接する本体部61から延在していると共に互いに対向する一対の鍔部62,63を有する。位置決め部材5Aは、一対の鍔部62,63の間に測定対象物2が配置された状態で本体部61と測定対象物2とを挟む挟持部73を有する。この場合、温度センサユニット1Aは、一対の鍔部62,63と挟持部73とによってそれぞれ異なる方向から測定対象物2を挟む。この構成であれば、本体部61と測定対象物2とが接した状態が確保され、正確な温度測定が実現され得る。
各鍔部62,63の長さL3は、測定対象物2の幅L4よりも小さい。このため、各鍔部62,63の先端が挟持部73に当接することが防止される。したがって、この温度センサユニット1Aは、本体部61と測定対象物2とが接した状態を挟持部73によってより確実に確保できる。
センサケース4Aの本体部61は、窪み部68を有している。挟持部73は、本体部に向かって突出した突出部76を有する。突出部76は、窪み部68に嵌合する。このため、測定対象物2を傷つけることなく、測定対象物2及びセンサケース4Aからの位置決め部材5Aの離脱がさらに抑制される。
センサケース4Aの本体部61は、一対の鍔部62,63の対向方向及び一対の鍔部62,63の延在方向に交差する方向において、挟持部73の縁と係合する段差67aを有する。このため、測定対象物2を傷つけることなく、測定対象物2及び位置決め部材5Aに対するセンサケース4Aの位置ズレがさらに抑制される。
挟持部53は、測定対象物2及び本体部61に対する着脱において測定対象物2に対して摺動する摺動部として突出部76を有する。このため、挟持部73が比較的強い挟持力を有していても、挟持部73を測定対象物2に対して摺動させて取り付けることによって、測定対象物2に傷がつくことが抑制される。したがって、測定対象物2を傷つけることなく、測定対象物2に対するセンサケース4Aの位置ズレがさらに抑制され得る。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
第1実施形態に係る温度センサユニット1と第2実施形態に係る温度センサユニット1Aとの構成は、適宜組み合わせてもよい。たとえば、第1実施形態において、位置決め部材5の付勢部51,52の先端は屈曲していなくてもよい。付勢部52に、付勢部72に設けた突出部76が設けられてもよい。第2実施形態において、位置決め部材5の付勢部72に、突出部76が設けられていなくてもよい。付勢部71,72の先端が、付勢部51,52のように外側に屈曲していてもよい。
本実施形態では、測定対象物2を他の電気回路(不図示)の一構成要素として機能する導電性部材と規定したが、これに限定されない。測定対象物2は、熱伝達が良好である部材(たとえば、金属など)又は発熱が懸念される部材(たとえば、基板など)などであってもよい。