JP2020172725A - 滑り止め布帛および繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い表面摩擦抵抗、グリップ力、優れた耐久性を併せ持ち、薄くて取扱い性に優れた滑り止め用布帛および該布帛を用いてなる繊維製品を提供する。【解決手段】織物組織または編物組織を有する滑り止め布帛であって、該布帛が、単繊維径が10〜3000nmの熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aと単繊維径が前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aより大の熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとを含み、かつ布帛の表面および裏面のどちらか一方の面に前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが露出しており、かつ布帛の厚みが0.40mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、高い表面摩擦抵抗、グリップ力、優れた耐久性を併せ持ち、着用快適性および取扱い性に優れた滑り止め布帛および該布帛を用いてなる繊維製品に関する。
従来、滑り止め用途には天然皮革、人工皮革、合繊繊維スウェードなどが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、天然皮革はフィット感、グリップ力には優れているものの耐久性に問題があった。一方、人工皮革や合繊繊維スウェードは耐久性に優れているものの、フィット感やグリップ力が劣るといった問題があった。
かかる対策として、すべり止め部材等を取り付けるなどの対策が提案されているが、構造が複雑になったり、滑り止め部材を取り付けた部位で厚みが増して凹凸が大きくなったりすることで、着用感が悪くなるなどの問題があった。
なお近年、ナノファイバーと称せられる超極細繊維が提案されている。例えば、ポリエステルなどの合成繊維を超極細繊維化することにより、これまでの繊維では得ることのできなかった質感や機能を付与することが可能となり、さかんに開発が行われている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
特開2005−154925号公報 特開2000−207319号公報 実用新案登録第2567438号公報 特開2000−8252号公報 特開2007−2364号公報 特開2008−248445号公報 特開2010−100964号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、高い表面摩擦抵抗、グリップ力、優れた耐久性を併せ持ち、着用快適性および取扱い性に優れた滑り止め用布帛および該布帛を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特殊な繊維を用い、かつ布帛の厚みを薄くすることにより、高い表面摩擦抵抗、グリップ力、優れた耐久性を併せ持ち、着用快適性および取扱い性に優れた滑り止め用布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「織物組織または編物組織を有する滑り止め布帛であって、該布帛が、単繊維径が10〜3000nmの熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aと単繊維径が前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aより大の熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとを含み、かつ布帛の表面および裏面のどちらか一方の面に前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが露出しており、かつ布帛の厚みが0.40mm以下であることを特徴とする滑り止め布帛。」が提供される。
その際、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aのフィラメント数が500本以上であることが好ましい。また、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条であることが好ましい。また、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bの単繊維繊度が1dtex以上であることが好ましい。また、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aおよび前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bがポリエステル繊維であることが好ましい。また、布帛が編組織を有する編物であることが好ましい。また、編物組織が経編であることが好ましい。また、熱セットにより厚みをコントロールしてなることが好ましい。また、滑り止め布帛の摩擦抵抗値が、1.5N以上であることが好ましい。
ただし、摩擦抵抗値は下記の方法で測定した抵抗値(N)である。すなわち、温度20℃、湿度65%RHの環境下で、平滑な台の上にJIS標準綿帛を敷き四隅をテープで固定する。次いで、該綿帛の上に、大きさが底面8cm×5cm、高さ3cm、重さが98cN(100gr)のヘッドであり、下面に試料を貼り付けたヘッドを置く。次いで、引張り試験機により該ヘッドを100mm/分の速度で引っ張った時の抵抗値(N)を摩擦抵抗値とする。
また、本発明によれば、前記の滑り止め用布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、人工皮革、履物、インソール、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、カーテン、カーシート、拭取り用具、美容用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、高い表面摩擦抵抗、グリップ力、優れた耐久性を併せ持ち、着用快適性および取扱い性に優れた滑り止め用布帛および該布帛を用いてなる繊維製品が得られる。
摩擦抵抗値の測定方法を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の滑り止め用布帛は、織物組織または編物組織を有する滑り止め用布帛であって、該布帛には、単繊維径が10〜3000nmの熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aと単繊維径が前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aより大の熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとが含まれる。
ここで、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aにおいて、その単繊維径(単繊維の直径)が10〜3000nm(好ましくは100〜2500nm、特に好ましくは510〜2000nm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が10nmよりも小さい場合は繊維強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、該単繊維径が3000nmよりも大きい場合は、十分な表面摩擦抵抗が得られず、本発明の主目的である、表面摩擦抵抗が得られ難くなるおそれがある。ここで、単繊維の横断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、超極細繊維特有の風合いを得る上で500本以上(より好ましくは2000〜10000本)であることが好ましい。また、フィラメント糸Aの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜300dtexの範囲内であることが好ましい。
前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aの繊維形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aを形成するポリマーの種類としては、ポリエステルや脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)が好ましい。その中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどがより好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
一方、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bにおいて、その単繊維径(単繊維の直径)が前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aよりも大であることが肝要である。特に熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bの単繊維径が1μmよりも大(好ましくは10〜50μm)であることが好ましい。熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bの単繊維径が小さいと、布帛の剛性が小さくなるので、布帛にハリコシがなくなり、また、ストレッチバックが悪く、ワライが残るので好ましくない。
ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、前記と同様、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、1〜300本の範囲内であることが好ましい。また、かかる熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bの繊維形態は特に限定されず紡績糸でもよいが、着用快適性の点で長繊維(マルチフィラメント糸)が好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bを形成するポリマーの種類としては、熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aと同様でよい。すなわち、ポリエステルや脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)が好ましく、その中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどがより好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明の滑り止め用布帛において、布帛の表面および裏面のうち少なくともどちらか一方に前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが露出していることが肝要である。表面および裏面ともに、前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが露出していない場合は、本発明の主目的とする高い表面摩擦抵抗およびグリップ力が得られず好ましくない。
また、生地の厚みとしては0.40mm以下であることが重要であり、好ましくは0.1〜0.35mmである。生地の厚みが0.40mmより大の場合、本発明の布帛を他商品に接着したり縫い付けたりして使用する場合、該当商品の凹凸が大きくなり、取扱い性や着用快適性が劣る可能性がある。
本発明の滑り止め用布帛は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、海成分と、熱可塑性合成繊維からなりその径が10〜3000nmである島成分とで形成される海島型複合繊維(熱可塑性合成繊維フィラメント糸A用繊維)を用意する。かかる海島型複合繊維としては、特開2007−2364号公報に開示された海島型複合繊維(島数100〜1500)が好ましく用いられる。
すなわち、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、10〜3000nmの範囲とする必要がある。その際、島成分の形状が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
かかる海島型複合繊維は、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。吐出された海島型断面複合繊維は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。かかる海島型複合繊維において、単繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtexの範囲内であることが好ましい。また、かかる海島型複合繊維の沸水収縮率としては5〜30%の範囲内であることが好ましい。
一方、単繊維径が熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aより大のポリエステルフィラメント糸Bを用意する。かかるポリエステルフィラメント糸Bにおいて、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれフィラメント数1〜300本、総繊度10〜800dtexの範囲内であることが好ましい。また、単繊維繊度が2dtex以上であることが好ましい。また、ポリエステルフィラメント糸Bとしては、沸水収縮率10%以上(より好ましくは20〜40%)の範囲内の高収縮ポリエステルか、弾性糸(ポリウレタン弾性糸またはポリエーテルエステル弾性糸)であることが好ましい。なお、前記のような高い沸水収縮率を得るには、共重合ポリエステルを用いて常法により紡糸、延伸するとよい。その際、共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエステルの主構成モノマーがテレフタル酸およびエチレングリコールであり、この主構成モノマーに共重合する第三成分が、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、およびビスフェノールスルフォンからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。特に、前記の共重合ポリエステルが、酸成分がモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)90/5〜85/15のテレフタル酸およびイソフタル酸からなり、グリコール成分がエチレングリコールからなる共重合ポリエステルであることが好ましい。このような共重合ポリエステルを用いることにより高い沸水収縮率が得られる。
次いで、前記海島型複合繊維(ポリエステルフィラメント糸A用繊維)と熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとを用いて、前記海島型複合繊維が生地の表面および/または裏面に露出するよう織編物を常法により織編成する。その際、前記海島型複合繊維と熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとが混繊糸として織編物中に含まれていてもよいが、前記海島型複合繊維と前記熱可塑性合成繊維フィラメントBとを交編または交織することにより編物または織物を織編成することが好ましい。
ここで、織物組織および編物組織は特に限定されず、よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示され、織物組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示されるがこれらに限定されない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。なかでも布帛が編物であると、編物は通常伸縮性を有するため、対象物にフィットしやすく好ましい。
次いで、該織編物(生地)を熱セット(生機セット)し生地の寸法安定性と厚みをコントロールする。その際、熱セット温度は170〜190℃が好ましい。次いで、該織編物(生地)にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維を単繊維径が10〜3000nmの熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aとすることにより、本発明の滑り止め用布帛が得られる。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度3〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜65℃の温度で処理するとよい。
また、該アルカリ水溶液による溶解除去の前および/または後に生地に染色加工を施してもよい。カレンダー加工(加熱加圧加工)やエンボス加工を施してもよい。さらに、常法の起毛加工、バフ加工、撥水加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
かくして得られた滑り止め用布帛には、前記の熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aと熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとが含まれ、かつ、布帛の表面および裏面のうち少なくともどちらか一方に前記熱可塑性合成繊維フィラメントAが露出しているので、高い表面摩擦抵抗とグリップ力を有する。さらには、優れた耐久性を併せ持つ。また、布帛の厚みが小さいので着用快適性および取扱い性に優れる。また、布帛が編物である場合には、フィット感もある。
なお、前記滑り止め用布帛に、例えば、直径5〜20mmの孔を複数形成し、通気性を向上させてもよい。
次に、本発明の繊維製品は、前記の滑り止め用布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、人工皮革、履物、インソール、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、カーテン、カーシート、拭取り用具、美容用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は前記の滑り止め用布帛を用いているので、高い表面摩擦抵抗とグリップ力を有する。さらには、優れた耐久性を併せ持つ。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶融粘度>乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<布帛の厚み>
JIS L1096 8.4.A法に従って測定した。
<摩擦抵抗値>
摩擦抵抗値は下記の方法で測定した。すなわち、温度20℃、湿度65%RHの環境下で、図1に模式的に示すように、平滑な台の上にJIS標準綿帛(4)を敷き四隅をテープで固定した。次いで、該綿帛の上に、大きさが底面8cm×5cm、高さ3cm、重さが98cN(100gr)のヘッドであり、下面に試料(3)を貼り付けたヘッドを置く。該ヘッド(2)に測定したい試料を貼り付けた。次いで、引張り試験機により該ヘッド(2)を100mm/分の速度で引っ張った時の静止摩擦抵抗値を測定しこれを摩擦抵抗値とした。測定は、生地のタテ方向で熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが多く露出している面を測定した(片面のみの場合は片面。両面露出している場合は両面とした)。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ、艶消し剤の含有量:0重量%)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。
得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合繊維(熱可塑性合成繊維フィラメント糸A用繊維)は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は710nmであった。
他方、熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとして、ポリエチレンテレフタレートフィラメント(総繊度56dtex/24fil、帝人フロンティア(株)製)を用意した。
次いで、28ゲージのトリコット機を使用して、ポリエステルフィラメント糸Bが編地の裏側に、一方、前記海島型複合繊維が編地の表面側に位置するよう給糸して、サテン編地を編成した。また糸構成としては、L1にポリエステルフィラメント糸Bを配し、L2に海島型複合繊維を配した。
その組織図は次のようになる。
L1:10/12
L2:10/34
次いで、該編地を180℃での熱セットを行い生地の寸法安定性と厚みをコントロールした。
次いで、海島型複合繊維の海成分を除去するために編地を3.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃かつ30分間の高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
得られた滑り止め用布帛において、ポリエステルフィラメント糸Aの単繊維径は700nmであり、ポリエステルフィラメント糸Bの単繊維径は14μmであった。生地の厚みは0.3mm、摩擦抵抗値は1.7Nとなり薄くて滑り難い布帛となった。
得られた滑り止め用布帛を用いてシューズ用インソールを作製して使用したところ、高い表面摩擦抵抗とグリップ力、フィット感を併せ持つものであった。また、耐久性も良好であった。また、着用快適性および取扱い性に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1で作製した布帛を用い、該布帛を直径10mmのドット型に打抜きを行った。打抜いた布帛の裏面に接着剤を塗布し、市販の作業用手袋(ミドリ安全製ポリエステル手袋 品番:NPU−132−L)の掌側に接着させた。
得られた作業用手袋は滑り止め性能が向上し作業性も良好となった。また、ドット接着部分の凹凸も気にならず快適な着用感であった。
[比較例1]
実施例1で編成したサテン編地を用い、生機セットを行わずに海島型複合繊維の海成分を除去するために編地を3.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃かつ30分間の高圧染色を行い、次いで150℃にて乾燥を行った。その後、両面にバフ加工を行い、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。得られた滑り止め用布帛において、ポリエステルフィラメント糸Aの単繊維径は700nmであり、ポリエステルフィラメント糸Bの単繊維径は14μmであった。摩擦抵抗値は1.8Nと高い滑り難い布帛となったが厚みが0.43mmとなった。
得られた滑り止め用布帛を用いてシューズ用インソールを作製して使用したところ、高い表面摩擦抵抗とグリップ力は得られ耐久性も良好であったが、生地が厚くなり履き心地が非常に悪くなった。
[比較例2]
実施例1において、海島型複合繊維のかわりにポリエチレンテレフタレートフィラメント(56dtex/72fil、ポリエステルフィラメント糸C)を用い、これ以外は実施例1と同様にした。得られた滑り止め用布帛において、ポリエステルフィラメント糸Cの単繊維径は8.4μmであった。生地の厚みは0.5mm、摩擦抵抗値は0.8Nの布帛となった。
得られた滑り止め用布帛を用いてシューズ用インソールを作製して使用したところ、実施例1で得られたものと対比して、十分なグリップ力は得られず、滑り易く履き心地も良くなかった。
本発明によれば、高い表面摩擦抵抗、グリップ力、優れた耐久性を併せ持ち、薄くて取扱い性に優れた滑り止め用布帛および該布帛を用いてなる繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
1:滑車
2:ヘッド
3:試料
4:JIS標準綿布

Claims (10)

  1. 織物組織または編物組織を有する滑り止め布帛であって、該布帛が、単繊維径が10〜3000nmの熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aと単繊維径が前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aより大の熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bとを含み、かつ布帛の表面および裏面のどちらか一方の面に前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが露出しており、かつ布帛の厚みが0.40mm以下であることを特徴とする滑り止め布帛。
  2. 前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aのフィラメント数が500本以上である、請求項1に記載の滑り止め用布帛。
  3. 前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条である、請求項1または請求項2に記載の滑り止め布帛。
  4. 前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bの単繊維繊度が1dtex以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の滑り止め布帛。
  5. 前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Aおよび前記熱可塑性合成繊維フィラメント糸Bがポリエステル繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の滑り止め布帛。
  6. 布帛が編組織を有する編物である、請求項1〜5のいずれかに記載の滑り止め布帛。
  7. 編物組織が経編である、請求項6に記載の滑り止め布帛。
  8. 熱セットにより厚みをコントロールしてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の滑り止め布帛。
  9. 滑り止め布帛の摩擦抵抗値が、1.5N以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の滑り止め布帛。
    ただし、摩擦抵抗値は下記の方法で測定した抵抗値(N)である。すなわち、温度20℃、湿度65%RHの環境下で、平滑な台の上にJIS標準綿帛を敷き四隅をテープで固定する。次いで、該綿帛の上に、大きさが底面8cm×5cm、高さ3cm、重さが98cN(100gr)のヘッドであり、下面に試料を貼り付けたヘッドを置く。次いで、引張り試験機により該ヘッドを100mm/分の速度で引っ張った時の抵抗値(N)を摩擦抵抗値とする。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、人工皮革、履物、インソール、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、カーテン、カーシート、拭取り用具、美容用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
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