JP2020172356A - 物流自動搬送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】搬送台車での電力消費量を低減する。【解決手段】物流自動搬送システム1は、複数段の荷物8を収容可能な棚7、搬送台車3、搬送台車3が走行するための走行レーン4および搬送台車を昇降する昇降機5を備える。棚7は、値面に相当する床面6に対して垂直方向および平行方向に並ぶように設置される。搬送台車3は、荷物8を載せて移動するとともに棚7に対する荷物8の入庫および出庫を自動的に行う。走行レーン4は、棚7に隣接するとともに棚7の横方向に沿って延びるように設けられる。昇降機5は、走行レーン4の端部に隣接して設けられる。搬送台車3は、自車に搭載された蓄電部から電力供給を受けて動作し、制動時に発生する回生電力により蓄電部を充電可能な構成である。走行レーン4の少なくとも一部には、搬送台車3の進行方向に向けて下りの傾斜勾配がつけられている。【選択図】図1

Description

本発明は、棚に対する荷物の入庫および出庫を自動的に行う搬送台車を備えた物流自動搬送システムに関する。
従来、荷物を収容するための複数段の棚を有する倉庫に対する荷物の入庫および出庫を、搬送台車を用いて自動化する物流自動搬送システムが考えられている。通常、このようなシステムにおいて、搬送台車が走行するための走行路は、地面に対して平行に、つまり水平にレイアウトされた構造となっている。また、このような搬送台車には、走行など搬送に伴い必要となるエネルギー、つまり電力を供給するためのバッテリが搭載されている(例えば特許文献1参照)。
特開2004−135405号公報
上述したような従来のシステムでは、走行、荷物の入庫および出庫など搬送に伴って搬送台車が消費する電力を補う必要があるため、搬送台車のバッテリに対する充電を行う充電設備が別途必要となる。このような充電設備としては、例えば無線で電力を供給する構成を挙げることができる。充電設備の仕様、特に充電容量は、搬送台車での電力消費量に応じて設定されることになる。
そして、充電容量が大きくなるほど、設備を設ける場合に必要となるイニシャルコストおよびランニングコストなどが増加するとともに、充電設備が大型化する可能性が高くなる。このようなことから、搬送台車での電力消費量が大きくなるほど、物流自動搬送システムを構築するための費用が増大するとともに、そのシステムが大型化する、といった懸念が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送台車での電力消費量を低減することができる物流自動搬送システムを提供することにある。
請求項1に記載の物流自動搬送システムは、地面に対して垂直方向および平行方向に並ぶように設置された荷物を収容可能な複数段の棚と、荷物を載せて移動するとともに棚に対する荷物の入庫および出庫を自動的に行う搬送台車と、走行路と、昇降機と、を備える。走行路は、棚に隣接するとともに棚の横方向に沿って延びるように設けられ、搬送台車が走行するためのものである。昇降機は、走行路の端部に隣接して設けられ、搬送台車を昇降するものである。
この場合、搬送台車は、自車に搭載された蓄電部から電力供給を受けて動作し、制動時に発生する回生電力により蓄電部を充電可能な構成である。また、この場合、走行路の少なくとも一部には、搬送台車の進行方向に向けて下りの傾斜勾配がつけられている。このような構成によれば、搬送台車は、その走行中および減速中に下りの傾斜勾配に伴う位置エネルギーを利用すること、より具体的には、位置エネルギーを利用して走行することができるとともに、位置エネルギーを利用して蓄電部を充電することができる。
そのため、上記構成における搬送台車での実質的な電力消費量は、位置エネルギーの利用により軽減される走行中の消費電力と、位置エネルギーの利用により減速中に充電される電力との分だけ、少なく抑えられることになる。つまり、上記構成によれば、搬送台車での電力消費量を低減することができる。そして、このように、搬送台車での電力消費量が低減されることにより、システムを構築するための費用を低減できるとともに、そのシステムの大型化を抑制することができる。
さらに、請求項6に記載の物流自動搬送システムのように、搬送台車の制動時に発生する回生電力が、搬送台車の走行中および停車中に消費する電力に対し搬送台車が荷物の入庫および出庫を行う際に消費する電力を加えた合計消費電力よりも大きくなるように走行路が設計されていれば、搬送台車での実質的な電力消費量をゼロにすることが可能となる。上記構成によれば、充電設備を必要としないため、その設置に係る費用(イニシャルコストおよびランニングコスト)が不要となる。また、上記構成によれば、充電系の設備(充電設備、搬送台車に設けられる充電される側の構成)が存在しないため、システムの構造をシンプルなものとすることができるうえ、搬送台車の小型軽量化を図ることができる。
第1実施形態に係る物流自動搬送システムの構成を模式的に示すものであり、倉庫を側面から見た図 第1実施形態に係る物流自動搬送システムの構成を模式的に示すものであり、倉庫を上面から見た図 第1実施形態に係る棚の傾斜構造を説明するための図 第1実施形態に係る搬送台車と走行レーンとの傾斜構造および棚の段差を説明するための図 第1実施形態に係る搬送台車の電気的構成を模式的に示す図 第1実施形態に係る搬送台車による一連の動作例を模式的に示す図 第1実施形態に係る搬送台車の走行速度、蓄電部の充放電状態およびSOCを模式的に示す図 第2実施形態に係る搬送台車の電気構成を模式的に示す図
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
<全体構成>
図1および図2に示すように、本実施形態の物流自動搬送システム1は、倉庫2、搬送台車3、走行レーン4、昇降機5などを備えている。物流自動搬送システム1は、例えば工場などの施設に設けられる。この場合、図1における上下方向を倉庫2の上下方向とし、図1および図2における左右方向を倉庫2の左右方向とする。また、この場合、図2における上側を倉庫2の奥側とし、図2における下側を倉庫2の手前側とする。さらに、この場合、図1における上下方向が地面に相当する施設の床面6に対する垂直方向に相当し、図1における上下方向が床面6に対する平行方向に相当する。
倉庫2は、複数のストアモジュールを組み合わせることにより構成されたものであり、床面6に対して垂直方向および平行方向に並ぶように設置された複数段の棚7を有する。なお、図1などでは、一部の棚にだけ符号を付し、他の棚の符号は省略している。それら複数の棚7は、荷物8を収容可能に構成されている。なお、図1などでは、一部の荷物にだけ符号を付し、他の荷物の符号は省略している。本実施形態では、荷物8は、例えば部品、製品などが収容された通箱となっている。
搬送台車3は、荷物8を載せて自律的に移動するとともに棚7に対する荷物8の入庫および出庫を自動的に行う。本実施形態では、例えば5台の搬送台車3が同時に稼働するようになっている。走行レーン4は、搬送台車3が走行するためのものであり、走行路に相当する。走行レーン4は、倉庫2の棚7に隣接するとともに、棚7の横方向、つまり床面6に対する平行方向に沿って延びるように設けられている。昇降機5は、搬送台車3を昇降するためものであり、走行レーン4の各端部に隣接して設けられている。
搬送台車3は、図1に白抜きの矢印で示すような経路を巡回し、棚7に対する荷物8の入庫および出庫を行う。図2に示すように、倉庫2の左奥側に設けられた昇降機5の入口に隣接するように荷物8の投入口9が設けられるとともに、倉庫2の右手前側に設けられた昇降機5の入口に隣接するように荷物8の排出口10が設けられている。この場合、倉庫2の奥側の走行レーン4を走行する搬送台車3が荷物8の入庫を行い、倉庫2の手前側の走行レーン4を走行する搬送台車3が荷物8の出庫を行う。
そのため、本実施形態では、倉庫2の奥側にて荷物8を棚7に入庫するとともに、倉庫2の手前側にて荷物8を棚7から出庫することになる。図3に示すように、棚7には、倉庫2の奥側から手前側に向けて下りの傾斜勾配がつけられている。これにより、図2および図3に白抜きの矢印で示すように、倉庫2の奥側から入庫された荷物8は、自動的に、倉庫2の手前側へと移動するようになっている。
図1および図4に示すように、走行レーン4には、搬送台車3の進行方向に向けて下りの傾斜勾配がつけられている。また、図4に示すように、搬送台車3は、荷物8を載せる載置面12を備え、その載置面12には、走行レーン4につけられた傾斜勾配とは逆向きの傾斜勾配がつけられている。走行レーン4および載置面12の各傾斜勾配の角度は、走行レーン4を走行する搬送台車3に載せられた荷物8が床面6に対して水平となるような角度に設定すればよい。
また、図4に示すように、倉庫2には、走行レーン4の傾斜に応じて棚7の高さが順次変化するような段差がつけられている。さらに、図1に示すように、昇降機5は、搬送台車3を載せる床面13を備えている。図示は省略しているが、昇降機5の床面13には、走行レーン4につけられた傾斜勾配と同じ向きの傾斜勾配がつけられている。走行レーン4および床面13の各傾斜勾配の角度は、昇降機5に乗った状態の搬送台車3に載せられた荷物8が床面6に対して水平となるような角度に設定すればよい。
<搬送台車の構成>
図5に示すように、搬送台車3は、自車に搭載された蓄電部14から電力供給を受けて動作し、制動時に発生する回生電力により蓄電部14を充電可能な構成となっている。蓄電部14は、例えばリチウムイオンバッテリである。なお、蓄電部14としては、リチウムイオンバッテリ以外の各種のバッテリ、大容量のキャパシタなどを用いることもできる。
この場合、搬送台車3の制動時に発生する回生電力Prが、少なくとも、搬送台車3の走行中および停車中に消費する電力Pc1に対し搬送台車3が荷物8の入庫および出庫を行う際に消費する電力Pc2を加えた合計消費電力よりも大きくなるように、走行レーン4の長さ、傾斜勾配の角度などが設計されている。なお、停車中に消費する電力とは、例えばブレーキトルクを発生するための電力のことである。本実施形態では、具体的には、下記(1)式を満たすように、走行レーン4の設計が行われている。
Pr>Pc1+Pc2+Pα …(1)
上記(1)式における電力Pαとは、次のような電力である。すなわち、物流自動搬送システム1では、他の搬送台車3との衝突回避など、搬送台車3が何らかの要因により緊急停止される可能性がある。搬送台車3は、このように停止した状態から復帰するためには、所定の電力を消費することになる。上記した電力Pαは、このような搬送台車3が停止した状態から復帰するために必要な電力に相当する。
搬送台車3は、進行方向に対して前側の前輪15と、進行方向に対して後側の後輪16と、を備えている。搬送台車3は、前輪15を駆動輪および制動輪とする構成となっている。搬送台車3は、駆動用モータ17、ドライバ18、充電制御部19および抵抗負荷部20を備えている。駆動用モータ17は、駆動輪である前輪15を回転させるものであり、例えば三相のブラシレスDCモータである。
ドライバ18は、例えばIGBTやMOSFETなどのスイッチング素子を3相フルブリッジの形態に接続することにより構成された三相ブリッジ回路を含む。ドライバ18は、蓄電部14から与えられる直流電力を三相の交流電力に変換するインバータとして機能する。ドライバ18は、このようなインバータとしての機能により得られる交流電力を駆動用モータ17に供給する。駆動用モータ17は、ドライバ18から交流電力の供給を受けて駆動される。
前輪15の制動時に駆動用モータ17を介して得られる回生電力は、ドライバ18に与えられる。ドライバ18は、このような回生電力(交流電力)を直流電力に変換するコンバータとしても機能する。ドライバ18は、このようなコンバータとしての機能により得られる直流電力を充電制御部19に供給する。充電制御部19は、蓄電部14の電流および電圧をモニタする機能と、蓄電部14の電流のモニタ結果に基づいて蓄電部14の充電状態、具体的には、State Of Chargeを算出する機能と、を有する。なお、本明細書では、State Of ChargeのことをSOCと省略することがある。
充電制御部19は、算出したSOCに基づいて、ドライバ18から与えられる直流電力を蓄電部14へと出力するか、あるいは、抵抗負荷部20へと出力するか、を切り替える。充電制御部19による切り替えに伴い、ドライバ18から与えられる直流電力が蓄電部14へと出力される場合、その直流電力、つまり駆動用モータ17が制動時に発生する回生電力により蓄電部14に対する充電が行われる。
抵抗負荷部20は、余剰な回生電力を消費してSOCが100%を超える過充電状態となることを防止するために設けられている。すなわち、充電制御部19による切り替えに伴い、ドライバ18から与えられる直流電力が抵抗負荷部20へと出力される場合、その直流電力、つまり駆動用モータ17が制動時に発生する回生電力が熱に変換されて消費されることになる。充電制御部19は、蓄電部14のSOCが所望する目標値となるように、上述した切り替えを制御する。
蓄電部14のSOCは、蓄電部14の仕様、つまり使用するバッテリの仕様に応じて、可能な限り高い値に維持することが望ましい。このようにすれば、前述した停止から復帰するための電力の確保が容易となる。この場合、蓄電部14としては、SOCを40〜70%の範囲で保つことにより最適動作ができるようなリチウムイオンバッテリが用いられている。したがって、上記したSOCの目標値は、40〜70%の範囲の値、例えば60%に設定されている。
前述したように、走行レーン4には、搬送台車3の進行方向に向けて下りの傾斜勾配がつけられているため、搬送台車3は、自重で走行することが可能である。ただし、物流自動搬送システム1では、生産性の向上という観点から、搬送台車3の移動を迅速に行う必要がある。そこで、搬送台車3は、駆動用モータ17により前輪15を回転駆動することにより走行することができる構成となっている。
次に、上記構成の作用について図6および図7を参照して説明する。
ここでは、下記(a)から(f)の動作を1サイクルとして、それらの動作が順次繰り返される場合を例として、搬送台車3による一連の動作を説明する。なお、垂直方向に並ぶ2つの走行レーン4のうち、上側を上段の走行レーン4Hとし、下側を下段の走行レーン4Lとする。
(a)下段の走行レーン4Lの一端の地点Hで荷物8を載せ、その状態で昇降機5により上昇する。
(b)上段の走行レーン4Hの一端の地点Aから走行を開始する。
(c)走行レーン4Hに隣接する所望の棚7の前の地点Cで停車し、その棚7に対して荷物8を入庫する。
(d)地点Cから走行レーン4Hの他端の地点Eまで移動する。
(e)地点Eから昇降機5により下降する。
(f)走行レーン4Lの他端の地点Fから地点Hに向けて移動する。
図7の時刻t1以前の期間は、搬送台車3が昇降機5により上昇する期間となる。したがって、この期間、搬送台車3の走行速度は0であるとともに、蓄電部14は充放電されない状態であり、蓄電部14のSOCも変化しない。そして、搬送台車3は、地点Aから移動を開始した後、地点Aおよび地点Cの間の地点Bに到達するまでの期間の前半期間である時刻t1から時刻t2の期間では「加速」動作を行い、その後半期間である時刻t2から時刻t3の期間では「等速」動作を行う。
そのため、搬送台車3の走行速度は、時刻t1から時刻t2の期間に上昇して時刻t2において所定の目標値に達し、その後、時刻t2から時刻t3の期間では目標値に維持される。加速動作および等速動作を行うためには電力が必要となることから、これらの動作時には蓄電部14は放電される。このような放電の電力(エネルギー)は、走行速度、荷物8の有無、荷物8の重量などに応じた値となる。
また、加速動作が行われる期間である時刻t1から時刻t2の期間、上述したように蓄電部14が放電されることから、そのSOCは低下する。一方、等速動作が行われる期間である時刻t2から時刻t3の期間、上述したように蓄電部14が放電されているにもかかわらず、そのSOCは僅かながら上昇に転じている。これは、駆動用モータ17の駆動力に頼ることなく、走行レーン4の傾斜勾配によって等速動作が実現されており、等速動作中において回生電力による蓄電部14の充電が行われていることに起因している。
搬送台車3は、地点Bから地点Cに到達するまでの期間である時刻t3から時刻t4の期間では「減速」動作を行う。そのため、搬送台車3の走行速度は、時刻t3から時刻t4の期間に低下して時刻t4において0となる。減速動作中、駆動用モータ17の制動に伴い回生電力が発生し、その回生電力により蓄電部14の充電が行われる。したがって、減速動作時には蓄電部14は充電される。
このような充電の電力(エネルギー)は、走行速度などに応じた値となる。また、時刻t3から時刻t4の期間、上述したように蓄電部14が充電されることから、そのSOCは上昇する。時刻t4から時刻t5の期間、搬送台車3が地点Cにおいて停車する期間となる。したがって、この期間、搬送台車3の走行速度は0であり、蓄電部14は充放電されない状態であり、蓄電部14のSOCもほぼ変化しない。ただし、この期間、搬送台車3を停車させて荷物8の入庫が行われるため、それに伴う電力が消費される。
その後、搬送台車3は、地点Cから地点Eに向けて移動する。搬送台車3は、地点Cから移動を開始した後、前述した時刻t1から時刻t4の動作と同様に、「加速」、「等速」および「減速」の各動作を行う。具体的には、搬送台車3は、時刻t5から時刻t6の期間に「加速」動作を行い、時刻t6から時刻t7の期間に「等速」動作を行い、時刻t7から時刻t8の期間に「減速」動作を行う。
ただし、この場合、搬送台車3は、荷物8を載せていないため、充放電の電力は、前述した時刻t1から時刻t4の動作時に比べ、小さい値となる。また、この場合、荷物を積載していない状態での等速動作が行われる期間である時刻t6から時刻t7の期間、回生電力による蓄電部14の充電が行われないことから、そのSOCは低下する。時刻t8から時刻t9の期間は、搬送台車3が昇降機5により下降する期間となる。したがって、この期間、搬送台車3の走行速度は0であり、蓄電部14は充放電されない状態であり、蓄電部14のSOCもほぼ変化しない。ただし、この期間、搬送台車3を停車させるため、それに伴う電力が消費される。
その後、搬送台車3は、地点Fから地点Hに向けて移動する。搬送台車3は、地点Fから移動を開始した後、前述した時刻t5から時刻t8の動作と同様に、「加速」、「等速」および「減速」の各動作を行う。具体的には、搬送台車3は、時刻t9から時刻t10の期間に「加速」動作を行い、時刻t10から時刻t11の期間に「等速」動作を行い、時刻t11から時刻t12の期間に「減速」動作を行う。
この場合も、等速動作が行われる期間である時刻t10から時刻t11の期間、回生電力による蓄電部14の充電が行われないことから、そのSOCは低下する。また、この場合、時刻t12から時刻t13の期間において、抵抗負荷部20により回生電力が消費される。そのため、この期間、蓄電部14のSOCが低下し、その結果、蓄電部14のSOCが目標値である60%に維持される。
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
この場合、搬送台車3は、自車に搭載された蓄電部14から電力供給を受けて動作し、制動時に発生する回生電力により蓄電部14を充電可能な構成である。また、この場合、走行レーン4には、搬送台車3の進行方向に向けて下りの傾斜勾配がつけられている。このような構成によれば、搬送台車3は、その走行中および減速中に下りの傾斜勾配に伴う位置エネルギーを利用すること、より具体的には、位置エネルギーを利用して走行することができるとともに、位置エネルギーを利用して蓄電部14を充電することができる。
そのため、上記構成における搬送台車3での実質的な電力消費量は、位置エネルギーの利用により軽減される走行中の消費電力と、位置エネルギーの利用により減速中に充電される電力との分だけ、少なく抑えられることになる。つまり、上記構成によれば、搬送台車3での電力消費量を低減することができる。そして、このように、搬送台車3での電力消費量が低減されることにより、物流自動搬送システム1を構築するための費用を低減できるとともに、物流自動搬送システム1の大型化を抑制することができる。
また、本実施形態では、搬送台車3の制動時に発生する回生電力が、搬送台車3の走行中および停車中に消費する電力に対し搬送台車3が荷物8の入庫および出庫を行う際に消費する電力を加えた合計消費電力よりも大きくなるように走行レーン4が設計されている。このようにすれば、搬送台車3での実質的な電力消費量をゼロにすることが可能となる。上記構成によれば、充電設備を必要としないため、その設置に係る費用(イニシャルコストおよびランニングコスト)が不要となる。また、上記構成によれば、充電系の設備(充電設備、搬送台車3に設けられる充電される側の構成)が存在しないため、物流自動搬送システム1の構造をシンプルなものとすることができるうえ、搬送台車3の小型軽量化を図ることができる。
この場合、搬送台車3が備える荷物8を載せる載置面12には、走行レーン4につけられた傾斜勾配とは逆向きの傾斜勾配がつけられている。これにより、搬送台車3が走行レーン4を走行している際、その搬送台車3に載せられた荷物8が傾くことを防止できる、つまり搬送台車3に載せられた荷物8の水平を保つことができる。また、この場合、昇降機5が備える搬送台車3を載せる床面13には、走行レーン4につけられた傾斜勾配と同じ向きの傾斜勾配がつけられている。これにより、搬送台車3が昇降機5に乗っている際、その搬送台車3に載せられた荷物8が傾くことを防止できる、つまり搬送台車3に載せられた荷物8の水平を保つことができる。
この場合、搬送台車3は、進行方向に対して前側の前輪15を駆動輪および制動輪とする構成となっている。このような構成によれば、1つの三相ブリッジ回路をインバータおよびコンバータの双方として機能させることができるとともに、1つの駆動用モータ17を電動機および発電機として機能させることができ、その分だけ、搬送台車3の構成を簡素化することができる。
仮に、搬送台車3が、進行方向に対して後側の後輪16にて駆動および制動(回生)を行う構成とした場合、走行レーン4の傾斜が強くなるほど、駆動できなくなる可能性および回生できなくなる可能性が高まる。これに対し、本実施形態のように、前輪15にて駆動および制動を行う構成によれば、走行レーン4の傾斜が強くなった場合でも、搬送台車3の重心がその前側となることから、駆動できなくなる可能性および制動できなくなる可能性を低く抑えることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図8を参照して説明する。
第2実施形態では、搬送台車の構成が第1実施形態と異なっている。すなわち、図8に示すように、本実施形態の搬送台車31は、第1実施形態の搬送台車3と同様、進行方向に対して前側の前輪15と、進行方向に対して後側の後輪16と、を備えている。ただし、搬送台車31は、後輪16を駆動輪とするとともに、前輪15を制動輪とする構成となっている。
搬送台車3は、駆動用モータ32、ドライバ33、蓄電部14、ジェネレータ34、充電制御部35および抵抗負荷部20を備えている。駆動用モータ32は、駆動用モータ17と同様、例えば三相のブラシレスDCモータであり、前輪15を回転させる。ただし、駆動用モータ32は、クラッチ付きの構成となっている。駆動用モータ32のクラッチの制御は、充電制御部35により行われる。ドライバ33は、ドライバ18と同様、三相ブリッジ回路を含む構成であり、蓄電部14から与えられる直流電力を三相の交流電力に変換するインバータとして機能する。駆動用モータ32は、ドライバ33から交流電力の供給を受けて駆動される。
ジェネレータ34は、例えば三相のブラシレス発電機である。また、ジェネレータ34は、クラッチ付きの構成であり、その回転軸を、クラッチを介して後輪16に連結可能となっている。ジェネレータ34のクラッチの制御は、充電制御部35により行われる。後輪16の制動時にジェネレータ34を介して得られる回生電力は、充電制御部35に与えられる。充電制御部35は、充電制御部19と同様の機能を有する。
また、充電制御部35は、ドライバ18と同様、三相ブリッジ回路を含む構成であり、回生電力を直流電力に変換するコンバータとしても機能する。充電制御部35は、算出したSOCに基づいて、コンバータとしての機能により得られる直流電力を蓄電部14へと出力するか、あるいは、抵抗負荷部20へと出力するか、を切り替える。充電制御部35は、充電制御部19と同様、蓄電部14のSOCが所望する目標値となるように、上述した切り替えを制御する。
充電制御部35は、駆動用モータ32およびジェネレータ34の各クラッチを次のように制御する。すなわち、充電制御部35は、走行時(加速動作中または等速動作中)、駆動用モータ32のクラッチを連結するとともにジェネレータ34のクラッチを切り離すように制御する。また、充電制御部35は、制動時(減速動作中)、駆動用モータ32のクラッチを切り離すとともにジェネレータ34のクラッチを連結するように制御する。
以上説明した本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態の搬送台車31は、後輪16を駆動輪とするとともに前輪15を制動輪とする構成となっている。このような構成によれば、前輪15を駆動輪とする構成に比べ、搬送台車31が急峻に加速する際、つまり急加速時に、搬送台車31の車輪が空転し難くなるという効果が得られる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
走行レーン4の長さ、傾斜勾配の角度などは、必ずしも前述した条件を満たすように設計しなくともよい。前述した条件を満たさない場合であっても、搬送台車3、31での電力消費量の低減効果は得られるため、その結果、充電設備は必要となるものの、その電力容量を小さく抑えることができ、設備の小型化、低コスト化を図ることができる。さらに言えば、複数の走行レーン4のうち、少なくとも1つの走行レーン4に傾斜勾配がつけられていればよい。この場合であっても、搬送台車3、31での電力消費量の低減効果を得ることができる。
搬送台車3、31の載置面12の傾斜勾配については、荷物8の傾きが大きな問題にならないようであれば、必ずしもつけなくともよい。また、同様に、昇降機5の床面13の傾斜勾配についても、必ずしもつけなくともよい。
上記各実施形態では、本発明を工場などで用いられる物流自動搬送システム1に適用した例について説明したが、本発明は、棚に対する荷物の入庫および出庫を自動的に行う搬送台車を備えた物流自動搬送システム全般に適用することができる。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
1…物流自動搬送システム、3、31…搬送台車、4…走行レーン、5…昇降機、7…棚、8…荷物、12…載置面、13…床面、14…蓄電部、15…前輪、16…後輪。

Claims (6)

  1. 地面に対して垂直方向および平行方向に並ぶように設置された荷物(8)を収容可能な複数段の棚(7)と、前記荷物を載せて移動するとともに前記棚に対する前記荷物の入庫および出庫を自動的に行う搬送台車(3、31)と、を備えた物流自動搬送システム(1)であって、
    前記棚に隣接するとともに前記棚の横方向に沿って延びるように設けられ、前記搬送台車が走行するための走行路(4)と、
    前記走行路の端部に隣接して設けられ、前記搬送台車を昇降する昇降機(5)と、
    を備え、
    前記搬送台車は、自車に搭載された蓄電部(14)から電力供給を受けて動作し、制動時に発生する回生電力により前記蓄電部を充電可能な構成であり、
    前記走行路の少なくとも一部には、前記搬送台車の進行方向に向けて下りの傾斜勾配がつけられている物流自動搬送システム。
  2. 前記搬送台車は、前記荷物を載せる載置面(12)を備え、
    前記載置面には、前記走行路につけられた傾斜勾配とは逆向きの傾斜勾配がつけられている請求項1に記載の物流自動搬送システム。
  3. 前記昇降機は、前記搬送台車を載せる床面(13)を備え、
    前記床面には、前記走行路につけられた傾斜勾配と同じ向きの傾斜勾配がつけられている請求項1または2に記載の物流自動搬送システム。
  4. 前記搬送台車は、
    前記進行方向に対して前側の前輪(15)と、前記進行方向に対して後側の後輪(16)と、を備え、
    前記前輪を駆動輪および制動輪とする構成である請求項1から3のいずれか一項に記載の物流自動搬送システム。
  5. 前記搬送台車は、
    前記進行方向に対して前側の前輪(15)と、前記進行方向に対して後側の後輪(16)と、を備え、
    前記後輪を駆動輪とするとともに、前記前輪を制動輪とする構成である請求項1から3のいずれか一項に記載の物流自動搬送システム。
  6. 前記搬送台車の制動時に発生する回生電力が、前記搬送台車の走行中および停車中に消費する電力に対し前記搬送台車が前記荷物の入庫および出庫を行う際に消費する電力を加えた合計消費電力よりも大きくなるように、前記走行路が設計されている請求項1から5のいずれか一項に記載の物流自動搬送システム。
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