JP5501594B2 - クレーン装置およびクレーン装置の制御方法 - Google Patents

クレーン装置およびクレーン装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、荷物をつり上げ、上下・左右・前後に移動させて行なう荷役作業を、比較的低い燃費、かつ比較的低い排出ガス量で実施することができるクレーン装置、およびクレーン装置の制御方法に関する。
例えばコンテナヤードにおけるコンテナ荷役作業は、コンテナクレーンが、第1のコンテナ載置位置(地面や、コンテナ運搬用トラックのシャーシ、他のコンテナの上面など)に載置されたコンテナを吊り具によって吊り上げ、吊り上げたコンテナを第2のコンテナ載置位置(地面や、コンテナ運搬用トラックのシャーシ、他のコンテナの上面など)の上方まで水平方向に移動させて、このコンテナを吊り下げて第2のコンテナ載置位置に配置することで行なわれる。コンテナヤードにおけるコンテナ荷役作業では、複数のコンテナの1つ1つについて、コンテナクレーンがこのような吊り上げ、水平移動、吊り下げ動作を行なう。従来、コンテナクレーンの動力源は、一般的に、エンジンによって発電機を動かして電力を発生させるエンジン発電機であった。コンテナ荷役作業において、エンジン発電機のエンジンの負荷が比較的大きくなる(すなわち、最も大きなエンジン出力を必要とする)のは、コンテナを吊り上げる場合であり、逆に、エンジン発電機のエンジンの負荷が比較的小さくなる(すなわち、エンジンの出力が最も小さくて済む)のは、コンテナを吊り下げる場合である。
図9は、コンテナヤードで行なうコンテナ荷役作業における、コンテナクレーンの動力源であるエンジン発電機のエンジンの出力(コンテナ荷役作業においてエンジン発電機のエンジンが受ける負荷に対応する)の時系列データの一例である。具体的には、図9に示す例では、コンテナクレーンの動力源は、エンジンと発電機とで構成されており、発電機が、エンジンの駆動出力に応じた電力を発電し、この電力によってクレーンが荷役作業を行なっている。図9に示す出力は、エンジンの駆動出力を表し、ひいては発電機の発電量、さらには荷役作業全体の負荷(荷役作業負荷)に対応している。図9に示すように、コンテナクレーンの荷役作業では、荷役作業負荷が比較的高い時間範囲と、荷役作業負荷が比較的低い時間範囲とが繰り返される。荷役作業負荷の大きさは一貫性がなく、時間によってバラバラである。これは、コンテナ荷役作業では、上述のとおり、それぞれ重量が異なる複数のコンテナの1つ1つについて、コンテナクレーンが吊り上げ、水平移動、吊り下げ、の一連の荷役動作を行なうためである。図9に示すグラフにおいて、荷役作業負荷が比較的高い時間範囲はコンテナの吊り上げ中に対応し、荷役作業負荷が比較的低い時間範囲はコンテナの水平移動、および吊り下げ中に対応する。
図9の例では、エンジンの出力(荷役作業負荷)は瞬時的には300kW近く必要となっている。すなわち、コンテナクレーンの動力源を、エンジンと発電機のみで構成している場合、エンジンは300(kW)出力することが可能な、比較的大きな排気量の大出力用エンジンを選択しておく必要がある。しかし、このような場合、荷役作業負荷が比較的低い時間範囲では、大出力用エンジンを0〜50%程度の低い出力割合で運転させざるを得ない。このため、コンテナの荷役作業全体での全仕事量(kWh)の割に、エンジンの燃費も比較的悪く、かつエンジンが出す排気量も比較的多くならざるを得なかった。
動力源がエンジンと発電機のみで構成されている従来のクレーン装置に比べて、コンテナの荷役作業を比較的低い燃費、かつ比較的低い排出ガス量で実施することができるクレーン装置が、例えば下記非特許文献1に記載されている。コンテナの荷役作業全体の中で、特に、コンテナを吊り下げる作業は、コンテナのもつ位置エネルギーを低減させる作業である。下記非特許文献1では、コンテナの巻き下げ時にクレーン側に回生される上記位置エネルギー(回生エネルギー)(非特許文献1では「コンテナの巻き下げ時に発生するエネルギー」と記載されている)を電気二重層コンデンサと呼ばれる充電装置に蓄積し、巻き上げ時に再度この回生エネルギーを利用することにより、従来に比べて大幅な燃費の削減を可能にしていると記載されている。
"TCM NEWSLETTER No0616"、[online]、[平成19年2月21日検索]、インターネット<URL:http://www.tcm.co.jp/ns/news/06082209513832046/hyRTGweb.pdf>
上記非特許文献1では、コンテナの巻き下げ時の回生エネルギーを電気二重層コンデンサと呼ばれる充電装置に蓄積し、巻き上げ時に再度この回生エネルギーを利用すること以外については示唆されていない。非特許文献1の記載からは、非特許文献1記載のクレーンが行なう動作として、回生時すなわちコンテナの吊り下げ時以外は充電装置への充電を実施せず、吊り上げ時に回生エネルギーを消費してしまった後は、充電量がゼロ(0)のまま、次の回生時すなわちコンテナの吊り下げまで、エンジンの動力(発電した電力)のみで荷役動作を行なうことしか、当業者は想到することができない。このような動作では、例えばエンジンが0〜50%と低い出力割合で運転している時間範囲が、十分に低減されるわけではない。上記非特許文献1記載のクレーンでも、例えばコンテナヤードで行なうコンテナ荷役作業を、十分低い燃費かつ十分比較的低い排出ガス量で行なうことはできない。そこで、本発明は、荷物をつり上げ、上下・左右・前後に移動させて行なう荷役作業を、比較的低い燃費、かつ比較的低い排出ガス量で実施することができるクレーン装置、およびクレーン装置の制御方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、エンジンを備え、前記エンジンの駆動出力の大きさに応じた電力を発電する発電機構と、充電池を備え、前記発電機構が発電した電力の少なくとも一部を受け取って前記電力を前記充電池に充電するとともに、充電した前記電力を前記充電池から放電させて出力することが可能な放充電機構と、前記発電機構および前記放充電機構と接続されており、前記発電機構が発電した電力、および前記充電池から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取り、受け取った電力を動力源として、荷物固定具に固定された荷物を吊り上げて移動させる荷役動作を行なうクレーン機構と、前記発電機構、前記放充電機構、および前記クレーン機構と接続されており、前記クレーン機構が行う荷役動作において前記クレーン機構が受ける現在の負荷の大きさを表す負荷量情報、および前記充電池の現在の充電量を表す充電量情報を少なくとも取得し、前記負荷量情報と前記充電量情報とに応じて、前記発電機構の前記エンジンの動作状態と前記放充電機構の放充電状態とを少なくとも制御することで、前記クレーン機構が受け取る電力を調整する制御機構とを有し、前記制御機構は、前記電力の調整の際、前記荷物固定具の現在の高さを表す高さ情報と、前記荷物固定具に固定されている現在の前記荷物の重量を表す重量情報との少なくともいずれか一方を取得し、取得した前記高さ情報および前記重量情報の少なくともいずれか一方に基いて充電量閾値を設定し、前記充電量情報が前記充電量閾値よりも大きい場合には、前記エンジンの動作状態を停止状態に制御し、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記充電池から放電された電力のみを受け取らせ、前記充電量情報が前記充電量閾値よりも小さい場合には、前記エンジンの動作状態を駆動状態に制御し、さらに、前記負荷量情報が前記エンジンの駆動出力の最大値に対応する第1の負荷閾値よりも大きいときに、前記エンジンを、前記最大値に対応する出力で駆動させるとともに、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記発電機構が発電した電力および前記充電池から放電された電力の双方を受け取らせ、前記負荷量情報が、前記第1の負荷閾値以下でかつ前記エンジンの熱効率が所定の値以上となる場合に必要な前記エンジンの駆動出力のうちの最小値に対応する第2の負荷閾値以上のときに、前記エンジンを、前記最大値と前記最小値の間の一定出力で駆動させ、前記負荷量情報が前記一定出力以上のときは前記充電池に充電した前記電力を放電させて前記エンジンからの前記一定出力と前記充電池から放電された電力の双方を前記クレーン機構に受け取らせ、前記負荷量情報が前記一定出力より小さいときは前記エンジンからの前記一定出力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させ、前記負荷量情報が、前記第2の負荷閾値よりも小さく且つ荷役作業が全く無い状態に対応する第3の負荷閾値より大きいときに、前記エンジンを前記最小値に対応する出力で駆動させて前記発電機構が発電した電力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させることを特徴とするクレーン装置を提供する。
なお、前記制御機構は、取得した前記高さ情報が表す前記荷物固定具の現在の高さがより高いほど、前記充電量閾値をより低く設定することが好ましい。
また、前記クレーン機構は、前記荷物固定具の現在の高さを検出して前記高さ情報を出力する高さ検出手段と、前記荷物の重量を検出して前記重量情報を出力する重量検出手段とを備え、前記制御機構は、前記高さ検出手段から出力された前記高さ情報と、前記重量検出手段から出力された前記重量情報とを取得することが好ましい。
また、前記制御機構では、前記充電量閾値を、さらに前記エンジンの現在の動作状態に応じて変更して設定し、現在の前記エンジンの動作状態が駆動状態である場合に比べて、現在の前記エンジンの動作状態が停止状態である場合の方が、前記充電量閾値をより小さい値に設定することが好ましい。
また、前記制御機構は、前記充電量情報が前記充電量閾値よりも小さく、前記負荷量情報が、前記第3の負荷閾値以下のときに、前記クレーン機構で発生した回生電力を前記充電池に充電させることが好ましい。
本発明は、また、エンジンを備え、前記エンジンの駆動出力の大きさに応じた電力を発電する発電機構と、充電池を備え、前記発電機構が発電した電力の少なくとも一部を受け取って前記電力を前記充電池に充電するとともに、充電した前記電力を前記充電池から放電させて出力することが可能な放充電機構と、前記発電機構および前記放充電機構と接続されており、前記発電機構が発電した電力、および前記充電池から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取り、受け取った電力を動力源として、荷物固定具に固定された荷物を吊り上げて移動させる荷役動作を行なうクレーン機構を有するクレーン装置の制御方法であって、前記クレーン機構が行う荷役動作において前記クレーン機構が受ける現在の負荷の大きさを表す負荷量情報、および前記充電池の現在の充電量を表す充電量情報を少なくとも取得するステップと、前記負荷量情報と前記充電量情報とに応じて、前記発電機構の前記エンジンの動作状態と前記放充電機構の放充電動作状態とを少なくとも制御することで、前記クレーン機構が受け取る電力を調整するステップと、を有し、前記調整ステップでは、前記荷物固定具の現在の高さを表す高さ情報と、前記荷物の重量を表す重量情報との少なくともいずれか一方を取得し、取得した前記高さ情報および前記重量情報の少なくともいずれか一方に基いて充電量閾値を設定し、前記充電量情報が前記充電量閾値よりも大きい場合には、前記エンジンの動作状態を停止状態に制御し、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記充電池から放電された電力のみを受け取らせ、前記充電量情報が前記充電量閾値よりも小さい場合には、前記エンジンの動作状態を駆動状態に制御し、さらに、前記負荷量情報が前記エンジンの駆動出力の最大値に対応する第1の負荷閾値よりも大きいときに、前記エンジンを、前記最大値に対応する出力で駆動させるとともに、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記発電機構が発電した電力および前記充電池から放電された電力の双方を受け取らせ、前記負荷量情報が、前記第1の負荷閾値以下でかつ前記エンジンの熱効率が所定の値以上となる場合に必要な前記エンジンの駆動出力のうちの最小値に対応する第2の負荷閾値以上のときに、前記エンジンを、前記最大値と前記最小値の間の一定出力で駆動させ、前記負荷量情報が前記一定出力以上のときは前記充電池に充電した前記電力を放電させて前記エンジンからの前記一定出力と前記充電池から放電された電力の双方を前記クレーン機構に受け取らせ、前記負荷量情報が前記一定出力より小さいときは前記エンジンからの前記一定出力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させ、前記負荷量情報が、前記第2の負荷閾値よりも小さく且つ荷役作業が全く無い状態に対応する第3の負荷閾値より大きいときに、前記エンジンを前記最小値に対応する出力で駆動させて前記発電機構が発電した電力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させることを特徴とするクレーン装置の制御方法を、併せて提供する。
本発明のクレーン装置およびクレーン装置の制御方法によれば、荷物をつり上げ、上下・左右・前後に移動させて行なう荷役作業を、比較的低い燃費、かつ比較的低い排出ガス量で実施することができる。また、クレーン装置の発電機構を、比較的小型なエンジンで構成できるので、クレーンを比較的安価に構成できるとともに、荷役作業中にエンジンから発する騒音も、比較的小さくすることができる。
以下、本発明のクレーン装置およびクレーンの制御方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1(a)および(b)は、本発明のクレーン装置の一例である、コンテナ荷役用クレーン10(以降、クレーン10とする)を説明する図である。図1(a)は、クレーン10の概略の構成を示す概略正面図であり、図1(b)は、クレーン10の概略の構成を示す概略側面図である。また、図2は、クレーン10において行なわれる情報および電力の受け渡しについて説明する図であり、クレーン10の一部の概略構成図である。
クレーン10は、脚部14に設けられた、発電機構22と放充電機構24とを有して構成された動力源ユニット20と、脚部14に支えられたクレーンガータ12を、図1(a)中の左右方向(図1(b)中、紙面に垂直な方向)に移動するトロリ30と、吊り荷であるコンテナ16と固定されてコンテナ16ともにトロリ30によって昇降する、荷物固定具であるスプレッダ40と、脚部14に備えられた車輪11を操舵するとともに回転駆動させて、脚部14を自由に移動(走行)させる車輪走行手段50と、制御機構である制御部72を内部に備える操作装置70とを有して構成されている。
クレーン10は、車輪走行手段50によって、脚部14が地面を自由に移動(走行)可能となっている。また、トロリ30の横行手段32によってトロリ30(およびスプレッダ40)が図1(a)中の左右方向(図1(b)中、紙面に垂直な方向)に移動可能となっている。クレーン10は、さらに、トロリ30の昇降手段34によってスプレッダ40が図1(a)中の上下方向(図1(b)中の上下方向)に移動(昇降)可能となっている。これら、車輪走行手段50、トロリ30の横行手段32、トロリ30の昇降手段34、は本発明のクレーン機構を構成する。クレーン10では、操作装置70が受け付けるクレーン操縦者からの操作指示入力に応じた制御信号が、操作装置70の制御部72からクレーン機構を構成する各部に送られることで、スプレッダ40の空間位置を自在に制御することができる。
操作装置70は、クレーン操縦者(図示せず)からの入力指示を受け付け、クレーン機構の各部、すなわちトロリ30が備える横行手段32と昇降手段34、および車輪走行手段50の動作を制御するための制御信号を送信する。操作装置70は制御部72を備えており、この制御部72が、入力手段76によるクレーン操縦者からの操作指示入力に応じた制御信号を生成し、クレーン機構の各部に送信する。操作装置70は、例えば、図示しないCPUと図示しないメモリを有し、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することで機能するコンピュータである。なお、このメモリには、後述する各種の閾値や所定値などの数値情報が、予め記憶されている。
なお、スプレッダ40には、公知のコンテナ保持手段である図示しないツイストロックピンと、制御装置70の制御部72と接続された、図示しないツイストロックピン回転機構が備えられている。コンテナ荷役作業においては、制御信号によってスプレッダ40の位置が制御されて、このツイストロックピンがコンテナ16の上面側のコーナーボックスに挿入された後、操縦者の指示に応じた制御信号によって図示しないロックピン回転機構が動作してツイストロックピンが回転される。これにより、スプレッダ40のツイストロックピンとコンテナ16のコーナーボックスとが結合される。また、制御信号に応じて(クレーン操縦者の指示に応じて)図示しないロックピン回転機構によってツイストロックピンが逆回転されることで、スプレッダ40のツイストロックピンとコンテナ16のコーナーボックスとの結合は、容易に解除される。
このように、クレーン10では、操作装置が受け付けるクレーン操縦者からの操作指示入力に応じて、スプレッダ40の空間位置や、スプレッダ40のツイストロックピンの回転が自在に制御されることで、第1のコンテナ載置位置(地面や、コンテナ運搬用のトラック80のシャーシ84、他のコンテナ16の上面など)に載置されたコンテナ16を吊り上げ、吊り上げたコンテナを第2のコンテナ載置位置(地面や、コンテナ運搬用のトラック80のシャーシ84、他のコンテナ16の上面など)の上方まで水平方向に移動させて、このコンテナ16を吊り下げて第2のコンテナ載置位置に配置することで、コンテナ荷役作業を実施する。
本発明のクレーン10では、操作装置70が、クレーン機構の各部に加え、発電機構22のエンジン21、放充電機構24の後述する放充電制御部29とも接続されている。操作装置70の制御部72は、クレーン操縦者からの操作指示入力に応じた制御信号をクレーン機構の各部に送信するのみでなく、さらに、クレーン機構が行う荷役動作においてクレーン機構の各部が受ける現在の負荷の大きさを表す負荷量情報(後述する、横行負荷情報、昇降負荷情報、および走行負荷情報の少なくとも1つ)、および充電池27の現在の充電量を表す充電量情報を少なくとも取得する。操作装置70の制御部72は、取得した負荷量情報の合計値(荷役作業負荷情報とする)と、充電量情報とに応じて、発電機構22のエンジン21の動作状態と、放充電機構24の放充電動作状態とを少なくとも制御することで、クレーン機構を構成する各手段(車輪走行手段50、トロリ30の横行手段32、トロリ30の昇降手段34)が受け取る電力を調整する。クレーン10を構成する各部の詳細、および制御部72が行なう制御の詳細について、以後詳述していく。
動力源ユニット20の発電機構22は、エンジン21と、エンジン21の駆動出力の大きさに応じた電力を発電する発電機23と、発電機23によって発生した(発電した)交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ25とを有して構成されている。発電機構22のエンジン21は、制御装置70の制御部72と接続されている。操作装置70の制御部72は、エンジン21の現在の動作状態を表すエンジン動作情報を取得する。また、エンジン21は、操作装置70の制御部72によって動作状態(エンジンの駆動または停止、駆動状態におけるエンジン出力の大きさなど)が制御(設定)される構成となっている。エンジン21は、例えば公知のディーゼルエンジンを用いればよい。
動力源ユニット20の放充電機構24は、充電池27と放充電制御部29とを有して構成されている。充電池27は放充電可能な、例えば電気二重層コンデンサなどの公知の充電池であり、放充電制御部29は、制御部72と接続されて、この制御部72の指示に応じて、発電機23が発電した電力の少なくとも一部を充電池27に充電させたり、充電した電力を充電池27から放電させて出力させる。放充電制御部29は、充電池27に充電されている電池残量(充電量)を表す情報(充電量情報)を検出可能な充電量検出手段26を備えている。充電量情報検出手段26が検出した充電量情報は、制御部72に送信される。なお、放充電機構24の放充電制御部29は、配線15を介し、必要に応じて後述の回生エネルギーを受け取り、受け取った回生エネルギーを充電池27に充電させる機能も有する。放充電制御部29や充電量検出手段26は、例えばスイッチやリレーを備えた専用回路によって構成されていればよい。
上述したように、コンテナの荷役作業では、荷役作業負荷が比較的高い時間範囲と荷役作業負荷が比較的低い時間範囲とが繰り返される。上述したように、エンジン発電機のみで、荷役作業負荷が比較的高い時間範囲で必要な出力(電力)を全て賄おうとすると、比較的大きな排気量の大型エンジンを備えるエンジン発電機が必要となり、荷役作業負荷が比較的低い時間範囲における熱効率が著しく悪化する。クレーン10では、クレーン10を用いて行なわれる荷役作業において想定される荷役作業負荷の最高値、すなわちクレーン機構に必要な最高出力(例えば、想定最高重量のコンテナを、スプレッダ40に固定して上昇させる際に必要な出力)に比べて、発電できる最大出力がより低い、比較的低排気量のエンジン21を備えるエンジン発電機を用いる。加えて、充電池27としては、エンジン21が最高出力で駆動した場合に発電される電力と、充電池27から放電される電力とで、クレーン機構に必要な最高仕事量が賄いきれる充電可能容量をもつ充電池が用いられる。ここで、クレーン装置において、クレーン機構が行なう仕事量が最も大きくなるのは、想定最高重量のコンテナを、地面から想定最高到達位置まで上昇させる場合である。一般的に、想定最高重量や想定最高到達位置は、クレーン装置毎に規格が定まっており、クレーン機構に必要な最高仕事量もクレーン装置毎に予め既知であるといえる。充電池27は、クレーン装置10に応じた最高仕事量が賄いきれる充電可能容量をもつ充電池が用いられている。本実施形態のクレーン10では、エンジン21として、例えば、最高出力200kWのエンジンを用いる。この最高出力200kWのエンジン21では、エンジンの熱効率が比較的高く十分な基準値以上となるのは、例えばエンジン出力が50%〜100%の範囲にある場合であり、エンジン出力が50%未満ではエンジン熱効率は低くなっている。
トロリ30には、トロリ30を図1(a)中の左右方向(図1(b)中、紙面に垂直な方向)に移動させるための横行手段32と、コンテナ16を吊り上げることができるスプレッダ40を図1(a)中の上下方向(図1(b)中の上下方向)に昇降させるための昇降手段34とが備えられている。横行手段32は、例えば図示しない車輪と、図示しない車輪を回転させてトロリ30をクレーンガータ12上で移動させるための横行モータ33と、横行モータ33の動作を制御するための横行モータ制御部35と、を有して構成されている。横行モータ制御部35は、発電機構22および放充電機構24の双方に接続された配線15と接続しており、発電機23が発電した電力、および充電池27から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取る。横行モータ制御部35は、公知のインバータ回路を備えている。横行モータ制御部35は、操作装置70の制御部72と接続されており、制御部72の指示に応じて、横行モータ33の動作を制御する。例えば、横行モータ制御部35は、トロリ30がクレーンガータ12上を、制御信号に応じた条件(例えば移動速度および距離)で横行するよう、配線15を介して受け取った直流電力を、この制御信号に応じた交流電流に変換して横行モータ33に供給して、横行モータ33の動作を制御する。横行モータ制御部35は、また、例えば横行モータ33のモータ電流など、横行モータが受ける現在の負荷を表す情報(横行負荷情報)を検出可能な横行負荷検出手段36を備えている。横行負荷検出手段36が検出した横行負荷情報は、制御部72に送信される。横行モータ制御部35や横行負荷検出手段36は、例えば専用回路によって構成されていればよい。
昇降手段34は、例えば、スプレッダ40に固定されたワイヤを、巻き上げまたは巻き下げ可能な図示しないワイヤドラムと、スプレッダ40を昇降させるために図示しないワイヤドラムを回転させるための昇降モータ37と、昇降モータ37の動作を制御するための昇降モータ制御部39と、を有して構成されている。昇降モータ制御部39は、発電機構22および放充電機構24の双方に接続された配線15と接続しており、発電機23が発電した電力、および充電池27から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取る。昇降モータ制御部39は、公知のインバータ回路を備えている。昇降モータ制御部39は、操作装置70の制御部72と接続されており、制御部72の指示に応じて、昇降モータ37の動作を制御する。例えば、昇降モータ制御部39は、スプレッダ40が制御信号に応じた条件(例えば移動速度および距離)で昇降するよう、配線15を介して受け取った直流電力を、この制御信号に応じた交流電流に変換して昇降モータ37に供給して、昇降モータ37の動作を制御する。昇降モータ制御部39は、また、例えば昇降モータ37のモータ電流など、昇降モータ37が受ける現在の負荷を表す情報(昇降負荷情報)を検出可能な昇降負荷検出手段38を備えている。昇降負荷検出手段38が検出した昇降負荷情報は、制御部72に送信される。昇降モータ制御部39や昇降負荷検出手段38は、例えば専用回路によって構成されていればよい。
また、昇降モータ制御部39は、スプレッダ40に固定されて昇降モータ37によって吊り上げられているコンテナ16の重量を検出する重量検出手段42と、荷物固定具であるスプレッダ40の現在の高さを検出する高さ検出手段44とを有している。本実施形態では、昇降負荷情報と重量情報とは別個の情報であり、昇降負荷検出手段38と重量検出手段42とは別個に構成されているが、例えば、昇降負荷検出手段38で検出される昇降負荷情報はコンテナ16の重さを表しているといえるので、昇降負荷検出手段38を重量検出手段42として用い、昇降負荷情報を重量情報として用いてもよい。また、高さ検出手段44としては、例えば、図示しないワイヤドラムの回転回数などを検出して、スプレッダ40の現在の地面からの位置を検出する手段などを用いればよい。重量検出手段42が検出した重量情報、高さ検出手段44が取得した高さ情報は、操作装置70の制御部72に送られる。重量検出手段42および高さ検出手段44の形態は、特に限定されない。
また、昇降手段34の昇降モータ制御部39には、昇降モータ37が外力(配線15を解して受け取った電力以外)によって回転することで生じる回生電力を受け取り、この回生電力を配線15を介して放充電機構24に向けて送るための回生電力取得手段41も、併せて有している。コンテナの荷役作業全体の中で、特に、コンテナを吊り下げる作業、すなわち、スプレッダ40に固定された状態のコンテナ16を下降させる作業は、コンテナ16のもつ位置エネルギーを低減させる作業である。スプレッダ40に固定されたコンテナ16を下降させる際、昇降モータ37では、コンテナ16がもつ位置エネルギーが電気エネルギー(回生エネルギー)に変換される。例えば、スプレッダ40に固定されたコンテナ16を下降させる際、モータの回転子がコンテナ16にかかる重力によって回転されて誘導電流が生じることで、位置エネルギーが回生エネルギー(回生電力)に変換される。回生電力取得手段41は、スプレッダ40に固定されたコンテナ16を下降させる際に生じる、この回生電力を受け取り、この回生電力を配線15を介して放充電機構24に向けて送る。上述の放充電機構24の放充電制御部29は、制御部72による制御の下、必要に応じてこの配線15から回生電力を受け取り、受け取った回生電力を充電池27に充電させる。なお、回生電力取得手段41は、例えば回生電力の電圧値など、回生電力取得手段41が取得した回生電力の大きさを表す情報(回生電力情報)を検出する機能も有している。回生電力取得手段41が取得した回生電力情報は、制御部72に送られる。回生電力取得手段41も、例えば専用回路によって構成されていればよい。
なお、回生エネルギー(回生電力)は、昇降モータ37だけに限らず、横行モータ33や走行モータ52などでも発生する。例えば、走行モータ52によって走行させた車輪の回転を停止して脚部14の移動を止めるときなど、走行モータ52をブレーキ装置と連動させて回転させることで、回生エネルギーを得ることができる。本発明では、このように、横行モータ33や走行モータ52で発生した回生エネルギーを取り扱っても構わない。本実施形態では、クレーン機構において取得できる回生エネルギーのうち支配的に大きなエネルギーである、昇降手段のモータによって得られる回生エネルギーについてのみ説明しておく。
車輪走行手段50は、脚部14に備えられた車輪11を操舵および回転駆動させ、脚部14を地面上で移動させるための走行モータ52と、走行モータ52の動作を制御するための走行モータ制御部54と、を有して構成されている。走行モータ制御部54は、発電機構22および放充電機構24の双方に接続された配線15と接続しており、発電機23が発電した電力、および充電池27から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取る。走行モータ制御部54は、公知のインバータ回路を備えている。走行モータ制御部54は、操作装置70の制御部72と接続されており、制御部72の指示に応じて、走行モータ52の動作を制御する。例えば、走行モータ制御部54は、脚部14が制御信号に応じた条件(例えば移動速度および距離)で移動するよう、配線15を介して受け取った直流電力を、この制御信号に応じた交流電流に変換して走行モータ52に供給して、走行モータ52の動作を制御する。走行モータ制御部54は、また、例えば走行モータ52のモータ電流など、走行モータ52が受ける現在の負荷を表す情報(走行負荷情報)を検出可能な走行負荷検出手段56を備えている。走行負荷検出手段56が検出した走行負荷情報は、制御部72に送信される。
トロリ30が備える横行手段32と昇降手段34、および車輪走行手段50は、本発明のクレーン機構を構成する。クレーン10では、このクレーン機構(横行手段32と昇降手段34、および車輪走行手段50)が、発電機構22および放充電機構24の双方に接続された配線15と接続しており、発電機23が発電した電力、および充電池27から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取り、受け取った電力を動力源として荷役動作を行なう。なお、本発明において、トロリ30および車輪走行手段50の細部の構成については特に限定されない。
図3(a)および(b)は、制御部72が取得する荷役作業負荷情報および充電量情報と、制御部72が行なう、発電機構22のエンジン21の動作制御および放充電機構24の放充電動作制御の関係(制御ロジック)について説明する概略図である。また、図4は、クレーン10による荷役作業中に制御部72が行なう、発電機構22のエンジン21の動作状態および放充電機構24の放充電動作状態の制御について説明するフローチャートである。以下、図3(a)(b)および図4を用いて、制御部72が行なう、発電機構22のエンジン21の動作状態および放充電機構24の放充電動作状態の制御について説明する。
以下に説明する制御ロジックは、本願発明者が、比較的小さい排気量のエンジンと、充電池とを動力源として備えるクレーンについて、エンジンの燃費をなるべく良く、すなわち、少なくする制御ロジックについて鋭意検討することで創作されたものである。具体的に、本願発明者は、実際のコンテナの荷役作業では、エンジンの出力だけでは賄いきれない比較的高い作業出力(作業負荷)が、いつどのようなタイミングで必要になるか、事前に完全に把握することができないため、充電池には、なるべく多くの時間、一定の電力量が確保されておく必要があると考えた。さらに、例えば、エンジンの熱効率が比較的悪い、比較的低い出力割合(例えば、エンジン出力0〜50%)で、充電池に充電させるためだけにエンジンを駆動させ続けるのは、避けるべきであると考えた。また、さらに、エンジンの燃費を維持するためには、荷役作業におけるエンジンの駆動・停止の切り替え動作(以下ON/OFFとする)の回数を、なるべく少なくするべきだと考えた。以下に示す制御ロジックは、本願発明者が、従来提示されていなかったこのような発想の下、なるべく多くの時間、充電池に一定の電力量(充電量)を確保しておきつつ、比較的低い出力割合でエンジンを駆動させる時間を極力少なくし、さらに、荷役作業におけるエンジンの以下ON/OFFの回数を、なるべく少なくするための制御ロジックを、鋭意検討することで創作されたものである。
クレーン10による荷役作業が開始されると、操作装置70の制御部72は、所定の時間間隔毎で訪れる制御タイミング毎に(すなわち、ステップS100の判定がYesとなる度に)、クレーン機構を構成する各手段(クレーン30の横行手段32および昇降手段34、走行手段50)から、荷役作業負荷情報(横行負荷情報、昇降負荷情報、および走行負荷情報の少なくとも1つ)を取得するともに、充電量検出手段26から充電量情報を取得する。また同時に、重量検出手段42から重量情報を取得し、高さ検出情報から高さ情報を取得する。制御部72は、取得した荷役作業負荷情報と充電量情報とに応じて、以下に示す各ステップのように、発電機構22のエンジン21の動作状態と放充電機構24の放充電動作状態とを制御する。このような制御は、荷役作業が終了するまで、すなわちステップS102の判定がNoとなるまで、所定の時間間隔毎で訪れる制御タイミング毎に繰り返される。
制御タイミングとなり(すなわち、ステップS100の判定がYesとなり)、荷役作業が継続される場合(すなわち、ステップS102の判定がYesとなる場合)、操作装置70の制御部72は、まず、発電機構22のエンジン21の動作状態を表すエンジン動作情報を取得し、エンジン21の現在の動作状態に応じて、2種類の充電量閾値(第1充電量閾値と第2充電量閾値)から、1種類の充電量閾値を選定する(ステップS104)。この際、現在のエンジン21の動作状態が駆動状態である場合、第1充電量閾値を選定し、現在のエンジン21の動作状態が停止状態である場合、第2充電量閾値を選定する。現在のエンジン21の動作状態が駆動状態である場合に選定する第1充電量閾値に比べて、現在のエンジン21の動作状態が停止状態である場合に選定する第2充電量閾値の方が、充電量閾値はより小さい値に設定する。操作装置70の図示しないメモリには、エンジン21の動作情報に応じた複数の充電量閾値が予め記憶されている。
次に、制御部72では、取得した重量情報と高さ情報とに基いて、ステップS104で選定した充電量閾値の値を変更する。すなわち、制御部72では、スプレッダ40の現在の高さと、スプレッダ40に固定されて昇降モータ37によって吊り上げられている現在のコンテナ16の重量とに基いて、充電量閾値を変更する。例えば、現在のエンジン21の動作状態が停止状態である場合、制御部72では、高さ情報が表す現在のスプレッダ40の高さがより高いほど、第2充電量閾値をより小さく設定する。また、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されている状態で、重量情報が表す現在のコンテナ16の重量が大きいほど、充電量閾値をより大きく設定する。なお、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されていない状態では、重量情報が表す現在のコンテナ16の重量はゼロ(0)となるが、この場合は充電量閾値はなるべく大きめに設定する。このように、取得した重量情報と高さ情報とに基いて充電量閾値を変更することで、荷役作業に必要な分以上の電力量が、充電池27に充電されることを防止するとともに、エンジン21のON/OFF動作の回数を、必要最低限に抑えることができる。これにより、クレーン装置10で行なう荷役作業におけるエネルギー効率をより向上させ、エンジン21の燃費を高めることができ、また、エンジン21からの排出ガス量も最低限に抑えることができる。制御部72が行なう充電量閾値の変更と、その効果の詳細については、後述する。
次に、制御部72では、取得した充電量情報と、設定した充電量閾値とをそれぞれ比較する(ステップ106)。制御部72は、この比較結果に応じて、発電機構22のエンジン21の動作状態と放充電機構24の放充電制御部26による放充電状態とを少なくとも制御する。
制御部72は、取得した充電量情報と、予め設定されている充電量閾値とをそれぞれ比較し、充電量情報が充電量閾値よりも大きい場合、発電機構22のエンジン21の動作状態を停止状態に制御する(ステップS108)。加えて、放充電機構24の放充電制御部26を、充電池27に充電した電力を放電させる状態に設定する(ステップS110)。すなわち、クレーン機構の各手段には、充電池27から放電された電力のみが供給され、クレーンの機構の各部は、充電池27から放電された電力のみをもってコンテナ荷役作業を実施する。クレーン10では、このようにして、充電池27に電力が十分に充電されている場合は、エンジン21が駆動して余分な燃料を消費する必要をなくし、荷役作業を効率化している。
一方、制御部72は、取得した充電量情報と、予め設定されている充電量閾値とをそれぞれ比較し、充電量情報が充電量閾値よりも小さい場合、発電機構22のエンジン21の動作状態を駆動状態に制御する(ステップS112)。この場合、同時に取得した荷役作業負荷情報に応じて、発電機構22のエンジン21の駆動出力量を制御する。加えて、荷役作業負荷情報に応じて、放充電機構24の放充電制御部26による放充電状態を少なくとも制御する。操作装置70の図示しないメモリには、少なくとも1つ以上、本実施形態では3つの負荷閾値が予め記憶されている。制御部72はエンジン21を駆動状態に制御し、同時に取得した荷役作業負荷情報と3つの負荷閾値とを、それぞれ比較する(ステップS116)。
本実施形態での3つの負荷閾値としては、少なくとも、エンジン21の駆動出力の最大値に対応する第1の負荷閾値が設定されている。また、エンジン21の熱効率が所定の値以上となる場合に必要なエンジン21の駆動出力のうちの最小値に対応する、第2の負荷閾値が設定されている。本実施形態では、第1の負荷閾値が、エンジン21の駆動出力の最大値に対応する200(kW)に設定されている。また、本実施形態では、第2の負荷閾値が、エンジンの熱効率が比較的高く十分な基準値以上となる場合に必要なエンジン21の駆動出力のうちの最小値に対応する、エンジン21の駆動出力の50%、すなわち100(kW)に設定されている。また、本実施形態では、第3の負荷閾値として、荷役作業が全く無い状態に対応する負荷の値、すなわち0(kW)に設定されている。
制御部72は、荷役作業負荷情報と第1の負荷閾値(200(kW))とを比較した結果、荷役作業負荷情報が第1の負荷閾値よりも大きい場合、発電機構22のエンジン21を最大出力(200(kW))で動作させる状態に制御する。加えて、放充電制御部29を、放充電機構24の充電池27に充電した電力を放電させる状態に制御し、クレーン機構に、エンジン21が最大出力(200(kW))で動作して発電した電力、および充電池27から放電された電力の双方を供給する(ステップS118)。すなわち、コンテナ荷役作業において、エンジン21の最高出力以上の負荷がクレーン機構にかかった場合は、エンジン21が最高出力で駆動するとともに、荷役作業負荷(すなわち荷役作業全体で必要な出力)に足りない電力を充電機構24から供給する。このように、クレーン10では、エンジン21によって発電する電力のみでなく、充電池21に充電された電力も荷役作業に供することができるので、比較的小型なエンジンで動力源ユニットを構成することができる。
また、制御部72が、荷役作業負荷情報と、第1の負荷閾値(200(kW))および第2の負荷閾値(100(kW))とを比較した結果、荷役作業負荷情報が第2の負荷閾値よりも大きく、かつ第1の負荷閾値よりも小さい場合、発電機構22のエンジン21を一定出力(175(kW))で動作させる状態に制御する。加えて、放充電制御部29を充電池27に充電した電力を放電させる状態に制御するか、または、エンジン21が一定出力(175(kW))で動作して発電した電力の一部を、充電池27に充電させる(ステップS120)状態に制御する(ステップS120)。この場合、制御部72はさらに、荷役作業負荷が、この一定出力(175(kW))以上であるか否かを判断する。
このステップS120では、荷役作業負荷が一定出力(175(kW))以上の場合は、放充電制御部29を充電池27に充電した電力を放電させる状態に制御する。すなわち、クレーン機構の各手段に、エンジン21が一定出力(175(kW))で動作して発電した電力、および充電池27から放電された電力の双方を供給する。一方、荷役作業負荷が一定出力(175(kW))より小さい場合は、放充電制御部39の動作を制御することで、エンジン21が一定出力(175(kW))で動作して発電した電力のうち、荷役作業に供しなかった余分な電力を、充電池27に充電する。すなわち、クレーン機構に、エンジン21を上記一定出力(175(kW))で駆動させて発電させた電力を受け取らせるとともに、充電池27に、荷役動作を行なうためにクレーン機構が受け取った電力以外の剰余電力を受け取らせ、受け取った剰余電力を充電池27に充電させる。
制御部72が、荷役作業負荷情報と第2の負荷閾値(100(kW))および第3の負荷閾値(0(kW))とを比較した結果、荷役作業負荷情報が第3の負荷閾値よりも大きく、かつ第2の負荷閾値よりも小さい場合、エンジン21を、第2の負荷閾値に対応する出力(100(kW))で動作させる状態に制御する。加えて、放充電制御部29を、荷役動作を行なうためにクレーン機構が受け取った電力以外の剰余電力を、充電池27に充電する状態に制御する(ステップS122)。すなわち、クレーン機構が行なう荷役作業全体に必要な出力(荷役作業全体の負荷)が、エンジンの熱効率が比較的低い、エンジン21の駆動出力の50%未満で賄える場合であっても、エンジン21を駆動出力50%以上で(本実施形態では50%)動作させてエンジンの熱効率は十分なレベルに維持していく。加えて、荷役作業に必要な電力を超えて発電される、荷役作業に供さない余分な電力は、充電池27に充電しておく。クレーン10では、このようにすることで、エンジン21が効率よく駆動することで発電された電力が、無駄なく効率よく荷役作業に供される。
また、制御部72が荷役作業負荷情報と第3の負荷閾値(0(kW))とを比較した結果、荷役作業負荷情報が第3の負荷閾値以下である場合、すなわち、荷役作業負荷情報がゼロ(0)の場合、制御部72は、昇降手段34における回生電力の大きさに応じて、エンジン21の駆動出力量と、放充電機構24の放充電制御部26による放充電状態とを少なくとも制御する。コンテナ荷役作業において荷役作業負荷がゼロ(0)となるのは、クレーン機構を構成する各部が動作していない(停止している)ときか、クレーン機構の各部に電力以外の外力が加わっているときである。このようなときでは、クレーン機構の各部に電力を供給する必要もなく、エンジン21の駆動出力に応じて発電された電力は、充電池27に充電しておくことが好適であるといえる。荷役作業負荷情報がゼロ(0)のときのなかでも、コンテナを吊り下げる作業、すなわち、スプレッダ40に固定されたコンテナ16を下降させる作業では、位置エネルギーが回生エネルギー(回生電力)に変換される。この位置エネルギーは、クレーン10のクレーン機構が荷役作業を行なうことでコンテナ16に与えられたエネルギーである。この回生電力を充電池27に充電することができれば、荷役作業におけるエネルギー効率を、比較的高くすることができるのは言うまでもない。
ステップS116における比較の結果、荷役作業負荷情報が第3の負荷閾値以下の場合、制御部72は、昇降モータ制御部39の回生電力取得手段41から送られた回生電力情報と、操作装置70の図示しないメモリに予め記憶されている回生閾値とを比較する(ステップS124)。回生電力情報が回生閾値よりも大きい場合、すなわち昇降モータ37において発生した回生電力が比較的大きい場合、エンジン21をアイドリング状態に制御するとともに、昇降モータ37において発生した回生電力のみを充電池27に充電する状態に、放充電制御部29を制御する(ステップS126)。
一方、回生電力情報が回生閾値よりも小さい場合(回生電力がゼロの場合も含む)、エンジン21を、第2の負荷閾値に対応する出力(100(kW))で動作する状態に制御する。加えて、放充電制御部29を、昇降モータ37において発生した回生電力を充電池27に充電するとともに、エンジン21が動作して発電した電力の全部も充電池27に充電する状態に制御する(ステップS128)。なお、当然であるが、回生電力がゼロ(0)である場合は、エンジン21が第2の負荷閾値に対応する出力(100(kW))で動作して発電した電力のみを、充電池27に充電する。コンテナの荷役作業においては、上述した図9に示すように、荷役作業負荷が比較的高い時間範囲と、荷役作業負荷が比較的低い時間範囲とが繰り返される。荷役作業負荷が比較的低い時間範囲は、充電池27に電力を充電する最も好適な時間範囲であるが、このような荷役作業負荷が比較的低い時間範囲は、十分長い時間連続するわけではない。本実施形態では、ステップS124〜S126の各処理を実施することで、荷役作業負荷が比較的低い時間範囲中、十分な電力をもって、なるべく短時間で充電池27に電力を充電することができる。
クレーン10では、発電機構22のエンジン21の動作状態と放充電機構29の放充電状態が、ステップS110、ステップS118、ステップS120、ステップS122、ステップS126、ステップS128、のいずれかに示す状態に制御されたまま、次の制御タイミングまで、操作装置70が操縦者から受け付けた指示入力に応じた荷役動作を実施する。このように、クレーン10では、制御部72が、各制御タイミング毎に、取得した負荷量情報と充電量情報とに応じて、エンジン発電機の動作状態と放充電機構の放充電動作状態とを少なくとも制御(設定)する。
ここで、本願発明の特徴部分について、より詳細に説明する。図5〜図8の各図は、クレーン10で行なう荷役作業における、スプレッダ40とコンテナ16の状態と、第2充電量閾値の変動と、充電池27の充電量の変動について説明する図である。図5〜図8の各図の(a)は、スプレッダ40とコンテナ16の近傍を拡大して示した概略側面図であり、各図の(b)は、図(a)に示す状態で充電池27に充電されている電力量(充電量)の大きさを示す図であり、各図の(c)は、各図(a)に示す状態に応じて定まる、各図(a)に示す状態からクレーン機構によって荷役作業を行なった場合に必要な仕事量の最大値(想定必要エネルギー最大値)の大きさを表す図である。クレーン10で想定されるコンテナの最大重量は40(t)であり、スプレッダ40が地面に載置されたコンテナ16を固定可能な位置を0(m)として、スプレッダ40の最高到達高さが18(m)であるとする。
まず、図5(a)に示すように、スプレッダ40が、地面に載置されたコンテナ16を固定可能な位置(高さ0m)にまで下がっており、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されていない状態とする。この状態で、エンジン21の現在の動作状態が停止状態であり、図5(b)に示すように、充電池27には、電力が100%充電されているとする。図5(a)に示す状態では、ステップS104において、エンジン21の現在の動作状態が停止状態であり、第2の充電量閾値が選定される。ここで、予め設定されている第2の充電量閾値X=80%とする。
ステップS104において選定される第2の充電量閾値は、充電池27に充電されている充電量のみをもって、クレーン装置10に応じた最高仕事量が賄いきれる充電量に対応していることが好ましく、クレーン装置10でも、このような第2の充電量閾値が予め設定されている。クレーン装置10において、クレーン機構が行なう仕事量が最も大きくなるのは、想定最高重量40(t)のコンテナを、0(m)から想定最高到達位置18(m)まで上昇させる場合である。クレーン装置10では、第2の充電量閾値である充電量X=80%あれば、充電池27に充電された電力のみをもって、クレーン装置10に応じた最高仕事量を賄うことができる。
ステップS104において第2の充電量閾値が設定されると、次に、ステップS105の充電量閾値の変更が行なわれる。図5(a)に示す状態では、スプレッダ40とコンテナ16とは固定されていないので、重量検出手段42によって検出される、スプレッダ40に吊り上げられているコンテナ16の重量を表す重量情報は0(t)となる。また、高さ検出手段44によって検出される、スプレッダ40の高さ情報も0(m)となる。すなわち、制御部72が受け取る重量情報は0(t)、また高さ情報は0(m)となる。この場合、図5(a)に示す状態に応じて定まる、図5(a)に示す状態からの想定必要エネルギー最大値は、図5(c)の斜線領域で示すように、想定される最高重量40(t)のコンテナを、スプレッダ40の現在の高さ0(m)から想定最高到達位置18(m)まで上昇させる場合に必要なエネルギー量(仕事量)である。すなわち、図5(a)に示す状態では、想定必要エネルギー最大値は、クレーン装置10に応じた最高仕事量と全く等価である。図5(a)に示す状態では、制御部72は、以後の荷役作業を充電池27に充電された電力のみをもって賄うために、第2の充電量閾値は変更せず、充電量閾値X=80%のままとする。なお、制御部72では、重量検出手段42によって検出される重量情報が表す重量が、所定の重量(例えば一般的なコンテナの最小重量)以下の場合、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されていない状態であると判断し、第2の充電量閾値は変更せずにおけばよい。すなわち、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されていない状態であると判断できる場合、第2の充電量閾値は、充電池27に充電された充電力のみによってクレーン装置10に応じた最高仕事量が賄える充電量に対応する値に設定しておくことが好ましい。
次の状態として、図6(a)に示すように、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されて、昇降手段によってコンテナ16が地面と離れた直後の状態で、ステップS105が実施される場合を考える。図5(a)の状態から図6(a)の状態にいたるまで、クレーン機構の行なう仕事量は0と考えることができ、図6(b)に示すように充電池27の充電量は100%とまま変化していない。図5(a)に示す状態では、スプレッダ40に吊り上げられているコンテナ16の重量を表す重量情報は、重量検出手段42によって正しく検出される。コンテナ16の実際の重量30(t)とすると、重量情報が表す重量も正しく30(t)となる。なお、高さ検出手段44によって検出される、スプレッダ40の高さ情報は0(m)となる。すなわち、制御部72が受け取る重量情報は30(t)、また高さ情報は0(m)となる。この場合、図6(a)に示す状態に応じて定まる、図6(a)に示す状態からの想定必要エネルギー最大値は、図6(c)の斜線領域で示すように、現在スプレッダ40に固定されている重量30(t)のコンテナを、スプレッダ40の現在の高さ0(m)から想定最高到達位置18(m)まで上昇させる場合に必要なエネルギー量(仕事量)である。このように、スプレッダ40に固定されたコンテナの実際の重量が、クレーン装置10で想定されるコンテナの最大重量より小さいので、図6(a)に示す状態では、想定必要エネルギー最大値は、クレーン装置10に応じた最高仕事量よりも小さい。すなわち、図6(a)に示す状態では、図5(a)に示す状態に比べて、以後の荷役作業を充電池27に充電された電力のみをもって賄うために必要な充電量に対応する、第2の充電量閾値は小さくすることができる。このため、制御部72では、第2の充電量閾値を、例えば充電量閾値X=70%に変更する。
次の状態として、図7(a)に示すように、スプレッダ40とコンテナ16とが固定されて、昇降手段によってコンテナ16が例えば10(m)上昇している状態で、ステップS105が実施される場合を考える。図6(a)の状態から図7(a)の状態にいたるまで、クレーン機構の行なう仕事量は、30(t)のコンテナを10(m)だけ持ち上げる仕事量である。図7(b)に示すように充電池27に充電されている電力の一部は、この仕事に変換されて、例えば65%まで低減している。図7(a)に示す状態では、スプレッダ40に吊り上げられているコンテナ16の重量を表す重量情報は、正しく30(t)となる。なお、高さ検出手段44によって検出される、スプレッダ40の高さ情報は10(m)となる。すなわち、制御部72が受け取る重量情報は30(t)、また高さ情報は10(m)となる。この場合、図7(a)に示す状態に応じて定まる、図7(a)に示す状態からの想定必要エネルギー最大値は、図7(c)の斜線領域で示すように、現在スプレッダ40に固定されている重量30(t)のコンテナを、スプレッダ40の現在の高さ10(m)から想定最高到達位置18(m)まで上昇させる場合に必要なエネルギー量(仕事量)である。スプレッダ40の高さが、図5(a)や図6(a)に示す状態に比べて高いので、図7(a)に示す状態での想定必要エネルギー最大値は、図6(a)に示す状態での想定必要エネルギー最大値よりも小さい。すなわち、図7(a)に示す状態では、図6(a)に示す状態に比べて、以後の荷役作業を充電池27に充電された電力のみをもって賄うために必要な充電量に対応する、第2の充電量閾値を、より小さくすることができる。このため、制御部72では、第2の充電量閾値を、例えば充電量閾値X=50%に変更する。
仮に、ステップS105の充電量閾値の変更を行なわない場合、図7(a)に示す状態では、充電池27の充電量は65%、第2の充電量閾値が80%のままである。ステップS105の充電量閾値の変更を行なわない場合、次のステップS106において、充電量よりも第2の充電量閾値が大きいと判断され、充電池27の充電量によって想定必要エネルギー最大値が賄えるにも関わらず、ステップS112に進んでエンジン21が駆動状態に制御される。一旦駆動状態に制御されると、コンテナ16の上昇に必要なエンジン出力が比較的小さい場合など(ステップS120〜S128の各場合)特に、充電池27の充電が行なわれる。
これに対し、本実施形態では、図7(a)に示す状態では、充電池27の充電量は65%に対し、第2の充電量閾値は50%に変更される。この場合、次のステップS106において、第2の充電量閾値よりも充電量が大きいと判断され、ステップS108に進んでエンジンは停止状態のままに制御される。このように、本願発明では、充電量閾値を、スプレッダ40の高さ情報とコンテナ16の重量情報とに応じて、現在の状態からの想定必要エネルギー最大値に対応する最適な閾値へと変更するので、エンジンのON/OFF動作の回数を抑えることができる。
ここで、図7(a)の状態の次は、図8(a)の状態に移行するとする。図8(a)に示す状態は、図7(a)に示す状態から、スプレッダ40が水平に移動した後、コンテナ16が地面まで降下された(スプレッダ40の高さが0(m)にされた)直後の状態である。図7(a)に示す状態から図8(a)に示す状態に移動した場合、上述のように、図7(a)でコンテナ16に蓄えられた位置エネルギーが、回生電力として充電池27に回生される。この場合、水平移動の際に用いたエネルギーやエネルギー変換効率の関係で、多少のエネルギーロスはあるものの、充電池27の充電量は図8(b)に示すように100%近くまで回復することが期待される。本願発明のように、充電量閾値を比較的小さく変更したとしても、荷物を吊り上げての上昇と下降とが交互に繰り返される荷役作業において、エンジンの駆動出力と充電池の電力をもってしても次の作業(上昇、または下降)に必要な電力が足りなくなるという不具合は、ほとんど発生することはない。逆に、図7(a)の状態から図8(a)の状態に移行した際、ステップS105の充電量閾値の変更を行なわず、エンジンを駆動状態として充電を行なっていると、充電池27の容量以上に回生される電力が生じ、充電した電力が無駄になる場合が、頻繁に発生することになる。本願発明では、充電量閾値を、スプレッダ40の高さ情報とコンテナ16の重量情報とに応じて、現在の状態からの想定必要エネルギー最大値に対応する最適な閾値へと変更するので、このような無駄な電力の発生を抑制することができる。
また、例えば、スプレッダ40に固定されたコンテナ16を載置する面の高さが予め既知である場合など、現在のスプレッダ40に固定されたコンテナ16を載置面まで下降する際に得られる回生電力の大きさを推定することができる。この場合、制御部72が、現在のスプレッダ40の高さ(高さ情報)と、スプレッダ40に固定されているコンテナの重量(重量情報)と、載置面の高さの情報とから、後ほど充電できる回生電力の大きさを推定し、第2の充電量閾値をさらに変更してもよい。例えば、制御部72では、この回生電力が充電池27に充電された状態を仮定し、以後の荷役作業を充電池27に充電されている電力のみをもって賄うために必要な充電量に対応する値に、第2の充電量閾値を変更すればよい。回生電力の考慮に入れることで、第2の充電量閾値は、より小さくすることができ、例えば充電量閾値X=30%とすることができる。なお、この場合、スプレッダ40に固定されたコンテナ16を載置する面の高さの情報は、例えば入力手段76によって、操作装置70の制御部72に予め入力されていればよい。
上記実施形態では、エンジン21が停止状態である場合に、スプレッダ40の高さ情報とコンテナ16の重量情報とに応じて、第2の充電量閾値を変更する場合について説明した。本発明では、例えば、エンジン21が駆動状態である場合に、スプレッダ40の高さ情報とコンテナ16の重量情報とに応じて、第1の充電量閾値を変更してもよく。この場合も、荷役作業に必要な分以上の電力量が、充電池27に充電されることを防止するとともに、エンジン21のON/OFF動作の回数を、必要最低限に抑えることができる。これにより、クレーン装置10で行なう荷役作業におけるエネルギー効率をより向上させ、エンジン21の燃費を高めることができ、また、エンジン21からの排出ガス量も最低限に抑えることができる。
本発明のクレーン装置およびクレーン装置の制御方法によって、荷物をつり上げ、上下・左右・前後に移動させて行なう荷役作業を、比較的高い燃費、かつ比較的低い排出ガス量で実施することができることが確認できる。また、クレーン装置の発電機構を、比較的小型なエンジンで構成できるので、クレーンを比較的安価に構成できるとともに、荷役作業中にエンジンから発する騒音も、比較的小さくすることができることが確認できた。
以上、本発明のクレーン装置およびクレーン装置の制御方法について説明したが、本発明のクレーン装置およびクレーン装置の制御方法は上記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
(a)および(b)は、本発明のクレーン装置の一例を説明する図であり、(a)は概略正面図、(b)は概略側面図である。 図1に示すクレーン装置において行なわれる情報および電力の受け渡しについて説明する図であり、クレーン装置の一部について説明する概略構成図である。 (a)および(b)は、図1に示すクレーン装置の制御部が取得する荷役作業負荷情報および充電量情報と、制御部が行なう、発電機構のエンジンの動作制御および放充電機構の放充電動作制御の関係について説明する概略図である。 本発明のクレーン装置の制御方法の一例のフローチャートである。 図1に示すクレーン装置で行なう荷役作業における、スプレッダとコンテナの状態と、第2充電量閾値の変動と、充電池の充電量の変動について説明する図であり、(a)はスプレッダとコンテナの近傍を拡大して示した概略側面図であり、(b)は(a)に示す状態で充電池に充電されている電力量の大きさを示す図であり、(c)は(a)に示す状態に応じて定まる、(a)に示す状態からクレーン機構によって荷役作業を行なった場合に必要な仕事量の最大値の大きさを表す図である。 (a)〜(c)は、図1に示すクレーン装置で行なう荷役作業における、スプレッダとコンテナの状態と、第2充電量閾値の変動と、充電池の充電量の変動について説明する図であり、図5以降の状態を示している。 (a)〜(c)は、図1に示すクレーン装置で行なう荷役作業における、スプレッダとコンテナの状態と、第2充電量閾値の変動と、充電池の充電量の変動について説明する図であり、図6以降の状態を示している。 (a)〜(c)は、図1に示すクレーン装置で行なう荷役作業における、スプレッダとコンテナの状態と、第2充電量閾値の変動と、充電池の充電量の変動について説明する図であり、図7以降の状態を示している。 従来のクレーン装置によって荷役作業を行なった際の、エンジン発電機のエンジンの出力の時系列データの一例のグラフである。
符号の説明
10 コンテナ荷役用クレーン
11 車輪
12 クレーンガータ
14 脚部
15 配線
16 コンテナ
20 動力源ユニット
21 エンジン
22 発電機構
24 放充電機構
26 充電量検出手段
27 充電池
29 放充電制御部
30 トロリ
32 横行手段
34 昇降手段
35 横行モータ制御部
36 横行負荷検出手段
37 昇降モータ
38 昇降負荷検出手段
39 昇降モータ制御部
40 スプレッダ
41 回生電力取得手段
42 重量検出手段
44 高さ検出手段
50 車輪走行手段
52 走行モータ
54 走行モータ制御部
56 走行負荷検出手段
70 操作装置
72 制御部
76 入力手段
80 トラック
84 シャーシ

Claims (6)

  1. エンジンを備え、前記エンジンの駆動出力の大きさに応じた電力を発電する発電機構と、
    充電池を備え、前記発電機構が発電した電力の少なくとも一部を受け取って前記電力を前記充電池に充電するとともに、充電した前記電力を前記充電池から放電させて出力することが可能な放充電機構と、
    前記発電機構および前記放充電機構と接続されており、前記発電機構が発電した電力、および前記充電池から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取り、受け取った電力を動力源として、荷物固定具に固定された荷物を吊り上げて移動させる荷役動作を行なうクレーン機構と、
    前記発電機構、前記放充電機構、および前記クレーン機構と接続されており、前記クレーン機構が行う荷役動作において前記クレーン機構が受ける現在の負荷の大きさを表す負荷量情報、および前記充電池の現在の充電量を表す充電量情報を少なくとも取得し、前記負荷量情報と前記充電量情報とに応じて、前記発電機構の前記エンジンの動作状態と前記放充電機構の放充電状態とを少なくとも制御することで、前記クレーン機構が受け取る電力を調整する制御機構とを有し、
    前記制御機構は、前記電力の調整の際、前記荷物固定具の現在の高さを表す高さ情報と、前記荷物固定具に固定されている現在の前記荷物の重量を表す重量情報との少なくともいずれか一方を取得し、取得した前記高さ情報および前記重量情報の少なくともいずれか一方に基いて充電量閾値を設定し、
    前記充電量情報が前記充電量閾値よりも大きい場合には、前記エンジンの動作状態を停止状態に制御し、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記充電池から放電された電力のみを受け取らせ、
    前記充電量情報が前記充電量閾値よりも小さい場合には、前記エンジンの動作状態を駆動状態に制御し、さらに、
    前記負荷量情報が前記エンジンの駆動出力の最大値に対応する第1の負荷閾値よりも大きいときに、前記エンジンを、前記最大値に対応する出力で駆動させるとともに、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記発電機構が発電した電力および前記充電池から放電された電力の双方を受け取らせ、
    前記負荷量情報が、前記第1の負荷閾値以下でかつ前記エンジンの熱効率が所定の値以上となる場合に必要な前記エンジンの駆動出力のうちの最小値に対応する第2の負荷閾値以上のときに、前記エンジンを、前記最大値と前記最小値の間の一定出力で駆動させ、前記負荷量情報が前記一定出力以上のときは前記充電池に充電した前記電力を放電させて前記エンジンからの前記一定出力と前記充電池から放電された電力の双方を前記クレーン機構に受け取らせ、前記負荷量情報が前記一定出力より小さいときは前記エンジンからの前記一定出力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させ、
    前記負荷量情報が、前記第2の負荷閾値よりも小さく且つ荷役作業が全く無い状態に対応する第3の負荷閾値より大きいときに、前記エンジンを前記最小値に対応する出力で駆動させて前記発電機構が発電した電力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させることを特徴とするクレーン装置。
  2. 前記制御機構は、取得した前記高さ情報が表す前記荷物固定具の現在の高さがより高いほど、前記充電量閾値をより低く設定することを特徴とする請求項1記載のクレーン装置。
  3. 前記クレーン機構は、前記荷物固定具の現在の高さを検出して前記高さ情報を出力する高さ検出手段と、前記荷物の重量を検出して前記重量情報を出力する重量検出手段とを備え、
    前記制御機構は、前記高さ検出手段から出力された前記高さ情報と、前記重量検出手段から出力された前記重量情報とを取得することを特徴とする請求項1または2記載のクレーン装置。
  4. 前記制御機構では、前記充電量閾値を、さらに前記エンジンの現在の動作状態に応じて変更して設定し、現在の前記エンジンの動作状態が駆動状態である場合に比べて、現在の前記エンジンの動作状態が停止状態である場合の方が、前記充電量閾値をより小さい値に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクレーン装置。
  5. 前記制御機構は、前記充電量情報が前記充電量閾値よりも小さく、前記負荷量情報が、前記第3の負荷閾値以下のときに、前記クレーン機構で発生した回生電力を前記充電池に充電させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクレーン装置。
  6. エンジンを備え、前記エンジンの駆動出力の大きさに応じた電力を発電する発電機構と、充電池を備え、前記発電機構が発電した電力の少なくとも一部を受け取って前記電力を前記充電池に充電するとともに、充電した前記電力を前記充電池から放電させて出力することが可能な放充電機構と、前記発電機構および前記放充電機構と接続されており、前記発電機構が発電した電力、および前記充電池から放電された電力の少なくともいずれか一方を受け取り、受け取った電力を動力源として、荷物固定具に固定された荷物を吊り上げて移動させる荷役動作を行なうクレーン機構を有するクレーン装置の制御方法であって、
    前記クレーン機構が行う荷役動作において前記クレーン機構が受ける現在の負荷の大きさを表す負荷量情報、および前記充電池の現在の充電量を表す充電量情報を少なくとも取得するステップと、
    前記負荷量情報と前記充電量情報とに応じて、前記発電機構の前記エンジンの動作状態と前記放充電機構の放充電動作状態とを少なくとも制御することで、前記クレーン機構が受け取る電力を調整するステップと、を有し、
    前記調整ステップでは、前記荷物固定具の現在の高さを表す高さ情報と、前記荷物の重量を表す重量情報との少なくともいずれか一方を取得し、取得した前記高さ情報および前記重量情報の少なくともいずれか一方に基いて充電量閾値を設定し、
    前記充電量情報が前記充電量閾値よりも大きい場合には、前記エンジンの動作状態を停止状態に制御し、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記充電池から放電された電力のみを受け取らせ、
    前記充電量情報が前記充電量閾値よりも小さい場合には、前記エンジンの動作状態を駆動状態に制御し、さらに、
    前記負荷量情報が前記エンジンの駆動出力の最大値に対応する第1の負荷閾値よりも大きいときに、前記エンジンを、前記最大値に対応する出力で駆動させるとともに、前記充電池に充電した前記電力を放電させて、前記クレーン機構に、前記発電機構が発電した電力および前記充電池から放電された電力の双方を受け取らせ、
    前記負荷量情報が、前記第1の負荷閾値以下でかつ前記エンジンの熱効率が所定の値以上となる場合に必要な前記エンジンの駆動出力のうちの最小値に対応する第2の負荷閾値以上のときに、前記エンジンを、前記最大値と前記最小値の間の一定出力で駆動させ、前記負荷量情報が前記一定出力以上のときは前記充電池に充電した前記電力を放電させて前記エンジンからの前記一定出力と前記充電池から放電された電力の双方を前記クレーン機構に受け取らせ、前記負荷量情報が前記一定出力より小さいときは前記エンジンからの前記一定出力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させ、
    前記負荷量情報が、前記第2の負荷閾値よりも小さく且つ荷役作業が全く無い状態に対応する第3の負荷閾値より大きいときに、前記エンジンを前記最小値に対応する出力で駆動させて前記発電機構が発電した電力を前記クレーン機構に受け取らせるとともに剰余電力を前記充電池に充電させることを特徴とするクレーン装置の制御方法。
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