JP2020171475A - 動態画像解析装置、動態画像解析方法及びプログラム - Google Patents

動態画像解析装置、動態画像解析方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】胸部の動態画像を用いて肺野領域の血流に関する血流特徴量を得る検査において、血流特徴量をより高い精度で得られるようにする。【解決手段】動態画像解析装置3は、被写体の胸部を放射線撮影することで得られた胸部の動態画像を取得する画像取得手段と、動態画像を構成する複数のフレーム画像に基づいて、血流に関する血流特徴量を画素ごとに算出する特徴量算出手段と、取得した前記動態画像の中に計測対象領域を設定する領域設定手段と、算出した画素ごとの血流特徴量に基づいて、設定した前記計測対象領域における特定の血流特徴量を計測する特徴量計測手段と、を備え、領域設定手段は、動態画像の中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される不良領域を除外して計測対象領域を設定する。【選択図】図2

Description

本発明は、動態画像解析装置、動態画像解析方法及びプログラムに関する。
肺塞栓症や心臓疾患等により肺や心臓等の血流が滞ると生命に関わる重大な症状を引き起こしてしまう。こうした疾患の予防や治療のため、従来、肺血流シンチグラフィー検査又は肺血管造影検査等によって肺等の血流を解析し、肺の状況を把握することが従来行われている。
しかし、これらの検査は、被検者に対する侵襲の程度が大きく、被験者にとっては大きな負担であった。また、これらの検査に用いられる検査装置は大変高価であり、小規模の医療機関では導入することが困難であった。そこで、近年は、FPD(Flat Panel Detector)等を用いて胸部の動態画像を撮影し、得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像を用いて肺の血流を解析する各種検査方法が提案されている。
例えば特許文献1には、吸気期間の正のフレーム間差分値の積算値又は呼気期間の負のフレーム間差分値の積算値を、肺野の換気による信号値変化を示す血流特徴量として算出する導体解析システムについて記載されている。
このシステムにおいては、血流による信号値変化を示す血流特徴量も同様にして算出することができるとしている。
また、このシステムにおいては、フレーム画像の各画素の信号値のヒストグラムから閾値を求め、この閾値より信号値が高い領域を肺野領域候補とし、肺野領域候補の境界付近の小領域でエッジが最大となる点を境界に沿って抽出することにより肺野領域の境界としている。
また、特許文献2には、肺毎、分割領域毎及び関心領域毎に、心電図におけるR波からの遅延時間、立ち上がり角度、及び平均ピクセル値の最小値と最大値との差(変化量)を算出することにより、これらの情報を領域間で比較することのできる連続X線画像スクリーニング検査装置について記載されている。
この検査装置においては、読み出した胸部X線動態画像像について、ピクセル値が大きく変化する境界を検出することにより、肺野領域を認識している。
特開2016−214725号公報 特許第5093727号公報
ところで、肺は、呼吸に伴って膨張・収縮を繰り返すし、部位によっては心臓の拍動によって変位したり、血流量が極端に多くなったり、他の臓器等の背後に位置したりする。こうした肺自身又は肺周囲からの影響により、フレーム画像の各画素の信号値には様々なノイズが混入してしまう。
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術は、肺野領域として抽出する範囲を、単に信号値の変化やエッジの存在しか考慮せずに決定している。
このため、特許文献1,2に記載の技術を用いた解析では、算出される血流特徴量にノイズが多く混入したものが含まれてしまい、血流特徴量に基づいて算出される特定の血流特徴量の精度が低下してしまっていた。
本発明の課題は、胸部の動態画像を用いて肺野領域の血流に関する血流特徴量を得る検査において、特定の血流特徴量をより高い精度で得られるようにすることである。
上記課題を解決するため、本発明に係る動態画像解析装置は、
被写体の胸部を放射線撮影することで得られた胸部の動態画像を取得する画像取得手段と、
前記動態画像を構成する複数のフレーム画像に基づいて、血流に関する血流特徴量を画素ごとに算出する特徴量算出手段と、
前記画像取得手段が取得した前記動態画像の中に計測対象領域を設定する領域設定手段と、
前記特徴量算出手段が算出した画素ごとの前記血流特徴量に基づいて、前記領域設定手段が設定した前記計測対象領域における特定の血流特徴量を計測する特徴量計測手段と、を備え、
前記領域設定手段は、前記動態画像の中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される不良領域を除外して前記計測対象領域を設定する。
本発明によれば、胸部の動態画像を用いて肺野領域の血流に関する血流特徴量を得る検査において、特定の血流特徴量をより高い精度で得ることができる。
本発明の実施形態に係る動態解析システムを表すブロック図である。 図1の解析装置が実行する解析処理の概要を示すフローチャートである。 図1の解析装置が実行する解析処理の具体的な流れを示すフローチャートである。 肺野領域抽出後のフレーム画像を示す図である。 肺野辺縁部を示す図である。 肺野辺縁部を示す図である。 心臓と肺野の画素値の変化と血流量の変化を示す図である。 (a)は、生体内の主要な構造物の質量吸収係数及び密度を例示した表であり、(b)は、X線が肺野に到達する間に透過する主な構造物を模式的に示す図である。 (a)は、人体胸部のX線画像の例であり、(b)は、(a)の各構造物の動き量の例を示すグラフである。 心臓の拍動の周期を示す説明図である。 心拍位相に基づく肺野周辺の主な構造物の信号値の変化を示す説明図である。 (a)は、胸部のX線画像の一例を示す図であり、(b)は、胸部の血流シンチグラフィー検査の結果を示す図であり、(c)は第1のタイミングに基準フレーム画像を設定した場合の血流解析画像の一例を示す図であり、(d)は第2のタイミングに基準フレーム画像を設定した場合の血流解析画像の一例を示す図である。 第1のタイミングと第2のタイミングとにおける心臓の拍動と肺血管の動きとの関係を示す説明図である。 人体胸部を撮影したX線画像の一例を示す図である。 (a)は、オリジナル画像の波形の一例を示す図であり、(b)は、フィルター処理後の画像の波形の一例を示す図である。 (a)は、心臓の心室領域に関心領域が設定された例を示す図であり、(b)は、濃度値にハイパスフィルターをかけた値の時間的変化を示すグラフである。 血管及びその動き幅とブロックサイズとの関係を示す説明図であり、(a)は、ブロックサイズが1ピクセルである場合を示し、(b)は、ブロックサイズが5mmである場合を示し、(c)及び(d)は、ブロックサイズが10mmである場合を示している。 (a)は、心臓の周波数特性の一例を示すグラフであり、(b)は、肺野の周波数特性の一例を示すグラフである。 (a)は、入力されたオリジナルの波形の一例を示す図であり、(b)は、フーリエ変換後の周波数成分の例を示す図であり、(c)は、フィルター処理後の周波数成分の例を示す図であり、(d)は、逆フーリエ変換後の波形の例を示す図である。 (a)は、濃度値の変化と領域分けの対応を示す図であり、(b)は、人体胸部を撮影したX線画像の一例を示す図であり、(c)は、血流解析画像の一例を示す図である。 (a)は、血流解析画像の一例を示す図であり、(b)は、差分値に応じた色分けの例を示す図である。 血流解析画像内の構造物を枠で囲った例を示す図である。 肺野の隠れ領域における血流量の推定値の算出方法の一例を示す図である。 血流解析画像の一例を示す図である。 X線が肺野に到達する間に透過する主な構造物を模式的に示す図であって、(a)は心拍動による肺伸縮がないと想定したモデル、(b)は心拍動による肺伸縮があると想定したモデルである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
<1.動態解析システム>
初めに、動態解析システム100の概略構成について説明する。図1は動態解析システム100を表すブロック図である。
本実施形態に係る動態解析システム100は、図1に示すように、撮影装置1と、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3と、を備えている。
各装置1〜3は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTに接続されている。
各装置1〜3間の通信は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に則って行われる。
なお、診断用コンソール3や撮影装置1は、通信ネットワークNTに常時接続されている必要はなく、必要に応じて接続するようになっていてもよい。
また、図1では撮影装置1とこれを制御する撮影用コンソール2とが1台ずつ設けられている例を示しているが、撮影装置1とこれを制御する撮影用コンソール2の数は1台に限定されず、複数台設けられていてもよい。
また、本実施形態において動態画像解析装置(以下、解析装置)である診断用コンソール3は、診断に供する画像等(動態画像像や動態画像像の解析結果)を生成し表示させる診断用コンソールであってもよいし、診断用コンソールとは別の装置として設けられていてもよい。
撮影装置1は、図1に示すように、放射線源11と、放射線照射制御装置12と、放射線検出部13と、読取制御装置14と、を備えている。
これら11〜14は、電気的に接続されている。
放射線源11は、被写体M(被検者)を挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体Mに対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射一回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、一回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向する位置に設けられている。
放射線検出部13は、例えば、FPD(Flat Panel Detector)等の半導体イメージセ
ンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリクス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。
また、放射線検出部13は、撮影用コンソール2に接続されている。そして、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて各画素のスイッチング部を制御して、各画素に蓄積された電気信号を読み取ることにより画像データを取得し、取得したフレーム画像の画像データを撮影用コンソール2に出力する。
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。フレーム画像の画素信号値(以下、単に「信号値」ともいう。)は濃度値を表す。そして、読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、一回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
このように構成された撮影装置1は、動態画像を撮影することが可能となっている。
ここで、「動態画像」とは、被写体となる心拍を有する生体を、時系列的に連続して撮影し、複数のフレームの放射線画像を動態画像状に取得するものである。
本実施形態において「動態画像」の撮影とは、被写体Mに対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得する動態撮影をいう。すなわち本実施形態における「動態画像」とは、このような撮影により得られた、被写体の動態を示す複数の一連の画像を意味する。また、この動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。
本実施形態では、「動態画像」として、被写体である人体及びこれに含まれる動的な構造物が撮影される。撮影装置1により撮影される動的な構造物としては、例えば肺野、横隔膜、心臓等がある。なお、生体内の動的な構造物はこれに限定されない。
また、撮影装置1は撮影した動態画像を、撮影用コンソール2を介して診断用コンソール3に送信するようになっている。
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された動態画像を撮影技師等の撮影実施者によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。
図示は省略するが、撮影用コンソール2は、制御部、記憶部、操作部等を備えて構成され、各種処理プログラムに従って撮影条件(放射線照射条件及び画像読取条件)に応じた
撮影制御処理を始めとする各種処理を行う。
本実施形態では、被写体Mである被検者の体のぶれ等によるアーチファクトの発生を防ぐために、できるだけ撮影時の被写体Mの体の動きを抑制することが好ましい。
また、動態画像(X線動態画像)を用いて心臓や肺の血流を解析する場合には、微小な濃度変化を計測するため、撮影時の僅かな構造物の動きでも、解析対象の構造物の濃度変化と、様々な構造物の移動による影響と、が混合されてしまい、解析対象の構造物の濃度変化が正しく把握できず、生体機能を正しく把握することができない。
例えば、被写体Mの体がぶれ等を生じなくても、呼吸により肺野周辺が伸縮するだけで、撮影画像ノイズが乗ってしまい、正確な画像解析が阻害されてしまう。
このため、撮影用コンソール2は、被写体Mに息止め状態を所定時間(例えば6秒程度)維持させたままで、撮影を行うように撮影条件を設定することが好ましい。このように息止め状態で撮影を行うことにより、診断用コンソール3における解析対象となる動態画像に乗るノイズをできる限り低減させることができる。
実際には、設定された撮影条件に基づいて、放射線技師が状態を確認しながら、撮影することが望ましい。
なお、例えば、被写体Mの呼吸量が浅ければ、安静呼吸中の撮影でもよい。呼吸中に被写体Mに息止めを指示して、息止め状態とした上で撮影を行ってもよい。安静呼吸や息止めが難しい患者もいるため、深呼吸など大きく呼吸する状態を撮影に適用しても構わない。
なお、息止めが正しく行われているかは、目視のみでは確認できない、又は確認しづらいことがあるため、カメラ画像や圧力センサなどを用い、息止めが適切に行われているか否かを検知し、図示しない表示部等に表示させてもよい。
また、撮影ミスを起こさないためや、最適な解析対象フレームを決定するために、カメラ画像や圧力センサなどによる撮影時の動き情報(例えば、体のぶれや呼吸等による体動があったか、あった場合、どの程度動いたかの動き量等)や、動き情報から計算した動き量を動態画像と紐づけて保存しておくことが望ましい。なお、動き量が小さいフレーム画像を、診断用コンソール3における解析の対象に適したフレーム画像の範囲(これを「解析対象フレーム範囲」という。図7(b)参照)として動態画像と紐づけて保存しておいてもよい。また、逆に撮影された動態画像から各フレーム画像についての動き情報を抽出してもよい。
解析対象フレーム範囲を設定するための計算を省略するために、例えば、撮影プロトコル上において息止め状態で撮影されるフレーム画像の期間を予め決定しておいてもよい。そして、このように、予め設定した息止め状態で撮影されるフレーム画像の期間の中から、最適な解析対象フレーム範囲を算出してもよい。
患者の体動や呼吸による動きは、上述のように、解析結果にアーチファクトを発生させることから、診断用コンソール3における解析を精度よく行うためには、被写体Mの体動や呼吸による動きのある(又はその可能性のある)フレーム画像を除外した範囲に解析対象フレーム範囲を設定することが望ましい。
なお、本実施形態では、後述する診断用コンソール3の制御部31において動き量の算出を行う場合を例示するが、動き量の算出は、撮影用コンソール2により行われてもよい。この場合、算出手法等は制御部31において行われるものと同様である。
診断用コンソール3は、解析装置をなすもので、撮影用コンソール2から動態画像を受信し、受信した動態画像を解析したり、動態画像に画像処理を施したり、解析結果や動態画像を出力(表示部34(後述)へ表示、他の表示装置に送信)したりする。
なお、図1には、診断用コンソール3が撮影用コンソール2とは別に備えられた動態解析システム100を例示したが、診断用コンソール3と撮影用コンソール2とは一体に構成されていてもよい。
また、解析装置が診断用コンソールとは別に設けられていてもよい。
なお、この診断用コンソール3の詳細については後述する。
<2.診断用コンソール>
次に、上記動態解析システム100が備える診断用コンソール3の具体的構成について説明する。
〔2−1.構成〕
診断用コンソール3は、図1に示したように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えている。
各部はバス36で電気的に接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される診断用コンソール3のコンピューターである。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、診断用コンソール3の各部の動作を集中制御する。
記憶部32には、過去に撮影された動態画像が識別ID、患者情報(被写体属性情報。例えば、患者ID、患者(被写体)の氏名、身長、体重、年齢、性別等)、検査情報(例えば、検査ID、検査日、検査対象部位(ここでは、胸部)等)等に対応付けて記憶されている。また、記憶部32には、撮影用コンソール2からの受信を開始した各動態画像に係る患者情報や検査情報、ステータス(例えば、受信中、解析処理中、解析終了等の進捗状況)情報を含むリスト情報が記憶される。
また、診断用コンソール3がDICOMに則って撮影システム10等との情報の送受信を行う場合には、動態画像のデータとともに、上記のような患者情報が送信され、記憶部32には動態画像に対応付けてこれらの患者情報が記憶される。
さらに、記憶部32には、動態画像に対応付けてその解析結果(血流解析画像等)が記憶される。
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、動態画像の解析結果を含む各種表示を行う。
なお、表示部34を備えずに、診断用コンソール3を他の表示装置に接続し、他の表示装置において各種表示を行うようにしてもよい。
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で診断支援処理を実行するためのプログラムを始めとする各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
〔2−2.動作の概要〕
上述したように構成された本実施形態に係る診断用コンソール3の制御部31は、所定条件が成立したことを契機として、図2に示すような解析処理を実行するようになっている。
所定条件としては、例えば、図示しない電源スイッチがオンにされる、操作部33に所定の開始操作がなされる、診断用コンソール3が通信ネットワークNTに接続される、他の装置(撮影装置1や撮影用コンソール2)から所定の制御信号を受信する、といったものが挙げられる。
(2−2−1.画像取得処理)
この解析処理で、制御部31は、まず、被写体の胸部を放射線撮影することで得られた胸部の動態画像を他の装置から取得する画像取得処理を実行する(ステップS1)。
具体的には、撮影装置1又は撮影用コンソール2から通信部35を介して送られた動態画像のデータを受信する。
この処理では、胸部を正面から撮影することで得られた動態画像はもちろん、その他に、胸部を正面とは異なる方向(例えば斜め)から撮影することで得られた他の動態画像を取得することが可能である。
なお、撮影用コンソール2において、被検者の体動や呼吸による動き量の算出等を行った場合には、算出結果等の情報も併せて取得するようにしてもよい。
取得する動態画像は、撮影装置1において撮影された全画像でもよいが、息止め状態で撮影されたフレーム画像やその周辺のフレーム画像等、呼吸動や体動の少ないフレーム画像とすることが好ましい。このようにすることで、血流解析に用いるのに適さない画像を診断用コンソール3内に溜め込むことを回避でき、診断用コンソール3の記憶部32の負担等を軽減することができる。
なお、撮影用コンソール2等において、解析対象フレーム範囲等が算出された場合には、これらの情報も動態画像データと対応付けられた状態で取得する。
制御部31は、この画像取得処理を実行することにより、画像取得手段として機能する。
(2−2−2.領域設定処理)
動態画像を取得した後、制御部31は、領域設定処理を実行する(ステップS2)。
この領域設定処理では、上述したように、取得した動態画像の中に計測対象領域を設定する。
また、この領域設定処理においては、動態画像の中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される不良領域を除外して計測対象領域を設定する。
制御部31は、この領域設定処理を実行することにより、領域設定手段として機能する。
なお、この領域設定処理の詳細については後述する。
(2−2−3.特徴量算出処理)
計測対象領域を設定した後、制御部31は、特徴量算出手段を実行する(ステップS3)。
この特徴量算出処理では、動態画像を構成する複数のフレーム画像に基づいて、血流に関する血流特徴量を画素ごとに算出する。
制御部31は、この特徴量算出処理を実行することにより、特徴量算出手段として機能する。
なお、この特徴量算出処理の詳細については後述する。
(2−2−4.特徴量計測処理)
血流特徴量を算出した後、制御部31は、特徴量計測処理を実行する(ステップS4)。
この特徴量計測処理では、算出した画素ごとの血流特徴量に基づいて、設定した計測対象領域における特定の血流特徴量を計測する。
制御部31は、この領域設定処理を実行することにより、特徴量計測手段として機能する。
なお、この特徴量算出処理の詳細についても後述する。
(2−2−5.出力処理)
特徴量を算出した後、制御部31は、生成された血流解析画像を解析結果として出力する(ステップS5)。
具体的には、算出した血流特徴量を表示部34に表示させたり、血流特徴量のデータを他の装置(撮影用コンソールやタブレット端末等)へ送信したりする。
制御部31は、この出力処理を実行することにより、出力手段として機能する。
<3.解析処理(具体例)>
次に、上記動態解析システム100が実行する解析処理の具体例について説明する。図3は、診断用コンソール3(動態画像解析装置)が実行する解析処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
より精度の高い特定の血流特徴量を得るためには、上記解析処理に各種処理を追加するのが好ましい。
具体的には、例えば図3に示すように、位置合わせ処理(ステップS6)、小ブロック化処理(ステップS7)、対数変換処理(ステップS8)、ノイズ除去処理(ステップS9)、基準フレーム設定処理(ステップS10)等を実行する。
〔3−1.位置合わせ処理〕
位置合わせ処理(ステップS6)は、動態画像を取得(ステップS1)した後に実行される。
この位置合わせ処理では、必要に応じて複数のフレーム画像における被写体に対応する各領域の位置を揃える。
この処理を実行することで、制御部31は、位置合わせ手段として機能することとなる。
また、この処理により、計測対象領域で計測される血流特徴量にノイズが含まれなくなるため、肺門領域や肺動脈領域や疾患領域や肺切除後領域といった、空間的に周辺と濃度差が大きく、且つ拍動による変位が大きい領域において、拍動に伴う変位に起因するノイズを軽減することができる。また、部位によっては、不良領域として除外しなくても済むようになる。
〔3−2.領域設定処理〕
ここでの領域設定処理(ステップS2)は、位置合わせ処理(ステップS6)の後に実行される。
特定の血流特徴量を高い精度で算出するためには、血流特徴量を計測する計測対象領域を適切に設定する必要がある。この領域設定処理では、上述したように、取得した動態画像の中から、不良領域を除外して計測対象領域を設定する。本実施形態においては、動態画像の中から、まず肺循環、体循環、心臓、のうちのいずれか一つに対応する除外前領域を抽出し、抽出した除外前領域から不良領域を除外することで計測対象領域とする。
(3−2−1.複数の計測対象領域)
また、本実施形態においては、動態画像の中に、上述したような計測対象領域を複数設定することが可能となっている。
複数の計測対象領域は、例えば、右肺に対応する右肺野領域L及び左肺に対応する左肺野領域Lとすることができる。
また、右肺における右上葉、右中葉、右下葉のうちの少なくとも一つに対応する領域、及び/又は左肺における左上葉、左下葉のうちの少なくとも一方に対応する領域を計測対象領域とすることもできる。
また、複数の計測対象領域は、一つが肺循環に対応し、他の一つが心臓に対応する、という設定であってもよく、複数の計測対象領域すべてが肺循環に対応する領域という設定でもよい。
(3−2−2.除外前領域の抽出)
計測対象領域の設定方法は特に限定されるものではなく、例えば上記特許文献1,2に記載されているような方法を用いることができる。
肺循環に対応する領域を除外前領域とする場合には、右肺に対応する右肺野領域L全体又は左肺に対応する左肺野領域L全体を除外前領域としても良いし、右肺野領域L又は左肺野領域Lのうち肺門領域Lのみを除外前領域としてもよい。
その場合には、例えば図4に示すような、肺野領域L(右肺野領域L及び左肺や領域L)や肺門領域Hにその輪郭線Oが重畳されたフレーム画像が得られる。
また、除外前領域抽出後のフレーム画像を表示部34に表示し、ユーザーによる操作部33の操作に基づいて手動で輪郭線Oを変更(調整)できるようにしてもよい。
(3−2−3.不良領域の除外)
除外前領域から除外する不良領域は、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される領域である。
不良領域の選び方としては、例えば、肺循環、体循環、心臓、のうちのいずれか一つに対応する領域のうち除外前領域として抽出された領域以外の他の二つの血流成分が優位になる領域を不良領域として除外してもよいし、肺野辺縁部や、心拍に伴う変位が所定以上の領域に対応する領域を除外するようにしてもよい。
正面から見たときの左右肺野領域L,Lは、図5,6に示すように、胸郭側輪郭線L1、肺尖側輪郭線L2、横隔膜側輪郭線L3、縦郭側輪郭線L4という四つの輪郭線によって囲まれた領域となる。ここで図6は、横隔膜や縦郭の裏側に存在する肺野も含めて捉えた実際の肺の輪郭線である。
このうち、胸郭側輪郭線L1及び肺尖側輪郭線L2は、実際の肺の輪郭線に一致することは間違いないが、横隔膜側輪郭線L3や縦郭側輪郭線L4は、被検者を正面から撮影した放射線画像においては肺が横隔膜や縦郭と重なるため、必ずしも実際の肺の輪郭線に一致するとは言えない。
なお、「縦郭」とは、気管や食道、脊椎といった部位を指す用語であるが、心臓や大動脈を含む領域を指す用語としても使われる。ここでは後者の意味で用いることとする。
このような、横隔膜側輪郭線L3に沿った横隔膜側辺縁部及び縦郭側輪郭線L4に沿った縦郭側辺縁部は、呼吸により横隔膜が動くことでノイズが大きく且つ拍動による変位がある領域となるため、拍動によるノイズが大きくなる。
よって、肺や領域の中から、横隔膜側辺縁部や縦郭側辺縁部における心臓や大動脈に対応する領域を除外するのが特に望ましい。
また、胸郭側辺縁部は、肺抹消では拍動による変動が小さく、そもそもの血流に基づく信号値が小さいにもかかわらず、体厚変化が大きい領域であるため、僅かな体動でも大きな濃度変化を発生させてしまい、ノイズが大きいという特性があった。
そのため、胸郭側辺縁部における胸郭から所定範囲の領域を除外するのが望ましい。
具体的には、胸郭内面から縦郭の存在する方向に向かって5mm離れた点を通り、胸郭内面と平行な曲線を描いたときの胸郭内面と曲線とに挟まれた領域を除外対象とするのが好ましい。
なお、画像のX方向(左右方向)の画素値変化が大きい領域ほど体動によるノイズがのりやすいため、X方向の画素値プロファイルをとり、その勾配が所定の以上となる箇所を除外するようにしてもよい。
また、肺野辺縁部におおむね接するように存在する空間的な濃度変化が所定以上の領域、特に心拍に伴う変位が所定以上の部位に対応する領域は、除外することが望ましい。
縦郭側辺縁部には、肺循環ではない心臓や、体循環に対応する大動脈の領域が含まれるため、除外する必要がある。
また、肺野領域Lにおける、心臓や大動脈と重なる領域も同様の理由により除外するのが望ましい。
また、肺を切除した後の切除後領域は、信号値が低いことから空間的にも濃度変化が大きく、心拍によるノイズが強い傾向にある。このため、低濃度領域であって心拍による変位が大きい領域は、計測領域から除外することが望ましい。
計測対象領域を体循環に対応する大動脈領域に設定する場合は、心臓領域は不良領域として除外する。
また、計測対象領域を心臓に対応する領域に設定する場合は、体循環に対応する大動脈と重なる領域は不良領域として除外する。
また、計測対象領域を心臓や体循環に対応する領域に設定したとき、肺循環に対応する肺野領域Lは比較的血流信号が小さいことから不良領域としなくてもよいが、信号が大きい肺門領域Lのみは不良領域とすることが望ましい。
なお、後述するブロック処理(ステップS7)を実行する場合には、肺野の外側が含まれる小ブロックを血流特徴量の算出対象から除外するようにしてもよい。
肺野領域Lを小ブロックで区画すると、辺縁部において肺野と肺野の外側の両方を含む小ブロックが出てくる。このような小ブロックから血流特徴量を算出しようとすると、肺野辺縁部の動きにより信号値が大きく変化してしまう、ノイズが大きいという問題がある。
また、肺野の外側には血流に基づく信号値が存在しないため計測不要であり、縦郭部をブロックに含むと本来計測すべきでない異なる血流信号がノイズとして乗ってしまう。
このため、ブロック処理を実行する場合には、肺野の外側の領域を含む小ブロックを除外するのが望ましい。
なお、ブロック処理を実行せずに血流特徴量を算出することで、肺野辺縁部から算出した血流特徴量を特定の血流特徴量の計測に利用するようにしてもよい。
肺野領域L全体から血流特徴量を抽出するようにすれば、得られる血流特徴量のロバスト性が高いものとなる。
また、制御部31は、胸部を斜めから撮影することで得られた他の動態画像から撮影することで得られた動態画像を構成する複数のフレーム画像から、肺野領域Lにおける胸部を正面から撮影した場合に心臓、縦郭又は横隔膜のいずれかの背後に隠れる部位に対応する隠れ領域をそれぞれ抽出するようになっていてもよい。
なお、この肺野抽出処理において、抽出した肺野領域Lの中から、心拍に伴う変位が所定以上の部位に対応する可変領域を更に抽出する処理を実行するようにしてもよい。
制御部31は、以上のような領域設定処理を実行することにより、領域設定手段として機能する。
〔3−3.ブロック処理〕
肺野領域Lを抽出した後、制御部31は、図3に示したように、ブロック処理を実行する(ステップS7)。
このブロック処理では、抽出した肺野領域Lを複数の小ブロックで区画する。
肺野領域Lを小ブロックで区画して、小ブロックごとに信号値の代表値をとることで、ホワイトノイズや動き影響を低減させることができる。
肺野領域Lを小ブロック化した後、制御部31は、元画像(オリジナルのX線動態画像)に対して対数変換処理を行う(ステップS8)。
心拍を有する生体を撮影した動態画像の各画素の信号値は、画像の濃度を示しており、信号値が高いほどX線が多く透過し、信号値が低いほどX線透過率が低いことを意味している。
すなわち、血流量が多いところは、血流によってX線が遮られるため、信号値が低くなり、逆に血流量が少ないところは、X線の透過率が高くなって、信号値が高くなる(図7等参照)。
また、生体に入射したX線は、血液のみならず、X線透過方向に存在する各種の構造物(例えば、肋骨等の骨や、肺以外の各種臓器等)の存在によっても遮られ、これによって放射線透過率及び信号値も変化する。
X線照射量(入力)I0とX線透過量(出力)Iとの関係は以下の式1で成り立ち、透過する対象物質の各パラメーターをμ、ρ、Xとすると、X線の入出力の関係は、μやρやXの合成により決定する。
I=I0×exp[−μ・ρ・X] …式1
なお、この式1において、μは質量吸収係数[cm/g]、ρは密度[g/cm]、Xは被写体透過距離[cm]である。
ここで、生体内の主要な構造物の「μ」(質量吸収係数)及び「ρ」(密度)を例示すると、図8(a)のようになっている。図8(b)に示すように、透過X線は肺野に到達するまでに脂肪、骨、血管(血液)等の構造物を透過するため、肺野の血液量変化を正しく捉えるためには、これら生体内の構造物の影響を考慮する必要がある。そのため、なるべく被写体を静止させた状態にて一定時間の撮影を行うなど、各種の対策が必要となる。
例えば、2つのフレーム間における脂肪・骨・肺の厚みが一定で、血管(血液)の厚みのみが変化する、という状態モデルを仮定すると、例えば、各フレームにおけるX線出力値をI、基準フレームにおけるX線出力値をI’とし、それぞれの厚み(すなわち、X線が被写体を透過する距離)を、脂肪…Xa、骨…Xb、血管(血液)…Xc、肺…Xdとしたとき、各時刻における脂肪・骨・肺の厚みが一定とすると、2つの時刻のX線出力値の対数の差は、時間に因らず一定である入射線量I0に因らず、下記の式2で示すことができる。
logI−logI’
=log(I_0×exp[−μa・ρa・Xa]×exp[−μb・ρb・Xb]×exp[−μc・ρc・Xc]×exp[−μd・ρd・Xd])−log(I_0×exp[−μa・ρa・Xa]×exp[−μb・ρb・Xb]×exp[−μc・ρc・Xc’]×exp[−μd・ρd・Xd])
={log(I_0)+(−μa・ρa・Xa)+(−μb・ρb・Xb)+(−μc・ρc・Xc)+(−μd・ρd・Xd)}−{log(I_0)+(−μa・ρa・Xa)+(−μb・ρb・Xb)+(−μc・ρc・Xc’)+(−μd・ρd・Xd)}
=−μc・ρc・(Xc−Xc’) …式2
対数変換のための公式は、式3として表すことができ、これを先の式2に代入すると、式4が得られる。
logM−logN=log(M/N) …式3
logI−logI’=log(I/I’) …式4
このように、動態画像についてその信号値を対数変換することで、X線の入出力の関係をX線透過方向における単位面積あたりの血液量変化に比例した数値で示すことができ、物理的に、血流容量の拍動性変化に比例する成分を算出することができる。これにより、血流状態を直感的な形で医師に提示でき、臨床的に意味のある画像や数値を医師等に提供することができる。
ここで、図8に示すように、血液はμc=0.2[cm/g]、ρc=1.1[g/cm]と設定すれば、絶対的な血管厚み変化である(Xc−Xc’)[cm]は、下記式5で求まる。
Xc−Xc’=(logI−logI’)/(−μc・ρc)…式5
さらに、1画素あたりの血液量変化VOLは、1画素あたりの画素面積AREAが例えば0.04[cm]などと予め分かっているため、下記式6で求まる。
VOL=AREA×(Xc−Xc’)…式6
なお、これらの値は、1画素に限らず、右肺や左肺の肺領域に対しても同様に計算可能である。
以上のことから、所定領域における絶対的な血液量変化を算出することが可能である。
なお、計算方法としては、対数変換を最初に行わず、式4に示しているように、信号値の比をとった後に対数変換処理を行ってもよい。このとき、分母I’を基準フレームのX
線透過量(出力)に該当させる。本実施形態では、対数変換処理後に差分を得る処理を行う場合を例として説明するが、この場合、信号値の比をとった後に対数変換処理を行ってもよい。また、信号値の比をとった後に対数変換処理を行わなくてもよい。この場合、物理量と比例する数値にはならないものの、大小関係は成り立つ。また、比ならば対数変換を省略でき、μやρの値も必要とせず、医師にも直感的に理解しやすい数値となるメリットがあるため、このような手法も望ましい。例えば肺血流は比で1〜2%程度であるというように説明することができる。
また、対数変換の計算方法として、ここでは単純にlogIと記載しているが、例えば以下のような式(式5)でも構わない。ここでLは対数変換後の信号値、変数a,b,c,dはパラメーターである。
L=a+b*log(c*I+d) …式7
また、肺野内全域への流入量とは逆に、心臓領域内の全域の拍出量を合計することによっても、同様の計算を行うことができる。さらには、心拍数も動態画像から算出する等により取得すれば、これを心拍数と積算することで、1分間の心拍出量を意味する値を得ることもでき、診断に役立てることができる。
さらに、肺野を左右に分割するとともに、例えば上・中・下の3つの領域に分割し、領域ごとに数字として提示すれば、臓器内の領域ごとの違いを分析することも可能である。
このように領域ごとの数値を出す手法においては、画像全体を解析せずともよく、必要な領域内のみ演算すればよい。これにより、不要な演算時間を削減することができる。
なお、領域抽出の手法としては、テンプレートマッチングなど種々の既存の手法を用いることができる。
〔3−4.時間方向ノイズ除去処理〕
元画像に対数変換処理を施した後、制御部31は、図3に示したように、フィルターによる時間方向ノイズ除去処理を行う(ステップS9)。
具体的には、時間方向にハイパスフィルター(例えば0.8Hz)やバンドパスフィルター(心拍周期)等をかける。
これにより、体動による動き等の影響を低減させることが可能となる。
〔3−5.基準フレーム設定〕
時間方向ノイズ除去処理を実行した後、制御部31は、動態画像を構成する複数のフレーム画像の中からいずれかのフレーム画像を基準フレーム画像として設定する(ステップS10)。
具体的には、取得した動態画像(X線動態画像)又はこれを対数変換処理した対数変換画像のうち少なくとも一方について、心拍位相に基づき一のフレーム画像を基準フレーム画像として設定する。
ここで、心拍位相とは、心臓の拍動(心拍動)の1つのサイクル内におけるタイミングである。
心臓は、心室拡張期と心室収縮期のセットで1つの心拍サイクルが構成されている。心室収縮期において心臓から血流が送り出される。心臓から血液を送り出す際には心臓の筋肉に対してR波と呼ばれる電気信号が送られる。R波が送られるとこのR波をトリガーとして心臓が収縮を始め、心臓から末端の血管に向かって血液が送り出される。
制御部31は、後述するように、血流解析の目的(すなわち、いかなる血管の血流を観察したいか等)に応じて、上記のような心拍サイクルのうち、いつの時点のフレーム画像を基準フレーム画像とするか等を設定する。
なお、基準フレーム画像は、解析対象フレーム範囲内のいずれかのフレーム画像であることが好ましい。
被写体Mの体がぶれること等による体動や呼吸による動き等が含まれる動態画像を血流解析に用いると、血流量の変化以外の成分が入ってしまい、正しく血流量の変化を捉えることができない。
このため、本実施形態に係る制御部31は、フレーム画像から血流アーチファクトとなる動き(すなわち被写体Mの体動や呼吸による動き等)を検出し、複数のフレーム画像のうち、血流アーチファクトとなる動きを含まない(又は動き量が許容限度以下である)フレーム画像が連続している範囲を解析対象フレーム範囲として設定し、この内から、基準フレーム画像及び基準フレーム画像と比較される比較フレーム画像を選定する。
例えば、血流解析の対象が肺血流である場合、肺野が動かない状態が維持されている範囲内のフレーム画像を用いて解析を行う必要がある。
このため、例えば、肺野の動き、特に肺野辺縁の動きを検出することで、高精度に動き量を計測・把握し、所定以上の動き量がある場合には、当該動きのある状態で撮影されたフレーム画像を血流解析に用いないとすることができる。肺野辺縁の動き量を検出する手法は各種あり得るが、例えば、テンプレートマッチング等の手法を用いて計測することが考えられる。
また、動き量の計測方法としては、例えば、肺野辺縁を構成する部分(例えば心臓)以外の部分である、胸郭辺縁や横隔膜辺縁の動き量を計測してもよい。
また、肺野自体ではなく、肩甲骨や乳房や肋骨や鎖骨等、肺野と重なる別の構造物の動きが大きい場合にも、大きな信号値の変化によりアーチファクトとなる可能性がある。このため、このような肺野以外の構造物の動きについても検出し、所定以上の動き量が検出された場合には、動きのある状態で撮影されたフレーム画像であるとして、当該フレーム画像を血流解析に用いないとしてもよい。
さらに、フレーム画像間の差分をとって差分画像を作成し、動き量を把握したい対象構造物の存在エリアにおいて閾値以上の信号値変化をした画素数を求め、これに基づき、動き量を検出してもよい。
なお、動き量の算出には、例えば、動態画像の各画素の濃度値の時間的変化の絶対値をとり、その空間的な平均値や中央値を、各フレーム画像における動き量として算出する。
この場合、解析に影響のない心臓の拍動による動きも、動き量として検出してしまうため、心臓の領域を除く領域に対し、平均値や中央値をとることがより望ましい。
また、例えば、呼吸による動きだけを高精度に検出するには、横隔膜の位置を検出し、その動き量を検出することが望ましい。横隔膜の動き量は横隔膜位置の時間的変化(微分)の絶対値により算出することが可能である。
なお、複数の構造物から動き量を合成して、当該動きのもとで撮影されたフレーム画像を血流解析に用いるか否かを判断するとしてもよい。この場合には、各構造物の動きに血流アーチファクトとなる影響度合いの係数を乗算し、総合的に動き量を算出してもよい。
この場合、例えば、血流解析に用いるフレーム画像とできるか否かの閾値を設定しておき、これを超える動きが含まれる場合には血流解析に用いないと判断される。
例えば、図9(a)に示す横隔膜、胸郭(胸郭辺縁)、鎖骨、肩甲骨といった構造物について、その動き量を合成する場合、各構造物の動き量(2つのフレーム画像間における動き量)が、横隔膜5mm、胸郭(胸郭辺縁)0.5mm、鎖骨1mm、肩甲骨0mmであり、各構造物の血流アーチファクトに対する影響度合いの係数がそれぞれ、横隔膜0.3、胸郭(胸郭辺縁)1、鎖骨0.1、肩甲骨0.7である場合には、それぞれを掛け合わせると、横隔膜1.5、胸郭(胸郭辺縁)0.5、鎖骨0.1、肩甲骨0となる。そして、これら全てを積算することで得られた血流アーチファクト度は2.1となる。
図9(b)は、これを複数の連続するフレーム画像についてそれぞれ算出してグラフ化したものである。図9(b)のグラフでは、図9(a)に合せて、横隔膜を二点鎖線、胸郭(胸郭辺縁)を破線、鎖骨を点線、肩甲骨を一点鎖線で表し、血流アーチファクト度を実線で示している。
図9(b)では、血流アーチファクト度が一定の閾値を超えているフレーム画像を血流解析に用いないこととし、血流アーチファクト度が一定の閾値以下で連続しているフレーム画像の範囲を血流解析の対象となるフレーム画像の範囲(これを解析対象フレーム範囲という。)とする例を示している。
解析対象フレーム範囲の設定手法としては、例えば、所定のフレーム画像間(2フレーム以上の連続したフレーム画像間)の動き量が閾値以上となるフレーム画像を不良フレーム画像として選定し、不良フレーム画像を含まない最大の長さのフレーム範囲を解析対象フレーム範囲とする。
また、所定のフレーム画像間(2フレーム以上の連続したフレーム画像間)の動き量を予め計算しておき、解析対象フレーム範囲内における動き量の合計値が最小となるようなフレーム範囲を解析対象フレーム範囲として選ぶとしてもよい。
このように、血流解析の対象となるフレーム範囲から血流アーチファクトとなる動きを含むフレーム画像を極力排除することによって、血流解析画像から血流アーチファクトを除外することができる。
これにより、血流量の変化以外の成分が排除された血流解析画像を得ることができ、正しく血流量の変化を捉えて、適切な診断を行うことができる。
すなわち、被写体Mの体動がなく呼吸停止(息止め)の状態が維持されたフレーム画像によって血流解析画像を生成することで、血流量変化以外の成分が時間的に変化しないという仮定を成り立たせることができ、物質的な血流容量の変化を正しく捉えることができる。
なお、解析対象フレーム範囲が撮影用コンソール2において設定された場合や、撮影用コンソール2において解析対象やその他の構造物が動いた場合の動き量が算出された場合に、こうした情報を取得している場合には、診断用コンソール3は、これらの情報を参照して解析対象を設定してもよい。
なお、このように血流解析の対象となるフレーム範囲から血流アーチファクトとなる動きを含むフレーム画像を極力排除しようとした場合でも、結果的に解析対象フレーム範囲
に血流アーチファクトとなる動きが一定の閾値以上で含まれてしまうこともあり得る。
この場合には、血流解析画像(血流解析結果)の表示と併せて、血流アーチファクトとなる動きがあったことを警告表示する等によりユーザーに注意喚起することが好ましい。
また、解析対象フレーム範囲に含まれる血流アーチファクトとなる動きの定量値を表示させて、ユーザーが血流アーチファクトの程度を客観的に把握できるようにしてもよい。
また、解析対象フレーム範囲の設定は、後述するフィルター処理によるノイズ抑制の観点を考慮して行うことが望ましい。
簡便には、例えば、横隔膜の動き量が閾値以下であるフレーム画像が連続する期間が最も長い範囲を解析対象フレーム範囲として選択することが望ましい。
なお、一方で、フィルター処理により解析対象フレーム範囲の冒頭及び末尾の所定フレーム数が解析不能となる場合、例えば冒頭2秒分と末尾2秒分のフレームが解析不能となる場合には、解析対象フレーム範囲の長さを、予め、一心拍のフレーム範囲+冒頭2秒分+末尾2秒分と設定しておき、この範囲内において、動き量の最大値・平均値・中央値などが最も小さいフレーム範囲を、解析対象フレーム範囲として選択することとしてもよい。
また、解析対象フレーム範囲は、冒頭2秒分及び末尾2秒分を除く期間の中央部の範囲における、心室拡張末期の表れる回数が多いフレーム範囲を選択することとしてもよい。
例えば心室拡張末期が2回現れる場合、1心拍分の肺血流の流れる様子を連続した血流動態画像像として作成することができる。また、例えば心室拡張末期が3回現れる場合には、2心拍分の連続動態画像が得られる。なお、例えば心室拡張末期が一回しか現れない場合には、1心拍分の連続動態画像を得ることはできないため、心室拡張末期が2回以上現れるフレーム範囲を選択することが好ましい。
次に、本実施形態の制御部31が基準フレーム画像を設定する手法について説明する。
本実施形態では、基準フレーム画像として設定するフレーム画像をいずれかのタイミングで撮影されたものに規定してもよいし、解析対象となる各種の血流状態に応じて、最も適切なタイミングで撮影されたフレーム画像を基準フレーム画像として設定して、各種の血流解析を行うようにしてもよい。
制御部31が、いずれのタイミングで撮影されたフレーム画像を基準フレーム画像として設定するかについては、例えば、第1に以下のような手法が考えられる。
すなわち、心臓の心室拡張末期に対応するフレーム画像を基準フレーム画像として設定する。
図10は、心拍位相と心電図等とを対応させて、それぞれの時系列的変化を示したグラフである。図10では、第1の手法における基準フレーム画像の設定タイミングを第1のタイミングとして示している。
図10に示すように、心拍位相は、心室の収縮期と拡張期との2つに大別され、これが周期的に繰り返される。
例えば、肺動脈の場合、左心室から血液が送られるが、右心室もほぼ同位相で同じ動きとなる。そして、拡張期(心室拡張期)では肺静脈から心房・心室に血流が戻ってきており、拡張末期(心室拡張末期)では心室に血液が最も満たされた状態となる。拡張末期の直後、収縮期(心室収縮期)の冒頭において大動脈弁が開放され、心筋の収縮により左心室から肺動脈へ肺血流が一気に駆出される(収縮期における駆出期)。
このうち、第1の手法において選択される第1のタイミングは、例えば、心室が拡張期から収縮期に変わる直前のタイミングである。
血流解析では、血液容量の変化による信号値の変化が微量であることから、解析すべき
信号値の変化が各種のノイズに埋もれやすいという問題がある。
この点、第1の手法によれば、心臓に最も多くの血流が流入しており、他の臓器に送られる血流が最も少ないタイミングのフレーム画像を基準フレーム画像として設定する。
これにより、その後の血液容量の変化がノイズに埋もれず、比較的正確に計測することが可能となる。
また、肺野内の場所によって、心拍位相の微妙なずれ(すなわち、心拍動のタイミングにより血流が早く到達するところ、遅く到達するところのずれ)があるが、心臓から血流が送り出される直前のタイミングのフレーム画像を基準フレーム画像とすることで、その影響を最小限に抑えることができる。
また、血流解析は、解析対象が生体であることから正解の値を計測することが難しく、正しさの検証をすることが難しいとの問題がある。
この点、第1の手法による場合には、拍動による肺血流の増分が画像として得られるため、肺血流の機能画像と捉えることも可能であり、また、既に信頼性を認められている血流シンチグラフィー検査の結果と比較的近い情報が画像として得られることから、解析結果の正しさの検証が容易となるとの利点もある。
また、図11は、心室(図11では左心室)における位相と、肺門付近における位相、血管中腹における位相、末梢血管手前の細い血管における位相、末梢血管又は静脈における位相とを比較して表示させた図である。
信号値の変化は心拍位相に基づき変動するが、肺野内の場所により、血流到達開始時刻や到達終了時刻は異なる。
この点、図11に示すように、左心室と肺門付近とでは、ほぼ同位相で信号値が変化する。例えば、図11では、左心室側における心臓の血流拍出開始時刻及び拍出終了時刻を実線で示している。そして、心臓の拡張末期に対応するフレーム画像を基準フレーム画像とする場合には、拍出終了時点が第1のタイミングとなり、肺門付近他の血管位置でも、血管到達開始時刻とほぼ同等の位相となることが分かる。このため、第1のタイミングにおけるフレーム画像は、血液解析の全画素における基準フレーム画像として望ましい。
次に、制御部31による基準フレーム画像の設定手法として、例えば、第2に以下のような手法が考えられる。
すなわち、心拍動の発生後であって心臓の心室収縮期に対応するフレーム画像を前記基準フレーム画像として設定する。
図10では、第2の手法における基準フレーム画像の設定タイミングを第2のタイミングとして示している。
前述のように、心臓は、R波がトリガーとなって心室拡張期から心室収縮期へと移行する。すなわち、心拍動の発生は、R波が検出された後となるため、制御部31は、R波(R波の波形のピーク)を検出してから心室収縮期の間のいずれかのタイミングで撮影されたフレーム画像を基準フレーム画像として設定することで、第2のタイミングに対応するフレーム画像を基準フレーム画像とすることができる。
なお、R波の検出は、例えば撮影と平行して心電図を取得すること等により行う。
第1の手法のように、心臓の心室拡張末期に対応するフレーム画像を基準フレーム画像とする場合には、心臓の拍動による動きの影響が大きくなる。この場合、心臓や血管の動きだけでなく、肺野全体の変形による濃度変化が起こる影響もあった。また、肺門付近の太い肺血管の血液容量の変化が支配的となり、細い抹消に近い血管の血液容量の変化が把握しづらいとの問題もあった。
この点、第2の手法によれば、心臓から送り出された血液が末梢の血管まで到達する前に血液容量の変化を観察することができる。これにより、心臓の拍動による動きの影響を最小化して、末梢血管等の細い血管の血液容量の変化の分布を正確に把握することができる。
なお、前述のように、心室拡張末期に対応するフレーム画像を基準フレーム画像として設定する第1の手法をとる場合には、各種の利点があるが、基準フレーム画像を設定するタイミングを敢えて時間的に後ろにずらすことによって、第1の手法では得られない様々な利点も認められる。
そこで、前述のように、本実施形態では、第1の手法による第1のタイミングに基準フレーム画像を設定することも排除しないが、さらに、血流解析の目的等に応じて、第1の手法による第1のタイミングとは異なる第2のタイミング等に設定された基準フレーム画像を用いた血流解析画像を算出することが好ましい。
すなわち、X線画像は透過像であるために、得られる血流特徴量(血液容量の変化の値)は血管の根幹部(太い血管)から末梢部分(末梢部の細い血管や末梢部付近の血管)まですべての濃度変化を積算したものとなってしまい、根幹部と末梢とで血流量傾向に違いがあっても、見分けることができない。
例えば、肺高血圧症等においては、血管の根幹部では血流量が増加し、末梢部分又はその付近では血管が閉塞して血流量が減少していると想定されるが、動態画像を用いて血流解析を行った場合には、両者が重なり合って中和されてしまい、末梢付近の病気箇所の血流低下が画像に現れないために、疾患を正しく判断することができない。
そこで、第2の手法にように、基準フレーム画像を設定する時刻(タイミング)を血管の根幹部(太い血管)への血流到達開始時刻「以降」とすることで、血管の根幹部(太い血管)における血流量の増減による影響を低減することができる。
図12(a)は、胸部のX線画像の一例である。
図12(a)に示すように、胸部を単にX線撮影しただけでは、肺野の血流状態を観察することはできない。
これに対して、図12(b)は血流シンチグラフィー検査によって肺野周辺を見た場合の一例であり、血流シンチグラフィー検査の結果からは、左側の肺野の上側に血流の少ない領域LArがあることを確認することができる。
図12(c)は、第1の手法のように、心室拡張末期に対応するフレーム画像を基準フレーム画像とした場合の血流解析画像の一例を示す図であり、図12(d)は、第2の手法のように、心拍動の発生後であって心臓の心室収縮期に対応するフレーム画像を前記基準フレーム画像とした場合の血流解析画像の一例を示す図である。
図12(c)に示すように、心室拡張末期のフレーム画像を基準フレーム画像としたときは、血流量が減少している領域LArが血流量の多い部分と区別できなくなっている。これに対して図12(d)に示すように、心室収縮期のフレーム画像を基準フレーム画像としたときは、血流量が減少している領域LArがノイズに埋もれずに識別でき、図12(b)に示す血流シンチグラフィー検査の画像と同様に、左側の肺野の上側に血流の少ない領域LArがあることを確認することができる。
また、下肺や特に左下肺等のように、心拍動により臓器の動きが大きい箇所では、心拍動により肺野が伸縮又は並進して信号値が変動してしまう。このため、第1の手法のように、心室拡張末期(図13等における第1のタイミング参照)のフレーム画像を基準フレーム画像とすると、血流容量の変化とは異なる数値が算出されるおそれがある。
この点、第2の手法のように、心臓の拍動直後(図13等における第2のタイミング参照)のフレーム画像を基準フレーム画像とすることで、その影響を最小限とすることができる。
この場合、例えば、拍動が停止した時刻を基準フレーム画像とすることが望ましい。
なお、心臓の拍動後、すぐに左下肺への血流到達開始時刻が始まってしまうため、拍動による心臓動きが閾値以下に収まった時刻、もしくは大きな心臓動きが発生した時刻の所定時刻後(例えば0.2秒後等)のフレーム画像を基準フレーム画像としてもよい。
さらに、制御部31による基準フレーム画像の設定手法として、例えば、第3に以下のような手法が考えられる。
すなわち、肺野の心臓近傍領域の濃度変化又は大動脈等の血管の位置変化に基づいて基準フレーム画像を設定する。
心拍位相は、心臓の位置やサイズを計測することでも検出することができる。しかし、例えば心肥大患者の場合には、心壁の位置の計測が困難であり、心臓の位置変化を正しく捉えることが難しい。また、心房と心室の位置の違いが分かりづらく、心房の動きを誤って心室の動きとして捉えてしまい、心拍位相を正しく把握できない可能性があった。また、肺野内の濃度変化に基づいて心拍位相を検出することもある程度はできるが、心室の収縮期の時刻から肺野内への血流到達時刻には遅れがあり、遅れの程度は人や肺野の場所により異なり、また肺野内に疾患があれば疾患影響も受けるため、正確性に乏しいという問題があった。
この点、第3の手法として、肺野の心臓近傍領域の濃度変化又は血管の位置変化を参照することにより、正しく心室の心拍位相を捉えることができる。血管の位置変化を参照するとは、より具体的には、大動脈弓、肺門(図14参照)等の動きを検出し、心拍位相を検出することが考えられる。心臓近傍領域の濃度変化を参照するとは、より具体的には、心臓や大動脈弓や肺門(図14参照)の位置を特定し、その領域内もしくは近傍領域内の信号値の時間変化を捉えることにより、心拍位相を特定する。心臓近傍領域とは、特には心室の存在する心臓内下部領域を用いることが望ましい。
心臓や心壁、大動脈弓、肺門、の位置はテンプレートマッチング等により求めることが考えられる、なお、心臓や心壁、大動脈弓、肺門等の位置を求める手法はこれに限定されず、各種の手法を用いることができる。
各構造物の濃度変化を用いる場合には、心周期の周波数成分が強い箇所を用いることが好ましい。このため、動態画像の各画素で周波数解析を行い、想定される心拍周波数範囲における周波数成分のピークが最も高い領域範囲を選定してもよい。この場合、テンプレートマッチングと併用することによって、より安定的な結果を得ることができ、好ましい。
なお、濃度変化の微分値絶対値の大きさにより、心臓や大動脈や肺門を捉えても良い。心室拡張期より心室収縮期の方が濃度変化の微分値絶対値が大きいため、微分絶対値が最大となる値が正か負かにより、心室か、大動脈や肺門か、を区別することも可能である。
心壁や大動脈弓や肺門等の所定方向(例えばX方向等)の位置変化や、心臓や心臓内下部領域や大動脈や肺門の濃度変化を捉えることにより、例えば図15(a)又は図15(b)に示すような波形が得られる。
これらの波形から、極大値Puや極小値Plをとることで、心拍位相を特定することが可能となる。心臓や心臓内下部領域の濃度変化は心室の血液容量の波形を表しており、極小値Plが心室拡張末期に該当し、極大値Puが心室収縮末期に該当する。
この第3の手法によれば、心室の心拍位相を正確に算出することができる。
なお、大動脈や肺門の濃度変化においては、極小値Plが心室収縮末期に該当し、極大値Puが心室拡張末期に該当する。
心壁の位置変化を見る場合には、座標系は、心臓中心から遠ざかるほど位置座標値が小さくなるようにとれば、極小値Plが心室拡張末期に該当し、極大値Puが心室収縮末期に該当する。大動脈弓や肺門等の位置変化を見る場合には、座標系は、大動脈弓や肺門血管の領域中心から遠ざかるほど位置座標が大きくなるようにとれば、極小値Plが心室拡張末期に該当し、極大値Puが心室収縮末期に該当する。
なお、ここにいう濃度変化の波形は、X線透過の信号値そのものでもよいし、制御部31による対数変換後の波形でもよい。また、画像を小ブロック化する場合、ブロック化後の波形でもよいし、フィルター処理を行う場合にはフィルター処理後の波形を用いてもよい。
血流解析画像との整合性を保ち、また波形がノイズを含まず安定的に極大値Puや極小値Plを得ることができるようにするとの観点からは、ブロック化やフィルター処理の後の波形を用いることが望ましい。
ここで血流解析画像との整合性とは、例えば、特定したい心拍位相が基準フレーム画像である場合、例えば心室収縮末期は心室濃度波形の極小値Plとなる。
図15(a)は、オリジナル画像の波形の一例を示す図であり、図15(b)は、フィルター処理後の波形の一例を示す図である。
図15(a)及び図15(b)に示すように、オリジナル画像の波形でとった極小値Plがフィルター処理後に極小値Plでないフレームとなることがある。このため、フィルター処理後の波形から極小値Plを選べばよい。
また、例えば、図16(a)に示すように、心臓の心室領域に関心領域ROIを設定し、この関心領域ROIの濃度値が最小となるフレーム画像を基準フレーム画像に選定してもよい。
ここで、濃度値が最小であるとは、関心領域ROIとされた心室領域の血液量が最大であることを意味する。
例えば、図16(b)に示す例では、フレーム番号45のフレーム画像が濃度値最小フレームとなっており、当該フレーム画像を基準フレーム画像に選定する。
また、複数の心拍がある場合には、周波数解析により、予め心拍周波数を抽出し、その心周期の単位で存在する極大値と極小値の組合せを選ぶようにしてもよい。例えば、動態画像が15fpsで心周期が1.2Hzであれば、12.5フレーム周期で心室拡張末期(極小値)と心室収縮末期(極大値)のペアが存在する。
この場合、各フレームにおいて心室拡張末期らしさを定量化し、12.5フレーム周期のフレーム画像の組合せの中で、「最も心室拡張末期らしさ」の強いフレーム画像を心室拡張末期のフレームとすればよい。基準フレーム画像は、ある一周期における心室拡張末期のフレームを選択すればよい。
なお、ここで、「心室拡張末期らしさ」とは、極小値であることや、直後数フレーム間における微分値が高いこと、を用いて表現すればよい。
なお、この他の心拍位相については、例えば心室拡張末期と心室収縮末期との相対的な位置、つまり中間フレーム等であれば、収縮中期であり、収縮の初動が収まったフレーム画像を基準フレーム画像として選択することができる。
心室収縮末期や心室拡張末期を基準とし、絶対的な時刻変化、例えば0.2b秒後等を、心室収縮中期(拡張末期の0.2秒後)や心室拡張初期(心室収縮末期の0.2秒後)として抽出してもよい。
なお、例えば心不全では通常と心拍位相が乱れるように、人により心拍位相の変化は様々なため、目的に応じて適切な心拍位相の選定方法を決定するとよい。
なお、基準フレーム画像をいずれのフレーム画像に設定するかは、検出したい血流の状態によって異なる。例えば末梢の血管の血流状態を見る場合でなければ、上記タイミング以外に撮影されたフレーム画像を基準フレーム画像としてもよい。
また、基準フレーム画像は、体動や呼吸等による動き量の小さいフレーム画像に設定することが好ましい。
フレーム画像ごとの動き量や、解析対象に適したフレーム画像の範囲(解析対象フレーム範囲)が撮影用コンソール2において算出、設定されている場合には、撮影用コンソール2からこれらの情報も受け取るようにしてもよい。この場合には、制御部31はこれらの情報に基づいて解析対象フレーム範囲を設定し、その中から基準フレーム画像となるフレーム画像を設定してもよい。
〔3−6.特徴量算出処理〕
ここでの特徴量算出処理は、基準フレームを設定した後に実行される。
この特徴量算出処理では、複数のフレーム画像に基づいて、血流特徴量を画素ごとに算出する。
本実施形態に係る制御部31は、血流特徴量として、一のフレーム画像における信号値と他のフレーム画像における信号値との差である振幅値を算出するようになっている。
なお、どのような血流特徴量を算出するかについて特に限定はなく、例えば、一のフレーム画像における信号値に対する他のフレーム画像における信号値の比を算出するようにしてもよい。
動態画像のうちの一つのフレーム画像が基準フレーム画像として設定された場合には、比較フレーム画像も動態画像のうちの一つのフレーム画像として血流特徴量を算出する。
一方、対数変換画像のうちの一つのフレーム画像が基準フレーム画像として設定された場合には、比較フレーム画像も対数変換画像のうちの一つのフレーム画像として血流特徴量を算出する。
また、計測対象領域が複数設定される場合には、設定した複数の計測対象領域における前記血流特徴量をそれぞれ算出する。
本実施形態の制御部31は、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分をとる場合に、画像の小ブロック化(ステップS7)を行い、各々の信号値を、7mm以上の小ブロックにおける代表値とするようになっている。
前述のように、本実施形態では、できる限りアーチファクトを排除して血流解析を行うために、息止めを行った状態で撮影を行うか、又は複数撮影されたフレーム画像の中から動き量が小さいフレーム画像が連続している範囲を解析対象フレーム範囲と設定する等により血流解析を行うようになっている。
しかし、たとえ息止めを行った状態で撮影を行っても、血管は、心臓の拍動によりXY方向に動いてしまい、信号値の変化が血流容量の変化ではなく血管の動きを表してしまうことがある。特に、血液容量の変化による信号値の変化が微量であることに対し、血管の動きによる信号値の変化は大きいため、血管の動きによる信号値の変化を拾ってしまうと正しく血液容量の変化を捉えられないという問題があった。
この点、血管の径及び動き量を計測したところ、多くの健常者や患者の場合、特に肺門や左肺の広い肺野領域Lにおいて、心臓の拍動により2mm程度の径の血管が5mm程度XY方向に動く、との結果を得た。
2mm程度の径の細い血管がこのように動いて解析範囲に出入りした場合、信号値の変化の比にすると5%ほどに相当する。これに対して、例えば肺野内の血液容量の変化は、信号値の変化の比にして1〜2%相当である。このため、血管の動きの影響を受けると、捉えたい血液容量の変化とは全く異なるものを算出してしまうおそれがある。
そこで、制御部31は、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分又は比をとる際に、基準フレーム画像及び比較フレーム画像を小ブロック化する場合、その小ブロックのサイズを、血管径2mm+動き幅5mm=7mm以上とすることが好ましい。
図17(a)から図17(d)は、血管及びその動き幅と小ブロックとの関係を模式的に示した説明図である。
例えば、図17(a)や図17(b)に示すように、小ブロックのサイズを、7mm以下とした場合(図17(a)では1pixである場合を示し、図17(b)では5mmである場合を示している。)には、解析部分が血管の動きの影響を受ける範囲内に収まってしまう。
これに対して、図17(c)は、小ブロック化した場合の小ブロックのサイズを7mm以上とした場合(図17(c)に示す例では10mm)とした例である。血管の径及び動き量の合計が小ブロックのサイズ以下となるようにした場合、基準フレーム画像及び比較フレーム画像の信号値(又は対数値)を小ブロック内の代表値、すなわち、平均値や中央値や統計値で置き換えることで、血管の動きによる影響を低減させることができる。
なお、図17(d)は、小ブロック化した場合の小ブロックのサイズを10mmとし複数の血管(図17(d)では2本の血管)が大きく移動しており、小ブロック内への血管の出入りのある場合を示している。ただし、図17(d)に示す例のように、他の血管が周囲にある場合には、小ブロック内に血管が出入りしたことによる血流解析の結果への影響は緩和される。
このように、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分又は比をとる場合に、血管の径及び動き量の合計よりも小ブロックのサイズを大きくした場合(例えば7mm以上、図17(c)に示す例では10mm)に、このような小ブロック内の信号値の平均値や中央値や統計値といった代表値を基準フレーム画像及び比較フレーム画像の信号値(又は対数値)とすることで、血管の動きによるアーチファクトを低減し、血液容量の変化を正確に捉えることができる。
なお、小ブロックのサイズが大きすぎる場合には、画像が粗くなり詳細な血流解析を行うことが難しくなる。このため、小ブロックのサイズは、アーチファクトを低減でき、かつ、必要な画質を確保できる程度(例えば、7mm以上20mm以下等)に設定されることが好ましい。
また、本実施形態では、前述のように、息止めを行った状態で撮影を行うか、又は複数撮影されたフレーム画像の中から動き量が小さいフレーム画像が連続している範囲を解析対象フレーム範囲と設定する等により血流解析を行うようになっている。
しかし、たとえ息止めを行った状態で撮影を行う等しても、無意識に体が動いてしまうことによる信号値の変化が起こることがあり得る。このため、血流容量の変化を正しく捉えることができないおそれがあった。
そこで、制御部31は、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分又は比をとる場合に、各々の信号値について時間方向に周波数成分を限定するフィルターをかける処理(ステップS9)を実行することが好ましい。
例えば、周波数処理により、心臓の拍動(心拍)に起因する動きや濃度変化のみに限定した数値とすることで、ノイズを抑制することができる。
図18(a)は、心臓(左心室)の周波数特性を示すグラフであり、図18(b)は、肺野内のある箇所の周波数特性を示すグラフである。
体動等により生ずる低周波成分は、ノイズとして大きく乗ってしまう。このため、心拍周波数よりも低い周波数成分をカットするハイパスフィルター処理を行うことが好ましい。これにより、体動等により生ずる低周波成分がノイズとなるのを抑制することができる。
また、心拍周波数のみに限定したバンドパスフィルター処理を行ってもよい。これにより、パネルノイズ等に起因する高周波ノイズもカットすることができる。
手法としては、まず画像から心臓(左心室)の領域を抽出し、心臓領域の濃度の時間的変化のデータに対してフーリエ変換等の周波数解析を行い、周波数のピーク(最大値)を算出する(図18(a)参照)。
なお、低周波の動き(すなわち、体動等)が大きい場合には、周波数のピークが低周波となってしまうため、予め息止め状態等で撮影されたフレーム範囲(解析対象フレーム範囲)を対象とすることが望ましい。
また、例えば0.8Hz未満は対象から除外する等、解析対象を一定の周波数範囲に限定してもよい。
なお、心臓(左心室)の領域の抽出は、テンプレートマッチング等の手法で行ってもよい。また、このとき、心壁上を抽出することで、心壁の動きによる周波数成分を抽出してもよい。
周波数のピークを算出したら、例えばバンドパスフィルターの場合、心拍の信号が存在するピーク周波数範囲を決定する。ピーク周波数範囲は、例えば、ピーク周波数±0.1Hzの範囲等を固定値として決定してもよいし、周波数成分の分布によって動的に幅を変えてもよい。
このようにした場合、心拍基本周波数のみしか抽出できないこととなるが、高周波ノイズのない安定的な血流解析画像を得ることができる。
さらに、高調波の周波数範囲についても信号の存在範囲として抽出してもよい。この場合には、例えばピーク周波数×N±0.1Hzの範囲等を固定値として決定してもよいし、周波数成分の分布によって動的に幅を変えてもよい。
フィルター処理は、例えば、図19(a)に示すような入力データ(波形)がある場合に、これについてフーリエ変換を行い、図19(b)に示すような周波数空間に変換する。そして、この周波数空間において所望の周波数フィルター処理をかけることで、図14(c)に示すように所望の周波数範囲の信号を抽出し、さらにこれを逆フーリエ変換するとの手法でもよい(図19(d)参照)。
また、フーリエ変換以外にも、例えばDCT変換を用いてもよい。
なお、フィルター処理は、例えば予め所望の周波数をカットするように設計された畳み込み係数の配列を作成し、畳み込み演算により実施してもよい。
また、フィルター処理の過渡応答の影響により、前後数フレーム(例えば16個の係数配列の畳み込み演算である場合、冒頭末尾のそれぞれから15フレーム分)が信頼性の低いフレーム範囲となる(図19(d)の網掛け部分参照)。こうした信頼性の低いフレーム範囲については血流解析の対象から除去することか好ましい。なお、フィルター処理後の血流解析画像は、基本的に心拍周期での繰り返しの動態画像像となることから、出力が2心拍周期以上となるようにすることにより、安定的な出力であることを確認できることが望ましい。
例えば、図19(d)に示すように基準フレーム画像を設定した場合、解析対象フレーム範囲内の各フレーム画像を比較フレーム画像として、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分又は比をとり、それぞれについて血流解析画像を得ることができる。
このように、血流解析を行う前にフィルター処理を行うことにより、動態画像に低周波ノイズとなる体動による動きや、高周波ノイズとなるパネルノイズ等が含まれる場合でも、これらの血流解析への影響を抑制し、より正確に視認しやすい血流解析画像を得ることができる。
なお、フィルターは、周波数フィルターには限られず、単純な時間方向の平滑化による高周波ノイズ除去でもよく、心周期での平均値をオフセットとするオフセット減算でもよく、フィルターを使わなくてもよい。
また、波形を多項式近似する等の方法でノイズ除去をしてもよい。
なお、血流量の振幅値の算出に際しては、肺野内の血流が最大となるフレームの血流解析画像の値を用いればよい。
また、計測対象領域における振幅値の合計値を求めるようにしてもよい。
ところで、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分又は比をとるにあたり、オリジナル画像を用いて算出しようとするとノイズが多く心拍に起因する振幅を正確に計測することが困難であった。
一方、上記周波数フィルターを用いる手法では、過渡応答があることから、撮影フレーム数を長くする必要があり、被曝量の増大や、息止め撮影を行う場合は患者負担の増大、が起こっていた。
そこで、特徴量計測処理において、図19(a)に示したような部位ごとの濃度変化波形を左右の肺ごとにそれぞれ取得し、フーリエ変換を行って図19(b)に示したような周波数空間に変換した後、心拍周波数に基づく周波数成分の比を求めるようにしてもよい。
具体的には、心拍周波数のピークの高さやピークとなる心拍周波数を挟む所定範囲内(例えば−0.1〜1.0Hzや−0.2〜0.2Hz等)の波形の面積を求めればよい。
その際、心拍周波数の整数倍の成分も含めてもよい。
このようにすれば、逆フーリエ変換を行う必要がなくなるため、必要フレーム数を短くすることができる。その結果、短いフレーム数の撮影動画から、安定的に血流による濃度変化を計測することができるため、被検者の負担を低減することができる。
従来は、基準フレームを心室拡張末期に対応するフレームに設定し、比較フレーム時点での濃度変化量を計算する手法であったが、心拍周波数での濃度変化量が、血流増減の要因が支配的なものであるとわかっていれば、濃度波形の振幅そのもので振幅値を算出してもよいし、周波数成分の振幅を用いても良い。周波数成分の振幅を用いる場合は、血液出入りの時相が分からなくなるため、心拍に伴う変位の影響を低減させるにあたり、位置合わせ処理を併用することが望ましい。
〔3−7.特徴量計測処理〕
ここでの特徴量計測処理(ステップS4)では、特徴量算出しょりにおいて算出した血流特徴量に基づいて、設定した計測対象領域における特定の血流特徴量を測定する。
血流特徴量に基づいてどのような血流特徴量を計測するかについて特に限定はなく、例えば、血流特徴量の絶対値を計測してもよいし、左右の肺野領域L,Lごとに血流特徴量(振幅値)の合計を算出し、左右の血流特徴量の合計値の比を算出してもよい。
また、ユーザーによって設定された関心領域(ROI)における血流特徴量を測定するようにしても良い。
また、肺野領域L全体の血流に関する第一血流特徴量と、左右一対の肺のうち除去する予定の除去対象部位を含む側の肺に対応する領域の血流に関する第二血流特徴量と、をそれぞれ算出し、第一血流特徴量に対する第二血流特徴量の割合を算出するようにしてもよい。
制御部31は、以上のような特徴量計測処理を実行することにより、特徴量計測手段として機能する。
〔3−8.出力処理〕
血流特徴量を算出した後又は特定の血流特徴量を計測した後、本実施形態に係る制御部31は、出力処理を実行する(ステップS5)。
この出力処理では、算出した血流特徴量の大きさを色で表した血流解析画像や、計測した特定の血流特徴量(数値)を出力する。
出力の仕方としては、血流解析画像や特定の血流特徴量を表示部34に表示させたり、これらのデータを他の装置(撮影用コンソールやタブレット端末等)へ送信したりする。
このとき、制御部31は、差分値(差分画像の信号値)が、正の場合と負の場合とで色相を変えて表示させるように、表示部34の表示を制御する。さらに、制御部31は、差分値の絶対値を色相以外のパラメーターと対応付けて、表示部34の表示に反映させるように制御する。
なお、本実施形態では、制御部31が、基準フレーム画像と比較フレーム画像との差分をとることで血流解析画像として差分画像を得た場合の差分値について説明するが、制御部31が、基準フレーム画像と比較フレーム画像との比をとることで血流解析画像として比率値画像を得た場合の比(比率値)についても同様であるため、省略して説明する。
すなわち、基準フレーム画像の信号値I’を分母、比較フレーム画像の信号値Iを分子とした比を求め、その比と1.0との差を、比率値Ratとする(Rat=I/I’ - 1.0又はRat= log(I/I’) - 1.0)。比率値は差分値とほぼ同様に扱うことができるため、比の場合には、制御部31は、比率値が正の場合と負の場合とで色相を変えて表示させるように、表示部34の表示を制御し、また、比率値の絶対値を色相以外のパラメーターと対応付けて表示部34の表示に反映させるように制御すればよい。
すなわち、血流解析画像としての差分画像(又は比率値画像)を表示部34にそのまま表示させても、画像が示す状態を誰もが直ちに理解することは難しい。
そこで、差分画像(又は比率値画像)をより見やすい画像として表示させることが望ましい。
本実施形態の制御部31は、血流等の状況が分かりやすいように、血流状態に応じて差分画像に色分け等を施した画像を機能画像として表示部34に表示させる。
具体的には、図20(a)に示すように、差分値(又は比率値)が、正の場合と負の場合とで色相を変え、差分値(又は比率値)の絶対値を色相以外のパラメーターに対応付ける。
図20(b)には、動態画像を構成するフレーム画像の一例を示し、図20(c)には、図20(b)に示したフレーム画像に対応する差分画像の機能画像の一例を示している。
例えば、差分画像において、基準フレーム画像と比較フレーム画像とを比べたときに、血流の増減がない(すなわち、濃度値に変化がない)領域を増減なし領域Ar0とし、血流量が減少している(すなわち、差分値が正であり、濃度値が濃くなっている)領域を血流量減領域Ar1とし、血流量が増加している(すなわち、差分値が負であり、濃度値が薄くなっている)領域を血流量増領域Ar2とする。
そして、制御部31は、例えば、差分値が正である血流量減領域Ar1は青等の寒色で表現し、差分値が負である血流量増領域Ar2は赤等の暖色で表現するというように、血流量減領域Ar1と血流量増領域Ar2とでそれぞれ色相を変えて表示部34に表示させる。
表示部34にこのように表示させることで、一見してその色味から血流状態を把握することのできる機能画像の表示が可能となる。
なお、赤と青のみで表現する場合には上限値があり、分解能に限界がある。このため、同じ暖色や寒色の中の異なる色相を用いることで、さらに分解能を上げてもよい。
また、基準フレーム画像と比較フレーム画像とを比べたときの差がゼロの場合には、無彩色とすることが望ましく、例えば黒で表現する。これにより、血流の色がより一層際立って視認されるため、望ましい。
また、本実施形態の制御部31は、差分値(又は比率値)の絶対値を色相以外のパラメーターに対応付ける(なお、以下では差分値の場合を例として説明するが、前述のように、比率値についてもその取扱いは同様である。)。
ここでいう色相以外のパラメーターとは、色の強さや彩度や明度、又はこれらの組み合わせの少なくともいずれかを含んでおり、例えば図21(a)に示す画像がある場合に、増減なし領域Ar0、血流量減領域Ar1、血流量増領域Ar2は、それぞれ、黒、青、赤に色分けされる。そして、それぞれの色の彩度、明度等は、各差分値の絶対値に応じて決められる。
例えば、図21(b)に示すように、差分値がゼロの場合のR,G,B値は、0,0,0とし、負の絶対値が大きいほどRを大きくし、正の絶対値が大きいほどBを大きくする。具体的には、差分値が−1000の場合のR,G,B値は、255,0,0、差分値が−500の場合のR,G,B値は、255,0,0、差分値が−100の場合のR,G,B値は、50,0,0となる。差分値が1000の場合のR,G,B値等についても同様である。
ここで、差分値をXとすると、
負であれば、R=|X|×α,G=B=0 であり、
正であれば、B=|X|×α,R=G=0 となる。
αは調整可能なパラメーターであり、図21(b)の例ではα=0.5である。
なお、上限値を設け、255以上の値となったときは255に補正する。
この表現範囲(上限値)は、人ごとに異なると人ごとの違いを一律に把握できなくなるため、一律に同じ値を用いることが望ましい。表現範囲(上限値)を一律とすることにより、心拍出量の絶対的な差も同時に把握することができ、診断効率を上げることができる。
しかしながら、心拍出量は人によって大きな差があることから、血流信号が非常に小さい人や非常に大きい人の場合に、視認性が低下してしまう、という問題もある。
そこで、この場合に、ユーザーが上限値を操作設定したり、既に規定値が設定されている場合に当該規定値を適宜修正できるようにしておいたりすることが望ましい。
なお、血流信号が通常と大きく異なる人向けの上限値を幾つか決めておき、上限値が異なるモードを、ボタンにより選択することで変更可能に構成されていてもよい。
これにより、ユーザーが各モードの見え方を把握していれば、心拍出量の絶対値の把握と、血流分布の視認性の維持と、を両立することができる。
また、R値だけでは256パターンしか色を表現できないため、G値を併用するようにしてもよい。
例えば、特定の血流特徴量が0〜2mmの時の色を、R=0〜255,G=0,B=0で表現し、2〜4mmの時の色を例えばR=255,G=0〜255,B=0と表現することで、見た目に違和感なく、階調数を2倍にすることができる。
また、特定の血流特徴量を色へ変換するにあたっては、線形変換に限らず、カーブをかけて変換するようにしてもよい。
また、血流解析画像の近傍にカラーバーを表示し、血流特徴量の値と色の対応付けをわかりやすく示してもよい。
血流特徴量の値は、図8(a)のμとρの血液の推定値を用いることで、厚みXの変化分として表現することができ、mm単位などとできる。
カラーへの変換式は、厚み[mm]に対して固定の変換式であることが望ましい。
そうすることで、血液の厚み変化絶対値とカラーの関係を医師が直感的に記憶できるようになり、撮影条件や患者、動態画像によらず、血流解析画像を読影しやすくなる。
ただし、階調不足により、見たい領域の血流特徴量の分布がわかりづらい場合は、例えば、図示しないスクロールバーを画像と並列表示させて、画像を確認しながら調整可能に構成することにより、手動でカラーへの変換式を調整可能としてもよい。
しかしながら、心拍出量は人によって大きな差があることから、血流信号が非常に小さい人や非常に大きい人の場合に、視認性が低下してしまう、という問題もある。
そこで、この場合に、ユーザーが上限値を操作設定したり、既に規定値が設定されている場合に当該規定値を適宜修正できるようにしておいたりすることが望ましい。
例えば、表示部34に図示しないスクロールバーを配置し、画像と並列表示させて、画像を確認しながら調整可能に構成することが好ましい。
また、血流信号が通常と大きく異なる人向けの上限値を幾つか決めておき、上限値が異なるモードを、ボタンにより選択することで変更可能に構成されていてもよい。
これにより、ユーザーが各モードの見え方を把握していれば、心拍出量の絶対値の把握と、血流分布の視認性の維持と、を両立することができる。
なお、上記では、差分値が正である血流量減領域Ar1は青等の寒色で表現し、差分値が負である血流量増領域Ar2は赤等の暖色で表現する場合を例示したが、赤と青のみで表現する場合には上限値があり、分解能に限界がある。このため、同じ暖色や寒色の中の異なる色相を用いることで、さらに分解能を上げてもよい。
また、X線撮影画像(オリジナル画像)との比較にあたり、臓器の位置、特に肺血流が存在すべき肺野領域Lを把握しやすいようにユーザーに提示したいとの要求がある。
血流においては、肺野の末梢部分に近づくにしたがって肺血流が徐々に低下していくことが分かっており、肺野領域L辺縁の位置を把握することで、正常な肺血流低下なのか、何らか疾患による異常な肺血流低下なのかを区別することができる。
このため、例えば、図21(a)や図22に示すように、肺野領域Lの辺縁の位置をライン(図21(a)及び図22では破線)で描画することが望ましい。例えばRGBのうち、Gの値を用いて補助情報として描画することが考えられる。
なお、総合判断で診断するにあたり、X線撮影画像(オリジナル画像)との比較が重要であるため、オリジナル画像を血流解析画像(本実施形態では、差分画像又は比率値画像)や機能画像と併置して表示部34に表示させることが望ましい。
また、オリジナル画像と血流解析画像や機能画像とは分けて表示する場合に限定されず、オリジナル画像に血流解析画像や機能画像を重畳させて表示させてもよい。
この場合には、視認性をよくするために、機能画像の色成分を透過させてオリジナル画像に重畳することが好ましい。
具体的には、例えば、オリジナル画像のある周辺数画素単位で、1画素を機能画像の信号値と置き換える等の手法によることが考えられるが、一般的な透過処理の手法等を用いても構わない。
このような表示を行うことにより、2つの画像が混合し、純粋な機能画像の視認性は若干低下してしまうが、時空間的にオリジナル画像と血流機能画像との対比を一瞥して理解することができ、診断の効率が向上する。
また、制御部31が表示部34に表示させる画像は、静止画のみならず、動態画像でもよい。
血流解析を動態画像で表示すれば、例えば血管閉塞がある場合に、血流が肺血管のどこまで到達して、どこで途絶してしまうのか等、血液容量の時間的な変化を分かりやすく表示させることができる。このような動態画像像を健常者の画像と比較して観察することにより、疾患のある場合と健常者との違いをより明確に把握することができる。
また、通常、肺門から肺野の末梢部分へと肺血流が流れることに対し、これとは異なる動きがある場合には何らかのアーチファクトである懸念がある。血流解析を動態画像で表示することにより、こうした異常に容易に気付き、診断者において適切に把握することができるため、望ましい。
例えば、構造物の左右への動きがアーチファクトとしてのる場合、構造物の左右の動き範囲における端周辺に同量の正負逆の信号が付加されてしまう、という問題がある。
例えば、体全体が動いてしまい横に揺れる場合、信号値そのものの濃淡変化が急峻な胸郭辺縁や体側面辺縁に、赤と青の偽信号が発生してしまう場合がある。この点、血流解析を動態画像で表示すれば、その発生位置や、時間的な信号変化を観察できるようになり、医師がアーチファクトか否かを判断可能となるため、誤診を防止することができる。
なお、動態画像の表示フレーム範囲としては、撮影動態画像全フレームを表示部34に表示させてもよいが、フィルター処理により発生した過渡応答が大きなフレーム範囲は計算結果の信頼性が担保されないため、動態画像として表示部34に表示させる際にも除去することが望ましい。
なお、オリジナル動態画像像(X線動態画像)と並べて表示させる場合、同じフレーム範囲を並列表示することが望ましい。又は、スクロールバー等からは全フレームを選択可能としておき、動態画像再生はフィルター処理の有効範囲に留めるとしてもよい。
別の表示フレーム範囲としては、基準フレーム画像と同じ心拍位相のフレーム画像を開始フレーム及び終了フレームとする、N心拍周期の範囲を表示フレーム範囲とするとよい。この場合、Nは整数とする。
このようにすることで、心拍周期での一連の血流の変化を理解することができ、診断者にとって分かりやすく、望ましい。
また、心室の収縮末期位相に対応するフレーム画像を、開始フレーム及び終了フレームとすれば、心室から血流が拍出され拍入してくる一連の流れを分かりやすく、把握することができて、望ましい。
なお、別の表示フレーム範囲としては、代表する1心拍周期だけを表示させてもよい。このように、動態画像再生時間を短くすることで、診断効率を向上させることができる。この場合、基準フレーム画像から離れた時刻ほど体動成分等の影響を受けるため、代表は基準フレーム画像を含む1周期であることが望ましい。このようにすれば、体動成分等の影響を最小化することができる。
なお、本実施形態において静止画を提示する場合には、動態画像の中から代表的な1枚を選択する必要がある。この場合、心拍位相に基づき、心室の収縮末期もしくは、肺野全体に血流が行き届いた時刻に対応する1枚を選択することが望ましい。
これにより、1枚であっても肺血流の低下の位置が最も把握しやすくなる。なお、複数心拍周期のデータがある場合は、基準フレーム画像の後もしくは前の周期を選択すればよい。このようにすることで、体動成分等の影響を最小化できる。
また、動態画像の表示フレーム範囲に含まれるフレーム画像を代表する1枚として選択すれば、動態画像中における代表静止画の時刻の対応がつくため、望ましい。
また、本実施形態の制御部31は、血流解析画像又は機能画像について、診断対象外の領域を表示しないように表示部34の表示を制御するようにしてもよい。
広い範囲を表示させる場合、当該範囲に体動成分等、血流容量の変化以外の成分がアーチファクトとして発生している可能があり、誤診の原因ともなる。また、余計な信号が診断者の目に触れることで、診断効率が落ちてしまうとの問題もある。
この点、診断対象外の領域を表示しないとすることで、誤診を防ぐことができる。また、表示対象を絞ることで診断効率を向上させることができる。
例えば、肺血流を視認したい場合、肺野領域L内のみを表示させることにより、肺血流分布に集中して視認することができる。この場合、肺野領域L以外は、信号なし、つまり黒として描写すればよい。なお、この場合、心臓も表示領域に含めれば、肺野と心臓との血流容量の入れ替わりが比較できるため、望ましい。
なお、例えば大動脈領域は、全身系の血流であるが、アーチファクトではないため、表示領域に含めてもよい。
全身系の血流を視認したい場合は、逆に肺野領域Lを表示から除外してもよい。
また、肺野領域Lも全身系も両方把握したい場合や、アーチファクト把握の意味では、すべて表示させてもよい。
このように、血流解析の目的に応じて表示領域や表示対象を切り替えることができるように構成すれば、目的に応じてより適切な診断を行うことができる。
なお、図3に示した解析処理の手順は一例であり、処理の順序等はここで説明したものに限定されない。
図3に示した手順ではフィルター処理を行った後の波形に基づいて基準フレーム画像を設定することができるが、基準フレーム画像はフィルター処理後の波形に基づいて設定
する場合に限定されない。
また、画像の小ブロック化処理やフィルター処理は、ノイズ除去のために適宜行われるものであり、必須ではなく、例えば、いずれか一方のみの処理を行うとしてもよいし、いずれの処理も行わないとしてもよい。
<4.その他>
次に、関連技術について説明する。なお、これから説明する各種技術は、上記解析処理に組み込むことも可能であるし、独立して用いることも可能である。なお、独立して用いる場合には、計測対象領域を設定する処理は不要である。
〔4−1.隠れ領域〕
ところで、肺は、正面から見たときに、縦郭や横隔膜と重なる部位である隠れ領域の体積が26%にもなる。中でも、肺門に近い心臓領域の裏側には血流が多く且つ大きな領域が隠れている。このため、肺における隠れ領域に相当する部位の状態によって、肺の血流機能は大きく変わることになる。
しかし、正面から撮影した動態画像では、こうした隠れ領域を不良領域として除外することになってしまうため、隠れ領域に血流欠損があった場合にそれを見逃してしまうことになり、特定の血流特徴量が実態を反映していないものとなってしまう可能性がある。
そこで、以下のように、隠れ領域の存在を考慮して特定の血流特徴量を計測するようにしても良い。
(4−1−1.隠れ領域の考慮1)
例えば、胸部を正面から撮影して得られた動態画像とは別に、胸部を正面とは異なる方向から撮影して得られた他の動態画像を取得し、この特徴量計測処理において、隠れ領域の血流に関する第二血流特徴量を画素ごとに算出し、動態画像に基づいて算出した血流特徴量、及び他の動態画像に基づいて算出した第二血流特徴量に基づいて特定の血流特徴量を算出する処理を更に実行するようにしてもよい。
「正面とは異なる方向」とは、例えば斜め方向等、肺における正面撮影の場合には隠れ領域となる部位が、心臓や横隔膜によって隠れない方向のことである。
このようにすれば、第二血流特徴量によって正面撮影の場合には隠れ領域となる部位における血流欠損の有無を見逃しなく検出することができる。
(4−1−2.隠れ領域の考慮2)
また、肺門領域の信号値のみを用いて解析値を算出するようにしても良い。
肺門領域は、比較的心臓裏に隠れることの少ない部位である上、肺における心臓の裏に隠れた部位に流れ込む血流は、肺門部を経由していくことから、肺門領域の信号値からも左右比を計測することが可能である。
また、この特徴量計測処理において、肺野領域Lにおける心臓、縦郭及び横隔膜の背後に隠れていない部位に対応する非隠れ領域における血流特徴量に基づいて、肺野領域Lにおける心臓、縦郭又は横隔膜のいずれかの背後に隠れた部位に対応する隠れ領域における血流特徴量の推定値を算出し、非隠れ領域における血流特徴量及び隠れ領域における血流特徴量の推定値に基づいて特定の血流特徴量を計測する処理を更に実行するようにしてもよい。
例えば、心臓の面積を計測することで、その背後の隠れ領域の面積・体積を推定する。そして、周囲の非隠れ領域の血流特徴量に基づいて、隠れ領域の血流特徴量が周囲の非隠れ領域と同じであると仮定した場合と、隠れ領域に血流欠損があると仮定した場合における右肺の血流合算値と左肺の血流合算値を求め、それぞれ左右比を出すとよい。
隠れ領域に血流があると仮定した場合、肺野全体を、縦郭を含む釣り鐘形状として抽出し、釣り鐘形状の肺野領域Lの内部であって、心臓や大動脈弓などの縦郭領域に該当する領域を、隠れ肺野領域Lとして抽出する。
肺野領域Lを釣り鐘状に抽出する方法は、既存の画像処理手法を用いればよく、例えば、左右肺の横隔膜と肺尖の辺縁を延長する形で滑らかなラインを作成するといった方法がある。
(4−1−3.隠れ領域の考慮3)
また、別の方法としては、肺の面積は左右で同じであると仮定して、各肺を上下方向に3分割し、上中下領域同士を左右で比較し、左右の面積に差がある場合は、その面積差を隠れている肺野領域Lの面積としてもよい。
隠れ領域の血流特徴量の推定値は、例えば、左右肺野を上中下に3分割した領域ごとに、非隠れ領域の血流特徴量で、隠れ領域の血流特徴量を補完すればよい。
また、心臓裏の隠れ領域は、心臓が存在することにより、非隠れ領域よりも奥行方向の幅が小さい。
そのため、血流特徴量の推定にあたっては、単純に周囲の非隠れ領域の血流特徴量と同じにするのではなく、非隠れ領域の血流特徴量より小さく設定するのが好ましい。
例えば、隠れ影響率を1/2程度に設定し、隠れ領域の血流特徴量に隠れ影響率を乗じた値を隠れ領域における血流特徴量の推定値とすればよい。
また、図23に示すように、肺野と心臓を円でモデル化し、隠れ影響率を予測してもよい。
具体的には、左右の肺に対応する円モデルCR,CLにおける、HLで示された範囲内の領域であって、心臓に対応する円モデルCHには含まれない領域の比から計算する。
また、肺門領域の血流特徴量が高いことを考慮し、肺門領域か否かで血流特徴量の推定値を変更するようにしてもよい。
肺門領域の抽出方法は、既存の画像処理手法のいずれの手法にて抽出してもよい。
隠れている肺門領域は、左右の肺門領域が同画素数あるものと仮定し、左右の肺門領域の面積差の画素数だけあるものとすればよい。
〔4−2.肺伸縮の影響除去〕
健常者の胸部を撮影した多数の動態画像から計測された血流特徴量を評価した結果、肺野領域Lの多くで、血流が均等に拡散していくのに対し、例えば図24に示すように、左下肺野に対応する領域Hにおいては、血流特徴量が周囲より低くなる傾向にあることを発見した。その中には、本来ならば血流の増加により信号値が低下すべきところ、信号値が逆に上昇し、血流特徴量の正負が反転していたケースもあった。
しかし、心拍による肺の伸縮は、実際には左下肺に留まらず、心臓に近い下肺を周辺に心拍による変位の大きい領域で強く発生していると思われ、小量ながら肺全体に発生しているものと推定される。
そこで、以下のように、肺伸縮の影響を除去して特定の血流特徴量を計測するようにしても良い。なお、下記影響除去方法1,2は、両方とも実行することも可能である。
(4−2−1.影響除去方法1)
例えば、血流特徴量に含まれる、肺の伸縮による放射線透過量の変化によって増減した影響量を算出し、血流特徴量と影響量との差に基づいて特定の血流特徴量を計測するようにしてもよい。
基本的に、左下肺等の拍動による変位が大きい領域以外の肺領域においては、図25(a)に示すように、肺の外側の物質の層及び肺組織の層の厚さの経時変化はほぼなく、血管、血液の層の厚み(血流量)だけが変化する(基準フレームの撮影時刻tよりも後のt’に撮影された比較フレームにおいては、血管・血液の層の厚みが増加し、その分放射線の透過量が減少する)。
このため、この部位を透過する放射線に基づく信号値の経時変化は、血流・血管の厚み変化にのみ依存する、というモデルで概ね成立していた。
一方、拍動による変位の大きい左下肺の領域においては、図25(b)に示すように、拍動による肺の伸展が起こり、肺組織の層及び血管・血液の層を合わせた厚み又は密度が減少する。このため、肺伸縮モデルを用い、肺伸縮の影響を推定し、それを除去することで、血流特徴量の計算方法を修正することが望ましい。
図25にそれぞれの肺が伸展したケースを例に、肺伸縮モデルを示す。
なお、図25(b)において、A_t0は、単位面積(例えば1ピクセル等)の大きさを示す(時刻t0におけるAreaの意味)。
肺内物質(肺組織・血管血液)が放射線検出部13の水平方向(放射線照射方向と直交する方向)に伸展すると、単位面積当たりの肺内物質量は、伸展した分だけ減少する。このため、時刻tから時刻t’へ進む間に血流が増加し、本来ならば透過する放射線が減少するべきところ、場合によっては、血管・血液の層の厚さの増加分よりも肺伸展による肺組織の厚さの減量分が上回り、透過する放射線が逆に増加する傾向を示すことがある。
なお、左下肺は、心室拡張末期から収縮期にかけて(基準フレームから比較フレームにかけて)、心臓が収縮するため肺伸展する、ということが多いが、大動脈弓周辺領域であったり、状況によっては拍動によって、肺収縮したりするケースもある。いずれの場合であっても肺伸縮モデルを用いることで、肺伸縮の影響を除去または軽減することができる。
図25に示したような肺組織の伸展モデルでは、物質の出入りがないため、下記の式8が成り立つ。
LungX_ideal(t’)×LungA_ideal(t’)=LungX_real(t’)×LungA_real(t’) …式8
肺伸縮による影響の推定及び除外の方法としては、まず、基本的に式8を変形した式9を用いる。
MaterialRate=LungY_real(t’)/LungY_ideal(t’)=1/AreaRate=1/(LungA_real(t’)/LungA_ideal(t’)) …式9
そして、左肺と右肺のそれぞれで、基準フレームと比較フレームの肺野面積を計測し、その変化率(肺野面積変化率AreaRate)を算出する。そして、算出したAreaRateの逆数をとることで、計測対象領域(各肺野)における物質量の変化率(単位面積あたり肺物質変化率MaterialRate)を算出する。
肺伸縮がないモデルにおいては、MaterialRate=1が前提となるが、実際はLungY_real(t’)/LungY_ideal(t’)の倍率で違いがある。
同様に、肺伸縮がないモデルにおいては、AreaRate=1が前提であったため、実際の面積変化率AreaRate=LungA_real(t’)/LungA_ideal(t’)を求めることで、MaterialRate=1/AreaRateによりMaterialRateを正しく計算し補正する。
次に、肺内物質のμ・ρ・Xを設定する。
その際、固定値を設定するようにしてもよいし、対象画像に応じた推定に基づいて設定するようにしてもよい。
固定値を用いる場合には、μとρは例えば図8(a)に基づいて決めればよい。Xは例えば平均的な体格として10cmなどと設定すればよい。
対象画像に応じて変更する場合には、各肺野を円柱モデルと考え、Xを肺野の長さと同じなどと推定してもよい。
MaterialLung=μ_lung・ρ_lung・X_lung …式10
最後に、特定の血流特徴量への肺野伸縮の影響量を推定する。
血流特徴量は対数空間で表されているため、肺野伸縮の影響量は下記式11で算出することができる。
InfluenceLungStretch=−MatrialLung×(MaterialRate−1.0) …式11
以上の式を踏まえると、肺野伸展が起こっていた場合、AreaRateは1より大きい値となり、MaterialRateは1より小さい値となり、(MaterialRate−1.0)は負の値となり、InfluenceLungStretchは正の値となる。
この結果は、肺野伸縮により、放射線の透過量が想定より増加したことを示している。
肺伸縮の影響を除外するには、算出した肺野伸縮の影響量を血流特徴量から減算すればよい。
なお、肺野伸縮影響量はあくまで推定値であることから、あまり大きな影響を与え過ぎないよう、1以下の係数αを乗じるなどして軽減するようにしてもよい。
Perfusion_stretch=Perfusion_original+α_stretch×InfluenceLungStretch
また、画素ごとに肺伸縮の影響量を算出することで、血流特徴量を、肺伸縮の影響量を加味した血流特徴量にさらに変換するようにしてもよい。
(影響除去方法2)
また、算出した血流特徴量が実際の血流と同じ動きを示しているか否かを判定し、
算出した血流特徴量が実際の血流と同じ動きを示していないと判定した場合に、当該血流特徴量をゼロに置き換えるようにしてもよい。
例えば、肺野領域L内における血流特徴量が正の値(青く表示している状態)は血液増減のモデルから明らかに外れていることから、エラー値と判断し、ゼロに置き換える。
一方、二次元的な物質の出入りによる信号値の変動で、左下肺の血流特徴量が正になることがある。これをエラー値としてゼロに置き換えてしまうことは望ましくない。このため、ブロック処理で設定する小ブロックのサイズを一定以上(例えば7mm以上)に広げておくことで、特に血管の動きといった二次元的な物質の出入りにより血流特徴量が正となる状態は、防いでおくことが望ましい。
<5.効果>
このように、本実施形態に係る動態解析システム100は、動態画像を用いて血流解析を行うため、例えば従来の血流シンチグラフィー検査等と比較して、一般的な装置を用いて比較的簡易に行うことができる。また、通常の動態画像を行うのみで足りるため、非侵襲でX線被曝も比較的少なく、患者の負担も少なくて済む。
そして、こうした負担の少ない手法で、血流シンチグラフィー検査等、他の検査と同等の信頼性のある血流解析結果を得ることができる。
また、本実施形態に係る動態解析システム100が備える診断用コンソール3(動態画像解析装置)は、抽出した肺野領域Lの中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになる不良領域を除外し、不良領域が除外された残りの肺野領域Lにおける血流特徴量を算出し、こうした血流特徴量に基づいて、特定の特徴量を計測するため、特定の血流特徴量をより高い精度で得ることができる。
100 動態解析システム
10 撮影システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
3 診断用コンソール(動態画像解析装置)
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス

Claims (16)

  1. 被写体の胸部を放射線撮影することで得られた胸部の動態画像を取得する画像取得手段と、
    前記動態画像を構成する複数のフレーム画像に基づいて、血流に関する血流特徴量を画素ごとに算出する特徴量算出手段と、
    前記画像取得手段が取得した前記動態画像の中に計測対象領域を設定する領域設定手段と、
    前記特徴量算出手段が算出した画素ごとの前記血流特徴量に基づいて、前記領域設定手段が設定した前記計測対象領域における特定の血流特徴量を計測する特徴量計測手段と、を備え、
    前記領域設定手段は、前記動態画像の中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される不良領域を除外して前記計測対象領域を設定する動態画像解析装置。
  2. 前記領域設定手段は、肺循環、体循環、心臓、のうちのいずれか一つに対応する領域であって、他の二つの血流成分が優位になる領域を不良領域として除外した領域を前記計測対象領域として設定する請求項1に記載の動態画像解析装置。
  3. 前記領域設定手段は、肺循環に対応する肺野領域であって、体循環及び心臓に対応する領域を除外した領域を前記計測対象領域として設定する請求項2に記載の動態画像解析装置。
  4. 前記特徴量計測手段は、前記計測対象領域における血流量の時間方向の振幅値を、前記特定の血流特徴量として計測する請求項1に記載の動態画像解析装置。
  5. 前記領域設定手段は、前記動態画像の中に、前記計測対象領域を複数設定することが可能であり、
    前記特徴量計測手段は、
    前記領域設定手段が設定した複数の計測対象領域における前記血流特徴量をそれぞれ計測し、
    一の前記計測対象領域における前記振幅値に対する他の前記計測対象領域における前記振幅値の比を算出する請求項4に記載の動態画像解析装置。
  6. 前記複数の計測対象領域は、右肺に対応する領域及び左肺に対応する領域である請求項5に記載の動態画像解析装置。
  7. 前記領域設定手段は、前記不良領域として、肺野辺縁部、大動脈、心臓、心拍に伴う変位が所定以上の領域、空間的な濃度変化が所定以上の領域のうちの少なくともいずれかに対応する領域を除外する請求項1に記載の動態画像解析装置。
  8. 前記特徴量計測手段は、
    肺野領域における心臓、縦郭及び横隔膜の背後に隠れていない部位に対応する非隠れ領域における血流特徴量に基づいて、前記肺野領域における心臓、縦郭又は横隔膜のいずれかの背後に隠れた部位に対応する隠れ領域における血流特徴量の推定値を算出し、
    前記非隠れ領域における血流特徴量及び前記隠れ領域における血流特徴量の推定値に基づいて前記特定の血流特徴量を計測する請求項1に記載の動態画像解析装置。
  9. 前記画像取得手段は、前記胸部を正面から撮影することで得られた前記動態画像の他に、前記胸部を正面とは異なる方向から撮影することで得られた他の動態画像を取得することが可能であり、
    前記領域設定手段は、前記他の動態画像を構成する複数のフレーム画像から、肺野領域における前記胸部を正面から撮影した場合に心臓、縦郭又は横隔膜のいずれかの背後に隠れる部位に対応する隠れ領域をそれぞれ抽出し、
    前記特徴量計測手段は、
    前記隠れ領域の血流に関する第二血流特徴量を画素ごとに算出し、
    前記動態画像に基づいて算出した前記血流特徴量、及び前記他の動態画像に基づいて算出した第二血流特徴量に基づいて前記特定の血流特徴量を計測する請求項1に記載の動態画像解析装置。
  10. 前記特徴量計測手段は、
    前記血流特徴量に含まれる、肺の伸縮による放射線透過量の変化によって増減した影響量を算出し、
    前記血流特徴量と前記影響量との差に基づいて前記特定の血流特徴量を計測する請求項1に記載の動態画像解析装置。
  11. 前記特徴量計測手段は、
    算出した前記血流特徴量が実際の血流と同じ動きを示しているか否かを判定し、
    算出した前記血流特徴量が実際の血流と同じ動きを示していないと判定した場合に、当該血流特徴量をゼロに置き換える又は減少させる請求項1に記載の動態画像解析装置。
  12. 前記特徴量計測手段は、前記振幅値として、心拍周波数のピークの高さ、又はピークとなる心拍周波数を挟む所定範囲内の波形の面積を算出する請求項4又は請求項5に記載の動態画像解析装置。
  13. 複数の前記フレーム画像における前記被写体に対応する各領域の位置を揃える位置合わせ手段を備える請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の動態画像解析装置。
  14. 前記特徴量計測手段は、
    前記肺野領域全体の血流に関する第一血流特徴量と、左右一対の肺のうち除去する予定の除去対象部位を含む側の肺に対応する領域の血流に関する第二血流特徴量と、をそれぞれ計測し、
    前記第一血流特徴量に対する第二血流特徴量の割合を算出する請求項3、請求項8又は請求項9に記載の動態画像解析装置。
  15. 被写体の胸部を放射線撮影することで得られた胸部の動態画像を取得する画像取得工程と、
    前記動態画像を構成する複数のフレーム画像に基づいて、血流に関する血流特徴量を画素ごとに算出する特徴量算出工程と、
    前記画像取得工程において取得した前記動態画像の中に計測対象領域を設定する領域設定工程と、
    前記特徴量算出工程において算出した画素ごとの前記血流特徴量に基づいて、前記領域設定工程で設定した前記計測対象領域における特定の血流特徴量を計測する特徴量計測工程と、を含み、
    前記領域設定工程において、前記動態画像の中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される不良領域を除外して前記計測対象領域を設定する動態画像解析方法。
  16. コンピューターに、
    被写体の胸部を放射線撮影することで得られた胸部の動態画像を取得する画像取得処理と、
    前記動態画像を構成する複数のフレーム画像に基づいて、血流に関する血流特徴量を画素ごとに算出する特徴量算出処理と、
    前記画像取得処理において取得した前記動態画像の中に計測対象領域を設定する領域設定処理と、
    前記特徴量算出処理において算出した画素ごとの前記血流特徴量に基づいて、前記領域設定処理で設定した前記計測対象領域における特定の血流特徴量を計測する特徴量計測処理と、を実行させ、
    前記領域設定処理において、前記動態画像の中から、算出される血流特徴量の中に所定以上のノイズ成分が含まれることになると想定される不良領域を除外して前記計測対象領域を設定する処理を更に実行させるプログラム。
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