以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図面は本発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。なお、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、部の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る部品搬送処理装置1を説明する平面概要図である。本部品搬送処理装置1は、部品を搬送しつつその特性等を評価するものであり、具体的には、電子部品(例えばサーミスタ素子など)について、出力の温度依存性等を評価するために用いられる。
本実施形態の部品搬送処理装置1は、円盤状のターレット型回転搬送装置10と、部品供給領域51と、処理装置70と、移動機構125と、部品搬出領域53を有する。
ターレット型回転搬送装置10は、複数の部品保持機構45によって複数の部品を保持して、環状の搬送経路T(同図に破線で示す)の一部に沿って、複数の部品を搬送する。
部品供給領域51は、搬送経路Tに配置されて部品を部品保持機構45に供給する領域であり、処理領域52は、搬送経路Tにおける部品供給領域51の下流側に位置して部品に対して所定の処理を施す処理装置70が配置される領域であり、部品搬出領域53は、搬送経路Tにおける処理領域52の下流側に配置されて、部品を搬出する領域である。
図2は、部品搬送処理装置1の側面概要図である。ターレット型回転搬送装置10は、ターレットテーブル回転軸15を中心にして、ターレットテーブル駆動装置20によって回転駆動される。ターレット型回転搬送装置10は、自身のターレットテーブル12の周縁において、等間隔に固定配置される複数の部品保持機構45を有する。ターレット型回転搬送装置10とは独立して設けられる架台35には、昇降付勢機構40が複数設けられる。部品保持機構45は、部品供給領域51、処理領域52、部品搬出領域53(図1参照)において、昇降付勢機構40と協働して、部品の回収(保持)、及び/又は、解放をおこなう。
処理装置70は、部品に対して所定の処理(例えば、温度特性の測定等)を行なうものであり、移動機構125と測定部95を有する。移動機構125は、部品がそれぞれ個別に載置される載置部100を複数有する載置プレート50と、当該載置プレート50に熱を移送する熱移送部材130と、熱移送部材130と載置プレート50を一体として、回転軸(載置プレート回転軸)55を中心として回転させる回転駆動部(載置プレート回転駆動部)60と、を有する。
制御装置25は、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置などから構成され、ターレット型回転搬送装置10による部品の搬送制御、部品保持機構45による部品の解放・回収制御、部品の処理(出力測定)制御など各種制御を実行する。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。
再び図1を参照して、部品搬送処理装置1は、ターレット型回転搬送装置10の周方向に配置される複数(一例として12個)の部品保持機構45によって部品を保持する。ターレット型回転搬送装置10は、これら部品保持機構45を互いに同期させて周方向(例えば、図1において反時計回りの方向)に移動させ、環状の搬送経路Tに沿って複数の部品を同時搬送する。
これにより搬送経路T上には、部品を部品保持機構45に供給する部品供給領域51と、部品供給領域51の下流側に配置されて、部品に対して所定の処理を施す処理領域52と、処理領域52のさらに下流側に配置されて、部品を搬出する部品搬出領域53が構成される。
部品供給領域51では、自動部品供給装置65(例えばパーツフィーダ)によって部品が供給される。ターレット型回転搬送装置10は、矢印R向きに回転駆動され、部品供給領域51で部品保持機構45に保持された部品は、反時計回りに処理領域52を経て、部品搬出領域53で搬出される。処理領域52では、例えば部品の電気抵抗値の温度特性を測定する処理などが行われる。なお、本実施形態では、複数の処理領域52が存在していることから、部品は、これらの複数の処理領域52を通過していく。
処理領域52には、ターレット型回転搬送装置10の周方向に沿って複数の処理装置70が配置される。この例では処理装置70はそれぞれ独立して異なる処理を行うことができる。具体的には例えば、それぞれの処理装置70は、部品を処理装置70毎に異なる設定温度(付近)になるように制御(昇温または冷却)するとともに、当該設定温度における部品の温度特性を測定する。
ここでは一例として、処理領域52に7台の処理装置70が配置される場合を示している。具体的には、第1処理領域52A〜第7処理領域52Gにそれぞれ、第1処理装置70A〜第7処理装置70Gが配置されている。
例えば、処理装置70のうち、搬送経路Tの上流側に位置する第1処理領域52Aに配置された第1処理装置70Aでは、例えば、部品を25℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が25℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第1処理装置70Aによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する第2処理領域52Bに搬送される。また、例えば、第1処理装置70A(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、第2処理領域52Bに搬送することなく、第1処理装置70A近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
第2処理領域52Bに配置された第2処理装置70Bでは、例えば、部品を40℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が40℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第2処理装置70Bによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する第3処理領域52Cに搬送される。また、例えば、第2処理装置70B(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、第3処理領域52Cに搬送することなく、第2処理装置70B近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
第3処理領域52Cに配置された第3処理装置70Cでは、例えば、部品を65℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が65℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第3処理装置70Cによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する第4処理領域52Dに搬送される。また、例えば、第3処理装置70C(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、第4処理領域52Dに搬送することなく、第3処理装置70C近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
第4処理領域52Dに配置された第4処理装置70Dでは、例えば、部品を80℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が80℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第4処理装置70Dによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する部品搬出領域53に搬送される。また、例えば、第4処理装置70D(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、部品搬出領域53に搬送することなく、第4処理装置70D近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
以下、第5処理領域52E〜第7処理領域52Gにおいても同様に所定の温度に設定し、同様の処理を行うことができる。なお、未使用の処理領域52(処理装置70)が存在してもよく、上述のように連続して(隣接した処理領域52)で処理を行なわなくてもよい。
また、この例では、処理領域52内に連続して、異なる設定温度における出力特性(複数の異なる温度特性)の測定を行う処理装置70A〜70Gを配置する場合を示しているが、処理の内容に応じて、温度特性の測定以外の処理を行う処理装置70が配置されてもよいし、処理装置70を周方向に沿って連続(隣接)して配置せず、同図において例えば第三処理装置70Cを配置しないなど、処理装置70を配置しない領域が存在してもよい。
また、搬送経路T上には、適宜、例えば、部品供給領域51の下流側、処理装置70間、あるいは部品搬出領域53の上流側などに、部品保持機構45で保持した部品の姿勢を検出して調整する手段や、部品保持機構45の保持手段のクリーニング手段等が配置されてもよい。例えば、部品供給領域51から処理領域52の間を前処理領域、処理領域52から部品搬出領域53の間を後処理領域と定義できるが、前処理領域や後処理領域は、広義には、処理領域の範疇となる。
一例を挙げると、図1では部品供給領域51の下流側直近には、前処理領域52Sa、52Sbが配置される。前処理領域52Saには、部品保持機構45で保持した部品の姿勢を静止画又は動画等で撮影する(赤外線や照射等による検出も含む)撮像装置70Saが設けられる。また、撮像装置70Saの下流側直近の前処理領域52Sbには、姿勢調整装置70Sbが設けられる。姿勢調整装置70Sbでは、部品保持機構45によって保持される部品の向き(保持軸に対する周方向の角度)が高精度に調整されると同時に、部品の中心位置が所定の位置(保持軸と一致する位置)となるように位置決めされる。姿勢調整装置70Sbは、例えば、撮像装置70Saの撮影した画像等に基づき、部品保持機構45が保持する部品の姿勢(状態)を解析する。そして姿勢(状態)に異常がある場合には、姿勢調整装置70Sbによって一旦部品を解放して保持し直したり、部品保持機構45の保持手段を制御したりして正しい姿勢(状態)になるよう調整する。このように、部品の姿勢を移御することで、それより下流の処理装置70A〜70Gにおいて、載置プレート50からの部品の取り出し(保持)や部品の収容(解放)を高精度に行なうことができる。後処理領域は特に図示しないが、例えば、部品の外観検査を行う外観検査装置等を後処理領域として配置してもよい。
また、部品搬出領域53と部品供給領域51の間には、準備領域51Pが配置されてもよい。本実施形態では、準備領域51Pにおいて、例えば、部品保持機構45の保持手段(例えば、吸着手段)などを清掃して、次の吸着準備を行うクリーニング装置65Pが設けられる。
なお、撮像装置70Sa、姿勢調整装置70Sbおよびクリーニング装置65Pの配置箇所は搬送経路T上で任意であるし、これらのうち少なくともいずれかが配置されなくてもよい。
また、図示は省略するが、搬送経路T上には、適宜、部品搬出領域53に達する以前に異常な部品を排出する排出領域および排出手段が設けられてもよい。
また、撮像装置70Sa、姿勢調整装置70Sbは広義としての本実施形態の処理装置70の概念に含まれる。前処理領域52Sa,52Sbも広義としての処理領域52の概念に含まれる。
このようにして全ての出力測定を終え、且つ不良でない部品は、部品搬出領域53を通過して、適宜姿勢(周方向の向きと水平方向位置)が調整された後、供給リール5に巻かれている梱包用の樹脂テープに搬出され、部品がパッケージングされる。
<処理装置>
次に図3及び図4を参照して、処理領域52に配置される処理装置70について説明する。図3は、処理装置70の主要構成を抜き出して示す概要図であり、同図(A)は側面図であり、同図(B)は測定部95の主要構成の概要図である。また、図4は、温度安定化装置125の概要図である。
図3(A)に示すように、処理装置70は、部品の温度を制御するとともに、部品を環状に搬送する温度安定化装置125と、部品の出力特性を測定する測定部95を有する。
温度安定化装置125は、部品を移動させる移動機構と、移動機構で移動させながら部品の温度を制御する温度安定化機構を兼ねている。つまり、温度安定化装置125は、部品搬送を行う移動機構と、部品に対して加熱・冷却を行う熱移送機構とを兼ねる。温度安定化装置125は、部品を収容可能な載置プレート50を備える。
測定部95は、部品に所定の行為(ここでは出力測定行為)を行う行為部であり、測定部95は、部品170の電極120(図3(B)参照)に電気的な接触を行う測定プローブ110と、測定プローブ110を昇降させるプローブ昇降部111と、測定プローブ110の平面方向の位置を高精度に位置調整するプローブ位置決め機構200を有する。測定プローブ110はプローブ昇降部111によって保持されており、このプローブ昇降部111を介して、プローブ位置決め機構200によって平面方向に位置調整される。結果、測定プローブ110は、プローブ昇降部111によって載置プレート50の平面に対して垂直方向(鉛直方向)昇降したり、プローブ位置決め機構200によって載置プレート50の平面方向に移動したりする。
被測定対象の部品170が、測定領域54において、測定部95における測定プローブ110の直下まで来ると、載置プレート50の回転が止まる。その後、図3(B)に示すように一対の測定プローブ110が降下して一対の電極120と接触する。この測定プローブ110を介して測定装置105で特性を測定した後、測定プローブ110が上昇し、載置プレート50が再び回転して、次の部品170が測定プローブ110の直下に移動する。
図3(A)に示すように、プローブ位置決め機構200は、載置プレート50(又は載置プレート50の基準位置となる部材)と係合して、載置プレート50を基準とした相対位置と調整するプローブ位置決め用係合部210と、プローブ位置決め用係合部210を昇降させる係合部昇降機構211と、プローブ位置決め用係合部210をX−Y平面方向に微小に移動させる係合部平面移動機構201を有する。なお、係合部昇降機構211や係合部平面移動機構201による移動は、測定プローブ110(プローブ昇降部111)が部品と接触する前に、先行して行われる。具体的には、プローブ位置決め用係合部210によるプローブ位置決め孔103との係合が完了してから、測定プローブ110(プローブ昇降部111)が部品と接触する。
係合部平面移動機構201は、床面に固定載置される測定部支持台99に対して、水平直線方向(X方向およびY方向)に移動可能となる。例えば、係合部平面移動機構201は、測定部支持台99に配置されるスライド部品202(例えば転動自在のボール状部材)と、このスライド部品202を介して測定部支持台99上に配置されて測定部支持台99に対して水平方向に移動自在な平面移動体203を有する。
係合部昇降機構211は、平面移動体203に対して、鉛直方向に移動自在に搭載される。プローブ昇降部111は、係合部昇降機構211に対して、鉛直方向に移動自在に搭載される。測定時は、まず係合部昇降機構211によって、プローブ位置決め用係合部210を所定位置(後述するプローブ位置決め孔103)に降下させて位置決めを行なった後に、プローブ昇降部111が測定プローブ110のみを降下させる。
図4を参照して、温度安定化装置125について説明する。同図(A)は、温度安定化装置125に備えられる載置プレート50の上面図であり、同図(B)は温度安定化装置125の断面概要図である。
図4(A)に示すように、温度安定化装置125は、複数の部品を同時に回転移動させる移動機構であり、部品がそれぞれ個別に載置される凹部である載置部100を複数有する略円盤状の載置プレート50を備える。この載置プレート50は、後述する熱移送部材130と一体となって、載置プレート回転軸55を中心として、部品を載置した状態で回転移動する。
載置部100は、載置プレート50の周方向に沿って、均等間隔で配置される。載置プレート50が回転することによって、載置部100が移動する環状の軌跡が、部品の移動経路となる。
なお、載置部100(凹部)の内寸は、部品の外寸と略一致することが好ましい。このようにすると、載置部100内での部品の位置ずれが抑制される。また、載置部100に対して部品を搭載する時に、部品に高い位置精度が要求される。従って、部品の保持精度を高めるために、例えば、姿勢調整装置70Sb(図1参照)などにより姿勢調整を行うことが望ましい。
載置プレート50の上面に形成される部品の移動経路上には、処理装置70の測定部95が配置される測定領域54と、部品保持機構45による部品の保持または解放が行われる入出領域57が設けられる。測定領域54は、測定部95(測定プローブ110)の直下に配置される載置部1001を含む領域であり、入出領域57は例えば、部品保持機構45(部品を保持または解放する際に機能する部品保持機構45)によって部品の保持または開放を行う領域であり、保持または解放の対象となる部品が停止する載置部1017を含む。具体的に、図4(A)に示すように、保持/解放動作を行なう部品保持機構45と最も近接する位置(その直下)に存在する載置部1017を含む領域が、入出領域58となる。また、この例では、入出領域57は測定領域54に対して載置プレート50上で180度の位置に配置される領域である。
つまり本実施形態では、例えば時計回りに、入出領域57から測定領域54までの半周分の載置部100に配置されている部品は測定前の部品であり、これらは測定領域54に位置すると測定部95によって出力特性が測定される。一方、時計回りに、測定領域54から入出領域57までの半周分の載置部100に配置されている部品は測定済みの部品であり、これらは入出領域57に位置すると、部品保持機構45によって載置部100から取り出される。
なお、入出領域57と測定領域54の位置は、回転移動する載置プレート50に対して固定された領域であるが、例えば部品の受け入れから測定までの時間(距離)を変更する場合などにおいて、入出領域57と測定領域54の固定位置(周方向の固定位相差)を変更可能である。例えば、位相差を180未満にすると、部品の受け入れから測定までの時間(距離)が短くなり、位相差を180より大きくすると、部品の受け入れから測定までの時間(距離)が長くなる。
入出領域57において、載置プレート50の載置部100(1017)に載置された部品は、温度安定化装置125で回転移動している間に、所定の温度(例えば、25℃)まで制御され、測定部95において、その所定の温度における出力を測定した後、再び入出領域57に移動され、部品保持機構45(ここでは不図示)の部品保持具により回収される。載置プレート50は載置プレート回転軸55を中心として、同図(A)の例えば、時計回りに回転する。
また、載置部100の外周には、周方向に複数のプローブ位置決め孔103が配置される。プローブ位置決め孔103は、この例では各載置部100に個々に(1対1で)対応して載置部100と同数設けられる。
それぞれの処理装置70において、測定プローブ110を用いて部品の測定を行う場合、特に部品の小型化が進むと、測定プローブ110で接触する際に高い位置決め精度が要求される。このため、本実施形態では、図3に示すように、測定部95は、測定プローブ110に先行して降下可能なプローブ位置決め用係合部210を備える。
図3(A)の点線に示すように、処理装置70は、測定プローブ110の部品への接触に先立ってプローブ位置決め用係合部210を降下させ、測定領域54の、被測定対象の部品が載置された載置部100(1001)に対応するプローブ位置決め孔103に係合させる。
このとき、プローブ位置決め用係合部210及びプローブ位置決め孔103の少なくとも一方は、テーパ形状(具体的には円錐形状)となっている。本実施形態では、プローブ位置決め用係合部210が円錐形状突起となり、プローブ位置決め孔103が、この円錐形状突起の最大外径よりも小径の正円穴となる。結果、両者が係合すると、プローブ位置決め孔103を基準として、プローブ位置決め用係合部210が同軸状態となって、自律的にセンタリング(位置調整)される。このセンタリング効果によって、係合部平面移動機構201が、水平方向(図示のX方向およびY方向)に移動して、プローブ位置決め孔103を基準として水平方向に高精度に位置決めされる。その後、係合部平面移動機構201を基準として、プローブ昇降部111が測定プローブ110を下降させて部品に接触させる。このようにすることで、測定時の高精度の位置決めが可能となる。
なお、ここではプローブ位置決め孔103とプローブ位置決め用係合部210との係合によって水平方向に機械的に位置調整する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プローブ位置決め機構200が、不図示の撮像手段やセンサなどにより、測定プローブ110の水平方向の位置を制御してもよい。
なお、本実施形態では、プローブ位置決め孔103の数は、載置部100の数と等しいか、それよりも多い。各々の載置部100に対応してプローブ位置決め孔103を設けることで、すべての載置部100に対して、測定プローブ110を正しく位置調整できる。
しかし、図4(A)の点線に示すように、プローブ位置決め孔103Fを測定領域54に固定配置しておき、測定領域54に停止する全ての載置部100に対する測定プローブ110の位置調整(センタリング)を、共通のプローブ位置決め孔103Fによって行うようにしてもよい。
図4(B)を参照して、温度安定化装置125は、載置プレート50と、載置プレート50に対して背面(裏面)側に隣接して配置され、載置プレート50に熱を移送する熱移送部材130を備える。熱移送部材130の形状は、載置プレート50と略同型(略円盤状)であることが望ましいが、複数に分散配置されていても良い。熱移送部材130と載置プレート50は一体となって、載置プレート回転軸55を中心として、載置プレート駆動装置60により回転駆動される。なお、熱伝達効率を向上させるため、載置プレート50と熱移送部材130は、平面同士で接触していることが好ましく、間に熱伝導性シートなどを介在させても良い。従って、載置プレート50は、全体が均一(単一)の温度となるように、熱移送部材130によって温度制御される。
熱移送部材130において、載置プレート50が隣接する側と逆側平面には、熱交換部135が設けられる。熱移送部材130は、例えば、熱伝達プレート130Aとペルチェ素子130Bを備える。なお、この熱移送部材130における熱伝達プレート130Aを温度監視し、その監視結果を利用してペルチェ素子130Bの出力を制御する。この構造によって、載置プレート50の交換を容易にする。例えば載置プレート50の温度を降下させて、常温よりも低い温度に部品を制御したい場合には、熱移送部材130の載置プレート50側が低温となり、熱交換部135側が高温になる。その場合は、熱交換部135から熱が放熱されやすいように、熱交換部135をファンで空冷したり、外部に設けられた熱交換器であるチラーから冷水を供給して水冷したりすることが望ましい。逆に載置プレート50の温度を上昇させて、部品を常温よりも高い温度に制御したい場合には、熱移送部材130の載置プレート50側が高温に、熱交換部135側が低温になる。この場合には、熱交換部135に熱水を接触させて温めることも考えられる。これらの温度制御は、温度制御装置137によって行なわれる。
温度制御装置137は、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置などから構成され。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。温度制御装置137は温度安定化装置125ごとに設けられても良く、制御装置25(図1参照)と一体であっても良い。温度制御装置137による温度制御は、例えばPID制御によっておこなわれるが、一般的な周知技術なので詳細説明は省略する。
なお、載置プレート50および熱移送部材130は交換可能に構成される。従って例えば、載置プレート50は載置部100のサイズや配置数が異なるものなどを複数種類用意し、また、熱移送部材130もその特性(仕様)が異なるものなどを複数種類用意して置くことで、処理に応じて適宜交換することができる。
温度安定化装置125は、部品が入出領域57に搬入されてから測定部95(測定領域54/行為部)に到達するまでに必要な移動時間よりも、部品の温度が所定の温度に安定するまでの時間である温度制御時間が短い。即ち、部品が測定領域54に到達する前に、部品の温度は目標値で安定している。
本実施形態では、一例として、全ての処理装置70において、載置プレート50のサイズ(直径)は同等であり、入出領域57に対して測定領域54が180度の位置に設定されている。つまり、複数の異なる温度に設定される複数の処理装置70(処理領域52)であっても、入出領域57と測定領域54の距離は同一となっている。このような構成であって、上述のとおり全ての処理領域52において部品が測定領域54に到達する前に、部品の温度は目標値で安定するように構成されている。
一例として、本実施形態では、複数の処理装置70間においてそれぞれの載置プレート50は、同サイズで載置部100の数も同数且つ等速で回転する。これにより、入出領域57から測定領域54までの部品の移動経路の距離は同一となり、複数の処理装置70間においてそれぞれの載置プレート50の入出領域57(載置部100)に受け入れられた部品は、同じタイミングで測定領域54に移動する。また測定に係る時間は設定温度に寄らず略一定であり、測定後は下流の処理装置70に搬送されるために同じタイミングで再び入出領域57に移動する。
このため、各処理領域52A〜52Gに配置される各処理装置70A〜70Gは、ターレット型回転搬送装置10の各々の位相(30度毎の位相)の半径方向を基準線として、すべて同じ配置関係となる。具体的には、各処理装置70の入出領域57に存在する載置部100は、対応する部品保持機構45のノズルの真下に存在し、この載置部100を基準としたターレット型回転搬送装置10の半径方向の延長線上に、処理装置80の測定領域54側の載置部100が存在する。このようにしておくと、部品搬送処理装置1の組み立て作業や、事前のセッティング作業(位置調整作業)が、複数の処理領域52A〜52Gの間で同一作業とすることができ、組み立て効率やメンテナンス効率が飛躍的に高められる。
なお、載置プレート50および熱移送部材130はそれぞれ交換可能であるため、この例に限らず、処理の内容に応じて載置プレート50のサイズ(直径)を異ならせたり、入出領域57から測定領域54(測定部95)までの距離を異ならせたりしても良い。また、図4(C)の載置部100の断面に示すように、この載置部100が、サイズの異なる複数の部品172−1,172−2の外形に合う複数形状のポケットを有することも好ましい。このようにすると、複数種類の部品172−1,172−2について、載置プレート50を交換することなく、測定することが可能となる。
<ターレット型回転搬送装置>
図5の側面概要図を参照して、ターレット型回転搬送装置10について説明する。
ターレット型回転搬送装置10から独立した架台35に昇降付勢機構40が固定される。つまり、昇降付勢機構40は搬送経路T上の各処理領域52に対応して固定配置される。部品保持機構45はターレットテーブル12に固定され、ターレットテーブル12の回転運動に伴って、その位置を変える。昇降付勢機構40は、各処理領域52で一時停止する部品保持機構45と係合するのに適切な位置に設置される。本実施形態では、図6に示すように、架台35に、各処理装置70(70A〜70G,70Sa,70Sb)、自動部品供給装置65、供給リール5、クリーニング装置65Pに対応させて、12個の昇降付勢機構40(40A〜40L)が固定設置される。
具体的には昇降付勢機構40は、鉛直方向(図5に示すZ方向)上下に往復運動し、下降した場合には、その下方に配置される部品保持機構45を付勢する。詳細な図示は省略するが、昇降付勢機構40は例えば、回転運動を行うモーターと、モーターの回転軸に係合して回転運動を直線往復運動に変換する斜板カム構造と、斜板カム構造において直線往復運動を伝達する軸部151と、軸部151の下端に形成される係合部155などを備える。軸部151は、鉛直方向上向きに弾性体(図示省略)で支持されている。これにより、モーターの回転動力によって、軸部151および係合部155が鉛直方向に往復運動自在となっている。そして、下降した係合部155が、部品保持機構45と当接して、これを押し下げる。
なお、昇降付勢機構40の構成はこれに限らず、エアシリンダや油圧シリンダ、電磁ソレノイド等の直動動力源によって、直接、軸部151および係合部155を上下方向に駆動しても良い。
部品を搬送するターレット型回転搬送装置10の重量的負荷は少ないほうが処理速度も上げやすく、また消費電力も少なくすむ。本実施形態の部品搬送処理装置1は、固定配置される昇降付勢機構40と、ターレット型回転搬送装置10が分割されているので、ターレット型回転搬送装置10の回転重量に、昇降付勢機構40が含まれない。結果、全体として処理速度も上げやすく、また消費電力も少なくすむ。
部品保持機構45は、部品保持具145と、部品保持具145を鉛直方向に昇降させる保持具昇降部147と、部品保持具145の平面方向の位置を高精度に調整する部品保持具位置決め機構180とを有する。部品保持具145は、部品を載置部100から吸着保持し、また、部品を載置部100へ解放(収容)する。
部品保持具145は、例えば、部品を吸着して保持し、あるいは吸着を解除して部品を解放可能なノズルである。具体的には、部品保持具145は中空のチューブ状(円筒状)であり、それぞれがダイヤフラムポンプ(図示省略)に接続されている。ダイヤフラムポンプは制御装置25によって制御され、部品を吸着する場合には部品保持具145内部空間を減圧し、部品を解放する場合には部品保持具145の内部空間を大気圧に戻す。
部品保持具145は、保持具昇降部147によって鉛直方向に案内されるが、昇降付勢機構40の付勢力が付与されていない状態では、不図示の付勢手段により鉛直方向上向きに付勢されている。保持具昇降部147が、下降した昇降付勢機構40と当接して下方に付勢されると、保持具昇降部147が、部品保持具145を鉛直方向下向きに案内する。昇降付勢機構40が上昇すると、保持具昇降部147は、自ら内蔵する付勢手段(例えばバネ)によって、部品保持具145を上昇するように案内する。
部品保持具位置決め機構180は、鉛直方向(図示Z方向)に昇降可能な部品保持具位置決め用係合部182と、部品保持具位置決め用係合部182を昇降させる係合部昇降機構181と、部品保持具位置決め用係合部182をX−Y平面方向に微小に移動させる係合部平面移動機構184を有する。
係合部平面移動機構184は、鉛直方向においては移動不可となるターレットテーブル12に対して、水平方向(X方向および/またはY方向)に移動可能となる。例えば、係合部平面移動機構184は、ターレットテーブル12の表面(上面)に設けられたスライド部品222(例えば転動自在のボール状部材)と、このスライド部品222を介してターレットテーブル12上に配置されてターレットテーブル12に対して水平方向に移動自在な平面移動体183などにより構成される。
係合部昇降機構181は、平面移動体183に対して鉛直方向に移動自在に搭載される。係合部昇降機構181に外力が付勢されない状態では、不図示の付勢手段により鉛直方向上向きに付勢されている。保持具昇降部147は、係合部昇降機構181に対して鉛直方向に移動自在に搭載される。保持具昇降部147に外力が付与されていない状態では、不図示の付勢手段により鉛直方向上向きに付勢されている。係合部昇降機構181における上向きの付勢力は、保持具昇降部147における上向きの付勢力と比較して小さい。従って、昇降付勢機構40によって、保持具昇降部147を下方に付勢すると、まず、係合部昇降機構181が優先的に下降して下死点で停止し、その後、停止した係合部昇降機構181に対して、保持具昇降部147が単独で下降するようになっている。
これにより、部品保持具145は、部品保持具位置決め用係合部とは別のタイミングで独立して昇降自在となっている。
図3(A)に示すように、載置プレート50および熱移送部材130の支持台119は、その上面であって載置プレート50とは重ならない領域(載置プレート50から露出した領域)、より詳細には、入出領域57の近傍領域に、1または複数の部品保持具位置決め孔104が配置される。この例では、部品保持具位置決め孔104は、入出領域57の載置部100に対応しており、当該載置部100の外周に1個設けられる。
既に述べているように、各処理装置70間では部品保持機構45による部品の保持および解放を繰り返して部品を搬送する。この場合、特に部品が小型であると、部品の保持または解放の際に高い位置決め精度が要求される。また、部品をパッケージングする際にも、同様に高い位置決め精度が要求される。本実施形態では、部品保持具位置決め機構180により、部品の保持/解放時に位置決め手段を用いて高精度の位置決めを行なうことができる。
具体的に、部品保持具145による部品の保持または解放に先立って、部品保持具位置決め用係合部182を降下させて、部品保持具位置決め孔104に係合させる。
このとき、部品保持具位置決め用係合部182及び部品保持具位置決め孔104の少なくとも一方は、テーパ形状(具体的には円錐形状)となっている。本実施形態では、部品保持具位置決め用係合部182が円錐形状突起となり、部品保持具位置決め孔104が、この円錐形状突起の最大外径よりも小径の正円穴となる。結果、両者が係合すると、部品保持具位置決め孔104を基準として、部品保持具位置決め用係合部182が同軸状態となって、自律的にセンタリング(位置調整)される。このセンタリング効果によって、係合部平面移動機構184が、水平方向(図示のX方向およびY方向)に移動して、部品保持具位置決め孔104を基準として水平方向に高精度に位置決めされる。その後、係合部平面移動機構184を基準として、保持具昇降部147が部品保持具145を下降させて載置部100に接近させる。このようにすることで、部品の保持又は開放において、載置部100に対する部品保持具145の高精度な位置決めが実現される。
ここでは部品保持具位置決め用係合部182と部品保持具位置決め孔104の係合によって機械的に位置調整する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、部品保持具位置決め機構180が、不図示の撮像手段やセンサなどにより、部品保持部145の水平方向の位置を制御しても良い。
また、昇降付勢機構40では、部品の厚みが変更された場合のように、その目的や役割に応じて、昇降付勢機構40の係合部の位置や押し込み量を適宜変更可能に構成されている。
<全体動作>
図6を参照して、ターレット型回転搬送装置10の全体動作を説明する。図6において、ターレット型回転搬送装置10は、一例として12個の部品保持機構45(45A〜45L)を備える。また、ここでは全体動作を説明するため、撮像装置70Sa、姿勢調整装置70Sb、処理装置70A〜70Gを、まとめて処理装置70と称する場合が有る。
例えば、図6(A)では、第1昇降付勢機構40Aは第1処理領域52A上に固定され、第2昇降付勢装置40Bは第2処理領域52B上に固定され、第3昇降付勢装置40Cは第3処理領域52C上に固定され、第4昇降付勢装置40Dは第4処理領域52D上に固定され、第5昇降付勢装置40Eは第5処理領域52E上に固定され、第6昇降付勢装置40Fは第6処理領域52F上に固定され、第7昇降付勢装置40Gは第7処理領域52Gに固定され、第8昇降付勢装置40Hは部品搬出領域53上に固定され、第9昇降付勢装置40Iは準備領域51P上に固定され、第10昇降付勢装置40Jは部品供給領域51上に固定され、第11昇降付勢装置40Kは第1前処理領域52Sa、第12昇降付勢装置40Lは第2前処理領域52Sb上に固定される。
また図6(A)は、ターレット型回転搬送装置10が一時停止した状態を示しており、第1部品保持機構45Aが第1処理領域52A上に停止され、第2部品保持機構45Bが第2処理領域52B上に停止され、第3部品保持機構45Cが第3処理領域52C上に停止され、第4部品保持機構45Dが第4処理領域52D上に停止され、第5部品保持機構45Eが第5処理領域52E上に停止され、第6部品保持機構45Fが第6処理領域52F上に停止され、第7部品保持機構45Gが第7処理領域52G上に停止され、第8部品保持機構45Hが部品搬出領域53上に停止され、第9部品保持機構45Iが準備領域51P上に停止され、第10部品保持機構45Jが部品供給領域51上に停止され、第11部品保持機構45Kが第1前処理領域52Sa上に停止され、第12部品保持機構45Lが第2前処理領域52Sb上に停止される。
この状態で、昇降付勢機構40A〜40Lが稼働し、部品保持機構45を付勢することで、部品を上下動させながら、その目的に応じた各種動作が同時並行で実行される。
図6(A)の状態において、各領域での動作(処理)が完了すると、ターレット型回転搬送装置10が例えば反時計回りに30度回転しながら部品を搬送し、図6(B)に示す状態で停止する。この回転角度は、部品保持機構45A〜45Lの配置角度の周方向位相差(30度)と一致する。
その結果、第1部品保持機構45Aが第2処理領域52B上に停止され、第2部品保持機構45Bが第3処理領域52C上に停止され、第3部品保持機構45Cが第4処理領域52D上に停止され、第4部品保持機構45Dが第5処理領域52E上に停止され、第5部品保持機構45Eが第6処理領域52F上に停止され、第6部品保持機構45Fが第7処理領域52G上に停止され、第7部品保持機構45Gが部品搬出領域53上に停止され、第8部品保持機構45Hが準備領域51P上に停止され、第9部品保持機構45Iが部品供給領域51上に停止され、第10部品保持機構45Jが第1前処理領域52Sa上に停止され、第11部品保持機構45Kが第2前処理領域52Sbに停止され、第12部品保持機構45Lが第1処理領域52A上に停止される。
そして同様にこれらの各領域で、昇降付勢機構40A〜40Iが稼働することで、部品を上下動させながら、その目的に応じた各種動作が同時並行で実行される。
図6(B)の状態において、各領域での動作(処理)が完了したら、ターレット型回転搬送装置10が更に反時計回りに30度回転しながら部品を搬送し、図6(C)に示す状態で停止する。
上記図6(A)〜図6(C)の動作が繰り返されることで、部品供給領域51から部品が順次供給され、全ての部品は、各処理領域52を順番に移動しながら所望の処理が施されて、部品搬出領域53から搬出される。
次に図7を参照して部品保持機構45による部品の回収動作及び部品の解放動作を説明する。同図は、第1処理領域52A〜第3処理領域52Cのそれぞれにおける、第1載置プレート50A〜第3載置プレート50Cと、それらに配置される部品172A〜172C、173A〜173Cおよび、第1部品保持具145A〜第3部品保持具145Cの概要を示す側面図である。
同図において、ハッチングを付した部品172A〜172Cはそれぞれ、(例えば測定済みで)移動(搬送)対象の部品であり、白抜きで示す部品173A〜173Cは(例えば、測定は完了しているが)移動(搬送)対象外の部品であり、部品171は図示の載置プレート50に新たに配置される部品である。また、同図に示す期間、第1載置プレート50A〜第3載置プレート50Cは部品の入出のためにその回転を停止している。
図7(A)は、第1部品保持機構45Aの第1部品保持具145Aが、第1載置プレート50A上の入出領域57において搬送対象の部品172Aに当接した状態と、第2部品保持機構45Bの第2部品保持具145Bが、第2載置プレート50B上の入出領域57において搬送対象の部品172Bに当接した状態と、第3部品保持機構45Cの第3部品保持具145Cが、第3載置プレート50C上の入出領域57において搬送対象の部品172Cに当接した状態を示す。これらは同じタイミングで行なわれる。
その後同図(B)に示すように、第1部品保持具145Aが部品172Aを吸着保持して上昇すると、第1載置プレート50Aの入出領域57において載置部100Aが空孔となる。
この第1部品保持具145Aの動作と同期して第2部品保持具145Bが部品172Bを吸着保持して上昇すると、第2載置プレート50Bの入出領域57において載置部100Bが空孔となり、第1部品保持具145Aの動作と同期して第3部品保持具145Cが部品172Cを吸着保持して上昇すると、第3載置プレート50Cの入出領域57において載置部100Cが空孔となる。
同図(C)は、ターレット型回転搬送装置10が回転(例えば、30度の回転)した状態を示す。 第1載置プレート50A上には、第12部品保持機構45Lが移動してくる。この場合、第12部品保持具145Lは、部品供給領域51(図6参照)から新たな部品171を吸着保持して第1載置プレート50Aの入出領域57まで移動する。第1載置プレート50Aの載置部100Aは、予め、部品172Aが取り出されているので空孔となっている。
第2載置プレート50B上には第1部品保持機構45Aが移動してくる。この場合、第1部品保持具145Aは、部品172Aを吸着保持して第2載置プレート50Bの入出領域57に移動する。第2載置プレート50Bの載置部100Bは、予め、部品172Bが取り出されているので、空孔となっている。
第3載置プレート50Cの入出領域57には、部品172Bを吸着保持した第2部品保持具145Bが移動する。第3載置プレート50Cの載置部100Cは、予め、部品172Cが取り出されているので空孔となっている。
その後、図(D)に示すように、各部品保持機構45は、空孔となっている載置部100に部品を解放する。具体的に、第12部品保持機構45Lの第12部品保持具145Lが、第1載置プレート50A上の入出領域57において新たな部品171を載置部100Aに解放し、第1部品保持機構45Aの第1部品保持具145Aが、第2載置プレート50B上の入出領域57において部品172Aを載置部100Bに解放し、第2部品保持機構45Bの第2部品保持具145Bが、第3載置プレート50C上の入出領域57において部品172Bを載置部100Cに解放する。
なお、部品172(172A,172B等)を吸着保持(回収)する場合は、部品保持具145の下端と部品172を密着させる。一方、部品172(172A,172B等)を解放する場合は、部品保持具145の下端と部品172の間に静電気を発生させないことが重要であり、部品保持具145の下端によって部品172を載置部100に押し付けないことが、静電気の抑制に効果的である。
つまり、昇降付勢機構40の下降ストロークを制御することで、載置部100の部品を吸着(回収)する場合と、載置部100に部品を解放する場合とで、部品保持具145の下端部(保持端)の下死点位置を異ならせるように制御している。
図7(D)の後、第1載置プレート50A,第2載置プレート50Bおよび第3載置プレート50Cは回転を開始(再開)する。第1載置プレート50Aの載置部100Aに収容された新たな部品171は、第1載置プレート50Aの回転に伴い、その温度が第1載置プレート50Aの設定温度(例えば25℃)に制御される。
同様に、第2載置プレート50Bの載置部100Bに収容された部品172Aは、第2載置プレート50Bの回転に伴い、その温度が第2載置プレート50Bの設定温度(例えば40℃)に制御される。
同様に、第3載置プレート50Cの載置部100Cに収容された部品172Bは、第3載置プレート50Cの回転に伴い、その温度が第3載置プレート50Cの設定温度(例えば65℃)に制御される。
このように、本実施形態の部品保持機構45は、載置プレート50上への部品の解放と、載置プレート50上からの部品の回収を略同時に行う。なお、特に図示しないが、図7(D)の状態において、第1載置プレート50A,第2載置プレート50Bおよび第3載置プレート50Cの所定角度の回転を完了すると、測定(処理)完了済みの部品が、第12部品保持具145Lが、第1部品保持具145Aが、第2部品保持具145Bの直下に位置決めされ、図7(A)と同様の状態となって、部品の搬出が繰り返される。
従来の部品搬送処理装置では、ターレット型回転搬送装置によって搬送中の部品を一時停止させ、その姿勢状態まま、各部品に直接的に処理(所定行為)をおこなっていた。そのため、ターレット型回転搬送装置10による搬送速度が、各処理領域の処理速度(所定行為の速度)に律速されていた。一方、本部品搬送処理装置1によれば、ターレット型回転搬送装置10の部品保持機構45から受け取った部品を、処理装置70が更に独立して移送して、所定の行為(出力特性の測定)を行う。結果、処理装置70における処理時間と、ターレット型回転搬送装置10の搬送速度を独立して設定できる。具体的には、載置部100に置かれた部品について温度特性の評価を行う場合、部品の熱容量のために所定の温度で安定するまで時間がかかるが、処理装置70内の入出領域57から測定領域(行為部)54までの移動経路を十分に確保することで、十分な時間によって各部品の温度の安定を図ることができる。それにも拘わらず、部品搬送処理装置1全体の搬送速度の低下は招かないで済む。更に、従来の部品搬送処理装置では、部品を搬送する搬送キャリアを、複数の温度調整領域の間で移動させていたので、全体の熱容量が大きく、温度が安定するために時間を要していたが、本実施形態では、予め、目標温度に温度制御されている載置プレート50に対して、部品を直接載置するので、短い時間(短い経路)で目標温度に到達する。例えば、体積が8cm3以下小型部品の場合、特に、1cm3以下の小型部品や、27mm3以下の小型部品、更には4mm3以下の超小型部品の場合、従来の搬送キャリアタイプでは温度到達時間が40秒〜60秒必要となるのに対し、本実施形態では、5秒以下(例えば2秒〜5秒程度)で部品が目標温度に到達する。
更に部品搬送処理装置1によれば、処理装置70において部品が入出領域57から測定領域(行為部)54まで移動する間に、部品の温度が所定の温度に達して安定するので、所定の温度における部品の特性評価が可能になり、結果として部品についての正確な温度特性評価が可能になる。また、本実施形態では、部品を搬送する搬送キャリアを用いないので、載置プレート50と部品の間の熱伝達のロスや誤差が小さい。結果、部品の安定化温度の誤差を小さくでき、測定の信頼度が高まる。従来の部品搬送処理装置の場合、温度調整プレートの上を搬送キャリアが滑りながら移動するので、両者の間に熱伝達ロスが生じたり、摩耗やゴミによって熱伝達トラブルが生じたりする。結果、搬送キャリア上の部品の温度の信頼性が低下しやすい。
<位置決め機構の詳細構造>
図8以降を参照して、部品搬送処理装置1の位置決め機構について更に説明する。図8(A)は、プローブ位置決め機構200の一例について説明する図であって、処理装置70を、ターレット型回転搬送装置10の回転中心側(図1の左方向)から見た図である。なお、図8(A)は、プローブ昇降部111と係合部昇降機構211が共に上死点の状態、図8(B)は、プローブ昇降部111が上死点で係合部昇降機構211が下死点の状態、図8(C)は、プローブ昇降部111と係合部昇降機構211が共に下死点の状態を示している。
プローブ位置決め機構200における係合部平面移動機構201は、支持台99と、スライド部品202と、平面移動体203と、挟持枠204を有する。
支持台99は、基台(テーブル)に対して移動不可に固定される部位であり、その上面(天面)に凹部212が設けられている。凹部212は深さ方向に二段階の外径となっており、上段部が下段部(底面部)より広い階段状となる。凹部212の内部にスライド部品202が収容される。
スライド部品202は例えば、環状の上層部202Aと下層部202Bが、ボール部材202Cを介して積層されてなる。ボール部材202Cが転動することで、上層部202Aと下層部202Bが面方向に相対移動できる。下層部202Bは、凹部212の下段部の底面及び内周壁に密着してその内部での移動が規制される。下層部202Bと同サイズの上層部202Aは、凹部212の上段部に配置される。上層部202Aは、凹部212の上段部よりも小さくなるので、その周囲にはギャップG1が生じる。結果、上層部202AはギャップG1を上限として水平方向(X方向及び/またはY方向)に移動(摺動)可能となっている。上層部202Aの一部は、支持台99の上面から微細に突出している。
支持台99の上面には、これを覆うように平面移動体203が配置される。平面移動体203の底面は、スライド部品202の上層部202Aと当接しており、結果、平面移動体203の底面と支持台99の上面の間に微細な隙間G2が形成される。平面移動体203は、スライド部品202を介在して、支持台99に対して水平方向(X方向及び/またはY方向)に移動可能となる。平面移動体203は、底面から鉛直下方に突出する軸部205を備える。この軸部205は、スライド部品202の上層部202Aの中心孔に挿入されて、径方向に係合する。
また、平面移動体203は、平面方向に広がる拡張部203Kを有する。拡張部203Kの上面に形成される凹部には、第二スライド部材203Sが配置される。この第二スライド部材203Sの構造は、スライド部材202と同じである。支持台99の上面には、拡張部203Kを鉛直方向に挟み込むための挟持枠204が固定される。従って、挟持枠204は、拡張部203Kの上面の一部を覆うようになっている。
挟持枠204には、拡張部203Kの上面に対する鉛直方向の隙間を調整するための調整ねじ204Nが設置される。調整ねじ204Nの下端は、第二スライド部材203Sと当接する。さらに、調整ねじ204Nの下端には、第二スライド部材203Sの環状の上層部内に挿入される突起が形成される。結果、平面移動体203は、支持台99と挟持枠204の双方に当接することから、鉛直方向(同図(A)のZ方向)への移動(離脱)が規制される。
一方、平面移動体203は、スライド部材202と第二スライド部材203Sによって、支持台99及び挟持枠204に対する水平方向の相対移動が許容される。挟持枠204の側面と平面移動体203の側面の間には、ギャップG3が生じており、このギャップG3を上限として、X方向および/またはY方向にスライド移動可能となっている。なお、このギャップG3の大きさは、例えば、挟持枠204に設けられる側面調整ねじ204Mによって、調整自在となっている。また、ギャップG3は、ギャップG1よりも小さくなるように設定される。なお、図8では、X軸方向のギャップG3のみ示すが、Y方向のギャップも同様の構造となっている。
平面移動体203の前面側には、係合部昇降機構211が、平面移動体203(及び支持台99)に対して鉛直方向(Z方向)に移動可能に設けられる。係合部昇降機構211は、プローブ位置決め用係合部210を保持する。また、係合部昇降機構211の前面側には、プローブ昇降部111が、係合部昇降機構211に対して鉛直方向に移動可能に設けられる。プローブ昇降部111は、測定プローブ110を保持する。
プローブ昇降部111および係合部昇降機構211の昇降機構については、モータ、エアアシリンダ、油圧シリンダ、電磁ソレノイド、付勢手段(バネ)等を用いた既知の構成であるので、詳細な説明は省略する。
このような構成により、平面移動体203は、支持台99に対して水平方向(X方向および/またはY方向)にギャップG3分、その位置を調整することができる。
そして、係合部昇降機構211は、平面移動体203(支持台99)に対して昇降自在であり、プローブ昇降部111は、係合部昇降機構211に対して昇降自在となる。プローブ昇降部111は、係合部昇降機構211の昇降動作とは独立した異なるタイミングで、平面移動体203(支持台99)に対して昇降自在となる。
これにより、測定プローブ110による部品の測定時には、プローブ位置決め用係合部210を所定位置に降下させて平面方向の位置決めを行なった後に、測定プローブ110を降下させることができる。
次に、図9及び図10を参照して、処理装置70における測定プローブ110の位置決め動作について説明する。図9は、図2に示す処理装置70の主要部を抜き出して示す側面概要図である。
図9(A)に示すように、測定領域54に測定対象の部品172が停止すると、係合部昇降機構211が下降して、図9(B)に示すように、プローブ位置決め用係合部210をプローブ位置決め孔103に係合させて、平面方向のセンタリングを行う。
ちなみに、図10は、プローブ位置決め用係合部210をプローブ位置決め孔103に係合させる状態を示す拡大断面図である。本実施形態のプローブ位置決め用係合部210は、同図に示すように先端部210Tがテーパ状又は円錐状に構成される。また、プローブ位置決め孔103は円筒形状となっており、その直径D1は、先端部210Tの最大径D2より小さく、円錐状の傾斜面の途中の直径D3と同等に設定されている。
これにより、プローブ位置決め用係合部210とプローブ位置決め孔103の係合状態が進展すると、先端部210Tが、プローブ位置決め孔103の径方向内側に案内されて、次第に、先端部210Tの中心軸が、プローブ位置決め孔103の中心軸に対して同軸状態に近づく(図10(B)の矢印参照)。プローブ位置決め用係合部210が下死点に到達して、先端部210Tの外周面がプローブ位置決め孔103の開口縁と完全に係合(密着)すると、図10(C)に示すように、プローブ位置決め用係合部210とプローブ位置決め孔103が同軸状態となり、いわゆるセンタリングが完了する。
ちなみに、例えば、先端部210Tの最大径D2よりプローブ位置決め孔103の直径D1が大きい場合、両者が係合した場合にプローブ位置決め孔103の内部で先端部210Tが径方向に移動可能となってしまい、高精度のセンタリングが困難となる。
本実施形態では、図10(C)に示すように、先端部210Tの傾斜面の途中においてプローブ位置決め孔103の開口縁に密着して係合するように構成されているため、両者の高精度なセンタリングが可能となる。
図9(B)に戻って、プローブ位置決め用係合部210とプローブ位置決め孔103によるセンタリング動作に連動して、平面移動体203が、水平方向(図示X方向およびY方向)に移動する。
これにより、プローブ位置決め孔103を位置基準として、測定プローブ110の事前の平面方向の位置決めが完了するので、その後、図9(C)に示すように、係合部昇降機構211から独立して、プローブ昇降部111のみを下降させて、測定プローブ110を部品172に接触させる。ちなみに、図9(B)の段階で、プローブ位置決め用係合部210の下降に伴い、プローブ昇降部111及び測定プローブ110も一緒に下降しているので、図9(C)におけるプローブ昇降部111のみの単独の下降ストロークは、短くて済むようになっている。
測定プローブ110による測定が終了した場合、プローブ昇降部111によって測定プローブ110を上昇させ(同図(D))、さらに、係合部昇降機構211によってプローブ位置決め用係合部210も上昇させる(同図(E))。なお、測定後の測定プローブ110の上昇とプローブ位置決め用係合部210の上昇は、同時に行なってもよい。
次に、図11を参照して、部品保持具位置決め機構180について説明する。なお、この部品保持具位置決め機構180の構造は、プローブ位置決め機構200と近似しているので、同一又は類似する構造については、説明を省略する場合がある。なお、図11(A)は、保持具昇降部147と係合部昇降機構181が共に上死点の状態、図11(B)は、保持具昇降部147が上死点で係合部昇降機構181が下死点の状態、図11(C)は、保持具昇降部147と係合部昇降機構181が共に下死点の状態を示している。
係合部平面移動機構184は、台座226と、スライド部品222と、平面移動体183と、挟持枠224を有する。台座226はターレットテーブル12の一部である。なお、台座226はターレットテーブル12に対して別部材として固定されていてもよい。またスライド部品222は、図9図(A)で示すプローブ位置決め機構200のスライド部品202と同様であることから、詳細な説明を省略する。
ターレットテーブル12(台座226)の上面には凹部188が設けられている。凹部188は深さ方向に二段階の外径となっており、上段部が下段部(底面部)より広い階段状となる。凹部188の内部にスライド部品222が収容される。スライド部品222の凹部188への収容態様は、図8(A)のスライド部品202と同様であることから、ここでの説明を省略する。
台座226の上面には、これを覆うように平面移動体183が配置される。平面移動体183の底面は、スライド部品222の上層部と当接しており、平面移動体183の底面と台座226の上面の間に微細な隙間G2が形成される。平面移動体183は、スライド部品222を介在して、台座226に対して水平方向(X方向及び/またはY方向)に移動可能となる。平面移動体183は、底面から鉛直下方に突出する軸部227を備える。この軸部227は、、スライド部品222の上層部222Aの中心孔に挿入されて、径方向に係合する。
また、平面移動体183は、平面方向に広がる拡張部183Kを有する。拡張部183Kの上面に形成される凹部には、第二スライド部材183Sが配置される。この第二スライド部材183Sの構造は、スライド部材222と同じである。台座226の上面には、拡張部183Kを鉛直方向に挟み込むための挟持枠224が固定される。従って、挟持枠224は、拡張部183Kの上面の一部を覆うようになっている。
挟持枠224には、拡張部183Kの上面に対する鉛直方向の隙間を調整するための調整ねじ224Nが設置される。調整ねじ224Nの下端は、第二スライド部材183Sと当接する。さらに、調整ねじ224Nの下端には、第二スライド部材183Sの環状の上層部内に挿入される突起が形成される。結果、平面移動体183は、台座226と挟持枠224の双方に当接することで、鉛直方向(Z方向)への移動(離脱)が規制される。
一方、平面移動体183は、スライド部材222及び第二スライド部材183Sによって、台座226及び挟持枠224に対する水平方向の相対移動が許容される。挟持枠224の側面と平面移動体183の側面の間には、ギャップG3が生じており、このギャップG3を上限として、X方向および/またはY方向にスライド移動可能となっている。なお、このギャップG3の大きさは、例えば、挟持枠224に設けられる側面調整ねじ224Mによって、調整自在となっている。また、ギャップG3は、スライド部材222に形成されるギャップG1よりも小さくなるように設定される。
平面移動体183の前面側には、係合部昇降機構181が、平面移動体183(及び台座226)に対して鉛直方向(Z方向)に移動可能に設けられる。係合部昇降機構181は、部品保持具位置決め用係合部182を保持する。また、係合部昇降機構181の前面側には、保持具昇降部147が、係合部昇降機構181に対して鉛直方向に移動可能に設けられる。保持具昇降部147は、部品保持具145を保持する。部品保持具145は例えば吸引ノズルである。
なお、保持具昇降部147は、特に図示しない上方付勢部材(例えば、ばね部材)によって、係合部昇降機構181に対して鉛直上方に付勢される。従って、外力が作用しない場合、保持具昇降部147は、係合部昇降機構181に対して上死点で静止する。同様に、係合部昇降機構181は、特に図示しない上方付勢部材(例えば、ばね部材)によって、平面移動体183に対して鉛直上方に付勢される。従って、外力が作用しない場合、係合部昇降機構181は、平面移動体183に対して上死点で静止する。なお、保持具昇降部147の上方付勢部材の付勢力は、係合部昇降機構181の上方付勢部材の付勢力よりも大きくなるように設定される。
図11(B)に示すように、保持具昇降部147の上面は、昇降付勢機構40の軸部151の係合部155と当接することで、下方に付勢される。これにより保持具昇降部147が下方に移動しようとするが、保持具昇降部147の内部の上方付勢部材の付勢力は、係合部昇降機構181の内部の上方付勢部材の付勢力よりも大きいので、優先的に、係合部昇降機構181が下降し、係合部昇降機構181が下死点に到達する。その後、図11(C)に示すように、係合部昇降機構181に対して保持具昇降部147が相対的に下降する。
なお、部品保持具145(支持体146)の昇降機構(保持具昇降部147)、および部品保持具位置決め用係合部182の昇降機構(係合部昇降機構181)の動力については、昇降付勢機構40や、その抗力(復元力)となるばね等の弾性部材に限られず、モータ、エアアシリンダ、油圧シリンダ、電磁ソレノイド等を用いた既知の構成であっても良い。
図12を参照して、部品保持機構45における部品保持具145の位置決め動作について説明する。図12は、図2に示す部品保持機構45の主要部を抜き出して示す側面概要図であり、ここでは一例として部品172の保持動作について説明する。
図12(A)に示すように、入出領域57に保持対象の部品172(測定が完了した部品172)が停止すると、昇降付勢機構40の係合部155が、保持具昇降部147の上面部と係合し、これを下方に付勢する(図12(B))。この付勢力は、係合部昇降機構181に伝達されて、部品保持具位置決め用係合部182が下降する。結果、部品保持具位置決め用係合部182と部品保持具位置決め孔104が係合してセンタリングを行う。なお、部品保持具位置決め用係合部182の先端部の形状と部品保持具位置決め孔104の形状、及び両者によるセンタリング態様は、図10で示すプローブ位置決め用係合部210及びプローブ位置決め孔103と同様であるので、ここでの説明を省略する。
部品保持具位置決め用係合部182と部品保持具位置決め孔104によるセンタリング動作に連動して、平面移動体183が、水平方向(図示X方向およびY方向)に移動する。これにより、部品保持具位置決め孔104を位置基準として、部品保持具145の事前の位置決めが完了すると同時に、係合部昇降機構181が下死点に至る。
その後、昇降付勢機構40の係合部155が保持具昇降部147を更に押し下げると、図12(C)に示すように、係合部昇降機構181から独立して、保持具昇降部147のみが下降し、部品172に当接する。ちなみに、図12(B)における部品保持具位置決め用係合部182の下降に伴い、保持具昇降部147も一緒に下降しているので、図12(C)における保持具昇降部147のみの単独の下降ストロークは、短くて済むようになっている。
また、部品保持具145は、図12(B)において、載置部100(部品172)に対する平面方向の相対位置決めが完了しているので、図12(C)に示すように、部品172の中心を吸着保持できる。その後、昇降付勢機構40の付勢を解除すると、部品保持具145が上昇し(図12(D))、保持具昇降部147が上死点に達した後、係合部昇降機構181と共に部品保持具位置決め用係合部182が上昇する(図12(E))。なお、ここでは部品172の吸着動作を紹介するが、部品172の解放動作の場合も同様である。
以上の通り、上記実施形態では、図13(A)に示すように、プローブ位置決め用係合部210や部品保持具位置決め用係合部182が1つの場合(即ち、プローブ位置決め孔103や部品保持具位置決め孔104が1つの場合)を例示したが、これらを複数にすると、センタリング精度を一層高めることが出来る。特に、係合部平面移動機構201や係合部平面移動機構184のθ方向(図示のX−Y平面における回転方向)の位置決め精度を高めることができる。例えば、図13(B)に示すように、プローブ位置決め用係合部210を2か所に設ける場合は、二つのプローブ位置決め孔103A,103Aを利用して1つの載置部100についてセンタリングを行うようにしても良い。この場合、例えばプローブ位置決め用係合部210は、測定対象の部品172が収容されている載置部100を中心とし、そこから(略)等距離で、且つ、最も近い2箇所のプローブ位置決め孔103A,103Aを利用する。これにより、プローブ位置決め用係合部210が1本の場合と比較して、更に位置決めの精度を高めることができる。また、プローブ位置決め孔103B,103Bのように、周方向に2列を設けるようにすると、各載置部100に対して、一対の専用のプローブ位置決め孔103B,103Bとすることができる。複数の部品保持具位置決め孔104A、104Aについても同様である。また、本実施形態では、部品保持具位置決め孔104が、載置プレート50又は載置部100から独立して固定配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。図13(B)に示すように、プローブ位置決め孔103と同様に、各載置部100に対応させて、部品保持具位置決め孔104B,104Bを設けるようにし、載置部100と一緒に回転させることもできる。勿論、プローブ位置決め孔103と部品保持具位置決め孔104を兼用しても良い。
なお、測定部95において測定プローブ110の接触位置を位置決めする場合、測定プローブ110自身が非常に細く、また、部品のサイズより更に微小な電極パッド部に接触させる必要がある。また、接触の状態が悪いと正確な測定もできない。このため部品保持機構45側と比較して、測定部95側の方がより高精度な位置決めが要求されるといえる。このため、プローブ位置決め用係合部210を複数化すると好適である。もちろん、部品保持機構45側においても、複数の部品保持具位置決め用係合部182を用いて位置決めを行なってもよい。
また、プローブ位置決め用係合部210(プローブ位置決め孔103)と測定プローブ110(測定対象の載置部100)の距離、及び、部品保持具位置決め用係合部182(部品保持具位置決め孔104)と部品保持具145(部品保持対象の載置部100)の距離は、可能な限りの近い方が位置決め精度が高くなる。従って、プローブ位置決め孔103や部品保持具位置決め孔104は、対象となる載置部100に接近している方が良い。
更に、本実施形態では、部品保持具位置決め孔104が、載置プレート50又は載置部100から独立して固定配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。プローブ位置決め孔103と同様に、各載置部100に対応させて、部品保持具位置決め孔104を設けるようにし、載置部100と一緒に回転させることもできる。勿論、プローブ位置決め孔103と部品保持具位置決め孔104を兼用しても良い。
同様に、本実施形態では、プローブ位置決め孔103が、載置プレート50又は載置部100と一体的に回転する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。プローブ位置決め孔103が、載置プレート50から独立して、測定領域54に固定配置されていても良い。
しかし、センタリング精度を高めるためには、各載置部100に対応させて、プローブ位置決め孔103や部品保持具位置決め孔104を設けておき、一緒に回転させることが好ましい。
このように、本実施形態によれば、測定プローブ110を用いて部品の測定を行う場合、および部品保持具145によって部品を保持/解放する場合において、高精度な位置決めが可能となり、ひいては測定時のエラーや、保持/解放ミスを防ぐことができる。
なお、本実施形態において、処理装置70の構造は、図示したものに限られない。プローブ位置決め用係合部210とプローブ位置決め孔103が先に係合してセンタリング動作を行い、その後、測定プローブ110が部品に当接する構造であれば、他の構造を採用できる。同様に、部品保持機構45の構造は、図示したものに限られない。部品保持具位置決め用係合部182と部品保持具位置決め孔104が先に係合してセンタリング動作を行い、その後、部品保持具145が載置部100に接近する構造であれば、他の構造を採用できる。
<多品種測定>
次に、図14を参照して、更に別の実施形態について説明する。図14は、載置プレート50の平面図である。
上記の実施形態では、一つの処理装置70において同種の部品の出力測定を行なう例を説明したが、一つの処理装置70において複数種の部品の出力測定を行なうようにしてもよい。
すなわち、同図に示すように、1つの載置プレート50上に、異なる種類の複数の部品177、178、179を混合載置して搬送する。一方、測定領域54は、上記の実施形態と同様であり、1つの測定部95(同一の測定プローブ110)によって、複数種類の部品177、178、179の出力を測定することもできる。勿論、複数の部品177、178、179に対応させて、複数の測定領域を用意しておくことも可能である。
このように、本実施形態の部品搬送処理装置1は、異なる種類の部品であっても、同一の載置プレート50同種の部品と同様に(測定部95や載置プレート50の交換等を行なうことなく)処理が行えるので、処理効率の向上に寄与できる。
また、部品搬送処理装置1の周方向に複数配置される処理装置70の間についても、同種の処理(例えば、温度出力特性の測定処理)を行なう装置に限らず、複数の異なる処理(例えば、温度出力特性の測定処理と抵抗測定処理など)を混在させてもよい。
尚、本発明の部品搬送処理装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。