JP2020169395A - 銀ナノ粒子コロイド、銀ナノ粒子、銀ナノ粒子コロイドの製造方法および銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 100nm以下の粒子径の銀ナノ粒子を含有する銀ナノ粒子コロイドを還元反応を利用して作製することは広く行われている。しかし、10〜100nmの範囲で70%以上の粒子が平均粒子径×(1±0.2)の粒子径分布をもち、粒子の形状が球形や多面体形のもので粒子径の揃った銀ナノ粒子コロイドを分級などの後処理工程を設けずに得ることは困難であった。【解決手段】 分散剤として水溶性のカルボキシメチルセルロースをその平均分子量とエーテル化度を限定して使用することにより課題を解決することができた。【選択図】 図7
Description
本発明は、粒子径が制御された銀ナノ粒子コロイド、銀ナノ粒子、銀ナノ粒子コロイドの製造方法および銀ナノ粒子の製造方法に関し、さらに具体的には、銀ナノ粒子の平均粒子径が10〜100nm(ナノメーター)で、粒子形状が揃った、銀ナノ粒子コロイド、銀ナノ粒子、さらに、収率の良いそれらの製造方法に関する。
近年、ナノ粒子すなわち粒子径が500nm以下のナノメートルオーダーの粒子の利用可能性が注目されている。金属のナノ粒子は、粒子径が小さくなると、同種の金属の1μmより大きな粒子やバルク状態の金属に比べて、たとえば、融点が低くなったり、非常に優れた触媒能を示したりするなど特異な物性を示すことから、燃料電池や排ガス浄化装置などへの利用をはじめとする触媒をはじめ、磁気媒体、半導体、医学の診断・治療デバイス、あるいは塗料など広い分野への利用に大きな期待がもたれている。
金属ナノ粒子の製造方法にはいくつかの異なる方法が提案されている。広く試みられている方法として、液相法と気相法がある。液相法の典型的なものとして溶液中での還元反応を利用した方法があり、実際に銀ナノ粒子の製造に用いられている。
還元反応を利用した銀ナノ粒子の製造方法においては、粒子径や粒子形状の制御が難しく、意図する平均粒子径の近傍に狭い粒子径分布をもち、形状の揃った金属ナノ粒子コロイドを製造することは非常に難しい。
その理由の一つに、還元反応における粒子径分布を狭くし、かつ、形状を揃えるための制御因子が正確に知られていないことがある。
その理由の一つに、還元反応における粒子径分布を狭くし、かつ、形状を揃えるための制御因子が正確に知られていないことがある。
特許文献1には、硝酸銀と錯化剤としてのエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA塩)と分散剤としてのポリエチレンイミン(PEI)と純水を混合したものに、還元剤としてのホルマリンを添加して銀イオンの還元を行い、粒子径の揃った球状の銀ナノ粒子コロイドを得る方法が記載されている。ホルマリンの添加方法は一括添加でも逐次添加でもよいと記載されている。
PEIの重量平均分子量を1000〜10000にすると銀ナノ粒子の粒子径を均一化し得るとともに分散性を良好にできること、銀ナノ粒子の粒子径を小さくするには反応液中の銀イオンに対してEDTA塩を150〜300重量%、PEIを20〜100重量%用いることが好ましいこと、反応温度を50〜70°Cにすると還元速度を適度に速くしつつ粒子の凝集を防止し得ること、ホルマリンを用いると微粒子の銀粒子を生成でき、PEIが共存することにより銀イオンが粒子径の揃った銀ナノ粒子に還元されることが開示されている。
特許文献1の図1と図2に作成された銀ナノ粒子のTEM像が示されている。しかし、図1に示されている銀ナノ粒子の一次粒子の平均粒径は28nmであるが、粒径は5nm以下のものから30nm以上のものまで広く分布している。図2に示されている銀ナノ粒子の1次粒子の平均粒子径は36nmであるが、粒径分布は10nm程度のものから50nm以上のものまで広く分布している。この例から、特許文献1以前の状況よりも改善されているのであろうが、粒子径の分布幅の制御が十分にできていないことがわかる。
後述のように、本発明の発明者らは、粒子径とその形状の制御された銀ナノ粒子の開発を目的として、粒子径制御と形状制御に適切な分散剤を種々検討したところ、カルボキシメチルセルロースの使用を想到するに至った。しかし、これまでカルボキシメチルセルロースは銀ナノ粒子の保護剤や安定剤として使われてきたが、銀ナノ粒子の粒子径と形状の制御に重要な働きをするものとしては考えられていなかった。
たとえば、特許文献2は金属ナノ粒子コロイドおよびその分散液,具体的にはインクジェット用などとして用いる導電材に関する文献である。特許文献2には、金属ナノ粒子の保護コロイドをカルボキシル基を有する有機化合物(B1)と高分子分散剤(B2)(特に、カルボキシル基を有する高分子分散剤)で構成した「金属コロイド粒子及びその分散剤」について開示されており、粗大粒子の生成を抑制しながら還元反応で金属ナノ粒子を生産することが記載されている。
前記金属ナノ粒子は導電材として焼成時に低抵抗値を有するようにすることを目的に生成された粒子で、一次粒子径が1〜100nm程度で、100nm以上の粒子の割合が金属の質量基準で1質量%以下であってもよいと記載されている。特許文献2では、後述の本願が目的とするような粒子形状がきわめてよく揃い、かつ粒子径分布が平均粒子径±20%というような狭い金属ナノ粒子の生成は目的とされていない。
特許文献2には、前記高分子分散剤(B2)として多数の高分子材が例示されており、その中の1つにカルボキシメチルセルロースがあげられている。しかし、カルボキシメチルセルロースの詳細な条件がナノ粒子の形状や粒子径の制御に関係するのか否かなどについては開示はおろか、示唆すらもされていない。
特許文献3はフォトリソ工程において用いるフォトマスクの製造方法に関する公開特許で、段落(0076)に、カルボキシメチルセルロース等のエーテル化度(置換度)は0.05〜1.2の範囲であることが記載されている。そして、段落(0100)には遮光材料としては銀が好ましく、銀コロイドが好ましいと記載されている。
段落(0116)には、黒色材料等の遮光材料は、1μm以下の平均粒径を有するものが好ましく、10nm以上50nm以下のものがより好ましいと記載されている。しかし、粒径を制御するのにエーテル化度を利用したという記述は見当たらない。
銀ナノ粒子コロイドは湿式還元法で製造が種々試みられてきた。しかし、コロイド中の銀ナノ粒子の粒子径とその形状は、文献は種々あるが、制御因子があまり正確にわからず、凝集が少なく、狭い分布幅の粒子径に揃えて製造することが難しいのが現状である。
たとえば、銀ナノ粒子の平均粒子径が10〜100nmの銀ナノ粒子コロイドの製造過程においては、粒子径の制御や形状の制御が難しいのが実情である。
特に、ビジネスの観点から水系の分散媒で実用レベルの銀ナノ粒子コロイドを製造する場合、還元反応後の反応原液中の銀の濃度を高めたいが、反応原液中の銀の濃度をたとえば0.5%以上に高めると、粒子形状が揃っており粒子径が平均粒子径±20%以内に70%以上の粒子が分布するような銀ナノ粒子コロイドを製造することは到底出来ないものと考えられてきた。
図8は反応原液中の銀の濃度を0.7%にして還元反応を用いて銀ナノ粒子コロイドを製造した場合の例として、目標とする平均粒子径が50nmで、粒子径分布が平均粒子径×(1±0.2)の銀ナノ粒子を有する銀ナノ粒子コロイドを、分散剤にカルボキシメチルセルロースを、還元剤にヒドラジンを用いて、従来広く行われているのと同様に、分散剤水溶液に還元剤を仕込んで反応母液を作製し、それに銀イオン水溶液を添加する方法で作製したときの銀ナノ粒子コロイドの粒子径分布を説明する図である。
従来の考え方で作製した銀ナノ粒子コロイドは、図8に示したような目標平均粒子径50nmの近傍に分布する銀ナノ粒子集団51と目標平均粒子径の2倍を超える粒子径130nmの近傍に分布する凝集体である銀ナノ粒子集団52とが混合した状態の銀ナノ粒子コロイドになる場合が多く、形状が球形や多面体形の粒子を期待して作製しても形状の揃ったものがなかなかできず、粒子が凝集し易く、まちまちの形の凝集体が多くできてしまい、凝集体のかなりの部分は沈殿となってしまった。
そのため、粒子径の揃った銀ナノ粒子コロイドを得るためには、前記のように作製した銀ナノ粒子コロイドを、さらに他の化学的処理をしたり、遠心分離などにより分級したりすることが必要で、収率が低く、製造コストが高かった。
このような事情に鑑み、本発明の解決すべき課題の一つは、10〜100nmの粒子径で、形状がおおむね球形あるいは所望する多面体形に揃っている銀ナノ粒子を生成し、粒子径分布が狭い銀ナノ粒子コロイドを、反応原液中の銀の濃度を0.5%以上にするような量産レベルで提供することにある。
本発明は前記の課題を解決せんとしてなされたものである。
多くの公開特許を調べてみても、種々知られている分散剤の一つとして用いられてきたカルボキシメチルセルロースは、これまで分散性向上のための保護剤としては着目されていたが、粒子径制御機能に活用できるとは考えられていなかった。
多くの公開特許を調べてみても、種々知られている分散剤の一つとして用いられてきたカルボキシメチルセルロースは、これまで分散性向上のための保護剤としては着目されていたが、粒子径制御機能に活用できるとは考えられていなかった。
しかし、本発明者らは、粒子径制御や形状制御の観点から鋭意検討した結果、後述の化学構造式(1)の括弧内の部分をセルロースユニット2単位と定義して、カルボキシメチルセルロースの主鎖であるセルロース鎖中の各セルロースユニット1単位中にある3つのOH基のうちのH(水素)が有機化合物に変換されたいわゆるエーテル化が行われたOH基のユニットあたりの平均数(後述)をエーテル化度と定義し、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース平均分子量(以下、単に、分子量という)やエーテル化度などの特定の性質を適切に選べば、これまで粒子径や粒子形状の制御が難しかった銀ナノ粒子の粒子径の中心値が10〜100nmの範囲にあり、粒子径分布が狭く、球形や多面体形で揃った形状の銀ナノ粒子コロイドを歩留まりよく安価に製造できることを見いだし、本発明をなすに至った。
以下の説明の便宜のため、カルボキシメチルセルロースに関する化学構造式のいくつかを示す。
水溶性のカルボキシメチルセルロースの主鎖であるセルロース鎖(セルロース環)は、セルロースユニット2単位について説明すると、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の場合は化学構造式(3)で表し、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩の場合は化学構造式(4)で表すことができる。
本発明でカルボキシメチルセルロースを用いる場合、まず、化学構造式(1)で表されるセルロースにアルカリを作用させて化学構造式(2)で表されるアルカリセルロースにし、アルカリ液中にてエーテル化により水溶性の化学構造式(3)で表されるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩にした。
また、ナトリウム塩の存在を避けたい場合には、化学構造式(3)で表されるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩からさらに化学構造式(4)で表されるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩にした。
化学構造式(3)で表されるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩あるいは化学構造式(4)で表されるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩において、各2単位のセルロース鎖のなかで、1個のOH基がエーテル化されている場合、2個のOH基がエーテル化されている場合、3個のOH基がエーテル化されている場合、4個,5個,6個のOH基がエーテル化されている場合などがあり、前記エーテル化が行われたOH基のユニットあたりの平均数とは、前記2単位で代表させて示したセルロース鎖(セルロース環)が長く繋がっている状態での1単位のセルロース環あたりのエーテル化されたOH基の平均数を意味する。
なお、衆知のように、化学構造式(3)で表されるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩あるいは化学構造式(4)で表されるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩が水に溶けた状態では、化学構造式(5)で表される状態になっている。
以下、課題を解決するためになした本発明についてさらに具体的に説明する。
課題を解決するためになされた本発明の実施の形態例としての第1の発明(以下、発明1という)は、湿式還元法で製造された粒子径が10〜100nmの銀ナノ粒子を主成分として含む銀ナノ粒子コロイドの発明で、前記銀ナノ粒子コロイド中の分散剤として水溶性のカルボキシメチルセルロース(以下、同様)が用いられており、前記カルボキシメチルセルロースは分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上かつ3.0未満であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
課題を解決するためになされた本発明の実施の形態例としての第1の発明(以下、発明1という)は、湿式還元法で製造された粒子径が10〜100nmの銀ナノ粒子を主成分として含む銀ナノ粒子コロイドの発明で、前記銀ナノ粒子コロイド中の分散剤として水溶性のカルボキシメチルセルロース(以下、同様)が用いられており、前記カルボキシメチルセルロースは分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上かつ3.0未満であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明1を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第2の発明(以下、発明2という)は、発明1に記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記カルボキシメチルセルロースは分子量が20万±10万であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明1、2を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第3の発明(以下、発明3という)は、発明1または2に記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が0.9以上かつ1.5未満であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明3を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第4の発明(以下、発明4という)は、発明3に記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が1.2より大きく1.5より小さいことを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明1〜4を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第5の発明(以下、発明5という)は、発明1〜4のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記銀ナノ粒子コロイド中の70%以上の個数の銀ナノ粒子の形状が球形や多面体形のものであり、前記銀ナノ粒子コロイド中の70%以上の個数の銀ナノ粒子の粒子径分布が、平均粒子径を10〜100nmの範囲の任意の値としたときに、平均粒子径×(1±0.2)であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明5を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第6の発明(以下、発明6という)は、発明5に記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記銀ナノ粒子コロイド中の70%以上の個数の銀ナノ粒子の粒子径分布が、平均粒子径を10〜100nmの範囲の任意の値としたときに、平均粒子径×(1±0.1)であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明1〜6を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第7の発明(以下、発明7という)は、発明1〜6のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記銀の還元反応前のカルボキシメチルセルロース溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明1〜7を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第8の発明(以下、発明8という)は、発明1〜7のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記カルボキシメチルセルロースのカルボキシル基の末端の水素がアンモニウムイオンまたはナトリウムイオンに置換されていることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。前記カルボキシメチルセルロースのカルボキシル基の末端の水素がアンモニウムイオンまたはナトリウムイオンに置換されていることにより前記カルボキシメチルセルロースが水溶性を有する。
発明1〜8を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第9の発明(以下、発明9という)は、発明1〜8のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記銀ナノ粒子コロイドはその製造工程においてジアンミン銀水溶液を用いる工程を有することを特徴とする銀ナノ粒子コロイドである。
発明1〜9を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第10の発明(以下、発明10という)は、発明1〜9のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記銀ナノ粒子コロイドにマレイン酸が含有されていることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
課題を解決するためになされた本発明の実施の形態例としての第11の発明(以下、発明11という)は、粒子径が10〜100nmの銀ナノ粒子を主成分として含む銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明で、前記製造方法は、第1の所定量と定義する所定量の第1の分散剤水溶液(以下、分散剤水溶液1という)と第2の所定量と定義する所定量の銀イオン水溶液とを混合して混合液(以下、混合液1という)をつくる工程(以下、行程Aという)と、前記工程Aの後に、前記混合液1中の銀の全量を還元するのに必要な第3の所定量と定義する所定量の還元剤と第4の所定量と定義する所定量の純水を混合した液と第5の所定量と定義する所定量の第3の分散剤水溶液(以下、分散剤水溶液3という)とを含む第6の所定量と定義する所定量の還元剤水溶液を前記混合液1に徐々に混合して前記混合液1中の前記銀の還元反応を進めながら前記第6の所定量に達するまで前記還元剤水溶液全量を前記混合液1に徐々に混合することを行う工程(以下、工程Bという)とを有し、前記分散剤水溶液1は第7の所定量と定義する所定量の分散剤と第8の所定量と定義する所定量の純水と第9の所定量と定義する所定量のアンモニア水を含んでおり、前記銀イオン水溶液は第10の所定量と定義する所定量の硝酸銀と第11の所定量と定義する所定量の純水と第12の所定量と定義する所定量のアンモニア水と第13の所定量と定義する所定量の第2の分散剤水溶液(以下、分散剤水溶液2という)と含んでおり、前記分散剤水溶液1〜3に用いる分散剤として、分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上かつ3.0未満であるカルボキシメチルセルロースを用い、前記工程Bにおける前記還元剤水溶液を混合する速度を管理して還元作用を抑制しつつ前記銀の還元反応を進めることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第12の発明(以下、発明12という)は、発明11に記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースは平均分子量が20万±10万であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11、12を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第13の発明(以下、発明13という)は、発明11または12に記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が0.9以上かつ1.5未満であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明13を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第14の発明(以下、発明14という)は、発明13に記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が1.2より大きく1.5より小さいことを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11〜14を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第15の発明(以下、発明15という)は、発明11〜14のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記銀の還元反応前の前記分散剤水溶液1としてのカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%であり、前記分散剤水溶液2あるいは前記分散剤水溶液3としてのカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11〜15を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第16の発明(以下、発明16という)は、発明11〜15のいずれか1項に記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、還元反応前の前記混合液1のpHが8以上であり、前記第1の所定量の分散剤水溶液1は前記第7の所定量の分散剤と前記第8の所定量の純水と前記第9の所定量のアンモニア水とを混合したものであり、前記第2の所定量の銀イオン水溶液は前記第10の所定量の硝酸銀と前記第11の所定量の純水と前記第12の所定量のアンモニア水とを混合した水溶液に前記第13の所定量の分散剤水溶液2を混合したものであり、前記第13の所定量の分散剤水溶液2は第14の所定量と定義する所定量の前記分散剤を第15の所定量と定義する所定量の純水に溶かしたものであり、前記第6の所定量の還元剤水溶液は前記第3の所定量の還元剤と前記第4の所定量の純水を混合した液に前記第5の所定量の分散剤水溶液3を混合したものであり、前記第5の所定量の分散剤水溶液3は第16の所定量と定義する所定量の前記分散剤を第17の所定量と定義する所定量の純水に溶かしたものであり、前記第3,第4,第7〜第12,第14〜第17の各所定量の割合が、仕込む純銀の量を100とした場合、第3の所定量を仕込む純銀の量の1/2〜1モル、第4の所定量を750、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%になるように第7の所定量を30〜200、第8の所定量を10000、第9の所定量を分散剤水溶液1のアンモニア濃度が1〜3体積%になるようなアンモニア添加量、第10の所定量を157(純銀の量が100)、第11の所定量を600、第12の所定量を仕込み銀量の2倍モル、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%になるように第14の所定量を5〜30、第15の所定量を750、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%になるように第16の所定量を5〜30、第17の所定量を750とした場合と同じ比率であり、前記工程Bにおける前記混合液1に前記還元剤水溶液を混合する速度は合計時間として30分かけて混合するのに相当する速度であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11〜16を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第17の発明(以下、発明17という)は、発明11〜16のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記工程Aの後に、第19の所定量と定義する所定量のマレイン酸と第20の所定量と定義する所定量の純水を混合した第18の所定量と定義する所定量のマレイン酸水溶液を前記混合液1に混合した後、前記工程Bを行うことを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明17を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第18の発明(以下、発明18という)は、発明17に記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記第19の所定量と前記第20の所定量が、請求項10に記載の条件下において、前記第19の所定量を4g、前記第20の所定量を26ml(ミリリットル)とした場合と同じ比率であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
マレイン酸は銀ナノ粒子の粒子径と形状を揃えるのを助ける効果を発揮する。
マレイン酸を錯化剤として活用し、銀粒子の分散安定性を高めることができる。マレイン酸を添加しなければ凝集体の増加を促し、マレイン酸を過剰に添加すれば、反応液が酸性側となり、銀鏡反応を促進する。本発明では銀1モルに対して0.2〜1.0モル、さらに望ましくは0.2〜0.5倍モルの添加が好ましい、
発明11〜18を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第19の発明(以下、発明19という)は、発明11〜18のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、少なくとも前記工程Aにおいて前記混合液1の調製時に超音波振動を与え続けることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11〜19を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第20の発明(以下、発明20という)は、発明11〜19のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、還元反応前の前記混合液1のアンモニア濃度が4体積%であるように前記混合液1を作製することを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明11〜20を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第21の発明(以下、発明21という)は、発明11〜20のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記混合液1を作製する銀イオン水溶液がジアンミン銀水溶液で銀が6〜7重量%含有されており、前記還元剤水溶液にはヒドラジンとカルボキシメチルセルロースが含まれていることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。銀の含有量が7重量%を上回ると凝集体が増え、6重量%を下回ると生産性が低下する。
発明11〜21を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第22の発明(以下、発明22という)は、発明11〜21のいずれかに記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースのカルボキシル基の末端の水素がアンモニウムイオンまたはナトリウムイオンに置換されていることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
課題を解決するためになされた本発明の実施の形態例としての第23の発明(以下、発明23という)は、湿式還元法で製造された粒子径が10〜100nmの銀ナノ粒子を主成分として含む銀ナノ粒子コロイドを用いて製造した銀ナノ粒子の発明で、前記銀ナノ粒子コロイド中の分散剤としてカルボキシメチルセルロースが用いられており、前記カルボキシメチルセルロースは分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上かつ3.0未満である銀ナノ粒子コロイドであり、前記銀ナノ粒子は、前記銀ナノ粒子を担持する担体に前記銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明23を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第24の発明(以下、発明24という)は、発明23に記載の銀ナノ粒子において、前記カルボキシメチルセルロースは平均分子量が20万±10万であることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明23または24を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第25の発明(以下、発明25という)は、発明23または24に記載の銀ナノ粒子において、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が0.9以上かつ1.5未満であることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明25を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第26の発明(以下、発明26という)は、発明25に記載の銀ナノ粒子において、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が1.2より大きく1.5より小さいことを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明23〜26を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第27の発明(以下、発明27という)は、発明23〜26のいずれかに記載の銀ナノ粒子において、前記銀ナノ粒子コロイド中の70%以上の個数の銀ナノ粒子の粒子径分布が、平均粒子径を10〜100nmの範囲の任意の値としたときに、平均粒子径×(1±0.2)である銀ナノ粒子コロイドであり、前記銀ナノ粒子は、前記銀ナノ粒子を担持する担体に前記銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明27を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第28の発明(以下、発明28という)は、発明27に記載の銀ナノ粒子コロイドにおいて、前記銀ナノ粒子コロイド中の70%以上の個数の銀ナノ粒子の粒子径分布が、平均粒子径を10〜100nmの範囲の任意の値としたときに、平均粒子径×(1±0.1)であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの発明である。
発明23〜28を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第29の発明(以下、発明29という)は、発明23〜28のいずれかに記載の銀ナノ粒子において、前記銀の還元反応前のカルボキシメチルセルロース溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%であることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明23〜29を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第30の発明(以下、発明30という)は、発明23〜29のいずれかに記載の銀ナノ粒子において、前記カルボキシメチルセルロースのカルボキシル基の末端の水素がアンモニウムイオンまたはナトリウムイオンに置換されていることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
発明23〜30を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第31の発明(以下、発明31という)は、発明23〜30のいずれかに記載の銀ナノ粒子において、前記銀ナノ粒子コロイドの製造工程においてジアンミン銀水溶液を用いる工程を有することを特徴とする銀ナノ粒子である。
発明23〜31を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第32の発明(以下、発明32という)は、発明23〜31のいずれかに記載の銀ナノ粒子において、前記銀ナノ粒子コロイドにマレイン酸が含有されていることを特徴とする銀ナノ粒子の発明である。
課題を解決するためになされた本発明の実施の形態例としての第33の発明(以下、発明33という)は、粒子径が10〜100nmの銀ナノ粒子を主成分として含む銀ナノ粒子コロイドを用いて製造する銀ナノ粒子の製造方法の発明で、前記銀ナノ粒子の製造方法は、第1の所定量の前記分散剤水溶液1と第2の所定量の銀イオン水溶液とを混合して前記混合液1をつくる前記行程Aと、前記工程Aの後に、前記混合液1中の銀の全量を還元するのに必要な第3の所定量の還元剤と第4の所定量の純水を混合した液と第5の所定量の前記分散剤水溶液3とを含む第6の所定量の還元剤水溶液を前記混合液1に徐々に混合して前記混合液1中の前記銀の還元反応を進めながら前記第6の所定量に達するまで前記還元剤水溶液全量を前記混合液1に徐々に混合することを行う前記工程Bとを有し、前記分散剤水溶液1は第7の所定量の分散剤と第8の所定量の純水と第9の所定量のアンモニア水を含んでおり、前記銀イオン水溶液は第10の所定量の硝酸銀と第11の所定量の純水と第12の所定量のアンモニア水と第13の所定量の前記分散剤水溶液2と含んでおり、前記分散剤水溶液1〜3に用いる分散剤として、分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上かつ3.0未満であるカルボキシメチルセルロースを用い、前記工程Bにおける前記還元剤水溶液を混合する速度を管理して還元作用を抑制しつつ前記銀の還元反応を進める銀ナノ粒子コロイドの製造方法であり、前記銀ナノ粒子の製造方法は、前記銀ナノ粒子を担持する担体に前記銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第34の発明(以下、発明34という)は、発明33に記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースは分子量が20万±10万であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33または34を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第35の発明(以下、発明35という)は、発明33または34に記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が0.9以上かつ1.5未満であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明35を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第36の発明(以下、発明36という)は、発明35に記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースはエーテル化度が1.2より大きく1.5より小さいことを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33〜36を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第37の発明(以下、発明37という)は、発明33〜36のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記銀の還元反応前の前記分散剤水溶液1としてのカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%であり、前記分散剤水溶液2あるいは前記分散剤水溶液3としてのカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33〜37を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第38の発明(以下、発明38という)は、発明33〜37のいずれか1項に記載の銀ナノ粒子コロイドの製造方法において、還元反応前の前記混合液1のpHが8以上であり、前記第1の所定量の分散剤水溶液1は前記第7の所定量の分散剤と前記第8の所定量の純水と前記第9の所定量のアンモニア水とを混合したものであり、前記第2の所定量の銀イオン水溶液は前記第10の所定量の硝酸銀と前記第11の所定量の純水と前記第12の所定量のアンモニア水とを混合した水溶液に前記第13の所定量の分散剤水溶液2を混合したものであり、前記第13の所定量の分散剤水溶液2は第14の所定量の前記分散剤を第15の所定量の純水に溶かしたものであり、前記第6の所定量の還元剤水溶液は前記第3の所定量の還元剤と前記第4の所定量の純水を混合した液に前記第5の所定量の分散剤水溶液3を混合したものであり、前記第5の所定量の分散剤水溶液3は第16の所定量の前記分散剤を第17の所定量の純水に溶かしたものであり、前記第3,第4,第7〜第12,第14〜第17の各所定量の割合が、仕込む純銀の量を100とした場合、第3の所定量を仕込む純銀の量の1/2〜1モル、第4の所定量を750、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%になるように第7の所定量を30〜200、第8の所定量を10000、第9の所定量を分散剤水溶液1のアンモニア濃度が1〜3体積%になるようなアンモニア添加量、第10の所定量を157(純銀の量が100)、第11の所定量を600、第12の所定量を仕込み銀量の2倍モル、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%になるように第14の所定量を5〜30、第15の所定量を750、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%になるように第16の所定量を5〜30、第17の所定量を750とした場合と同じ比率であり、前記工程Bにおける前記混合液1に前記還元剤水溶液を混合する速度は合計時間として30分かけて混合するのに相当する速度であることを特徴とする銀ナノ粒子コロイドの製造方法の発明である。
発明33〜38を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第39の発明(以下、発明39という)は、発明33〜38のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記工程Aの後に、第19の所定量のマレイン酸と第20の所定量の純水を混合した第18の所定量のマレイン酸水溶液を前記混合液1に混合した後、前記工程Bを行うことを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明39を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第40の発明(以下、発明40という)は、発明39に記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記第19の所定量と前記第20の所定量が、請求項26に記載の条件下において、前記第19の所定量を4g、前記第20の所定量を26mlとした場合と同じ比率であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33〜40を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第41の発明(以下、発明41という)は、発明33〜40のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法において、少なくとも前記工程Aにおいて前記混合液1の調製時に超音波振動を与え続けることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33〜41を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第42の発明(以下、発明42という)は、発明33〜41のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法において、還元反応前の前記混合液1のアンモニア濃度が4体積%であるように前記混合液1を作製することを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33〜42を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第43の発明(以下、発明43という)は、発明33〜42のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記混合液1を作製する銀イオン水溶液がジアンミン銀水溶液で銀が6〜7重量%含有されており、前記還元剤水溶液にはヒドラジンとカルボキシメチルセルロースが含まれていることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
発明33〜43を展開してなされた本発明の実施の形態例としての第44の発明(以下、発明44という)は、発明33〜43のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースのカルボキシル基の末端の水素がアンモニウムイオンまたはナトリウムイオンに置換されていることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法の発明である。
以上説明したように、 本発明によれば、還元反応を用いる化学的な方法によっても、凝集体をほとんど生じることなく、粒子径のよく揃った銀ナノ粒子コロイドを量産することができ、安価に提供することができる。
そして、本発明による銀ナノ粒子コロイドは、銀粒子の均質性が高く極めて優れた物性を示すため、光の波長に合わせたナノ粒子を作製する材料として用いて極めて高感度の光共鳴体をつくることができること、高性能のフィルタの検定用標準物質として用いることができること、色材に用いて色の鮮やかな色材をつくることができること、微弱信号を増幅する光増幅器に用いて優れた増幅器を実現できること、表示装置に用いて鮮明な表示をさせることができること、このほかたとえば、小型で、高性能な光導波路、異方性導電材料等の実現ができるなど、大きな効果を発揮するものである。
すなわち、本発明による銀ナノ粒子コロイドは、その高い均質性により、従来から期待されている金属ナノ粒子の優れた物性を大幅に高めることができ、自動車、電池、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、機能性材料などの各業界等広い分野の工業的発展に大きく寄与するものである。
本発明の発明者らは、分散剤として水溶性のカルボキシメチルセルロース(以下の説明におけるカルボキシメチルセルロースは全て水溶性のカルボキシメチルセルロースである)、ブロックコーポリマー、PVP(ポリビニルピロリドン)など、還元剤としてヒドラジン、アミン、クエン酸、アスコルビン酸など多くの物質を用いて銀ナノ粒子コロイド作製の比較実験を行った。
その結果、分散剤としてカルボキシメチルセルロースを、還元剤としてヒドラジンをそれぞれ用いて図1に示した工程を経て銀ナノ粒子コロイドを作製する場合、単に市販のカルボキシメチルセルロースを用いても本発明の課題を解決することができないことがわかった。すなわち、仕様を厳選することなく単に還元剤としてヒドラジンを、分散剤としてカルボキシメチルセルロースを用いて、10〜100nmの間の平均粒子径を持ち、70%以上の個数の銀ナノ粒子の粒子径分布が平均粒子径の±20%以内である銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子コロイドを作製しようとすると、平均粒子径近傍の単分散の粒子に混じって凝集体や肥大粒子ができて粒子径分布が広くなってしまい、うまく制御できないことが多かった。
そこで、カルボキシメチルセルロースの前記分散剤としてのさらに詳細な条件を調査するため、カルボキシメチルセルロースの分子量とエーテル化度に着目し、分子量を70万以下の範囲について、エーテル化度を0.5以上の範囲についてそれぞれ値を変えて銀ナノ粒子コロイドの生成実験を行った。その結果、カルボキシメチルセルロースの分子量とエーテル化度を適切な条件に選ぶことによって、本発明の解決すべき課題を解決できることを見いだした。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例について説明する。
前記のように本発明に用いている技術の基本思想の特筆すべき特徴は、従来は、銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子の形状と粒子径の制御に関してどのような条件で限定すべきかが明確になっていなかった銀ナノ粒子コロイド中の分散剤の条件を明確に限定することによって、銀ナノ粒子の粒子径と形状の揃った銀ナノ粒子コロイドを収率よく安価に製造することができるようにしたところにある。
前記のように本発明に用いている技術の基本思想の特筆すべき特徴は、従来は、銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子の形状と粒子径の制御に関してどのような条件で限定すべきかが明確になっていなかった銀ナノ粒子コロイド中の分散剤の条件を明確に限定することによって、銀ナノ粒子の粒子径と形状の揃った銀ナノ粒子コロイドを収率よく安価に製造することができるようにしたところにある。
図1は、本発明の銀ナノ粒子コロイドの製造工程を説明する図である。図1において、符号1は分散剤水溶液を用意する工程(工程1)、2は銀イオン水溶液を用意する工程(工程2)、3はそれぞれ用意した前記分散剤水溶液と銀イオン水溶液を混合して分散剤と銀イオンの混合液1を作製する工程(工程3)、4は前記混合液1に錯化剤としてのマレイン酸を混ぜる工程(工程4)、5は還元剤水溶液を用意する工程(工程5)、6は前記工程4で混合液1にマレイン酸を混ぜた混合液2に前記還元剤水溶液を徐々に入れて混合液2に含まれていた銀の還元反応を進める工程(工程6)、7は作製した銀ナノ粒子コロイドを精製する工程(工程7)を示す。
工程1において、まず、本発明の銀ナノ粒子コロイドの分散剤としてのカルボキシメチルセルロースの適切な条件を選定する。以下、分散剤の選定に関してさらに詳細に説明する。
本発明者の実験の結果、カルボキシメチルセルロースの分子量に関しては、分子量が50万を超えると分散剤水溶液の粘度が高くなりすぎ、前記工程1における濾過に関する問題が生じる。カルボキシメチルセルロースは、還元反応を均一に進めるためにも、また、出来た製品としての銀ナノ粒子コロイドの品質を良好なものにするためにも、カルボキシメチルセルロース水溶液の濾過を行って使うようにしている。また、カルボキシメチルセルロースの分子量が5万を下回ると、銀ナノ粒子の分散維持ができず、銀粒子の沈降分離を生じやすいという問題がある。これらのことを考慮し、多くの実験の結果を踏まえて、分子量が5万〜50万のカルボキシメチルセルロースを用いることが好ましいという結論に至った。
しかし、これだけでは10〜100nmの間の平均粒子径を持ち粒子径分布が±20%以内の銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子コロイドを作製することが難しく、分散剤としてのカルボキシメチルセルロースのさらなる限定が必要であることがわかった。その一つのパラメータとしてカルボキシメチルセルロースのエーテル化度を調べ、エーテル化度の違いによって銀ナノ粒子の形状と粒子径に違いがあることを見いだし、エーテル化度を0.9以上のカルボキシメチルセルロースが本発明の銀ナノ粒子コロイドの作製に好ましく、エーテル化度が0.9〜1.5のカルボキシメチルセルロースが特に好ましいという結論を得た。エーテル化度が0.9を下回ると生成した銀ナノ粒子の粒子径や形状のバラツキが大きくなり、所望の銀ナノ粒子コロイドが得られない。また、エーテル化度が1.5を大きく超えたカルボキシメチルセルロースは製造コストが高くなる。
そして、本発明者の実験の結果、さらに好ましくは分子量を20万±10万、エーテル化度を1.2より大きく1.5より小さいように選ぶことによって、前処理がし易くなり、反応中の均一性が高まり、形状・粒径分布の一層よく揃った銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子コロイドを製造時間を短縮して歩留まりよく作製できることを見いだした。
以下、水溶性のカルボキシメチルセルロースとしてカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩(以下、特に断らない限り、単に、カルボキシメチルセルロースという)を用いた例を説明する。
図2と図3は、分子量が同じでエーテル化度の異なるカルボキシメチルセルロースを分散剤として用い、図1の工程に沿って後述のような条件下で生成した銀ナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した写真である。図2は、本発明の実施の形態例として生成した、分散剤に用いるカルボキシメチルセルロースの前記好ましい分子量5万〜50万の例としての分子量が20万でエーテル化度が0.9のカルボキシメチルセルロースを分散剤として用いた場合の銀ナノ粒子コロイドの写真、図3は、比較例として生成した、分子量が20万でエーテル化度が0.5のカルボキシメチルセルロースを分散剤として用いた場合のナノ粒子コロイドの写真である。還元剤はいずれもヒドラジンである。
図2と図3の銀ナノ粒子を生成する各工程においては、図1の工程1では、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%になるように、2l(2l=2リットル、以下、同様)の純水に6〜40gのカルボキシメチルセルロースを入れ、さらに好ましくはカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.5〜1.0重量%になるように、2lの純水に10〜20gの分散剤カルボキシメチルセルロースを入れ、撹拌しながら、30〜70mlのたとえば40mlのアンモニア水(JIS K 8085)を入れて分散剤水溶液が均一になるように撹拌しながら超音波をかけて分散剤溶液としての0.5重量%カルボキシメチルセルロース水溶液をつくる。工程2では、硝酸銀31.4g、純水100ml、アンモニア水30〜70mlたとえば40mlを混合したものと、150mlの純水に、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%になるように、さらに好ましくは1.0〜2.0重量%になるように、1〜6gのカルボキシメチルセルロースを溶かして作製したカルボキシメチルセルロース水溶液150mlと、調整用純水20mlとをよく混合して銀イオン水溶液300mlをつくる。工程3では、前記工程1で作製した分散剤水溶液と前記工程2で作製した銀イオン水溶液を混合して前記混合液1をつくり、撹拌しながら超音波をかけて均質になるように混ぜる。工程4で、前記混合液1にマレイン酸4gを26mlの純水に溶かしたマレイン酸水溶液を混ぜて混合液2をつくる。別途工程5では、還元剤としてのヒドラジン(ヒドラジン:関東化学株式会社 鹿特級相当、すなわちヒドラジンの純度が98%以上のもの)2.7〜5.4gたとえば3gと純水150mlとを混合した液をつくり、それに、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.6〜4.0重量%になるように、あるいはさらに好ましくはカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が1.0〜2.0重量%になるように、150mlの純水に1〜6gのカルボキシメチルセルロースを溶かしたカルボキシメチルセルロース水溶液150mlを混合して還元剤水溶液300mlを作製しておく。この還元剤水溶液300mlを工程6で前記混合液2に毎分10mlの速度でよく攪拌しながら30分かけて入れ、前記混合液2に含まれていた銀イオンを還元して、回収された銀の反応原液2.7l(うち、銀の量20g)を得て、工程7で精製し、銀ナノ粒子コロイドを得る。
銀の還元反応を行わせるにおいて、従来のように、まず分散剤水溶液と還元剤水溶液を全量混合し、それに銀イオン液を徐々に入れる製造方法では、銀粒子の凝集が起こりやすく、100nm以下の粒子径のよく揃った銀ナノ粒子を得ることは困難であったが、本発明では、前記工程1と工程2で、まず分散剤水溶液と銀イオン水溶液をそれぞれ作製し、前記工程3でその両者を全量混合する。前記工程4でマレイン酸を入れる。それに工程5で作製した還元剤水溶液を前記のように徐々に入れて還元反応を制御しながら銀還元を行うことによって、100nm以下の粒子径と形状の揃った銀ナノ粒子コロイドを高い収率で作製することができるようになった。
前記工程4でマレイン酸水溶液を混ぜたことにより、還元反応が緩慢に進み、銀ナノ粒子の粒子径分布を狭め、凝集を抑止する効果を出すことが出来た。
図2と図3からわかるように、図3の銀ナノ粒子は、粒子径が不揃いで形状も丸形のものが少なく各辺の寸法が大きく異なる六角形など角形のものも含めて、形状と寸法の多様な粒子の集合体になっている。これに対して、図2の銀ナノ粒子の形状は、丸形の粒子が多く、球形や多面体形のもので均整がとれており、粒子径のバラツキも少ないことがわかる。
図2と図3の銀ナノ粒子の相違が生じた主たる要因は、前記のように、それを製造するのに用いる分散剤としてのカルボキシメチルセルロースのエーテル化度が図2の場合は0.9であるのに対して図3の場合は0.5であることにある。
本発明の発明者等は分子量が20万のカルボキシメチルセルロースを分散剤に用い、アンモニア濃度を同じにして、図2と図3に示した銀ナノ粒子を得るための再現実験を行ったところ、再現性を確認することができた。
さらに、エーテル化度を0.9以上にして銀ナノ粒子を作製し、良好な粒子径分布と形状分布の銀ナノ粒子コロイドを得ることができた。
本発明の発明者等が行った多くの実験の結果、エーテル化度に関しては0.9以上にすることが好ましいとの結論を得ることができた。そして、さらの好ましい条件を得るために検討をした結果、エーテル化度を1.2〜1.5にすることが特に好ましいという結論を得た。この範囲のエーテル化度にすると、エーテル化度が1.2よりも低い場合に比べて銀ナノ粒子の粒子径、形状の制御がしやすく、エーテル化度が1.5よりも高い場合に比べて製造コストを安くすることができるというさらなる利点がある。
還元反応を利用する製法によって作製する銀ナノ粒子の粒子径と形状の制御は極めて難しいといわれている。しかし、今までの製造技術ではあまり知られていなかったことの中から銀ナノ粒子の粒子径と形状の制御に寄与するファクターを見出して、それを正しく選択することにより、還元反応を利用して作製する銀ナノ粒子の粒子径と形状をこれまでは困難とされていたレベルまで制御できることがわかった。
この観点に立って分散剤の詳細な条件を選択したのが前記図1、図2を用いて説明した分散剤の分子量とエーテル化度の条件の選択である。
還元反応前の前記混合液2のpHを8以上にすることが重要である。pHが7以下になると銀鏡反応が発生し成長する。還元反応でpHの値を高くすると反応速度が速くなる。たとえば、粒子径が50nmの銀ナノ粒子をつくるときはpHを10以上にすることが好ましい。アンモニアの量を増すと粒子径が大きくなる。
還元反応前の前記混合液1のアンモニア濃度が4体積%であるように前記混合液1を作製することにより、平均粒子径が50nmで好ましい粒子径分布と形状分布の銀ナノ粒子を生成することができる。
また、前記カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は0.3重量%以上にすることにより図8で説明した凝集体を減らすことができる。
前記の条件を用いて平均粒子径が10〜100nmの球形や多面体形の銀ナノ粒子を作製したところ、銀ナノ粒子コロイド中の70%以上の銀ナノ粒子の粒子径分布が±20%以内に入る銀ナノ粒子コロイドを安価に作製できることがわかった。
図4、図5、図6は本発明の実施の形態例としての銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子の粒子径分布を説明する図である。いずれも、横軸が粒子径(単位:nm)で、縦軸が出現度数(ナノ粒子の数)を表す。
図4は目標とする平均粒子径が50nmの銀ナノ粒子コロイドを作製したときの銀ナノ粒子の粒子径分布を調べた図で、95%以上の銀ナノ粒子の粒子径が40nmから60nmの間に分布していることがわかる。すなわち、50nm±20%以内に分布していることが明らかである。
図5は目標とする平均粒子径が20nmの銀ナノ粒子コロイドを作製したときの銀ナノ粒子の粒子径分布を調べた図で、99%以上の銀ナノ粒子の粒子径が10nmから30nmの間に分布しており、75%以上の銀ナノ粒子の粒子径が20±5nmの間に分布していることがわかる。
図6は目標とする平均粒子径が80nmの銀ナノ粒子コロイドを作製したときの銀ナノ粒子の粒子径分布を調べた図で、75%以上の銀ナノ粒子の粒子径が70nmから90nmの間に分布していることがわかる。すなわち、80nm±20%以内に分布していることが明らかである。
粒度分布を狭くするためには、前記の分散剤としてのカルボキシメチルセルロースの分子量とエーテル化度を前記のように選択することが重要である。そして、目標とする平均粒子径を実現しその分布を一層狭くするとともに製造コストを一層低減するためには、前記カルボキシメチルセルロースの分子量とエーテル化度の適切な選択に加えて、各工程における分散剤水溶液の濃度、前記混合液1のアンモニア濃度、前記工程1〜4における反応液の撹拌条件、前記工程6における還元剤水溶液の混合条件の選択などが効果的である。
前記銀の還元反応前の、前記カルボキシメチルセルロース水溶液1のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は0.3〜2.0重量%であり、前記カルボキシメチルセルロース水溶液2と前記カルボキシメチルセルロース水溶液3のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は0.6〜4.0重量%であることが好ましい。前記カルボキシメチルセルロース水溶液1のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は0.3重量%を、前記カルボキシメチルセルロース水溶液2と前記カルボキシメチルセルロース水溶液3のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は0.6重量%をそれぞれ下まわると凝集体の生成が増え、前記カルボキシメチルセルロース水溶液1のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は2.0重量%を、前記カルボキシメチルセルロース水溶液2と前記カルボキシメチルセルロース水溶液3のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は4.0重量%をそれぞれ上まわると試薬の混和が遅くなる。さらに、前記カルボキシメチルセルロース水溶液1のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は0.5〜1.0重量%であり、前記カルボキシメチルセルロース水溶液2と前記カルボキシメチルセルロース水溶液3のカルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度は1.0〜2.0重量%であるようにすると、反応液の扱いやすさ、粒子径と形状の均一性を一層高めることができる。
これらの各条件の選択によって、70%以上の個数の粒子の粒子径分布が平均粒子径×(1±0.1)である銀ナノ粒子コロイドを作製することができ、たとえば目標とする平均粒子径を10〜50nmとし、粒子径分布を±5nmとする銀ナノ粒子コロイドを量産レベルで得ることができた。
銀ナノ粒子コロイドの作製においては、前記のように、その用途によっては特に形状が揃っていることが重要である。球形や多面体形の銀ナノ粒子を収率よく得ることは従来非常に難しいことであったが、本発明はこの難題を前記の方法によって解決することができた。
本発明の発明者らは、水系の分散媒で、還元反応後の反応原液中の銀の濃度を、0.4%以下の場合の他に、0.5%、0.7%、1.4%になるようにした場合について、本発明による銀ナノ粒子コロイドの製造を行った。何れの場合にも、前記各効果を発揮することが確認され、粒子径選別・分級操作をすることなく量産できる条件を見いだすことができ、前記のような良質の銀ナノ粒子コロイドを製造コストを大幅に下げて製造することができた。
図7は本発明の実施の形態例としての、目標とする平均粒子径が50nmの銀ナノ粒子コロイド中の銀ナノ粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。写真から、粒子径が揃っているのみならず、銀ナノ粒子の形状が球形や多面体形のものが70%以上であることが明白であることがわかる。
前記実施の形態例においては、分散剤としてカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩を用いたので、ナトリウムの存在を極力避けたい電子部品などへの好適な銀ナノ粒子を優れた品質で安価に提供することができる。
しかし、ナトリウムの存在を極端に嫌われない用途向けの銀ナノ粒子の作製には、分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用いることができる。分散剤の分子量、エーテル化度など他の条件は前記諸条件に準じて前記と同様に銀ナノ粒子を作製したところ、前記と同様な傾向で良好な銀ナノ粒子コロイド、銀ナノ粒子を作製できることを確認できた。この場合、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩を用いた場合よりも製造コストを一層低減することができる。
以上、本発明の銀ナノ粒子と銀ナノ粒子の製造方法を説明したが、本発明は前記実施の形態例に狭く限定されるものでなく、本発明の技術思想の範囲内において多くのバリエーションを可能とするものである。
本発明の銀ナノ粒子コロイド、銀ナノ粒子ならびにそれらの製造方法は、自動車、電池、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、機能性材料などの各業界等広い分野の工業的発展に大きく寄与するという多大な効果を奏するものである。
1:分散剤水溶液を用意する工程(工程1)
2:銀イオン水溶液を用意する工程(工程2)
3:分散剤と銀イオンの混合液(混合液1という)を作製する工程(工程3)
4:混合液1に錯化剤としてのマレイン酸を混ぜる工程(工程4)
5:還元剤水溶液を用意する工程(工程5)
6:銀の還元反応を進める工程(工程6)
7:作製した銀ナノ粒子コロイドを精製する工程(工程7)
51,52:粒子集団
2:銀イオン水溶液を用意する工程(工程2)
3:分散剤と銀イオンの混合液(混合液1という)を作製する工程(工程3)
4:混合液1に錯化剤としてのマレイン酸を混ぜる工程(工程4)
5:還元剤水溶液を用意する工程(工程5)
6:銀の還元反応を進める工程(工程6)
7:作製した銀ナノ粒子コロイドを精製する工程(工程7)
51,52:粒子集団
Claims (6)
- 湿式還元法で、分散剤として水溶性のカルボキシメチルセルロースを用いて製造する粒子径が10〜100nm(ナノメーター)の銀微粒子(以下、銀ナノ粒子という)を金属成分の主成分として含む銀微粒子コロイドの製造方法において、セルロース鎖中のセルロースユニット1単位中にある3つのOH基のうちのH(水素)が有機化合物に変換されたいわゆるエーテル化が行われたOH基のユニットあたりの平均数をエーテル化度と定義して、還元剤として水溶性のカルボキシメチルセルロース以外の還元剤を用いており、前記分散剤としてのカルボキシメチルセルロースの平均分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上〜1.5であることを特徴とする銀微粒子コロイドの製造方法。
- 請求項1に記載の銀微粒子コロイドの製造方法において、70%以上の銀微粒子コロイド中の銀微粒子の粒子径分布が、平均粒子径を10〜100nmの範囲の任意の値としたときに、平均粒子径×(1±0.2)であることを特徴とする銀微粒子コロイドの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の銀微粒子コロイドの製造方法において、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの濃度が0.3〜2.0重量%であることを特徴とする銀微粒子コロイドの製造方法。
- 湿式還元法で還元剤として水溶性のカルボキシメチルセルロース以外の還元剤を用いて製造された粒子径が10〜100nm(ナノメーター)の銀微粒子(以下、銀ナノ粒子という)を金属成分の主成分として含む銀微粒子コロイドにおいて、前記銀微粒子コロイド中に分散剤として水溶性のカルボキシメチルセルロースが用いられており、セルロース鎖中のセルロースユニット1単位中にある3つのOH基のうちのH(水素)が有機化合物に変換されたいわゆるエーテル化が行われたOH基のユニットあたりの平均数をエーテル化度と定義して、前記分散剤としてのカルボキシメチルセルロースの平均分子量が5万〜50万でエーテル化度が0.9以上でかつ1.22より小さい値であることを特徴とする銀微粒子コロイド。
- 請求項4に記載の銀微粒子コロイドにおいて、エーテル化されたカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基の末端の水素がアンモニウムイオン及び/またはナトリウムイオンに置換されていることを特徴とする銀微粒子コロイド。
- 請求項4又は5に記載の銀微粒子コロイドにおいて、70%以上の銀微粒子コロイド中の銀微粒子の粒子径分布が、平均粒子径を10〜100nmの範囲の任意の値としたときに、平均粒子径×(1±0.2)であることを特徴とする銀微粒子コロイド。
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WO2009119563A1 (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-01 | 東レ株式会社 | 導電性複合体およびその製造方法 |
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HEBEISH, A.A. ET AL.: ""Carboxymethyl cellulose for green synthesis and stabilization of silver nanoparticles"", CARBOHYDRATE POLYMERS, vol. 82, no. 3, JPN6019041645, 15 October 2010 (2010-10-15), GB, pages 933 - 941, ISSN: 0004507298 * |
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