JP2020168021A - 容器詰茶飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、香りの低下が抑制された容器詰茶飲料を提供することを目的とする。【解決手段】1.0〜50mg/100mLのカフェインを含有する容器詰茶飲料において、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンを含有させる。【選択図】なし
Description
本発明は、茶抽出物を含有する容器詰茶飲料に関し、より詳細には、特定量の1−デオキシノジリマイシンを含有する容器詰茶飲料に関する。
茶飲料は、加熱による風味変化が大きいことが知られている。特に、常温で長期保存可能な容器詰茶飲料の製造では過酷な加熱殺菌を必要とするため、茶本来の香りが低下され、茶飲料の香味が著しく低下する(非特許文献1)。そこで、発酵茶葉又は半発酵茶葉を10℃未満の冷水にて抽出を行い、この抽出残渣から50℃以上の温水で抽出し、二つの工程によって得られた抽出液を混合し、次いで殺菌処理することによって、殺菌処理後においても高い香りを持つ発酵茶飲料又は半発酵茶飲料が提案されている(特許文献1)。また、加熱殺菌時の香気の低下が少ない容器詰緑茶飲料を製造しうる、緑茶エキスも提案されている(特許文献2)。
一方、1−デオキシノジリマイシンは桑葉等に含まれるピペリジン型アルカロイドである。これまでに、桑の葉抽出物を配合した茶飲料が種々報告されている。例えば、特許文献3には、でんぷんと高濃度の非重合体カテキン類と桑の葉抽出物を含み、苦味の抑制された容器詰飲料が記載されており、また、市販品として、桑の葉や難消化性デキストリンを配合した茶飲料が知られている(非特許文献2、商品名:大人のカロリミット 玉露仕立て緑茶プラス)。また、水にシュクロースと高濃度の1−デオキシノジリマイシンとフラボノイドを含有する緑茶抽出物とを溶かした液体を用いてラットの血糖値が改善されたことも報告されている(特許文献4)。
一方、1−デオキシノジリマイシンは桑葉等に含まれるピペリジン型アルカロイドである。これまでに、桑の葉抽出物を配合した茶飲料が種々報告されている。例えば、特許文献3には、でんぷんと高濃度の非重合体カテキン類と桑の葉抽出物を含み、苦味の抑制された容器詰飲料が記載されており、また、市販品として、桑の葉や難消化性デキストリンを配合した茶飲料が知られている(非特許文献2、商品名:大人のカロリミット 玉露仕立て緑茶プラス)。また、水にシュクロースと高濃度の1−デオキシノジリマイシンとフラボノイドを含有する緑茶抽出物とを溶かした液体を用いてラットの血糖値が改善されたことも報告されている(特許文献4)。
日本食品科学工学会誌、第52巻、第1号、34〜40頁、2005年
ダイドードリンコウェブページ("大人のカロリミット茶シリーズ"、[平成30年12月6日検索]、URL:https://www.dydo.co.jp/blendcha/)
本発明は、香りの低下が抑制された容器詰茶飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定量の1−デオキシノジリマイシンが、加熱殺菌などに伴う茶飲料の香りの低下を抑制するのに優れた効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
(1) 茶抽出物と1−デオキシノジリマイシンとを含有する容器詰茶飲料であって、飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1〜2.0mg/100mLである、上記飲料。
(2) 1.0mg/100mL以上のカフェインを含有する、(1)に記載の飲料。
(3) 飲料のカフェイン含有量が50mg/100mL以下である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4) 前記茶抽出物が緑茶抽出物を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
(1) 茶抽出物と1−デオキシノジリマイシンとを含有する容器詰茶飲料であって、飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1〜2.0mg/100mLである、上記飲料。
(2) 1.0mg/100mL以上のカフェインを含有する、(1)に記載の飲料。
(3) 飲料のカフェイン含有量が50mg/100mL以下である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4) 前記茶抽出物が緑茶抽出物を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
本発明により、加熱殺菌などに伴う香りの低下が抑制されるので、香気豊かな嗜好性の高い、常温で長期間保管可能な容器詰茶飲料を提供することが可能となる。
本発明の一態様は、茶抽出物と1−デオキシノジリマイシンとを含有する容器詰茶飲料であって、飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1〜2.0mg/100mLである、容器詰茶飲料である。
(茶抽出物)
本発明の飲料は、茶抽出物を含有する茶飲料である。ここで、茶抽出物とは、茶葉から抽出溶媒を用いて抽出されたものをいう。茶葉としては、Camellia属(例えば、C. sinensis var. sinensis(やぶきた種を含む)、C. sinensis var. assamica等のCamellia sinensis等)及びそれらの雑種から選択される茶葉で、不発酵茶に分類される茶葉(例えば
、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等)や、発酵茶及び半発酵茶に分類される茶葉のいずれも用いることができる。また茶葉は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の飲料は、茶抽出物を含有する茶飲料である。ここで、茶抽出物とは、茶葉から抽出溶媒を用いて抽出されたものをいう。茶葉としては、Camellia属(例えば、C. sinensis var. sinensis(やぶきた種を含む)、C. sinensis var. assamica等のCamellia sinensis等)及びそれらの雑種から選択される茶葉で、不発酵茶に分類される茶葉(例えば
、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等)や、発酵茶及び半発酵茶に分類される茶葉のいずれも用いることができる。また茶葉は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
茶抽出物としては、茶抽出液、又はその濃縮物を1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能である。ここで、「茶濃縮物」とは、茶抽出液のうち溶媒の一部を除去するなどして成分濃度を高めたものであり、例えば、濃縮方法として、常圧濃縮、減圧濃縮、膜濃縮等を挙げることができる。茶濃縮物は液体であっても固体(粉体など)であってもよく、市販のエキスを使用してもよい。茶抽出物は、茶に含まれるカフェインを除いた、カフェインレスもしくはノンカフェインのものであっても良い。
(茶飲料)
本発明の飲料は、茶抽出物を含有する茶飲料である。本発明でいう茶飲料とは、上述の茶抽出物を配合して調製した飲料を意味し、具体的には緑茶、烏龍茶、紅茶、焙じ茶、玄米茶飲料などが挙げられる。中でも、不発酵茶に分類される茶葉で調製された緑茶飲料は、本発明の好適な態様の一例である。
一つの態様において、本発明に係る茶飲料は、茶抽出物を主成分とする飲料であり、茶抽出物を主成分とする飲料とは、食品表示法(平成27年4月施行)で表記される原材料表示において、「茶」「緑茶」「烏龍茶」「ジャスミン茶」「紅茶」などの茶に関する表記が上位に記載される飲料をいう。好ましくは、原材料表示で茶に関する表記が1番目又は2番目に表記される飲料であり、より好ましくは1番目に表記される飲料である。
また、本発明に係る容器詰茶飲料のpHは特に制限されないが、香味及び保存安定性の観点から、好ましくは5.5〜8.0であり、より好ましくは6.0〜7.0である。
本発明の飲料は、茶抽出物を含有する茶飲料である。本発明でいう茶飲料とは、上述の茶抽出物を配合して調製した飲料を意味し、具体的には緑茶、烏龍茶、紅茶、焙じ茶、玄米茶飲料などが挙げられる。中でも、不発酵茶に分類される茶葉で調製された緑茶飲料は、本発明の好適な態様の一例である。
一つの態様において、本発明に係る茶飲料は、茶抽出物を主成分とする飲料であり、茶抽出物を主成分とする飲料とは、食品表示法(平成27年4月施行)で表記される原材料表示において、「茶」「緑茶」「烏龍茶」「ジャスミン茶」「紅茶」などの茶に関する表記が上位に記載される飲料をいう。好ましくは、原材料表示で茶に関する表記が1番目又は2番目に表記される飲料であり、より好ましくは1番目に表記される飲料である。
また、本発明に係る容器詰茶飲料のpHは特に制限されないが、香味及び保存安定性の観点から、好ましくは5.5〜8.0であり、より好ましくは6.0〜7.0である。
(カフェイン)
本発明の茶飲料はカフェインを含まなくてもよいが、好ましい態様においてカフェインを含有する。カフェインが含有されていれば、カフェイン特有の香味(苦味)によって、茶飲料における香りの低下をさらに抑制させることが出来る。本発明の作用効果が顕著に発揮される観点から、カフェイン含有量が1.0mg/100mL以上が好ましく、5.0mg/100mL以上がより好ましく、10mg/100mL以上がさらに好ましい。一方、本発明においてカフェイン含有量が50mg/100mLを超えるような茶飲料は
、カフェイン特有の苦味が強くなる場合がある。香味(苦味)の観点から、カフェイン含有量は40mg/100mL以下が好ましく、30mg/100mL以下がより好ましい。カフェインは茶抽出物由来でもよいし、市販のカフェイン製剤を添加しても良い。飲料中のカフェインの含有量は、公知の方法によって定量することができ、例えば、高速液体クロマトグラム法(HPLC法)を用いて測定することができる。
本発明の茶飲料はカフェインを含まなくてもよいが、好ましい態様においてカフェインを含有する。カフェインが含有されていれば、カフェイン特有の香味(苦味)によって、茶飲料における香りの低下をさらに抑制させることが出来る。本発明の作用効果が顕著に発揮される観点から、カフェイン含有量が1.0mg/100mL以上が好ましく、5.0mg/100mL以上がより好ましく、10mg/100mL以上がさらに好ましい。一方、本発明においてカフェイン含有量が50mg/100mLを超えるような茶飲料は
、カフェイン特有の苦味が強くなる場合がある。香味(苦味)の観点から、カフェイン含有量は40mg/100mL以下が好ましく、30mg/100mL以下がより好ましい。カフェインは茶抽出物由来でもよいし、市販のカフェイン製剤を添加しても良い。飲料中のカフェインの含有量は、公知の方法によって定量することができ、例えば、高速液体クロマトグラム法(HPLC法)を用いて測定することができる。
(1−デオキシノジリマイシン)
本発明は、茶飲料における香りの低下を、1−デオキシノジリマイシンを用いることによって抑制するものである。ここで、1−デオキシノジリマイシン(1-Deoxynojirimycin)とは、桑の葉等に含まれているイミノ糖の一種であって、別名はモラノリン、1,5−ジデオキシ−1,5−イミノ−D−グルシトール(1,5-Dideoxy-1,5-imino-D-glucitol)とも称され、そのCAS登録番号は19130−96−2である。
本発明は、茶飲料における香りの低下を、1−デオキシノジリマイシンを用いることによって抑制するものである。ここで、1−デオキシノジリマイシン(1-Deoxynojirimycin)とは、桑の葉等に含まれているイミノ糖の一種であって、別名はモラノリン、1,5−ジデオキシ−1,5−イミノ−D−グルシトール(1,5-Dideoxy-1,5-imino-D-glucitol)とも称され、そのCAS登録番号は19130−96−2である。
本発明の茶飲料は、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンを含有する。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1mg/100mL以上あると、加熱殺菌などに伴う香りの低下を効果的に抑制し、茶飲料の香味改善を図ることができる。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は0.17mg/100mL以上が好ましく、0.2mg/100mL以上がより好ましい。
1−デオキシノジリマイシン等の糖類似アルカロイドは、飲食物に添加する場合に風味を損なうという欠点があることが知られている(特許文献4、段落0003参照)。さらに本発明者らが検討したところ、1−デオキシノジリマイシンを高濃度に含有する茶飲料では、飲用後半に嫌な後味が残り易いことを見出した。ここで、嫌な後味とは、ざらざらとした舌触りをいう(以下、後味の雑味とも表記する)。この1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味は、本発明の所期の効果である飲用時に感じられる香り良い茶飲料の嗜好性を低下させることがある。嫌な後味が残りにくく、口中におけるスッキリ感に優れるという観点から、茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量の上限は、2.0mg/100mLである。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量は1.0mg/100mL以下が好ましく、0.7mg/100mL以下がより好ましい。飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は、公知の方法によって定量することができ、例えば、HPLCを用いて測定することができる。
1−デオキシノジリマイシン等の糖類似アルカロイドは、飲食物に添加する場合に風味を損なうという欠点があることが知られている(特許文献4、段落0003参照)。さらに本発明者らが検討したところ、1−デオキシノジリマイシンを高濃度に含有する茶飲料では、飲用後半に嫌な後味が残り易いことを見出した。ここで、嫌な後味とは、ざらざらとした舌触りをいう(以下、後味の雑味とも表記する)。この1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味は、本発明の所期の効果である飲用時に感じられる香り良い茶飲料の嗜好性を低下させることがある。嫌な後味が残りにくく、口中におけるスッキリ感に優れるという観点から、茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量の上限は、2.0mg/100mLである。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量は1.0mg/100mL以下が好ましく、0.7mg/100mL以下がより好ましい。飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は、公知の方法によって定量することができ、例えば、HPLCを用いて測定することができる。
本発明の茶飲料は、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンを含有する。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1mg/100mL以上あると、加熱殺菌などに伴う香りの低下を効果的に抑制し、茶飲料の香味改善を図ることができる。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は0.17mg/100mL以上が好ましく、0.2mg/100mL以上がより好ましい。
1−デオキシノジリマイシン等の糖類似アルカロイドは、飲食物に添加する場合に風味を損なうという欠点があることが知られている(特許文献4、段落0003参照)。さらに本発明者らが検討したところ、1−デオキシノジリマイシンを高濃度に含有する茶飲料では、飲用後半に嫌な後味が残り易いことを見出した。ここで、嫌な後味とは、ざらざらとした舌触りをいう(以下、後味の雑味とも表記する)。この1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味は、本発明の所期の効果である飲用時に感じられる香り良い茶飲料の嗜好性を低下させることがある。嫌な後味が残りにくく、口中におけるスッキリ感に優れるという観点から、茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量の上限は、2.0mg/100mLである。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量は1.0mg/100mL以下が好ましく、0.7mg/100mL以下がより好ましい。飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は、公知の方法によって定量することができ、例えば、HPLCを用いて測定することができる。
1−デオキシノジリマイシン等の糖類似アルカロイドは、飲食物に添加する場合に風味を損なうという欠点があることが知られている(特許文献4、段落0003参照)。さらに本発明者らが検討したところ、1−デオキシノジリマイシンを高濃度に含有する茶飲料では、飲用後半に嫌な後味が残り易いことを見出した。ここで、嫌な後味とは、ざらざらとした舌触りをいう(以下、後味の雑味とも表記する)。この1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味は、本発明の所期の効果である飲用時に感じられる香り良い茶飲料の嗜好性を低下させることがある。嫌な後味が残りにくく、口中におけるスッキリ感に優れるという観点から、茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量の上限は、2.0mg/100mLである。茶飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量は1.0mg/100mL以下が好ましく、0.7mg/100mL以下がより好ましい。飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は、公知の方法によって定量することができ、例えば、HPLCを用いて測定することができる。
本発明で使用する1−デオキシノジリマイシンは、桑科植物などの植物から抽出単離さ
れたものに限定されず、化学的合成法、発酵法で得られる物質、微生物生産物であっても使用することができる。1−デオキシノジリマイシンの市販品としては、和光純薬より販売されているものが挙げられる。
また、本発明で使用する1−デオキシノジリマイシンは、桑科植物などの植物抽出物の形態で用いることができる。桑科植物としては、ヤマグワ(Morus bombycis Koidzumi)
、マグワ(Morus alba L.)、シマグワ(Morus australis Poir)、ロソウ(Morus latifolia Poir.)、モウコグワ(Morus mongolica Schneid)、クロミグワ(Morus nigra L.
)、アカミグワ(Morus rubra L.)、オガサワラグワ(Morus boninensis Koidzumi.)などを用いることができ、またこれらの交配種や変種を用いることもできる。使用する部位はなんら限定されるものではなく、葉、枝条、若枝、樹皮、幹、根、根皮、花、桑椹などを使用することができる。桑科植物抽出物としては、例えば、トヨタマ健康食品株式会社の桑の葉エキスパウダー、殺菌桑葉粉末等が挙げられる。
植物抽出物を用いる場合、本発明の作用効果を効果的に得るため、また茶飲料としての嗜好性を損なわないために、1−デオキシノジリマイシン濃度が高められた植物抽出物を用いることが好ましい。以下、1−デオキシノジリマイシン含有の桑葉抽出物を得る方法を例示する。まず、桑葉の乾燥物に含水エタノールなどのアルコール類を加えて抽出する。1−デオキシノジリマイシンは、乾燥桑葉中に少量(0.1〜0.2重量%程度)しか含まれていないため、効率よく抽出するために、アルコール類を加えた抽出が好ましい。抽出液は、遠心分離器にかけて不溶物を除去し、減圧濃縮することで桑葉抽出物を得ることができる。この抽出物中には1−デオキシノジリマイシンが通常、0.4〜1重量%含まれる。
れたものに限定されず、化学的合成法、発酵法で得られる物質、微生物生産物であっても使用することができる。1−デオキシノジリマイシンの市販品としては、和光純薬より販売されているものが挙げられる。
また、本発明で使用する1−デオキシノジリマイシンは、桑科植物などの植物抽出物の形態で用いることができる。桑科植物としては、ヤマグワ(Morus bombycis Koidzumi)
、マグワ(Morus alba L.)、シマグワ(Morus australis Poir)、ロソウ(Morus latifolia Poir.)、モウコグワ(Morus mongolica Schneid)、クロミグワ(Morus nigra L.
)、アカミグワ(Morus rubra L.)、オガサワラグワ(Morus boninensis Koidzumi.)などを用いることができ、またこれらの交配種や変種を用いることもできる。使用する部位はなんら限定されるものではなく、葉、枝条、若枝、樹皮、幹、根、根皮、花、桑椹などを使用することができる。桑科植物抽出物としては、例えば、トヨタマ健康食品株式会社の桑の葉エキスパウダー、殺菌桑葉粉末等が挙げられる。
植物抽出物を用いる場合、本発明の作用効果を効果的に得るため、また茶飲料としての嗜好性を損なわないために、1−デオキシノジリマイシン濃度が高められた植物抽出物を用いることが好ましい。以下、1−デオキシノジリマイシン含有の桑葉抽出物を得る方法を例示する。まず、桑葉の乾燥物に含水エタノールなどのアルコール類を加えて抽出する。1−デオキシノジリマイシンは、乾燥桑葉中に少量(0.1〜0.2重量%程度)しか含まれていないため、効率よく抽出するために、アルコール類を加えた抽出が好ましい。抽出液は、遠心分離器にかけて不溶物を除去し、減圧濃縮することで桑葉抽出物を得ることができる。この抽出物中には1−デオキシノジリマイシンが通常、0.4〜1重量%含まれる。
(その他の成分)
本発明者らの検討によると、甘味度が一定以下に抑えられている低甘味度の飲料では、1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味が目立ちやすく、それによって付与される複雑味により、殺菌に伴う香り低下抑制効果が高い傾向にある。したがって、本発明の作用効果を顕著に発揮できるという観点から、低甘味度の飲料は本発明の茶飲料の好適な一態様である。ここで「低甘味度」の飲料とは、具体的には甘味度が2以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下の飲料をいう。ここで、甘味度とは、甘味の強さを示す尺度であり、ショ糖1重量%(20℃)の甘味を1とした場合の相対比である。飲料の甘味度は、当該飲料に含まれる各甘味成分の量(重量濃度)を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量を総計することによって求めることができる。なお、ショ糖の甘味1に対する各種甘味成分の甘味の相対比は、公知の砂糖甘味換算表(マクマリー有機化学(第7版)988頁)から求めることができる。低甘味度の茶飲料として、好ましくは、甘味成分を配合しない茶飲料が挙げられる。ここで、甘味成分とは、甘味を付与する成分をいい、具体的には、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などを表す。
本発明は、加熱殺菌に伴う茶飲料の香気低下を抑制するものである。香料を用いて香気の強度を高めた飲料は、加熱殺菌後に所望の強さの香気の飲料とすることができる。したがって、本発明の作用効果を顕著に発揮できるという観点から、香料不使用の飲料は本発明の好適な一態様である。
その他、本発明の茶飲料には、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲であれば、上記成分に加え、必要に応じて各種添加剤が配合されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、色素類、乳化剤、保存料、ビタミン、エキス類、品質安定剤を単独で又は併用することができる。本発明の容器詰茶飲料のpHは、香味及び保存安
定性の観点から、好ましくは5.5〜8.0であり、より好ましくは6.0〜7.0である。
本発明者らの検討によると、甘味度が一定以下に抑えられている低甘味度の飲料では、1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味が目立ちやすく、それによって付与される複雑味により、殺菌に伴う香り低下抑制効果が高い傾向にある。したがって、本発明の作用効果を顕著に発揮できるという観点から、低甘味度の飲料は本発明の茶飲料の好適な一態様である。ここで「低甘味度」の飲料とは、具体的には甘味度が2以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下の飲料をいう。ここで、甘味度とは、甘味の強さを示す尺度であり、ショ糖1重量%(20℃)の甘味を1とした場合の相対比である。飲料の甘味度は、当該飲料に含まれる各甘味成分の量(重量濃度)を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量を総計することによって求めることができる。なお、ショ糖の甘味1に対する各種甘味成分の甘味の相対比は、公知の砂糖甘味換算表(マクマリー有機化学(第7版)988頁)から求めることができる。低甘味度の茶飲料として、好ましくは、甘味成分を配合しない茶飲料が挙げられる。ここで、甘味成分とは、甘味を付与する成分をいい、具体的には、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などを表す。
本発明は、加熱殺菌に伴う茶飲料の香気低下を抑制するものである。香料を用いて香気の強度を高めた飲料は、加熱殺菌後に所望の強さの香気の飲料とすることができる。したがって、本発明の作用効果を顕著に発揮できるという観点から、香料不使用の飲料は本発明の好適な一態様である。
その他、本発明の茶飲料には、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲であれば、上記成分に加え、必要に応じて各種添加剤が配合されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、色素類、乳化剤、保存料、ビタミン、エキス類、品質安定剤を単独で又は併用することができる。本発明の容器詰茶飲料のpHは、香味及び保存安
定性の観点から、好ましくは5.5〜8.0であり、より好ましくは6.0〜7.0である。
(容器詰飲料)
本発明に係る容器詰茶飲料に用いる容器は特に制限されず、公知の容器を使用することができる。発明の茶飲料に使用される容器として、例えば、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を主成分とする成形容器(いわゆるPETボトルなど)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ガラスの瓶などを挙げることができ、これらに充填して密閉した形態で提供することができる。本発明に係る容器詰茶飲料の容量は特に限定されないが、例えば350mL〜1000mLであり、好ましくは500mL〜1000mLである。
上述のとおり、本発明は、容器詰茶飲料における香りの低下を効果的に抑制するものである。本発明の好ましい態様において、本発明に係る茶飲料は、加熱殺菌処理を経て調製される容器詰茶飲料であるが、本発明における加熱殺菌の条件は、例えば、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択することができ、具体的には、60〜150℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは110〜150℃で、1秒間〜60分間、好ましくは1秒間〜30分間とすることができる。
容器として耐熱性容器(金属缶、ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110〜140℃、1〜数十分間)を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器(PETボトル、紙容器等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後(UHT殺菌:110〜150℃、1〜数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、容器に充填することができる。
本発明に係る容器詰茶飲料に用いる容器は特に制限されず、公知の容器を使用することができる。発明の茶飲料に使用される容器として、例えば、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を主成分とする成形容器(いわゆるPETボトルなど)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ガラスの瓶などを挙げることができ、これらに充填して密閉した形態で提供することができる。本発明に係る容器詰茶飲料の容量は特に限定されないが、例えば350mL〜1000mLであり、好ましくは500mL〜1000mLである。
上述のとおり、本発明は、容器詰茶飲料における香りの低下を効果的に抑制するものである。本発明の好ましい態様において、本発明に係る茶飲料は、加熱殺菌処理を経て調製される容器詰茶飲料であるが、本発明における加熱殺菌の条件は、例えば、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択することができ、具体的には、60〜150℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは110〜150℃で、1秒間〜60分間、好ましくは1秒間〜30分間とすることができる。
容器として耐熱性容器(金属缶、ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110〜140℃、1〜数十分間)を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器(PETボトル、紙容器等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後(UHT殺菌:110〜150℃、1〜数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、容器に充填することができる。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
各成分の定量
各サンプルにおけるカフェインと1−デオキシノジリマイシンは、以下の方法にて定量した。
<カフェインの分析方法>
茶飲料中のカフェイン含有量の分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて行った。分析には、高速液体クロマトグラフ分析装置(システムコントローラ(CBM−20A)、PDA検出器(SPD−M20Avp)、ポンプ(LC−30AD)、デガッサー(DGU−20A5R)、カラムオーブン(CTO−20AC)、オートサンプラー(SIL−30AC)、すべて島津製作所製)を使用した。なお、茶飲料は希釈することなくそのまま測定に供した。
HPLC測定条件
・カラム:TSK-gel ODS-80Ts QA (4.6mmI.D.×150nm)、東ソー社製
・カラム温度:40℃
・移動相:
A液:0.1%ギ酸水溶液
B液:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
・グラジエント条件(体積%)
0min B液5%、19min B液20%、20min B液63%、25min B液63%、26min B液5%、36min B液5%
・流量:1.0mL/min
・試料注入量:10μL
・測定波長:280nm
・標準物質:カフェイン(ナカライテスク社製)
<1−デオキシノジリマイシンの分析方法>
茶飲料中の1−デオキシノジリマイシンの分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて行った。必要に応じて、茶飲料を減圧濃縮し、分析に供した。
HPLC測定条件
・カラム:TSKgel Amide-80, φ4.6mm×250mm, 粒径5μm
・移動相:水、アセトニトリル及び酢酸の混液
・流量:1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・イオン化法:エレクトロスプレー(正イオン検出モード)
・設定質量数(m/z):164.0→109.9
各成分の定量
各サンプルにおけるカフェインと1−デオキシノジリマイシンは、以下の方法にて定量した。
<カフェインの分析方法>
茶飲料中のカフェイン含有量の分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて行った。分析には、高速液体クロマトグラフ分析装置(システムコントローラ(CBM−20A)、PDA検出器(SPD−M20Avp)、ポンプ(LC−30AD)、デガッサー(DGU−20A5R)、カラムオーブン(CTO−20AC)、オートサンプラー(SIL−30AC)、すべて島津製作所製)を使用した。なお、茶飲料は希釈することなくそのまま測定に供した。
HPLC測定条件
・カラム:TSK-gel ODS-80Ts QA (4.6mmI.D.×150nm)、東ソー社製
・カラム温度:40℃
・移動相:
A液:0.1%ギ酸水溶液
B液:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
・グラジエント条件(体積%)
0min B液5%、19min B液20%、20min B液63%、25min B液63%、26min B液5%、36min B液5%
・流量:1.0mL/min
・試料注入量:10μL
・測定波長:280nm
・標準物質:カフェイン(ナカライテスク社製)
<1−デオキシノジリマイシンの分析方法>
茶飲料中の1−デオキシノジリマイシンの分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて行った。必要に応じて、茶飲料を減圧濃縮し、分析に供した。
HPLC測定条件
・カラム:TSKgel Amide-80, φ4.6mm×250mm, 粒径5μm
・移動相:水、アセトニトリル及び酢酸の混液
・流量:1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・イオン化法:エレクトロスプレー(正イオン検出モード)
・設定質量数(m/z):164.0→109.9
実験1:緑茶飲料の製造と評価(参考例)
三井銘茶のカフェインレス緑茶0.4gを熱水(80〜90℃)100mlに溶解して得た、緑茶飲料を缶容器に詰めて、130℃1分の加熱殺菌処理をし、容器詰緑茶飲料を製造した(サンプル1−1)。
次に、20gの緑茶葉に対し熱水(80〜90℃)1000mLを用いて5分間抽出処理を行った後、茶葉を分離し、さらに200メッシュを通液させ、粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶抽出液を得た。カフェイン含有量が100mLあたり1.0〜50mgとなるように、得られた緑茶抽出液に水およびカフェインを加えて緑茶飲料を調整した。得られた緑茶飲料を缶容器に詰めて、130℃1分の加熱殺菌処理をし、容器詰緑茶飲料を製造した(サンプル1−2〜1−6)。
三井銘茶のカフェインレス緑茶0.4gを熱水(80〜90℃)100mlに溶解して得た、緑茶飲料を缶容器に詰めて、130℃1分の加熱殺菌処理をし、容器詰緑茶飲料を製造した(サンプル1−1)。
次に、20gの緑茶葉に対し熱水(80〜90℃)1000mLを用いて5分間抽出処理を行った後、茶葉を分離し、さらに200メッシュを通液させ、粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶抽出液を得た。カフェイン含有量が100mLあたり1.0〜50mgとなるように、得られた緑茶抽出液に水およびカフェインを加えて緑茶飲料を調整した。得られた緑茶飲料を缶容器に詰めて、130℃1分の加熱殺菌処理をし、容器詰緑茶飲料を製造した(サンプル1−2〜1−6)。
得られた容器詰緑茶飲料について、殺菌後の香りの低下を、パネル3名にて、1〜3点の3段階評価法にて官能評価した。具体的には、下記の基準に基づいて各パネルが評価した結果を再度全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で表記した。
・3点:香りの低下が極めて大きい
・2点:香りの低下を感じる
・1点:香りの低下をほとんど感じない
・3点:香りの低下が極めて大きい
・2点:香りの低下を感じる
・1点:香りの低下をほとんど感じない
官能評価結果を表1に示す。緑茶飲料中のカフェイン含有量に関わらず、加熱殺菌処理による香りの低下が確認された。
実験2:緑茶飲料の製造と評価(1)
実験1で得られた種々のカフェイン含有量の緑茶飲料に、1−デオキシノジリマイシンを配合し、実験1と同様に、加熱殺菌処理をし、容器詰緑茶飲料を製造した。1−デオキ
シノジリマイシンとしては和光純薬製の合成品(純度98%)を使用し、各サンプルの1−デオキシノジリマイシン含有量は下表のとおりである。
実験1で得られた種々のカフェイン含有量の緑茶飲料に、1−デオキシノジリマイシンを配合し、実験1と同様に、加熱殺菌処理をし、容器詰緑茶飲料を製造した。1−デオキ
シノジリマイシンとしては和光純薬製の合成品(純度98%)を使用し、各サンプルの1−デオキシノジリマイシン含有量は下表のとおりである。
得られた容器詰緑茶飲料について、パネル3名にて、1〜5点の5段階評価法にて官能評価した。各実施例について、カフェインが同量含まれており、かつ1−デオキシノジリマイシンが含まれていない比較例をコントロールとして評価した。下記の基準に基づいて各パネルが評価した結果を再度全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で表記した。
・5点:大きく改善されている
・4点:改善されている
・3点:やや改善されている
・2点:ほとんど改善されていない
・1点:全く改善されていない
・5点:大きく改善されている
・4点:改善されている
・3点:やや改善されている
・2点:ほとんど改善されていない
・1点:全く改善されていない
官能評価結果を表2に示す。緑茶飲料に、1−デオキシノジリマイシンを添加することにより、殺菌後の香りの低下抑制効果が得られた。緑茶飲料に1−デオキシノジリマイシンを配合するというシンプルな方法によって、緑茶飲料の加熱による香りの低下を抑制できた。なお、カフェイン含有量が80mg/100mLであるサンプル2−18は、カフェイン特有の味が強くなった。
実験3:緑茶飲料の製造と評価(2)
実験1で得られた10mg/100mLのカフェインを含有する緑茶抽出液に、1−デオキシノジリマイシンを配合し、実験1と同様に加熱殺菌処理し、容器詰緑茶飲料を製造した。1−デオキシノジリマイシンとしては和光純薬製の合成品(純度98%)を使用し、各サンプルの1−デオキシノジリマイシン含有量は下表のとおりである。
実験1で得られた10mg/100mLのカフェインを含有する緑茶抽出液に、1−デオキシノジリマイシンを配合し、実験1と同様に加熱殺菌処理し、容器詰緑茶飲料を製造した。1−デオキシノジリマイシンとしては和光純薬製の合成品(純度98%)を使用し、各サンプルの1−デオキシノジリマイシン含有量は下表のとおりである。
実験2と同様にして官能評価試験を実施した。結果を表3に示す。表から明らかなとおり、加熱殺菌前に1−デオキシノジリマイシンを緑茶飲料100mLあたり0.1mg以上、好ましくは0.17mg以上配合することで、加熱殺菌による香りの低下を抑制できた。
また、1−デオキシノジリマイシンの含有量が3.0mg/100mLであるサンプル3−12は、加熱による香りの低下抑制効果はあるものの、1−デオキシノジリマイシンのザラザラと舌に残る後味の雑味が感じられ、緑茶飲料としての嗜好性が損なわれた。
実験4:緑茶飲料の製造と評価(3)
1−デオキシノジリマイシンを添加した後にアスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムをさらに添加した以外は、実験3と同様にして容器詰緑茶飲料を製造した。具体的には、実験1で得られた10mg/100mLのカフェインを含有する緑茶抽出液に、1−デオキシノジリマイシンを添加し、さらに30mg/100mLの濃度となるようにアスコルビン酸を添加してから、炭酸水素ナトリウムを混合してpH調整を行った。加熱殺菌後の緑茶飲料のナトリウム含有量は8.0mg/100mLであり、pHは6.0であった。
1−デオキシノジリマイシンを添加した後にアスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムをさらに添加した以外は、実験3と同様にして容器詰緑茶飲料を製造した。具体的には、実験1で得られた10mg/100mLのカフェインを含有する緑茶抽出液に、1−デオキシノジリマイシンを添加し、さらに30mg/100mLの濃度となるようにアスコルビン酸を添加してから、炭酸水素ナトリウムを混合してpH調整を行った。加熱殺菌後の緑茶飲料のナトリウム含有量は8.0mg/100mLであり、pHは6.0であった。
実験2と同様にして官能評価試験を実施した。結果を表4に示す。表から明らかなとおり、アスコルビン酸及び、炭酸水素ナトリウムを混合した容器詰茶飲料においても、本発明によって、加熱殺菌などによる香りの低下を抑制できた。
実験5:烏龍茶飲料の製造と評価
烏龍茶飲料においても同様に1−デオキシノジリマイシンによる香りの低下抑制効果を確認した。まず、ウーロン茶葉抽出物を製造した。5gの烏龍茶葉に対し熱水(80〜90℃)700mLを用いて5分間抽出処理を行った後、茶葉を分離し、さらに200メッシュを通液させ、粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、烏龍茶抽出液を得た。得られた抽出液に対して、カフェイン含有量10mg/100mL、1−デオキシノジリマイシン含有量0.2〜1.0mg/100mLとなるように調合し、実験1と同様に加熱殺菌処理し、容器詰烏龍茶飲料を製造した。
烏龍茶飲料においても同様に1−デオキシノジリマイシンによる香りの低下抑制効果を確認した。まず、ウーロン茶葉抽出物を製造した。5gの烏龍茶葉に対し熱水(80〜90℃)700mLを用いて5分間抽出処理を行った後、茶葉を分離し、さらに200メッシュを通液させ、粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、烏龍茶抽出液を得た。得られた抽出液に対して、カフェイン含有量10mg/100mL、1−デオキシノジリマイシン含有量0.2〜1.0mg/100mLとなるように調合し、実験1と同様に加熱殺菌処理し、容器詰烏龍茶飲料を製造した。
実験2と同様にして官能評価試験を実施した。結果を表5に示す。表から明らかなとおり、烏龍茶飲料においても1−デオキシノジリマイシンを飲料100mLあたり0.1mg以上、好ましくは0.2mg以上配合することで、加熱殺菌などによる香りの低下を抑制できた。
Claims (4)
- 茶抽出物と1−デオキシノジリマイシンとを含有する容器詰茶飲料であって、飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1〜2.0mg/100mLである、上記飲料。
- 1.0mg/100mL以上のカフェインを含有する、請求項1に記載の飲料。
- 飲料のカフェイン含有量が50mg/100mL以下である、請求項1又は2に記載の飲料。
- 前記茶抽出物が緑茶抽出物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の飲料。
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